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平成23年度教師海外研修プログラム(バングラデシュ) 研修報告書
学校名
三島市立長伏小学校
氏
名
諸井
法子
■ 印象に残る写真3点 ■
●「安いよ!!安いよ~!!!」
ナラヤンプールバジャールの見学。色々な物を売って
いたけれど、陳列方法も日本と違う。サンダル屋さんに入
って「安いよ!安いよ~!!」というアラムさん♪1 足60
0TK=600 円程度。確かに安い!売り物の多さにも圧倒
されました。
[ FJS_0095 ]
●「ガンジス河を下るフェリー」
アラムさんの船で、優雅にガンジス河を下りながらクル
ージングランチ。そこにたくさんの人やバスの乗ったフェ
リーが・・・。パドマ橋ができる前のバングラの大切な交通
手段だと実感しました。
[ NBS_9340 ]
●「ニューマーケットで静岡つながり?!」
教材を求め、ニューマーケットで買い物をしていると・・・
流暢な日本語を話すベンガル人の店員さんと遭遇。なん
と静岡で働いていたことがあったとか!!!静岡つなが
りで、中 T と 3 人で記念撮影♪
[ YMD_0687 ]
-1-
1.現地研修に対する各自の目的 とその達成度
この研修での私の目的は、「色々なものを見聞きし体験することで、様々なことを吸収して自分の視野を広げるこ
と」、そして「吸収してきたことを、日本に帰ってきてから子どもたちや、様々な人たちに伝えること」だった。訪問先ご
とに色々な角度からバングラデシュについて見ることができた。また、日本とは違うこともたくさんあるだろうと思って
いたが、バングラデシュでは、日本が失ってしまったものも大切にされていることに気づいた。
バングラデシュで多くの人やものに触れて、確実に自分の視野が広がったと思う。その点では、目的の達成度は
充分だ。しかし、「吸収してきたことを伝えること」については、まだスタート地点。旅が終わったと同時に、次の目的の
達成に向けて頑張ろうというエネルギーも、現地研修で出逢った人たち、そして共に現地研修に行った仲間たちから
もらったような気がする。
2.訪問国から学んだこと (気づいたこと、わかったこと、大切に思ったことなど)
バングラデシュから学んだこと・・・たくさんあるが、一番は人の温かさ(エネルギー)だと思う。バングラの方たち、
現地で活動している日本の方たち、本当にたくさんの人たちと出逢ったが、どの方も熱い想いとパワーの持ち主だっ
た。あのパワーを持ち続けていられるのは、アラムさんのお話にあったように、家族での時間が大切にされているか
らなのかもしれない。メンタルが健康なこと、毎日が充実していること、自分の存在価値を自分が認識し、周りも認め
ていること・・・大事なことをこの国の人たちはしっかりわかっている。ストレスフルな日本が失ってしまったものだ。そ
の原動力があるから、自分に無限の可能性が広がっていることも信じて、どんなことにも突き進んでいけるのだと思
う。
3.現地研修の経験を生かす授業実践の意欲やねらい
現地研修で一番に感じたこと「バングラの人たちの熱い想い&生き方」を、やはり子どもたちに伝えていきたい。
しかし小学生なので、「バングラデシュはこんな国」という紹介から始め、文化の違いや同じ点を考えたり実際に交
流したりし、最終的にバングラデシュの人たちの生き方や熱い想いについて授業をすることができたらいいなと考え
ている。
バングラデシュの紹介では、実際に現地で撮った写真や動画を使ったり、現地で購入した物を使ったりして具体
的にわかりやすく説明していきたい。バングラデシュという国について何となくわかったところで、文化の違い、そし
て実は同じところもあるんだと気づけるような授業を組み立てたい。色々な気づきの上で、バングラデシュの人々の
生き方、国や家族や将来に対する熱い想いについて深めていけたらなと思う。
4.JICAの国際協力事業 の 「良い!と思ったところ」 と 「今後あるといいなと思う視点」
バランスのとれた支援活動を多面的に行っているところが、すごい!!と思ったところだ。円借款事業のように物
質的支援もあれば、JOCV のような人的支援もある。中でも JOCV の活動は、素晴らしいと思う。そのプロジェクトが
終わったとしても、現地の方々の手で継続して行っていけるように、同じ視点に立ち、共に汗を流しながら考えている。
これこそが『協力』なのだなと感じた。一時的な支援に終わるのではなく、循環していく支援になっている。それが、ゴ
ミ問題、公共事業、教育・・・色々な分野で、様々な人たちが関わっている。それを見てくることができて本当によかっ
たと思う。その様子を多くの人たちに伝えていきたい。
-2-
