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Title Uge2の強磁性と超伝導 Author(s) 立岩, 尚之

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Title Uge2の強磁性と超伝導 Author(s) 立岩, 尚之
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Issue Date
Uge2の強磁性と超伝導
立岩, 尚之
大阪大学低温センターだより. 118 P.14-P.19
2002-03
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/11094/5987
DOI
Rights
Osaka University
研 究 ノー ト
UGe2の
1.は
強 磁 性 と超 伝 導
じめ に
強 磁 性 と超 伝 導 は 相 反 し、強 磁 性 は超 伝 導 を 抑 制 す る の で 共 存 は 難 しい と考 え ら れ て きた 。し か し最 近
UGe2と い う ウ ラ ン金 属 問 化 合 物 の 高 圧 相 で 強 磁 性 と超 伝 導 の 共 存 が 発 見 さ れ 関 心 が 寄 せ ら れ て い るL2)。
強 磁 性 と相 性 の よい 超 伝 導 は い か な る も の な の だ ろ う か?こ
の で あ ろ う か?UGe,の
UGe2は10年
度(強
れ まで の 知 ら れ た 超 伝 導 と ど の よ う に 違 う
超 伝 導 は 数 多 くの 点 で 典 味 が 持 た れ て い る 。
ほ ど前 か ら 日 本 で 主 に研 究 さ れ て き た 。 斜 方 晶 伽 窺初 の 結 晶 構 造 を 形 成 し、 キ ュ リ ー 温
磁 性 温 度)7b・52K、
飽 和 磁 気 モ ー メ ン ト1.4μB/Uの
強 磁 性 物 質 で あ る3)。磁 化 に は 強 い 異 方
性 が 表 れ て お り、 ドハ ー ス ・フ ァ ン ア ル フ ェ ン効 果 な どの 実 験 か ら ウ ラ ン5∫電 子 は 結 晶 中 で バ ン ドを
形 成 し基 本 的 に遍 歴 的 な 電 子 状 態 に あ る と考 え ら れ て い る 。 圧 力 効 果 の 実 験 は 日本 の 毛 利 グ ル ー プ ・巨
海 グ ル ー プ に よ り行 わ れ 、 キ ュ リ ー 温 度 が 圧 力 に 対 し て 単 調 に 減 少 し 約1.6GPa以
が 明 らか に さ れ 、 さ ら に キ ュ リ ー 温 度 以 下 のT~Tで
も う一 つ の 相 転 移 が 存 在 す る こ と が 見 い だ さ れ
て い た41s)。昨 年 、 イ ギ リス ・ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 のProf.Lonzarichの
ル のProf.Flouquetの
1.0~1.6GPaで
強 磁 性(成
グ ル ー プ は1.OK以
上 で消 滅 す る こ と
グ ル ー プ と フ ラ ン ス ・グ ル ノ ー ブ
下 の 極 低 温 領 域 で 高 圧 下 電 気 抵 抗 ・交 流 磁 化 率 測 定 を 行 い
は 強 磁 性 相 と超 伝 導 状 態 が 共 存 す る こ と を 明 らか に した 。
分)と
超 伝 導 の 共 存 は これ ま で 幾 つ か の 物 質 で 報 告 され て い る。1970年 代 に磁 性 と超 伝 導
の 共 存 ・競 合 とい う観 点 か ら盛 ん に研 究 が 行 わ れ た"シ
ErRh、B、や 、 高 温 超 伝 導 物 体Ru酸
化 物(RuSr,GdCu20、)で
ュ ビ レ ル 化 合 物"と
呼 ば れ る物 質 群 の 一 つ の
も強 磁 性 成 分 と超 伝 導 の 共 存 が 報 告 さ れ て い
