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クリニカルパスにおける医薬品の禁忌、相互作用警報システム
1-H-2-3 クリニカルパス/一般口演:クリエカ jレパス クリニカルパスにおける医薬品の禁忌、相互作用警報システム 岡田修大星直樹吉原博幸 京都大学塁学部附罵病院毘療情報部 Developmento fA l e r tSystemo fC o n t r a i n d i c a t i o nandDrug I n t e r a c t i o ni nC l i n i c a lPath OKADAOSAMU OHBOSHINAOKI YOSHIHARAHIROYUKI DepartmentofMedicalI n f o r m a t i c s ,KyotoU n i v e r s i t y A b s t r a c t :I nt h i sp a p e rt h ea u t h o r sshowhowt od e s i g na n di m p l e m e n taw a r n i n gs y s t e mo fc o n t r a i n d i c a t i o n sa n d d r u gi n t e r a c t i o n si nC l i n i c a lP a t h( C P ) .Weh a v ed e v e l o p e de l e c t r o n i cCPs y s t e m sa n dab e n c h m a r ks y s t e mo f C P s .T h e s es y s t e m sa r eb a s e do nm o d e l i n go fCPi nX間 L Toi m p r o v eo u rs y s t e m s ,weh a v ed e v e l o p e da m e d i c a t i o nc h e c k i n gt o o li nC P :T h i ss y s t e me n a b l e sm e d i c a le n g a g e r st oc e r t i f i c a t es a f em e d i c a t i o ni nC P . Keywords:C l i n i c a lP a t h ,M e d i c a t i o n ,A l e r tS y s t e m ,XML 1 . は乙めに 我々はクリニカルパス(以下パス)の電子化をめざ し 、 XMLによるパスの記述モデ、ノレと相互比較方式 について研究してきた 1,2)。パスはケアの標準化の 手法であるが患者の病態は多様であるため、パス の適応患者に対する安全性確認は重要である。 本稿ではパスが指定する与薬にともなう安全性の チェックに注詞し、適応されたパスが指定する医薬 品の患者への禁忌や医薬品開相互作用を確認し、 不適切な与薬の場合は注意を促すシステムの開発 について報告する。 2 .方法 現病歴や既往麿に使用されている病名は、その階 層構造内を反映して記述されているとは限らない。 また、与薬の安全性確認の根拠となる、医薬品添 付文書内の禁患や相互作用についての記述には あいまい性がある。本稿では、病名の階層構造を 明確にし、禁忌や相互作用の記述のあいまいさを 排除するために、病名、医薬品の販売名、一般 名、分類名、禁忌、相互作用のデータベースを 作成した。そしてこのデータベースを使用して、適 応予定のパスに記述された医薬品が当該患者に安 全かどうかを検証する、与薬チェックシステムを構築 し た 。 2 . 1病名の階層構造テーブルの作成 現病歴または既往歴に使用される病名の階層構造 を既存のデータベースをもとに定義する。「胃潰擦 し 1うような階 は消化性潰療を上位の病名に持つ jと 層構造を記述する。 2 . 2医薬品名テーブルの作成 霞薬品添付文書、標準医薬品マスター、薬価基 準収載庖薬品コードから以下のテーブノレを作る。 2 . 2 . 