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削減量口座簿とは

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削減量口座簿とは
1 排出量取引とは
総量削減義務と排出量取引制度で、都内大規模事業所は、CO2等の温室効果ガスの総排出
量を、①設備機器の更新や運用改善等の削減対策により「自らの事業所で削減」、②都基準に
よりクレジット化した他者が実施した削減対策等による削減量を取引により取得する「排出
量取引」の2つの方法により、あらかじめ定められた排出上限量以下にすることが義務付けら
れています。
本制度は、5年間を一区切りとする制度ですので、5年間の総排出量(排出量取引分を含む)が
整理期間までに定められた排出上限量以下になっていれば、義務を履行したことになります。
削減の義務を履行できなかった場合には、条例により罰則等が定められています。
削減計画期間の年間
平均排出量
基準排出量(年間)
基準排出量から8%
又は6%削減※
≧
5年間の
排出可能上限量
5年間の排出量の合計(①-②+③の合計)
①事業所の実排出量
②排出量取引で取得した削減量
削減義務
達成
③排出量取引で他事業所に移転した削減量
※ 第一計画期間(2010年度~ 2014年度)の削減義務率は基準排出量比8%又は6%
2010
2011
2012
2013
2014
第一計画期間
第ニ計画期間(2015年度~ 2019年度)の削減義務率は基準排出量比17%又は15%
2010 年度 ~ 2014 年度
第一計画期間(5年間:2010年4月~2015年3月)
削減対策の実施
クレジットの
計画的な調達
口 座 の 開 設
●オフィスビル等 8%削減
取引体制の整備
削減義務率
●工場等 6%削減
(基準排出量比)
排出量取引の実施
義務を履行するために必要な削減量は、第一計画期間が終了した翌年度、地球温暖化対策計画書を提出
(2015年11月末)した以降に確定します。このため、削減量が不足する場合は、整理期間の終了(2016
年9月)
までにあらかじめ計画的にクレジットを調達していくことが重要です。
2
排出量取引入門
排出量取引のフロー
削減義務履行状況の確認と排出量の推計
削減量が不足する場合
クレジットを調達
クレジットを他者から購入
ページへ
66 ページへ
7 ページへ
削減超過が見込める場合
クレジットを移転
8・9ページへ
4 ページへ
超過削減量を他者へ売却
バンキング
8・9ページへ
次の計画期間に持ち越し
削減量口座簿への記録
11 ページへ
10・11ページへ
第1計画期間の義務履行期限(原則2016年9月)
2015 年度
2016 年度
罰 金( 上 限
50
万 円 )
知事が命令不足量を調達し、
その費用を請求
1.3
2019 年度
命令違反の場合
違 反 事 実 の 公 表
× 倍の削減命令
削減不足量分のクレジット
の調達
﹇義務充当﹈
( 整 理 期 間 末 ま で )
超過削減量の発行
( 整 理 期 間 末 ま で )
月(計画書提出)以降
11
5年 分 の 排 出 量 の 確 定
年
5年 分 の 排 出 上 限 量 の 確 定
>
2015
措置命令↓義務不足量
1年6ヶ月
第1計画期間の整理期間(2015年4月~2016年9月)
義務履行期限までに削減義務が未達成の場合
>
第ニ計画期間(5年間:2015年4月~2020年3月)
削減義務率
●オフィスビル等 17%削減*
●工場等 15%削減*
*第二計画期間に新たに削減義務対象となる事業所の
削減義務率は8%または6%
(基準排出量比)
3
2 排出量の推計と組織体制の整備
義務履行に必要な削減量は整理期間に確定しますが、確定から義務履行期限までは、半年程
度の期間しかないことが予想されます。このため、あらかじめ計画的にクレジットを調達する
ことが重要であり、そのためには①計画期間中に5年間分の排出量を推計、②排出量取引を行
うための組織体制整備、③予算の確保と計画的な取引の実施が必要となります。特に組織体
制の整備や予算の確保、取引相手を見つけることについては、時間を要するので削減不足量が
確定する前から計画的に準備を進めることが重要です。
① 排出量の推計
毎年の実績排出量や今後の削減計画を踏まえて5年間の排出量を推計し、義務履行のためにクレ
ジットを購入する必要があるのか、超過削減量の発行が見込めるのかを早めに確認しておきましょ
う。特に超過削減量の発行が可能な場合は次の計画期間まで義務履行に活用できるので、第一計画
期間だけでなく、第二計画期間の排出量も推計し、第二計画期間にその超過削減量を自らの義務履
行のために使う必要があるのかどうかを調べておくことが重要です。
