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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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強相関電子系に対する数値計算からのアプローチ(第43回
物性若手夏の学校(1998年度),講義ノート)
黒木, 和彦
物性研究 (1998), 71(3): 382-392
1998-12-20
http://hdl.handle.net/2433/96496
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
講 義 ノー ト
強 相 関 電 子 系 に 対 す る数 億 計 算 か らの ア プ ロ ー チ
黒木 和彦
東京大学 ・大学院理学系研究科 ・物理学専攻
§1. 序
サ イトの組について和 をとることを意味 し、この項は電子
鋼酸化物における高温超伝導1)の発見 をきっかけに強相
が iサ イトか ら3
'
サ イ トへ (
あるいはその逆)捌
豆 ii
jで移
関電子系に対する関心が高まり、多 くの理論的研究が行わ
れて きた2)。電子相関が強い場合に問題 を正確 に解 くのは
動することをあ らわす運動エネルギー部分である。iijの う
ち最隣接サ イト間の移動振幅が最 も大 きいので、それを i
困難であ り、厳密解が求まる特殊 な場合 を除 き、なん らか
の近似的な扱 いによる解析的なアプ ローチか、有限系 に
対す る数値計算 を行 う必要がある。前者 は無 限系の性質
とお き、次隣接以降の移動振幅 を無視することもある。本
サブゼ ミではそのような場合 を考えることにする。一つの
を議論で きる替わ りに近似の良 さを評価するのが難 しい。
一方、後者は有限系の範囲内では問題 をほとんど正確 に解
くが、有限サ イズであることに起因する、無限系では本質
的でない効果 (
有限サ イズ効果)の影響 を受けて しまう恐
れがある。そ うい う意味で両者は相補的な関係 にあると言
サ イ トには同 じO
を持 った電子 は二つ来れない (フェル ミ
オ ンなので niqの固有値 は 0か 1
)ので、電子間斥力は異
なるJを持つ電子間に限 られる。そのようなオン ・サ イト
斥力の効果 を表 したのが右辺第二項である。この ような模
型 をハバード模型 とい う.ハバード模型は磁性の問題で古
くか ら研究 されてきた模型であるが、高温超伝導の発見に
える。本サブゼ ミでは、数値計算か らのアプローチに焦点
を当てて、方法論の説明 とその応用例 を解説する。
よ り再び脚光 を浴び、現在で も精力的に研究 されている。
鋼酸化物高温超伝導体 の模型 として考 える ときには格子
1.
1 高温超伝導 とハバード模型
4e
V,U∼ 5e
V 程度であ り4)、
いるパ ラメー ターは t∼ 0.
の形は 2次元の正方格子 をとる。また、現実的 と思われて
土は∼ 1
0でかな り大 きい.
高 温 超 伝 導 体 の 母 体 とな る鋼 酸 化 物 は La2CuO4, U/
ハバ
ー
ド模型でサ
イ ト数 Ⅳ と電子数が等 しい場合 を、
YBa2
Cu3
06 といった物質であ り、cu02を単位胞 とする
lf
a
il
f
l
e
dとい う。
2次元平面を有するのが特徴である。これ らの物質のフェ 最大許容電子数の半分 とい うことで 、h
h
l
a
f
i
f
l
l
e
d
で
、U
/
t
が大
きい
とすると、電子はサ
イトか ら
単位胞あた り1個の電子
ル ミ準位近傍の状態 には、CuO2
サ
イ
ト
へ移動
して運動エわ
レ
ギーを得するよりも、一つ一
が存在 している。バ ンド理論によれば、単位胞あた り奇数
個の電子がある場合には、系はよい金属 になるはずである つ別のサ イ トに局在 して Uを感 じない ように した方がエ
が、これ らの物質は絶縁体である。この矛盾は、バ ンド理
論では、斥力相互作用のために電子 と電子が避け会 う効果
一 電子相関効果- が無視 されているのに対 して、これ ら
の物質では銅の d軌道が局在 しているために強い電子相
関がはた らく系 になっていることに起因する。
この絶縁体状態 を直観的に理解するために、各 cuo2単
位胞に一つのサ イトを対応 させたタイト・バ インデ ィング
模型 を考えよう3)。ハ ミル トニアンに取 り込む要素は非常
に単純化 して (
i
)電子があるサ イトか ら別のサ イトに移動
わ レギー的に得である。これが現実の物質がバ ンド理論に
反 して絶縁体 になっている理由である。このように電子相
関の効果で生 じる絶縁体 をモ ツト絶縁体 とい う。
モ ット絶縁体の状態 に正孔 を注入 (ドープ)する (
すな
わち電子 を抜 く)、あるいは電子 をドープする と金属化す
る。 これは例 えば La2_。Sr
。Cu04のように原子価 の異 な
La3
+に対 して Sr
2+
)
、あるいは
る元素で一部置換 す る (
YBa2
Cu306
+yの ように酸素量 を増やす といった方法で実
現 される。金属化 した状態で温度を下げてい くと、転移温
最大 1
50
K 程度)以下で超伝導 になるわけである.
i
i
)同 じサ イトに二つの電子が来た ら、斥力 (オン ・ 度 Tc(
する、(
したが
って理論的には電子数
をh
lf
a
一
ml
e
dか らず らしたと
サ イト斥力 とい う)を感 じて Uだけエ ネルギーが上がる、
という二点に絞 る。ハ ミル トニアンを第二量子化の形で暫
くと、
きのハバード模型の性質に興味が持たれる.特に興味が持
たれるのは、電子間の相互作用 としては斥力 しか考えてい
ないのに超伝導が起 こることがあるか、とい う点である。
a=-∑ ∑ i
i
,
・
l
c
I
q
c
j
q+C
3qc
.
・
q
]
+U∑n
i
T
n
i
l(
1
・
1
) BCS理論か らわかるように超伝導には電子間の引力が必
(
I
'
,
i
)q
=T
,
i
I
要であるが、通常それはフォノンを媒介 として引 き起 こさ
こ こで C
.
!
T
(
c
I
l
)は i番 目のサ イ トにス ピ ンの Z成分
+1
/
2(
-1
/
2)の電子 を生成する演算子 、 ciqは対応す る消
,
C
,
T
q
・
)
-
滅演算子であ り、フェル ミオンの反交換関係 (ciq
Si
j6 ・等を満たす. q=C qは i番 目のサ イトにおけ
i
,
3
)は
るc
r
ス ピン電子の数演算子である.右辺第-項の (
qq
n
i I
!
q
c
i
-
れ、電子間の クーロン斥力 は引力 を弱めて超伝導 を壊す
方向に働 くとされる。それに対 してここでは逆 に、強い電
子相関こそが高い超伝導転移温度の起源なのではないか、
とい う見地か ら、フォノンを考えずに電子間斥力だけで超
伝導が起 こる可能性 を探究することになる5)0
38 2-
「
第43回 物性若手夏の学校」
=oな
す るこ とはで きない. しか し、この場合で も U
実際、ハバード模型 に対 しては摂動論 、平均場近似 、繰
り込み群など様 々な解析的な理論があ り、その多 くは超伝
導が起 こり得ることを結論 している6)。ただ し、これ らは
らば実空I
L
uにおけ る-花子の位性固有状態 t
c
.
!
qF
O
)
)(
i=
「厳密」な扱 いではな く、U/
i≪ 1あるいは U/
t≫ 1 と
いった極限か らのアプ ローチによるものである。ところが
銅酸化物で は U/
tが 中間的な領域 にあ り、上記の よ うな
解析的アプローチが適当かどうかの評価が難 しい。このよ
1,
-,
N;
c
r-I
,
1)を基底にとってハ ミル トニアンをNxN
行列で表す ことがで きる。 この行列 は例 えば Ⅳ =1
0
0サ
イ ト程度な ら計算横で簡単 に対角化で きる。
2.
2 厳密対角化法
ところが Uが有限になって多体問題 になるととたんに問
うな場合には、有限系 に対する数値計算 を行い、解析的な
題は難 しくなる。適当な基底 をとってハ ミル トニアンを行
列 として表すことは可能であるが、もはや一電子基底では
結果 と相互 に比較検討することが必要 となる。
以下、第 2節では、ハバー ド模型の解析 に使 われて来
表現 しきれず、多体の基底 をとる必要がある。例えば、波
た数値計算のい くつかの手法 をとりあげて解説する。各方
法 とも基本的な流れの説明に重点 をお き、具体的な式の導
U=J
Oの固有状態 (2.
4)一つ一つを基底
数空間で考 えれば・
と考 えることも可能である し、ある いは実空間で考えて、
出は原論文に譲った部分が多い。また、これらの方法論の
最近の発展については触れる余裕がないので、興味のある
購=c
l
l
,
C
,
I
,
T
・
・
・
C
L.
C
,
t
l
↓
C
3
】
↓
・
・
・
c
L,
l
l
0
)
方は原論文 を参照 していただきたい。
第 3節では、第 2節で説明 した方法 をハバー ド模型 に
対 して適用 したい くつかの計算結果 を、実験結果 と照 らし
合わせ なが ら紹介する。
(
2
・
5
)
を基底 として取 ることもで きる。 もちろん どの ような基
底の取 り方 をして も基底 の数は変わ らず、その数は NB =
(
NCM)
(
NCM,
)個あるOここで、NCM は N個の中か らM
/
l
M!