私自身、勉強不足ということもあり、あまり活動の様子を知らなかった。しかし、現場の先生方もほとんど知らないこ
とである。今回の教師海外研修のことも、私も初めて知ったが、他の先生方も知らなかった。もっともっと、海外で頑張
っている方たちのことや JICA 事業のことを日本国内の方たちに広めていけたらいいなと思う。
5.ここまでの研修自体 (国内・海外) に対して 「良かったこと」 と 「今後あるといいなと思う視点」
国内研修では、1つの活動であっても様々な方法があることを参加型で学ぶことができ、とても勉強になった(例え
ば自己紹介など)。私自身、開発教育については、初心者も同然な感じだったが、初歩的なことからみんなで楽しく
学び合えるのでとても安心しながら研修することができた。また、DVD を見ながらの研修もとてもわかりやすかった。
ただ、回を重ねると短い時間の中で、たくさんのことをしなくてはならないので、消化不良で終わってしまうことがあっ
たので残念だった。自分の能力的なことかもしれないが、少し実態を見ながら進めてもらえるとありがたい。
海外研修では、五感を通して実体験でき、とても貴重な研修をさせていただいたと思う。現地で、様々な角度から
実際の活動を見せていただいたり、お話を伺う機会を作っていただいたりと綿密なスケジュールを組んでくださり、本
当に感謝している。事前にメンバー全員で学ぶ機会もあり、自分に知識を入れた上で、現地を訪れることができたこ
ともよかったと思う。欲を言えば、海外研修の直前は海外研修の事前研修をもう一回入れてもらえると、もう少しゆとり
を持ってみんなで思いを共有して海外研修に臨めるのではと思う。なかなか、日々の仕事に追われてしまって、海外
研修のための準備(知識面や物)の時間を作れなかったのが現状だった。
6.訪問先ごとの 「感じたこと」 や 「学んだこと」
●7/24:JICAバングラデシュ事務所ブリーフィング
バングラデシュの概要や JICA のバングラデシュでの事業を聞くことができた。自分としては、なかなか細かいとこ
ろまで勉強できていなかったので、色々なところを訪問する前に、文化的なことや習慣など基本的な情報を収集する
ことができ、とてもありがたかった。
バングラデシュ独立を日本がいち早く承認したこと、日本がバングラデシュにおいて円借款協力第1位であること
などが、親日の人が多い理由だということも初めて知った。また、世界第7位の人口、世界1位の NGO 大国であると
いうことにも驚いた。また、基本的に時計がなく「アザーン」の放送で動くため、時間にルーズであることなど習慣の違
いなどもわかった。
一番驚いたのは、就学率の高さだ。数字的にはあまり確かでないけれど、少なくとも90%以上ということで、自分
のもっていたバングラデシュの教育に対するイメージががらっと変わった。しかし、就学率は高いが、5年間で卒業で
きる割合は低いというところに、やはりまだまだ問題はあるのだということも再認識した。
行政が弱いので NGO が強い(逆もしかり)という構図もこれからの課題なのだなと思った。
また、東日本大震災の影響は?と伺ったところ、案件の審議が遅れたくらいで、支援は逆に増えていること、震災
があっても援助を続けているので日本の株が上がったということもお聞きした。日本の震災のことをバングラデシュの
人たちはとても心配し、募金活動を行ってくれたということも、とても心に残っている。
●7/24:ダッカ市廃棄物管理機能強化プロジェクト&環境教育活動/JOCV
国内の研修でゴミ問題のDVDを見てある程度わかっているつもりだったが、実際の活動を見たり聞いたりすると全
-3-
くわかっていなかったのだなと思った。ゴミ処理のシステムがまだ、上手に回っていないという感覚でいたため、「環
境教育」といってもあまりピンとこなかったのだが、「ゴミを拾う習慣がない=ゴミをあちこちに捨てる」という習慣の違
いを聞いて、環境教育の必要性を感じた。環境教育を行う前は、家にも学校にもごみ箱がなかったということに、まず
驚いた。日本では当たり前のことだが、そうでない国もあるのだということ、そしてそれが感染症などの病気につなが
っていくということを初めて知った。環境教育を行うようになって、家や学校にごみ箱を置くようになったこと、分別して
処分しようという動きに変わってきたというところで、成果があったのだなと感じた。その後、ゴミ収集の現場を実際に
見て驚いた。収集してきたゴミは袋に入っておらず、それを手作業で収集車に入れる。しかも素手で。手袋・マスクの
着用を指導しているが、暑くてしようとしないということだった。自分の感覚では考えられないが、それがバングラデシ
ュの現状だった。それでも、収集車100台が入り、大分ゴミが減ったということだった。その後、最終処分場へ。計量
