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2010

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2010
ON THE SPOT
現場から
●トレーニング
ど、普段はなかなかお目にかかれな
と筆者に語ってくれた学生トレーナ
S&Cカンファレンス
2010
い第一線の指導者からのレクチャー
ーの言葉がそれを象徴するような、
も実施され、参加者それぞれにとっ
有意義な 2 日間であった。
(伊藤謙治)
て貴重かつ大きな収穫となった様子。
去る12月 4 ∼ 5 日にかけて、京
一方では少人数での分科会も開催さ
都文教短期大学(京都府宇治市)にて
れ、参加者同士がそれぞれの現場事
●障がい者スポーツ
「NSCAジャパンS&Cカンファレン
例などを報告してお互いに膝を突き
ス2010」が開催された。通算10回
合わせてのディスカッションを行う
選手強化セミナー
目を迎える本カンファレンスだが、 などなど、こちらも大いに盛り上が
今や年末の恒例行事として我が国の
りを見せていた。
去る2010年12月 5 日、さん・さ
んプラザ(福岡市立障がい者スポー
スポーツ医科学界にすっかり根付い
また、こうした全国規模の集まり
ツセンター)にて日本障害者スポー
た感もあり、今年も全国から多くの
ならではとも言える、日々の活動で
ツ指導者協議会九州ブロック・福岡
トレーニング指導者や医療関係者、 はなかなか会うことのできない遠方
支部と共催で2010選手強化セミナ
学生トレーナーらが駆けつけて活況
の地の仲間との再会や、新たな友
ー∼アスリートになるための条件∼
を呈していた。
人・知人が増えるきっかけづくりの
が開催された。
期間中は 4 つの会場で講義、実技
模様をそこかしこで目にすることが
セミナーの趣旨としては「国際大
双方を含む計17の講座とポスター
出来たのも印象的だった。思わぬ再
会参加をめざし活動する選手・指導
発表などを開催、先のサッカーW
会に笑顔で互いの近況報告をしたり、
者が増えている現状から、選手がよ
杯・南アフリカ大会における日本代
所属や世代の枠を越えて質疑応答を
り高度な知識や競技力を習得すると
表チームへの高地トレーニングサポ
やり取りした後に連絡先を交換、再
ともに、指導者の指導力向上を図る
ートで大きく貢献した杉田正明准教
会を約している多くの人々の姿は、
ことを目的」としている。
授(三重大)や、Stanford University
われわれの業界でも常々言われてい
対象者は、競技団体等の指導者お
からはるばる来日してくれたDr.
る“横のつながり”の大切さを改め
よび選手、競技団体に関わる障がい
Don Chu、ウェイトリフティング男
て思い起こさせてくれるものである。
者スポーツ指導員、または興味のあ
子全日本チーム監督の稲垣英二氏な
「皆さんに出会えて本当によかった」
る方。
セミナーの内容は 4 つのプログラ
ムから成り立ち、一つ目は「メンタ
ルトレーニングについて」という題
目で徳永幹雄氏(福岡医療福祉大学
教授)が講義をされた。「コーチや
選手に必要な 3 つの目標」という内
容から始まり、徳永氏がサポートし
ている高校弓道部へのアプローチの
実例や「スポーツ選手に必要なメン
タル要素は競技によって異なる」な
ど大変興味深い内容だった。
2 つ目は「ドーピング」について
東利雄氏(熊本機能病院)が世界大
実技指導を行うDr.Don Chu
6 Training Journal February 2011
写真提供/NSCAジャパン
会へ帯同された経験から講義をされ
現場から
た。「ドーピングとは?」「ドーピン
ポーツの各大会には賞金が出るとい
豪氏といった元トップアスリートか
グがなぜいけないのか?」にはじま
う韓国の行政とスポーツのありかた
ら石井直方教授ら著名なトレーニン
り 、「 ド ー ピ ン グ の 検 査 方 法 」 や
について述べられた。
グ指導者まで実に多くの顔ぶれが演
「風邪のときはどうすればいいのか」
また、日本障害者スポーツ指導者
者として登場し、参加者はその発表
