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ON THE SPOT
現場から
●スポーツ栄養
する研究や事例としてフットサルチ
第 19回スポーツ栄養学
セミナー
ームの事例、オーストラリアでのタ
続くシンポジウムでは、『アスリ
レント発掘における事例についても
ートのコンディショニングの評価方
くあがった。
述べられた。身体計測を実施する際
ーツ栄養学研究会)が主催する「ス
法とその活用』について、3 名のシ
は測定誤差をなくし、精度や再現性、 ンポジストから講演が行われた。は
また正確度を高めることが重要であ
じめに、「バスケットボール選手に
ポーツ栄養学セミナー」が、2013
ることが述べられ、スポーツ・医科
おける身体計測を活用した評価方
年11月23日、東京農業大学(東京
学領域で現在国際的な身体計測とし
法」と題して、小山孟志氏(東海大
都世田谷区)にて開催された。
て認識されている国際キンアンソロ
学体育学部競技スポーツ学科非常勤
基調講演は香川雅春氏(女子栄養
ポメトリー推進学会(ISAK)によ
講師 東海大学男子バスケットボー
大学栄養科学研究所)による「スポ
る計測基準について紹介された。最
ル部 S & C コーチ)が講演。小山氏
ーツ現場における身体計測」。身体
後に、「コーチや栄養士・管理栄養
からは、バスケットボールのトレー
計測の測定意義や、各競技に適した
士などのチームスタッフは選手の身
ニング現場での身体計測の実際、そ
身体特性の例を説明した後、スポー
体組成を適切に評価するために、知
の活用が紹介された。長年にわたる
ツ現場における身体計測の活用に関
識だけではなく身体計測技術を習得
トレーニング現場での経験を通じて、
発足19年目を迎えるSNA(スポ
することが求めら
れる」とまとめた。
身体計測は継続的に実施・評価する
ことが重要であると述べた。次に、
質疑応答では、
「皮
「プロ野球現場におけるコンディシ
下脂肪厚は何点測
ョンチェックとその活用~栄養士の
定するのがよいの
関わり~」と題して、柄澤紀氏(日
か」
「測定はどの
本ハム株式会社中央研究所)が講演。
くらいの頻度で行
柄澤氏からは、管理栄養士の立場か
うとよいか」など、 らみた、プロ野球現場でのコンディ
スポーツ現場で求められる栄養士の役割とは
6 Training Journal February 2014
現場で身体計測を
ションチェックに関する問題点や課
行うにあたっての
題の提示とともに、体重管理を例と
具体的な質問が多
した問題解決に向けた 3 球団合同
現場から
(DeNA、ヤクルト、日本ハム)の取
り組みが紹介された。得られたデー
タを選手に還元することの難しさの
ほか、スポーツ現場でアスリートに
関わる栄養士として求められること
についても述べられた。最後に、村
越武治氏(伊勢原市大田ミニバスケ
ットクラブ、栄養士)が、「発育期
の栄養教育における身体計測データ
の活用例」と題して講演した。小学
生のミニバスケットボールチーム、
高校女子ソフトボール部、大学女子
バドミントン部でのサポート経験を
中心に、そこでの身体計測の活用事
例が紹介された。プロとは違い、ア
スリートのサポート体制が十分とは
佐藤氏が現場での考え方を基にしたテーピングをレクチャー
いえない環境のなか、試行錯誤しな
がら、身体づくりを目的とした栄養
●学生による勉強会
果を確認した。
サポートを行っていることが述べら
PDS 勉強会
講義の後はPDS代表の貴島氏によ
実際のスポーツ現場で求められる
2013年12月 8 日、新大阪にて「第
れ、参加者がグループ内で自己紹介
栄養士とその活動について取り上げ
8 回PDS勉強会」が開催され、約40
と自分たちの夢の確認、共有を行っ
続けてきた本セミナーも、今年で
名の学生が参加した。PDSは関西の
た。PDSでは勉強会のほかにも募金
19回目となった。今回のセミナー
学生で組織されるグループで、自分
活動をして子どもたちをプロスポー
では、アスリートが勝つためには客
の夢を仲間と共に実現することと、
ツの試合観戦に招待するなどさまざ
れた。
るグループディスカッションが行わ
観性を齎す評価指標(身長や体重、
スポーツで日本を活性化することを
まな活動を行っている。関西の学生
体脂肪率も同じ機器)で継続的に評
目的に活動している。
から、日本を元気にする。そういっ
価することの重要性を確認するとと
勉強会は毎月開催しており、今回
たエネルギーを強く感じる組織と勉
もに、トップアスリートはもちろん、
は 2 名の講師を招いて行われた。ま
強会であった。
ジュニアの指導や支援においても、
ず大阪ハイテクノロジー専門学校鍼
身長や体重、周径囲といった身体計
灸科 3 年の高橋佑輔氏による「肩関
測の重要性を確認できた。また、ス