る㈲ 。 こ れ ら の 物 質 で は 磁 性 と超 伝 導 は そ れ ぞ れ 別 の 元 素 の 電 子 が 担 い 両 者 の 相 関 は基 本 的 に 弱 い と
考 え られ て い る の に対 してUGe2で
は 同 じ ウ ラ ン5∫電 子 が 強 磁 性 秩 序 と超 伝 導 状 態 を担 う 点 が 大 き な 特
徴 で あ り興 味 深 い 。 相 性 の 悪 い は ず の 強 磁 性 と超 伝 導 の 起 源 が なぜ 同 一 電 子 の 振 る 舞 い に あ る の か?本
稿 で は私 達 のUGe2に
2.UGe2の
図1は
つ い て の 研 究 結 果 を 中 心 に報 告 し た い 。
実 験 結 果
我 々 の 実 験 結 果 を も と に作 成 したUGe2の
圧 力 相 図 で あ る8)。圧 力 を加 え る と強 磁 性 転 移 温 度
Tc、 強 磁 性 相 に存 在 す る も う一 つ の 相 転 移 丁 は単 調 に減 少 し て ゆ く。 超 伝 導 相 は 図 中 灰 色 で 示 し た 部
分 、1.0-1.5GPaの
圧 力 領 域 で 観 測 さ れ た 。 超 伝 導 転 移 温 度 無cで は 図2に
な 減 少 と ゼ ロ抵 抗 が 観 測 さ れ た 。 箕cはTの
消 え る 臨 界 圧 力 良 ㌔1.20GPa近
一14一
示 す よ う に電 気 抵 抗 の 急 激
傍…
で 一 番 大 き な 値(~
0.4
60
UGe2
UGe2
㌶\
20
2
0
40
(
8δ 二)α
(
M)の葦 醤a ヨ 出
㌔'
0.3
1.06GPa
0.1
1.44
\.
0.0
.0.0
5聰c
L321.281.22
0。20.4α60.8
1.0
Temperature(K)
0
2
0051L5
Pressure(GPa)
図1UGe2の
0.8K)を
図2UGe,の
圧 力相 図
様 々 な圧 力 下 で の電 気 抵 抗 の 温 度依
存 性r
示 す 。 こ の 圧 力 で も強 磁 性 転 移 温 度Tc=30Kで
あ り7もc以 下 で もお よ そ1μB/Uの
秩序モー
メ ン トの 長 距 離 秩 序 が 形 成 さ れ て い る こ とが 中 性 子 散 乱 実 験 で 確 認 さ れ て い る2)。 つ ま り強 磁 性 と超 伝
導 はTsc以
下 で 共 存 し て い る 。 ま た 強 磁 性 状 態 が 消 滅 す る 臨 界 圧 力 良 ~1.5GPa以
い だ さ れ な か っ た 。 こ れ ら の こ とか ら考 え て 、UGe2の
上 で は超 伝 導 は見
超 伝 導 は 強 磁 性 状 態 と相 性 の よ い こ と が わ か る。
圧 力 誘 起 超 伝 導 は 重 い 電 子 系 セ リ ウ ム 化 合 物Celn、,
CePd,Si,な ど で も 報 告 さ れ 反 強 磁 性 と 超 伝 導 の 相 関 に 興
TN
図3に
示 す 。加 圧 と共 に 反 強 磁 性 転 移 温 度 ハ が 減 少 し、
ハ が 消 滅 す る 臨 界 圧 力PC近
傍 で は電 子 系 が 非 フェ
AF
C
現 れ る 。 ま た 、Pc近
P忌
導 相SCが
傍 で 図 中灰 色 で 示 す超 伝
PM
。』三 邸お 畠8 昌
味が持 たれ てい る。 この ような系 の圧 力相 図 の典型 例 を
ル ミ流 体 的 応 答 を 示 す こ と も あ る 。 こ れ に 対 し て 、
UGe,で
は 強 磁 性 相 が ま だ 安 定 に存 在 す る 幅 広 い 圧 力 領
TSC
域 で 超 伝 導 が 出 現 し強 磁 性 相 と共 存 す る 。 ま た 、 電 気 抵
Pressure
抗 の 温 度 依 存 性 は全 て の 圧 力 範 囲 内 で フ ェ ル ミ流 体 理 論
図3セ
リウム系 圧力 誘起 超伝 導物 質 の圧 力
か ら期 待 さ れ る プ 則 に よ く従 い 非 フ ェ ル ミ流 体 的 振 る
相 図(典
舞 い は 観 測 さ れ て い な い9)。
反 強 磁 性 相 、SC:超
こ の 超 伝 導 は 熱 力 学 的 な相 転 移 な の で あ ろ う か?確
