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糞後の発熱・嘔吐で来院した、グループホーム入所中の77歳女性の症例

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糞後の発熱・嘔吐で来院した、グループホーム入所中の77歳女性の症例
奄美ブロック研修医勉強会
食糞後の発熱、嘔吐で来院した
う○こを繰り返し食べた
認知症女性の1例
認知症女性の1例
徳之島徳洲会病院(2014/4/1-5/31)
森本 真由子
安東 圭皓
奄美ブロック研修医勉強会
う○こを繰り返し食べた
認知症女性の1例
徳之島徳洲会病院(2014/4/1-5/31)
森本 真由子
安東 圭皓
症例
<症例>70歳代 女性 グループホーム入所中
<ADL>運動機能正常 重度の認知症
<主訴>嘔吐、腹痛
<現病歴>
-2日 2回便を食べ、嘔吐があったため外来受診。
腹痛の訴えはあったが、点滴で帰宅。
-1日 嘔吐を繰り返しており、発熱あり受診。
胸部Xpで陰影なし。呼吸音異常なく対症療法。
当日 意識消失があり救急要請。
嘔吐を繰り返し、発熱も持続していた。
症例
<既往歴>
アルツハイマー病、便秘症
腹部手術歴、帝王切開歴なし
<アレルギー>たこ
<内服>
ドネペジル10mg、リスペリドン0.5mg、
ニトラゼパム5mg、抑肝散、酸化マグネシウム、
センノシド
<最終食事>当日昼食 水分摂取可能
<最終排便>来院2日前
身体所見
<バイタルサイン>
意識レベル JCS Ⅰ-3 GCS 13 E4V4M5
血圧 119/48mmHg 脈拍 80bpm 体温 36.8℃
呼吸回数 22回/分 SpO2 98%(室内気)
<全身状態>るい痩著明 150cm 40kg BMI 17.7
<胸部> 心音 異常なし
呼吸音 異常なし
<腹部>全体的に膨満 腸蠕動音減弱 軟
腹膜刺激徴候なし 腫瘤触知せず
広範囲に圧痛あり 鼠径膨隆なし
<直腸診>痔疾なし 腫瘤触知せず 普通便多量
<四肢>冷感あり チアノーゼなし
血液検査結果
CBC
WBC: 1.75
Neu: 90.0
Lym: 5.2
RBC: 431
Hb: 14.2
Ht: 41.8
Plt: 27.2
生化学検査
万/μ l
%
%
万/μ l
g/dl
%
万/μ l
血液凝固検査
AST: 15 IU/L
PT%: 87.1
ALT: 11
IU/L
PT-INR: 1.06
CPK: 37 IU/L
APTT: 23.9
BUN: 41.3 mg/dl
Cr:
1.9 mg/dl
Na: 143
mmol/L
ABG
K:
3.5
mmol/L
Cl: 104
mmol/L pH: 7.475
Ca: 10.3
mg/dL
pCO2: 29.5
TP: 6.9
g/dL
pO2: 74.4
Alb: 3.6
g/dL
HCO3: 21.2
T-Bil: 0.5 mg/dL
BE: -1.1
Glu: 177
mg/dL
AG: 18.3
CRP: 5.61 mg/dL
浸透圧: 304 mosm/kg
%
Sec
mmHg
mmHg
mol/L
mol/L
mol/L
入院後経過
▶入院1日目
診断目的に腹部造影CT撮影
入院後経過
1日目造影CT
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
入院後経過
腹部造影CT抜粋
入院後経過
入院後経過
▶入院1日目
SMA症候群による十二指腸の通過障害。
→NGチューブを挿入し減圧をはかり経過観察。
1日目排液2000mL、以降徐々に排液減量。
▶︎入院8日目
ガストログラフィンを用い消化管造影。
造影CT
入院8日目
入院後経過
▶入院1日目
SMA症候群による十二指腸の通過障害。
→NGチューブを挿入し減圧をはかり経過観察。
1日目排液2000mL、以降徐々に排液減量。
▶︎入院8日目
ガストログラフィンを用い消化管造影、排便あり。
→通過性確認。 GFO開始、徐々に流動食増量。
▶︎入院13日目
NG排液が1300mLに増量。
▶︎入院14日目
再度消化管造影
入院8日目のCTを見直してみると…
入院8日目のCTを見直してみると…
だけではなかった
入院8日目のCTを見直してみると…
2週間絶食なのに
GIF所見
<食道>逆流性食道炎 Grade D
<胃>2カ所に胃潰瘍疑い 8cm×4cm大の異物あり
<十二指腸>異常所見指摘されず
入院後経過
▶入院15日目
胃内容物確認目的でGIF施行
→医療用使い捨て手袋であった
▶︎入院18日目
小腸異物の移動確認目的の消化管造影CT施行
→ほぼ移動なし
▶︎入院23日目
消化管造影CT施行
入院後経過
▶入院15日目
胃内容物確認目的でGIF施行
→医療用使い捨て手袋であった
▶︎入院18日目
小腸異物の移動確認目的の消化管造影CT施行
→ほぼ移動なし
▶︎入院23日目
消化管造影CT施行
→ほぼ移動なし
医療用手袋摂食による腸閉塞について
▶医療用手袋摂食による腸閉塞
全症例に精神疾患あり
年齢 12−88歳
国内での報告 9例(1983-2010)
男:女=6:3
▶︎治療法
開腹手術 7例
自然排泄 2例
▶︎閉塞部位
回腸末端から60cm以内の回腸に好発
▶︎精神疾患を有する患者の特徴
病歴や訴えが明確でなく、発見が遅れやすい
→周囲からの病歴聴取やMDCT所見が重要
小林敦夫他:医療用手袋の摂食により腸閉塞をきたした1例 日本臨床外科学会雑誌 2010: 71(4): 941-945
結語
・重度認知症患者の使い捨て手袋摂食による腸閉塞の
症例を経験した。
・認知症患者の病歴聴取の難しさを痛感した。
・正常な画像所見を知っておけば、より早期にGIFを
施行することができた可能性がある。
・違和感を感じた場合には、突き詰めて考えなければ
ならないと感じた。
参考文献︎
1)小林敦夫他:医療用手袋の摂食により腸閉塞を
きたした1例 日本臨床外科学会雑誌 2010:
71(4): 941-945
2)池口正英他:消化管異物による閉塞性イレウス
の臨床的検討 日本臨床外科学会雑誌 1986:
47: 486-844
現時点での問題点
◆栄養状態
Alb 1.1g/dL
入院15日目にCV挿入、翌日より中心静脈栄養開始
◆感染リスク
誤嚥、低栄養、CV、尿道カテーテルなど
◆今後の方針
現時点では自然排泄を待つ方針
栄養状態が改善したら手術も考慮
◆認知症悪化のリスク
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