...

乳癌穿刺吸引細胞診標本を用いた HER2 および

by user

on
Category: Documents
24

views

Report

Comments

Transcript

乳癌穿刺吸引細胞診標本を用いた HER2 および
乳癌穿刺吸引細胞診標本を用いた
HER2 およびホルモン受容体の検討
研究実施計画書
独立行政法人国立病院機構
四国がんセンター・臨床検査科・乳腺/内分泌外科・病理科
実施計画書 作成日
2010 年 12 月 27 日 Ver.1.0
1
背
景
従来,乳癌の受容体検査は原発巣組織で行われていたが,原発巣と転移巣の受容体発現
に差のある症例が相当数あり,治療効果は転移巣の受容体発現と関連していることが近年
報告されている(1-3).それをふまえて,2010 年の米国臨床腫瘍学会と米国病理医協会
(ASCO/CAP)の指針では転移巣の受容体検査も行うことが望ましいとされた(4).転移巣での
生検は難しいこともあるため,細胞診検体を用いた受容体検査方法の確立が望まれる(5).
そこで,我々は,2008 年の倫理委員会で審査・許可していただいた研究計画書(受託研
究 2008-65)に沿って,液状細胞診を用いたホルモン受容体の安定した検査方法を確立した
(6, 7).HER2 検査も同様の方法で行う予定であったが,染色性が安定しなかったため,研
究予定期間内に行うことができなかった.
日常業務で行われている HER2 検査は,細胞膜 HER2 蛋白を免疫染色で判定する HER2 免疫
染色と,核内 HER2-DNA を測定する HER2-FISH 検査がある.液状細胞診(アルコール固定)
を用いた HER2 免疫染色は安定しなかったが,HER2-FISH 検査は,研究期間中に行っていた
予備検討から実用可能と思われた.文献でもアルコール固定の細胞診塗抹標本を用いた
HER2-FISH 検査が実用可能との報告はあるが,閾値の設定にはさらなる検討が必要である(8,
9).さらに,前回の研究では,細胞診検体の標本作製方法は,液状細胞診のみであったが,
予備検討で細胞診セルブロック(ホルマリン固定で,組織標本と同様に扱うことができる)
を用いて,ホルモン受容体と HER2 免疫染色を行ったところ,実用可能と思われる結果が得
られた.文献的にも,アルコール固定ではなくホルマリン固定したセルブロックを用いる
と HER2 免疫染色でも判定可能との報告がある(10).
そこで,今回 HER2-FISH を用いた乳癌細胞診 HER2 検査と,さらにセルブロックを用いて
併せて受容体検査を行う計画をたてた.
目
的
①乳癌細胞診検体を用いた HER2 検査の適正な方法と、その判断基準をつくる.
②乳癌細胞診セルブロックでも,ホルモン受容体と HER2 蛋白の判定が可能であることを示
す.
対
象
術前に乳癌と診断された乳房温存術あるいは乳房全摘術検体.
予定検体数は 100 件.
研究期間
倫理委員会承認後~ 2012 年 3 月 31 日
方
法
2
HER2-FISH 検査以外は,四国がんセンター病理科で行う.
1.乳癌切除検体に対し穿刺吸引細胞診を行う.
2.液状細胞診システム(ThinPrep System,製造元:サイテックコーポレーション,輸入
販売元:オリンパス株式会社)とセルブロック作製キット(Ebis 1, アジア器材株式会社)
を用いて複数枚のプレパラートを作製する.
3.液状細胞診プレパラートで HER2-FISH 検査,セルブロックプレパラートでホルモン受
容体と HER2 免疫染色を行う.免疫染色には,自動免疫染色装置(ベンタナ XT システム ベ
ンチマーク,ベンタナ・ジャパン株式会社)を用いる.細胞診検体の HER2-FISH 検査は検
査センターに有償で委託する.
4.通常業務で作製した,手術検体腫瘍部の HER2-FISH 検査,ホルモン受容体と HER2 免疫
染色の結果と,細胞診プレパラートの結果を比較検討する.
実施項目
・ホルモン受容体免疫染色
・HER2 免疫染色
・HER2-FISH 検査
*免疫染色用の抗体は,ベンタナ I-VIEW ブレストパネルを用いる.
記録表の保管、研究成果の発表について
・研究結果(プレパラート・試験結果)は四国がんセンターにて保管する.
・研究成果は学会および学術雑誌で公表することがあるが,患者個人が特定できるような
データは公表されない.
プライバシーに関する配慮
・患者の組織標本の識別および転帰の検索はすべて番号を用いて匿名化して行うため,
プライバシー保護には問題なく,患者本人および家族に不利益が生じることはない.
費
用
・自動免疫染色装置の消耗品,免疫染色用の抗体,HER2-FISH 検査等の,本研究に要する費
用は、平成 21 年度がん研究助成金(21-4-4)「本邦での乳癌検体におけるホルモン受容体,
HER2 受容体発現評価の精度管理システム構築に関する研究」班等の公的研究費をあてる.
