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「金属表面における水素結合ダイナミクスの可視化と制御」 (平成25年1月
量子表面セミナー(兼 理数 GP セミナー・基盤科学セミナー) 金属表面における水素結合ダイナミクスの可視化と制御 今回のセミナーでは京都大学の奥山准教授をお招きし、金属表面に 吸着した“水”分子を直接観察し、その水素結合やプロトン移動の様 子を明らかにした内容を中心に講演して頂きます。 興味を持った方は、奮って参加下さい。 講師:奥山 弘 准教授(京都大学理学研究科) 日時:2013 年 1 月 21 日(月)14:30-16:00 場所:総研棟3階共同会議室 凝縮系における水素結合の形成、解離、組み換え、さらにそれを介したプロ トン移動のダイナミクスは、酸化還元反応、酵素触媒やプロトン伝導などのメ カニズムと強く関係しており、理論計算や分光学を中心とした研究が多く行わ れている。またヘテロ界面における水分子の水素結合ダイナミクスは、触媒反 応や氷の成長など重要な化学過程を左右する要因のひとつであるにも関わらず、 ほとんど未解明である。走査トンネル顕微鏡(STM)は先鋭な探針をプローブと して表面を「なぞる」ことにより、金属表面上に吸着した個々の分子を実空間 で観測する手法である。また、探針-分子間の相互作用を利用して分子を一つ ずつ操作することが可能である。本研究ではこれを駆使して、金属表面上に水 分子および水酸基からなる水素結合系を構築し、様々な水素結合ダイナミクス (水素結合組み換え,低障壁水素結合,プロトン移動)を観測した。核の量子 効果や振動励起とのカップリングなど、これまで分光学的に研究されてきた現 象を実空間で可視化することに成功しており、さらに S-H…S,C-H…O など 他の水素結合系への拡張を行っている。本セミナーでは主に(1)水分子2量 体におけるトンネル交換反応[1]と(2)水酸基列に沿った水素原子のリレー 反応[2]、の研究について紹介する。 [1] Phys. Rev. Lett. 100, 166101 (2008). [2] Nature Mater. 11, 167 (2012). 問い合わせ:横山崇(内線2160)