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84 フ ラ ン ス の 都 市 計 画 法 に お け る 《derogation》 「適 用 除 外 」 に つ い て の 一 考 察(2)・ 完 崇 見 上 洋 目 次 は じめ に 1 適 用 除 外 の 制度 と根 拠 〔1〕 制 度 〔2〕 学 説 〔3〕 小 括 一 問 題 の所 在一 皿 裁 判 に よ る適 用 除 外 の 統 制 〔1〕 裁 判 的統 制 の肯 定1 〔2〕 裁 判 的統 制 の肯 定2 〔3〕 認 定 の統 制1一 〔4〕 認 定 の統 制2一 「両 立性compatibilite」 (5〕 「都市 計 画 法 上 の理 由mot三f d'urbanisme」 の統 制 一 〔6〕Limoges市 〔7〕 Limoges市 〔8〕 小 指一 最 小限 の統 制 一(以 認 定 の統 制3一 上 前 号) の 統 制一(以 下 本号) 判決 判 決 以後 裁 判 的 統 制 の現 状 と限 界一 おわ りに 1) (4〕 認 定 の 統 制 2一 「両 立 性compatibilit6」 の統 制 一 2) 上 記 のBaudouin論 告 は,基 本 的 に は,同 年 のPernot氏 判 決 に お け る政 府 3) 委 員Fournierの 論 告 に 依拠 す る もの であ った 。 こ の事 件 の概 略 を 示 せ ば 次 の よ うな もの で あ る。Nice市 の 都 市 計 画 プ ラ ンの 改訂 につ い て,関 係 の 機 関 か ら 1)こ の 概 念 に つ い て は,William droit de 1'urbanisme, 2) C.E.,5mars jardins 3) Cimiez>, BLUMANN, COULET, A. J, D. A.,1976, 1965, Sieur Pernot A。 J. D. A.,1965.皿 op. cit., p.31. La notion juin, p.291参 et autres, de compatibilite Societe 。230, Concl. dans 照 。 Civile Fournier, immobiliさre<Les le フ ラ ン スの 都 市 計画 法 に お け る 《derogation>「 適 用 除外 」 に つ い て の一 考 察 85 の 意 見 聴 取 と 関 係 す る 公 共 団 体 へ の 諮 問 の 後 に,新 し い プ ラ ン は1960年 に公 表 さ れ た 。 し か し,《Les Jardins Cimiez>会 社 が 建 築 計 画 につ い て 建 築 許 可 を の 取 得 した と きに は,こ の プ ラ ンは,な お も聴 聞 の対 象 と され ず,認 可 され てい な か った 。 と ころ で,こ の建 築 計 画 は,従 来 の プ ラ ンに よっ て定 め られ て い た 高 度 な どに 関 す る要 件 に適 合 して い なか った 。 新 しい プ ラ ンが 策 定 中 で あ った の で,1958年12月31日 付 デ ク レ33条5項 の に基 づ き,知 事 は,こ の 建 築 を,1960 年 に 公 表 され た新 しい プ ラ ン と両 立 し うる と彼 が判 断 した 範 囲で 許 可 す る こ と が で きた。 そ し て,こ の新 し い プ ラ ン は,建 物 の高 度 に 関 す る規 制 を 緩和 して い た。 また,こ れ は,こ の建 築 計 画 が 充 足 して い な い一 定 の 容積 率,駐 車 場 の 設 置 な どを課 し てい た,C.'E.は,〈 知 事 が33条 の規 定 に よ って,改 訂 中 の都 市 計 画 プ ランに 適 合 しな い 工 事 に つ い て の 建 築 許可 を付 与 す る権 能を 与 え られ た と して も,検 討 中 の新 しい プ ラ ン と両 立 しな い と考 え る必 要 の あ る工 事 につ い て,そ の よ うな 許 可 を 認 め る こ とは で きな い。 原 告 は,こ の建 築 計 画 が,'新 し い プ ラン の重 大 な 適 用 除 外 を い くつ か含 ん で い る と主 張 し た。 この よ うに 主 張 され た 事 実 の 実 質 的 正 確 性 は,行 政 に よ って は争 われ なか った 。 そ して,許 可 され た 工 事 が,改 訂 後 の新 しい 都市 計画 プ ラン と両 立 し うる と の行 政 の 主 張 は,一 件 記 録(piece versee au dossier)か らは 確 証 を 得 られ な い 〉 と 判 示 し て,適 用 除外 を含 む 建 築 許 可 を取 消 した 。 この 判 決 は,将 来 の計 画 と の両 立 性 に関 し,そ の 本 案 に つ い て 判 示 した 最 初 の 判 決 であ り,ま た,Fournier論 告 は,こ の 問 題 に つ い て の裁 判官 の統 制 を保 の 障 す る こ とを可 能 に した もの で あ り,そ れ の 原 則 を示 して い る。 Fournierは,「 将 来 の両 立 性 」 は,策 定 中 の新 しい 計 画 の完 成度 を考 慮 して 認 定 され な けれ ば な らない とす る。 す な わ ち,計 画 の 「改 訂 の初 期 に は,こ の 4) 都 市 計 画 プ ラ ン は 認 可 さ れ な け れ ば そ の 効 力 を 有 しな い 。 こ の こ と は,1919年 時 代 か ら 判 例 上 確 立 し て い る。 拙 稿 ・前 掲 ⇔ 照。 5) 前 述 皿 〔1〕 6) GILLI et CHARLES, op. ciし, n。8, p.37・ 『法 学 論 叢 』103巻4号,90頁 法の 注⑤参 86 将 来 の 計 画 の一 般 的 方 針(lignes generales)は 未 だ 明 らか に な って い な い。 従 って,知 事 は適 用 除外 の付 与 に極 力 の慎 重 さを 示 さな け れ ば な らず,ま た,例 え ば ゾー ニ ン グ(zonage)の よ うな,既 に な され た 最 初 の 選 択 を 考 慮 して,新 しい 規 定 が 従来 の規 定 を修 正 す る ことが 今 か ら既 に は っ き りして い る場 合 に の み,そ れ を 認 め る こ とが で き る。 次 い で,と 確 に され れ ば,そ もか くも,新 しい 計 画 の 内 容 が 明 れ を 現 行 の 計 画 の 内容 よ りも 重 視 す る こ とが,よ りしば し ば,可 能 とな る。 最 後 に,本 件 に おけ る よ うに,手 続 の 最 終 段 階 に きた 場 合 に は,そ して 将来 の計 画 が公 表 され た 場 合 に は,公 表 され た 計 画 の 新 た な 規定 と の 単 純 な 比 較 が,知 事 に,困 難 な く,請 求 され た 適 用 除 外 を 認 め る こ とを 可 能 に す るで あ ろ う。」 これ を 言 い換 え れ ば,明 確 な条 件 が 定 め られ てい ない,適 用 除 外 と将 来 の 計 画 との 両 立 性 に つ い て,事 実 の法 的性 質 決 定 一 一 適 用 除 外 が 両 立 性 を 有 す るか の統 制 が 行 わ れ るべ きで あ る,と い う立 場 か ら1三 段 階 の判 断 基 準 を 示 し た もの で あ る。 前 述 のBaudouin論 め られ てい るた め に,同 告 は,条 件 が あ ま りに も不 明確 な 文 言 で 定 じ立 場 に 立 ち つつ も・ 最小 限 の統 制 一 の統 制 を行 えな い一 法的性質決定 わ に 限定 す るの で あ る。 この二 者 の対 立 に もか か わ らず,そ の 後,両 立性 の統 制 につ い て は,Pernot 氏 判 決 が先 例 とな り,C.E.は 厳 格 な 統制 を 行 って い る。 Pernot氏 条5項 判 決直 後 のClairval病 に関 わ る。C.E.は,次 年2月21日 の 院 判 決(1965年)も 同様 に1958年 デ ク レ33 の よ うに 判 示 して,適 用 除 外 を取 消 した 。 