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Title Relationship between mammographic density and the risk of breast cancer in Japanese women: A case-control study( 内容の 要旨(Summary) ) Author(s) 長尾, 育子 Report No.(Doctoral Degree) 博士(医学)乙 第1345号 Issue Date 2003-03-13 Type 博士論文 Version URL http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/14903 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。 氏 名(本籍) 長 尾 学位の種類 育 博 士(医学) 学位授与番号 乙第1345 学位授与日付 平成15 学位授与の要件 学位規則第4条第2項該当 学位論文題目 ReJationshipbetweenmammographjcdensityandtheriskofbreast 子(岐阜県) 号 年・3 月13 日 CanCerinJapanesewomen=Acase-COntrOIstudy 審 査 委 貞 (主査)教授 佐 治 重 豊 (副査)教授 清 水 弘 之 教授 屋 博 昭 論文内容の要旨 近年・乳癌の診断においてマンモグラフィは,利便性・普遍性・非侵襲性の面から欠かせない重要な検査法と して広く普及しっっある0しかし,マンモグラムは乳癌腫瘡と乳腺正常組織のわずかなⅩ線吸収差をフイルム上 に描出して撮像する検査法である上個人差が大きく複雑な乳房構成と正常乳腺の状態変化により読影結果が微 妙に異なるため・検査法としての信雛に問題があり,改善策が種々論議されてきた○すなわち,正常乳腺が比 較的高濃度に描出される場合は,腫癌性病変が隠されてしまう危険性等である○それゆえ,正常乳腺の濃度やパ ターンが読影結果の信頼性に影響することから,幾っかの方法で分類が試みられ,評価が進んでいるので,これ らがマンモグラム上で容易に観察できる重要情報として提供されるものと期待される。一方,海外ではマンモグ ラム上で観察される正常乳腺濃度と乳癌リスクとの関連が盛んに研究され・正常乳腺が高濃度であるはど乳癌リ スクが高いと報告されている0しかし・本邦女性を対象とした同様の検討は・申請者が検索し得た限りでは殆ど 報告されていなかった0そこで今回,日本人女性を対象にマンモグラム上で乳腺濃度を視覚評価とデジタル評価 で分類し,乳癌リスクとの関連を「マンモグラム上観察される正常乳腺濃度の分類に関するトス・コントロー ル研究」として企画し・その有用性を評価した0特に・マンモグラム上で観察される乳腺濃度分類は読影医が視 覚的に判断して診断しているため客観性と再現性に乏しかったため・画像のデジタル化の流れを考慮して客観的 かつ再雛のあるデジタル分類法を考案し・合わせて新しい評価法としての有用性を検討した。 研究対象と研究方法 [対象]:トス群は平成10年1月から12年末までに手術を施行され,病理組織学的に乳癌と診断された237例で, コントロール群は同期間中に視触診,マンモグラフイ,超音波検査の三者併用の乳癌検診を受け,いずれの検査 でも異常なしと診断された1,300人中,乳癌症例とペアーマッチさせた742例である○マッチングの方法は各ケー スに対して年齢(±1年)・出産回数(±1回)でケース1例に対して最大4例を抽出した。 [方法]:乳腺濃度分類は視覚的方法とデジタル分類の2方法で行った。視覚的分類法として①Wolfe分類(Nl; 乳房内に乳腺問質パターンを認めない,Pl;乳腺問質パターンが乳房に占める割合が1/4以下,P2;乳腺問質パター ンが乳房に占める割合が1/4以上DY…乳腺問質パターンは欄ではないが・乳房全体が高濃度)を,コンピュー タを用いたデジタル分類法として②乳腺濃度のヒストグラムの型による分類(MDfat;ピークが脂肪濃度にはぼ 一致,MDmusc;ピークが大胸筋の濃度より高濃度,MDmix;MDfatとMDmusc以外)を用いた。