1レセプト電算処理システム医薬品名、販 売名の対応テーブル r vセプト電算処理システム医薬品名 jは匿療靖報 システム開発センターが開発した「標準医薬品マス ター(通称 HOT番号) J 刊こ含まれ、「処方舟番号 (HOT7)Jや「薬価基準収載医薬品コードjと粒度 が等しく、販売名を詳細にした名称である。これは 薬剤費計算にも使用で、きる E 主薬品名称で、あり、本 稿で 医薬品の販売名は現病歴、既往歴の記述には多く 使われている。この間者の対応テーブノレを作成す る 。 2 . 2 . 2販売名、一般名の対応テーブル ~薬品名には販売名と一般名があり、現病歴、既 往歴には販売名が多く使われている。一方、医薬 品添付文書の禁忠や相互作用の対象医薬品名と しては、分類名、一般名や「本剤の成分Jとしづ 記述が使われている。販売名と一般名は多対ーの 関係にあるのが一般的であり、この対応をテーブル にする。 2 . 2 . 3販 売 名 、 医 薬 品 分 類 薬価基準収載医薬品コードや薬理学教科書4)等を もとに、販売名が医薬品分類の階層構造において どう位置づけられるかをテーブルにするの。例え ば、「セフゾンはセフェム系抗生物質を上位の医薬 品として持つ」と記述する。 2 . 2 . 4医薬品分類、作用機序 薬理学教科書4)等をもとにして、毘薬品分類と作用 機序の対応をテーブノレにする。例えば、三環系抗 うつ剤は上位に抗うつ斉りとし 1う分類を持つが、三環 系抗うつ斉j l が抗コリン作用を有することも考慮して、 テーブノレを作成する。 2 . 2 . 5販売名、禁忌、となる症状楊現病名 a 概 往歴、禁忌内容の対応チーブル 販売名で表わされた医薬品が禁忌または原則禁忌 となる症状、現病名や過敏症の既往歴と禁忌内容 (禁忌または原員j l 禁忠)の対応テーブルを罷薬品 添付文書をもとに作成する。ここで使用されている 現病名・既往歴の病名指層はさまざまであり、階層 表現したときの深さを明確にする必要がある。ま 医療清報学 2 3( S u p p l . ) ,2 0 0 3 539 1-H-2-3 クリニカ jレパス/一般口演:クリニカルパス た、過敏症の既往歴の記載において、原因監薬 品名として分類名、一般名が使用されているが、 「本剤の成分j品、うような記述が使用されていて、 その記述が間接的であいまいな場合も存在する。 例をあげると、ドノレミカム注の禁忌の記載には、「本 斉日の成分に対し過敏症の既往歴のある患者jや「急 性狭隅角緑内障のある患者jなどの多様性がある。 2 . 2 . 6販売名、併用禁忌・併用注意となる医 薬品名、禁忌内容の対応、テーブル 販売名で表わされた医薬品が相互作用により併用 禁忌または併用注意となる医薬品名と相互作用内 容(併用禁忌または併用注意)の対芯テーブルを 臣薬品添付文書をもとに作成する。ここで、相互作 用による併用禁忌や併用注意の対象となる医薬品 名は、分類名または一般名で記述されているので、 医薬品名の階層構造を明確にする必要がある。 例をあげると、ボ、ノレタレンサポの併用注意には、 ニューキノロン系抗菌剤(エノキサシン等)やフロセ ミドなどがあるが、これらは医薬品名を階層表現した ときの深さが異なっている。 2 . 3対象疾患のクリニカルパスを XMし で 記述 対象となる疾患のクリニカノレパスを XMLで記述して おく(図 1 。 ) XMLでの記述規則は我々が提案した もの勺こ従った。 2 . 4パスの解析と情報抽出処理 2 . 4 . 1抽出の対象とする構報 本システムにおいて、患者基本情報と、 XMLで記 述されたパスが指定する医薬品情報から抽出する 惜報を表 lに示す。 2~4.2 パスの解析と情報抽出処理の手腰 パスの解析と’情報抽出処理の手順は以下のとおり である。 ( 1)現病歴、既往歴などの患者基本情報 データベースから、( 1 ・1 )合併症、(ト2)陸薬品に よるショックや過敏症の既往歴、( 1 3)患者が日常 的に使用している常用薬、の情報を得る。(2 1 ) XMLで、記述されたパスを解析し、与薬予定の医薬 品情報を抽出する。(22)XMLで、記述されたパス が指定する底薬品が禁忌または原則禁忌とされる 患者の状態を得る。