指定管理口座の「義務履行状況照会画面」において、現状の排出量を維
持した場合に 5 年間の削減義務量をクリアできるのかどうかを確認
⇒ 10.11 ページ、削減量口座簿
運用対策の定着度合い、追加的な運用対策による排出量の変化を考慮
今後、設備投資を行う予定があるか、それによる排出量の変化を考慮
景気の動向とそれに伴う排出量の変化を考慮
現計画期間だけでなく、次の計画期間 5 年間の排出量も推計
② 組織体制の整備
排出量の推計と合わせて、組織内で誰がどのタイミングで取引の必要性の判断や取引の実施を決
定するのかを、あらかじめ決めておきましょう。取引を行うには、売買交渉、削減量口座簿(10ペー
ジ参照)への記録等も含め多くの時間が必要ですので、早めに意思決定の準備をしておくことが重要
です。地球温暖化対策担当部門のみならず、経営企画部門、財務経理部門の関与も必要になること
が多いと考えられます。社内で意思決定の体制を整えておきましょう。
4
排出量取引入門
③ 予算の確保と計画的な取引の実施
排出量の推計を行い、最終的に削減量不足となることが予測される場合は、不足量を取引で調達
するために必要な予算を確保しておくことが重要です。また排出量の推計の結果、超過削減量の発
行が見込める場合は、第二計画期間に必要な量を除いて売却することを検討しましょう。
取引相手や取引価格については、8・9ページをご参照ください。
義務者が複数いる場合の注意点
総量削減義務と排出量取引制度は、建物、ビル単位で排出量の削減が義務付けられています。事業
所によっては、複数の所有者、すなわち義務者が存在する場合がありますが、そのような場合はあら
かじめ排出量取引に係る申請方法や削減義務量の負担のルール化をしておくことが重要です。
■ 負担のルール化
複数義務者の場合、不足する削減量を調達する際の費用負担、発行した超過削減量の分配等をど
のようにするのか、ということを決めておく必要があります。都の制度上の規定等はないので、関係
者間で調整の上、早めにルール化しておくことが望ましいでしょう。
負担ルールの例
●排出量に応じて按分する。●持分割合や床面積の比率に応じて按分する。
●代表する1社(1団体)のみが負担(又は取得)する。
■ 申請方法
本来、口座開設や削減量口座簿へのクレジットの記録等の東京都への申請は、対象事業所の義務
者(所有者)が行うのが基本です。しかしながら、区分所有ビル等で、義務者(所有者)が複数存在す
る場合には、申請のたびに全員の押印を受けて連名で申請することが事務手続上、煩雑な場合もあ
ります。そのような場合は、下記のような方法があります。
●口座管理者*1 を登録して、口座管理者が申請を行う。
(口座管理者登録申請書の提出)
●代表の1者へ委任し、代表者が申請する。
(委任状の提出 *2 )
*1 口座管理者とは、削減義務者(口座名義人)に変わって又は代表して、指定管理口座に係る申請を行う者のこと。口座管理者 登録の 際は、義務者全員の押印のもと連名で申請する必要があります。
*2 委任状の提出が難しい場合は、管理規約等に明記する方法もあります。詳しくは相談窓口までお問い合わせください。
5
3 推計の結果、
削減量が不足する場合
クレジット購入
推計の結果、削減量が削減義務量に不足する場合は、義務履行期
限までに不足量を調達することを検討する必要があります。
特に、大きな不足量が生じる場合(例えば数千トン以上)
、一回の取引で必要なクレジットを調
達できないことも想定されます。複数回に分けて、
段階的に調達することも検討してみましょう。
所有者が同一の他の事業所やグループ企業等が超過削減量等のクレジットを持つ場合などは、
これらを無償で移転して義務履行することも可能です。
A 明らかに削減量が不足する場合
(例)
第一計画期間、
第二計画期間ともに明らかに排出超過の場合
(区分 Ⅰ-1 事業所)
基 準 排 出 量
削減義務の水準
第1計画期間
第2計画期間
8%
排出量
削減義務を超過した排出量
17%
‘10 ‘ 11 ‘12 ‘13
‘14
‘15 ‘ 16 ‘17 ‘18
‘19
・一度に大量のクレジットを調達することが難しいことも想定されます。複数回に分けて計画的に調達す
ることで義務履行を確実に行うことが可能となり、年度間の負担の平準化にもつながります。
B 結果的に少量不足する可能性がある場合
(例)
第一計画期間の削減義務達成が微妙な場合
(結果的に少量不足する可能性が高い)
(区分 Ⅰ-1 事業所)
基 準 排 出 量
削減義務の水準
第1計画期間
第2計画期間
排出量
削減義務を超過した排出量
8%
17%
‘10 ‘ 11 ‘12 ‘13
‘14
‘15 ‘ 16 ‘17 ‘18
‘19
・大量のクレジットが必要になる可能性が少なかったとしても、取引には一定の時間がかかるため、事前の
取引の準備は必要です。