節の機能解剖」と題して、鎖骨や肩
●評価
ポーツ現場でアスリートのコンディ
甲骨など、肩甲帯を中心に授業で行
ショニングに関わる栄養士として、
われる内容を掘り下げた機能解剖学
大掛かりな装置が必要でない身体計
の講義が行われた。続いて大阪府済
スポーツ現場での
足関節傷害評価法
測スキルの習得が今後益々必要にな
生会吹田病院に勤務し、大学サッカ
2013年12月21日、岩谷学園(神
ることを実感したセミナーであった。
ー部などでトレーナーも務める佐藤
奈川県横浜市)にて「スポーツ現場
スポーツ栄養学研究会では、今後も
哲史氏による「足関節の疼痛評価と
での足関節傷害評価法」と題したセ
スポーツ栄養の実践、発展に寄与す
テーピング」の講義と実技が行われ
ミナーが開催された。講師は舟橋立
ることを目指し、セミナーを開催す
た。
二 氏(ADP:Athlete Development
る予定である。
現場で必要とされる評価と判断、
Project代表)で、今年NATAで発表
それに基づいた実践的なテーピング
された評価基準と、英国プレミアリ
方法が紹介され、参加した学生はお
ーグで行われている評価法を組み合
互いの足にテーピングを巻き合い効
わせ、スポーツ現場でケガが発生し
(スポーツ栄養学研究会事務局・横
山友里)
(山村 聡)
Training Journal February 2014 7
ON THE SPOT
足関節の評価について講義する舟橋氏
ケガが起こったらどうするかの実技も行われた
たときに求められる、スピードと的
も見逃さないよう、触診と評価をし
より正確である」は基準 B、
「寒冷
確な判断ができるための要素を学ん
っかりすることが大事としている。
療法は、疼痛の軽減、腫脹形成の最
だ。
そのため骨や靭帯の場所を確認する
小化、二次的損傷を軽減させるため
まずは、基本となる足関節の解剖
触診の実技も行われた。
に行われるべきである」と「温熱療
と捻挫の種類を復習した。踵骨内側
スポーツ現場でケガが起こったと
法は、科学的証拠が不足のため、ま
には載距突起があり、身体の中で一
き、選手の試合続行が可か不可かを
たケガを悪化させる可能性があるた
番体重が乗る場所で、動物の中では
すばやく判断するため、舟橋氏は今
め、急性・亜急性期には控えるべき
人間が一番大きく、二足歩行をする
年NATAで発表されたPosition State
である」は基準 C となっている。ち
ようになってから発達した骨と言わ
mentを説明した。基準はStrength of
なみに圧迫と挙上に関しても基準 C
れている。そのため舟橋氏は、トレ
Recommendation Taxonomy(SORT)
となっていて、必ずやらなければい
ーニングや競技復帰の過程でこの部
を使用する。これはA~Cまであり、
けないものではないとなっている。
分に体重が乗っているかどうかをし
A =しなければいけない、B =する
寒冷と温熱は国によって選ぶ基準が
っかり見るようにしている。捻挫は、
べき、C =してもよい(解釈を容易
分かれるところだが、現在のNATA
外傷の中で最も多く、その中で足関
にするため平石さゆり氏(ATC)が
の方向性がよくわかる非常に面白い
節捻挫は 1 / 3 を占めている。まず
命名)とレベル分けし、評価対象と
ものとなっている。他にもこのよう
は捻挫か骨折かをしっかり見極め、
なるものに対し、3 つの基準を当て
な 評 価 基 準 が 全 部 で37個 あ り、
捻挫の中でもどの靭帯の受傷なのか
はめた。たとえば、「Ottawa Ankle
NATAのホームページで見ることが
を明確に評価することが大事だと舟
Rule(OAR)は、急性の足関節や足
可能。すべて科学的証明があって基
橋氏は言う。そのため、内反捻挫は
部の受傷の際にレントゲン画像診断
準が設けられていて、基準Aはそれ
二分靭帯、外反捻挫はバネ靭帯の受
が必要かを判断するには効果的な方
ほど数が多くはない。だからこそ、
傷有無を見逃さないようにしなけれ
法 で あ る 」、 こ れ は 基 準 A と さ れ、
基準Aは評価するうえで必ずやらな
ばいけない。そして忘れてはいけな
受傷の際、必ずチェックしなければ
ければいけないものとされている。
いのは、足関節捻挫といっても足関
いけない項目とされている。他には
OARとは、外果と内果後面部下部
節だけを見るのではなく、足関節受
「前方引き出し、Talar Tiltのようなス
から 6 cmの領域、第 5 中足骨基底
傷で想定される遠位前脛腓靭帯の損
ペシャルテストは、受傷 2 日後に行
部、舟状骨それぞれの圧痛を確認し、
傷(Syndesmosis捻挫)や筋の挫傷
われるより 5 日後に行われるほうが
4 つのうち 1 つでも圧痛があること、
8 Training Journal February 2014
現場から