(
N-M)
!
】である.これ
個取 り出す組合せの数で N!
か ら想像で きるように基底の数は N,
M,
M'
の増加 ととも
§
2. 数値計算の手法
2.
1 自由電子の問題 .
lU=0の場合
に急激 に増 える。例 えば 、Ⅳ = 10,〟 - 〟′= 5に対
63,
504、N
1
4,M
M
7に対 して、
して NB
=
多体問題に行 く前に U≡0の 2次元正方格子上のハバー
=
=I
=
778,
6
24となる。全 ての行列要素 をメモ リーに
ド模型について考 えてみ よう。Ⅳサ イトに 〟 個の†電子 、 Ⅳβ= ll,
記憶 させておいて対角化する通常の方法では基底の数は数
M'
個の1電子の系 を考 えるo〇
(
y
)方向のサ イト数 を N;
(
y
)
Ny
)として周期的境界条件 を課せば、フー リエ
(
N=Nc
変換
多体問題 を正確 に解 くのがいかに難 しいかがわかる。
z
o
s
実際に厳密対角化の計算で用いられているのは Lanc
c
k
q
去写eik rl'c
i
q
・k-(
箸
葦 ),
法 と呼ばれる方法である。すなわち、ある方法で逐次的に
生成 された基底 を用いてハ ミル トニア ン行列 をつ くると、
'
㌢
-;
'
y
:
i- 一
+1
,
-'
些2
坦 -1,響
(
2・
1)
を導入 してハ ミル トニア ンは
7
i=
kq
E
(
k)=-2il
c
os
(
k
I
)+cos(
ky)
]
(
2・
2)
に落 として も、基底状態や低エわ レギーの励起状態に関 し
リーの限界か ら、これまでに行われたハバード模型の厳密
6サ イ ト程度である。
対角化 は最高で 1
(
2・
3)
と書けるo(
2・
3)中の C
と
q
c
k
qは波数 k を持つqス ピン電子
の数演算子であ り、その固有値 は 0,
1、対応する固有状態
C
ばl
o
)
,と
q
l
O)とわかっているので、全系の固有状態は
2.
3 基底状態 に対する補助場量子モ ンテ ・カルロ法
厳密対角化法は答 えが正確 に求 まるなど、様 々な利点を
持 っているが、超伝導や反強磁性 といった長距離秩序の有
無 を調べるには、より大 きなサ イズの系 を扱 う必要が生 じ
る。厳密対角化では取 り扱 えないような数 10から 100サ
困C
と
1
.
・
・
・
C
L,
C
と1
↓・・
・
C
LJo)
-・r ,
T
]封
基底 の生成 を適当なところで打 ち切 って行列の次元を大幅
ては非常に よい精度で求 まる7・8).それで も計算概のメモ
∑C
(
k
)
産q
c
k
q
,
[
墓e
i
k '
C
・
千程度が限界であるので、上の例の場合などは扱えない。
イ ト程度の系 に対 してはモ ンテ ・カルロ法が威力を発揮す
が ).中で も、ほぼ (
後述する誤差の範囲内で)厳密に物理
蓋
ei
k-・
・
r
j
c
,
T
↓
]p,
量 を計算で きる手法 として、補助場 を用いた量子モ ンテ ・
カルロ法がある。そ こでの発想 は、多体問題 を、変動する
(
2
・
4) 外場 中の自由電子の問題 に焼 き直す ことである。ここでは
の形 になる。この状態の第-量子化 における波動関数 は
まず、基底状態に対する補助場量子モ ンテ ・カルロ法 をハ
S
l
at
e
r行列式で与え られるO波数の粗く
k
.
,
l
Hk
m,
)を一
1
3
)
.
バー ド模型 を例 にとって説明 しよう10-
つ指定すると一つの固有状態が決 まる。例えば、基底状態
2.
3.
1 定式化
を求めたければバ ンド分散 (
2・
3)のエネルギーの低い方か
ら順番に波数 を選べ ばよい。
一般 に、あるハ ミル トニア ンHの基底状態 仲G)は、そ
れ と直交 しない試行関数 1
わ )を使 って
周期的境界条件 を課 さない ときはフー リエ変換 を導入
悔 )-箆
-
38
3-
e
xp(
-βH/
2
)
l
QT)
(
2・
6)
講義 ノー ト
と書け る。す る と物理量 0の基底状態 におけ る期待値 は
塑1
?輿 )=l
i
m (
姉 -βH/
2
oeP
H/
2
阪) (
2
・
7
)
(
恥l
Q
r
G)- p-I-&
(
材e
-PHJ
k)
と しで求め るこ とがで きる。つ ま り、(
2
.
7
)式 の右辺の計
算が実行で きればよいわけだが 、そのためには演算子や状
態 をなん らかの基底 を とって行列 で表現 する必要がある。
ここでは、実空間における一電子 の位置固有状態 を基底 に
とる ことを考 える 。2
.
1
節 で述べ た よ うに運動 エ ネルギー
の部分は一体 なので よいが、電子 間相互作用 の部分 は二体
となる。指数 の肩が全 て一体の演算子 となって見かけ上 、
NL個 の和
自由電子 の問題 にな ったが 、その代 償 と して 2
を とる必要 が生 じた。対 象 とす る系 はサ イ ト数 Ⅳ
∼1
0
0
であ り、 また no
t
t
e
r分解数 L∼0(
1
0
0
)が必 要 なので 、
この和 は とて も直接 には とれ ない。そ こで 、 この和 を後
述す るモ ンテ ・カル ロ法 に よるサ ンプ リングで代 用す る
ので ある。電子 間の相互作 用 をな くした替 わ りに導入 さ
れた S
t
r
at
ono
ic
v
h変数 は、間接 的 に電子 間斥力 を媒 介す
る外場 の よ うな役割 をはた してお り、補助場 と呼ばれ る。
そ して、補助場 を導入す るモ ンテ ・カルロ法 を補助場量子
なので、この ままで表現 で きない。
そ こで、以下の ような操作 を行 な う。 まずハバ ー ド ・ハ
ミル トニア ンを
モ ンテ ・カル ロ (
n Xi
A
l
i
ar
y,
Fi
e
l
d(
iuant
um Mont
eCar
l
o;
AFQMC)法 とい う。
指数 の肩 が全 て一体 の形 になったので 、初期 の 目標 で
∬ = go+g l
,
あ った ように-電子 の位置 固有状態 を基底 に とって演算子
や状態 を行列で表現 し、実際の計算 を実行す るこ とがで き
Ho=一七∑ (
C
,
!
qc
j
q+C,
t
qci
.
),
る。今 、†電子 と1電子が 〟 個づつあ る系 を考 える。
(
†と
(
i
,
3
'
)
.
q
l
=U
∑ ni
T
ni
l
(
2
・
8
)
H
1の数が異 なる場合 に も簡単 に拡張 で きる。)そ の よ うな
系 において一つの S
l
at
e
r行列式で表 され る状態 脇 )は、
の ように一体の部分 と二体の部分 に分けて考 える.問題 な
鼻 lg (
の は二体の部分 なので 、指 数の屑 において ガ。と ∬ 1を分
離 して 、別 々に扱 いたい。 しか し go
と ∬ 1は可換 で ない
H
ため に、単純 に e
=eH。eHlと分推す るわけ にはいかな
・
4q
,-
帖
CI
q] l
o,
と、NxM次元の行列九 を用 いて表せ る。 この とき、
く
4qI
船 -deも(
t
九鶴)
い。そ こで、
p(
β)≡(
QTI
e
P
Hl
QT)-(
kl
(
e
-AT
H)
LI
ぬ)
式 であ る. また演算子 W。,wIQは一電子状態 を基底 に とっ
て、それぞれ
b
o-e
xp(
-K)
,
=
e AT
H e
-△T
Ho
/
2
e
-△'
Hl
e
-AT
H。
/
2
+o(
(
△'
)
3
)(
2
.
1
0
)
を適用する.さらに e
-ATHlに対 して、離散型 の Eubba
r
db変換 1
5
・
1
6
)
st
r
at
ono
vi
c
弓
芸 lel
叫
(
2
.
1
5
)
(
2
.
9
) となるこ とが示せ る。 ここで、右辺 は 〟 ×〟 行列 の行列
と書 き、△T=β/
Lが十分小 さい と して、各 e-△1H に対
して、Ro
t
t
e
r
_
Sumki公式 14)
e-AT
Un
{
.
n
(
2・
1
4
,
(
b
l
q)
.