4に 示 す 。0.6K近
型 例)。PM:常
磁 性 相 、AF:
伝導 相
認 す る た め に 高 圧 下 比 熱 測 定 を行 っ た 。 結 果 を 図
辺 に 比 熱 の ピ ー ク の 存 在 が 確 認 さ れ 同 時 に測 定 した 交 流 磁 化 率 に も超 伝 導 転 移 に伴
う遮 蔽 効 果 が 観 測 さ れ た 。 こ の 実 験 の 結 果 、 こ の 超 伝 導 は バ ル ク の 相 転 移 で あ る こ と が 実 証 さ れ た 。 し
か し、 ピ ー ク は 小 さ く △C/γT∫cは0.25程
電 子 比 熱 係 数 で あ る 。BCS理
の20%程
度 で あ る 。 こ こ で △Cは 転 移 温 度 に お け る 比 熱 の 飛 び 、 γ は
論 で は △C/γ7もcは1.43程
度 で あ る こ と が 期 待 され る が 私 達 の 測 定 で は そ
度 で あ っ た 。 こ の 原 因 に つ い て は よ くわ か ら な い が 、 ピ ー ク が ブ ロ ー ドで あ る こ と を 考 慮 す る
と、 不 純 物 効 果 が 現 れ て い る と考 え ら れ る。 こ の 点 に つ い て は 後 に ま た 議 論 す る。
一15一
0.10
0
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ρ琶 8 8
1000
0
(
§ 望 )8
20
UGe2
01200
.51152
Temperature(K)P「essu「e(GPa)
図4UGe2の
比 熱 と交 流 磁 化 率 の 温度 依 存 性
図 与UGe2の
γ,且 お よ び ρ。
の圧力 依存 性
(1。15GPa)
加 圧 に伴 い 電 子 状 態 は ど の よ う に 変 化 し超 伝 導 が 現 れ る の で あ ろ う か?こ
子 比 熱 係 数 γ や 電 気 抵 抗 プ則 の 係 数A、
の 点 を考 察 す る た め に 、 電
残 留 抵 抗 ρ0を 圧 力 に対 し て プ ロ ッ ト した の が 図5で
あ る。低
圧 側 で は 電 子 比 熱 係 数 γ と 夙 は ほ ぼ 一 定 の 値 を示 す が 、 超 伝 導 が 出 現 す る圧 力 領 域(>1GPa)で
増大
し、 常 圧 の3倍 程 度 の 値 を示 す こ とが わ か っ た 。 γは 電 子 系 の フ ェ ル ミエ ネ ル ギ ー の 状 態 密 度 ・電 子 の
有 効 質 量 に 比 例 し た 量 で あ る 。 通 常 の 金 属 で は 、 γは 高 々10mJ/moleK2程
用 が 強 く多 体 効 果 が 強 く効 く電 子 系(強
子 の 大 き な 有 効 質 量 に対 応 して"重
相 関 電 子 系)で
い 電 子 系"と
多 くそ の よ う な 例 が 報 告 さ れ て い る 。UGe2の
度 であ るが 、電子 間の相 互作
は こ の γが100m∫/moleK2以
上 の 値 を示 す 。 電
呼 ば れ て い る。 セ リ ウ ム や ウ ラ ン系 化 合 物 の 中 に は 数
場 合 、超 伝 導 が 現 れ る 圧 力 領 域 で は こ の"重
い 電 子 状 態"
が 低 温 で 形 成 さ れ る と考 え ら れ る。
さ ら に圧 力 相 図 を 注 意 深 くみ る と、Tが
消 滅 す る 臨 界 圧 力 近 傍Pc噌 で γ とAは
導 転 移 温 度 恥 が 最 大 値 を示 す 。 以 上 の こ とか らTが
急 激 に増 大 し、 超 伝
消 滅す る臨 界点 近傍 の何 らかの ゆ らぎが準 粒子
の 増 大 と超 伝 導 発 現 の 原 因 と な っ て い る と推 測 さ れ る 。
3.τ
★と は イ
可か
前 節 ま で の議 論 か ら 、Tと
とが 分 か っ た 。 こ の7と
呼 ば れ る 特 性 温 度 に於 け る相 転 移 が 超 伝 導 出 現 と何 らか の 関 係 が あ る こ
