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火薬類取締法の改正について(抄) 昭和 36 年3月6日 36 軽第 560 号
○火薬類取締法の改正について(抄) 昭和 36 年3月6日 36 軽第 560 号 通商産業事務次官から知事宛 【2】法関係事項 (1) 第7条第3号関係 事業所全体としての技術的能力を審査されたい。具体的には配置されるべき技術職 員その他の従業者が作業の態様別およびその危険度に応じ、それを安全に行いうる知 識経験および能力を有するか否か、およびこれらの従業者を確保し得る十分の見込み があるか否かを審査するものとし、これらの従業者を新規に雇用する場合には、その 資金手当が十分かどうかについても加えられたい。 (2) 第 17 条第1項第2号および第4号関係 販売の目的又は鉱物を掘索する目的で譲り受けるのであるか否かの確認が困難な場 合があるが、譲り受け後の目的変更のような場合は別として、例えば販売業者が継続 的に消費を行っているような場合には、その消費見込量については販売以外の目的で 譲り受けることが明確であるから、そのような客観的事情から目的を明確にして行く ようにされたい。 (3) 第 17 条第3項および第 25 条第3項関係 譲渡、譲受又は消費の許可を受けた者が、その後に違法な取扱をし、あるいは消費 場所の状況が変化したような場合にこれらの規定を適用する必要が生じる。この取消 しは、法学上いわゆる撤回であって、その効果は既往にさかのぼらない。許可を与え た後、その許可を受けた数量の一部分が引き渡され、又は消費された場合にその残部 についても許可を取り消して差しつかえない。 譲渡又は譲受の許可の取消しは、消費許可の取り消しとあわせ行う等、これらの許 可の取り消しは、相互に関連して運用されることが必要である。従ってこれらの取消 権限を有する知事が異なる場合には相互に十分連絡をとって行われたい。 (4) 第 27 条関係 廃棄される火薬類は不要又は粗悪なものである場合が多く、特に第 22 条又は第 37 条の規定に該当する場合には法により廃棄を強制しているのであるから、その許可は 特に迅速に行われたい。また廃棄を指揮する者にはできるだけ保安責任免状を有する 者をあてるよう指導されたい。 【3】政令関係事項 (1) 第3条の表第2号関係(現行条文「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」の 第 30 号のイ) 従来からスポーツ用品店で競技用紙雷管を許可を受けないで販売している事例があ るが、許可を受けるのに無理のないよう手数料が下げられたから、この際に許可を受 けさせるよう指導されたい。なお許可を受けた場合の火薬庫専有義務(法第 13 条)に ついては卸売店の火薬庫を共有する許可(同条ただし書)を与える等の措置を講じて 差しつかえない。 (2) 第4条第1項第2号および第3号関係(現行第 13 条第1項第2号及び第3号) 地方の実情に応じてあらかじめ都道府県公安委員会と意見をきく場合の具体的な取 りきめをされたい。なお第3号は一種の社会不安ないし騒じょうがあるような場合で あるから、この適用については慎重を期されたい。 (3) 第5条関係(現行第 14 条) 海上保安庁長官に通報する場合には、関係管区海上保安本部を経由して行うものと されたい。 【4】規則関係事項 (1) 第1条関係 保安物件の定義の解釈は次によられたい。なお、今回の保安物件の編成変更に伴い、 国宝建造物に対する保安距離が短縮されることとなったが、国宝建造物を従来よりも 軽視する主旨ではないのであるから、その文化的価値を尊重し、建造物としての特殊 性を考慮して、火薬庫等の設置許可等に際しては、できるだけ従来どおり保安距離を とるよう行政指導されたい。 市街地の家屋 社会通念上市街地というにふさわしい程度に相当数(普通規模の家 屋おおむね 100 軒以上)が軒を連ねている家屋の集団をいう。市、 町、村等の行政区画、住民の業態とは関係ない。 校 学校教育法第1条の学校および同第 83 条第1項の各種学校をいう。 学 これに該当しない洋裁学校等は含まない。 病 院 医療法第1条第1項(現行第1条の5)の病院をいう。同条第2項 の診療所を含まない。 劇 競 場 常設の劇場をいう。仮設のものは含まない。 技 場 相当数の観客を収容する施設のある競技場をいう。 社 寺 、 教 会 相当数の参拝者がある神社、寺院又は教会をいう。山神、祠等は含 まない。 村 落 の 家 屋 社会通念上村落というにふさわしい程度に相当数(普通規模の家屋 おおむね 10 軒以上 100 軒未満)が群をなしている家屋をいう。行政 区画、住民の業態とは関係がない。 公 園 常時相当数の人が出入する人工の公園をいう。自然公園は含まない。 家 屋 人が一日の相当部分にわたって居住、勤務又は出入する住家、事務 所、店舗、図書館その他これに類する建築物をいう。倉庫、物置、 厩舎等は含まない。 鉄 道 、 軌 道 日本国有鉄道の鉄道および地方鉄道法第1条の鉄道(同条第3項の 鉄道であって、人を運搬することを目的としないものを除く。)又 は軌道法第1条の軌道(同条第2項の軌道であって、人を運搬する ことを目的としないものを除く。)をいう。 (2) 第4条第1項4号および第 23 条第6項関係 「もっぱら当該製造所(当該火薬庫の所属する事業所)の事業の用に供する施設」 とは、施設のもつ直接、間接の利用目的からみて、当該製造所(事業所)の事業の用 以外の用に供されることがほとんどない施設をいうが、この場合に注意を要するのは 製造所(事業所)の施設の中には間接的には当該製造所(事業所)の事業の用に供さ れているが、直接的には他の用に供されているものがあることである。たとえば社宅 その他の労務者住宅は、直接には労務者およびその家族の居住の用に供されており、 そのこと自体は製造所(事業所)の事業の運営そのものとはみられないので、この種 のものは除外される。従って、もっぱら製造所(事業所)の事業の用に供される施設 として通常考えられるのは、守衛詰所、管理人住宅、事務所、高圧電線、機械修理工 場、選炭場、専用の鉄道、軌道等である。 (3) 第4条第9号の2関係 危険工室で取り扱う火薬類の種類および作業状態その他の状況によって、発火から 爆発に至るまでの経過が、それぞれ異なり、それに対応して消火設備を設置する必要 性および設置すべき消火設備の種類も異なるので、次の原則に従って指導されたい。 (イ) 通常は発火から爆発に至るまでにはわずかの時間ながら燃焼又は爆燃の過程を経 ることが多いので、初期に多量の水を有効に集中することによって大事に至るのを 防ぎ得る場合が多く、このような危険工室には消火設備を設置する必要がある。そ の消火設備の種類は、火薬類が比較的集中して存置される危険工室には水そう反転 式のようなもの、分散して存置される危険工室には室内各所にノズルをもつスプリ ンクラーのようなものが適当である。 (ロ) ある種の起爆薬のように通常発火後直ちに爆発に至る火薬類に対しては、消火設 備を設ける必要がない。 (ハ) 煙火等の製造所においては(イ)に該当する危険工室が多いと考えられる。消火設備 の種類については一般には火薬類が分散して存置されている場合が多いので、自動 的に、あるいは作業員が個々に操作(工室外からでもよい。 )することにより危険工 室内の各所に同時に注水できるような消火設備(小さい水そう反転式のものを数個 取り付けるのも一つの方法である。 )を設けることが必要である。また配合工室のよ うな火薬類が集中して存置されている場合には、水そう反転式のもののように一度 に多量の水を集中して注水できるような消火設備を設けることが必要である。 なお、直ちに完備することが困難と思われるものについては、とりあえず、簡単 な自動消火器等でもよいから備えさせ、なるべくすみやかに逐次整備してゆくよう に指導されたい。 (4) 第5条第1項第 20 号関係 外装に木箱又は段ボール箱以外のものを使用する場合には、その材質、寸法、その 他強度を示す規格を危害予防規定で定めさせられたい。 (5) 第5条第1項第 21 号関係 信号焔管、信号火せんおよび煙火については今回新たに規制されることとなったが、 その記載の方法は、次によられたい。なお付記を妨げない。 (イ) 打揚げ煙火 種類とは玉の大きさおよび割物、雷、ポカ物の別とし(例 3号ポ カ物、4号割物) 、外殻に明記する数量はその打揚げ煙火に使用された原料用火薬又 は爆薬の合計量とする。外装に明記する数量はその中に収納された打揚げ煙火の種 類(上記の種類をいう。 )ごとの個数およびその外装に収納された打揚げ煙火に使用 された全薬量とする。 (例 3号ポカ物 10 個 4号割物 8個 薬量合計 4kg) (ロ) 仕掛煙火 種類は「仕掛け煙火」とし、数量はその仕掛け煙火に使用された原料 火薬又は爆薬の合計量とする。 (ハ) がん具煙火、種類は規則第1条の5に掲げる分類によるものとするが、スパーク ラー、サキソン、金魚等の代表的な商品名を使用してもよい。数量はその内装又は 外装に収納されたがん具煙火に使用された原料用火薬又は爆薬の合計量とする(例 スパークラー10kg) 。なお、規則上は個々のがん具煙火に薬量等を明記しなくてもよ いことになっているが、筒物等明記できるものについてはできるだけ明記するよう 指導されたい。 (ニ) その他の煙火又は信号焔管、信号火せん、上記のものに準じて指導されたい。 (6) 第 10 章の2関係 規模の小さい事業所の保安教育は、個別に実施することが難しい面もあるので、保 安協会その他の団体等で共同で保安教育講習会を実施し、それに各事業者が従業者を 出席させるような方法が望ましい。 (7) 第 67 条の9第1号関係 煙火の製造所、煙火火薬庫、がん具煙火貯蔵庫および積雪地帯において冬期の消費 に備えて秋季に大量貯蔵する火薬庫は、原則として繁忙期のあるものとして取り扱わ れたい。 (8) 第 68 条から第 70 条まで関係 保安責任者、その代理者および副保安責任者の兼務は規則の主旨からみて好ましく ないが、免状所有者が不足で兼務を認めるのも止むを得ない場合もあるので、できる だけ次の原則により運用されたい。 (イ) 同一事業所における副保安責任者と保安責任者の代理者の兼務を認めて差つかえ ない。 (ロ) 従業者が極めて少ない煙火等の製造所について製造保安責任者と火薬庫の取扱保 安責任者の兼務を認めて差しつかえない。 (ハ) ある製造所、火薬庫又は消費場所の保安責任者、その代理者又は副保安責任者と 極く近くのこれらの事業所の保安責任者の代理者との兼務を認めて差しつかえない。 (ニ) その他の兼務を認めない。 (ホ) (イ)の場合を除き、兼務はできるだけ早く解消させる。 (9) (省略)