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現地での取組状況の紹介 (平成 24 年 7 月 2 日都道府県等説明会
現地での取組状況の紹介 ( 平 成 24 年 7 月 2 日 都 道 府 県 等 説 明 会 ) <岩手県内1町> JAの元職員の方が中心となっており、この方は、将来この町の農業をどのように していくのかを考え、それを実現することを自分のライフワークとして取り組んでい た。 農家の皆さんに回答いただいたアンケートの集計・分析には普及センターに協力し てもらい、その結果を踏まえ、集落毎に組合長や農家の方々と1年以上話し合いを積 み重ねたということであった。 これまで、地域農業水田ビジョンの作成や集落営農の組織化について話し合ってき た経過があったことから、話し合いを行う下地ができあがっていたので、プラン作成 に向けた取組を早く進めることができたと感じている。 この地域には、話し合いを進めるリーダーがいた他、市町村、県、JAの協力体制 が整っていた。 また、この地域では米の生産コスト低減のための実証試験を行っており、この効果 を点検する目的で、定期的に地域の人を集めることができた。こういった機会を活用 して、プラン作成のための話し合いを進めることができたことが、工夫点と感じた。 <宮城県内2市> 2ヵ所とも、集落営農の取組ができあがっていたことから、話し合いが進んだよう であった。 家の後継者となる息子さんは、現時点では農業に携わっていないものの、親が農業 からリタイアした後には、その息子さんなどが、親が参加している集落営農の運営に 携わるような体制ができあがっていた。 集落営農組織の経営を発展させるためのポイントは、若い人を雇用し、周年で収入 が得られる算段を立てることが必要と考えている。これらの地域では、例えば、仙台 市内の町内会と交流するなど、大消費地へ農産物を直接販売する取組も行っており、 将来の経営発展に向けた積極的な取組が進められていると感じた。 農地の所有意識が強く、出し手がいないという悩みを抱えている地域もあった。当 面は共同作業的な集落営農を進めていくのだろうと思うが、今後、農業機械の耐用年 数が終期を迎え、他の人に農作業をお願いせざるを得ないようになったときに、農地 集積の話し合いを誘導していくことも必要ではないかと感じた。 <兵庫県内2市町> 宮城県と同様に以前から集落営農の取組が進んでいたため、プランづくりの話し合 いがスムーズに進んでいた。 S町では、周年で収入を得るため、ひまわりを栽培し、年間5万人の観光客を呼び 込んでいる。中山間地域でありながらも、いろいろな方法で雇用力を身につけるよう な取組を進めている意気込みに力強いものを感じた。 この地域では、経営者たる後継者の確保が最大の課題となっていた。周年雇用やそ のための収入の確保に向けた経営者の能力が重要であり、そのような経営者の育成に 向け、関係者がサポートしていくことが必要だと感じた。 兵庫県では、若手農業者を対象としたセミナーを開催しており、今回は、その卒業 生の方々と意見交換を行う機会をいただいた。卒業生たちは、生産から販売までのし っかりとした経営理念を持って経営を行っており、農産物のPRパンフレットや経営 理念を盛り込んだ名刺を作成するなど、非常に積極的な努力をされている。 その中で比較的年配の方は、今回の人・農地プランの取組の1年ほど前に、アンケ ート調査を実施するなど、非農家を含め地域全体で農業の将来像などの検討に向け意 見交換を始められていた。 一方で、新規参入者に対する冷たい目、受入を拒むといった対応を受けたという話 も聞いた。プランづくりの中で新規就農者を中心経営体に位置づけていくことは、地 域として新規就農者の経営発展を支援していくことについての合意形成をするための 手順でもある。プランづくりを機会に、農地の提供も含めて、地域全体で新規就農者 をサポートすることを考えていかなくてはならないと感じた。 <鳥取県内1市> 遊休化した畑地の再生利用を大規模法人とタイアップして実践している事例につい て勉強させていただいた。 耕作放棄された農地を活用するためには、その受け手となる担い手がいないと難し い。県内に、大規模な販路を持った法人があったので、数十 ha 単位で、どんどん拡大 していくことが可能であった。しかし、農地の資産保有意識が強いことから、権利関 係のとりまとめの苦労は並大抵ではなかっただろうと感じた。 また、相続の発生に伴い、耕作放棄地の所有者を探し出すことが大変難しいという 話を聞いた。このような事例はこれから各地で増えるだろうと感じている。平成 21 年度の農地法改正により、関係権利者の過半数の同意が得られれば、利用権の設定が 可能となっているが、当方の説明不足もあり、現場には伝わりきっていないようだ。 今後、現場で活用しやすい資料を作成し説明していきたい。 人・農地プランを進めるに当たり、マンパワーが不足しているという話は、どの地 域でも指摘された。一つの組織の力だけでは無理があるので、関係機関が力を合わせ なければならない。地域の合意形成の面では、各地域の代表である農業委員の方々に も積極的に取り組んでいただきたい。 <福井県内1市> 集落営農の体制が整っている地域からプランがまとまったという話を伺った。市町 村の担当者が支援策の内容と現場の状況に精通しており、積極的に取り組んでいると 感じた。 この市町村では、行政区ごとに月例会が開催されており、参加率も極めて高いこと から、地域における話し合いの素地があるとのことであった。このような話し合いの 場は、プラン作成に向けた話し合いの場として有効に活用していくことが重要と感じ た。 <新潟県内1市> 以前から集落営農の組織化・法人化を強力に進めてきたことから、プラン作成のた めの話し合いの素地があった。数十 ha 単位の集落営農組織や個別経営・法人が各地域 の農業を担う構造が出来上がっており、プラン作成は迅速に対応できたとのことだっ た。現在は、更に先を見据え、各地域の担い手間の連携方策の具体化に取り組んでい た。 また、プランの検討会の座長は、地域の担い手として長年取り組んできている大規 模法人の経営者に依頼するなど、地域をまとめるための配慮がなされていた。