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橋脚の杭長調査事例

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橋脚の杭長調査事例
全地連「技術フォーラム2012」新潟
【97】
橋脚の杭長調査事例
中央開発㈱
1. はじめに
末宗
克浩
2. 調査方法
本報告は,基礎杭の詳細位置・深度が不明な橋および
それぞれの構造物の調査位置,調査フローおよび調査
ボックスカルバート(以下 BOX-C)において,検層や探
概要を図-1~6に示す。
査により杭長深度を調査したものである。
(1) S川・橋台基礎杭調査
当該地では,S川およびK川の下部を通過するシールド
S川の橋台基礎杭調査位置は,道路アスファルト上に
工事が計画されており,S川には杭長の不明なS橋が,
あるひび割れを橋台背面の圧密沈下により発生したもの
K川には杭詳細設置位置および杭長の不明な BOX-C が
と推定し,
このひび割れをフーチング位置の境界として,
施工されている。シールド線形設計のためには,これら
この前後でフーチング位置確認(GL-5.0m)および検層
の杭長情報が必要であった。そこで本調査ではS川に架
用孔作成(GL-30.0m)のボーリングを実施した。ボーリ
かるS橋については,ボーリングおよび磁気検層・速度
ング後に,ボーリング孔に保護菅を挿入し,磁気検層,
検層・ボアホールレーダーを実施した。K川の BOX-C
速度検層,ボアホールレーダーを実施した。なお,ボア
については,基礎杭の平面位置が不明であり,また河川
ホールレーダーの適用範囲は1.0m以内,磁気検層・速度
管理者からの要望と調査工程の兼ね合いから,BOX-C
検層の適用範囲は1.5m以内である。
直近でのボーリングが困難であったため,BOX-C の上部
(2) K川・BOX-C 基礎杭調査
および内部の地点においてオーリス(非破壊探査システ
ム)を実施した。
K川の BOX-C 基礎杭調査は,基礎杭があると想定さ
れる BOX-C 端部4地点(No.1,3,4,6)と,杭の有無
なお,オーリスの探査原理は衝撃弾性波法と言われる
が判断出来ない端部から2m 中央部寄りの1地点(No.5)
方法で高感度センサーとハンドハンマーを用いて探査対
および端部付近 BOX-C 内部の排水溝1地点(No.2)にお
象物を打撃してセンサーで受信される波形を解析して評
いて,オーリスを実施した。
価するものである。
自走式打撃ボーリングマシン
① ボーリング(GL-5.0m)
(フーチング位置の確認および速度検層起振用孔の作成
このときVP50程度の保護菅を挿入)
フーチング位置確認および
速度検層起振用孔
(保護菅挿入)
② ボーリングマシンの移動
(フーチング横直近位置へ地点移動)
③ ボーリング(GL-30.0m)
保護菅設置(VP-65塩ビ菅)
検層等実施孔
(保護菅挿入)
④ 磁気検層・速度検層・ボアホールレーダー
⑤ 保護管抜管作業
⑥ 孔内復旧・地表面復旧
図-1 S川調査位置図
図-2 S川調査位置図
図-3 S川調査概要図
① 調査機器の運搬
受信センサー
計測・記録装置
起振用ハンマー
② 調査測点位置の確認設置
③ 調査面の整形研磨
④ 受信センサーの設置
測
点
移
動
BOX-C
⑤ 周波数ハンマー選定等の予備調査
⑥ 本調査の実施(データの記録保管)
BOX-C内部
排水溝位置
⑦ 調査機器の撤去
⑧ 作業終了確認
図-4 K川調査位置図
図-5 K川調査位置図
図-6 K川調査概要図
PC杭
全地連「技術フォーラム2012」新潟
調査地点6地点のうち5地点(No.1,2,3,4,6)につ
3. 調査結果
(1) S川・橋台基礎杭調査
いては,杭端推定深度 GL-12.3~-14.2m を示した。特に
図-7に調査結果総合図を示す。
BOX-C の4隅の調査地点のうち3箇所における推定深度
磁気検層は差動波形を見ると,GL-20.0m以深にピーク
が GL-13.3~-13.5m とほぼ同一であることから,この深
が確認されないため,GL-20.0mが杭下端付近と考えられ
度付近に杭端があるものと考えられる。No.2,3について
る。なお,GL-5.5mにみられる反応は,速度検層の起振
はややバラツキがみられ,これは杭の直上からやや離れ
に用いたボーリングロッドによるものと考えられる。
た位置で探査しているためと推定される。No.5地点につ
速 度 検 層 は GL-19.2m 付 近 ま で が 5880m/s , 以 深 が
2600m/sを示し,GL-19.2m付近で変曲点が確認された。
いては推定深度 GL-3.4m と BOX-C の底面深度に近似し
た値を示し,
調査地点直下に基礎杭がないと推定される。
ボアホールレーダーは,上記の想定深度付近に明瞭な
構造物からの反射は確認されなかった。これは,杭位置
と探査位置の距離が離れている(1.0m以上)ためである
と推定される。
4. 考察
S川においては,沖積第1砂質土および沖積粘性土の軟
弱な地盤がGL-19.5m付近まであり,以深は沖積第2砂質
磁気検層および速度検層結果においては,ほぼ同じ深
度で杭端と考えられる調査結果が得られた。
土,洪積粘性土層が確認されている。K川においても,
既存の近傍地点の調査結果からGL-13.0mから洪積砂礫
(2) K川・BOX-C 基礎杭調査
層があると推定されている。よって,調査により推定さ
表-1にオーリス測定結果一覧を,図-8にオーリスで得
れた杭端の深度は,密実な砂・砂礫層の分布深度と一致
られた波形の代表図を示す。図-8の横軸は時間(ms),縦
していることから,これらの層を杭の支持層として施工
軸は受信信号の強弱を示す電圧(mV)である。
されたものと判断される。
深度
(m)
ボアホールレーダー
速度検層
(ms)
磁気強度
(μT)
断面図
0
1
2
起振孔ロッドの反射
GL-5.5m
起振孔のロッド端
とみられる反応
3
4
5
6
7
8
9
10
11
フーチングの反射
12
13
14
15
16
17
18
19
20
明
瞭
な
構
造
物
か
ら
の
反
射
な
し
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
P波 5580m/s
GL-19.2m
変曲点
GL-20.0m
杭端とみられる反応
P波 2600m/s
ピークがみられない
図-7 S 川・橋台基礎杭調査結果総合図
表-1 オーリス測定結果一覧
測点地点
平均伝達時間 BOX部弾性波速度 PC杭部弾性波速度
T [ms]
Vp1[km/s]
Vp2[km/s]
No.1
推定深度 H=H1+H2
H=(t1×Vp1+t2×Vp2)/2 [m]
ボックス長
H1 [m]
No.5
PC杭長
H2 [m]
No.1
6.160
4.693
4.200
13.31
3.60
9.71
No.2
5.760
4.693
4.200
12.32
2.18
10.15
No.3
6.573
4.693
4.200
14.18
3.60
10.58
No.4
6.173
4.693
4.200
13.34
3.60
9.74
No.5
1.460
4.693
4.200
3.43
3.43
-
No.6
6.247
4.693
4.200
13.50
3.60
9.90
杭端からの反射とみられる波形
time△:6.180ms
BOX-C底面からの反射とみられる波形
time△:1.440ms
図-8 オーリス波形代表図
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