・
,
・-e
Xp(士2
- -等
(
2
・
1
6
)
)6i
j
(
2・
1
7)
とい う Ⅳ×Ⅳ行列 で表 される。ここで (
2
・
1
6
)式右辺 の ∬
・
,
I
はi
,
3
'
が最隣接 サ イ ト同士 の場合のみ K. - -△Tt
/2とい
叩
↓
'
-A
F'
n巾
。 ],
う要素 を持 つ
Ⅳ×Ⅳ行 列 である (次 隣接 以 上 の ホ ッピン
,
・
i
,
I
/2)
O
グi
i
jを考 える場合 は 、Ki - -△Tt
・- 呈c
oS
h-1
(
e
叫
2
)
(
2
・
1
1
)
試行関数が 椀,
)-l
QTT
掴 Tl
)と分社で きる とし、I
わu
)
は一個 の S
l
at
e
I行列式で表 される状態 であ る とす る と、
を適用す る. ここで Sを s
t
r
at
onovi
c
h変数 とい うo この
p(
p)-
変換 によって
W(
i
s
i
(
I
)
)
)= ldet(
t
わq
Bl
q- BLq
Q
Tq
)
,
一
基J
∑
・
・
・
∑
l
=
土
1
B
N
=
土
1sl,・・・,SN)-ll(5
q
,
-,SN)=I
le(
土2
叫ni
・
-△T
Un
`
・
/
2
) (
2
・
1
2
)
i
=1
=W.と置 くと
(
I,
1に対応 して+,-)とな り、e
-△THo/2
-&
E
(
2
・
1
8
)
となる。
2.
3.
2 物理量 の計算
モ ンテ ・カルロ サ ンプ リングの手順 を説明す るため に、
物 理量 を計 算 す る こ とを考 え よ う。 まず 、一体 の演 算子
C
と
qc
,
・
Uに対 して 、基 底 状 態 にお け る期 待 値 Gq
(
A,
J
l
)≡
(
C
と
qc
j
q)を (
2.
7)式 に基づ いて計算す る。そのために
L
e-pH
q
=boblq(sl(I),・・・,SN(I))bo
Bt
1
,
-,
S
N)
,
N
wl
q(
81
(a
;
(
l
)
土1
)
I
e-△THl
-I
T
(
蒜 ∑ W (ist・(I)))I
IIIIDt
q
,
(・i
(
I
)
=土1
)qt
=1
Dl
q=Wo
Wl
q(
sl
(
I
)
,・
・・
,
s
N(
I
)
)
wo (
2・
1
3)
く
Lq(i)l= (
QTqlDlq-
-3
8
4-
DL
-1
qWo
,
「
第43回 物性若手夏の学校」
)
)
=wlq(sl(I),・ ,sN(I))WODL+1g-・DLq阪 q)
l
Rq(
I
2.
3.
3 Si
r
a
i
o
no
t
J
i
c
h変数配置の更新
-
(
2・
1
9)
とい う記号 を導入 しておこう。するとβが十分大 きい とし
て、
はある時系列によって生成す ることができる9)。その時系
列 とは以下の ような ものであるO凡′
(
a)を配置 aに対す
(
a- a
)と書
る Pw、配置が aか らい 二速移する確率 を p
くことにす る。
Gq
(
A
,
i
)
∑
物理丑 を計算す るには確率 j
㌔′で St
r
at
ono
vi
c
h変数の
配置 を選び出せばよいことがわかったが、そのような配置
.
i
(
,
)
(
Lq(
L/
2
)
l
c
tqc
,
・
ql
Rq(
L/
2
)
)
(
L-q(
L/
2
)
l
R-q(
L/
2
)
)
= "
(
'
)
W
P
w(
a
)
p
(
a-a
)
-P
w(
a
)
p
(
a- a)
(
2・
26)
(
詳細つ り合いの条件)を満たす ような遷移確率 p
(
a- a
)
(
2・
20
) で配置 を連鎖的に生成 してい くと定常状態において配置 a
∑ "(
'
)f
レs
i
g
nW(
gq(
L/
2
)
)
jk
∑。`(')Pws
i
g
nW
が実現する確率 は 月
〝(
a)となることが示せ る9)。このよ
ここで、
(
a- a
)の取 り方は一意的ではないが、
うな p
く
Lq(
I
)
l
c
と
q
c
,
・
ql
Rq(
I
)
)
(
gq(
I
)
)
,
・
h≡ (
Lq(
I
)
l
Rq(
I
)
)
∑。
`
(
L
)l
W(
(
s
i
(
i
)
)
)
l
(
2・
27)
p(
a- a
)-m
i n(1
,
P b(
a
)
/
軸(
a)
)
(
2・
28
)
p(
a- a
)
P
a)
は Ⅳ×Ⅳの行列であ り、虚時刻 J
における一体のグ リー ン
関数 と呼ばれる。 また、
W(
(
s
i
(
I
)
))
[
P
w= I
a
)
=Ph,(w(
+Pw(
a
)
(
2・
21
)
(
熱浴法)や、
(
2・
22)
(メトロポ リス法)が採用 されることが多い。 これか らも
で あ る.(
2.
20)式 が示 す ところ は、確 率 fレ に従 って わかるように配置 を確率 Pwに従って生成するには現在の
St
r
a
t
o
no
vi
c
h変数の配置 (
s
i
(
I
)
)
(
サ ンプル)を選 び出 し、 配置 aと新 しく採用 しようとする配置 bの間の重みの比
選び出された N,
個のサ ンプルに対する平均値、
r ≡汽 γ
(
a
)
/
nv
(
a
)= l
W(
a
)
/
W(
a
)
げ わかれば よいO今
の St
r
at
o
no
vi
c
h
の場合 、i番 目のサ イトに対応する虚時刻 Z
走∑n"
=1S
i
g
nW(
Qq(
L/
2
)
)
,
・
h
未∑N
n:1S
i
g
nW
(
2・
23) 変数の符号 を変 える前 と変 えた後の W(
(
s
i
(
I
)
)
)の比 、
r=rTrl,
を計算すればよい とい うことである。このように、大 きな
重みを持つ配置の寄与を優先的に取 り入れて、少ない数の
r
q=
サ ンプルで真の値 に近い値 を予測する方法 を i
mpo
r
t
a
nc
e
de
t
(
t
わq
Bl
q・
・
・
Bl
q(
・
--S
i
(
I
)-)・
・
・
BLqQTq)
)
I
q・
・
・
Bl
q(
- +s
i
(
I
)・-)・・・
BLqQTq)
I
de
b
(
t
QTqBl
(
2・
29
)
2.
22
)式で W の絶対値 を考 えている
s
a
mpl
i
ngとい う9)0 (
のは、確率は非負でな くてほならないか らである。絶対値
2・
2
3)式の分母分子の中に s
i
g
nW が入っ
をとったために (
て くることに注意 しよう。
を計算すればよい。
st
r
a
t
o
no
vi
c
h変数の更新の流れを示す と、
,
1.虚時刻 L
において、全てのサ イトi=1
-つの固定 された S
t
r
a
t
o
no
vi
c
h変数配置に対 しては (
外
i
(
I
)を更新する.
て rを計算 して s
2.1を L- 1
,
- ,
L について行 う.
3.L=L までい った ら、今度は逆 に l-L,
L-1,・・.,1
と虚時間を逆 にた どって同 じことを行 う。
4.上記の虚時間の往復 1- 3を繰 り返す。この往復一
Lq(I
)
I
・
-l
Rq(
I
)
)の
場中の)自由電子の問題であるか ら、(
2.
21
)式の gQ(
I
)は具体的には
計算 は実行で きる.(
(
I
)
gq(
I
)=Rq(
I
)【
t
Lq(
I
)
Rq 「1t
Lq(
I
)
,
Nに関 し
(
2・
2
4)
によって計算できることが示せる. ここでt
Lq(
I
)
,
Rq(
I
)は
nt
eCar
l
os
we
e
pとい う。
回一回の ことを Mo
Lq(
I
)
[
,
l
Rq(
I
)
)に対応する行列であるoまた、二
それぞれ (
以上が基底状態 における AFQMC法の大筋である。原
体の演算子 c
3
g・
c
h
q
,
・
C
'
q・
・
,
に村 しては、(
Lq(
I
)
I
I
・
・
l
Rq(
I
)
) 理的にはこれで物理量が計算できるわけであるが、実際の
ではさむ ときに Wi
c
kの定理が成立す る。例 えば、
計算 をする上ではい くつかの困難が残 されている。以下に
C
.
T
q
それを説明 しよう。
く
LT
(
I
)
l
c
.
I
T
C
3
TC
kTC
I
T
I
RT
(
I
)
)
2.
3.
4 規格直交化
-く
LT
(
I
)
l
c
.
!
T
C
I
Tl
R†(
I
)
)
(
LT
(
I
)
T
c
,
t
T
C
k
T
I
RT
(
I
)
)
基底状態の性質 を見 るためには十分大 きなβをとって、
βをそれ以上大 きくして も、計算 している物理量が変わ ら
-(
LT
(
I
)
l
c
I
T
C
k
T
I
RT
(
I
)
)
(
LT
(
I
)
l
c
,
T
T
C
I
Tl
RT
(
L
)
)
基底状態のフォーマ
(
2・
25) ないことを確認 しな くてはならない。(
リズムではβは温度の逆数ではないので、βに関 して収束
が成 り立つ.これによって Qq(
I
)の計算に帰着する。三体
していない計算結果 は物理的な意味 を失 う。)大 きいβを
以上の演算子の場合 も同様である。
とると、BLqを次 々にかけてい くに従 って、次第にt
Lq(I
)
,
Rq(
L
)の性質が悪 くな り、計算が破産する.そこで、虚時
-
385
-
講 義 ノー ト
士
刻J
oごとにt
Lq
(
I
)の規格直交化 を以下の よ うに行 う17). ( kェ,士AY ),(
土ky,
土k;)とい う波数を持った-電子状態は
M xN行列 を M 佃の N次元行ベ クトルの躯 まりとみな し 鮒退 しているので、この中の どこに花子 をいれで もエわ レ
amSc
hmi
dtの直交化法で規格直交化す
て、これ らを Gr
ると、
t
Lq(
l
o
)-Rl
qDl
qt
Lq(
L
o)
(
2
.