の仕方は、日本と同じだった。焼却するかしないかの違いで、最終処分の仕方は、同じく埋め立てだった。衛生面・
環境面では確かに日本は進んでいるが、出るゴミの量や埋立地の問題など、生活とゴミ問題は切っても切れない永
遠の人類の課題だと思った。
●7/24:カルポリでの買い物/JOCV、SV+7/30:カルポリの手工芸品の生産地/JOCV
カルポリでは、商品がきれいに陳列されていて、どれだけの手間をかけて作られているのかなど想像もできなかっ
た。しかし、実際に生産地へ見学に行ってみると、とても細かい作業をみんなでやっていた。ダッカからバスに乗るこ
と7時間。遠く離れた村で、ノクシカタは作られていた。最初に洋服の縫製をしているタタリヤ村へ行った。ノクシカタ
は、バングラデシュの伝統工芸品で細かい手作業だということは、研修で学んだ。だが、実際に見せてもらうと、本当
に細かい手作業だった。それでも、一着を半日から一日で仕上げてしまうことに驚いた。労働時間は8:00~17:00。
祭の近くになると、残業をしたり家に持って帰って仕事をしたりするそうだ。私たちが伺った日も、残業をしていた。月
収は4000~5000タカ。家事は旦那さんも手伝ってくれるそうだ。女性ばかりの職場かと思っていたが、ミシンやアイ
ロンかけをしている男性職員もいた。次に、ベットカバーを作っている、ノヤパラ村へ。同じ細かい作業なのに、月収
は2000~2500タカと洋服の方とは違いがあることに驚いた。伴さんと需要と供給の関係で賃金も変わってくるのか
も・・・と話をした。どちらの村も、女性が働くことで、暮らしは楽になり、旦那さんが働いていなくても生活していける人
もいるくらいだということだった。女性の地位や労働力も UP していることがわかった。そのことが、子どもたちの教育
にも影響を与え、子どもたちがしっかりと教育を受けられるようになったということも素晴らしい成果だと思う。何より、
働いている女性たちが自信をもち、生き生きとしていることがとても印象的だった。
●7/25:ハイスクール・BDP小学校など/JOCV
ハイスクールに行く途中に公立の小学校へ寄った。学校は2部制(午前と午後)のため、午前中の小さい子たちの
授業を見学した。人数が多すぎるので2部制という理由にも驚いたが、さすが人口密度の高い国だけあるなとも思っ
た。教科書も日本のように無償で配布されているというこを初めて知った。
続いてハイスクールへ。ちょうど試験期間中ということで、テストをやっているところを見学させてもらった。バングラ
デシュは、5→5→2というシステムで卒業するには SSO という全国統一テストを受けて合格しなければならないので、
みんな一生懸命勉強するそうだ。テストの仕方も、カンニングしないように隣同士は、違う学年で座る。昔からの習慣
で男女別の部屋でテストを受ける。普段は、同じ教室だけど、座る席は成長過程を考えて、男女でわけて座る。日本
-4-
とは違うシステムが色々あることに驚いた。様々な気づきがあったけれど、中でも一番だったのは、バングラデシュの
人は日本のことをよく知っていることだ。しかも、原爆が落とされたということが有名で知っている。社会の教科書では
なく、国語の教科書に原爆のことが載っているということにも驚いた。日本人よりも、広島・長崎に対する思いは強いも
のがあると思い、自分の戦争や原爆に対する意識の薄さを恥ずかしく思ったほどだ。
最後に大塚隊員の勤務する BDP へ。初の授業とお礼の出し物。アイスブレーキングのゲームも、みかんさんの
「桃太郎」もテキパキとベンガル語で通訳してくださったので、子どもたちも楽しく活動ができたようだった。出し物の
後の、学校のみんなからの歌に感激して熱いものが込み上げてきた。
●7/25:ジャハンギナゴール大学日本語教育/JOCV
ダッカ大学についでのエリート大学、ジャハンギナゴール大学の訪問。日本語を学ぶ学生たちと交流をした。日本
語を学ぶ理由としては、日本に行ってマスターをとりたいそうだが、VISA をとるのがとても難しいために、趣味として
学んでいることが多いそうだ。実際に日本語で交流したマハムッドさんも、趣味で日本語を勉強していると話していた。
彼は、IT の勉強をしていて SE になるのが夢だそうだ。日本語とベンガル語は発音も文法も似ているので覚えやすい
らしい。最初は4人だった受講生も今では 20 人に。大学内を走るリキシャワラーに宣伝用の T シャツを着て走っても
らうなど宣伝の工夫、そして鵜澤さんの学生に対する誠実な態度がそうさせたのだろう。最初は、文字を教えずに会
話を重視していたそうだが、ひらがなを教えないとベンガル人には日本語が入っていかないということに気づき、途
中からテキストを「みんなの日本語」に変えたそうだ。試行錯誤をくり返しながら、どうやったら日本語を楽しく学べるか
