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Title 常民仏教と祖先信仰( Abstract_要旨 ) Author(s) 竹田, 聴州

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Title 常民仏教と祖先信仰( Abstract_要旨 ) Author(s) 竹田, 聴州
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常民仏教と祖先信仰( Abstract_要旨 )
竹田, 聴州
Kyoto University (京都大学)
1971-05-24
http://hdl.handle.net/2433/213634
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
竹
たけ
田
だ
聴
ち ょう
州)
しゅ う
博
士
学 位 の 種 類
文
学 位 記 番 号
論
学位授与 の 日付
昭 和 46 年 5 月 24 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位論文題目
常 民仏 教 と祖 先 信 仰
論 文 調 査 委員
教 授 赤 松 俊 秀
学
文
博
第 65 号
(主 査)
論
文
内
教 授 岸
容
の
要
俊 男
教 授 武 内義 範
旨
この論文 は, 序章 「研究 の視角 と方法」, 前編 「寺伝か ら見 た民間 く浄土宗) 寺院 の一般的成立」, 後編
7
章, 後編は1
7
章 に小別 され るほ
「村 におけ る墓 と寺 との史的成立関係」 よ り成 ってい る。 前編はさらに2
か, 結章 として 「民間寺院成立 の意義 と基本類型一持庵 と惣堂- 」 の一章が附せ られ, 付表 ・付図 ・付注 ・
付論が別巻 として添付 されている。
序章は, 著者 の立場 を明 らかにした ものであ るが, 第 3節 「常民 の概念 と史上 の時代」 がその中核 をな
している。 常民は 日本民俗学が設定 した学術用語であ って, 階級 を示す概念ではな く, 庶民 とは同意語で
はない。 一般 の歴史学が研究対象 とす る事実は非常 を契機 とす る もの が 多いのに対 して, 民俗学は恒常
性 ・ 凡常性 を もって特色づけられ る民間伝承 を独 自の研究対象 とす る。 常民はその意味で民俗学 の研究対
象 となるものであ る。
著者 は前記 の視角 に立 って, 元禄時代 に浄土宗全国寺院が録進 した各寺 の由緒書 を素材 として,
「寺院
開創檀越」 「開山僧 の生態」 「非宗 旨的諸契機」 に大別 して, 前編主題 の民間寺院の一般的成立 の傾向を
具体的に明 らかにす る。 素材の由緒書の大半は,
「蓮門精舎旧詞」 の名の もとに既 に公刊 されてお り, 所
0
0
8
寺 の うち現存す るもの4
4
1
7
寺。 ほかに未刊の分 3
0
7寺 を加えると, 6
3
1
5
寺 の由緒 を明らかにす
収寺院6
ることがで きる。 著者は, その一 々の寺院について, その由緒 を前記 の要項 に従 って分析 した結果, 次 の
事実 を確認 した。
(1) 民間寺院は, それに先 きだつ ものがな く全 く新 し く寺院が開創 された以外 に, 既存の堂庵 ・ 廃寺 など
を受け継 ぎ, それを拠点 として, 旧跡 の復興 ・ 再生 とい う形 で成立 した ものが多い こと (第 2章寺伝 にお
2
)近世 ・ 近代 に存続 した寺院の大半 は, 戦国時代末か ら江戸時代初頭の 1世紀
け る寺院の開創 と中興),(
0
年間に集中的に見 られ ること (第 3章寺院開創事例の
半 に成立 し, ことにその後半の天正~寛永のや く7
地域分布 と年代分布), (3) 寺院開創動機 は, 開創檀越 の身分 その他 によらず有縁 のための広義 の菩提寺 と
-8章寺院開創動機, 第 9-1
0章寺院の成立年代),(
4
)これ
す ることであ った場合が最 も多い こと (第 6