3
0
)
ギーは変わ らない。 したがって、自由電子系の基底状態が
縮退 しないためには、同 じエネルギーを持 った-電子状態
には、電子 を完全に詰めるか まった く詰めないかの どちら
と書ける。ここでt
Lq
(
t
。
)は規格直交化 された M 個の N次
元行ベクトル、すなわち M xN行列であ り、Dlqは M xM
か にする必要があ る。この ような場合の こ とを閉殻 とい
い、そ うでない場合 を閉殻 とい う。閉殻の場合は試行関数
が一意に決 まるが、閉殻の場合は任意性があ り、どれを選
の対角行列 、Rlqは対角成分が 1の M xM 三角行列であ
ぶかによって負符号の出やす さが異なる。ただ、いずれに
。
+1では、 tLq(
t
。
)を基 にt
LQ(
I
.
+1)=
る. 次の時刻 L
t
Lq(
I
.
)
b
lq
(
I
)
b
Zを計算 し、同様 に E
-2to- 1まで計算す
る.I-2
l
oでは再 び直交化 を行 うoR(
I
)について も同様
である。ここで等式
して も、閉殻の場合は閉殻に比べて負符号が出やす く計算
が困難である。
2.
3.
7 誤差の要因 と評価
基底状態の量子モ ンテ ・カルロ法において、誤差 を生み
(
I
)ltLq(I)
i
)
βが有限であること、
出す要因は三つある。すなわち、(
(
i
i
)
△丁
が有限であること、(
i
i
i
)モ ンテ ・カルロ サ ンプ リ
i
)と (
i
i
)は系統的 な誤差
-如 )瑚 )
如 )
「1
瑚 ) (
2
・
3
1
) ングにおける統計誤差である。(
であ り、計算 している物理量が変化 しな くなるまでβや L
が成立することが示せるので、実際の計算では性質の良い
を大 きくす るか、変化の仕方か ら外挿 して真の値 を予測
L,Rを用いればよいわけである.
す る必要がある。 とるべ きβとしては 5
/
tか ら数 1
0
/
tま
2.
3.
5 負符号間逝
で、パ ラメーター領域、見たい物理量によって変わる.ま
Pwを非負にするために (
2.
2
3)式に 8
i
gnW が入って しま た△Tは 0.
1程度の億 を用 いるのが普通 だが 、Uが大 きい
γの符号が正負同 じ程度
うことには、先 に触れた。 もし l
ほど△Tは小 さくする必要がある。当然、どの程度の精度
.
B
i
gnW は小 さ くなるの で物理量 を求めたいかによって もとるべ き△ Tの小 ささは
の割合で出現 した とす ると、∑n
で、(
2.
2
3)式は∼ o/Oの評価 を行わなければな らず、計算 変わる。
の精度が悪 くなる。これは、このフォーマ リズムだけでな
(
i
i
i
)の誤差 は異なった時系列を用いた p回の測定 を行い
く、量子モ ンテ ・カルロ法一般において、しば しば顔 を出
(
あるいは一個の時系列で十分間隔 をおいて測定 された p
す問題であ り、負符号問題 と呼ばれる9-10)。負符号問題が
個の測定値 を用い)、それ らの平均値 を∂として、
深刻化するか どうかは、考えている模型、パ ラメーターの
値、試行関数 に大 きく依存する。ハバー ド模型でいえば、
=1
(
On-0)
2
60= ∑三
(
2・
32)
p(
p- 1
)
まず最隣接 サ イ ト間ホ ッピングのみの一次元系 の場合 は
厳密に負符号が出ない.しか し、一次元で も最隣接以外の
として計算 される9)。誤差は測定値の数pに対 して- 1
/、
序
ホッピングを入れた場合や、二次元の場合には一般 には負
の ように振 る舞 う。一般に負符号が出るときは統計誤差が
Qq(
I
)
-Rq(
L
)l
t
L.(
t
)
Rq
「
[
符号問題が生 じる.この場合、大 きな U,
D(
EF)
,
β に対 し 大 き くなる。
EF)はフェル ミ準位近傍 の状態
て深刻化する (ここで D(
密度)
。基底状態の計算ではβは大 きくとる しかないので、 2.
イ 有限温度における補助場量子モ ンテ ・カルロ法
必然的に扱 える Uは小 さくなる。 しか し、実際 に興味が 2
.
4.
1 定式化
あるのは、まさに Uが大 きい強相関領域 なので、負符号
有限温度 における AFQMC法は多 くの部分 を基底状態
問題 を克服すべ く、様 々なアプローチがなされている。18) の方法 と共有するので、ここではその概略 を説明するに留
2.
3.
6 試行関数
める19)。 まず、有限温度の場合、粒子数 を固定す るので
試行関数はなるべ く基底状態に性質の近い ものを選ぶこ
はな く、化学ポテ ンシャル〝 を導入 して大分配関数
トさ
とが、負符号問題の観点か らも望 ましい.Uが比較的′
い領域で雨 -Oの ときの基底状態 (
2
,
4)が よい試行関数
lf
il
f
l
e
dにおいて
となる。また、2次元ハバー ド模型の ha
は、後述するように反強磁性的な秩序が強 く発達す るが、
それに対応 して試行関数 として反強磁性の長距維秩序状態
Z=Tre
xp(
-P(
H-pN)
)
(
2
・
3
3
)
を考 え る。有 限温 度 の AFQMC で はβは温 度 の逆 数
1
/
(
k
BT)
である.また、化学ポテ ンシャルを変化 させてバ
電子数/サ イト数)の期待値 を調整
ンド・フ ィリング n-(
(ネール状態)(
iTq)
i
m=e
Xp(
i
k.
,
1
・
r
i
)
士e
xp(
i
(
km+q)
・
r
i
)
, する.基底状態の場合にやったの と同様 に no
t
t
e
r
Suz
uki
Q=(
7
T
,
7
r
)(
複号はス ピン†Jに対応)をとる と負符号が厳
分解 と推散型 Hubba
r
dSt
r
at
o
no
vi
c
h変換 を行 うと、(
2.
1
3)
密 に出な くなる13)0
式より
ところで、自由電子系の基底状態 を試行関数 に とった
場 合 、それがエ ネルギー的 に縮退 してい ないの は特定
の電子数の ときに限 られる。例 えば 2次元で考 える と、
-3
8
6-
Z-宗
∑
r
I
I
T
1,
i
(
l
)
=土1)
B D,
q
q L
=1
(
2・
3
4)
「
第4
3回 物性若手夏の学校」
ここで 、Dt
q ≡ W ow lqW o
の中の wlqは (
2・
1
2)式 において
U/
2を U/21J
l
で置 き換 えた ものであるO
指数の肩が一体の形 になっているために、-電子状態 を
基底 にとって Tr
a
c
eの計算 を実行す ることがで き、その
結果 ,
最適化 して基底状態 に対す る近似解 を得 る方法であるが、
多体問題の場合、エ ネルギー (
試行関数 に対するハ ミル ト
ニア ンの期待値)の計算 は、多体波動関数 に対する膨大な
次元の内積 となる。このエ ネルギー計算 をモ ンテ ・カルロ
va
r
i
a
t
i
o
na
l
法で数値的に行 うのが、変分モ ンテ ・カルロ法 (
Mo
nt
eCa
r
l
o;VMC)である20)。試行関数 と してはハ ミル
Z
-蒜 i
∑
W(
i
s
i
(
I
)
)
)
,
S
i
(
I
)
=
j
=
1
)
トニア ンの基底状態 に近 い性 質 を持 つ と思 われる さまざ
まな波動関数 を考 え、その各 々に対 して変分パ ラメー ター
W
(
i
s
i
(
I
)
)
)
=
r
I
d
e
t
q
l
I
・
B
B
E
q
](2・35,
を最適化 し、最小化 されたエ ネルギーを比較することによ
り、基底状態の性 質を同定する。以下では、ハバー ド模型
となる。
を例 に とって VMC法の説明 をしよう21)0
2.
4.
2 物理量の計算
2.
5.
2 試行波動関数
通常 、vMC法では、電子相関を取 り入れた波動関数 を
一体のグ リー ン関数の平均値 は
h
o
I
g)-PG仲o
)
(
c c
,
t
q
)
∑
とい う形 に仮定す る. ここで 、PGは電子 間斥力の効果 に
よって電子がお互いの近 くに来るような重み を小 さくする
叫 .