ケガをした直後自立歩行が 4 歩でき
●野球
たか(引きずって歩いても可)、現
小学生球児オフシーズン
のトレーニング in 秋田
在目の前で同じように歩けるかとい
う 3 つの項目をチェックし、異常が
あればレントゲン検査に送るという
野球という競技において、冬季は、
判断ができるもの。感度は100%だ
室内練習場以外で実践的な練習を行
が、特異性が40%弱あるため、そ
うことは困難であり、選手のモチベ
れを高めるためにBuffalo Rules(BR)
ーションを保ち、さらに翌シーズン
が適用された。BRは内果と外果の
にレベルアップさせるために、この
圧痛領域が後面から中央部に変更と
イベントを開催しました。
なり、特異性は60%弱まで高めら
2013年12月 8 日、 会 場 は 秋 田 中
た。これは休息も兼ねています。
れた。
央地区老人福祉総合エリア内室内運
選手が体育館でトレーニングを行
舟橋氏が試合中に行っている障害
動広場にて、ビースリーエムの砂田
っているときに父兄や関係者に対し
評価のもう 1 つは、SALTAPSである。
達也氏を主催とし、古木将喜氏(秋
て、
山口元紀氏が「成長期の体力」
「ト
イングランドサッカー協会が実践し
田みなみ整骨院)の協力のもと、開
レーニングの大切さ」
、私が「子ど
ているもので、プレミアリーグでも
催いたしました。午前午後で延べ
もへの対応方法」「情操教育として
使用されている。SALTAPSは、See
小学球児向けにアレンジ
80名の参加がありました。
の野球」について各30分程度のレ
(受傷現場を見てフィルタリング)、
トレーニング種目は、実際にメジ
クチャーを行いました。これらの項
Ask(選手への質問)、Look(受傷
ャーリーグで行っている内容を小学
目は、成長期のスポーツで大切なこ
部位の変調)、Touch(受傷部位の
球児向けにアレンジしたものです
とに対して、解説した後に質問を多
触診)
、AROM(自動可動域のチェ
(バットキックス、ハイスキップジ
く受けつけ、普段思っていることへ
ック)
、PROM(他動可動域のチェ
ャンプ、スプリットスクワット、リ
の確認や迷っていることを解消させ
ック)
、Strength(筋発揮のチェック)
アクションなど40種目)
。そして、
るための方法を伝えました。父兄や
の頭文字を取ったもの。SALTAPS
チーム全体で行えるメニューや自宅
関係者が子どもの成長を実感する尺
の順番に見ていき、途中で明らかな
でトレーニングできる内容も組み込
度として、体格や礼儀、動作などは
異常が見つかればプレー続行不可能
みました。ストレッチ、神経系、コ
わかりやすいですが、
“五感”を通
とし、必要があれば病院へ送る。異
アなど、選手がトレーニングする際、 しての思い出や成長過程での“五感”
常がなければプレー続行可能と判断
体育館の広さと動く方向や 1 人が使
の変化も大切であることも説明しま
するものとなっている。舟橋氏は触
うスペースを予測して配列させ、順
した。
診にOARやBRを活用し、より精度
番に動けるようにすることで無駄な
ジュニアスポーツの場合、家族の
を高めて行っている。
時間を少なくしました。
サポートが不可欠であり、チーム関
スポーツ現場で選手がケガをした
集団指導の場合、整列と指導者の
係者の指導があることでチームが存
とき、トレーナーに求められるのは
立つ位置とワードワークがスムーズ
在します。レクチャーは、父兄や関
プレー続行か否かを素早く判断する
に動き、効率を高めるために重要だ
係者に対しての感謝の思いも兼ねて
こと。ケガの状態だけではなく、そ
と思っています。また、他の人との
います。
の選手が置かれている状況、チーム
接触や転倒によるケガを未然に防ぐ
なお、今回の催しの模様は、地元
事情も考慮しなければいけないだろ
ために、集中力を高める声掛けも必
の“さきがけ新聞”により、当日の
う。だが、ケガの状態は短い時間で
要でしょう。
午後、インターネットにて放映され
正確に把握しなければいけない。確
動きの説明のときは、“やらされ
ました。また、イベントに先立って
信が持てる知識と技術、そして選手
ている感(受動的)”をなくすため
12月 2 日には「秋田ABSラジオ」の
やチームと信頼関係を築くことの大
に質問形式をとり、野球の動作を交
番組“ごくじょうラジオ”にて、イ
切さを学んだ時間だった。
えながら「踵重心」
「使用部位の意識」
ベントの内容説明と開催意義などを
(佐々木愛) 「トレーニングの重要性」「正しいフ
ォームの大切さ」などを説明しまし
話しました。
(吉池宏彰・Sports & Health Project)
Training Journal February 2014 9
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