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がんとの上手なつき合い方
がんとの上手なつき合い方 済生会 栗橋病院 外科 河野 至明 その前に…そもそもがんとは? 人間を造っている細胞の数は ①6千億個 ② 6兆個 正解は③です。 ③ 60兆個 がんは、突然変異の結果 ・毎日、私たちの体の細胞は、どこかで生まれ 変わっています。 ・がん遺伝子とがん抑制遺伝子とのバランスが くずれ、中には、不良品もあり、つもり積もっ て、がんという形で現れてきます。 ・影響を及ぼすものとしては、食品や、タバコ、 お酒、ウィルスなどがあります。 *炎症は、細胞周期を早めます。 ・予防も大切だが、早期発見がさらに重要。 日本人のがん 1年間にお亡くなりになるがんの方は? ① 3万人 ② 10万人 ③30万人 正解は③です 一生のうちにがんに罹る確率は? 男性 ① 10% ② 30% ③ 50% 正解は ③です 女性 ① 10% ② 30% ③ 50% 正解は、②です 日本人の罹りやすいがん ー男性ー 。 ー女性ー 死因となるがんの部位は? 男性 1位 2位 3位 4位 5位 肺 胃 大腸 肝臓 膵臓 女性 1位 2位 3位 4位 5位 大腸 肺 胃 肝臓 膵臓 日本人のがん死亡 z 毎年約30万人の方ががんで死亡(31%) z 今後も高齢化にともない増えていく。 z 女性は、45~50歳にピーク。 z 男性は、60~74歳にピーク。 がんの発生(胃がんの場合) 粘膜 粘膜下層 筋層 z 粘液を産生する細 胞と胃液を産生す る細胞は、粘膜に 存在。 z 下から上に向かっ て移動し、やがて は脱落していく。 胃がんの発生母地 <ピロリ菌の関与> ・1994年に国際がん研究機関によって“確実な発が ん因子”に分類。 ・日本人の場合、45歳以上の7~8割に感染あり。 ・感染によって慢性の炎症が起こり、萎縮して腸上皮 化生(ちょうじょうひかせい)と呼ばれる状態になり、 これらが胃がんの発生母地になると考えられています。 *ピロリ菌は、抗生物質と潰瘍薬 で治療(除菌)ができます。 胃がんと食品の関係 がんの発生(大腸がんの場合) 粘膜から発生し、外に向かって大きくなる。 ①ポリープから、がんになる場合と ②いきなり、がんになる場合がある。 大腸がんの症状 右側は: 貧血 しこり 左側は: ● ● ● 便秘、下痢、 血便、下血、 ● ● 便が細くなる 注腸検査 大腸内視鏡検査(カメラ) がんの転移 超音波検査 MRI検査・CT検査 大腸がんの診断 まずは、検便 。 まずは、 血液が混じっていたら (ポリープや痔でも血液が混じります) ↓ 大腸内視鏡検査(カメラ) 注腸検査 さらに、病気の状態(病期)を知るために ↓ 超音波検査、CT,MRI検査 大腸がんの病期分類 <病期(ステージ)分類> がんの深さとリンパ節や他の臓器への 転移があるかどうかで、病気の進行具合 を分類。 ● 0:粘膜の中にとどまっている 1:大腸の壁にとどまっている 2:壁の外まで拡がっている 3:リンパ節に転移がある 4:肝臓、肺や腹膜に転移がある ● ● 大腸がんの治療法 早期のもの: カメラ(内視鏡)でとれる場合があります。 進行したもの: 原則、手術となります。ステージ3以上では、 手術の後に抗がん剤治療を行うことが勧めら れています。 さらに進行したもの: 手術、抗癌剤治療、放射線治療などを組み合 わせます。 大腸内視鏡治療 ポリープ:ポリペクトミー → 表面のがん:EMR (内視鏡的粘膜切除) ↓ 外科手術 がんの部分とリンパ節を一緒にとってきます 直腸がんの手術(肛門温存) 直腸がんの手術(人工肛門) 腹腔鏡下(ふっくうきょうか)手術 ・専門的な技術が必要 ・あまり進行していない ものが対象 放射線治療 主として下部直腸がんに対して行われる ①手術前に腫瘍を小さくして切除しやすくするためと、 手術後の再発を抑えるために、抗がん剤治療(化学 療法)と同時に行う。 ②手術後の再発に対し、痛みなどの症状を緩和する ために行う。 *他に脳転移や骨転移の 症状緩和のために行う ことがある。 抗がん剤治療(化学療法) ①手術後の再発予防として(補助化学療法) 5FU+ロイコボリン ②手術できない場合の治療として FOLFOX+BV (5FU+ロイコボリン+オキザリプラチン+ベバシズマブ) FOLFIRI+BV (5FU+ロイコボリン+イリノテカン+ベバシズマブ) *他に、状態に応じてた組み合わせあり。 