〈1961 の命 令 に よ って,都 市 計 画 規 則 に 定 め られ た13.4mの 高度 制 限 に反 し,病 院 を20.5鵠 とす る こ とを認 め るに つ い て,知 事 は,策 定 中 の都 市 計 画 プ ラ ンが,係 争 中 の建 物 が建 て られ るは ず の 土 地 の ゾー ニ ン グの修 正 を企 図 して い る こ とを 理 由 と した 。 この よ うな理 由は,こ に 従 っ て,1958年 の市 の都 市 計 画 規 則44条 の文 言 デ ク レ2条 の規 定 の枠 内 で行 わ れ た 適 用 除 外 の 知 事 命令 を 正 当化 し うる理 由 とは 無 関 係 で あ る。 従 って,こ れ らの条 項 は,(両 7) BLUMANN, 8) C.E.,2$avril 立 性 を理 由 op. cit., p.33. 1965, Sociφtφanonアm《Clinique Clairval>・Rec・ ・P・251・ フ ラン スの 都 市 計 画法 にお け る<derogation>「 適 用 除外 」 に つ い て の一 考 察 87 の とす る)知 事命 令 の適 法 な根 拠 とは な らな い 。>Melot氏 同 じ く1958年 デ ク レ33条5項 判 決(1967年)は, を根 拠 とす る適 用 除 外 につ い て,適 用 除 外 の 付 与 の 時期 に,将 来 の プ ラ ンの 内容 が 明確 にな って お り,従 って 両 立 性 の判 断 が 可 の 能 で あ り,そ れ に よ る と この 条 件 は 充 足 され て い な い と した 。V6ran氏 (1968年)は,建 判決 築 物 の高 度 制 限 に 対 す る適 用 除 外 に つ き, 〈1961年11月30日 付 デ ク レ20条 が,特 に この デ ク レの18条 に 定 め られ た 準則 の適 用 除外 が,知 事 に よ って,無 制 限 に認 め られ うる と定 め て い る と して も,Alpes-Maritimes県 衛 生 規 則110条 は,問 題 とされ て い る 建 築 計 画 が それ の 規 定 に 適 合 しな いに も か か わ らず,検 討 中 の(将 来 の)都 市 計 画 プ ラ ンに従 っ て 当該 土 地 が 服 す る地 役 を 尊 重 す る場 合 に の み,建 物 の大 き さ(volume)と 位 置 に関 して この よ うな 適 用 除 外 を 認 め る こ とを,知 事 に許 可 して い る。 県 衛 生 規 則 の 上 記 の条 項 は, 1961年11月30日 付 デ ク レ20条 の規 定 に反 しな い 〉 と判 示 し,適 用 除 外 の 付与 の 条 件 の適 法性 を認 めた うえで,知 事 の認 定 に つ い て 判 断 して い る。 「三 つ パ ラ」 不 動 産 会 社 判 決(1970年)も,執 で あ る が,将 行 停 止 の 申 し立 て に 係 る 事 件 来 の計 画 と 適用 除 外 と の 両 立 性 を め ぐる も ので あ る。 政 府 委 員 Rougevin-Bavilleは,論 告 に お い て,前 述 のFournier論 告 を そ の ま ま引 用 し 12) た う え で,適 用 除 外 の 取 消 し を 主 張 し,C.E.は これ を 認 め た 。 Cogifrance会 除 外 は,検 13) 社 判 決(1971年)は,〈lsere県 討 中 のGrenoble市 の 都 市 計 画 プ ラ ン と両 立 す る と い う条 件 の 下 に の み 認 め ら れ る。 施 設 住 宅 大 臣 及 びC会 し た の と は 異 な り,こ 9)C.E.,13 C.E.,23 11) C.E.,4mars nov.1968, quatre Concl。 Rougevin-Baville. 12) な お,C. 13)C。E.,7mai 1'Equipement Sieurs Sieur Melot Veran, 1970, Societes roses>et Ministre E.,20 社 は,Grenoble地 の よ う な 両 立 性 が,住 juill.1967, 10) 衛 生 規 則 の 適 用 に よ っ て,適 用 janv,1971, et du Logement, 駐車場 の数 Rec,, p.601. civiles Sieurs 居 の 密 度(densit6)と et autres, Rec., p.8. de 1'Equipement 1971, Societe 方 行 政裁 判所 が判 示 immobiliさres<Des nleiranesio Cogifrance trois roses>et<Des et du Logement, et autres, et Compagnie A. J. D. A.,1970。295. Rec., p 55.参 Belledonne Rec・, P・350;AJ・D・A・,1971,∬.664. 照 。 et Ministre de 88 に関 して存 在 して い る と,主 張 さえ しな か った〉 と判 示 し,知 事 の適 用 除 外 の 付 与 の違 法 性 を 認 め,こ れ に 基 づ く大 臣 の建 築 許 可 を取 消 した 。 Marly-le-Roi市 の 判 決(1972年)は,24 mの 高度 制 限 が 定 め られ,そ して こ れ に対 す る適 用 除 外 に も限 度 が 定 め られ て い る場 合 に,こ の限 度 を も越 え る50 7πの塔 の建 築 を認 め る のは,将 来 の 計 画 との両 立 性 を理 由 と して現 行 の計 画 の 適 用 除 外 を予 め 認 め る も ので は な く,将 来 の 計 画 の 適用 除 外 を予 め認 め よ う と す る もの で あ り,こ れ は,1958年 デ ク レ33条5項 の 予定 す る と ころ では ない, とし て,適 用 除 外 を 取 消 した 。 適 用 除 外 と将 来 の計 画 と の両 立 性 を め ぐる判 決 に お い て は,不 明 確 な もの で は あ って も法 律 ・規 則 上 の要 件 が 存 在 して お り,フ ラ ンス 行政 法 に い う と ころ の 覊 束 権 が存 在 す る と され てい る。 そ して,上 に み た よ うに,法 令 が不 明確 で あ る場 合 で あ って も,裁 判 官 は,行 政 に よ る両 立 性 の 認定 につ い て,事 実 の法 的 性 質 決 定 の統 制 を行 う場 合 も あ る と され て お り,こ の 種 の 事 件 に つ い て は, 通 常 の 統 制 に 立 ち 入 るに至 った 。 また,こ の よ うな判 例 の傾 向 に影 響 され て,よ り一 般 的 な要 件 に 関 して,通 常 の 統制 を 行 った 判 決 と して,Manoir不 れ は,前 述 のClairval病 動 産 会 社 判 決(1971年)が あ る。 こ 院判 決 と同一 の事 例 に関 わ る。 C.E.は,〈Marseille 市 都 市 計 画 規 則44条 は,r厳 格 に 例 外 的 に』 の み 適用 除外 を認 め て い る。〉 「一 件記 録 か らは,増 築 が,こ の事 例 に お いて, 『厳 格 に 例 外 的 に 』 適用 除 外す る 権 限 の 行 政 の利 用 を正 当化 す る性 質 の公 益 は 示 され な か った」 と述 べ,行 政 の 判 断 に 自 らの判 断 を代 置 して,適 用 除 外 を 取 消 した 。 14) janv.1972, M.WALINE;A. 15)取 C.E.,28 Commune de blarly-le-Roi, J. D. A.,1972, 消 の 理 由 は,無 BLUMANN, 17) C.E.,7juill.1971, P・1539, note note A.一H. MESNARD. 権 限 で あ る と 解 さ れ る 。BLUMANNは,手 た は ず で あ る と い う 。