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学会抄録
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第45回中部支部学術大会(平成6年10月29,
30 P,国立京都国際会館)
教育講演I:老化についてー特に細胞老化を中心
が原因のEEM型薬疹と思われた.
に 加治和彦(都老人総合研)
テガフール/ウラシル配合剤及びウベニメクス同時
体細胞は一定回数の後分裂能力を失う(細胞老化,
投与による抗血小板抗体を伴った扁平苔癖型薬疹の1
分裂寿命)力ヽ,無限寿命を獲得して癌化する.分裂寿
例 長涜通子,三崎 博,永井 宏,船坂陽子,市橋
命の分裂回数を数える機構として,染色体末端粒(テ
正光(神戸人)
ロメア)が注目される.テロメアはTTAGGGの繰り
66歳男.軟口蓋膿瘍にてUFT⑧,ペスタチン⑨内服
返し配列からなり,
DNA複製ごとに機械的に一定の
治療受けていた.徐々に血小板減少し,平4年2月に
単位が脱落していく.テロメアは細胞老化時計の有力
両手背∼前腕,両頬部に紫紅色丘疹出現した.抗血小
な候補である.我々はその検討を試みている.
板抗体陽性,また生検で著明な液状変性を示し,内服
招待講演:中国における化粧品皮膚障害の現状 車
中止のみで抗血小板抗体陰性化と皮疹の改善を認め
乃増(中国第四軍医大学西京病院)
た.1斉り単独投与では皮疹を誘発できなかったので,
今日の中国では化粧品による皮膚障害の発生率は女
2剤同時投与による扁平苔痴型薬疹と考えた.
性が多く,年齢は20歳から30歳までが多数を占めてい
Sjogren症候群に合併したStevens-Johnson症候
る.よくみられる皮膚障害には次の4つのタイプがあ
群の1例 鷲尾文郎,中村透子,塚本秀和,船坂陽子,
る.1.刺激性皮膚炎,2.アレルギー性皮膚炎,3.光
市橋正光(神戸大)
背吐反応,4.光変態反応であり,予防と治療には次の
Sjogren症候群を基盤とし,
3つが重要である.1.化粧品の衛生管理を強める,2.
群を生じた1例を報告した.原因として感染症,薬剤
治療は刺激の少ない単純な治療でよい.3.基礎用剤を
を検索するもすべて陰性であった.発症前に乾燥症状
最適に選出する.
の増悪,耳下腺の腫脹といったSjagren症候群の病勢
特別講演:癌のターゲッティング化学療法 高橋俊
悪化を伴い,ボルタレン⑧に加えSjogren症候群を悪
雄(京府医大第1外科)
化させる因子がco-factorとして作用していたものと
抗癌剤を出来るだけ癌細胞に選択的に作用させ,正
推察された.
常細胞には作用させない工夫が癌のターゲッティンブ
Stevens-Johnson症候群の1例 菅野 重,北島達
Stevens-Johnson症候
化学療法である.第一世代のターゲッティングは臓
司,辻 卓夫(名市人)
器・組織レベル,第二世代は癌組織レベル,第三世代
32歳女,約1ヵ月前よりクロルプロマジン,プロメ
は癌細胞レベル,第4世代は癌遺伝子レベルのター
タジン,ビペリデン等を内服しており,平5年12月下
ゲッティングであり,現在臨床的には第一,第二世代
句,肝機能障害,皮疹,粘膜症状が出現.パルス療法
が行われている.
と血漿交換で改善傾向を認めた.その後,チオリデシ
一般演題
ン,トリヘキシフェンジル内服し再燃.原因として薬
著明な全身症状を伴った多型浸出性紅斑型薬疹の1
剤以外に,経過中抗体価の上昇があったサイトメガロ
例 滓見万里,佐山重敏(天理よろづ相談所),岡崎研
ウイルスの可能性も否定できない.
太郎,八田和犬(同総合診療教育部)
慢│ま腎不全患者に生じたアロプリノールによる薬疹
23歳男.慢性副鼻腔炎でスパルフロキサシン200
の1例 松本千穂,西井芳夫,園田早苗,奥村睦子(関
mgX26日,ロキシスロマイシン300mgX
西労災)
4日内服後,
発熱と露光部紅斑出現.3日後全身多型紅斑様皮疹と
なり,粘膜麿爛,全身リンパ節腫脹,肝障害,
51歳女.糖尿病性腎症で内服治療中.アロプリノー
Dieを
ルを約3週間内服後,体幹部に癈岸,浸潤性紅斑出現.
伴った.組織:表皮真皮に単核球主体の強い浸潤と壊
薬剤中止,点滴加療するも皮疹増悪,好酸球増多を認
死の像.LSTは慢性であったが,スパルフロキサシン
め,紅皮症化したためプレドニン開始.皮疹軽快後,
1116
学 会 抄 録
内服誘発テストでアロプリノールに陽性.腎機能低下
行.サリチル酸系物質及びその構造類似物質の食品色
のため薬剤の排泄不良で,通常より経過が遅延した症
素で陽性であった.現在,無着色のPSL
例であると考えた.
減量し,食事制限及びクロモグリク酸ナトリウム内服
5mg/day
悪性腫瘍化学療法のつど生じる遅発性紅斑の2例
で経過良好である.
村田洋三,熊野公子,荒木典子,中村透子,高水哲也
洗浄用溶剤SC-51による接触皮膚炎 野尻麻里(岐
(兵庫県立成人病センター)
阜大)
症例1,
IC基板製造に従事していた16名において,両側2
61歳女.癌性腹膜炎にて4回の化学療法.
そのつど皮疹を生じる醜寛解時期には軽微な皮疹の
∼4指のDIP関節背面,及びそれより遠位の皮膚に黒
み.症例2,
65歳男.外陰部Paget癌のVirchowリン
褐色の色素沈着を認めた.これらは洗浄用溶剤をAK-
パ節転移にて6回の多剤併用療法.前半3回のクール
225U力ゝらSC-51に変更後1ヵ月頃よりみられるよう
の奏効時斯には皮疹が生じ,見かけ上tumor
になった.3例においてパッチテストを施行したとこ
freeの後
半3回では,同じ化学療法にて皮疹が生ぜず.悪性腫
ろ2例では原液のみで陽性,1例では10倍,
瘍への薬剤の障害が皮疹につながる可能性を推察し
液でも陽性を示した.
た.
パラジウムによる異汗性湿疹の1例 桑野敦子,加
討 論
藤順子,須貝哲郎(池田回生)
上出良一(慈恵医大):発症までの間隔が常に同じで
27歳女.約1年前より小水庖が足縁に散在していた.
あることは,アレルギー性機序よりも,毒性反応を思
第1回パッチテストではNHこ(十)?反応のみであっ
100倍希釈
わせるが如何か?
