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食育の推進と顔の見える関係づくり
第2回京都府下消費者団体等との意見交換会資料 平成18年9月28日 近畿農政局 消費生活課 食育の推進と顔の見える関係づくり 『食育と地産地消の関係』 ◎「食料・農業・農村基本計画」 平成17年3月見直し 3.食料自給率向上に向けて重点的に取り組むべき事項 (1)食料消費 ア 分かりやすく実践的な「食育」と「地産地消」の全国展開 「食事バランスガイド」を消費者が日々の食料を購入・消費する小売店・外 食の場等で活用し、分かりやすく実践的な食育の取組を国民的運動として展開 していく。 また、地域の消費者ニーズに即応した農業生産と、生産された農産物を地域 で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結び付ける地産地消の取 組を推進する。 ◎「21世紀新農政の推進について」~攻めの農政への転換~ 2 平成17年3月決定 食育の推進 国民一人一人が生涯にわたって心身の健康を増進する健全な食生活を実践しうる よう、教育、保健、農業、外食等様々な関係者間の連携を図りつつ、国民運動とし て、食育の推進に取り組む。また、食料資源の有効利用や環境負荷の低減といった 観点から、食品の廃棄や食べ残しの減少を促進する。 ◎「食育基本法」 平成17年6月成立 ◎「食育推進基本計画」 第2 平成18年3月決定 食育の推進の目標に関する事項 2.食育の推進に当たっての目標値 (3)学校給食における地場農産物を使用する割合の増加 - 1 - 学校給食に「顔が見える、話ができる」生産者等の地場農産物を使用し、食に関 する指導の「生きた教材」として活用することは、子どもが食材を通じて地域の自 然や文化、産業等に関する理解を深めるとともに、それらの生産等に携わる者の努 力や食への感謝の念を育む上で重要であるほか、地産地消を推進する上でも有効な 手段である。このため、平成16年度に全国平均で21%となっている割合(食材 数ベース)について、平成22年度までに30%以上とすることを目指す。 第3 食育の総合的な促進に関する事項 5.生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等 (1)現状と今後の方向性 食を生み出す場としての農林漁業に関する理解が重要であることから、生産者と 消費者との「顔が見える」関係の構築等によって、交流を促進していくことが必要 である。 (2)取り組むべき施策 ○都市と農山漁村の共生・対流の促進 グリーン・ツーリズム等を通じた交流促進のための情報提供、受入体制の整備等 ○子どもを中心とした農林漁業体験活動の促進と消費者への情報提供 子どもを中心とする農林水産物の生産における様々な体験機会の拡大のための情 報提供、受入体制の整備等 ○農林漁業者等による食育推進 農林漁業者等の教育関係者との連携による体験活動の機会の提供等 ○地産地消の推進 地産地消を推進するための計画策定、人材の育成、施設の整備等 ○バイオマス利用と食品リサイクルの推進 バイオマスの総合利用による地域循環システムの実用化、食品リサイクルの必要 性に関する普及啓発等 ◎「21世紀新農政2006」 平成18年4月決定 Ⅲ.食の安全・食育 2.食育の推進 国民が健全な食生活を実践することができるようにする観点から、家庭、学校、 地域等様々な分野において国民運動として取り組むこととし、その一環として、消 費者と生産者の信頼関係の構築を図るため、学校給食、観光とも連携し、地産地消 を全国展開する。 - 2 - 顔の見える関係づくり懇談会報告書(平成16年3月29日)抜粋 『顔の見える関係づくり』 1.「顔の見える関係づくり」の大切さ 消費者と生産者や事業者との間の「顔の見える関係づくり」は、食料を消費す る場と農林水産物の生産現場の物理的・心理的な距離が拡大してしまった「食」 と「農」の距離を再び近づけ、人々の命を支える食料を生み出すという農林水産 業の根源的な役割の重要性をできる限り多くの人々によって共有することを目的 としています。