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『五色の瀧』の物語 “HIGAMAI WALKER” ⑨

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『五色の瀧』の物語 “HIGAMAI WALKER” ⑨
2014/7/1 (7月号)
神戸市立東舞子小学校
平成 26 年度学校だより
http://www.kobe-c.ed.jp/hmi-es
『五色の瀧』の物語 “HIGAMAI WALKER” ⑨
もう一ヶ月近く前のことになりますが、ある高学年の女の子が、素敵な!「質問」を持って、校
長室を訪れました。
「校長先生に尋ねたいことがあるんです。私のお母さんはヒガマイの出身で、小学校に通ってい
た頃、ちょうど玄関にある『五色の瀧』ができたんだそうです。完成したときに、その時の校長先
生が、
『五色には、それぞれ意味がある』と言われて、五つの意味をお話されたんだけど、とって
もいいお話だったことは覚えているのに、肝心の中身を忘れてしまったと言っています。校長先生
なら知っているかもしれないので教えてください。
」というものでした。
校門をくぐると、すぐ目の前にある学校の滝の名前の由来についての質問でした。なんとなく、
『五色の瀧』の五色は五色塚古墳から来ているのかなぐらいにしか思っていなかった私は、ちょっ
とびっくりして、その時は「調べてみるね。
」と言うのが精一杯でした。
まずは、永年保存となっている学校の沿革史から、いつごろできたものかを調べました。すると、
昭和61年に『五色の瀧』の完成式が行われたことの記載がありましたが、それ以上のことは分か
りません。次に調べたのは、学校日誌という教頭先生が書く日記のようなものですが、そこにも詳
しい記録は残っていませんでした。その他、10年ごとに発行する記念誌や学校の記録を調べたの
ですが、どこにも残っていませんでした。いろいろな会合で出会う本校の卒業生の PTA の役員さ
んや地域の方々にもお尋ねしましたが、知っておられる方はありませんでした。
こうなったら、当時本校に勤務していた先生に聞くしかないと思ったわけですが、お話をされた
本人の喜多校長先生は、昨年末に他界されています。そこで、古い職員録を引っ張り出してきて、
知っている名前がないか調べました。その中に、私が知っているお2人の名前を見つけました。お
一人は私よりいくつか先輩の竹中正二先生です。お電話であらましを伝え、何かご存じないかを確
かめますと、
「確かに、校長先生が何かお話されていたのは覚えているけど、中身は忘れたなあ。」
ということでしたが、
「もともと、滝が落ちて流れるところには五色の石が敷かれていたんだよ。」
ということを教えていただきました。
「確か青い石には・・・の意味、赤い石には・・・というよ
うなことを校長先生が言っていたなあ。
」ということでした。二人目に電話したのは、田中稔先生
というさらに先輩の先生です。
「そんな話あったなあ。〇〇の心・・とか、お話しておられたよう
な。でも覚えてないなあ。
」ということで、万事休す!あきらめるしかないかと思っていますと、
田中先生から折り返しお電話をいただきました。
「卒業アルバムに写真が出ていて、ちょっと思い
出したんだけど、素直な心とか謙虚な心とか言っておられたように思うよ。
」と教えていただきま
した。当時の卒業アルバムという重大なヒントをもらいましたが、校長室に残されているアルバム
や写真は既に探索済みで、昭和61年の物は見当たりませんでした。というようなことを青柳教頭
先生にお話しをしていますと、教頭先生が忙しい時間の合間を縫って、何と奥深い倉庫から見事に
当時の卒業アルバムを探し出してきてくれました。大喜びで、早速アルバムを開きました。確かに
除幕式のような写真があり、「心」と書かれた垂れ幕のようなものは写ってはいますが、それだけ
では校長先生のお話まで分かりません。また、ここで行き詰ってしまいました。
しかし、ここで大きな展開が!!それは・・・・?
教頭先生が、何気なく卒業アルバムと一緒になって綴じられている卒業文集に目を通しておられ
ると、その巻頭言に喜多校長先生の言葉があるのを発見しました。それを、読み進めていきますと、
次のような一言に行き着きました。
「考えるところがあって卒業生の諸君には、日常五心の戒めのことばを覚えさせました。このこと
ばは日本に古来からある格言の一つです。やさしいことですので、どうかこれからも毎日座右に留
めて守って下さい。皆さんの子供や孫たちにも口伝えに教え守らせて下さい。」
ついに、光が射し込みました。間違いなく、この『日常五心』を、喜多校長先生は五色の石にな
ぞらえて、大切にしてほしいという想いを込め『五色の瀧』と命名されたのでしょう。
辿り着いた、ヒガマイの先人の想いは、次のようなものです。
日常の五心
一、 「はい」という素直な心
一、
一、
一、
一、
「すみません」という反省の心
「おかげさま」という謙虚な心
「私がします」という奉仕の心
「ありがとう」という感謝の心
一ヶ月あまりの間、ヒガマイの卒業生や地域の方々などにも、このことをいろいろお尋ねするこ
とがありましたが、皆さん、眼を輝かせて「おらが学校」という想いで真剣に受け止め、いろいろ
アイデアをくださったり、
「私も調べます。
」とおっしゃってくださったりしました。ヒガマイに勤
める校長として、それが本当に嬉しく、ありがたいと思いました。このような素敵で!素晴らしい!
「質問」を校長室に持ってきてくれた在校
生とそのお母さんに心からお礼を言いたい
と思います。今は亡き大先輩、第6代喜多
校長先生の熱い想いも感じることができま
した。忘れかけていた『日常の五心』、今一
度大切に伝えていきたい『ヒガマイの心』
です。
校長 小野 晃弘
1987年(昭和61年)の卒業アルバムより
現在の『五色の滝』
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