た.ステロイド外用にて小康を得ていたが歯科金属の
村田洋三:toxicな反応だけでは説明できない.理
補綴処置後急に悪化.癈滓を伴う小水庖が手掌足底に
由は,①症例1では最も多い量を投与された第3回の
多発した.第2回パッチテストでPdに(2十)陽性を
皮疹が軽微で,
示した.使用金属にはPdが含まれており,金属を取り
dose-independentである.②症例2で
後半3回で生じていないこと,である.
替えたところ軽快した.
清水TE之(三重大):環状紅斑の皮疹であり,むしろ
討 論
その経過からinternal
早川律子(名大分院):初回の皮疹の原因は何だった
malignancyに合併するものを
考えたい.
のか.
村田洋三:腫瘍そのものによる皮疹とすれば,化学
桑野敦子:当患者は完治はしておらず,また初疹の
療法に一致してくり返し出現し,その後消槌すること
1年前からも毎年6月頃に汗庖様皮疹を認めていたこ
を繰り返すのは,説明できない.
とから,金属アレルギーの他,多汗症等の原因がbase
日光壽麻疹とシラザプリル(インヒペース⑧)による
にあるのではないかと考えている.
光線過敏型薬疹の併発例 川原 繁,谷内克成(金沢
接触過敏反応に対するL一ニトロアルギニンの効果
大)
堀 美佳,森田秀樹,喜多野征夫(兵庫医大)
58歳女.10年前から日光辱麻疹があり,3年前シラ
血管内皮細胞由来の血管弛緩物質として一酸化窒素
ザプリルの内服開始後露光郎の蝉みと紅斑が数日間持
(以下,NO)が注目されている.今回,二相性反応を
続するようになった.光線テストで募麻疹の作用波長
示すマウス接触過敏反応に対するNO合成阻害剤で
はUVBから可視光線.
あるニトロアルギニンの効果を検討した.結果は後期
UVA照射部では24時間以降
に紅斑がみられた.シラザプリルの内服中止後,
UVA
反応はほとんど影響されなかったが,早期反応は抑制
による異常反応は消退したが,募麻疹は同様に誘発さ
された.このことから,早期反応のメカニズムにNO
れた.内服照射試験は陽性.
が関与している可能性が示唆された.
食品添加物による食餌性│曼性茸麻疹の1例 野村久
理・美容師の職業性接触皮膚炎のまとめ 加藤佳美,
美子,浜中浩子,谷口芳記,清水正之(三重大),田中
鈴木真理,早川律子(名大分院)
秀幸(国立津)
平2年1月から平6年9月までに当科を受診した
2年間にわたる治療抵抗性の慢性募麻疹患者.
PSL
に
理・美容師38名を対象に接触皮膚炎の原因について
20mg/day内服するも軽快せず精査目的で入院.症候
パッチテストを用いて検討した.患者の42%にアレル
性尊麻疹などを除外診断後,食品添加物内服試験を施
ギー疾患の既往を認め,年齢は20歳代が89%を占めて
第45回中部支部学術大会
いた.全体の約半分が3ヵ月以内に発病した.PPDは
には合併症,年齢,社会的背景を参考にして決定する
80%,PTDは52.9%と高い陽性率を認め凪
必要かおる.治療の選択順序は,1)ステロイド,
1117
VitDs
ダイエット中に発症し,水痘形成を伴った色素性埠
の外用,2)光線療法,3)レチノイド内服で1)∼3)を
疹 轟 葉子,佐藤伸一,江藤隆史,戸田 浄(東京
適宜組み合わせ,重症例には,4)シクロスポリンAま
逓信)
たはメトトレキサート内服を考慮する.
25歳男.ダイエット療法(1回目オプティファスト,
乾癖の重症度と治療の選択 小原 明(東海大)
2回目糖尿食)の度に生じ,水庖と著明な好中球浸潤
1)重症度の検討,2)治療法の選択,3)治療の評価
を伴った色素性痙疹の1例を紐験しか.特に皮疹の消
について,それぞれの問題点などをまとめ,4)ガイド
長と尿中ケトン体の出現とが相関していたことから,
ラインを考えた.乾癖の治療では,重症度などの疾患
本症の病因の1つとして代謝状態など内的誘因の開運
要囚だけではなく,治療の特性などの治療要因,患者
が考えられた.
背景をも含んだ患者要因,さらにはその治療による予
カバキコマチグモ刺咬症の3例 浅賀浩孝,市川雅
後の評価(EPAP)なども含めた総合的な検討による治
子,水元俊裕(旭川厚生),山本明美,松尾 忍(旭川
療法の選択が必要である.
医大),伊藤文彦(市立士別総合)
alopeciaの重症度と治療の選択 蜂須賀裕志,本田
平6年7月,北海道北部にてカバキコマチグモ刺咬
純子(久留米大)
症の2例を経験したので,既報の1例と併せ報告した.
脱毛症の重症度と治療法の選択に関して検討するた
症例は33歳,41歳,39歳いずれも女.人家内で,2例
めに,当科外来患者について患者のアンケートをもと
は就寝中に,1例はクモを捕えた瞬間,左手を刺咬さ
に統計的観察を行った.その結果,臨床病型,受診ま
れた.受傷時激痛があり,その後局所の激痛が1∼2
での期間,再発の有無,通院回数などが重症度と関連
日間持続した.いずれもカバキコマチグモの雄による
すると思われた.本症の治療方針として生活指導とと
被害であった.
もに,治療の意欲を高め,1つの治療法に固執せず有
ワークショップI:難治性皮膚疾患の重症度と治療
効な治療を施す必要かおる.
の選択
脱毛症の重症度と治療 諸橋正昭,篭浦正順(富山
LE(SCLE) 臼田俊和(社会保険中京)
医薬大)
SLEの分類では,
当科外来における円形脱毛症患者について合併症の
ARA基準(1982)に加えて補体,
抗DNA抗体,皮疹の形態と組織所見の総合的な判断
有無,治療内容及び有効度について検討した.治療に
とSjSとの鑑別が重要である.低補体,抗DNA抗体
おいては,重症になるほどSADBEが高頻度であり,
(RIA)高値,血管障害の強い症例は重症傾向か強い.
治療では検査所見より臨床症状に重きを置くべきで,
各種合併症を有している方が治療に抵抗性であった.
重症度に関しては,通常の分類のほかに,各種合併症
治療剤による過敏症状,症状修飾に留意が必要である.
の有無も予後の判定に重要な指標となると考えられ
重症化予防には生活指導も大切である.
た.
エリテマトーデス 衛藤 光(国立横浜)
アトピー性皮膚炎 阿南貞雄(長崎大)
LEの皮膚病変を重症度で分類した.重症型には皮
アトピー性皮膚炎の治療の原則は,軽症のうちに皮
内小結節,血管炎型,
膚症状を取り除く作業を反復して自然軽快へ導入する
atrophie blanche. 紫斑を伴う蝶
形紅斑,中等症には予後との関わりが明らかでなかっ
ことである.重症例はいくつかの有効な治療法を組み
た蝶形紅斑,募麻疹様血管炎など多種の皮疹,軽症型
合わせて軽症化させなければならない.環境改善の一一
にはDLE,亜急性型紅斑,凍廬様紅斑,
法として微量のオゾンを室内で発生させることによ
SCLEの発疹
型が分類された.治療はそれぞれPSL60∼40mg/day,
り,ダユ数ならびにダユ抗原量を減少させた成績を併
40∼20mg/day,
せて報告した.