生産者が、消費者の要望を直接聞いて、安全で良質な食料を供給 することにより地域農業の振興を図り、また消費者が「食」や「農」に対する理 解を深めることにより健康な食生活の普及と都市と農村の共生・対流が進むとと もに、こうした取組を通じて生産者、事業者と消費者の間の信頼関係を強めるこ とが期待されています。 2.「食」に対する信頼が損なわれた背景 平成13年に我が国で最初のBSE感染牛が確認され、その後の牛肉偽装事件 や、各種食品の偽装表示、さらには無登録農薬の使用など 、 「食」と「農」をめ ぐる様々な問題が次々と明らかになって、消費者の「食」に対する信頼や、 「食」 に携わる生産者、事業者及び行政との信頼関係が著しく損なわれることとなりま した。 (生産者・事業者側の背景) ① 冷凍・冷蔵技術や殺菌技術の進歩で食品の保存期間が飛躍的に伸びました。海 外からの農産物輸入が増加し、その調達先が多角化する中で、季節はずれの野菜 が店頭に並び、私たちの食卓から旬の感覚が失われるといった具合に、食料供給 の現状はますます複雑化しています。こうした中で、食品に関する詳しい情報を 持っている事業者と、持っていない消費者との間では、情報の量と質において大 きな格差が生ずることとなりました。 ② 利便性が強調されるあまり消費者に正しい「食」の情報を伝える努力が十分行 われて来なかった面もあり、食品の販売においても、いつでも欲しい物が手に入 ることを当たり前と考え、「品切れ」が発生することが許されないような状況が 生じていたことも否めません。 ③ 従来の対面式小売店に代わってセルフサービスのスーパーマーケットやコンビ ニエンスストアーが一般化して久しくなり、売り手と買い手の対話が希薄になり ました。 (消費者側の背景) - 3 - ① 核家族が進んだことから、親から子へ、子から孫へ「食」に関する知識を身近 に伝える機会が少なくなっています。このため、「食」に関して自らの判断に自 信を持つことができない消費者が多くなっています。 ② 消費者は、農業生産の実情に関する知識が十分でないため、有機栽培農産物を 求めるが少しでも虫食いのある野菜は買わないといった矛盾した選択を行う場合 もあります。 3.消費者、生産者、事業者及び行政が取り組む課題 (1)消費者と生産者や事業者との連携を強めよう ① 消費者とじかに接する小売店や、生鮮食品の流通のかなめである卸売市場など が、生産者と消費者との円滑なコミュニケーションを図るために重要な役割を果 たすことが期待されます。 ② 消費者と生産者との交流活動の優良事例の紹介を行ったり、交流活動の進め方 に関する相談窓口の設置や、手引き書の作成を進めるなど、消費者のより積極的 な参加を促していくことが望まれます。 ③ インターネットを駆使したり、トレーサビリティシステムのような新しい仕組 みを活用することによって、消費者が生産者に直接問い合わせることもできる双 方向のコミュニケーション手段を開くことが、生産者や事業者と消費者との一層 の信頼関係を深める上で有益です。 (2)「顔の見える生産者・事業者」になろう ① 生産者や農産物加工に携わる事業者は、食品衛生に関する諸規制や表示のルー ルを充分に理解することはもちろんのこと、新たに発生する食に関するリスクに ついても的確に情報を把握することが必要です。また、生鮮志向、本物志向など の様々な消費者のニーズの変化をつかむことも重要です。 ② 生産現場の実情をありのままに伝えることによって農業に対する消費者の理解 が深められ、「見かけにとらわれない本物の農産物」を供給することにつながる ことが期待されます。 ③ 事業者が、消費者との信頼関係を強固なものにしていくためには、「食」の安 全・安心に関する社会的責任を大切にした企業経営を進めることが必要です。 ④ 「食」の安全・安心を守るためには、問題食品の回収を迅速かつ十分に行うと ともに、速やかに原因を解明し、対策を講じることが必要です。 (3)消費者の受信力・発進力を強めよう ① 消費者自身が、情報を正しく理解し、正確な基礎知識や経験に裏打ちされた受 信力を強化することが重要となっています。 ② 消費者及び消費者グループが、「食」の安全・安心に関する知識の習得を自発 的に行い、 「食」に関する的確な判断力を養っていく場を設けることが重要です。 - 4 -