,
=叫 Trl
c
k
qC
,
T
qnqnf
=lDt
q]
∑ 寸.
i
(
t
)
=土1)W (
is
i(
I
)
)
)
∑1
"(
I
)
)E
h,8
i
gnW
ような射影演算子であ り、例 えば、オ ンサ イト斥力 Uによ
,
H
F
=
a
,
C
,
I
,
I
l
る電子相関の効果 を取 り入れて、同一サ イトに 2電子が来
'
・
lD
2
;
Wi
l
l
e
r塑
る配置の重 み を小 さ くす る射影演算子 は 、Gut
n
W
∑ ("(
t
)
)タ〝s
i
g
-I
l
l
-(
1-g
)
n.
・
T
ni
l
]
I
pG
ここで も na
c
eの計算 は実行可能で
nlc
と
q
C
3
q
nq
I
l
f
=1DL
q
]
〟
(
2・
3
8
)
A
I+I
IBEq
=1 ) 1
[
( J
]
(
k
2
'
:
3
7
)
となることが示せ る。ゆえに、基底状態 の場合 と同様 に
1
(
2
・
3
9
)
(
o≦ g≦1)にとるこ とが多いOここで gは変分パ ラメー
ター (
のひ とつ)となる。
qo
)の部分 を考 えよ う。vMC法で は、この部分
次に I
l
a
t
e
r行列式の形 に とる。何 も秩序 を仮定 しない骨伝
をs
確率 乃γに したが って St
r
a
t
o
no
v
i
c
h変数の配列 を生成 し、 導状態 であれば自由電子 の基底状態 、
それ らのサ ンプルに関 して (
2
.
3
7
)式 の右辺の平均値 をと
0
(
R)
-de
t
(
QT
)
丘e
t
(
Ql
)
,
9
2
.
3
7
)式 に
ればよいことになる。二体以上の量 に関 して (
c
kの定理が成立するの も基底状態の場
相当する段階で Wi
(
iq)
i
,
.
-e
XP(
i
ki・r
j
q)
(
2
・
4
0
)
合 と同 じである。
を とる こ とが多い。 ここで r
,
.
UはJス ピンを持つ j番 目の
2.
メ.
3 規格直交化 、負符号問題 、誤差
電子の座標 であ り、良 - (
r
l
T
,
- ,
r
〟†
,
r
l
l
,
- ,
r
〟上
)は
全電子 の配置 である。
有限温度の方法で も低温 だ と (
すなわちβが大 き くなっ
秩序状態 として最 も簡単 なのは平均場近似解の形であ
βJ
の性質が悪 くなる。したがって、ここ
て くると)行列nf
βJ
の規格直交化
で も基底状態の場合 と同様 に定期的にnJ
を行 うことによって、この間題 を回避する必要がある12)0
る。例 えば超伝導状態 な ら BCS波動 関数
)
-I
l(
uk・v
kC
L
T
C
lk↓
)l
O
)
k
l
qo
また、基底状態の場合 と同 じく、βや Uを大 き くす る と
負符号問題が深刻化す る。ただ し、有限温度ではβを有限
にとめておいて も、「その温度での期待値」 とい う物理的
α∩k (1・akCkTCt_k⊥)[0)・
βを小 さぐ留めておいて、
意味 をもつ。そこで、しば しば、
Uを大 き くすることによって、比較的高温での強相関効果
=%
ak
の議論がなされる。
△ Tが有限であ る ことによって、系統 的な誤差が生
(
2
・
41
)
じ、
△
底状態の場合 と軌 じである、
.
,
up
(
k)
C(
k)
-J
l
+V/
(
e
(
k)
- ∼)
2+
モ ンテ ・カルロ平均 をとるときに統計誤差が生 じる′
のは基
△
su,
(
k)
2'
である。ここでE
(
k)はバ'
ンド分散 (
2
・
3
)
、△,
叩(
k)は超伝
導 ギャップ (
3.
2・
1
節参照)、〝は化学 ポテ ンシャルである。
ただ し、BCS波動 関数 は粒子数一定の状態ではないので
2.
5 愛分モ ンテ ・カル ロ法
・
2/
5.
1 原理
vMC法では、これ を粒子 数 2〟 個の状態に射影 した もの
変分法 とは、変分パ ラメーターを含む適当な試行波動関
数 を導入 し、エわ レギーを最小 にするようにパラメー タを
- 387
-
講義 ノー ト
以上で一組の変分パ ラメー ターの値 に対するエ ネルギ一
を用 いることが多い2
2
)
。す なわ ち、
肌待値が求 まる.この計葬 を変分パ ラメー ターの値 を少 し
づつ変えて繰 り返す ことによって、一つの試行関数 に対 し
てエ ネルギー期待値最小 を与 える最適変分パ ラ メー ター
-(
? akC
k
T
C
t
k
⊥
)" 0
,
一
g0
,
値が決 まる。 さらに今度 は試行関数 を変えてみて、同 じプ
ロセスを行 う。考 えている試行関数の うち、最適化エわ レ
ギー期待値 の最 も低 い ものが、ハ ミル トニア ンの真の基底
-(; A(i-3・,ctT.C
,
t
l
)
"・
0
)
状態 に近い性 質 を持つ と考 える。
A(
rl
T-rl
l
) A(
rl
T-r
2
1
)
A(
r2
†-rl
l
) A(
r2
丁-r
2
1
)
=
2.
5.
4 長所 と難点
VMC法で は負符号問題がないので、相互作用の大 きさ
∑
de
t
(
r
T
)
,
I
rl
)
QMC法 と
や電子数 に強 い制限 を うけ ることな しに 、AF
同程度のサ イズの系 を取 り扱 うことがで きる。反面、結果
・
q
T
I
T
・
・
・
C
LT
C
,
T
l
l・
・
・
C
,
t
Mll
O
)
,
(
2・
43) は変分試行波動関数 に大 き く左右 されるので、その選び方
が問題 となる。例 えば極端 な可能性 として、本来は骨伝導
状態 なのに、骨伝導状態の試行関数があ ま りよ くないため
i
^'
r'
-
E ake
i
k'
r
に超伝導状態の試行関数のエネルギーの方が下がって しま
とな るo ここで i
(
3
'
)
1
,
-,
i
(
3
'
)
M(
I
)
は rl
T
(
1
)
,
・
・
・
,
r
M(
I
)
T
(
1
) う、 とい う可能性 もない とは限 らない。VMC法による計
をサ イト番号 の順番 に並べ変 えた ものである。de
も
(
- )が 算結果 を解釈する際 には、このような点 を常 に考慮 にいれ
やo
(
a)にな り、A,
u
p(
k)は変分パ ラメー ター となる.
る必要があ る。
2.
5.
3 エわ レギーの計算
§3. ハ/ト ド模型 への適用例
試行波動関数削 こよるエネルギー期待値 Eは
(
a)
Hや(
a)
E = ∑R甘●
1
2
∑RI
や(
a)
それでは、第 2節で解説 した手法 を 2次元 正方格子上
(
2・
44) のハバー ド模型に適用 した計算例 を、反強磁性 と超伝動 こ
和 は電子のあ らゆる配置 にわたって とる。前述 したように
サ イ ト数 、電子数が多い場合 にはこの和 は膨大にな り、実
行す ることはで きない。そこで、これをモ ンテ ・カルロ法
mpo
r
t
anc
es
a
mpl
i
ngに適 した形 に変形する。
による i
E-∑
RW(R)等欝
〟(
氏)=
焦点 を当てて紹介 しよう。数値計算結果の他 に も、適宜 、
理論的予備知識 について触 れた り、高温超伝導体の実験結
果 を引用 した りす るこ ととする。高温超伝 導体 の模型 と
してはハバ ー ド模型以外 に もい くつか考 え られているが、
ここでは紙数の都合上、ハバー ド模型 に話 を限定する24)0
(
2
・
4
5
) 3.
1 反強磁性
秤(
a)
l
2
∑R,仲(
R )l2
'
現実 の銅酸化物 は ドープ されてい ない絶縁体の状態 で
(
2
.
46
) 低温 にす る とス ピンが反強滋性的 な長距離秩序 を持つ こ
とが知 られている。この ことか ら、反強滋性 と超伝導の間
すなわち、確率 (
2
・
4
6
)に したが って電子 の配置 をモ ンテ ・ になん らかの可能性があるのではないか との見方が強い。
カル ロ法に よ り生成 し、それ らのサ ンプ ル配置 に対する
そこで、ここではス ピンの秩序 に関する数値計算結果 を見
l
Hせ(
a)
】
/甘
(
R)の平均値 を求めればよいoAFQMC法の てみ よう。
2
.
45
)式の 3.
場合 と異な り、負符号問題が生 じない こ とが (
1.
1 ス ピン相関関数
形か らわかる。
有限系では一般 に長距雑秩序がたちえないので、秩序パ
ハ ミル トニア ンとして最 隣凄 サ イ ト間にのみホ ッピン
ラ メー ターその ものの期待値 (
o)ではな く、そのゆ らぎ
グのあ るハバ ー ド模 型 を考 える と、各 配置 R に対 して
(
02)、す なわ ち相 関関数 をみ るのが有用 である。ス ピン
【
E甘
(
氏)
】
/
甘(
a)は
の秩序 を見 る場合 はス ピン構造因子 (
波数空間で定為 され
竺 生型
たス ピン相関関数)をみる。ス ピン構造 因子 は
や(
a)
i
∑
∑
g
Be
t
D
(
・
・
・
,
・
U
,
q
a
)
-妄∑り (si・Sj)et'q・r
de
tD(
・
・
・
,
r
j
q+a,
・
・
・
)+UNd
d
d
r} ・
・
・
)
S(
q)
'i
-r,i
(
3・
1
)
1
/
2)∑qq
,C
.