20mg/day以下が一応の目安と考え
た.
成人型アトピー性皮膚炎の重症度―予後からみた解
乾癖の重症度と治療の選択 東山真里,野村政夫,
析 平野員也(京府医大)
吉川邦彦(阪大)
成人型AD患者の予後予測因子について解析した.
乾癖の重症度はPASIエスコアに加えて病型,既治
治療1年後の皮疹スコアは,治療開始時の皮疹スコア,
療に対する反応性も考慮し決める.さらに治療の選択
総lgE値,ダニ,ハウスダスト,カンジダ,米,小麦
1118
学 会 抄 録
のRAST値,好酸球数,
MBP濃度及び体幹皮疹の罹
HLA-Cw6陽性尋常性乾癖患者への漢方薬効果に関
患期間,顔面皮疹の増悪期間と相関した.また,これ
する検討 立野裕晶,武藤正彦,麻上千鳥(山口大)
らの罹患期間は総lgE値,カンジダ,穀類のRAST値
尋常性乾癖患者13例に漢方薬を投与し,その効果と
とも相関を示した.
HLA-Cw6との相関の有無を検討した.
Cw6陰性者で
CTCLの重症度と治療の選択 瀬戸山 充(鹿児島
は9例中5例(56%)に有効であったのに対し,
大)
陽性4例中4例(!00%)が無効であった.
過去15年間に経験した原発性皮膚T細胞性リンパ
の有無が漢方薬の効果に何らかの影響を与える可能性
Cw6
HLA-Cw6
腫36例(MF25例,その他Tリンパ11例)について治
が推測された.
療法とその治療効果について報告した.更に進行期の
乾癖におけるタカルシトール・紫外線併用療法(予
MFについては新しい治療法の開発が急務であること
報)桐山貴至,杉江伸夫,望月 隆,段野貴一郎(滋
を述べ,その幾つかについてその可能性を報告した.
賀医大)
その他のTリンパ腫については病型別の分類と,その
尋常性乾癖におけるPUVA十タカルシトール(活性
病態に沿っだ治療が望まれる.
型ビタミンD3製剤)併用療法の治療効果をみるため
CTCLに対するphotopheresis療法について 手
に, PUVA十ステロイド(Sランク)またはPUVA十
塚 正,山田秀和(近畿大),長谷哲男,中島 弘(横
白色ワセリンを対照として比較検討した.また,病理
市大)
組織学的及び免疫病理組織学的に検討した.その結果,
MF6例(扁平浸潤期4例,紅皮症2例),セザリー
症候群1例,
HAM
I例,
ATL
PRがMFで5/6例,セザリー症候群で1/1例,
2, HAM
PUVA十タカルシトール併用療法は有用な治療法の
2例に治療を行った.
ATL
1/1であった.MFの腫瘍期の症例には検討
1つであると思われた.
0/
急性痘癒状苔癖状枇糠疹(Mucha-Habermann
ease)神崎俊一,坪井広美,橋本明彦,勝岡憲生(北
を行っていないので効果は不明だが,ATLの症例に
里大),鈴木立俊(同耳鼻科)
対する効果(別の臨床治験)によると腫瘤形成したも
13歳男.平4年工2月,警部に小丘疹出現.初診時,
のは無効と思われる.紅斑期は方法的に効果は疑問で
躯幹四肢に米粒大丘疹,水庖,血庖及び壊死性丘疹が
ある.
多発.組織学的に急性痘痕状苔癖状枇糠疹と診断した.
一般演題・症例報告
口蓋扁桃の肥大を認め,
乾癖患者に対するシクロスポリン少量投与法の臨床
剤が有効であり,扁桃腺炎を増悪の誘因と考え,扁桃
S. aureusが培養された.抗生
的検討 割田昌司,秋元幸子,石川 治,宮地良樹(群
摘出術を施行したところ,軽快した.
馬大),工藤隆弘,石井敏直(国立高崎),古瀬善朗(桐
足蹴及び口腔内に限局した扁平苔癖の1例 井上稲
生厚生),村上静幹(伊勢崎市民),石川 剛(前橋日
子,小石まゆみ,神谷秀喜,北島康雄(岐阜大)
赤),野口幹正(総合太田),山崎雙次(狽協医大)
49歳女.約8年前より両足底の紅斑出現,潰瘍形成.
乾癖患者に対するシクロスポリン2.
安静時,歩行時の疼痛増強.現症:両足底に厚い鱗屑
5mg/kg/日よ
り開始する投与法を検討した.最終全般改善度は66%
が付着し,亀裂を伴う角化性紅斑局面.頬粘膜にレー
で,従来の5mg投与法に比べやや劣っていた.しかし,
ス状乳白色線条.組織:角質増殖,穎粒層肥厚,基底
24週(投与終了時)でのPAS
層の鋸歯状変化,真皮上層の帯状細胞浸潤より扁平苔
85%改善率で比較する
と, 5mg投与8週終了時と変わらない値を得,またこ
dis-
癖と診断.乾燥症状,抗SS-A抗体(十),口唇の生検
の間の増量の幅も大半かlmg/kg/日以下であった.
よりシェーグレン症候群の合併も認めた.
エイズと乾癖 吉永花子(大阪赤十字)
陰茎部に発症したporokeratosis
Mibelliの1例
エイズの発病と同時に脂漏性皮膚炎様の乾癖性紅皮
南 好美,松中成浩(和歌山医大)
症を生じた46歳の男性同性愛者の皮膚病変を電顕的に
62歳男.12年前より陰茎部に半米粒∼爪甲大の褐色
観察した.ウイルス粒子は真皮の組織球と接触してい
局面が生じ,癈庫を認めた.昭61年7月18日当科初診,
るリンパ球と表皮内のラングルハンス細胞の細胞質内
ステロイド外用,局注,ブレオ軟膏外用にて不変のた
に認められた.角層のムンロー小膿瘍や落屑内の細胞
め,生検施行丿且織像にてcornoid
内では観察できなかったが皮膚病変からの感染も否定
た.陰茎部のみに多発した汗孔角化症は本邦での報告
できないと考えられた.
例はみられず,興味ある症例と思われた.
lamella が認められ
1119
第45回中部支部学術大会
抗表皮細胞間抗体,抗基底膜部抗体がともに陽性で
間抗体陽性.
あった水庖症の1例 川合美里(岐阜市民),高橋法子,
断. DDS
小石まゆみ,清島真理子,北島康雄(岐阜大),松村都
討 論
江,橋本 隆(慶大)
増谷 衛(藤田保衛大):DDS内服療法のみで寛解
75歳女.平5年9月四肢に紅斑出現,オメブラソー
をみたのか?
