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【脳血管疾患のリハビリ】前編
脳血管障害の理学療法 Agenda ・脳血管障害のチョー基本的知識 ・脳血管障害患者に対するリスク管理 ・脳血管障害における理学療法の考え方 ・脳血管障害の評価(情報収集) ・脳血管障害に対するリハビリテーション 脳血管障害の障害構造 中枢神経麻痺と 末梢神経麻痺の違い 末梢性麻痺 (量的変化) 中枢性麻痺 (質的変化) 痙性 固縮 連合反応 0 1 Ⅰ 2 Ⅱ Ⅲ 3 4 5 Ⅵ (正常) Ⅴ Ⅳ 共同運動の 完成 連合反応 身体の一部に、ある運動をさせたときに、 それとほぼ対称的な部位に筋の収縮が起こ ることをいう。 上肢では対称性。下肢では内外転について は対称性、屈伸については相反性であるこ とが多い。 痙性麻痺に現れ、連合運動が助長された形で現れる。 連合運動 身体の一部の運動が身体他部位の運動を 不随的に引き起こすことを言う。 歩行時の上肢の振り子運動も生理学的連 合運動である。 連合運動を利用した運動療法もある。 共同運動 ある運動を行う際にその運動に必要な動作筋だけ が働くことができず、その共同筋も同時に働いて しまう現象をいう。 これは高位中枢からの運動コントロールが低下し た結果として考えられている。 障害された上位中枢が改善されるにしたがい、共 同運動は弱くなり、分離された運動が可能になる。 リスク管理 • 血圧測定 臥床時間が長い利用者は起立性低血圧等のリスクがあるため、臥 床から座位へ体位変換した際の血圧の変動等も注意する • 脈拍の計測 不整脈は機械だけの計測ではわからないため、必ず触診にて計測 する • 浮腫の程度 不動時間が長い場合、血栓の可能性もあるため、急激なマッサー ジは禁忌。浮腫の原因はさまざまであるため、マッサージを行っ ても良いのかの判断は医師への確認が必要 運動療法における リスク管理① Ⅰ.運動を行わないほうがよい場合 1)安静時脈拍数 120/分以上 2)拡張期血圧 120以上 3)収縮期血圧 200以上 4)労作性狭心症を現在有するもの 5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの 6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの 7)心房細動以外の著しい不整脈 8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの 運動療法における リスク管理② Ⅱ.途中で運動を中止する場合 1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現し た場合 2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合 3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不 整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出 現した場合 4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上 上昇した場合 運動療法における リスク管理③ Ⅲ.次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する 1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合.ただし,2分 間の安静で10%以下に戻らぬ場合は、以後の運動は中 止するかまたは極めて軽労作のものにきりかえる 2)脈拍数が120/分を越えた場合 3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合 4)軽い動悸、息切れを訴えた場合 ・ 新しい価値観・生きがいの創造とそれに達する生活の再構築 ・ 脳卒中の再発の予防 ・ 新たな障害の予防としての廃用症候群・誤用症候群の予防 必要な評価 身体機能 身体能力 身体機能の情報収集 Brunnstrom stage ROM(筋緊張評価と伴に) 動作分析 ROM練習 • 関節運動の法則にのっとり実施する • End feelを感じながら実施する • 痙性の状態を把握しながら行う 自動的関節可動域テスト • 患者さん、利用者さんが自身の力で動 かす関節可動域 • 筋力や痙性の影響を大きく受ける • 関節機能自身の評価は不十分 • 患者さん、利用者さんの実際の状況や 特徴をより示すという特徴がある 他動的関節可動域テスト • 治療者により動かされたときの関節可動域 • 筋力や痙性の影響を受けにくい • 関節機能自身の評価が可能。よって関節 可動域という場合は他動的関節可動域テス トのことをいう 身体能力の情報収集 問診 Barthel index 動作分析 ADL能力 影響を与える要因 ・ 機能的要因 身体的機能、知的機能 ・ 環境的要因 人や物、環境 ・ 志向的要因 意志、意欲、元気、やる気、勇気 ADL評価の目的 ・ 残存動作能力を検査し、障害の原因を追 求し、治療計画を立案すること ・ 治療効果の判定や予後予測をすること ・ ADL能力を一定基準にしてスタッフ間で 共有すること ・ 対象者の生活の全体像を把握すること 評価の為の 評価表にしないために 評価時に対象者が行う日常生活動作が実用性が あるか否かを評価する必要がある! 安全性 普遍性 遂行時間 確実性 耐久性 仕上がり度 ADL評価表から分かること 対象者のADL能力 ・・・対象者 介助者の介護負担の大きさ ・・・介助者 どの程度の援助が必要なのか ・・・社会保障 Barthel lndex ・ 1965年に米国の医師Florence Mahoneyと理学療法 士Dorothea Barthelによって原版が発表された ・ 1975年には改訂版が発表された ・ 原版は10項目からなり、判定は『自立』10点 『部分介助』5点『全介助』0点で評価する ・ 改訂版は身の回り動作と移動動作の2大項目に分 けられ、それぞれが9小項目と6小項目からなる 判定は4項目で評価している ADL評価を確かなものに できる・・けど・・やらない できない・・けど・・やる 機能的要因 志向的要因 環境的要因 リハビリテーションのポイント 運動療法の階層 脳血管障害患者の リハビリテーション 基本動作の活用 →健常者との量的・質的徴候の違いを容易に評価するため。 観察のポイント 1.情報の感受と行動の計画的組織化 2.必要なアライメントとその協調性 3.目的動作行動に応じた筋収縮活動のタイミング 4.目的動作行動に応じた筋収縮活動様式 5.目的動作行動に応じた筋の力配分 6.目的動作行動に応じた筋収縮活動の余裕 7.目的動作行動に応じた関節可動性、運動の方向性 8.目的動作行動に応じた運動行動の多様性 運動療法の目的 運動療法による利益 ・ 変形の矯正 ・ 関節機能の改善 ・ 筋力の増大 ・ 耐久性の増大 ・ 運動期間の協調性獲得、向上 脳卒中片麻痺に対する 運動療法の目的 1.疼痛の軽減を図る 2.関節可動域の維持改善、変形拘縮の改善と予防 3.代謝活動をコントロールし、心肺機能の維持改善 4.感覚系を刺激し、反応性をコントロールすることで運動行動の誘発、促 進、協調を図る 5.運動行動に必要なアライメントと、その変化に対する協調能力を養う 6.運動行動に必要な筋収縮のタイミングを図る 7.運動行動に必要な筋の力配分をコントロールする 8.運動の方向づけを行う 9.運動行動の円滑性、協調性と伴に余裕を促す 10.運動行動の応用性、多様性を図る 11.自立への意欲を養う 脳卒中片麻痺に対する 運動療法の考慮点 1.単純な運動だけでなく、全身的動作を用いる 2.目的とする運動・動作・行動を強制される条件や環境を作る 3.操作を過剰にしたりスピードに変化をつける 4.他動的操作のみであっても、目的運動・動作を経験させる 5.具体的興味や課題を基に、目的とする運動・動作・行動を導く 6.操作や動作の遂行中であっても、目的達成時には瞬時に報酬を与える 7.あらゆる感覚器官を最大限利用する 8.目的とする動作・行動を環境に応じて一般化する 9.操作の目的や効果を都度適切に説明し、自覚を促す 10.効果の乏しい操作は長期にわたって適用させない 11.患者の性格や価値観などを考慮した操作を組み入れる 12.安全管理を徹底した上で良い意味で失敗を経験させる