を追求し、学生たちと仲睦まじく話をしている鵜澤さんは、とても素敵だなと思った。学生たちと交流する中でも、鵜澤
先生のことが大好きだから日本語も大好き!という側面が見られた。ホームパーティーなどをして、大学以外のところ
でも交流を重ね、一人一人を温かく見ているからなのだろうなと感じた。自分自身の子どもたちとの関わり方を振り返
るいい機会となった。鵜澤さんのように一人一人を温かく見守り、育てていきたい。
●7/26-27:PAPRIの活動とシャプラニールの支援(全体を通して)
PAPRI に到着すると、オリエンテーションでパソコンとプロジェクターを使ってのプレゼンがあった。弱者のための
活動を色々な角度からされているのだということが改めてわかった。そしてコンピューターの先生もいるということで、
そういう教育も進んでいるのだとわかった。独自のものだけでなく、色々な支援団体が関わって活動が行われている
ことも素晴らしいなと思った。物質的な支援でなく、現地の人たちの力で循環していけるような支援の仕方・・・それを
通して自分たちの生活をよりよく変えていこうという意欲を高めていく、素晴らしい支援のあり方だなと思った。
●7/26:少女グループのエンパワメント活動
少女グループのエンパワメント活動として、子どもとしての権利、女性としての権利の意識啓発をねらい、月に2回
ミーティングを行っていた。11~18才までが対象。前回は、歯みがきの仕方・そうじ・トイレの仕方などを話し合った
ようだ。私たちが見学に行った時のテーマは「早婚」。バングラデシュでは、男性は21才、女性は18才で結婚ができ
る。しかし、男の子にからかわれるのが嫌で、親が早くに結婚をさせてしまったり、結婚の支度金が女性の年令が上
がるほど高くなるので、早くに結婚をさせてしまったりすることがあるようだ。バングラデシュでは、両親が結婚相手を
決めるのが通常のため、選ぶことはできない。そのため、思春期の女の子たちに正しい知識を与えようというのが、こ
-5-
の活動である。早婚するリスクをきちんと伝え、結婚の時期についても本人たちに考えさせている。少女たちは、学
校では教えてくれないことを、ここで学ぶことができるので参加していると口々に言っていた。早婚のリスクとして、障
害児が生まれる、勉強する機会が奪われる、戸籍に書かれ、1000タカの罰金と3か月の収監など、きちんと学んで
いた。彼女たちに、いつ結婚をしたいかと尋ねると「自分で稼げるようになったら」という答えが返ってきた。しっかりと
考えているのだなと感じた。また、どんな人と結婚したいか尋ねると「自立した人(経済感覚がしっかりした人)」「学が
あってアクティブな人」「稼ぎのいい人」中には「イケメン」という答えもあったが、それぞれに自分の将来についてし
っかりと考えている様子が伺えた。
●7/26:地域の暮らしと文化(文化交流プログラム/ビレッジステイ/マーケット)
ビレッジステイでは、蚊帳で寝泊まりすることから始まり、菅原さんに教えてもらってカレーを手で食べたこと、夜空
がとてもきれいで、初めて天の川を実際に見ることができ、運よく流れ星まで見れたこと等、本当にたくさんの初体験
があった。確かに不便なこともあるが、それに見合うだけの素敵なこともたくさんあった。
文化交流プログラムでは、一人一芸で歌ったり踊ったりとバングラデシュの文化を見せてもらった。途中みんなで
踊る場面があったが、同じ音楽でもみんな違う踊りなので、オリジナルでダンスをしているのだと思い、すごいなと思
った。みんな子どもの頃から見様見真似で歌ったり踊ったりしているとのことだった。指先の動きや表情など、すごく
素敵で、それを見て覚え、自分で振り付けをしている独創性にも感激した。最後にプレゼント交換で、私たちはバン
グラデシュで、タオルとして使っている「ガムチャ」をプレゼントしてもらった。高温多湿のバングラデシュですぐ乾く優
れ物で旅の間重宝し、大切な宝物になった。
マーケットでは、本当に色々なものが売っていた。中でも「アニマルマーケット」にはびっくりした。本当に至る所に
動物たちがいて、それを売り買いしていた。葉っぱだけのたばこも売っていて初めて見た。バングラデシュでは、そ
れに石灰を塗って食べるのだそうだ。マーケットの帰りは、初めて「リキシャ」に乗り、とても楽しかった。暑い中、リキ
シャに揺られて心地よい風を感じた。あのデコボコ道を人を2人乗せてペダルをこいだり、時には降りてリキシャを牽
いたりするリキシャワラーさんたちは、すごい筋肉の持ち主だなと思った。
●7/27:母性保護サービス強化プロジェクト
ビリンダ村への訪問。村の妊娠中のお母さんたちの問題を把握し、作っている地図を見せてもらう。どこで出産予
定なのかリスクがあるのかなどの妊婦さんの状態の把握と指導、赤ちゃんの状態のチェック、ミニエンブレンス(救急