ルによる薬疹と診断.翌年1月全身に環状紅斑と小水
稲積豊子:セレスタミン6T内服1週間にて皮疹の
疾出現.組織は表皮下水庖であり,螢光抗体直接法,
新生が治まらないため,
間接法でともに表皮細胞間と基底膜部にlgGの沈着
ろ,3「1程で著明に軽快を認めた.併用開始1週間後
あり.免疫プロットで130kD蛋白,
ヒセレスタミンを中止したが再燃は認めなかった.
230kD蛋白,!80kD
intraepidermal
neutrophilic typeと診
75mg/日内服が著効.
DDS
75mgを併用したとこ
BPAgのNC16aドメインに対する反応あり.内服テ
掌趾膿庖症における細胞接着因子の検討 横地きく
ストの結果もあわせて報告した.
香,新田悠紀子,池谷敏彦(愛知医大),玉出康彦(名
塵肺患者に発生した尋常性天庖療 長橋美江,植木
古屋市)
宏明(川崎医大)
免疫組織学的染色で,表皮細胞の一部と真皮血管に
7!歳男.40年前炭鉱夫の職業歴かおり塵肺に罹患し
ICAM-1陽性,膿庖内と周囲表皮内好中球にLFA-1,
ていた.初診の2ヵ月前,口腔内庭爛で初発.その後,
Mac-!,SL♂が陽性であった.フローサイトメトリー
全身各所に水庖,庭爛が拡大し組織学的に尋常性天庖
により,患者11名,健常人の末梢血好中球の接着因子
療と診断した.抗表皮細胞間抗体以外に抗核抗体,抗
発現を解析した.LFA-1の発現増強が11例中10例にみ
ss-DNA抗体が陽性,リンパ球幼若化試験減弱という
られた.膿庖形成に細胞接着因子の発現が関与してい
液性,及び細胞性免疫能異常を認めた.塵肺と免疫能
ることが示唆された.
異常との関連性について考察する.
pustulosis
Castleman's tumorを合併したparaneoplastic
ptococci 北村哲教,横地きく香,新田悠紀子,池谷敏
pemphig-us 中竹仲佳,細川 宏,内田健一郎,堀尾
彦(愛知医大),玉田康彦(名古屋市),高間弘道(春
武(関西医大),岡田目性,松田公志(同泌尿器科),
日井市)
橋本 隆(慶大)
palmaris
pustulosis palmaris
56歳男.典型的なparaneoplastic
自験例では後腹膜にCastleman's
pemphigus
tumor
(PNP)
(CT)の合併
et plantarisとoral Stre-
et plantaris (PPP)では病因
の1つに病巣感染が考えられている.今回我々は口腔
内連鎖球菌Streptococcus
salivarius, Streptococcus
があった.腫瘍摘出後も皮疹は改善せず,4ヵ月半で
sanguis (KTH-1,
突然死しか.
患者の血中抗体価をELISA法により測定したとこ
pemphigus様の皮疹を合併しかCTが過
KTH-3)の菌体成分に対するppp
去11例報告されており,病因的関連性が疑われる,
ろ,有意に高値を示したので報告した.
討 論
消化管出血を伴い広汎な皮疹の分布を呈したアナ
堀口裕治(京大):PNPは本当に天庖療と言えるの
フィラクトイド紫斑の1例 竹内 誠,増谷 衛(藤
か.
田保衛大坂文種),乾 和郎(同内科)
細川 宏:現在の天痘痕の診断は,螢光抗体法所見
55歳男.平6年1月27日より右下肢に疼痛.2月10
でなされている.その点で,本症では螢光抗体直接法
日より右下腿に紫斑を生じ,四肢,躯幹に拡大したた
及び間接法で,
め2月14日入院.止血剤と消炎剤を投与したが,入院
IgGクラスの抗ICS抗体が認められる
ゆえに,天庖療の診断名がつけられていると思う.
4日日に下血を生じ,大腸ファイバーにて潰瘍,麿爛
intercellular IgA
が多発.絶食とIVHにて1週間で改善.本例の様に皮
vesiculopustular
dermatosisの
1例 稲積豊子,繁益弘志(荻窪),菊池 新,橋本 隆,
疹が広範囲な場合は早期にステロイド剤投与と内科的
西川武二(慶大)
検索を要する.
79歳男.1ヵ月前より躯幹の辺縁に小水庖,膿庖を
十二指腸潰瘍をきたしたanaphylactoid
伴い遠心性に拡大する惨出性紅斑が出現.粘膜疹(−),
の1例 渡辺幸恵,榊原代幸,佐藤健二,辻 卓夫(名
ニコルスキー現象(−).組織:表皮全層にわたる膿庖
市大),片岡洋望(同第1内科)
形成,真皮の好中球浸潤を認めた.螢光抗体直接法に
23歳男.感冒様症状があり,近医で抗生剤等の投薬
て表皮全層の細胞間に址A沈着.血中lgA抗表皮細胞
を受けた.その後足底を初発として,足背・下腿に紫
purpura
1120
学 会 抄 録
斑が拡大.さらに心高部痛が出現し,内視鏡的に十二
皮術を施行したが植皮片は壊死脱落,採皮部も潰瘍化.
指腸に察爛,潰瘍を確認.
白血球減少,貧血あ‰症例2,
PSL40mg,
XⅢ因子無効で
あったが,ステロイドミニパルス療法が著効し,腹部
79歳男.頭部に毛嚢
炎様皮疹が出現し急速に潰瘍化.白血球増加,貧血あ
症状及び皮疹は消失した.
則潰瘍部培養はいずれも陰生骨髄穿刺にてMDSと
成人発症アナフィラクトイド紫斑26例の臨床的検討
診断(症例1はRA,症例2はRAEB).
筒井清広,金原拓郎,花川博義,堀川利之,森田礼時
ロイド剤投与により癩痕を残し上皮化.
(金沢大)
壊疸性膿皮症(?)の1例 柳川邦治(社会保険中
2例ともステ
成人発症例では,腹部症状及び関節症状の出現頻度
京)
がそれぞれ30%,
23歳女.平元年4月頃より関節痛,口腔内アフタ等
42%と低いが,蛋白尿及び血尿の出
現頻度はそれぞれ54%,
58%と高く,紫斑性腎炎が10
で某病院で加療を受けていた.平5年11月18日当科初
例に認められた.小児発症58例との比較では,成人発
診. PSL内服するも腹痛にて緊急入院.精査の結果,
症例で血尿が有意に多く,逆に小児発症例で感冒様症
肺臓の無菌性膿瘍を認め,皮下の無菌性膿瘍(十),PSL
状の先行,腹部症状,関節症状,1ヵ月以内の症状軽
大量投与で症状は安定.症状及び病理組織所見より壊
快が有意に多く認められた.
