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「虫歯予防と食生活」
ひろばのお医者さん 「虫歯予防と食生活」 講師 とみさわ歯科医院 院長 富澤 誠 先生 2016年 2 月4日(木) すこやかロビーにて 参加者45名 まずは、クイズから・・・ Q1 乳歯は全部で何本あるでしょうか。 ①16本 ②20本 ③22本 Q2 正解は② 20 本です。 永久歯は全部で何本あるでしょう。 ①20本 ②26本 ③32本 正解は③ 32 本です。(親知らずを含む) 一般的な虫歯の予防方法 ・1日3回3分以上歯を磨きましょう。フロスを使った方がより効果的です。 ・甘いものは控えましょう。週に1回は休甘日を! ・フッ素を塗りましょう。 ・シーラントで奥歯の溝を埋めてしまいましょう。 ・歯科検診を受けて早期発見早期治療をしましょう。 よく言われる虫歯予防方法 ですが、これで虫歯は防げ るのでしょうか? では、ここでクイズです! Q. 歯磨きがきちんとできていれば虫歯は防げる。 正解は NO! 虫歯ができるメカニズム 甘いものを食べるとそれを餌に虫歯の原因菌(ミュータンス菌)が酸を作って歯表面のカルシウ ムを溶かします。この現象を「脱灰」(だっかい)と言います。この状態は唾液によって中和され、 溶けた歯を元に戻します。これを「再石灰化」 (さいせっかいか)と言います。歯垢が付いているだ けでは虫歯にはなりませんが、ダラダラと甘いもの食べていつでも口の中が酸にさらされていると、 溶けたカルシウムが元に戻らずに虫歯が出来やすくなるのです。 またまた、クイズです! Q. 虫歯になりやすいおやつはどちらでしょう。 A.小さいお菓子を小分けにして、チョコチョコ食べる。 B.大きいお菓子を一気に食べる。 正解は…A 小さいお菓子を何度もちょこちょこ食べると、虫歯のリスクが高まります。 ★食生活と虫歯 ―規則正しい食生活― ―ダラダラ食いー ピンクは脱灰域。ダラダラ食べやちょこちょこ食いをすると、口の中がいつも酸性に傾いて、脱灰が 進み虫歯ができてしまいます。食べ物をいつ、どんなふうに食べるかが、虫歯予防に大きく関係して いることが分かります。 最後のクイズです! Q りんごと野菜の100%の飲み物は天然素材なので虫歯を作らない。 正解は…× 天然の物でも、糖分は含まれています。甘くないから大丈夫と思うのはダメです。 Q 乳児用の補水液は虫歯の危険性がある。 正解は…○ 経口補水液や、スポーツドリンクは5%前後の糖分を含んでおり、頻繁に飲むと口の中が酸にさら された状態になります。経口補水液がNGではなく、水分補給の為、日常的に飲むと虫歯のリスクが 高くなります。 Q ドライシロップは薬だが虫歯の危険因子になる。 正解は…○ ドライシロップの中身は薬と白糖です。寝る前 30 分は出来るだけ避け、錠剤が飲めるように なったら切り替えてもらいましょう。 Q 水分補給には水を飲むよりカルシウムを含んだ牛乳を飲んだ方が歯の為に良い。正解は…× 牛乳には乳糖が4.5%、母乳には6~7%含まれています。よく「水飲む位なら牛乳飲んでなさ い」という場面が思い浮かぶとおもいますが、こういう子の歯は虫歯が多いです。水分補給のために 頻繁に飲んだり、寝る前の牛乳も虫歯のリスクが高くなります。牛乳がダメではなく、飲むなら食事 の時やおやつの時のタイミングで一気に飲んでしまいましょう。 その他の虫歯の危険因子について ①唾液が少ない(お薬の影響など)②食事時間が長い(30分以上かけて食べている)③飲み込まず に口の中にためている④生活が不規則⑤食が細いのでちょこちょこ食べになっている。 まとめ ・歯磨きは大切、でも歯磨きだけでは虫歯の予防できません。 ・甘いものを食べても構いませんが小分けしてチョコチョコ食べはやめましょう。 ・体には良いと思われるものや、自然由来の物でも虫歯の原因になる物があります。 ・フッ素やサプリ、特保などに頼らず規則正しい生活と食生活を基本に虫歯予防しましょう。 ・虫歯は早期発見治療ではなく、早期発見予防し出来るだけ歯を削らないようにしましょう。 質問コーナー Q 9 ヶ月の子どもがいます。歯ブラシを口の中に入れるのを嫌がります。前歯が 4 本、下の歯が 2 本出ていますが 1 本どれくらいの時間をかけて磨いたら良いでしょうか? A 今はまだ、ガーゼで拭くくらいで大丈夫。1 才半になったぐらいから大人の言っている事が分かっ てくるので、説明しながら歯ブラシに慣れていきましょう。 Q 9 ヶ月の子どもがいます。赤ちゃん用の電動歯ブラシはどうでしょうか? A:電動ブラシだからと言って良く磨けているとは限りません。電動歯ブラシ自体を嫌がるのでは。 大人も電動の振動で磨いた気になっていても、磨けていないことがあります。 Q 11 ヶ月の子どもがいます。大人の食べた物をあげると虫歯になるでしょうか?現在、子どもの食 器は別にしています。 A 我が家では食器を別々にしていませんでしたが、3 人の子ども達は両親が虫歯の持ち主であるに も関わらず、虫歯はありません。 神経質になる必要はありません。菌は確かに悪さをしますが、無菌状態で子どもを育てることは 現実的ではありません。虫歯の原因菌はミュータンス菌や乳酸菌などです。ミュータンス菌につい てはその大部分が母親から由来していることが DNA の分析から分かっています。大事なのは、菌を 増殖させないようにする事だと思います。ダラダラ食べない、飲まないことを大切にしてください。 Q 2歳9ヶ月の子どもがいます。2才までおしゃぶりをしていたら、奥歯を噛み合わせても前歯が 閉じなくなってしまいました。 A. その状態を開口(かいこう)と言います。おしゃぶりの弱いゴムの力が長くかかることで歯が動 いたのでしょう。こうなると前歯で食べ物をかみ切ることや、唇を閉じて飲み込むことができず、 舌を前歯の裏に押し当てるように使うので、なおさら歯が前に出てしまいます。早めに歯科へ受診 してください。 Q 11ヶ月の子どもがいます。上下2本ずつ生えています。噛み合わせが反対になっていますが様 子を見ていても大丈夫でしょうか? A. 前歯しか生えていない時期はそのように見えることがあります。奥歯が生える三歳頃になると反 対咬合(はんたいこうごう:受け口)かどうかわかります。 Q 9ヶ月の子どもがいます。乳歯の時の歯並びは永久歯にどれ位影響しますか? A 顎の小さい子は、乳歯の時代にすでに隙間がないことがあります。そのため永久歯が並びきらず に歯並びが悪くなることもありますが、成長と共に顎の大きさも変わってくるので様子を見守りま しょう。 Q 9ヶ月の子どもがいます。下2本生えています。歯ブラシについて質問です。 歯固めタイプの歯ブラシと大人と同じ歯ブラシのどちらを選んだら良いでしょうか? A 歯固めタイプと歯ブラシのどちらの形でも大丈夫ですが、歯ブラシの方が歯垢はとれます。 Q 9ヶ月の子どもがいます。上下3本生えています。歯磨き粉をつけた方が良いでしょうか? A つけなくてもきれいになるので、あえて付けなくても良いと思います。きちんとすすげないと歯 磨材に含まれるフッ素やその他の配合物を必要以上に飲み込んでしまうので、きちんとうがいがで きるようになってから付けるようにしましょう。 Q 10ヶ月の子どもがいます。上下4本生えています。水分はストローで飲んでいますが、コップ 飲みをした方が良いでしょうか? A 唇の筋肉の発達や歯並びに影響するので、コップで飲む練習も大切です。ストローで飲むと奥ま で水分が届いてしまうので、口の中全体をきれいにすることができません。なるべくコップに慣れ させてあげましょう。 三人の子育てで得た教訓 人間も哺乳類の一員であることを念頭に、自然の摂理に従った子育てをしましょう。 子どもの健康管理は親子の責任。生涯健康に暮らすための基礎をつくりましょう。 歯の心配事は悩まず、まずは気軽に歯科医に相談してください。