BLUMANN, 16) p.293. R・D・Pり1972, 続 の 濫 用 も主 張 で き op. cit., p.18. op. cit., p.28. Soci6t6 な お,後 述,.conclusion Fl3ndre, D.1975, civile immobiliさre de G, Braibant J.216.参 照? du Manoir, sur C. E.,12 R・D. P・・1972・P・727・ dec.1973, Dames Robinet et フ ラン スの 都 市 計 画法 に お け る 《derogation》 「 適 用 除 外 」 に つ い て の一 考 察 89 (5〕 認 定 の 統 制 3一 「都 市 計 画 法 上 の 理 由motif d'urbanisme」 の統 制 一 〔4〕で 検 討 し て き た 判 例 は,「 両 立 性 」 と い う条 件 に 関 す る も の で あ っ た が, 一 般 的 な 規 定 の 存 在 す る 場 合 に ,適 用 除 外 の 付与 に おけ る行 政 の裁 量 の統 制 に つ い て 発 展 し て き た の が 《motif d'urbanisme>「 都 市 計 画(法)上 の理 由」 の 理 論 で あ る。 〔2〕で 検 討 し た 判 例 は,法 令 に 列 挙 さ れ た 要 件 と,行 1) 政 に よ っ て 主 張 され た 理 由 とが 合致 して い るか否 か を 統 制 した ので あ る。 そ して,こ の動 き の新 た な ー 段 階 を なす の がDaudens氏 りで あ る。Chamb6ry市 ラ 判 決(1968年)で あ る。 事 件 の概 要 は次 の とお の整 備 計 画 は8条 に標 準 規 定 を 定 め て い る。 Fontanel 企業 は,こ の整 備 計 画 を遵 守 して い な い こ とを理 由 に既 に取 消 され て い た 建 築 許 可 に基 づ い て,建 物 を 建 築 した 。Savoie知 事 は,上 記8条 に 依 拠 して,問 題 とされ てい る建 物 の 建 築 を適 法化 す る(regulariser)た 項 の適 用 除 外 を 認 め て,F企 め に,整 備計画の条 業 に新 しい許 可 の付 与 を 可 能 と した うえ で,そ の 許 可 を 付 与 した 。Grenoble地 方 行政 裁 判 所 は, Daudens氏 等 に よ って提 起 さ れ た,適 用 除 外 の命 令 に対 す る取 消 訴 訟 を 認 容 せ ず,そ の 結果,建 築 許 可 に対 す る取 消 訴訟 を認 容 しなか った 。 控 訴 に お い て,C.E.は, 〈整 備 計 画 の規 定 の 適 用 除 外 に つ い て の列 挙 され た 理 由が 限 定 的 で は な い と して も,行 政 当局 は 自 らに認 め られ て い る権 能 を,都 市 計 画 立 法 か ら導 かれ た 理 由 につ い て の み 適 法 に 利用 す る こと がで き る と考 え られ る。〉 「行政 に よ って提 出 され た 証 拠 か ら は,問 題 とされ て い る 適 用 除 外 の 付与 を 正 当化 し うる 理 由は 示 唆 され て い な い。G地 方 行 政 裁 判 所 に お け る意 見 書 で も, C.E.に 大 臣 はSavoie知 おけ る意 見 書 で も,施 設 事 が 依 拠 した理 由 を 明 らか に し なか った 。 これ らの理 由 を述 べ る よ うに と のC.E.に よ って な され た勧 告 の後 に も,大 臣 は,適 用 除外 の命 令 は 理 由を 付 記 す る必 要 は な い,と 断 定 した だ け で あ った 。 この よ うな状 況 に 1) BLUMANN, 2) C.E.,10 P・BIASCA;GILLI op. cit., P.34. janv,1968, Sieurs et CHARLES, Daudens et autres, op. ciしP・29. Gaz. n。7・ Pal.,1968.2.106. note 90 お い て,・ ・ 」 …攻 撃 され た知 事 の命 令 は,取 消 され た 建 築 許 可 に 基 づ い て整 備 計 画 の 規 定 を尊 重 しな い ま ま に建 設 され て し ま った とみ な さな け れ ぽ な らな い建 物 の 建 設 か ら生 じた事 実 状 況 を も つぼ ら適 法 化 す る こ との み を 目的 とす る もの で あ った 。 この よ うな理 由 は,問 題 と され てい る命 令 を 適 法 な もの と して正 当 化 しえ な い 」 と判 示 した。 この よ うに,こ の判 決 は,都 市 計 画 プ ラ ンが,適 用 除 外 の許 容 され る要 件 を 例示 的 に しか 述 べ てい ない 場 合,列 挙 され た もの 以 外 の要 件 に基 づ く適用 除 外 は,都 市 計 画 に関 す る法 令 か ら引 き 出 され た 理 由 に よ の っ て のみ 認 め られ る こ とを 確 認 した の で あ る。 の Mandereau氏 判 決(1970年)は,さ と お りで あ る。Indre県 らに この 理 論 を 展 開 した 。 事 案 は 次 の 知 事 が 農 業 団 体 に サ イ ロの建 設 のた め の建 築 許 可 を 付 与 した 。 こ のサ イ ロの隣 接 地 の所 有者 で あ るM氏 は,こ の建 物 が,自 己 の 土 地 に損 害 を与 え る こ と及 び 全 国 都 市 計 画 規則 を定 め る1961年11月30日 付 デ ク レに 適 合 しな い こと を理 由に,取 壊 し訴 訟 を提 起 した。 そ の後,知 事 は この デ ク レ の20条 に基 づ い て,こ C.E.は,〈 の建 築 許 可 を 適法 化 す るた め に 適 用 除外 を 付与 した 。 都 市 計 画 に関 す る立 法 に 無 関 係 な理 由 は,適 用 除 外 の付 与 の 根 拠 と して は役 立 た な い。 建 築 許 可 の 被 許 可 者 の地 位 を 適法 化 す る こ とを 唯 一 の 目 的 とす る適 用 除 外 の命 令 は違 法 とな る〉 と判 示 し,適 用 除外 及 び建 築 許 可 を取 消 した 。 この デ ク レの20条 は,適 用 除 外 の手 続 しか定 め て お らず,実 体 的 な基 準 は定 め て い な い。 従 って,知 事 の 適 用 除 外 の 付 与 に お け る認 定 に は,広 く裁 量 権 の 行 使 が認 め られ る こ とに な るが,こ の よ うな場 合 で あ って も,都 市 計 画 法 か ら 導 かれ た理 由に 基 づ か な け れ ば,適 用 除外 は付 与 され ず,ま た,そ の 理 由に つ う き裁 判 官 が 判 断 し うる こ とが 確 認 され た の で あ る。 3) こ の 判 決 の 考 え 方 の 基 礎 と し て,前 4) C.E,16 janv.1970, 5)BLUMANNは,こ これ と と も に P・36・ 述 のClairval病 Sieur Mandereau, の 判 例 が<motif 院 判 決 が あ る。 Rec., tables, p.1240. d'urbanisme>の 理 論 を 確 立 し た 判 例 で あ り, 「裁 量 権 の 最 後 の と りで が 除 去 さ れ た 」 と い う4BLUMANN, op. cit., フ ラ ンス の都 市 計 画 法 に おけ る 《derogation>「 適 用 除 外」 につ い て の 一考 察 91 Martin氏 ラ 判 決(1970年)は,標 準 規 定 を 含 む 整 備 計 画 に つ き,適 用 除 外 が 都 市 計 画 立 法 か ら引 き出 され た理 由 に依 拠 して い る以 上 は,こ の 規 定 は,こ の 計 画 の あ らゆ る規 定 に対 す る適用 除外 を認 め る権 限 を知 事 に 与 え る,と して, 適 用 除 外 を 適 法 と した 。 