!
qaQq・C.
・
q
・(
3は
(
2
・
4
7
) で与 え られ る。 ここで Si= (
パ ウ リ行列)は iサ イ トにおけるス ピン 1
/2のス ピン演算
となる.(
2
・
4
7
)式の右辺第一項 は、電子のホ ッピングか ら 子であ り、i
,
jの和 は全てのサ イトにわたって とるO
(
Si
・
Sj)
来る寄与である。aの和 は全景隣接サ イトにわたって とる。 は二体の演算子の期待値 なので、基底状態 な ら 2
.
3.
2節 に
∂
dは電子のホ ッピング前後 におけ る全二重 占有サ イト数
4.
2に述べ た方法で計
述べ た方法で 、また有限温度 な ら 2.
の差である。右辺第二項 はオン ・サ イト斥力か ら来 る寄与
で 、Ndは配置 R における全二重 占有サ イト数である.
3.
1
)式の形 は系 のサ イズを大 き く
算す ることがで きる。(
すればするほ ど相関の長距椎部分 を足 しあげ る形 になって
-3
8
8-
「
第43回 物性若手夏の学校」
0
5
日
日
a
日
0
0
0
5
(U召 寸N\S)
un
OU)I
(
7!Su
3
7uI
ーn
H
(
0・
6
0・
8
1
1
.
2
H(
r
.
Lu.
)
1
.
4
(b)
5
0
β
1
15
20
Fi
g.1. (
a)基 底状 態 AFQMC 法 に よる ス ピ ン構 造 因子
S(
q)を
(
q
z,
q
y)の関数 としてプロ ット。U =4t,6x6サ イト,36電子 (
ha
Ume
d)23)。(
b)有限温度 AFQMC法 による S
(
・
W,
汀)のβ(
=1
/
T)依
存性 を様 々なサ イズに対 してプロ ット。U =
4t、n =
11
2
)
。
いるので、ス ピンが波数 qの長距離的な相関 を持 ってい
S(
q
)は系のサ イズを大 き くするとともに増大する
れば 、
はずである。
3
.
1
.
2h
a
L
f
Pl
l
e
dの場合
f
Rl
l
ed にお
まず ドープ されていない状況に対応する hal
(
a)に AFQMC法
けるスピン相関関数 をみてみ よう.図 1
によって求めた基底状態の構造因子 S
(
q
)を示す23)。q=
(
7
T
,
7
r
)に鋭い ピー クがたって反強磁性 的 なス ピン相関が
(
b
)に、有限温度の
発達 しているのがわかる。また、図 1
AFQMC法 を用いてい くつかのサ イズに対 して S
(
7
r
,
q)を
計算 したものを示す12).低温で S
(
7
r
,
7
r
)がサ イズ とともに
増大 してお り、反強磁性秩序が温度の低下 ととも発達 して
いることを表 している。
Fi
g.2. (
a)
Lal
.
8
5
Sr
o
.
1
6Cu04の中性子散乱強度 を波数空間 (のある断
面)でプ ロ ッ ト2
6
)
0(
b)基底状態 AFQMC法 による S(
q)
0U
4t
,
=
10×10サ イ ト,82電子23)。
3.
1.
3 nonhal
f
Pl
L
e
dの場合
次にドープ した場合 を考えよう。実験的には、ある程度
ドープすると反強磁性長距離秩序は消えるが、短距経での
;Cu04の骨伝
ス ピン相 関は残 る。それは例 えば La2_こSr
導相における中性子散乱の実験で 、q=(
7
T
,
7
r
)から少 しず
れたところに散乱強度の ピークが観測 されることか らわか
る(
図2
(
a)
)
2
5
)
. ドープ されていない ときの q=(
7
r
,
∬)の
ピークはス ピンのTl†・
- の配列が格子点の並 びに整合 し
打,
7
r
)か ら少 しずれ
ていることを示 しているが、ピークが (
ているとい うことは、ス ピンの相関が格子 と非鮭合になっ
ていることを表 している。
では、hal
f
Al
l
edか らず らした場合のハバー ド模型の量
0×1
0サ イト,8
2
子モ ンテ ・カルロ結果 を見てみよう。1
電子の基底状態 における S
(
q
)の計算結果 を図 2(
b)に示
す23)0ha
lf
Rl
l
ed の場合 と違 って、この場合は (
7
r
,
7
r
)か ら
くのは、直観的には、†と1電子が隣 り合 っているときは、 ずれた位置にピー クが立つのがわかる。この計算結果は、
どちらかの電子が とな りに振幅 tで移動 して、エネルギー
La2_。
Sr
;Cu04において実験的に観測 された非整合ス ピ
が Uだけ上がった中間状態 を経 て、再び振幅 tで元の位
ン相関が少な くとも定性的には、ハバード模型で理解 し得
隣 り合 うサ イトのス ピン間に反強磁性 的相互作用が働
2
/
Uだけエわ レ
置 に戻る、という二次摂動過程によって-t
ギーを下げることがで きるのに対 して、†と†が隣 りあって
いる とその ような過程が許 されないか らである。
ることを表 している。
1 38 9
-
講 義 ノー ト
3.
2 超伝導の可能性
次 に、ハバー ド模型における超伝導の可能性 を数値計算
によって調べた結果 を紹介するが、その前に超伝導電子対
の対称性 について触れておこう。
合 と同様 、超伝導秩序があれば超伝導相関関数は系のサ イ
ズ とともに増大するはずである。
U>0のハバー ド模型の結果に行 く前 に、オン ・サ イ
ト相互作用 を人工的に引力 (
U<o)に したハバー ド模型
(
引力ハバ ー ド模型)に対す る計算結果 をみてお こう。図
31
2・
l a;,_ y2波超伝導
フォノンを電子 間引力の起源 とする通常の超伝導では、 3
(
a)にい くつかのサ イズに対 して、等方的 β波の相関関
数 を有限温度の AFQMC法で計算 した結果 を示す29)。低
超伝導ギャップ関数△岬 は波数に依存 しない。これは実空
間で言えば同 じサ イト内で対 を作る場合に対応 し、等方的 温で相関関数がサ イズ とともに増大 しているのがわかる。
電子間にオン ・サ イト引力があるのだか ら、等方的 β波超
β波超伝導 とい う。 しか し、銅酸化物における高温超伝導
伝導の相関が発達するのは予想
どお りの結果 と言える。
では、様 々な美顔 か ら超伝導ギャップ関数が波数空 間で
それでは斥力の場合をみてみよう。基底状態の AF(
iMC
△叩 (
k)=△o
/d
(
k)
,
法 による超伝導相関関数の計算結果23)を図 3
(
b)に示す。
fd(
k)=c
osk
=-c
osh,
(
3・
2) これは U/ -4におけるd。3-,つ
波超伝導相関関数を、6×6
か ら1
6×1
6までのサ イズで様 々なバ ンド ・フ ィリングに
とい う依存性 を持つ ことがわかってきた6,27)。このように
対 して計算 した結果である2
3
)
。超伝導相関関数に系統的
y軸 の方向で絶対値が最大 とな り、9
0度回転 に対
k。軸 、k
なサ イズ依存性はないことがわかる。他の対称性の相関関
して符号 を変えるようなギャップを持つ場合を dlL y7
波超
数に関 して も同様 である. これは U>Oにおいて超伝導
伝導 とい う. これに対応する超伝導秩序パ ラメー ター Od
が起 こることに対 して否定的な結果である。またこれを奏
i
は
Od(
i
)
T
od(
3
1
)
)を距離 r
i-r
,
.
の関数 と
付けるもの として、(
して見る と、克
則云樽が起 こらない U =0の ときに比べて
=
od ∑ √d
(
k)
c
kT
C
_kl
k
∝∑
od(
i
)
,
U>0の ときの方が遠距雑部分で小 さな値 をとる.
(
3・
3)
ここで、これ らの結果 に対 して、幾つかの可能性が考
えられる。(
i
)ハバー ド模型その ものが銅酸化物における
超伝導状態を記述するには単純化 され過 ぎてお り、解析的
od
(
i
)-浅 写 g
d
(
6
)
l
c
i
T
C
・
・6
1- qlCi
・B
T
' (
3
・
4
) な計算で超伝導がでて きて しまうのは近似のせいである、
i
i
)
AFQMC法では U ∼ 10t程度の現実的な領域を扱 えな
である。ここで6の和 はサ イトiの最隣接サ イト全てにわ (
いが、大 きな超伝導相関の発達はこの領域でないと起 こら
d
(
6
)- 1、y
たって とり、6が 〇方向のベ クトルの ときは g
i
i
i
)扱 っている系のサ イズが∼1
00サ イ トでは小 さ
ない、(
方向のときは g
d
(
6
)=-1であるoつ まり実空間でい うと、
i
i
i
)の可能性30・31)について述べたい。
隣 り合 うサ イト間で電子対 をつ くり、〇方向で組む場合 と 過 ぎる。ここでは (
量子モ ンテ ・カルロ計算は閉殻の ときの方が負符号問題
y方向で組 む場合 とで秩序パ ラメーターの符号が異 なる。
が深刻化 しに くいので、この条件の下で行 なわれることが
理論的にも、ハバード模型にはオン・
サ イト斥力があるの
多い。すると、U=0では電子が詰 まっている最 も高い準
C
.