肝臓や肺への転移の治療 肝臓および肺への転移 ・個数がかぎられていること ・もとの大腸がんが切除されていること ・他には転移がないこと ・臓器の機能が保たれていること を条件に、切除の効果が認められている。 生活習慣病とは? z 食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲 酒等の生活習慣が、その発症・進行 に関与する疾患群 z いわゆる、循環器系、糖尿病などの 他に、がんも生活習慣病と考えられ てきている。 放置すると血管が危ない! 脳卒中 高血圧症 高脂血症 痛風 糖尿病 動脈硬化 心筋梗塞 その他の血管 (網膜、腎臓) *血管系の病気は、急性なので、注目されやすい。 がんは、慢性にくるので、おろそかに考えやすい。 がんの原因 z 1996年にハーバード大学のがん予防セン ターから発表された米国人のがん死亡の原 因では、喫煙(30%)、食事(30%)、運動不 足(5%)、飲酒(3%)の合計で全体の68% 喫煙 食事 運動不足 飲酒 その他 大腸がんにならないためには 過体重と肥満で結腸がんリスクが高くなる z 飲酒や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージ等) は、『おそらく確実』 z 野菜については、IARCのレポート(2003年)で の新しい評価で、 『おそらく確実』 z 喫煙習慣は、日本人では大腸がんリスクを上昇 させる可能性がある z 運動の結腸がん予防効果が確実 z がん予防8ヶ条 禁煙。吸わない人も煙をさけよう。 z 飲酒は適度に。1日1合。ビールで大瓶1本 z 野菜・果物を一日400g。 z 塩分は、一日10g以下。 z 定期的な運動を。一日合計で60分の徒歩。 z 体脂肪率を20~27に。 z 熱い食べ物・飲み物は控えめに z 肝炎にかかっているか調べましょう z 運動の効用 生活が規則的になる。 z 食欲が維持でき、ストレス、不眠、便秘などが 解消。 z 疲れにくく、ケガをしにくい体づくり。 z 呼吸循環器系の機能が高まる。 z 中性脂肪の消費を促進、善玉コレステロール を増やす。 z より健康的な生活を目指したくなる。 z どんな運動を? *有酸素運動(運動中も楽に呼吸ができ、筋肉に十分酸 素を 送り込める運動)を生活に取り入れる。 40/50歳代 ジョギング、サイクリング、水泳、 テニスなどから簡単な運動を選び、 徐々に強度を増す。 60歳以降 まず歩くこと。それにゲートボールや 体操など軽い運動を。 慣れたらジョギン グや水泳も。 *運動というより、ねらいは規則的な生活。 持病のある方は、必ず医師の管理のもとで行なう 休養のすすめ 無理をしない。頑張りすぎない。 z ストレスをためこまない z 休息・睡眠を十分とる z 規則ただしい生活を z 節酒・禁煙を心がける z 高齢者のための食生活指針 1 低栄養に気をつけよう (体重低下は黄信号) 2 調理の工夫で多様な食生活を (ただし食べすぎに注意) 3 副食から食べよう (おかずが大切) 4 食生活をリズムに乗せよう (ゆっくり、欠かさずに) 5 よく体を動かそう (空腹感は最高の味つけ) 6 食生活の知恵を身につけよう (健康づくりのために) 7 おいしく、楽しく、食事をとろう (豊かな心で) 健康的な長生きを目標に z 無理をしない。頑張りすぎない。 z 休息・睡眠を十分とる z 規則ただしい生活を z 適度な運動を z 節酒・禁煙を心がける z 年に一度は、健診、検診を。 年に一度は検診を! 久喜市のがん検診 対象 大腸がん 肺がん 条件 検査名 費用 40歳以上 検便 800円 40歳以上 胸部レントゲン 200円 喫煙・血痰 痰の細胞診 500円 胃がん 40歳以上 胃透視 500円 前立腺がん 50歳以上 採血(PSA) 600円 *乳がん 30歳以上 乳腺レントゲン 800円 *子宮頚がん 20歳以上 細胞診 1200円 *2年に一度 もし、がんと言われたら ひとりで悩まない。 z 治療法については、よく主治医と相談を。 z セカンドオピニオンも活用。 z 生きることの意味を考え直す機会ととらえる。 z どう対応していいかわからず、不安なときは、 がん相談外来(木曜日午後)もやっています。 z ご清聴ありがとうございました。