7) Buisine氏 判 決(1972年)は,整 備 計 画 の 規 定 を 遵 守 して い な い と して既 に 取 消 され た 建 築 許可 に 基 づ い て建 築 され た 建 物 を 適 法 化 す るた め に知 事 が 付与 した 適 用 除 外 を取 消 した。 この整 備 計 画 に 定 め られ て い る適用 除 外 の条 件 が列 挙 され て い るが,そ の 冒頭 に 「特 に」 との 語 が 付 せ られ て い た 。従 って,知 事 は,列 挙 は,限 定 的 で は な く,適 法 化 の た め の 適用 除外 も 許 され る と 考 えた が,C.E.は,列 挙 が限 定 的 で は な い と して も,都 市 計 画上 の理 由 と無 関 係 な お 理 由 で適 用 除 外 を 認 め る こ とは で きな い と した の で あ る。 この よ うに,適 用 除 外 を め ぐる裁 量 権 の 行使 に,都 市 計 画 法 上 の理 由 とい う 一 般 的 な基 準 に よる制 限 が 課 せ られ る こ と とな った 。 6) C.E.,9d6c.1970, Sieur Martin, Rec., p.743. 7)C.E.,4fevr.1972, R. D. P.,1972, p.1539, note M. WALINE. 8) な お,《motif d'urbanisme>に 基 づ か な い 場 合,認 つ た も の が あ る 。C. E.,5juill.1972, う に 判 示 し た 。rFr6jus市 文 言 に よ れ ば,『40m以 定 の 明 白 な過 誤 に よる統 制 を 行 Espanol, R. D. P.,1973, p.548,は,次 復 興 整 備 計 画 に 付 せ られ た 整 備 プ ロ グ ラ ム6-4条3項 上 の 私 的 な ア ク セ ス(acces)は,6-1条 のよ の の 対 象 と され る 自 動 車 交 通 の 可 能 な 私 道 の 規 則 に 従 う。 五 つ 以 上 の 家 屋 の た め の ア ク セ ス に つ い て も 同 様 で あ る … … 。」 そ し て,6-1条2項 通 の 可 能 な 私 道 の 幅 員 は8m以 の 交 言 に よ れ ば,『 建 設 用 地 に 通 ず る 自 動 車 交 下 で あ っ て は な らず,車 れ ば な ら な い … … 。』… … そ の 上 にE氏 した 土 地 に は … …3.2mの て の)建 築 許 可 は,そ の6-4条4項 幅 員 し か な い … … 道 路 の み が 通 じ て い た 。(こ の 建 物 に つ い れ ゆ え,整 の 規 定 が,知 備 プ ログ ラ ム の 上 記 の条 項 した 。 この プ ロ グ ラム 事 に,… … 適 用 除 外 に よ っ て,よ 通 ず る 建 物 を 許 可 す る こ とを 認 め て い る と し て も,… に お い て,こ て,通 の 適 用 除 外 に よ りE氏 じ て い る 住 居 の 数 と,現 の 性 質 と を 考 慮 す る に つ き,知 る9J 道 には 二 車 線 が 整備 され な け が19の 住 居 を 含 ん だ 集 団 的 建 物 を 建 築 し よ う と …,上 り小 さ い 幅 員 の 私 道 が に 述 べ た こ と か ら,本 件 に 利 益 を 与 え る 必 要が あ る と み な す こ とに お い 存 す る道 路 に つ い て 適 用 除 外 の 申 請 者 が 行 使 す る 権 利 事 が,認 定 の 明 白 な 過 誤 を 犯 し た と い う こ とが 帰 結 す 92 〔6〕Limoges市 判決 裁 量 権 の 行使 の認 め られ る場 合 にお け る都 市 計 画 法上 の理 由 の理 論 に よる統 制 で も って適 用 除 外 の付 与 を 制 限 して きたC.E.の 判 例 は,さ らに, Limoges 1) 2) 市 判 決(1973年)に よ って新 た な段 階 に入 った とい わ れ る。 このLimoges市 判 決 は,公 益 性 の認 定 に 関す る裁 判 官 の権 限 を 拡 張 し,裁 量 統 制 に 関 して 画期 的 な 判 断 を 示 し たNouvelle-Est市 ま ず,こ のNouvelle-Est市 1966年 に,政 nisme>を 3) 判 決(1972年)の 判 決 に つ い て 簡 単 に 述 べ て お く。 府 は,Lille市 に お い て 「都 市 計 画 の 実 験 」 《experience d'urba・ 行 う こ と を 決 定 し た 。 こ れ は1万3千 創 り,2万 ∼2万5千 ど を 内 容 と し て い た が,取 年,建 人 の 学 生 を 有 す る総:合大 学 を 人 の 住 民 を 有 す る新 しい 都 市 をLille市 よ う と い う も の で あ っ た 。 こ の 事 業 は,土 部 分 は,近 地 の 収 用 や 約250の d'utilit6 publique)が 行 わ れ,こ 住 民 団 体 が 取 消 し を 求 め た 。 そ の 理 由 の 主 な も の は,自 よ そ100戸 NON;R. dence 3) juill.1973, Ville de Limoges, D. P.,1974, LONG, P.559, C.E.,28 mai concl. C, P.,1973. P. WEIL administrative,68 de defense 府 委 員Braibantの 論告 note Jean-Guy D. P.,1974, COLLIG・ p.1548, note G. LIET-VEAUX. et G. BRAIBANT, Les Grands arrets de la jurispru・ p.574. de 1'Equipement concernees et du Logement par le projet Est>, Rec., p.409, LINE;J. C. P.,1971.∬.16873, note HOMONT, WEIL loc・ciし1 et BRAIBANT, J.49, Rougevin-Baville;R. II.17575, ed.,1974, 1971, Ministre des personnes D.,1975 Nouvelle 4)LONG, 方行政裁判所は の よ うに 判 示 し た 。<控 訴 の 帰 属 効(effet devolutif de 1'appel) note M. WALINE;J. 2)V.,M. れ に 対 して 動 車 道 路 を 別 の位 置 に い う も の で あ っ た 。Lille地 公 益 性 宣 言 を 取 消 し た 。 控 訴 に お い て,C.E.は,政 C.E.,16 に こ の 住 居 の 取 壊 し を 免 れ る こ と が で き る の に,そ れ を 行 わ な い の は 公 益 を 欠 く,と 1) 家 屋 の 取 壊 しな 壊 し の 対 象 と さ れ た これ ら の 家 屋 の う ち の か な りの の 事 業 の 公 益 性 宣 言(declaration に 基 づ い て,次 の 東部 に 創 出 し 築 許 可 を 得 て 建 築 さ れ た も の で あ った 。1968年4月3日 通 す の で あ れ ば,お 4) 影 響 を受 け た も ので あ る。 concl. Braibant;R. actuellement D. P.1972, c. Federation denomme<Ville p.454, note M. WA・ フランスの都市計画法におけ る 《derogation>「 適用除外」についての一考察 93 に よ って,訴 え全 体 を管 轄 す るC.E.に,被 告 に よ って提 出 され た 別 の事 由を 検 討 す る権 能 が生 じる。〉 〈被 告 が 主 張 す る よ うに,土 地 取 得 価 格 の 評 価 は 一 件 記 録 か らは明 らか で は な い 。〉 「あ る事業 は,そ れ が含 む と こ ろの 私 的所 有権 の侵 害 ・財 政 の 規 模 ・あ り うべ き社 会 的 な不 便 が,そ の 事 業 が示 す利 益 に比 し て 過 度 な もの で な い 場 合 に のみ,公 益 性 を 宣 言 され る。」 