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Title 鉄筋腐食可視化モデルの開発( 内容と審査の要旨(Summary

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Title 鉄筋腐食可視化モデルの開発( 内容と審査の要旨(Summary
Title
鉄筋腐食可視化モデルの開発( 内容と審査の要旨(Summary)
)
Author(s)
中澤, 里
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 工博甲第486号
Issue Date
2016-03-25
Type
博士論文
Version
ETD
URL
http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/54545
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
別紙様式別紙様式第16号(論文内容の要旨および論文審査の結果の要旨)
氏名(本 籍)
中澤
学 位 の 種 類
博
学位授与 番号
甲第486号
学位授与 日付
平成28年3月25日
専
生産開発システム工学専攻
攻
里 (高知県)
士(工学)
学位論文 題目
鉄筋腐食可視化モデルの開発 (Development of visualization model of
rebar corrosion using aqueous gel)
(主 査)教授 小林 孝一
学位論文審査委員
(副 査)教授 内田 裕市
教授 六郷 恵哲
論文内容の要旨
鋼は容易に酸化反応を起こし,腐食の生じやすい材料であるが,鉄筋コンクリート中の鉄筋はコン
クリートに保護され,健全な状態を保つことができ,適切に設計,施工された場合には,鉄筋コンク
リート構造物は極めて優れた耐久性を有する。
一方,塩分の作用やコンクリートの炭酸化反応などによって鉄筋の腐食が生じた場合,劣化の機構
を正しく踏まえずに場当たり的な対策を講じると,再劣化が生じる危険性が高くなる。鋼構造物の場
合と異なり,コンクリート中の鋼材はかぶりによって不可視状態にあるため,劣化の状況を正確に把
握することが困難である。
このような状況を踏まえ,著者は鉄筋腐食可視化モデルを開発した。この可視化モデルは透明な水
性ゲルによってコンクリートを模したものである。鉄筋の様子や腐食過程の経時変化を目視により観
察することが可能となり,水性ゲルに BTB 溶液等の指示薬を含有させれば,色の変化により鉄筋腐
食の進展状況を把握することができるため,様々な腐食の形態を再現した上で,それらを直接観察す
ることを可能としている。そのため,通常はかぶりコンクリート下にあって観察不可能な鉄筋の腐食
過程を詳細に調査することを可能としており,また腐食過程を視覚的に理解することが容易であり,
コンクリート構造物の維持管理に関する教育を学生等に実施する上で,その教育上の効果も非常に高
い。
本研究では,この可視化モデルを用いて様々な形態の鉄筋腐食を再現した。また,目視による観察,
ゲルの pH 測定,および自然電位法による非破壊的な腐食測定を並行して実施することによって,上
記のようなマクロセル腐食が生じている場合の鉄筋の自然電位の分布と実際の腐食状況の対応につい
て調査を行い,下記のことを明らかにしている。
(1)可視化モデルは,コンクリート中の鉄筋の腐食挙動を再現することができることから,鉄筋の
腐食に関する学生等の理解を高めるための教材として有用なことを確認した。
(2)鉄筋の端部をアノードとするマクロセル腐食の発生が再現でき,また端部を保護することによ
り,鉄筋の腐食を抑制できた。
(3)腐食の度合が大きくなるにつれ,自然電位に及ぼす影響範囲が広がることを確認した。
(4)可視化モデルにおいて,鉄筋の曲げ加工部に激しい腐食が生じることを確認した。
(5)可視化モデルに自然電位法と pH 測定を併用することで,鉄筋環境を詳細に把握できた。また,
分極抵抗法の適用も可能であることを確認した。
(6)ゲル中の塩分濃度と腐食程度の間には,低濃度の場合のみ正の相関関係が生じた。塩分濃度が
2%を超えると,腐食程度は収束した。
(7)ゲルとモルタルを積層して作製した供試体では,ゲル側ならびにモルタル側から測定した自然
電位は同程度の値を示し,いずれも塩分添加による影響が生じた。
(8)防錆剤には,凍結防止剤により発生する塩害を抑制する効果があることを確認した。
開発した可視化モデルは,鉄筋腐食の進行をビジュアル的に体感することが可能である。また,こ
1
れまで研究者や技術者が経験的に得てきた鉄筋腐食に関する定性的な傾向を比較的短時間で再現する
ことができるため,教育ツールとしての有効性が極めて高いと考えられる。
論文審査結果の要旨
鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋の腐食は,構造物の主たる劣化原因の一つであるが,腐食の進展
状況を構造物の外から把握することは難しい。この論文では,コンクリートを模した透明な水性ゲル
を用い,BTB 溶液等の指示薬を含有させて色を変化させるなどして,鉄筋の腐食過程の経時変化を
目視により観察することができる可視化モデルを開発している。この可視化モデルを用いて,さまざ
まな条件下における鉄筋の腐食過程を再現するとともに,マクロセル腐食が生じている鉄筋の自然電
位の分布と実際の腐食状況とを対応させるなどして現象の解明に役立てている。この可視化モデルは,
鉄筋腐食に関する定性的な傾向を比較的短時間に再現できるため,教育用ツールとしても有用性が高
い。このように,この論文は,新規性,有用性の点で優れている。したがって,学位審査委員会は,
審査の結果,この論文を学位論文に値するものと判定した。
最終試験結果の要旨
学位審査委員会は,提出された論文の主要部分が,下記に示す 3 編の審査付き論文として既に発表
済みであることを確認するとともに,平成 28 年 1 月 28 日に開催された学位論文公聴会における質疑
応答と口頭試問などに基づいて審査を行い,最終試験に合格と判定した。
発表論文(論文名,著者,掲載誌名,巻号,ページ)
1. 中澤里,岩瀬裕之,小林孝一,六郷恵哲:鉄筋腐食の可視化教材の開発,論文集 高専教育,第 35 号,pp.323-328,
2012.
2. 中澤里,岩瀬裕之,小林孝一,六郷恵哲:鉄筋腐食可視化教材による鉄筋の腐食評価,論文集,高専教育,
第 36 号,pp. 303-308,2013.
3. 中澤里,岩瀬裕之,小林孝一,六郷恵哲:鉄筋腐食の可視化教材の開発とそれを活用した検討事例,土木学
会論文集 H, Vol.70, No.1, pp.44-53, 2014.
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