車)の普及・・・などとプロジェクトがどんどん広がっていっていると感じた。それによって母子の死亡率も減り、ショミテ
ィが活性化し、オフィスも建てられるという好循環が続いていることがわかった。また、家族計画についての指導の広
がりも、世代別に子どもの数を聞くとよくわかった。
病院へ行ってチェアマンの話を聞いたり、病院の先生の話を聞いたりした。素晴らしい取り組みが広がっているこ
とがわかったが、家族計画については、避妊手術やピルなど女性の受け身的なことが多いと感じた。無料で行われ
るということが大きいのだろうが、家族計画や早婚については男性の問題でもある。取り組みが広がっているのはとて
もいいことだが、女性の意識だけでなく男性の意識も同じように向上することが次の課題であると思う。やはり、そうい
うところが、バングラデシュは女性の地位が低いと言われるところなのかなと思った。
-6-
●7/27:マイクロクレジット活動
10年前から始まったというマイクロクレジット活動。黄色い通帳を持って集まり、お金を返しているところから訪問さ
せてもらった。通帳のページの左は貯金、右は返済額となっていた。いくら借りても45回で返す。フィールドワークの
人と、ショミティのみんなの意見で決めるので、きちっといつもお金を返せる人はたくさん借りられるようになるそうだ。
借りられる額は、8000タカ~25000タカ。女性たちに、いくら借りて何をしているのかと尋ねたが、息子のためにリキ
シャを買ったり、ポップライスを作ったり、農業をしていたり・・・とそれぞれだった。初めてお金を借りる時は、返せる
かどうか不安だったけれど、自分たちでビジネスをして生活がよくなったそうだ。そのことで、子どもたちも教育を受け
られるようになり、女性たちがとても自信をもって活動している様子が印象的だった。
男の人たちのショミティは盛り上がったが、ミーティングを夜にしていたので、生活がきつくなり仕事を辞めてしまう
ことが問題となり、長続きしなかった。それに比べて女性は昼間ミーティングができ、尚且つ女の人がお金を借りられ
るということで、女性の重要性も UP する。ただ単にお金を貸して、生活が楽になるということだけに留まっていないこ
とに、この活動の素晴らしさがあると思った。
●7/27:障がい者支援活動(選択された方のみ)
障害をもった子の支援活動ということで、ジョン・イスラムくん(5歳)の村を訪問した。支援活動としては、①障害者
に色々な権利があることを知らせること②様子や関わり方を知らせること③手術するための政府の援助等を知らせて
手術に連れていく④1日に3~4回テラピー(マッサージ)をすること⑤記録をしていくことの5つを主に行っているそう
だ。
村を訪れて一番感じたことは、ジョンくんをみんなが温かく支えている様子だった。発達障害をもっているが、他の
子たちと同じように遊ばせたり、できるようになったことがあるとみんなで喜んで褒めたりと、みんなで育てていこうと
いう気持ちが伝わってきた。いじめがないというのも、村の様子を見て納得した。日本では、病院との連携が欠かせ
ないので、そういったことをしているのかと伺うと、「脳障害の分野はバングラデシュでは遅れているので、病院では
何もできない。一番良くわかっているのはテラピストなので、病院との連携はしていない。」との回答に驚いた。しっか
りと記録をとって対応しているので、医療の面でも進み、障害児教育も進むといいなと思う。
●7/28:エクマットラシェルターホーム(夕食レストランを含む)
この研修で一番楽しみにしていたエクマットラ訪問。シェルターホームに着くと、子どもたちからの大歓迎を受け、
とても嬉しくなった。それと同時に、ここを運営されている方たちの温かさを感じた。到着後まずは、自己紹介。その
後、子どもたちと一緒に昼食。子どもたちのよく働くこと!私たちには先に色々な物を渡し、年上の子たちは下の子
たちの分を用意してあげるなど、とても気が利き、周りを見て動くことができる。ご飯後の掃除も、自分たちでどんどん
動いてきれいにする。しっかりと分担が決まっていることもよくわかった。女の子たちは、私たちの訪問目指してダン
ス練習をしてくれていて、今日が発表会ということで準備にとりかかる。その間、男の子たち&渡辺さんとゲームをし
て遊んだ。ゲームをするにしても「子どもたちの頭の回転をよくしたいんですよ。」と語る渡辺さん。宴会ゲームをアレ
ンジし子どもたちに教え、自らもゲームを楽しんでいる。遊ぶ時には、子どもたちと同じ目線。とても大事なことだと思
う。「パニパニゲーム」や「リズムゲーム」など、外国語の授業でやってみたいと思った。発表会の後は、渡辺さんから
話を聞く機会を設けてもらった。8年前にバングラデシュに来た時のこと・・・当然ベンガル語を話せる状態で来たの