「計 画全 体 の重 要 性 を 考 慮 して,そ れ の実 施 が一 定 の住 宅 用 家 屋 が 消 滅 す る こ とを意 味 す る状 況 は, この 事業 か ら,そ の公 益 性 を 取 り去 る性質 を有 す る もの で は な い。」 この 判 決 で は,公 益 性 の性 質 決 定 と裁 判 官 の 立 ち 入 る こと ので きな い 合 目的 性 の認 定 との区 分,す な わ ち,裁 判 権 的統 制 の可 能 な範 囲 と行 政 の 裁量 権 との の 境 界 が 問 題 と され た が,結 論 と して は原 告 の主 張 が 斥 け られ た もの の,前 者 が 広 く解 され,本 判 決 は,事 実 に関 す る越 権 裁 判 官 の 統 制 の 重要 な 一 段階 を なす も の と され て い る。 6) この 判 決 の 考 え方 は,そ の 後,い くつ か の判 例 で 採 用 され て お り,そ れ が 都 市 計 画 に 関 す る適 用 除外 の 分 野 に お い て導 入 ・確 立 され た のがLimoges市 決 に お い て で あ る。Limoges市 判 判 決 の 判 旨は次 の よ うに い う。 「都 市計 画 規 則 に よ って規 定 され て い る この 基 準 の適 用 除 外 は,そ の 規則 の規 定 が 保 護 す る こ とを 目的 とす る一 般 利 益 に もた らされ る侵 害 が 適用 除 外が 示 す 一 般 利 益 に 比 し 5)WALINE, note de R. D。 P.,1974, pr6cit6, p。262. 6)V.,WALINE, BANT, note de R. D. P.,1974, pr6cit6, p.263;LONG, op. cit., pp.569 civile Sainte-Marie et s.一 de l'Assomption, げ る 。 こ の 事 件 で は,Nice市 関 す る 公 益 と,県 そ し て,起 つ だ け,例 et BRAI・ Societe R. D. P.,1973, p.843, concl. Morisot,を を 通 りProvenceとItalieを 挙 結 ぶ 自動 車 道 路 の 実 現 に 立 精 神 病 院 の 統 合 性 の 尊 重 に 関 す る公 益 と の 対 比 が 問 題 と され た 。 伏 の 多 い 地 勢 に よ っ て 他 の 道 筋 の 選 択 が 困 難 な こ と,病 移 転 は 財 政 上 困 難 で あ り,暫 た 。 政 府 委 員Morisotは,治 院 の他 の 場所 へ の くは 不 可 能 で あ る こ と な ど が 問 題 を 複 雑 な も の と し て い 療 に は 静 け さ と 緑 地 と い う二 つ の 条 件 が 最 大 限 に 保 護 さ れ る べ き で あ る こ と を 主 張 し,C. E.は し た う え で,道 WEIL と し て, C. E.,200ct.1972, こ れ に 基 づ き,利 路 の 計 画 の 一 部 取 消 し とい う形 で,道 益 と不 利 益 を詳 細 に認 定 路 の 道 筋 を 若 干 変 更 し,ま た, 当 初 の 計 画 よ り も 少 な い 部 分 に つ い て の 病 院 の 取 壊 し を 認 容 し た の で あ る 。V., AUBY et DRAGO, op. cit., p.404.な お,次 注10)の 諸 文献 を も参 照 。 94 て,'過 度 で ない 場 合 に の み 認 め られ る。」 (以 下,叙 Limoges市 述 の 便 宜 上,こ の 部分を 判 決 の 公 式 とい う。)〈本 件 に お い て は,適 用 除 外 は,ど の よ うな一 般 利 益 か ら も正 当化 され な い 。〉 この判 決 につ き,CHAPUISATは,〈 この判 決 に,あ ま り説 得的 な と ころ が な い こ とは,う ま くあ ては め る こ との で きな い 考 え方 を この事 件 に 適 用 した こ とに 由来 す る。Nouvelle-Est市 判 決 にお い て は,公 益 性 宣 言 の示 す 一 般 利 益 と,計 画 され た事 業 か ら生 ず る社 会 的 秩 序 の 混 乱 な どの 一般 的 な不 便 との対 比 が 問題 に され た ので あ る。Limoges市 判 決 で は,い ず れ も一 般 利 益 が 問題 とさ れ て い る の で あ る〉 と批 判 す る 。 ま た,WALINEは,〈Limoges市 式 は,ご く月 並 み な も の と思 わ れ る 提 言 で あ り,む で あ る 〉 と す る が,適 用 除 外 は,規 判 決 の公 し ろ ほ と ん ど トー ト ロ ジ ー 用 除 外 が 一 般 利 益 に 基 づ く こ と が あ る こ と を 認 め,〈 適 則 も し く は 法 律 自体 に 定 め られ た 場 合 に あ て は ま る と き に の み, ラ 法 的 に 正 当 で あ る〉 とい う と きに,適 用 除 外 の要 件 と して の 一 般 利益 性 を承 認 し,Limoges市 判 決 の 公式 を肯 定 す る よ うに 思 わ れ る。 そ して, BLUMANN が 「こ の判 決 の 冒 頭 に あ るconsiderant(Limoges市 … …原 則 的 な 公 式 を 構 成 し,C.E.の 判 決 の 公 式 の こ と)は, 判 例 を確 立 した 。 この 判 決 の射 程 距離 は 広 い。 これ 以 後,す べ て の 適 用 除 外 が 一般 利 益 上 の理 由に 根 拠 を 置 か な け れ ば な らな い のみ な らず,裁 判 官 は,こ の 一般 利 益 が存 在 す るか 否 か を 認 定 す る権 限 を有 す る。」 「この 作業 が微 妙 な もの で あ る と して も,Limoges市 って,C.E.は,適 用 除 外 に 関 す る統 制 を強 化 す る こと を可 能 に させ る新 しい の 道 具 を 与 え られ た 」 と 述 べ,ま 7) CHAPUISAT, 8)WALINE, た,GOLLIGNONが,<こ 政に op. cit。, p.9. op. cit., p.22.し (少 な く と もP.0,S.の)は,最 に(brutalement)入 か し, BLUMANNは,別 の と こ ろ で,「 適用除外 大 限 の 統 制 も し くは 合 目的 性 の 統 制 の 領 域 に,手 荒 っ て い く 。 … … こ の 興 味 深 い 変 化 に は 批 判 が な い で も な い 。(都 市 計 画 規 則 と適 用 除 外 の)二 認 定 を 任 せ る に つ ぎ,活 つ の 一 般 利 益 の 対 比 は,容 易 に は 行 え な い。 この よ うな 動 行 政 よ り も裁 判 官 の 方 が 必 要 な も の を 備 え て い る の で あ ろ うか 」 と述 べ て い る 。C. BLUMANN, 玉977,p.33. の 判 決 は,行 note de R. D. P.,1974, precite, p。264. 9) BLUMANN, 判決に よ Drolt de rurbanisme,(memento Dalloz), フ ラ ン ス の 都 市 計 画 法 に お け る<derogation>「 適 用 除 外 」 に つ い て の 一 考 察 95 よ って 認 め られ た都 市 計 画規 則 に 対 す る適 用 除 外 の要 件 の統 制 に関 す る越 権 裁 10) 判 官 の 権 限 の 顕 著 な 拡 張 を 証 言 す る〉 と述 べ る よ う に,Limoges市 判 決 は,そ 11) の 後 の判 決 に踏 襲 され る ので あ る。 そ して,「 一 定 の程 度 に おい て,(裁 判官 の)固 有 の事 実 の認 定 を,行 政 に よ って行 われ たそ れ と お きか え る こ と とな っ た 。」 