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外国商標ニュース 2011-07
外国商標ニュース 2011-07 イタリア―異議申立可能にi イタリアでは、これまで、異議申立制度を機能させる準備段階での技術的課題(特に、出願の電 子公告の未整備)があったため、異議申立てができませんでした。ついに、この課題が解決し、今 月1日から公報が発行されることになり、異議申立てが可能となりました。なお、公報は、オンラ インでのみ発行されており、イタリア特許商標庁のウェブサイト(www.uibm.gov.it)で閲覧可能 ですii。公告及び異議申立の対象となるのは、2011 年 5 月1日以降のイタリア出願、及び、2011 年 7 月以降の WIPO 公報で公告されるイタリアを指定国とする国際登録です。 イタリアにおける異議申立制度の概要は以下のとおりです。 異議申立期間 公告日から3月。なお、イタリアを指定国とする国際登録については、WIPO 公報での公告の翌 月1日から3月。 異議申立人適格 異議申立をできるのは以下の者です。 (1) 先登録のイタリア商標登録又は CTM 登録、もしくは、イタリア又は EU を指定した国際出 願商標又は国際登録商標の所有者又は排他的ライセンシー (2) 異議申立対象商標が、人の肖像からなる商標である場合には、その肖像権を有する者 (3) 異議申立対象商標の使用が、人名について権利を有する者の名声、評判又は尊厳を害しうる ものである場合には、その人名の所有者 (4) 芸術、文学、科学、政治又はスポーツの分野において、広く知られた人名又は署名、もしく は、博覧会、展示会。イベント又は非営利団体の名称及びその略称、並びに、その徽章又は 記章の所有者。 異議申立理由 異議申立理由となりうるのは、以下のものです。 (1) 異議申立対象商標と同一の先行登録又は出願商標であって、指定商品・役務が同一である商 標(すなわち、商標及び指定商品・役務の双方が同一である場合) (2) 異議申立対象商標と同一の先行登録又は出願商標であって、指定商品・役務が類似である商 標、若しくは、異議申立対象商標と類似の先行登録又は出願商標であって、指定商品・役務が 同一又は類似の商標。ただし、公衆において混同のおそれがあることが条件となる。(すなわ ち、類似範囲にある先行商標であって、混同のおそれがある場合) (3) 異議申立対象商標が肖像を含むものである場合には、その肖像権 (4) 異議申立対象商標が人名について権利を有する者の名声、評判又は尊厳を害しうるものであ る場合には、その人名 (5) 芸術、文学、科学、政治又はスポーツの分野において、広く知られた人名又は署名、もしく は、博覧会、展示会。イベント又は非営利団体の名称及びその略称、並びに、その徽章又は 記章 なお、異議申立対象商標の指定商品・役務と非類似の商品・役務についての出願又は登録商標、 ドメインネーム、商号、未登録商標を根拠として異議申立をすることはできません。これらを根拠 とする場合には、裁判手続きで争う必要があります。また、丌正競争を理由とする場合にも、裁判 手続きで争うことになります。 異議申立手続き CTM に対する異議申立の場合と同様に、イタリアでも、異議申立後2か月間がクーリングオフ 期間となっています。このクーリングオフ期間は、両当事者の申請を条件に、最長1年まで延長可 能です。 異議申立人と異議申立対象商標の出願人は、クーリングオフ期間に交渉することができ、交渉が 成立すれば、異議申立を取り下げることになります。他方、交渉が決裂した場合には、異議申立手 続きが開始され、両当事者は、互いに主張立証を行い、異議決定がされることになります。 証拠の提出は、異議申立時でも、クーリングオフ期間満了後でも可能ですが、異議申立の理由は、 異議申立期間内に、異議申立書に記載して提出する必要があり、クーリングオフ期間満了後に提出 することはできません。 異議申立で引用された商標が登録から5年を経過しているものである場合、異議申立を受けた出 願人は、その引用商標の使用証拠の提出を求めることができます。 なお、異議決定は、申立日から 24 か月以内になされることになっており、異議決定に対しては、 上訴委員会(Commissione dei Ricorsi)への丌服申立が可能です。 アドバイス イタリアでは、我が国とは異なり、CTM や他の EU 各国での商標出願の審査と同様に、相対的 拒絶理由について、審査官は職権で審査しません。そのため、イタリアでは、出願商標が自他商品 識別力を備えているなど、絶対的拒絶理由がなければ、出願は公告され、先行商標との抵触につい 2 ては、異議申立を待って審査されることになります。 したがって、CTM や他の EU 各国の場合と同様に、イタリアで商標出願や登録をしていても、 抵触する後願商標が登録されてしまうおそれがありますので、後願商標をウォッチングして、異議 申立等をする必要がある点に注意が必要です。 なお、上記のとおり、登録から5年が経過した登録商標を根拠として異議申立をしても、出願人 から使用証拠の提出を求められる可能性があり、5年以上丌使用の登録商標に基づく異議申立の成 立は困難といえます。 i ii 本情報は、複数のイタリア代理人事務所からの情報に基づいて提供するものです。 ただし、同庁のサイトはイタリア語のみで、英文サイトはありません。 3