、等方的 s波超伝導が起こるとは考えに くいが 、a;L y⊃
hi
he
g
s
toc
c
upi
e
dl
e
ve
l
;HOL)と電子が詰 まっていない
波超伝導の可能性 は指摘 されている。それは、反強磁性的 位 (
最
も低い準位
(
l
o
w
e
s
t
o
c
c
u
pi
e
dl
e
ve
l
;LUL)との間に有限
な揺 らぎが発達 しているときには、その揺 らぎを媒介 とし
0×1
0サ イト
のエネルギ一差△が開いて しまう。この差は 1
て電子間に運動量移行∼(
7
,
,
7
r
)で斥力かつ最大になるよう
程度の系では通常
、o
・
1
i
以上の大
きさに達する。d
。L y⊃
波
な有効相互作用が働 くか らである28)。すなわち、この有
超伝導は 3.
2,
1
節で述べたように波数 (
0,
7
r
)近傍から(
7
r
,
0)
効相互作用 によって電子対が波数 (
7
T
,
0
)近傍か ら (
0
,
7
,
)近
近傍への電子対の散乱過程 によって引 き起 こされるが、閉
傍(
あるいは逆)へ斥力的に散乱 される振幅が強 くなるが、
殻の場合、そのような散乱過程 としては電子対 をHOLか
7
r
,
0
)と (
0
,
7
r
)近傍で絶対値
このような散乱過程が、波数 (
らLULに移動 させ る しかない。従 って HOLLUL間のエ
k)を持 った超伝導、す
が大 きくかつ符号の反転 した△ 叩 (
ネルギ一差△が超伝導の特徴的なエ わ レギー ・スケールよ
波超伝導 に有利にはた ら くことは、定性的
なわち も L y7
りも大 きか った ら超伝導 の兆候 は検出で きないはずであ
には BCS理論の枠 内で説明で きる28)0
∼1
00K)はハバー ド模
る。実際、高温超伝導の転移温度 (
3.
a.
2 超伝導相関関数
型の言葉 に直 して 、0.
01
tのオーダーであ り、 もしハバー
スピン秩序の場合 と同様に、有限系において超伝導の可
ド模型の超伝導 もこの程度のエわ レギー ・スケールの もの
能性 をみるには超伝導相関関数
だ とすると、∼ 1
00サ イト、閉殻ではその検出は難 しいと
s
d
(
q
)-妄∑
od(
i
)
†
o°
(
3
・
)
)
e
i
q・
'
rt
-r,
.
I
t
](
(
3
・
5
)
を計算する。 ここで q は超伝導電子対 の全運動量 に対応
k とが対 を組 んで全運動量 は 0
す るが、通常 は波数 k となので 、q-0のみ を考 えることが多い。ス ピン相関の場
-
3
考 え られる.それ に対 して引力ハバー ド模型では人工的
>i
)を入れているので超伝導のエ ネル
に大 きな引カーU(
ギー ・スケールが大 きくな り、小 さな有限系で も検出で き
た と考 えられる。
斥力ハバー ド模型 における上記の ような問題 を回避す
90 -
「
第43回 物性若手夏の学校」
同
区 竿 竹 世 職 嚢
。
ロ
β
5
ロ
o
0
1
0
可
(
区
等
榔堅埋 登
〇
〇
4
6
、 ・
1.
00
.
'
■
。
手′手
:
声
r
^・ t
Fi
g・41 基底状態 AFQMC法 に上る く
Od
(
1
'
)
t
od(
i
)
)を実空m距粧
3
'
正l+ l
i
y-3
'
yI= ,(
十 定)の もの につい て和 を と り、 ,の 関数 と して
と= 1,U = 1,t
y=0
.
999(ロ),
プ ロ ッ ト。8x8サ イ ト、46電子 、 t
O・
95(
○)
,破線 は U = 0(
U =0は t
y= o・
999と o・
95とで同 じ)。
Ll'
; -
。
p
o
o・
2
0・
4 n O・
6
01
8
1
3.
2.
3 変分モ ンテ カルロ計算
Fi
g・3・ (
a)有 限温度 AFQMC 法 に よる引力 ハ バ ー ド模 型 にお け る
等方的 a披 超伝 導相 関のβ依存性 を様 々なサ イズ に対 してプ ロ ッ ト.
U = -4t、7
1= 0・
529)。(
b)基底状態 AFQMC 法 に よる d。L yつ波
超伝斗相 関 Sdをバ ンド ・フ ィリング に対 してプ ロ ッ トDU 4t。サ
●)
,8×8,(
■)10xlO(◆),12×12(▲),16×16
イズは 6×6(
=
(
+)
2
3
)
0
るには系のサ イズ を非常 に大 きくして△を小 さ くすればよ
0
0サ イ ト程
い(
現実の△は もちろん無限′
」
、
)わけだが 、1
度が現在の計算機 で扱 えるサ イズの限界である。次 善の
AFQMC法では、基底状態や低温において、現実的な大
i
(
∼1
0
)を扱 うのは錐 しい。この ようなパラメー
きさの U/
ター領域 におけ る超伝 導 の可能性 を調 べ るため に VMC
法 に よる計算が行 われている。変分 関数 と しては、秩序
を仮定 しない常伝導状態 、d壬Ly
】
超伝導状態 (
△,
u
p
(
k)は
(
3・
2)式で与 え られる)、反強磁性状態 といったものが用い
られる。
ここで は最近の山地 らの計算結果 を紹介 しよう31)。 ま
0×1
0サ イ ト,8
4電子,U - 8tにおける計算 に よ
ず 、1
策 として、閉殻 で計算す れば△ = oなのでフェル ミ準位
のは 2.
3.
5で述べ た通 りであ る。そ こで 、 〇方向 と y方向
る と、d。L y⊃
波超伝導状態のエネ)
i
/ギーが最 も低 く、骨伝
導状態 (
A,
up =o
)か らのエ ネルギー利得 はサ イ ト当た り
∼ 0.
0015tである。山地 らはこの数値結果 を実験結果 と比
較す るこ とを試み た。絶対零度での超伝 導状態 の骨伝導
k。,k
y)
のホ ッピング ち とt
yの値 を微妙 にず らして、波数 (
状態 か らのエ ネルギー利得 は絶対零度 におけ る臨界磁場
と(
ky,
k
=)との縮退 をわずか に解 き、この間にフェル ミ準
を Hc
(
0
)として Hc
(
0
)
2
/
(
8
7
T
)で与えられる.YBa2Cu307
位が来るような電子数 に対 して (
すなわち閉殻 に近い閉殻
で)
、基底状態 における AF
QMC計算が行 われた30)。 そ
の ような場合の計算結果の例 を図 4に示す。 これは 8×8
に対 して実験的に評価 された 方。
(
o
)は約 1- 1.
5Te
s
l
aで
あるので 、エ ネルギー利得 は 1
Cuあた り0.
0
0
0
3-0
.
0
0
0
4
近傍 における様 々な散乱過程の効果 を取 り入れることがで
きると考え られる。 しか し、閉殻の場合 を扱 うのが難 しい
サ イト,46電子で く
Od
(
i
)
†
o°
(
3
'
)
)を実空間距柾の関数 とし
。
=
てプ ロットした ものであ る.t 1として t
y= 0
.
9
9
9に
.
01であ り、この ときは U =1の ときの方が
とる と△ <0
U=0よりも長距雑で増大 しているのがわかる.一方 、同
じサ イズ、同 じ電子数で i
y= 0
.
9
5にとると△ ∼o・
1
7と
なって しまうが、この場合は増大はほとんど見 られない。
この計算結果 は相 関関数がサ イズ とともに増大す るこ
e
v とい うことになる.これは t∼ 0.
4e
V を使 ってハバー
ド模型 に言葉 に直す と、1サ イト当た り∼ O.
ool
tのエ わ レ
ギー利得であ り、VMC計算がかな り現実的な結果 を与 え
ているこ とがわかる。
0×1
0サ イト,8
4電子 に固定 して Uを変化 させ る
次に 1
L
と、超伝導状態のエ わ レギー利得は小 さい Uか ら U∼ 8
くらい まで単調 に増加 し、それ より大 きい Uでは減少する
4電子 では U=0の基底状
こ とがわか った。 ところで 、8
とを示 した ものではないので、これだけでハバー ド模型 に
態 における電子の詰 ま り方が閉殻である。そ こで、今皮は
おいて超伝導が起 こるこ とを結論す るのは無理であるが、 電子数 を動 か して U = 8
tにおけるエ ネ)
t
'ギー利得 を求め
少な くとも、この ような計算結果 によって、ハバー ド模 型
る と、0.
ool
t以上の比較的大 きなエ ネルギー利得が得 られ
における超伝導の可能性 をより注意深 く検討する必要がで
て きたことは確 かである。
るの は、フ ィリングが閉殻 (
あるいはそれに近い)尭件 を
満たす場合であ り、閉殻の場合にはエ わ レギー利得は小 さ
くなる (
< 0・
0005t
)ことがわか った.以上の ようなエ ネル
1
39 1 -
講義 ノー ト
ギー利得の U依存性や電子数依存性 を考 えると、AFQMC
法による計算で超伝導相関関数の増大が見 られない場合 と
い うのは、閉殻であ ることと Uが小 さいこと (
3.