ここで患者の状態としては、現 病麗または既往歴、与薬中の医薬品、ショックまた は過敏症の既往歴などがある。(23)XMLで記述 されたパスが指定する援薬品が相互作用におい て、併用禁忌や併用注意とされる対象匿薬品名を 得るの。なお前述のとおり、パスに記述する医薬品 名は、「レセプト電算処理システム医薬品名 Jを採 用する。(3)準備されたテーブノレ、患者情報とパス で使用する産薬品名に対する、リレーショナノレデー タベースのリレーション操作により、パスで、指定され た医薬品が、禁忌や相互作用の警告対象に該当 するかどうかをチェックする。その中での霞薬品名 の照合手!|演では、以下の手法を使用している。( 1 ) 医薬品添付文書において過敏症の原因罷薬品とし て使用されることのある「本剤の成分 Jとしづ記述 鵬 田 540 第2 3由医療清報学連合大会 2 3 r dJCMI( N o v . ,2 0 0 3 ) は、成分の一般名に変換する。(2)患者既往躍の ショックまたは過敏症において原因医薬品名が、販 売名で記載されている場合は一般名に変換する。 ( 3)医薬品名の一般名同士の一致を検出する。 2 . 5禁思や相互作用の警告の表示 警告表示は以下のようになる。 ( 1)患者の合併症 と、パスで、使用する医薬品名との禁忌を確認し警告 する。(2)患者の医薬品によるショックや過敏症の 既往壁と、パスで、使用する底薬品名との禁忌を確 認し警告する。(3)患者が日常的に使用している常 用薬と、パスで、使用する監薬品名との併舟禁忌また は併用注意品、う相互作用を確認し警告する。 3 .結果 ( 1 )XMLで記述されたクリニカノレパスとして、病名 は成人鼠径ヘルニア手術、(2)患者として、現病 涯にうつ病と雪潰療があり、現在両者とも内服薬に より治療中で、セフゾンによる過敏症の既往歴が記 録されている者、を例にとり、本システムによる以下 の表示を確認した。 3 . 1合併症に対する禁忌の表示 患者の合併症である胃潰療が消化性潰療の下位 病名であり、消化性潰壌は、パス中で与薬される 医薬品のひとつで、あるボルタレンサボの禁忌、の対 象に該当する、ということが表示されている(図 2 。 ) 3 . 2過敏症に対する禁怠の表示 患者の過敏症既往歴が存在するセフゾンがセブエ ム系抗生物質の下位医薬品名であり、この過敏症 既往麗が、パス中で、与薬される医薬品のひとつで、 あるセブアメジン αキットの原員J i 禁患の対象に該当 する、品、うことが表示されている(図 3 。 ) 3 . 3常用薬に対する相互作用の表示 ( 1)患者の常用医薬品のひとつで、あるトブラニーノレ が三環系抗うつ剤の下位医薬品名であり、パスで 与薬される医薬品のひとつで、ある硫酸アトロヒ。ン注 射液の併用注意の対象にトフラニーノレが該当し、 ( 2)常用医薬品のひとつで、あるタガメットの一般名は シメチジンであり、パスで、与薬される医薬品のひと つで、あるドルミカム注の併用注意の対象にタガメット 。 ) が該当する、ということが表示されている(図 4 4 .考察 患者基本情報からの合併症、常用薬、医薬品過 敏症の情報と、 XMLで、記述されたパスからの与薬 予定の医薬品名の情報を得て、医薬品の商品名と 一般名の変換や、禁忌、相互作用対応テーブノレ による照合を行うことにより、適応予定のパスに記述 された医薬品が当該患者に安全かどうかをチェック する与薬チェツクシステムの宥効性を示すことがで きた。本システムは Web上で、稼働するアプリケー ションプログラムで、あり、移植性と汎用性の高いシス テムである。本システムは患者基本情報と医薬品 添付文書にもとづいて、パスが指定する医薬品と患 者情報との定性的照合を行っているが、定量的照 1-H-2-3 生~_;;_力j…レパス/一般口演:クリニカルパス 合を要する場合でも、 XML記述のパスから医薬品 の定量的情報を抽出することにより、本システムは 対応可能である。本システムを発展させて、本格 的なシステムを構築し実用化するためには、語句解 析、用語集やコーパスの構築と現病歴、既往壁に 対する記述規則などが必要である。また、医薬品 添付文書には、慎重投与や重要な基本的注意と いった事項もあり、これらは文章的記述が中心であ る。