「この領 域 に お い ては,行 政 の 自由裁 量 権 に関 す る伝 統 的 な 理 論 を 考慮 す 12) れ ば,従 来,裁 判 官 が な し え た 以 上 に,現 在,裁 判 官 は 進 ん で い る 」 こ と と な った の で あ る。 〔7〕Limoges市 Limoges市 判決以後 判 決 の 直 後 か ら, Limoges市 出 さ れ る よ うに な っ た 。 1) Pouvreau夫 人 判 決(1973年)は 知 事 は,Courot氏 の プ ラ ンが,幅 10) な お,磯 にPornic市 員4.9mの 判 決 の公 式 をそ の ま ま用 い る判 決 が 次 の よ うな も の で あ る 。 Loire-Atlantique 都 市 計 画指 導 プ ラン の適 用 除 外 を 付 与 した 。 こ あ る 街 路 沿 い に 建 物 の 建 築 を 認 め る た め に は,建 部 ・前 掲 論 文(公 法 研 究38号)250頁 参 照 。Nouvelle-Est市 判 決を 起 点 と す るLimoges市 <bilan-co飢 度 に ま で 行 政 の 判 断 に 自 己 の 判 断 を 代 置 し うる か と い う点 に つ き,新 し て い る 。 R.SAVY, principe general du droit∼le Waline, t.豆.1974, Melanges la determination 11) 判 決 な ど に み ら れ る 理 論 は,色 一avantage>・ p.552;G. お, J. LEMASURIER, WALINE, 日東 京 高 裁 判 決,判 田 村 悦 一 ・芝 池 義 「 例 評 論 』178号(1973年)135頁 が 国 の,い in Melanges Le role du juge administratif dans Waline, t.∬, p.811参 わ ゆ る 。 日 光 太 郎 杉 判 決(昭 例 時 報710号23頁)が ・112号(1973年)156頁 以 下,原 以 下,塩 度 重 要 判 例 解 説 』 (1974年)41頁 害 ・環 境 判 例 』(1974年)181頁 が 問 題 と さ れ て い た 公 用 収 用 に お い て,公 以 下 参 照 。 特 に,芝 以 下,浜 池 氏 は,従 秀 和 『ジ ュ リ ス ト公 来,公 益 と私 益 の 対 比 益 と公 益 と の 対 比 が 問 題 と さ れ て い る こ と ・の 意 義 を 強 調 し て い る 。 1) C.E.,23 op. cit. p.474. nov.1973, 野 宏 『判 田 尚 彦 『判 例 タ イ ム ズ 』301号(1973年),同 12) J.一P.GILLI, 照。 和48年7月13 想 起 さ れ る と こ ろ で あ る 。 本 件 評 釈 と し て, 『立 命 館 法 学 』111号 『ジ ュ リス ト昭 和48年 た な 問題 を 呈 示 Ver un nouveau' Le principe de proportionnalite,1R de l'utilite publique, in Melanges これ らの 一 連 の 判 決 か ら,我 え ば, 判官 が ど の程 principe<bilan-coiut-avantages>, BRAIBANT, Waline, t.皿. p.297;J. 々 と 名 付 け られ て い る が(例 利 害 得 失 対 照 の 原 理 一 磯 部 氏 の 訳 に よ る),裁 op. cit., p.67.な 物 Dame veuve Pouvreau, R. D. P.,1974, p.1548. 96 は 道 路 軸 か ら少 な く と も m離 れ て 建 て られ るべ き とい う要 件 を 免除 した の で あ る。 そ して,こ の プ ラン は,適 用 除 外 に つ い て 標 準 規 定 の 文 言 で も ってそ の 条 件 を 定 め て い た。C.E.は, Limoges市 判 決 の公 式 を 述 べ た うえ で,<一 方 で この 適 用 除 外 の 命 令 の理 由説 明 に反 し て,こ の 適 用 除 外 が 「建 物 の合 理 的 な 整 備 のた め の 全 体 的 な 計 画」 を可 能 とす る こ とを そ の 目的 も し くは効 果 とす る こ とは 一 件 記 録 か らは 帰 結 しな い。 他 方 で,C氏 に 認 め られ た 適用 除外 が,問 題 の街 路(こ れ は,階 段状 の上 部 に あ り,こ の こ とに よ って,拡 張 もで きず, 自動 車 の交 通 に も開 放 され て い な い)の 特 別 の性 格 に よ って 基 本 的 に は 正 当化 され る と して も,こ の 適用 除 外 は,都 市 計 画 規 則 が 保 護 し よ うとす る一 般 利 益 に もた らされ た 侵 害 を 正 当 化す る一 般 利 益 に は 根 拠 を お い て い な い〉 と して, 適 用 除 外 を 取 消 した 。 Robinet夫 ラ 人 判 決(1973年)も,政 あ り,Limoges市 府 委 員Braibantの 論 告 に基 づ く もの で 判 決 と同様 の 判 旨を述 べ る。 この 事 件 で 問題 とな った 都 市 計 画 プ ラ ン の 適 用 除 外 の 条 件 と し て 二 つ が 課 せ ら れ て お り,そ と さ れ た の は,相 の うち で 問 題 隣 関 係 と 両 立 し う る と い う条 件 を 充 足 し て い る か 否 か で あ っ た 。Braibantは,こ の 点 に つ い て の 行 政 の 認 定 は,こ の よ うな 条 件 が 定 め ら れ て い る 場 合 に は,前 述 のPernot氏 動 産 会 社 判 決 で示 され て 判 決 やManoir不 い る よ う に,通 常 の 統 制 が 保 障 さ れ て い る と確 認 し た う え で,高 越 え る26m50の 建 物 の 建 築 は,大 た,よ 度 制 限 を8彿 幅 な 適 用 除 外 に 基 づ く も の で あ る こ と,ま り多 額 の 収 入 を そ れ か ら 得 よ う とす る 純 粋 に 財 政 及 び 商 業 上 の 理 由 に 基 づ く こ と,そ す るLimoges市 し て,一 般 利 益 上 の 必 要 か ら適 用 除 外 が 認 め られ る べ き で あ る と 判 決 の 公 式 か ら考 え れ ば,そ は これ を 認 容 し た 。 ヨ ラ Cabinet Fuvillol会 社 判 決(1976年)も,標 れ は 違 法 で あ る と 述 べ, C.E. 適 用 除 外 に つ い て,Limoges判 2) C.E.,12 d6c.1973, 3) C.E.,11 f6vr.1976, Dames Soci6t6 準 規定 に よ って 規 定 され て い る 決 の 公 式 を 認 め て,そ Robinet Cabinet et Flandre, FuvUlol, れ を 取 消 し た 。 ま た, D・,1975. R・D. J・216, concl・Braibant・ P.,1976, p.1094・ フ ラン スの 都 市 計画 法 に お け る<derogation>「 適 用 除 外 」 につ い て の一 考 察 97 ゆ S.0.S.組 合 判 決(1976年)も, Limoges市 判 決 の 公 式 を 述 べ た うえ で, 〈本 件 に お い て は,Paris市 都 市 計 画 指 導 プ ラ ン に 付 さ れ た 規 則 の 適 用 除 外 は, い か な る 一 般 利 益 か ら も 正 当 化 さ れ な い 〉 と判 示 し た 。 上 記 の よ うに,Limoges市 判 決 は,確 立 し た 判 例 と な り,そ れ の 文 言 が 多 く の の判 決 に,そ の ま ま用 い られ て い るの で あ る。 〔8〕 小 指 一 裁 判 的統 制 の現 状 と限 界 一 1960年 代 初頭 か ら,適 用 除 外 につ い ての 訴 訟 受 理 性 が 認 め られ,ま た,当 事 1) 者 以 外 の第 三 者 に よ る訴 訟 も,判 例 一 般 の 展 開 に 応 じて認 め られ て お り,さ ら に,適 用 除 外 に 関 す る 行 政 の 認 定 に つ い て 訴 訟 に よ って 争 わ れ る よ うに な っ た 。 