- 7-
ら民間寺院開山僧の多 くは浄土宗正規 の僧であ るが, 非正規 の僧を開山 とす る寺院 も少 な くない こと (罪
1
1
章開山 としての非正規僧),(
5
)非正規僧 の開山寺院では開創檀越が明らかでない ことが多 く惣村が開創
2
章寺院の前身 としての堂庵 の創興)
,(
6
)中世の民間布教 に
した所伝 を持つ ものが多数 を占めること (第 1
大 きな足跡 を印した回国遊行 ・ 苦修練行 の聖が- 処 に止任 して開山 となった事例が中世末期 に東国 ・ 西国
4
章 ヒジ リ的生態 とその脱化 ・ 定住), (7) 中世 の民間寺院は宗 旨が固
の双方 にわた って見 られ ること (第 1
定 しない ことが多か ったが, 寺院が宗 旨的に固定す るのは, 近世法度体制以前 におけ る寺院の局地的 ・ 自
然発生的本末関係 と密接 に関連す ると認 められ ること (第19章前代異宗性の後代的遺悌), (8) 民間寺院の
成立は既存 の非宗 旨的 ・ 前仏教的民俗信仰 の媒介 によって地縁社会 に具体化 し, その媒介要素は後世 まで
0
章神仏習合), (9) 墓碑 としての石碑建立が一般化す る以前 は, 寺 自体が詣墓
長 ら く保存 されたこと (第2
3
章墓 と寺 との癒着), (10) 元禄当時, 寺内紀年石碑 の古い事例は中世末期
の一般的形態 であ ったこと (第2
6
章墓 と寺 との癒着)。
をさかのぼ らない こと (第2
蓮門精舎旧詞 の記事分析 によって確認 された上記事実 をもとに, 著者は後編 において村 における墓 と寺
との史的成立関係を, 奈良県山辺郡都介野村大字来迎寺, 同村大字吐山, 京都府北桑 田郡山国村大字中辻
に現在見 られ る事実 に基づいて丹念 に究明す る。 結章は前後両編 の総括 に当た り, 侍 など村内有力な個人
の外護 によって開創 された寺院は多 く氏寺 ・ 持庵 の形 を持つのに対 して, 庶民 な ど多数 の合力によるもの
は村惣堂であるものが多い ことを明 らかにす る。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
日本民俗信仰 の主要 な特質 を構成す る祖先信仰 の実態 を究明す ることは, 民俗学 の重要 な研究課題 の一
つ となってい る。 しか しその究明が容易でないのは, 現在見 られ る祖先信仰が超宗派的に仏教信仰 に癒着
しているためであ って, 祖先信仰 として も仏教信仰 として も他 に比類 を見 ない複雑 な内容 を持 っているか
らであ る。 従来の通説 では, 両者 の癒着は江戸幕府が強行 した宗教政策の所産 と解す る傾向が強いが, 著
者 は両者 の癒着が現在で も存続す ることか ら通説 に疑問を持 ち, 江戸幕府 の当時, 幕府 と親 しい関係にあ
った浄土宗 の寺院 6千有余寺について, 開剣 の檀越 ・ 僧侶 ・ 由緒等 を克 明に究明し, 両者 の癒着は, 江戸
幕府 の成立 と直接 に関係がな く, 中世後期か ら近世初頭 にかけて徐 々に進展 した事実 を明確 にした。 従莱
も墓制 の変遷, 集落の発展過程 をよ りどころとす る研究は見 られたが, 挙証が普遍的でなか った り民俗事
象 に対す る理解が十分 でなか った りしたために, その所論 は明確 を欠 くことが多か った。 著者 は, 由緒書
な どの文献資料 に対 して, 民間伝承 を分析す ると基本的に同一の方法 を導入 して, 上記 の事実 を明確 にし
た ことは, その功績 として長 く銘記せ らるべ きものと信ず る。 ただ情 まれ るのは, あま りにも多 くの事例
を解明したために, 類型分別が過多にな った傾向があ り, 事態発展 の理解がそのためにやや困難になって
い ることである。 今後の精進 によってその難点を除去す ることを期待 したい。
よって, 本論文は文学博士 の学位論文 として価値あるものと認め る。
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