よってその扱いには文章解析手法ゃあいまい 検索手法が必要と考える。今後は、 ( 1)僅薬品以 外に関する詳細なパス記述法の開発、(2)パスの XMLによる構造化を行うこと、によるパスの安全性 確認手法の開発を行う考えである。 5聞謝辞 貴重なクリニカノレパスを公開された各医療施設の方 々に感謝し 1たします。 く?河村鴻時l 出=" 1( ( 叩 参考文献 [ 1]大農産樹、半構造データモデルに基づく電子化クリニ カノレパス、清報処理学会研究報告、 2002心 N-45-13: 0 0 2 . 7 1 7 6、2 間関田修、大星直樹、小山博史、クジニカノレパス相互 比較ツーノレ作成の試み、情報処理学会研究報告、 2002・GN-46-11:5与64、2 0 0 3 . [ 3]医療構報システム開発センター、標準医薬品名マス ター、 h t t p: / / w w w .m e d i s .o r . j p / s t a n d a r d / i n d e x 2 .h t m l . [ 4 ]鹿取信(監修)、今井正、宮本英七(編集)、標準薬 理学第 6版、陸学書院、 2 0 0 1 . [ 5]大星藍樹、岡田修、薬剤投与からみたクリニカルパス の定量的比較システム開発の試み、情報処理学会研 究報告、 2002“GN-48-4:1 9 ・ 24、2 0 0 3 . [ 6]岡田修、大農直樹、クリニカノレパスの XML化による 薬剤費の産療施設問定量的相互比較評錨の試み、 震撰情報学、 23( 2 )2 0 0 3 .(印刷中) o : : . d 1 n i ; = " U T F 喝”?> <!DOOT'rPE パスさ S'ISTEM"oムdru~.dtdち 〈パス名〉互主人滋筏ヘルニア手術術 問中駐在− d主主す〉 〈 月B > X f o lY臼 〈フェーズ〉当包争昔前 〈投与条件〉 〈麻酔言立与車産〉遜合鍛冶〈/蘇辞書守与薬〉 ー中略ー く投与墜事産品〉 〈霊祭品名〉ド !~ミカム3主J frn~2mL<I[豆3産品名〉 〈規絡組危::>! 〈妓絡>10 r r i ; 2 r r L < I 線終〉 〈単位予1管 ど : . / : 準 設 〉 〈/規格J 単位〉 〈用法〉 <Jフェーズ投与震X/Jフェース投与食〉 <J回投与支>1/5A<IJ ! Q I投与支〉 <)主主す方法〉く/注射方法〉 <)主主す鰭点〉く/)主射時点〉 <)主対詩悶>< I) 主封書寺院〉 費〉く/注射透度〉 <)主針遂E <)主封終了後処鐙〉く/注射終了後~讃〉 〈/用法〉 ぴ投与陸宮産品〉 午 〉 〈/投与重量f 問中~- 〈投与条件〉 〈乎争控室鰐参議 XI 手術塗古寺参言葉〉 〈投与医薬品〉 〈箆き高品翁〉セフ?メジン α キット J~C主3里会犠液 100ml 付)::fl:妄言葉品名〉 〈続格J 単位〉 <nl. 格>1~<1"1.格〉 〈単位>1キット後 E 墨金泡i 後100mlf サXI 単位〉 〈/続格J 単位〉 〈用法〉 〈生会>1OOmK/慾金〉 <Jフェーズ投与笠X/Jフェーズ投与支〉 <J厨役与笠>1が/j 窃投与金〉 ー以下略目 図 1XMLで記述されたクリニカルパス 医療情報学 23( S u p p l . ) ,2003 541 1-H-2-3 クリニカルパス/一般口演:クリニカルパス 函 2合併症に対する禁忌、 図 3過敏症に対する禁忌 互作用分類 I J iス で 使 躍 の 監 護 品 名 併熔注意 i 硫酸アトロビン注射液 f 持F お注意 I r '! レミカム注 図 4常用薬に対する相互作用 表 1抽出の対象とする情報 患者基本’陪報 XMLで記給されたクリニカルパス 特定の現病歴・既住撲を持つ場合 合併症 Jfヌが 現病歴・ 既桟歴 ショック+過叡症 常用薬 542 第2 3@]医療情報学連合大会 獲 川 さ 、 , 吉u 吾 h、 特窓の医薬品〈分類+一能名〉を 与薬中の場合 医薬品〈分類+一般名〉 への過較症を持つ場合 指定する 医薬品 ヤ用 指 互f (イ弁用法意+禁君主 2 3 r dJCMI( N o v . ,2 0 0 3 ) 医薬品(分類・一般名〕 に対して