疸性膿皮症と診断.
血清lgEが超高値を示し,好酸球の著明な浸潤を認
10年間にわたり背部に再発を繰り返すSweet病
める多彩な皮疹を呈した1例 氏原真弓,浜中すみ子
松井紀予,中川俊文,沼原利彦,高岩 尭(香川医大)
(山口労災),富永和行(山口済生会)
56歳男.昭59年5月初診時.平6年6月までに8回
65歳男.著明な好酸球浸潤及び血栓像を有する紅色
再発.毎回背部に手掌大までの隆起性浸潤性紅斑多発,
丘疹と赤褐色浸潤小局面が顔面に多発し,浮腫性紅斑
好発部はほとんど出現せず.前駆症状,発熱,口腔ア
が体の各所に出没する.栂指頭大の腫脹が下顎部に生
フタあり.陰部潰瘍・眼症状なし.
じ,蝉疹様皮疹が四肢に散在する.汎発│生にリンパ節
日内服1週間程でほぽ消槌.白血球は最多で
を触知し,軽度の牌腫を認める.血清IgE22万U/ml
15,700(seg. 83%).全身検査異常なし.背部中心に再
と超高値.末血好酸球は軽度増加のみ(<1,000/
発を繰り返す例は稀である.
m
多発注骨髄腫に伴ったSweet病の1例 田中幸代,
「).腎機能障害及び多発性脳梗塞を合併する.
DDS
75∼150mg/
多彩な皮膚症状を呈したWells症候群 千星泰子,
津田道夫(宝塚市立)
大野貴司,吉岡敏子,兼平久恵,荒田次郎(岡山大)
66歳女.昭62年に多発性骨髄腫と診断され治療を受
20歳男.12歳頃より全身に癈滓性紅色丘疹が出没.
けていた.平3年8月初旬より高熱とともに顔面に有
組織では真皮全層にわたる多数の好酸球浸潤とflame
痛性紅斑を,四肢に結節性紅斑様皮疹を生じた.臨床
figureを認めた.皮疹は紅色丘疹・結節・小水庖・血庖・
検査では,白血球,好中球の増多を認め,組織学的に
浮腫性紅斑よりなり,皮疹後に著明な癩痕が残る.
は,真皮下層に好中球の浸潤を認めた.皮疹は約2週
IFN-y
間で水庖,痴皮を形成し略治した.
200万単位.週2回点滴にて皮疹の改善をみた.
なお,経過観察中に異型の伝染性膿痴疹,単純ヘルペ
rheumatoid
スを合併した.
を伴ったrheumatoid
neutrophilic
dermatosisの組織所見
骨髄バンクのドナーより移植を受け発症した
和彦,土田哲也,中川秀己,玉置邦彦(東大),島田真
GVHD 樋口早和子,森田秀樹,河野純朗,喜多野征
路(東大分院),土屋尚之(同物療内科)
夫(兵庫医大)
肺線維症を伴う活動性の高い慢性関節リウマチの67
papule の1例 山田伸夫,竹原
34歳男.6年前より急性リンパ性白血病にて加療を
歳男に生じた,左肘頭部の紫斑を伴う小結節.組織:
受けていた.骨髄バンクよりHLAが一致したドナー
真皮全層に核破壊を伴う好中球浸潤,真皮乳頭の浮腫,
を得て,骨髄移植を受けた.移植後5日目より,手水,
真皮上中層に赤血球の血管外遊出,血管内腔の閉塞像
足底,幹部,陰嚢に紅斑力1出現したため当科受診.組
及びフィブリノイド変性,真皮中下層にpalisading
織学的,免疫組織学的にGVHDの所見を呈した.
granulomaを認めた.
骨髄異形成症候群(MDS)に合併した壊疸性膿皮症
慢性関節リウマチの経過中に全身に水癒潰瘍を多発
(PG)の2例 小宅慎一(東医大)
した1例 石田久哉,窪田正昭,柳原 誠,上田恵一
症例払35歳男.左前腕を外傷後同部が潰瘍化.植
(福井医大),綿谷須賀子(同第1内科),法本左近(同
112:[
第45回中部支部学術大会
検査部病理)
経験した事をきっかけとして,接触アレルギーの観点
70歳女.初診平6年4月20日.20年来慢陸関節リウ
から細胞性免疫機能を検討するために,ツベルクリン
マチ.平6年4月から全身に紅斑,浸潤を伴った水庖
反応,
が生じ,次第に潰瘍化した.組織:表皮から真皮中層
Patch test, T・B細胞百分率,T細胞サブセットの検
に及ぶ著明な変性を認め,下層の血管壁にフィブリン
査を,7例のサルコイドーシス患者に施行した.
沈着,周囲に好中球,リンパ球浸潤,出血あり.表皮,
シェーグレン症候群,
血管壁共に螢光抗体法陰性.浸出性胸膜炎,C3の低下
スの1例 原 洋子,谷垣武彦(近畿中央),小瀬戸昌
あり. PSL
│専(同内科)
30mg
にて経過良好.
DNCB及びSADBEによる皮膚感作試験,
ITPを伴ったサルコイドーシ
難治性下腿潰瘍の多発した悪性関節リウマチ 森松
57歳女.顔面・上肢の軽度浸潤を伴うφ!Omm大:の
進,高島秀樹,井田 充,長谷川義典,丸山友裕,諸
紅斑,微熱などにて来院.
橋正昭(富山医薬大),杉山英二(同第1内科)
体1倍,抗SS-B抗体陰性,抗セントロメア抗体!,2㈹
69歳女.50歳頃より慢陸関節リウマチ発症.65歳時,
倍,
下腿の多発性潰瘍と間質性肺炎を認め悪性関節リウマ
下腺,肝右葉に集積像あり.唾波腺造影でapple
チと診断される.組織:真皮浅層小血管のフィブリノ
appearanceあり.皮疹・小唾液腺・肝組織に非乾絡性
イド変性と周囲の小円形細胞浸潤.潰瘍はステロイド
類上皮,肉芽腫の像.入院後汀Pを併発した.
減量にて再燃を繰り返していたが,局所的保存療法の
播種状環状肉芽腫(GGA)丘疹型の1例 鈴木睦実,
併用により,ステロイドの段階的減量に成功し転快し
永井稔子,土岐真理子,勝田潤子,荻野篤彦(国立京
ANA
1,280倍,抗SS-A抗
ACE正常,ツ反陽性,Gaシンチで肺門部,右耳
か.
都)
本態性血小板血症に伴った肢端皮膚潰瘍の1例 白
81歳女.約半年前より,体幹,大腿に少し庫みのあ
崎敦子,中川重光,柳原 誠,上田恵一(福井医大),
る扁平紅色丘疹が密に多発.組織:真皮中層に膠原線
福島俊洋(同第1外科),半田裕二(同脳外科)
維変性とそれを取り囲む類上皮細胞,多核巨細胞浸潤
55歳女.初診平5年9月1日.1ヵ月前より右第1
を認めた.アルシアンブルー染色で変性巣に陽性.
