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1- 佐賀県研究成果情報 新技術・情報名 搾乳牛における稲発酵粗飼料の
佐賀県研究成果情報 新技術・情報名 搾乳牛における稲発酵粗飼料のTMR給与 [要約]搾乳牛に給与する混合飼料(TMR)の粗飼料として、稲発酵粗飼料を1日あたり 原物で 10.5 ㎏給与した結果、慣行給与のスーダン乾草主体TMRと比較しても、飼料摂取 量・乳量・乳質・血液性状への影響は認められず、稲発酵粗飼料は搾乳牛の粗飼料として利 用できる。 畜産試験場・大家畜部・乳牛・飼料研究担当 部 会 名 畜 産 専 門 飼育管理 連 絡 先 0954-45-2030 対 乳 用 牛 象 [背景・ねらい] 最近の酪農経営は 、流通乾草への依存度が高く自給飼料生産が減退している状況にある 。一方 、 耕種部門においては転作水田や遊休地の効率的利用が課題となっており、こうした中飼料用イネ の畜産部門への利活用が望まれているところである。そこで、稲発酵粗飼料(飼料イネWCS) の乳牛への普及定着を図るため、TMR(混合飼料)の主な粗飼料として飼料イネWCSを用い た搾乳牛への給与試験を実施し、慣行のスーダン乾草主体TMRの場合と嗜好性・乳量・乳質・ 血液成分等について比較検討し、飼料イネWCSの乳牛へのTMR利用技術を確立する。 [成果の内容・特徴] 1.搾乳牛に飼料イネWCSを1日あたり原物で 10.5 ㎏(TMR中の乾物割合で 24.1 %)混合 給与しても、飼料摂取量の低下は認められず、嗜好性に問題はない(表1、表2 )。 2.乳量、乳成分はスーダン乾草区と比較して特に大きな差はみられない(表3 )。 3.血液生化学性状についも特に変化はみられず、疾病の発生も認められない(表4 )。 [成果の活用面・留意点] 1.乳牛へ給与するTMRの粗飼料として飼料イネWCSを用いる際の指針として利用できる。 2.飼料イネWCSを初めて給与する場合は、3∼7日程度のならし期間(馴致期間)を設け、 徐々に給与量を増やしていく。 3.嗜好性の低下を防ぐため、飼料イネWCSの給与量の上限は、乾物で7㎏程度(原物で概ね 15㎏)とする。 4.飼料イネWCSは水分含量によってTDN含量が異なってくるので、事前に水分含量や養分 含量を把握しておくことが望ましい。 -1- 表1 TMR配合割合 (DM%) 飼 料 名 乾 草 区 イネ発酵飼料 0 スーダン乾草 37.4 アルファルファ 4.2 ビートパルプ 4.5 配合飼料1(TDN72% CP16.5%) 35.2 配合飼料 2(TDN85% CP26%) 10.5 トウモロコシ 3.3 大豆粕 3.3 その他 1.6 TDN 73.5 CP 16.4 イ ネ 区 24.1 12.5 4.2 4.9 32.7 12.6 4.1 3.3 1.6 73.5 16.4 ※ 飼料費コスト試算(1日1頭当り) 乾草区;1 , 295円 イネ区;1 , 258円 (上記試算は、イネWCS単価を乾物kg当り 42円とした場合) 注1)イネ品種はスプライス。黄熟期刈取り。 注2)イネ発酵飼料は原物で10.5kg(水分51.7%) 注3)予備期10日、本試験4日。3頭×2区のクロスオーバー法 注4)試験期間1月上旬∼2月上旬 表2 飼料摂取量 区 分 (kg/日) 乾物摂取量 (kg/日) TDN摂取量 (kg/日) C P 摂取量 (%) TDN充足率 (%) C P 充足率 乾 草 区 表3 乳量・乳成分 区 分 乾 草 区 (kg/日) 28.8±3.6 乳 量 乳 脂 肪 乳 蛋 白 質 乳 糖 無脂固形分 (%) (%) (%) (%) 表4 血液性状 区 分 ヘマトクリット (%) グ ル コ ー ス (mg/dl) 総コレステロール (mg/dl) 総 蛋 白 (g/dl) B U N (mg/dl) G O T (IU/L) G P T (IU/L) イ 20.3±0.8 13.6±0.6 3.3±0.1 103.0±8.0 122.6±12.0 ネ 区 20.6±0.5 14.0±0.4 3.5±0.1 107.2±10.1 131.6±15.2 イ ネ 区 28.8±3.2 3.75±0.46 3.63±0.44 3.07±0.24 3.05±0.22 4.50±0.09 4.48±0.08 8.54±0.26 8.49±0.24 乾 草 区 イ ネ 区 28.7±1.9 65.4±4.5 263.8±34.9 7.8±0.5 18.1±3.4 70.8±26.4 23.9±10.9 28.5±1.2 65.3±3.9 252.5±23.1 7.3±0.4 22.4±3.8 69.8±21.0 23.8±8.0 [その他] 研究課題名:物質循環型地域営農システムにおける高品質牛乳の安定生産技術 予算区分 :助成試験(地域基幹) 研究期間 : 1999 ∼ 2003 年度 研究担当者:山崎勝義、大宅由里、山下大司 -2-