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膝関節外来・膝外来について

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膝関節外来・膝外来について
府中恵仁会病院整形外科
府中恵仁会病院整形外科
スポーツ外傷から変性疾患まで幅広く対応しております
前十字靭帯断裂⇒
・骨付き膝蓋腱(BTB
前十字靭帯断裂⇒屈筋腱2重束(ST
屈筋腱2重束(STST-DB)
DB)
・骨付き膝蓋腱(BTB)術
BTB)術
外側側副靱帯・後外側支持機構損傷⇒:屈筋腱再建術
変形性膝関節症⇒:高位脛骨骨切り術(
,人工関節置換術(TKA
変形性膝関節症⇒:高位脛骨骨切り術(HTO
⇒:高位脛骨骨切り術(HTO)
HTO)
,人工関節置換術(TKA)
TKA)
大腿骨内顆骨壊死⇒片側人工膝関節置換術(UKA
大腿骨内顆骨壊死⇒片側人工膝関節置換術(UKA)
UKA)
前十字靭帯断裂
Q:前十字靭帯はどんな役割をはたしているのですか?
A:前十字靭帯(anterior
:前十字靭帯(anterior cruciate ligament
ligament=
igament=前十字靭帯)
前十字靭帯)は膝関節の中心にあり,大腿四頭筋が
働き膝を伸ばす時に脛骨が異常に前方移動しないようにしている安定装置です.これが断裂すると,
脛骨が異常に前方移動し,半月板の後方が損傷します.
KT-2000 Arthrometer
Q:前十字靭帯断裂を治療しないままにして良いのでしょうか?
A:膝崩れを繰り返していると,半月板や軟骨損傷が生じ,いずれ変形性膝関節症に至ります.
Q:手術の時期は何時ごろがいいのでしょうか?
A:受傷直後の腫れが強く,膝の曲げ伸ばしが回復していない 2 週間以内に手術をすると炎症の為に
癒着が生じて曲がらない膝になる事が有ります.数週間後に腫脹が軽減し,正座と完全伸展可能,筋
力が健側の 90%になってから手術する場合が一般的です.
Q:入院期間はどの程度ですか?
A:手術の前日に入院し,術後の感染徴候がなければ 1 週間で退院可能です.
Q:麻酔方法は?
A:全身麻酔に腰椎硬膜外持続麻酔を組み合わせ,術後数日間の疼痛緩和をしています.
Q:手術はどのようにするのですか?
A:断裂した靭帯を縫合しても裂けてしまうので縫合はされていません.脛骨側と大腿骨側の前十字
靭帯付着部の間に,自分の体の組織を移植(自家移植)します.症例に合わせて骨付き膝蓋腱(BTB)
か膝屈筋腱をもちいた 2 重束再建を使い分けています.
当院:屈筋腱による再建術後
当院:屈筋腱による再建術後
大腿骨骨孔
脛骨骨孔
当院:BTB 術後
当院:BTB 術後
大腿骨骨孔
脛骨骨孔
3 次元 CT による移植腱描出
当院 BTB 術後
当院術後側面
Q:手術の傷跡はどの程度の大きさですか?
A:関節鏡のための 5 ㎜の傷が膝蓋腱の外側に 1 か所,内側に 2 か所の計 3 か所.移植腱が屈筋腱の
場合は移植腱採取と骨孔作成のため脛骨粗面の内側に約 3 ㎝の傷が生じます.骨付き膝蓋腱の場合
は膝蓋腱の中枢端と末梢端に各々約 3 ㎝横皮切が生じます.
Q:手術の費用はどの程度かかりますか?
A:術後 3 か月間使用する装具(約 10 万円)3 割負担で 3 万円,入院・手術料が約 100 万円,3 割
負担で 30 万円,更に高額医療申請で値引きがあります.自己負担額は約 30 万円程度です.
Q:リハビリはどの程度の期間と頻度がかかりますか?
A:術後 1 週間は手術側の下肢に体重をかけられません.入院中は機械で膝屈伸の訓練を行います.