趾先端に発赤出現.8月下旬に小豆大の壊死,9月中
GGAと診断し,セレスタミン⑧3∼1錠とニコチン酸
旬には潰瘍化した.肢端に網状皮斑,チアノーゼを認
アミド内服,ステロイド軟膏外用により消退.内服外
む.白血球:14,500/μ1,血小板:107万/μ1.既往に高
用中止にても皮疹の再燃をみていない.
血圧,多発既脳梗塞,下肢静脈血栓症おり.潰瘍はプ
エトレチネートが著効した汎発型環状肉芽腫の1例
ロスタグランディンE,投与にて軽快,ヒドロキシカル
小村明彦,森 秋彦(西宮市立中央)
バミド内服併用にて治癒.
63歳男.四肢躯幹顔面に紅褐色の多彩な丘疹,局面
膀胱腫瘍患者にみられた紅皮症の1例 松原邦彦,
出現.大腿からの皮膚生検で膠原線組の変性と
金内日出男(公立豊岡),今村貞夫(京大)
palisading granuloma
膀胱腫瘍患者に難海陸の紅皮症が発症した1例を経
徹底とステロイド外用加療にてもなお急速に拡大した
験したので報告した.紅皮症の発症に薬剤,腫瘍の双
ため,初診半年後よりエトレチネート30mg/day開始.
方の関与が疑われる点が特異的である.
末期譚臓癌に伴ったerythema
tree
の像を認めた.糖尿病の治療の
4週後には軽快傾向がみられ,8週間後には色素沈着
annulare 久保一
江,安藤巌夫,久木田 淳(帝京大溝目)
79歳男.約半年前から,慢性水様下痢で,
を残して著明に消退した.
旋尾線虫によるCreeping
10kgの体
diseaseの2例 大滝倫
子,副島清美,滝野長平(九段坂),影井 昇(予研),
重減少.激しい握悍伴う于掌大までの浸潤性環状紅斑
安藤勝彦(三白1重大医動物)
が中心部に色素沈着を残し躯幹に多発.組織:表皮,
病例1,
真皮乳頭層浮腫と表皮内,真皮血管周囲に小円形細胞,
疹組織中に旋尾線虫幼虫,長谷川Type
好酸球からなる細胞浸潤.精査で眸頭部癌が発見され,
体価27で陽性.症例2,
癌性腹膜炎も併発.皮疹はステロイド内服で軽快.
2例ともホタルイカを食べ発症.旋尾緑虫症例は45例,
41歳男.初診平6年4月18日.腹部の茂行
x を検出.抗
29歳男.左手指の移動性紅斑.
サルコイドーシスの細胞性免疫 鶴m京子(藤田保
うち皮膚良行症は28例,腸閉塞16,眼寄生1例.皮膚
衛大)
胆行症のみでは男22
サルコイドーシスに光接触皮膚炎を発症した症例を
月に発症,腹部に好発,生イカ食2週間前後の発症が
: 女4,30∼40歳代に多く,3∼8
1122
学 会 抄 録
多い.
性静脈瘤に対して硬化療法を施行し,全例で静脈瘤の
討 論
良好な消失と自覚症状の著明な改善を得た.うっ滞性
谷口芳記(三重大):①腸閉塞の症例で虫体のみつ
皮膚炎,色素性紫斑などの皮膚病変に対してもすぐれ
かっかものは何例あったか? ②ホタルイカ生食以外
た治療効果を確認した.本法は外米で安全に施行可能
で因果関係の明らかなものはあったか.
であり,より有効な皮膚科的治療法として積極的に採
大滝倫子:①皮膚紀行症と腸閉塞の合併例はない.
り入れられるべきものと考える.
②腸閉塞で虫体をみなかった例は4例,他は抗体価の
柿葉エキスの実験的及び臨床的育毛効果 桑名隆一
上昇,ホタルイカの食歴などから推定した例である.
郎(高知赤十字),森岡雅史,伊達あけみ,岡田篤典(富
正中菱形舌炎の1例 水原賢了,島貫洋子,千葉直
士産業研),荒瀬誠治(徳島大)
子,尾立冬樹,原田敬之(東女医大第二)
柿葉よりエタノール,酢酸エチルエーテルにて抽出
68歳男.初診平5年9月25日.現病歴:初診の3ヵ
した柿葉エキスに培養ヒト毛包細胞の増殖・DNA合
月程前に舌背後方正中部に紅斑と丘疹が出現し徐々に
成促進作用を認めた.臨床試験では男性型脱毛症64例
拡大.現症:舌中央のやや左側に硬い浸潤を触れる境
中41例(64.1%)に新生毛がみられ,本剤のすぐれた
界明瞭な紅色局面とその左側の紅色丘疹.組織:角質
育毛効果が示唆された.試験期間中,特に副作用は認
肥厚,不全角化を伴う表皮肥厚,乳頭腫症あり正中菱
められなかった.
形舌炎と診断.抗真菌剤は奏効せず,現在も経過観察
鼻瘤の1例 松本博子,大島昭博,井出瑛子,杉浦
中.
丹(清水市立),中嶋英雄(慶大形成外科)
尋常性白斑100例におけるsuction- or
blister epidermis
grafting
dry ice-
therapyの成績解析 芝
34歳男.10年来の鼻部の毛嚢炎様紅色丘疹の出没に
より,漸次皮膚肥厚を来しか.初診時鼻尖は腫瘤状で
田孝一,山田至彦,三嶋 豊(神戸海星,三嶋皮膚科
鼻背∼両頬部に皮膚肥厚,毛孔闘犬,脂漏あり.アル
学研)
コール多飲なし.性ホルモン正常.組織:皮脂腺の肥
尋常性白斑に対する治療法は従来ステロイドの外用
大,結合織増生及び真皮深層に非乾酪性類上皮細胞肉
及びオキソラレン内服または外用後の紫外線照射療法
芽腫おり.皮膚肥厚郎を全切除し,左前腕遊離皮弁に
が主流を占めていた.我々は最近10年間,各種の病型,
よる外鼻再建術施行し経過良好.
部位, stageの本症にsuction-blister
ing therapy (SBT)またはdry
epidermis
ice を用いたdry
graft-
重症熱傷の7例−当科の治療方針と問題点について
ice-
一 大磯直穀,前川直輝,中川浩一,河平多宏,林 顕
blister epidermis grafting therapy (DBT)を積極的
秀,石堂育子,忽那晴央,西川 裕,兼藤紀美子,鶴
に進めてきた.今回は神戸海星病院皮膚科開設以来の
田大輔,岩元 豊,後藤 靖,竹村宏代,持田和伴,
症例より,半年以上follow
八代典子,福田道夫,潰田稔夫(大阪市大)
up できた約100例の尋常性
白斑患者について最近の経過,及び新たな症例につい
当科の1年間の重症熱傷7例について検討した.熱
て更に良い成績を得たので解析し報告する.