は ど の よ う な 相 転 移 で あ ろ うか?Tで
は 電 気 抵 抗 な ど に微 妙 な 異 常 が 現 れ
る が 、 常 圧 下 の磁 化 な ど に は 明 確 な 異 常 は 存 在 し な い 。 そ の た め 当 初 、 磁 気 的 な相 転 移 で は な い の で は
な い か と も考 え ら れ た 。 こ の 点 を 明 らか に す る た め に 行 っ た 高 圧 下 磁 化 測 定 の 結 果 を図6に
圧 側 で は顕 著 な 異 常 が 現 れ な い が 、 高 圧 側 と くに 超 伝 導 が 現 れ る1.OGPa以
化 は 明 確 な 異 常 を示 し増 大 す る こ とが 分 か っ た 。Tの
示 すlo)。低
上 の 圧 力 領 域 で はTで
磁
相転 移 の ミクロ な起 源 につ いて は現 時 点で は よ
く分 か っ て い な い 。 高 圧 下 中 性 子 散 乱 実 験 な ど も行 わ れ て い るが 、 磁 気 構 造 の 変 化 な ど は観 測 さ れ て い
ない。
超 伝 導 発 見 の 第 一 報 を発 表 した イ ギ リス と フ ラ ンス の グ ル ー プ は 、Tで
一16一
はCDW/SDW(電
荷 密 度波
/ス ピ ン密 度 波)転
移 が起 きて い る ので は な いか と
示 唆 し た1・21。こ れ は 長 い(空
間 的)周
1,5
期 を持 っ た
oGP、UGe2
る 。 確 か に バ ン ド計 算 か ら得 られ た フ ェ ル ミ面 に は
件 を満 た す と期 待 さ れ る も の が あ るll〕
。
渡 辺 ・三 宅 らは こ の 立 場 に 立 ちUGe2の
超伝導につ
、、
藁§
1
(
⊇ 聖 )Σ
Nesting条
α38
灘1幽
格 子 ・ス ピ ン密 度 の 周 期 構 造 が 形 成 さ れ る も の で あ
鷲 》'
い て微 視 的 理 論 を提 唱 し た12}。こ の 理 論 で は い っ た
んCDW/SDWを
仮 定 す る と、UGe2の
0.5
超 伝 導 の諸性
0.87
ロ
◇ ◆
バ
〈
翫懸蜘 嵐
質 が よ く説 明 され 、 本 稿 で は触 れ な い が フ ラ ンス の
グ ル ー プ で 発 見 さ れ た 上 部 臨 界 磁 場 の 異 常2)な ど も
う ま く説 明 す る こ とが で き る 。CDW/SDWが
す る 場 合 、X線
00204060
存在
Temperature(K)
・中 性 子 線 回 折 実 験 で 観 測 可 能 で
あ る が 、 現 時 点 で は 見 つ か っ て い な い 。 今 後 の進 展
図6UGe2の
様 々 な圧力 下 での磁 化の温 度依 存性
が期待 され る。
4.ρ
波 超 伝 導 と強 磁 性 状 態
強 磁 性 状 態 で 現 れ る超 伝 導 は い か な る も の な の だ ろ う か?1957年
たBCS理
論 で は 、 超 伝 導 転 移 温 度 で フ ェ ル ミ粒 子 で あ る2つ
て ボ ー ズ 粒 子 的 な統 計 的 性 質 を もつ 超 伝 導 対(ク
の電 子 が 電子 と イオ ンの相 互作 用 を通 し
ー パ ー ペ ア ー)を
す る と解 釈 さ れ た 。 こ の 場 合 超 伝 導 対 は ス ピ ンー 重 項 状 態(2つ
あ り、 そ の 空 間 的 広 が りはs波
動 関 数 を示 す 。 珂bやPbな
に 超 伝 導 発 現 機 構 を理 論 的 に解 明 し
形 成 し、 そ れ らが 凝 縮 状 態 へ と転 移
の 電 子 の ス ピ ン が 反 平 行:∫
の 対 称 性 を持 つ もの が 考 え られ て い た 。 図7(a)に3波
・0)で
型 クーパ ー対 の波
ど古 く か ら知 ら れ た 超 伝 導 物 質 の ク ー パ ー 対 は ス ピ ンー 重 項s波
型 で ある。
しか し、 超 伝 導 対 の 引 力 の 起 源 を 電 子 格 子 相 互 作 用 だ け で な く、 一 般 的 に電 子 問 の相 互 作 用 に 求 め る