-7-
だろうと考えていたが、そうではなく、「私・あなた・1・2・3」程度しか話せないままで訪れたという勇気にまず感動。タ
イで受けた衝撃に、なぜバングラデシュだったのかという質問には、小6の授業でアジア最貧国バングラデシュを学
んで、同じアジアに世界の最貧国があることを知ったから、バングラデシュに行こうと思い立ったのだとの答え。これ
には、やはり学校教育というものはとても大切なのだということを改めて痛感した。そして、それに携わっている自分
たちの使命の重さも感じた。渡辺さんは、終始「運がいいんですよ!」と言っていたが、そうではないと思う。想いの
熱さ、強さが、周りの人々そして運までも引き寄せているのだと思った。渡辺さんと出逢って話を聞いて、大事なこと
にたくさん気がつかされた気がする。一番感じたことは、未来を担う子どもたちだけでなく、自分にもまだまだ可能性
は広がっているということだ。
●7/29:ダッカでの買い物(アーロン、ニューマーケット、スーパーなど)
お土産ツアーに嬉しいことにシャプラニールの菅原さんも付き合ってくださることになった。まずは、アーロンヘ。
教材にも自分へのお土産にもなる、サロワカミーズを試着。サンダルも併せて購入。各階ごとに、ガードマンが立ち1
階ごとに会計だった。まずは、下見程度・・・と思ったが買ってしまった。次に、多くの教材候補があるであろうニュー
マーケットへ。とても広くて色々なお店があり、人もたくさんだった。日本の子どもたちの顔を思い浮かべながら、ベン
ガル語の表や教科書・絵本などを買った。きっと喜ぶだろうな。そして、ドラえもんやドラゴンボールなどの日本のア
ニメの DVD が売っていてそれにも驚いた。さらに、そのお店の店員さんが静岡で働いていたことがあると日本語ペ
ラペラで話しかけてくれたのにびっくり。色々なところに静岡つながりがあった。スーパーでは、アラムさんの学校へ
のお土産購入に四苦八苦。暑さを考えると溶けるものは・・・と思い、スナック菓子にしたのだが、数が半端ないので
店員さんにも菅原さんにも迷惑をかけてしまった。日本のみなさんへのお土産も忘れずに購入。菅原さんの案内で、
ジャットラや真珠のお店にも連れていってもらった。菅原さん、せっかくのお休みだったのにありがとうございます!
●7/31:小学校理数科教育強化プロジェクト(PTI/附属小学校 JOCV)
まず初めに、PTI での森隊員の活動を見せてもらった。奇数と偶数の指導方法についての授業だった。各グルー
プにカードを分けて活動。また、フラッシュカードを使って、奇数・偶数の確認などを行っていた。グループに入って
自己紹介をした後質問を受けた。給料について話をしていたが、バングラデシュでの教員の給料は思っていたよりも
低く、彼らもそれを感じているようだった。次に、附属小学校の授業見学。私は、自分の教え子たちと同じ5年生の算
数の授業を見学した。「平均」の授業で、導入では自作の掛け図を使い授業を進めていた。どんな風に授業を進めて
いるのだろうと、授業の流れに興味があり見学させてもらったが、自分の普段行っている授業に近いものがあり、教え
る内容が同じだと国によっての違いもあまりないのかな?と思った。しかし、初めはそうではなかった様子などを聞き、
JOCV の方たちの活動の成果を感じた。お礼の歌と花笠音頭では、子どもたちが一緒に掛け声を掛けてくれて、とて
も楽しく踊ることができた。
いくつかの質問の中で、家での勉強時間が3~4時間ということに驚いた。日本の子どもたちは、塾に行っていたと
してもそんなに勉強していないと思う。また、2部制ということもあり、休み時間がないため授業ごとのけじめがつかな
いので、けじめをつけるためのルールを森さんが提案し、取り入れているそうだ。森さんと話をしていて、やはり経験
のある大人に指導するのは大変なのだと感じた。今までやってきたことに新しいことを取り入れるには、必要感と実績
がないとなかなか進まないと思う。教具を作るような工夫の必要性を感じない先生がたにどうやったら必要感をもって
-8-
もらえるか・・・難しい問題だと感じた。
●8/1:マニシュゴンジの学校
アラムさんの学校を訪問。まずは子どもたちがお花を持って出迎えてくれた。結婚式のように花びらのシャワーを
浴び、熱烈な歓迎を受けた。全校500名、教員25名の大きな学校だ。2部制なので、午前中小さい子たちの授業を
見せてもらった。そして、先生方との懇談。学費が300タカ/月ということで、アラムさんの『リキシャワラーの子でも来れ
る学校にしたい』という思いが表れている。幼稚園の子どもたちも教科書を使って勉強をしていたので、なぜか尋ね
ると、学校へは勉強をしに行っているのだから、勉強をさせないとお家の人たちが言うそうだ。バングラデシュでも、