・第一計画期間にクレジットが必要かどうか微妙でも、第二計画期間に確実に必要になるのであれば、あら
かじめ購入しておくことも検討できるでしょう。
6
排出量取引入門
4 推計の結果、
超過削減が見込める場合
超過削減量の売却 or バンキング
推計の結果、第一計画期間の削減義務量を
超えた削減が見込める場合は、超過削減量の活用を検討しましょう。
超過削減量を売却することができれば、その売却益を活用し、更なる省エネ対策投資等を行う
ことも考えられます。また、第二計画期間にバンキング(持ち越し)してから売却又は自らの削
減義務に活用することもできます。ただし、第二計画期間に削減不足にならない場合は、その事
業所の削減義務の履行のために、バンキングした量を活用することはできません。
なお、第一計画期間からバンキングした超過削減量は第二計画期間を過ぎると失効してしま
いますので注意が必要です。
C 超過削減が見込まれる場合 (売却)
(例)
既に17%以上の削減を達成している事業所が、
その傾向が第ニ計画期間も継続すると予測した場合
(区分 Ⅰ-1 事業所)
基 準 排 出 量
削減義務の水準
第1計画期間
第2計画期間
8%
第一計画期間の超過削減
量は第二計画期間までに
売却等しないと失効して
しまう。
排出量
超過削減量
17%
‘10 ‘ 11 ‘12 ‘13
‘14
‘15 ‘ 16 ‘17 ‘18
‘19
・自らの削減のために、
第一計画期間からバンキングしたクレジットを使用することはできず、
その分、
第二計画期間の超過削減量の発行可能量が増えるということもありません。
基準排出量と実排出量の
差以上に超過削減量は発行できません。
・第二計画期間を過ぎると、
第一計画期間のクレジットは失効してしまうので、
特に量が多ければ、
早め
に売却等
(他者への売却、
もしくは自社の他の事業所の削減義務への利用)
の検討をする必要があるで
しょう。
D 超過削減が見込まれる場合 (売却+バンキング)
(例)
第一計画期間は超過削減が明らか、第二計画期間は若干の削減不足になる可能性がある場合
(区分 Ⅰ-1 事業所)
基 準 排 出 量
削減義務の水準
第1計画期間
第2計画期間
8%
削減義務を超過した排出量
17%
‘10 ‘ 11 ‘12 ‘13
‘14
‘15 ‘ 16 ‘17 ‘18
排出量
超過削減量
‘19
・第一計画期間で超過削減が見込まれ、
第二計画期間で削減不足になる場合は、義務履行のために第一計画
期間のバンキングを使用することができます。
全量使用しないのであれば、一部は売却等が可能です。
7
5 取引相手、取引価格について
排出量取引で利用できるクレジット
クレジットとは削減対策等による排出削減量のことです。自らの削減対策だけでは削減義務を達成
できない場合に、次の5つのクレジットを調達することで、義務履行することができます。
1
超 過 削 減 量:対象事業所が削減義務量を超えて削減した量(基準排出量 の1/2 を超えない範囲まで売却が可能)
2
都内中小クレジット:都内中小規模事業所において認定基準に基づく対策による削減量
3
再エネクレジット:再生可能エネルギーの環境価値量
4
都 外 ク レ ジ ッ ト:東京都外の大規模事業所の省エネ対策による削減量
5
埼玉連携クレジット:埼玉県目標設定型排出量取引制度で認定される超過削減量と中小クレジット
*各クレジットには有効期限がありますのでご注意ください。→次ページ(9ページ)
クレジット購入先・販売先の見つけ方
・一般管理口座の見積受付情報登録
見積受付情報登録機能とは、クレジットを売りたい、又は買いたい人が自らの連絡先や希望する条
件を公表する場のことです。インターネットの掲示板のような役割で一般管理口座を開設すること
により閲覧が可能となります。
クレジットの購入又は販売を希望する事業者は、取引に関する希望や連絡先を登録することがで
きます。また登録されている情報や連絡先を検索することができます。
・東京都環境公社による再エネクレジットの販売
東京都環境公社では、東京都と連携して、本制度で利用可能な再エネクレジットを年に数回販売
しています。受付期間等の詳細は排出量取引セミナーでお伝えするほか、東京都環境局及び東京都
環境公社のホームページに掲載しています。
・民間クレジット仲介事業者
複数の事業者が、都制度で利用可能なクレジットを販売又は仲介業務を行っています。
仲介事業者の連絡先は、東京都環境局のホームページ(12ページ参照)にて公開しているほか、一
般管理口座の見積受付情報登録機能から検索することができます。
・グリーンエネルギー証書発行事業者
グリーン電力証書やグリーン熱証書は、再エネクレジットに変換することができます。グリーン
エネルギー証書発行事業者から証書を購入する際は、都制度で利用する旨を伝えて下さい。証書購入