傷創の感染,特にMRSAに対して,早期にデブリード
自家培養表皮シート移植による劣性栄養障害型先天
マン,植皮術,温浴療法を中心とした当科の対策を施
性表皮水痘症における難治性潰瘍の治療 安東侑美,
行した.その結果,
宮本朋子,松井喜彦,橋本公二,吉川邦彦(阪大)
染者の75%は経過中にMRSAが消失し,当科の方法
MRSA感染者発生率は57%で,感
28歳男.生下時より,外力の当たる部分に水庖形成
は有効と考えられた.今後も感染対策に積極的に取り
がみられ,劣性栄養障害型先天陸表皮水庖症と診断さ
組み,症例を重ねたい.
れる.自家培養表皮シート移植を計4回施行し有効な
tumora!
結果を得た.その特徴として,!)潰瘍の上皮化の期間
大江麻里子,檜垣祐子,川島 倣(東女医大)
の短縮ができる.2)治療後の潰瘍再発の軽減ができ
69歳女.20年前より大腿,腹部に皮下硬結が出現.
る.3)冷凍保存が可能なため1回の採皮により頻回の
半年前より腰部に結節が出現し当科を受診.現症:大
植皮ができる,などがあげられる.
腿,腹部,上腕に板状硬結,右腰部に鳩卵大の結節.
下肢静脈瘤硬化療法による皮膚科的疾患の治療 久
血中Ca,
米昭廣,佐野祭紀,市 萬彦(市立堺)
性無構造物質を認め,周囲に多核巨細胞,組織球,リ
平5年11月からの11ヵ月間に58症例,66部位の一次
ンパ球浸潤と少数の破骨細胞様細胞を認める.電顕的
calcinosisの1例 有川順子,水嶋淳一,
P値正常.組織:真皮上層∼皮下職に好塩基
1123
第45回中部支部学術大会
に検討し,石灰沈着機序につき考察した.
時間後に上清申のIL-1α(ELISA)を測定した.各時
PUVAによるケラチノサイトの分化の誘導 鍋谷
間ともに10μg/ml以上では強いIし1αの誘導が認め
玲子(千葉大),
られたが,正常皮膚と肥厚性廠痕皮膚では両者間に有
Alice B. Gottlieb,
James
Krueger
(ロックフェラー大)
意差は認められなかった.
PUVA処理培養ケラチノサイトは細胞増殖を停止,
足底角層のin
鵬インテグリンの発現が減少,
アーゼ 崔 昌益,高橋昌江,楠田 茂,手塚 正(近
Kl,インボルクリン,
フィラグリンを細胞内に蓄積した.
vitroでの剥離のパターンとプロテ
畿大)
PUVA治療後の乾
癖皮疹部は,α3インテグリンが基底細胞に限局化し,
足底角層シリンダーを作り,
不全角化か改善されていた.
を含むTris-HCI溶液でincubationした結果,角層の
PUVΛはケラチノサイト
EDTA,
Triton x-100
の増殖と分化に重大な影響を与えることが示唆され
剥離は:十に外側から起こり,角層申のプロテアーゼ活
た.
性は外側の方が高いことが分かった.また,足底角層
カリクリンAによる表皮細胞インボルクリンの誘
中に存在するプロテアーゼに対するinhibitorを加え
導 野村政夫,橋本公二,吉川邦彦(阪大)
たところ角層の剥離は著しく抑制された.従って角層
カリクリンAを用いて表皮細胞内蛋白質のリン酸
細胞の剥離とプロテアーゼの関連性が示唆された.
化がインボルクリン発現に及ぼす影響をFACSにて
腫瘍におけるp53蛋白の熱処理による陽性率につい
調べた.カリクリンAは,低Ca→条件下ではインボル
て 佐藤拓二,斉藤 浩,梁取明彦,吉沢恵美子,山
クリン発現を著明に増加させたが,高Ca卜条件下では
蔭明生,山崎雙次(猫協医大)
発現に変化がなかった.しかしTPA刺激の場合は高
p53蛋白の検出率を90゜C20分間の煮沸等熱処理と未
Ca++条件下でもインボルクリン発現は著明に増加し
処理(( )内で示す)とで検討した.陽性率は老犬陸
た.
疵贅0/6
成長期毛包におけるインボルクリン,トランスグル
マ2/5 (0/5),老人性角化腫2/3
(1/2),ボーエン病3/
タミナーゼIの局在 玉田康彦(名古屋市),高間弘道
4 (0/4),
3/4 (0/4),悪性黒色
(春日井市),北村哲教,池谷敏彦(愛知医大)
(0/6),
BCE5/5
腫4/4(0/4),
トランスグルタミナーゼIに対する抗体(B,
CD及
N.C.N. 0/6 (0/6),ケラトアカントー
(1/5), SCC
trichilemmal
Ca. 4/4(1/4),ページェッ
ト病O/7(O/7)で,煮沸法は検出率が大幅に上昇し,
び抗インボルクリン抗体にて成長期毛包における局在
かつ悪性度の判定にも有用であると思われた。
を検討した.両者とも毛包の角化のパターンに一致し
calcitonin gene
てその発現を認めた.毛包の細胞核DNAの断片化の
fibersin the flap implanted
所見とあわせて毛包の角化,崩壊にprogrammed
eel!
related peptide immunoreactive
with sensory nerve 仰
天烈(中国西安第四軍医大西京医院形成外科)
deathの関与を考えた.
モルモットの両大腿内側に腹部より植皮した有茎皮
HPLCによる角層中のウロカニン酸及びヒスチジ
弁の茎を術後12日目に切断し,同時に一側の皮弁内に
ンの定量 高橋昌江,手塚 正(近畿大)
大伏在神経及び動静脈を移植した.術後3週,
保湿囚子の1つのウロカニン酸とその前駆体ヒスチ
4,
ジンの定量を目的とし,
疫組織学的に検出した.術後3週後には,皮弁真皮深
dabsyl chloride による発色と
5,
6ヵ月役の皮井内のCGRP陽性神経縁組を免
逆相カラムを用いたHPLCを組み合わせた分析法を
層にCGRP陽性神経線維の再生か確認された.
試みた.その結果38種のアミノ酸存在ド0.50pmolで
創傷拘縮in
vitroモデルに与える血管内皮細胞の
検量線が成立し分析の変動係数は両者とも約4%で
影響 戸田憲一,陳 瓊珊,今村貞夫(京大)
あった.また角層!00μg程度でそれぞれの定量が可能
皮膚銀痕拘縮と血管内皮細胞(EC)との関係を知る
で,本法はその微量分析に有用と考えられた.