研究実施組織
研究責任者:四国がんセンター 臨床検査科
西村理恵子
〒791-0280 愛媛県松山市南梅本町甲 160
TEL: 089-999-1111
3
研究協力者
文
1.
青儀健二郎
四国がんセンター 乳腺・内分泌外科
山本珠美
四国がんセンター 臨床検査科
香川昭博
四国がんセンター 臨床検査科
寺本典弘
四国がんセンター 病理科
高畠大典
四国がんセンター 乳腺・内分泌外科
高嶋成輝
四国がんセンター 乳腺・内分泌外科
大住省三
四国がんセンター 乳腺・内分泌外科
献
Broom RJ, Tang PA, Simmons C, et al. Changes in estrogen receptor, progesterone
receptor and Her-2/neu status with time. Discordance retes between primary and
metastatic breast cancer. Anticancer Res 2009; 29:1557-1562.
2.
Guarneri V, Giovannelli S, Ficarra G, et al. Comparison of HER-2 and hormone
receptor expression in primary breast cancers and asynchronous paired metastases.
Impact on patient management. Oncologist 2008; 13:838-844.
3.
Idirisinghe PK, Thike AA, Cheok PY, et al. Hormone receptor and c-ERBB2 status
in distant metastatic and locally recurrent breast cancer. Pathologic correlations
and clinical significance. Am J Clin Pathol 2010; 133:416-429.
4.
Hammond MEH, Hayes DF, Dowsett M, et al. American Society of Clinical
Oncology/College of American Pathologists guideline recommendations for
immunohistochemical testing of estrogen and progesterone receptors in breast
cancer. J Clin Oncol 2010; 28:2784-2795.
5.
西村理恵子, 青儀健二郎. 乳癌細胞診検体を用いたレセプター判定の必要性. アンケー
ト結果から. 乳癌の臨 2010; (印刷中).
6.
Nishimura R, Aogi K, Yamamoto T, et al. Usefulness of liquid-based cytology in
hormone receptor analysis of breast cancer specimens. Virchows Archiv 2010; (in
press).
7.
西村理恵子, 青儀健二郎, 山本珠美, 他. 乳癌穿刺吸引細胞診標本を用いた液状細胞診
法によるホルモンレセプターの判定. 乳癌の臨 2009; 24:625-630.
8.
Beatty BG, Bryant R, Wang W, et al. HER-2/neu detection in fine-needle aspirates
of breast cancer. Am J Clin Pathol 2004; 122:246-255.
9.
Itoh H, Miyajima Y, Umemura S, Osamura RY. Lower HER-2/Chromosome
enumeration probe 17 ratio in cytologic HER-2 fluorescence in situ hybridization for
breast cancers. Three-dimensional analysis of intranuclear localization of
centromere 17 and HER-2 signals. Cancer Cytopathol 2008; 114:134-140.
10.
Shin SJ, Chen B, Hyjek E, Vazquez M. Immunocytochemistry and fluorescence in
4
situ hybridization in HER-2/neu status in cell block preparations. Acta Cytol 2007;
51:552-557.
5
Fly UP