後は、再エネクレジットに変換するため、東京都に申請する必要があります。詳しくは相談窓口(12
ページ参照)までお問い合わせ下さい。
8
排出量取引入門
排出量取引とは
クレジットの価格について、公定価格の設定はありません。取引価格は取引する当事者同士の交
渉・合意により決定されます。なお、価格の決定の参考となる資料として、排出量取引に関する調
査結果(第三者機関による価格査定* の結果等)を東京都環境局のホームページに公表しています。
クレジット仲介事業者等からも見積を取ることができます。
*価格査定とは、調査員による市場参加者を対象にした取材によって収集された情報を基に、査定者が「標準的な取引」の価格を推定する
ことを指します。
第一計画期間のクレジットは第二計画期間
まで利用可能です。クレジットは有効期限に
なると自動的に抹消されます。
排出量取引により、クレジットの購入、販売の契約が成立した場合は、その結果を削減量口座簿(10
ページ参照)に記録するため東京都へ申請する必要があります。削減量口座簿への記録は、事業者の皆
様からの申請に基づき、東京都が行っています。
申請は、原則、売主側(クレジットが減少する側)が行うことになります。
例えばA社がB社にクレジットを100トン売却する契約を行った場合、売主であるA社が、保有する
100トンをB社の口座に振り替える振替申請を行います。
推計の結果、
超過削減が見込める場合
排出量取引に関する東京都への申請について
推計の結果、
削減量が不足する場合
クレジットの有効期限
排出量の推計と組織体制の整備
クレジットの価格
取引相手、
取引価格について
削減量口座簿について
9
6 削減量口座簿について
削減量口座簿とは
総量削減義務と排出量取引制度で対象となっている事業所の皆様の排出量やクレジットの
発行、振替、削減義務への充当など取引の記録を管理するための仕組み(電子システム)のこと
です。削減量口座簿上の記録は、事業者からのクレジットの発行、振替等の申請に基づき、東
京都が行っています。
口座の
種類
指定管理口座
削減義務の履行状況を管理する口座
一般管理口座
取引の記録を行う口座
指定管理口座の開設は必須です!
特定地球温暖化対策事業者は、2015年(平成27年)3月末までに、排出量取引をする、しないに
かかわらず、指定管理口座の開設申請を行い、その開設を受けることが条例により義務付けられて
います。
指定管理口座を開設すると ・・・
パスワードとIDが発行され、インターネットを通じて削減量口座簿へアクセスできます。
指定管理口座では、次のようなことができます。
・義務履行状況を確認できる。
(11ページ参照)
・発行可能な超過削減量が一目でわかる。
(11ページ参照)
排出量取引を行う場合は、一般管理口座も開設しましょう
一般管理口座は、クレジットを売却、購入する際に必要な口座で、排出量取引を行った結果を登録
する口座となります。クレジットを他者とやりとりする際には一般管理口座を開設しましょう。指
定管理口座と一般管理口座の開設は、同時に申請できます。一般管理口座を開設すると見積受付情
報登録機能(8ページ参照)を利用し、取引相手を探すことができます。
指定管理口座と一般管理口座の違い
指定管理口座は、対象事業所
(指定地球温暖化対策事業所)
とセットであり、そこに記録されている数値は、
「事業
所の排出状況を示す数値」
で、経済的価値はなく、直接取引の対象にすることはできません。
一方、一般管理口座は、排出量取引を希望する者が開設する口座であり、そこに記録される数値は
「口座名義人の
取引可能な所有物」
で、経済的価値を有し、取引の対象となります。
なお、一度一般管理口座から指定管理口座に移転したクレジットは、再度一般管理口座に戻すことはできません。
10
排出量取引入門
指定管理口座の義務履行状況照会画面
指定管理口座を開設すると照会することができます。
バンキングについて
取引等を実施せず、発行又は取得したクレジットが削減量口座簿上に残っている場合は、そのクレジットを
有効期限まで持ち越すことができ、これをバンキングといいます。クレジットをバンキングするための申請手
続はありませんが、バンキングするためにはクレジットを発行(削減量口座簿に記録すること)しておく必要が
あります。例えば、削減義務量を超える削減を達成した場合、削減義務量を越えた分を超過削減量として発行
しなければバンキングされません。
クレジットをバンキングする場合は、必ずクレジットの発行申請を行って下さい。第一計画期間にバンキン
グしたクレジットは、再エネクレジットの一部を除き第二計画期間まで利用が可能で、有効期限になると自動
的に抹消されます。
11
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