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原子連鎖のアンカーの存在を実験が証明(米国)【PDF:68KB】
NEDO海外レポート NO.950, 2005. 2. 23 < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート950号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/950/ 【産業技術】ナノテク 原子連鎖のアンカーの存在を実験が証明 (米国) 国立標準技術研究所(NIST)の物理学者による新しい測定によれば、自己集合した原子連鎖 の終端原子は、連鎖の結合部より低いエネルギー準位にあり、アンカーのように作用してい ることを明らかにした。原子連鎖の終端状態の形成に関するはじめての証拠は、予定した電 気的特性を持つ原子を積み重ねたワイヤーのようなナノ構造を設計することを支援するであ ろう。 サイエンス誌の 2 月 4 日号に記述された NIST の実験は、シリコン表面上で組み立てられ た短い連鎖中の金原子の電子特性を測定し比較することを行ない、連鎖の終端原子の電子エ ネルギー準位は、内部の原子より低かったことを示した。 連鎖の構造的、化学的、電子的対称性が各終端で破れ、連鎖のエネルギーを低下させるた めに原子の電子を再分配するので、この状況が発生する。原子連鎖の電子構造は、バルクの 結晶の電子構造に類似し、その表面原子は結晶内部の原子とは異なった特性を持っている。 「過去 30 年間、結晶の表面エネルギー準位に関する研究は、世界中の研究グループの重要 な研究目標であった。我々の研究は、単一原子連鎖終端の局在化状態の形成を初めて示した。 終端状態の存在は、1 次元ナノ構造に関する将来の研究に影響を及ぼすであろう」とサイエ ンス誌の筆頭著者であるジェーソン・クレインは語る。 NIST の測定は、走査型トンネル顕微鏡(STM)で行われ、またある部分はシリコン表面上 の金原子連鎖の自己集合化によって可能となった。単一原子連鎖に関する従来の STM 研究 で使用された金属表面とは異なり、シリコン表面は絶縁体として働き、研究者が容易に連鎖 を単離でき、原子の電子エネルギー準位の測定の向上を可能にした。 3∼9 個の原子で構成されている多数の連鎖の測定に、様々なレベルの電位を加えることが できる針状のチップを持つ STM が使用された。最初に、STM チップとシリコン上の金表面 の間に一定の電流を流すことにより、STM は表面形状の立体画像を作り出す。チップが試料 を横切って走査する時、一定の電流を維持するためには表面状況の変化によりチップを上下 させる。 その後、表面から一定の距離で STM チップを保持することにより、チップ電位の関数と して電流の変化を測定した。原子連鎖の電子のエネルギーおよび空間の分布を決定するため に電気伝導度測定が使用され、内部原子と終端原子との間の差が観測された。 以上、Y.M (出典:http://www.nist.gov/public_affairs/releases/atomic_anchors.htm) 43