その辺りは変わらないのだと思った。でも、幼稚園の時くらい、絵を描いたり遊んだりしてもいいよね・・・とアラムさん
は言っていた。その後、5年生の子たちと模擬授業へ。一日の生活アンケートも言葉が違うと、同じ学年の子たちでも
難しい。アンケートがとれ、ブーメラン作りへ。自分の名前と好きな物を描いてと説明をし、作り始めた。自分のクラス
の子たちより、絵がとても上手なことに驚いた。想像力が豊かで、たくさん描いているのだろうなと思った。
●8/1:パドマ橋建設予定地、中州+7/30:ジャムナ橋
バングラデシュの夢の架け橋となったジャムナ橋。ジャムナ川を渡るのに平均36時間のところを、12~18分に短
縮したことは、バングラデシュの人々にとって、とても大きなことだった。橋だけではなく、その周りの道路も日本のお
金が入り、整備されていて、走り慣れたデコボコ道ではなく、揺れを感じないしっかりと舗装された道路が続いていた。
また、プール付きのリゾートホテルもあり、どこか他の国のようだった。そんな夢の架け橋第2弾が、パドマ川(ガンジ
ス川)の東西をつなぐ、パドマ橋。まだ着工したての場所を見学しただけだったが、2015年に完成すれば、バングラ
デシュ南部の経済発展とバングラデシュとインドの貿易促進の効果があるという。ダッカからバングラデシュ第3の都
市クルナまでの走行時間を4分の1に縮める橋。そんな夢の架け橋の建設のために、円借款という形で協力している
からこそ、バングラデシュの人々は日本人に対して親しみを感じるのだろう。
●8/1:JICAバングラデシュ事務所 報告会&懇親会
バングラデシュでの最後の夕飯。最後は、やはりベンガル料理が食べたいというみんなの希望で、ベンガル料理
のレストランで報告会兼懇親会が行われた。本当に早かった10日間を振り返ると、限られた時間の中でバングラデシ
ュの様々な顔を見せてもらえたのだと感じた。そう思うと、この研修を支えてくださったみなさんに、ただただ感謝の
気持ちで一杯だった。たった10日では、ほんの一部しか見ていないのだろうが、この国で暮らす人たちのエネルギ
ーは底知れないものがあり、自分もこの研修期間でそのパワーを少し分けてもらった気がした。帰国してからのことと
して、席が近くだった鵜澤さん・ナカジ・中T と小中高大と連携して詩のリレーをしようという話で盛り上がった。帰国後、
何をどこからどう子どもたちに伝えていくか、少し具体像が見えてきた懇親会だった。
●7/24-8/1:ダッカ市街地の風景や人々の様子(全体を通して)
まず、車や人の多さに驚いた。次に電線。グルグルと何重にもなって日本では考えられないような光景だった。信
号がないのに、たくさんの車の中を走る。バングラデシュで運転するには、すごいドライブテクニックが必要だなと感
じた。想像していたのどかな風景よりも、都会のゴミゴミした印象を受けた。人も車も物も多い。首都はやはり、どこの
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国に行ってもあまり全体的な雰囲気は変わらないのかな?と思った。
●その他印象に残ったエピソード( パプリでのビレッジステイ )
何といっても、夜空のきれいさ。日本ではきっと見ることができないだろう星空が広がっていた。ふわぁっと続く天
の川、満天の星・・・とは、ああいう空のことを言うのだろう。たくさんの虫たちと格闘しながら食べた夕飯、イモリの鳴き
声を子守歌代わりに聞いて蚊帳の中で寝た夜。本当に初体験が一杯だったが、忘れられない2日間だった。念願の
リキシャにも乗れ、リキシャで切る風を感じ、農村の風景を見て・・・心が洗われるようだった。2日目の朝、子どもたち
が学校へ行く前に、わざわざ私たちを見送ってくれた。プレゼントしてくれた「kodama」という花、きっと忘れないだろ
う。
7.その他全般を通じての感想・意見など
行く前の期待と不安で一杯だった自分と、帰ってきてからの自分。正反対といっていいくらいの変化だった。バン
グラデシュで様々な人やものに出逢い、刺激を受けてきたからだろう。それもこれも、私たちの研修を支えてくださっ
たたくさんの方々のお陰だと思う。短い研修期間でたくさんの訪問地へと日程をコーディネートしサポートしてくださ
った JICA の方たちのお陰で、実りある研修にすることができた。いつもなら、旅は帰ってきたら終わりという感じがし
て、すごく悲しいのだけれど今回はそんな感じはあまりしない。むしろ、ここからがスタートのような気がしている。出
逢った方たちとの繋がりや自分が感じ・考えたことをどう生かしていくか・・・それを考えるとわくわくしてくる。支えてく
ださったみなさん、ありがとう!!そして、これからもどうぞよろしくお願いします!!!