この適 用 除 外 に関 す る行 政 の 認 定 に 対 す る行 政裁 判 所 の統 制 の仕 方 及 び 程 度 は,適 用 除 外 を 定 め る規 則 の 規定 の 内 容 に応 じて,多 様 で あ った 。 そ の 展 開 の初 期 には,統 制 は 最小 限 の 統 制 に 限定 され て い た。 それ に対 し,1965年 か ら,最 小限 の統 制 の 中で も明 白な 過 誤 に よ る統 制 が 行わ れ,ま 頃 た<motif de 1'urbanisme> .の理 論 に よ る統 制 が 展 開 し,ま た,さ らに は,.Limoges市 判決に み られ る よ うな 一 般 利 益 の均 衡 の理 論 に よ る統 制 が 行 わ れ るに 至 って い る。 こ の こ とか ら,裁 判 所 は,適 用 除 外 に 関 しては,事 案 に 則 して,で き る限 り厳 格 な 統 制 を 行 お う とす る態 度 を とっ て い る こ とが 確 認 で き よ う。 4) C.E.,26 5)そ mai 1976, Association の 他 の 判 例 と し て,次 ment et du Logement note Paul は,認 Ministre で は,財 c. Consorts LOUIS-LUCAS;J. 定 の du Territoire MORAND, d'urbanisme, 以 下,参 納 税 者,地 照 。 p.248. Ministre de 1'Equipe・ et autres, A. J. D. A.,1975.12. p.574, note G. LIET-VEAUX,で C. Laurent, E,13 R. D. P.,1975. 政 的 に 好 都 合 な 条 件 で 施 設 を 実 現 す る こ と を 唯 一 の 目的 janv.1975, p.1156. と す る'よ う な 適 法 化 市 計 画 に 無 関 係 な 理 由 に 基 づ い た も の で あ る と され た 。 Le droit des tiers au respect, J. C. P.,1974.2661.な る一 考 察 一 フ ラ ン ス に お け る ntationと Metras R. D. P.,1977, E.,40ct.1974, C. P.,1975.■,17964. de 1'Amenagement Jacqueline regles S. Paris, 明 白 な 過 誤 の 理 論 に よ る 統 制 が な さ れ た 。 ま た,C. の た め の 適 用 除 外 は,都 1) S.0. の も の が あ る 。C. 『国 民(住 お,村 民)代 域 住 民 の 原 告 適 格 一 」 上 順 par les constructeurs, des 「越 権 訴 訟 の 訴 の 利 益 に 関 す 表 制 の 原 則 』Le pricnipe 『神 奈 川 法 学 』12巻1号(1977年)1頁 de represe・ 98 この よ うな統 制 は,特 に,Manoir不 動 産 会 社 判 決 以 降 に お い て は,事 実の 法 的 性質 決定 の統 制 を行 うこ と もあ り,全 体 と して,通 常 の統 制 が確 保 され る 傾 向 に あ る こ とが 指 摘 され よ う。 も っ と も,最 小 限 の統 制 と通 常 の統 制 の区 別 2) も必 ず し も厳 格 な もの で ない と もい わ れ て お り,ま た,本 稿 の 目的 は,適 用 除 外 に つ い て,そ の いず れ が 確 保 され て い るか を 結論 すべ き こ とで も な い ので, こ こで は,上 記 の確 認 をす るに と どめ て お く。 そ して 行政 実 務 も,判 例 に促 が され て,適 用 除 外 を利 用 し うる場 合 を限 定 す る意 思 を み せ て い る。 例 えば1972年3月17日 3) の通 達 で あ る。 この 通達 は,適 用 除 外 が 認 め られ る場 合 と認 め られ な い場 合 の 区 別 の基 準 に つ い て 述べ る。 第 一 に,ど の よ うな 場 合 に あ って も,適 用 除 外 の対 象 とす べ きで な い もの と して, 緑 地 帯 ・森 林 地 帯 の 保 護 に 関す る規 定,重 要 な公 的 施 設 の 実 現 や 建 築用 地 に 関 す る規 定 が あ げ られ る。第 二 に,部 分 的 に で あれ ば,適 用 除 外 に よ って変 更 し て よい も の と して,公 道 の 建 築 線 な どの 建 物 の 位 置 に 関 す る 規 定 が あ げ られ る。 第 三 に,建 蔽 率,高 度制 限 な どの,建 物 の外 観 や 土 地 の 占有 に 関 す る規 定 につ い て は,必 要 に応 じて,適 用 除 外 が 認 め られ る とす る。 そ して,ま た,適 用 除 外 は,地 勢 に よ って 必要 と され る微 小 な もの に限 られ るべ きで あ る と指 示 4) す る。 こ の よ うな,適 用 除 外 に 対 す る厳 格 な裁 判 的統 制 の傾 向 に もか か わ らず,な お も不 十 分 さが 残 る とす れ ば,《motif de rurbanisme>や が,や 一 般 利 益 とい う基 準 は り一般 的 な もの で あ り,不 明 確 さが 残 る と い うこ とで あ ろ う。 そ し て,行 政 訴 訟 制 度 全 般 にか か わ る不 十 分 さ も残 る。 す なわ ち,最 大 限 の 統 制 が 2) B.ODENT, par BLUMANN, op. cit(Dr. 3) CHPUISAT, 4)例 え ば,こ Contentieux administratif, op. cit., p.11;な adm.), pp.225 cours I. E. P.,1970-1971, お, BAGUENARD, et 226;PACTEAU, p.1543, cite op. cit., p.325;RIVERO, op. cit.,250et 251,参 照 。 op. cit. p 12. の 通 達 の,最 ら れ て い る 。 た だ し,当 が あ っ た 。CHAPUISAT, 後 に 示 し た 部 分 は,現 時 は,現 実 は,必 loc. cit. 行 都 市 計 画 法 典L.123-1条 ず し も,通 達 の と お り で は な い,と に 定 め の 指 摘 フ ラ ンス の都 市 計 画 法 に おけ る 《derogation》 「適 用 除外 」 につ い て の一 考 察 99 5) 限 定 され て い る こ とを は じめ,国 に対 して 執 行 を 求 あ る手 段 が な い こ と,訴 訟 6) 6) 7) 手 続 が 緩 慢 な こ と,出 訴 期 間 の問 題,取 消 判 決 の 拘 束 力 の 問題,執 行停 止 の例 8) 9) 外 性,そ れ に,既 に 建 築 され て し ま った 建 物 の 取 壊 しが 困難 な こ と な どで あ 10)11) る 。 お わ り に 「計 画 の優 位 」 が 特 徴 と され る第 五 共 和 制 に お い て,計 画 の柔 軟 性 ・順 応 性 を確 保 す るた め に,個 別 的 決 定 とい う形 式 で も って,行 わ れ て きた の が,適 用 除 外<derogation>で あ り,こ の期 の フ ラ ン ス 都 市 計 画 法 の 一 つ の 特 徴 と さえ いわ れ てい る も ので あ る。 計 画 化 の 要 請 が 高 ま って い る反 面,何 故 この よ うな 技 術 が 広 く用 い られ るの で あ ろ うか 。 一 般 に,計 画 の 必 要 性 が,行 政 に つ い て の長 期 の見 通 し の必 要,す な わ ち, 一 定 の 期 間 を 通 じて の 時 代貫 通 的 な 行政 の方 針 の存 在 の必 要 性 や ,総 合 的 な 行 政 施 策,す な わ ち,行 政 領 域 に つ い て も空 間 につ い て も固 定 的 な 境 界 を越 え, また,個 々の 利 害対 立 状況 を超 え て行 政 施 策 を 呈 示 し うる よ うな 行政 の方 針 の 必 要 性 と して論 じ られ て い る とい っ て よいで あ ろ う。 