な ら ば 、 超 伝 導 対 も ヵ波 や4波
作 用)が
な ど の 対 称 性 を持 つ こ と もあ る 。 特 に 電 子 問 の 強 い 相 関(ク
ー ロ ン相 互
働 く よ う な 系 で は 、 図7(b)、(c)に 示 す 通 り、 お 互 い に避 け あ う位 置 で 安 定 状 態 に あ り、 ス ピ ン
三 重 項(超 伝 導 対 の ス ピ ン ∫・1)で
望(r)
ある腋 やスピン唾 卿 波鮪 利1
麹礎 糠 ζ
灘
護
麟 懇 ,騰 轟
的 に考 えられ てい る・
蕪
.欝
強 磁 性 と超 伝 導 が 共 存 す るUGe2
の場 合 は どの よ う な対 称 性 を もつ
クーパ ー対 鞍
定 な の で あ ろ う か?、
磯罎
簸
露
葦
繕
纏
難
撫
懸
論
電 子 聞 に働 く強 磁 性 的 相 関 はs波 対
称 性 を持 つ ク ーパ ー 対 に た い して 破
図73、d、
壊 的 な役 割 を果 た す こ とが 知 ら れ て
一17一
ヵ波 型 の ク ー パ ー対
難翼
い る 。 強 磁 性 物 質 の 場 合 、 伝 導 電 子 バ ン ドが ス ピ ン 分 裂 し 、 上 向 き の ス ピ ン を 持 つ 電 子 と 下 向 き の ス ピ
ン を 持 つ 電 子 の 数 は 同 じで は な く な る 。 同 じ向 きの ス ピ ン を持 つ2電
子 が ρ波 型 ク ー パ ー 対 を 形 成 す る
の が 自然 だ と思 わ れ る 。 ク波 型 超 伝 導 体 は理 論 的 に は1960年 代 か ら予 測 され て い た が 、 実 験 的 に確 認 さ
れ た の は ご く最 近 の こ と で あ る 。UPt3,Sr2RuO、
大 基 礎 工 の 北 岡 研 究 室 のNMR実
な ど の 物 質 で ♪波 型 超 伝 導 体 が 実 現 して い る こ とが 阪
験 か ら明 らか と な っ た13」4)。UGe2で も 同様 の 実 験 が 行 わ れ ク ー パ ー 対
の対 称 性 の 決 定 が 行 わ れ る こ と が 期 待 さ れ る 。
一 般 的 にBCS型
のs波 超 伝 導 体 で は 超 伝 導 転 移 温 度 な ど は非 磁 性 不 純 物 な どの 存 在 に 強 い 影 響 を 受
け な い こ とが 知 ら れ て い る 。 しか し、 ρ波 やd波
型 超 伝 導 物 質 は微 量:の不 組 物 に対 し て 超 伝 導 状 態 が 大
きな 影 響 を受 け 超 伝 導 は 容 易 に破 壊 さ れ る 。UGe2で
は 図4に
示 した よ う に 超 伝 導 転 移 温 度 に お け る 比
熱 の 飛 び が 小 さ い 。 測 定 で は 試 料 の 純 度 の 目安 と な る 残 留 抵 抗 比(RRR)が600の
料 を使 用 した こ と を 考 慮 す る とUGe2の
極 め て 純 良 な単 結 晶 試
超 伝 導 は 後 量 の 不 純 物 に対 して 敏 感 で あ り、 非BCS型
の 超伝 導
の 特 徴 が 現 れ て い る と考 え ら れ る 。
5.お
わ りに
UGe、 の 超 伝 導 に つ い て 私 達 の 実 験 結 果 を 中 心 に紹 介 し た 。UGe,の
超 伝 導 に つ い て 考 え る 上 で 、7
の 存 在 が 重要 で あ る こ とが わ か っ た 。 今 後 、 こ の 相 転 移 の 微 視 的起 源 を明 ら か に し て ゆ く こ と が 重 要 で
あ る。URhGe,ZrZn2な
どの 物 質 で も強 磁 性 と超 伝 導 の 共 存 が 発 見 さ れ15'16>、
両 者 の 共 存 はUGe2だ
けで
な く広 く一 般 的 に 見 られ る 現 象 で あ る と推 測 さ れ る 。 こ れ らの 超 伝 導 を統 一 的 に解 釈 す る 理 論 の 構 築 等
に期 待が か か る。