8. 来年度参加する先生へのアドバイス (持ち物、必要な準備、学びの視点、注意事項など)
【持ち物】
〈便利グッズ〉
あって便利だったのが「汗ふきシート」(ピカイチ)。汗をたくさんかくので、ウェットティッシュを持っていくよりも、汗
ふきシートをたくさん持って行った方が快適かも・・・と思いました。ウェットティッシュもたくさん持って行きましたが、
全く使わず JOCV さんたちへの最後のお土産と化しました。除菌ティッシュ(お徳用)2 袋と汗ふきシート(お徳用)1
袋あれば余裕で足りると思いました。おしりふきも持って行きましたが、流せるポケットティッシュ(数袋)だけでもいい
かもしれません。(トイレットペーパーがある、比較的よいトイレを探して使わせてもらったからかもしれませんが)
また、暑さに弱い方は、熱中症対策グッズ(首に巻くタイプ等)を持っていくといいかもしれません。(停電やエアコ
ンの故障などに備えて)私は、学校でも必需品なので、持って行きました。
それから写真入りの名刺。現地では、少ししか話せなかった方とも、帰国後、繋がることができます。
停電があるので、懐中電灯も必需品です。
〈衣類〉
今回のように連泊可能でクリーニングしてもらえるならば、着替えは4~5 日分で充分だと思います。虫除けのため
にも、女性も長ズボン必須です。上は半袖で大丈夫(ショールや上着があればノースリーブでも平気)です。下着は
手洗いしてホテルで干しましたが、湿度の高いバングラデシュでは、一晩では乾かないので、やはり4~5 日分(でき
れば速乾性のあるもの)持って行った方がいいと思います。薄手のショールは寒さ対策(バスや飛行機の中との温度
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差)と日よけにもなるので便利です。
〈薬系〉
色々な種類を小分けにして持って行きました。特に使わないかもしれませんが、あった方が気分的に安心できま
す。疲れてきた時のためのビタミン剤と粉末のポカリなどは、旅の後半役に立ちました。虫除けは、スプレータイプよ
りジェルタイプの方が、汗を拭いてからバスの中で人の迷惑にならずに塗れるのでおススメです。電池式の置くタイ
プは、ビレッジステイの時役に立ちました。
〈雨対策〉
あまりしませんでした。雨季ではありますが、私たちはラッキーであまり降られず、傘も使わずに帰ってきたほどで
す。折りたたみの傘くらいで充分だと思います。(日傘にもなります)
〈お金など〉
今回は、最初に JICA バングラデシュ事務所で 2 万円=2 万 TK に換金してもらいました。現金は、それで十分足
りて(教材用に 1 種類ずつ持ち帰っても)、空港での食事・バングラデシュでのお土産やホテル代(地方のホテルは
除く)などはカードで支払えるので、必要以上に円を換金しなくてもいいと思います。持って行ったドルが余ってしま
ったほどでした。
【必要な準備】
訪問地の情報は、しっかりと頭に入れておく必要があります。出発前は、学校の仕事に追われているので、せめてフ
ァイルに入れて訪問前のバスの中や、ホテルで時間のある時に読んでおくといいと思います。
また、ベンガル語はやはり話せるに越したことはありません。でも、出発前に勉強するのは無理だったので、「指さし
ベンガル語」というメンバーが紹介してくれたサイトからダウンロードしたものを A5 に縮小コピーし、ルーズリーフに
貼って「マナビノオト」に挟みました。これで、わからなくてもいつでも持ち歩いているノートに挟まっているので、見な
がら会話して少しずつ話せるようになりました。でも、たくさん話せたらもっと楽しいのだろうな~と帰ってきてから反
省しました(英語に関しても)。
【学びの視点】
オープンマインドで、積極的に行動することが一番だと思います。
そして、自分の担当の仕事もしっかり頭に入れて、質問等し忘れのないように同じ担当のメンバーと確認することも大
事かな?と思いました。(質問の時間も限られているので。)
【注意事項】
写真は、了解を得てから撮ること。ついつい夢中になって忘れてしまうこともあるので・・・。
以上
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