と同 時 に,行 政 施 策 の上 位 に あ る国 家 政 策 が 国際 環 境 ・経 済 状 況 ・社 会 事情 の 変 化 に 対 応 す る に際 し て,行 政 施策 が,そ れ らと無 関 係 に 断 片 的 に 行 わ れ るの で は な く,上 記 の長 期 5) 阿 部 ・前 掲 書171頁 以下 参 照 。 6) 邦 文 文 献 と し て は,田 67-2号(1968年),山 7)小 早 川 光郎 中館 照 橘 口俊 夫 『フ ラ ン ス 行 政 裁 判 制 度 』 国 立 国 会 図 書 館 調 査 資 料 『概 説 フ ラ ン ス 法 』 上(1978年)241頁 以 下 参 照。 「取 消 判 決 の 拘 束 カ ー 越 権 訴 訟 に お け る 取 消 の 観 念 に 関 す る 一 考 察 」 『法 学 協 会 雑 誌 』93巻4号(1976年)1頁 以 下 参照 。 8) 広 岡 ・前 掲 書 参 照6 9) Marie-Aim6e LATOURNERIE, Reflexions sur 1'evolution recente du permis de construire, E. D. C. E.,1970, p.50. 10) V.,1.一P.GILLI, 11)な お,平 op. cit. 田 和 一 「フ ラ ン ス に お け る 行 政 裁 判 一 行 政 に 対 す る 裁 判 コ ン ト ロ ー ル の 実 効 性 を め ぐ っ て 一 」 『法 政 論 集 』(名 古 屋 大)76号(1978年)は,フ 制 度 全 般 に 関 わ る 統 制 の 不 十 分 さ を 詳 し く 分 析 し て い る。 ラ ンス の 行政 訴 訟 100 性 や 総 合 性 を確 保 しつ つ,行 われ る のを 可 能 に す る こ とが 計 画 に 期 待 され て い ユ う る。 も し,計 画 の 内 容 を この よ うに把 握 す る こ とが で き る とす れ ぽ,計 画 は, 自 らの 内 に,一 定 の 固定 化 の要 請 と一 定 の 柔 軟 化 の 要 請 とい う矛 盾 を有 し て い る こ とに な る。 この意 味 で,フ ラン ス都 市 計 画 法 に お け る適用 除 外 の大 幅 な利 用 を理 解す る こ とが で き よ う。 そ して,ま た,本 稿 の対 象 と した の が一 応 規 則 2) 性 の認 め られ て い る計 画 領 域 で あ った た め,そ れ の 適 用 除 外 を 個別 的行 為 とし て構 成 す る ことが で きた とい え よ う。 す な わ ち,ほ ぼ,従 来 の 行政 法 学 の枠 内 で,そ れ を考 察 す る こ とが で きた の で あ る。 そ れ ゆ え,C.E.に よるそ れ の裁 量 統 制 もまた,従 来 か らの裁 量 統 制 理論 の展 開 の延 長 線上 に位 置 づ け られ る の で あ る。 そ して,現 状 に 柔 軟 か つ 現 実 的 に対 処 す る フラ ン ス の学 説 ・判 例 の こ の よ うな態 度 に 注 目す べ きで あ り,ま た,そ の 中 で,都 市 計 画 法 上 の理 由の 理 論 やLimoges市 判 決 の公 式 の よ うに,一 定 の程 度 に おい て,個 別的具体的状 況 に 対 応 し うる理 論 は,な お不 明確 さ は残 る も の の,興 味 深 い もの で あ る。 計 画 法 の 特 徴 と して,上 に 述 べ た もの の 他 に,特 に 法 規 の 事 後 性 ・非順 応 性 ・硬 直 性 ・一般 性 に対 す る誘 導 性 ・順 応 性 ・柔 軟 性 ・個 別 具 体 性 が挙 げ ら る 3) こ とが 多 い 。 思 い つ くま まに述 べ れ ば,こ の 意 味 に お い て フ ラ ンス の計 画 行政 4) の 法 理 を 理 解 し よ う と す れ ば,誘 導 性 を 大 き な 要 素 とす るplanification,裁 の 量 統 制 の 緩 和 が 指摘 され て お り法 規 に 対 す る柔 軟 性 が 問 題 と され るで あ ろ う経 済 行政 法,具 体 的状 況へ の順 応 性 を結 果 と して 確 保 す るた め の,そ して,個 々 の の 利 害 の 対 立 状 況 を 調 整 す る も の と し て のparticipationやconcertation,そ 1) 遠 藤 2) Andre ・前 掲 書 参 照 。 de LAUBADERE, 皿,1970,PP.420 Henri 3) 4)手 5) 遠 藤 Le statut 部 R-E. elementaive CHARLIER, juridique de droit administratif,50 Le plan et le droit, des plan frangaise,1973, ed., t, p'face p.41Q. ・前 掲 書 参 照 。 島 孝 V.,R. Traite et s.;V., JACQUOT, 『行 政 国 家 の 法 理 』 (1976年)154頁 SAVY, Le controle de radm三n量stration, 6)磯 れ に ・前 掲 論 文(公 juridictionnel A. J. D. A.,1972.1. 法 研 究38号)242頁 以 下 参 照 。 de la legalite des decisions PP.3et 以 下 参 照 。 s. economiques inre フ ラ ンス の都 市 計 画 法 に おけ る くderogation》「適 用 除 外 」 につ いて の 一 考察 101 都 市 計 画 法 の 枠 内 で は,Z.A.C.やZ.1.F.等 々 の 諸 制 度 やprospectifな 7) 性 格 を もつ 制 度 な どの そ れ ぞ れ に お い て,行 政 活 動 をめ ぐる法 理 が 解 明 され た うえで,そ して,政 策 性,総 合性 な どを法 的 に 理 解 して は じめ て,フ ラ ンス 計 画 行 政 法 の 全 体 の構 造 が理 解 され るの で は ない か と思 わ れ る。 た だ し,計 画 行 政 法 とい う包括 的 な 体 系 が い か な る 意 味 で 存 在 し うる か とい うこ とは,さ に,検 討 課題 と して残 るで あ ろ う。 ※ な お,本 稿 で使 用 した外 国文 献 略 語 の原 名 は以 下 の とお りで あ る。 A.」.D. Actualite A. juridique D。 Recueil D,S. Recueil Dalloz E.D. Etudes et documents C. E. Gaz. Pal. Gazette J.C, P. Juris-classeurs R.D. Revue P. 7) Cf,, Ph, CHAPAL, aCaractere"prospectif", prospectif 8)WALINE, dans du Conseil d'Etat periodique Lebon du droit public Recueil S. et Sirey du Palais Recueil Rec. Droit administratif Dalloz et de la science politique Sirey Recherche sur la notion et le regime A. J. D. A.,1968.6.323;Michel la loi d'orientation op. cit.(」. C. A.),は,従 こ れ ら の 諸 制 度 を 含 む 個 別 的 な 制 度 fonciere, 来,教 des actes juridiques BAZEX, R. D. P.,1970, L'616ment p.855. 科 書 な ど で 行 っ た 説 明 の 仕 方 を 変 え, ・論 点 に つ い て,順 次 説 明 し て い るg ら