読影は医師 と技師各1名の2名で行った0使用マンモグラムはケース・コントロール症例すべてが同一の機器を使用して撮 影処理されたもので・撮影機はセノグラフDMR・読み取りと記録はそれぞれFCRAC-3CSとCR-LP415,マン モグラムはMLO(Medio-Lateral-Olrique)方向で撮影されたフイルムの左右どちらか1枚(トス群は健側,コ ントロール群は撮影順に左右交互)を採用した0また,デジタル分類でのデジタイザはEPSON フトはPhotoshopを用い・8bitスケールで乳房範囲の濃度別ヒストグラムを作成した。 ES-2000,ソ 研究結果 ①ケース群237症例とコントロール群742例の平均年齢はそれぞれ52.4歳と51.2歳(p=0.11)で有意差はなく, 身長,体重,MBIや初潮年齢も両群間に有意差はみられなかった。②出産回数はマッチングしたにもかかわら ず,ケース群が2・2回,コントロール群が1.9回(p=0.0001),初産年齢もケース群が25.8歳,コントロール群が25.0 歳(p=0・002)と2群間に有意差が観察された0③Wolf分類で・Nl群に対するRelativerisk(RR)はPlが0.99(95% COnfidenceintervalsCI=0・69-1・42),P2は0.66(95%CI=0.37-1.19),DYは1.98(95%CI=1.04-3.79),初産年齢と 出産回数で補正後もDY群のRRは2.20(95%CI=1.02-4.77)であった。④デジタル分類で,MDfat群に対するRRは MDmixが1・42(95% CI=0・91-2・20),MDmusc群は2.44(95%CI=1.28-4.65),初産年齢と出産回数で補正後も MDmusc群のRRは2.83(95%CI=1.33-5.98)であった。 考案と結語 本邦ではマンモグラムにおける乳房の構成に関する分類は,病巣が正常乳腺に隠される危険性を示すのに重要 と理解されているが,今回申請者らが検索し得た限りでは本邦女性を対象に乳腺濃度と乳癌リスクとの関連 細に検討した報告ははとんど認められなかった。一方,欧米人等の外国人女性を対象とした検討では,乳房の濃 度が高い群ほど乳癌リスクが高いとする報告が多いが,今回の申請者らの検討でも本邦女性においても同様の傾 向を示すことが確認された。従来から,乳房の濃度分類は視覚的に行われてきたが,再現性に乏しい点が問題と 指摘されている。また,マンモグラフィは乳房の大きさや予想される乳腺の割合等によって,撮影条件を症例毎 に設定するため写真濃度が様々で,単純に乳腺濃度差が正常乳腺の状態を反映していると判断することは危険で ある0これらの問題点を考慮した上で今回考案したデジタル分類は,客観性,再現性に優れ,また症例毎に大胸 筋濃度と脂肪濃度を基準にした相対的評価を採用した事から,撮影条件の影響が少ない分類法であると考えてい る0その結果,日本人女性におけるマンモグラム上の乳腺濃度と乳癌リスクの間に有意な関係が認められ,Nl 群に対するDY群のRRが1・98(95鱒CI=1・04-3・79)で,初産年齢と出産回数で補正後もRRは2.20(95%CI=1.02-4. と有意に高値であった。またMDfat群に対するMDmusc群のRRは2.83(95%CI=1.33-5.98)で,初産年齢と出産回 数で補正後もRRは2・83(95%CI=1.33-5.98)と有意に高値であった。よって,視覚分類とデジタル分類の双方で乳 腺濃度が高い群は最も低い群に比べ乳癌リスクが有意に高値であることが示唆された。 論文書査の結果の要旨 申請者 長尾育子は,日本人女性を対象にマンモグラム上観察される正常乳腺濃度の分類に関するケース.コ ントロール研究を企画し,同期間に手術され病理組織学的に乳癌と診断されたケース群との間で,視覚的方法で のWolf分類と新しく考案したデジタル分類を試み,乳癌のRelativeriskを評価した。その結果,日本人女性に おいてもマンモグラム上の乳腺濃度と乳癌リスクの間に有意な関係が認められ,視覚分類とデジタル分類の双方 で乳腺濃度が高い群は,最も低い群に比べ有意に高リスクとなる可能性を明らかにした。これらの研究結果は腫 瘍外科学,特に乳癌の早期診断法の分野の発展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] RelationshipbetweenmammographicdensityandtheriskofbreastcancerinJapanesewomen:A CaSe-COntrOIstudy Breast Cancer.2003:(in press)