退院後は基本的に自主訓練で関節可動域の拡大と筋力強化を行います.3 ヵ月からジョギング,8~9
ヵ月でスポーツ復帰可能です.
リハビリ:手術後早期には主に膝の屈伸と静的筋力訓練から開始し,徐々に荷重や動的筋力訓練,バ
リハビリ
ランスや応用動作,耐久性や俊敏な動作へと進んでいきます.スポーツ復帰は片足ジャンプの着地で
バランスを崩さない事や,患側の筋力が健側の 90%以上に回復していることが条件です.
膝筋力測定及び訓練装置
リハビリ室
症例:24 歳男性,術後 9 か月で
ラグビー試合に復帰
症例数:1 年間で約 30 症例
変形性膝関節症 :
手術方法:大きく分けて
3 つの手術方法があります
手術方法
1. 比較的年齢が若く(40 から 60 代)
,内側のみの変形→高位脛骨骨切り術
高位脛骨骨切り術
2. 65 歳以上で内側のみの変形→片側人工関節置換術
片側人工関節置換術
3. 65 歳以上で内・外側や膝蓋骨に軟骨の摩耗をきたしている場合→人工膝関節全置換術
人工膝関節全置換術
1. 高位脛骨骨切り術 (HTO: high tibial osteotomy)
:内側型の変形性膝関節症には脛骨近位で骨切りして O 脚を軽度の軽度 X 脚に矯正してチタン製の
金属とボルトで固定します.手術翌日より歩行開始です.入院期間:1~2 週間
術後
術前
症例:59 歳男性
2. 片側人工膝関節置換術(
片側人工膝関節置換術 (UKA:
UKA:unicompartmental knee arthroplasty)
適応:内側型変形性膝関節症や大腿骨内顆骨壊死
術前検査:TKA と同様に全身の検査や骨粗鬆症の検査と治療を行います.事前に MRI を撮像し,コ
ンピューター上の 3 次元モデルからオーダーメイドの骨切りガイドを作成する事で,より正確で速
い手術が可能となります.
オーダーメイドの骨切りガイドを装着
症例:左術前,右 UKA 術後
摩耗した内側の脛骨と大腿骨のみ切除して人工関節に置換するので手術時間が短く出血量もわずか
です.関節運動は術前とほぼ同じで安定しているため早期から荷重歩行で安定しています.
入院期間:約1~2 週間
3. 人工膝全置換術(TKA:
total knee arthroplasty)
人工膝全置換術
術前検査:通常の検査(心電図,胸部レントゲン,血液・尿)以外に,変形性膝関節症と合併するこ
術前検査
とが多い疾患(骨粗鬆症,深部静脈血栓症,閉塞性動脈硬化症,腰部脊柱管狭窄症)の有無を調べま
す.これらの疾患が見つかった場合は,まずそちらの治療をする場合があります.
輸血:念のため術前に自分の血を貯め(自己貯血)ますが,ドレーンクランプ法を用いて術後の出血
輸血
を抑えており自己血を使用しないこともあります.日本赤十字社の他人の輸血を用いる事は,ほとん
どありません.
麻酔:全身麻酔と大腿神経ブロック,術後に自己調節鎮痛法=Patient-controlled
analgesia (PCA)ポ
麻酔
ンプを組み合わせ,術後の疼痛軽減を工夫しています.
手術:内側型や外側型,高度な変形や骨欠損でも対応可能です.オーダーメイド骨切りガイド=
手術
patient matched instrumentation (PMI):術前 5 週間前に膝関節の MRI を撮影し,患者様専用の骨
切りガイドを作成しております.手術時間が節約でき,正確な骨切りと人工関節の設置が可能となっ
ております.
リハビリ:術中膝関節に留置したドレーン(血抜きの管)が抜けて,深部静脈血栓症の超音波検査が
リハビリ
正常であれば,術後 2 日目より全荷重で歩行訓練開始です.約 2 週間で階段昇降が可能になってか
ら退院です.入院期間:約1~2 週間 症例数:年間約 20 症例
術前:内反変形あり
術前:内反変形あり
骨切りガイド
症例:82 歳
術後
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