本 研 究 は極 限科学 研究 セ ンター小 林達 生助 教授 、基 礎工 学研 究 科天谷 喜 一教授 、理学 研 究科 大貫惇 睦
教授 、摂待 力生 助教 授 、原研 先 端基礎 研 芳賀 芳範研 究 員 との 共 同研 究 で ある。
参
考
文
献
1)S.S.Saxena,P.Agarwal.K.Ahilan,F.M.Grosch,R.K.W.Hasselwimmer,Mj。
Steiner,E.Pugh,1.R.Walker,S.R.Julian,P.Monthoux,G.G.Lonzarich,A.Huxley,1.
Sheikin,D.BraithwaiteandJ.Flouque:Nature604(2000)587.
2)A.Huxley,1.Sheikin,E.Ressouche,N.Kernavanois,D.Braithwaite,R.CalemczukandJ.
Flouque:Phys.Rev.B63(2001)144519.
3)Y.OnukLI.Uk。n,S.W.Yun,1.Um・hara,K.S・t・,T.F・k・h・
・a,H・S・t・
・S・'T・k・y…gi・
M.ShikamaandA.Ochiai:J.Phys.Soc.Jpn.61(1992)293.
4)G.0。mi,K.Ni、him。
・a,T.K・g・y・m・,S。W.YunandY.Onuki・Phy・i・aBl86-188
(1993)758.
5)H.Takahashi,N.Mori,Y.OnukiandS.W.Yun:PhysicaB186-188(1993)722.
6)∫
卿
。。轍
伽
吻
伽
丁,・燗0・
御
醜
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一18一
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K「emer・
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・1…C・n・
二織
・ …Bl・
…ald・
併
・n・ ・N・T…iw・
…1,・
・Phy・
・G・1・
・R・v・
…
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・,Y.H・g・,R.S・
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・H・g・Press・S・i…dT・6…1・(AIRA・T-181,…d-m・
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・59(lb99)14・99
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・/・照4
㌍・y・
・Y・H・g・
・'R・S…riandY・.nu…
11)H.Yamagami:亡obepublish6d
12).S.脚
・t・nabeandK.Miy・k・
・.・uhmitt・dt・J
13)Kl.Ishida,H.Mukuda,Y.Kitaoka
.Phy、.S。c.Jb。.,,。nd-m。t/Ol10492
,K.Asayanla,.Z.Q.Mao,.Y...Mori,Y.Maeno:Nature
396,(1998).558
14).・
…u・
.・ ・K・ …k・,k・Asay・m・
…
耳 ・一,…nu・
・・ ・ …m・m6・
・,
.an4・.磁
・・r・w・ ・
Phys.Rev.Lett..77,.(1996)1374
1`)C・Pf'・iderer・M・Uh1・
andG..G.Lonzarich:Nature412(2001)58.
・z…M…yd・nl…b1・mer・.白
・ ・ …h・
・y・・・ …Rβeゆ
・・ft
.
16)D・A・ki,A・Huxl・y,E.Ress・u・h・,.D.・B・aith・
・it・,∫.FI・uq翠
・・,J,P.B,1,。
。,.E..Lh。,,l
andC..Paulsen;Nature413(2001)6131
■.
一19一
Fly UP