2.
2節で述
べた可能性
もある。
(
i
i
)と (
i
i
i
)
)の両方が原 因 となっている可能性
∫.
β 今後の課趨
3.
1
節でス ピン相 関関数の計算か ら、高温超伝導体の磁
気的性質の少 な くとも一部がハバ ー ド模型の範囲内で理
解可能であることを見た。また、ここでは紹介 しなかった
が、これ以外 にも光電子分光実験で得 られるバ ンド構造32)
や光吸収2
)
の実験結果 などもハバー ド模型の数値計算でか
な りよく再現で きることもわかっている。ただ し、これ ら
は比較的、高いエ ネルギー ・スケールの性質である。
それに対 して、超伝導は もっと低 いエ ネルギー ・スケー
ルの問題 である。 また、ここで は触 れなか ったが高温超
伝導体では Tcよ り高温の骨伝導相 において既 にギ ャップ
の発達がみ られる。 これは 「
擬 ギャップ」 と呼 ばれ、最近
非常 に関心の高 まっている問題 であ るが、これ もエ ネル
ギー ・スケール としては超伝導 と同程度 に小 さい。
これまでの数値計算結果 と、解析的な結果 とを併せて考
∼1
0)を持 つハバー ド模型 におけ
える と、現実的 な U/(
る超伝導のエ ネルギー ・スケールが鋼酸化物 における超伝
i
導や擬ギャップのエ ネルギー ・スケールに近い可能性 は確
・
トにあるといえる. しか し、そ もそ もその現実的なエ ネル
ギー ・スケール とい うのが 「高温」超伝導 と言 えども非常
に小 さ く、有限系 に対する数値計算か ら超伝導や擬 ギャッ
プの問題 に最終的な結論 を出せるのは もう少 し先のことと
な りそ うである。
6) 解説 として D・
J・Sc
al
aPino,Phy4
・Re
p・250(
1995)32
9.
7)行列計算の 日本吉
引こよる解説書 として、「マ トリクスの数値 計算」
戸川隼 人著 、オーム社
8)LanC
巧OB法の量子 ス ピン系へ の適用 を解説 した もの として 、田口
1
986)2
99.
善弘 、西森秀也 、物性研究 45(
孟子)モ ンテ ・カルロ法全般 に関する解説 (
集)として、K.Bi
nde
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9) (
e
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1
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986)
;H.
DcRae
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Phys
A・Lasc
ndl
j
k,Pl
l
y暮
.Re
p.127(
1985)233307;宮下 柑二、今
田 正俊 、固体物理 23(
1988)連戦 「量子モ ンテ ・カルロ法」(そ
の 1)か ら (
その 4)
;M・Su五t
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g,1987)
;M.
Su2
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丘C,Si
nga
por
e,1993)
・
10) ハバ ー ド模型 における量子モ ンテ ・カルロ法全般 の解説 と して羽田
1991)45
9.
野直通 、 物性研究 58(
ll)S・Sor
e
na亡
fa
t
リI
nt
・J・Mod・Phys
・B 1(
1988)993・
l
l
,PhyS
lRcv・B40(
1989)506.
12)S・
RIWl
山 - ia
13)M ・
m adai
l
ndY・Hatsuga
i
,J.Phys
・
Soc.J
pn.58(
1989)3752,
ここには基底状態の補助場量子モ ンテ ・カルロ法の方法論が詳述 さ
れている。本テキス トの説明 もこれに従 っている。
14)M・Su2
1
止i,Prog・Thcor・Phys・50(1976)1454・
15)JI
EIHi
r
s
c
h,Phys
.Re
v.ち 31(
1985)4403.
棟分 型 )
Hubbar
dSt
r
at
o
novi
c
h変換 もあ る
16) これ に対 して連続 型 (
(
例えば11)を参照)が 、従散型の方が数値計算 には適 している。
17)G・Sugi
yam8- aS・
E・Koo
r
dn,
Ar
ma
l
sofPhyS
・168(
1
986)1・
18)N・p-dawaandM ・
m ada,J・
l
PhyS
・Soc°Jpn・60(
1991)810・
19) 有 限温度 AFQMC法の説明は文献10112・18)に詳 しい.
20)D.Ce
pe
r
l
y,G.
V.Chc
S
t
e
r
,andM.
H.Ha
l
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.Phy8
,Re
v.B 10
(
1
977)3081.
21) ハバ ー ド模型 に対する変分モ ンテ ・カルロ計算の先駆的な研究 とし
て H・Yokoye
L
maandH・Shi
ba,J・PhyB
・Soc・J
pn・56(
1987)
1490;I.Phy8
.Soc.J
pn.56(
19
87)3582.
22)T.Gi
m ar
a
c
hiandC.Lhdl
l
i
e
r
,
Phyさ
.Re
y.B43(
1
991)12
943.
23)M.Fur
ukawaa
L
nd M.l
ma
da,∫.PhyS
.Soc・J
pn.61(
1
992)
3331.
24) 同 じく単一バ ンドの模型 として t
J模型や 、Cu と 0 を異なるサ イ
ap模型)などが あ る。 これ らの模型
トとして扱 う 3バ ンド模型 (
に対する数億計算結果 について まとめた解説 としては文献2)や、黒
木和彦 、青木秀夫 、固体物理 32(
1997)連戦 「多体花子論の新展
開」(その 11)か ら (その 15)
。
25) 解説 として B・
0.Wdl
se
ta
t
.
,Sc
i
e
nc
e277(
1
997)1
067.
謝辞
青木秀夫教授 (
東大 ・理)は じめ、青木研大学院生 の木
村敬氏 (
現広 島大 ・工)、有田亮太郎氏 (
東大 ・理)には共
同研 究 を通 して本 テキス トで扱 った内容 に関 して 日頃か
ら有益 な議論 を していただいた。 また、山地邦彦氏 (
電総
研)には最近の VMC計算の結果についていろいろ と数 え
ていただいた。 この場 を借 りて感謝の意 を表 したい。前
年度サブゼ ミ講師の諏訪雄二氏 (日立基礎研)にはいろい
ろ御助言 をいただい き、また世話人の中西祥介氏 (
東大 ・
理)は じめ、夏の学校関係者の皆様 にもいろいろ とご協力
いただいた。 ここに厚 く御礼 申 し上げ る。
リPhys・Re
y・Lc
t
t
・75(
1
995)1
626・
26)K・Yamadae
tat
27) 日本 語 に よる解説 と して、 日本物理学会誌 49(
1994)No.
7特集
r高温超伝斗体の凝縮対 は S型か d型か」;前 田京剛、固体物理 28
(
1993)933.
28)D.
I.Sc
al
api
no,E.Lo
b,and I.
a.Hi
r
B
C
h,PhyS
.Re
y.a 34
(
1986)81
90・
arc
laL
.
,Phy8
lRc
Y.Lc
t
t
・62(
1989)1
407.
29)氏.
T.Sc
a
l
c
t
t
30)K.K-oki・
L
ndH.Ao
k
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,Phys
・Re
v・B 56(
1997)R1
42
87;J・
Phys・Soc・J
pn・67(
1
998)15
33・
h
i
,K・Y- a
j
i
,J
L
ndT・Ye
L
nag
i
s
awa,J・PhyS
・Soc・
31)T.Nahni
S
Jpn・88(
19
97)294;山地邦彦 他 、電子技術縫合研究所乗 鞍 81
(
1997)No・12,579
589・
ht
・
,Phy8
・Re
y・B 50(
1
994)7215;D・Duf
r
ye`a
t
・
,
32)N・Bu
lutc
Phys
・Rev.B 56 (
1997)5597;R・Pr
e
uJ- IaL
・
,Phys
IRc
v
・
Le
t
t
・79(
19
97)1122・
1) 日本語による高温超伝林の総説 として、固体物理 25(
1
990)Nol
1
0,
「高温超伝串」特集号 、日本物理学会誌 52(
19
97)No.
3,特集 「高
温超伝 祥 1
0年」
2
)高温超伝 串 に対す る数値計算 か らの理論的 アプ ローチ に詳 しい も
t
O,Re
y・Mod.Phy8
・66(
1
994)7
63・
の として 、E・DAgOt
1
02単位
3) ここではハバー ド模型の詳 しい琳出過程 には脚 tない。C1
胞の中には 3種類 の原子があるので 、それ を単位胞 あた り 1個の
サ イトしか持 たない模型 (
単一バ ンド模型)で記述で きるか どうか
はい まだに決着 してい ない間道である。
4)M .
S.Hybe
r
t
s
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n,M.
Sc
hl
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,and N.
E.Chr
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Re
y・B SD(
1
989)9028・
W・
5) この ような可能性 を高温超伝林 に対 して最初 に指摘 したのは P・
Ande
r
S
On(
Sc
i
e
nc
e235(
1
987)1196)である。
-3
9
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