そして、「TUE申請書の書き方」ま
協議会九州ブロック・福岡支部では、
に耳を傾けていた。一風変わったと
で知っておいた方がよいポイントを
平成23年 2 月 5 ∼ 6 日に、沖縄県
ころでは、昨年大きな話題になった
説明された。「不注意ではすむ話で
市町村自治会館で九州ブロック研修
『もし高校野球の女子マネージャー
はない」「知らないではすまされな
会が開催される予定となっている。
がドラッカーの「マネジメント」を
い」という言葉は今でも耳に残って
(大塚健吾)
いる。
また、安西清美氏(九州身体障害
者水泳連盟理事)と柴田健二氏(同
連盟選手)から「ドーピング違反疑
い発生後の流れ」「聴聞会」につい
読んだら』の著者、岩崎夏海氏によ
る講演なども開催され、参加したト
●スポーツ科学
レーニングコーチからは「チームマ
スポーツサイエンス・
テクノロジー2010
ネジメントの大きなヒントを得るこ
とができた」との嬉しそうな意見も。
来場者はやはりスポーツ指導者やト
て講演された。実際に聴聞会に行か
去る2010年12月17日∼19日、東
レーナー、インストラクター、理学
れた安西氏と柴田氏からは聴聞会に
京ビッグサイトにて『スポーツサイ
療法士などスポーツ科学の現場に携
行くまでどこの機関とどのようなや
エンス・テクノロジー2010』が開
わる人間が多かったようだが、それ
り取りをするのかの説明がなされた。
催された。昨年も実施されたこのコ
でも「一般の方もちらほら見えてま
3 つ目は、中ノ瀬啓作氏(日本デ
ンベンション型イベントは産・官・
した」(メーカー担当者)とのこと。
ィスエイブルパワーリフティング連
学の連携によりスポーツと科学・技
同一会場内で多数のセミナーやト
盟コーチ)と小林浩美氏(同連盟選
術の融合にフォーカスを当てそれら
ークショーが同時開催されるため演
手)の 2 名が「トレーニング」につ
を見て、聞いて、体験できるという
者の声が聞き取りにくいなど運営方
いて講演された。中ノ瀬氏のトレー
コンセプトの下に運営されるもので、
法に更なる改善の余地は見られたも
ニングを現在継続中の小林氏は転ぶ
文字通りスポーツ科学に関連する
のの、どうしてもアカデミックなイ
ことがなくなったり、外へ出ること
様々なメーカーによるブース出展や
メージが先行してしまう部分もある
が楽になったと心身へのトレーニン
多数のセミナーが実施されていた。
“スポーツ科学”というテーマに関
グ効果の実体験を語った。中ノ瀬氏
とくにブース出展は毎夏恒例の
して、いい意味で敷居を下げて一般
は「トレーニングは健常者にとって
HFJなどでもおなじみのトレーニン
層にアピールできる可能性のあるイ
は生活の質をあげ、障がい者にとっ
グ機器材メーカーやスポーツブラン
ベントだったのではないかと感じた。
ては生きていくうえで必要。障がい
ドに加えて、NAASH(日本スポー
また、それこそが産・官・学が連携
者のトレーニング指導においては指
ツ振興センター)やNSCAジャパン
する大きな強みなのではないだろう
導者の工夫が必要」という力強い言
といったサポート団体、筑波大学体
か。
葉を述べた。実際に中ノ瀬氏のオリ
育専門学群、早稲田大
ジナルトレーニング方法が写真と実
学スポーツ科学学術院
物のトレーニングアイテムで紹介さ
などの大学研究機関な
れた。
ども参加しており、セ
最後は、「韓国の現状報告」とい
ールスポイントとして
うテーマで真鍋厚毅氏(日本障害者
いる産・官・学の連携
指導者協議会九州ブロック競技部会
を象徴するようなライ
部会長)が講演された。パラリンピ
ンナップであった。ま
ック全種目ができる設備をそなえた
た、セミナーやトーク
国立パラスポーツトレーニングセン
ショー、パネルディス
ターを写真つきで紹介された。また、
カッションなどの会場
障がい者の年金制度がないことやス
では貴乃花親方や北澤
(伊藤謙治)
スポーツサイエンス・テクノロジー2010での展示ブース
Training Journal February 2011 7
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