目的で,無血清培地適応血管内皮細胞株F-2Cと拘縮
培養ヒト表皮ケラチノサイトのカンタリジンによる
2,
真皮モデルを用いて検討した.血管新生過程の増殖
IL-1αの誘導について一正常皮膚と肥厚性廠痕皮膚
(P)相培地は,分化(D)相のそれに比べ,有意に高い
との比較一 松本義也,森 聖,大橋 勝(名大)
拘縮活性を示した.この活性を示す主要因子の1つは,
正常皮膚と肥厚性癈痕皮膚を無血清培地(K-GM)に
エンドセリンうであった力1,その他の拘縮活性因子の
て培養して得た培養表皮ケラチノサイトに0.01∼100
存在も示唆された.
μg/mlの各濃度のカンタリジンを添加し,12
マウスの血管内皮細胞クローンF2とF2Cにおける
・ 24 べ8
3,
1124
学 会 抄 録
gelatinase発現及びsubendothelial
matrix
蓄積量の
ない.第1子は正常.第2子が1歳頃より軽い打撲で
検討 陳 瓊珊,戸田憲一,今村貞夫(京大)
創を生ずるようになった.母も同様の症状かおるため
2種類のマウスの血管内皮細胞株,敷石状パターン
精査を希望して平5年9月9日当科を初診した.2症
を示すF2と管腔様構造を示すF2Cを用いて,細胞外
例共に皮膚の過伸展及び手指の過可動を認めた.皮膚
基質(ECM)の蓄積量,ゼラチナーゼの発現及びECM
生検組織像では膠原線維の配列の乱れ及び断裂を認め
に対する分解活性を調べた.結果はF2CのECM蓄積
た.
量はF2に比し有意に多く認めた.
F2Cは92kDa,
72kDaにゼラチナーゼの発現を認めた.
F2I1よ
Col IV及び
Col V に対する分解活性はF2Cのみにみられた.
著しい皺を呈した弾力線維性仮性黄色腫の1例 植
西敏浩(市立長浜),林 優(同内科),段野貴一郎
(滋賀医大)
熱変性ovalbuminと特異lgE抗体に関する検討
37歳男.頬部に黄色の扁平な丘疹の癒合かおり,全
中筋一夫,米林功二,草壁秀成,清金公裕(:大阪医大)
身の皮膚がたるみ,皺が著明である.皮膚生検で,真
第320回日本皮膚科学会大阪地方会において,熱処理
皮の弾力線維の膨化と断裂,コッサ染色で石灰の沈着
OAに対する特異lgE抗体の存在を報告した.今回,臨
が認められた.以上の所見より本症例を弾力線維性仮
床症状を有する例で熱処理OAのNative-PAGE後
性黄色腫と診断した.本症例の合併症としては高血圧,
Immunoblotを行い特異lgE抗体を再確認した.熱処
肺の拘束性障害,胃潰瘍の既往,眼底の血管線条があ
理OAを用いたHRTでは,生卵も加工品も摂取する
り経過観察中である.
と発症する例は陽性を示し,生卵では発症するが加工
腸性肢端皮膚炎様皮疹を呈した神経性食欲不振症の
品では発症しない例は陰性を示す傾向がみられた.
1例 佐藤優子,竹内常道,峰咲幸哲,上出良一,新
老人性紫斑:真皮内微小血管の光顕的・電顕的研究
村偏人(慈恵医大),帆足誠司(同第3内科),館 直
−ステロイド紫斑との比較・検討― 加藤晴久(星ケ
彦(同精神科)
丘厚生年金),涜田稔夫(大阪市大),辻 卓夫(名市
26歳女.20歳頃より食事の極端な制限,強制嘔吐,
大)
緩下剤の過剰服用を続けたため極度の体重減少をきた
老人性紫斑:静脈系微小血管において基底膜,周皮
し,25歳頃より前腕から指尖にかけて紅斑が生じ,次
細胞の多層化,その周囲の不定形物質の沈着による血
第に躯幹にも拡大したために当科を受診.
管壁の肥厚が著明.ステロイド紫斑:血管壁の肥厚は
dl,必須アミノ酸低値を示し精神科にて神経性食欲不
静脈系,動脈系微小血管いずれにおいても軽度.血管
振症と診断され,内科でZn,アミノ酸を含む高カロ
周囲結合織は両者共に疎.肥厚した血管壁の弾性低下
リー輸液,輸血施行後,皮疹は急速に改善した.
のため,紫斑が生ずる.ステロイド紫斑ではさらに血
reticular erythematous
管壁自体の脆弱化かこれを加速する.
今村浩子,河原出恵,菊池 新,橋本 隆,多島新吾,
ヒトメラノーマ細胞におけるhuman TRP-2
西川武二(慶大)
cDNA導入によるdopachrome
54歳男.約2年前より前胸部に自覚症状を伴わない
tautomerase活性の
Zn 20μg/
mucinosis症候群の1例
変化とそのeumelanin組成への影響 近藤浩文,
淡い紅斑が出現し徐々に拡大.初診時,胸部から両肩,
Adam
背部に軽度浸潤を伴う網状の紅斑局面を認め米粒天か
Wilczek (三.嶋皮膚科学研),三嶋 豊(神戸海
豹
ら小豆大の小丘疹も混在.組織:真皮浅層から中層に
dopachrome tautomerase
(DCT)をコードする
帯状の小円形細胞浸潤とヘマトキシリンに淡染する無
TRP-2cDNΛをヒトメラノーマ井原株へ導入した.複
構造物質の沈着を認め,それらはアルシアンブルー染
数の導入クローンを比較するとDCT活性増加により
色陽性,
tyrosinasc活性,
討 論
eumelanin中のDHICA−メラニン含
PAS染色陰性.
有率,全メラニン中のeumelanin比率が増加した.
上出良一(慈恵医大):リンパ球浸潤が著明である
DCTはeumelaninの組成のみならず,全メラニンの
が,線総芽細胞とリンパ球のどちらが先に変化を起こ
生成及び組成調節に重要な役割を持つと考えられる.
すのか?
Ehlers・Danlos
今村浩子:ムチンの沈着を認めず,小円形細胞の浸
syndrome
の母子例 鈴木加余子,
生島美穂,太田純子(市立池田)
潤を主とする部分もある症例もあり,小円形細胞の浸
27歳女(母)と1歳男児.母方の家族に同症は認め
潤が先行し,その炎症細胞の刺激により,線維芽細胞
1125
第45回中部支部学術犬合
を活性化し,後にムチンの沈着にいたる可能性はある
すのみとなった.
と思う.
BCGの副反応による皮膚腺病と思われた1例 冨
永井 宏(神戸大):日光との関連について述べられ
田浩一,楠山法子,黒川滋子(榛原総合),夏目博宗(同
ていたが,好発部位が露光部ではないようだが,お考
小児科),脇田久史,古川福実(浜松医大)
えは?
1歳6ヵ月男児.
BCG接種(生後9ヵ月時)後1ヵ
今村浩子:日光照射後発症あるいは増悪した症例
月より接種部排服,左服高リンパ節腫脹,左鎖骨上の
や,紫外線照射により皮疹の再現をみた報告等かおる
リンパ節腫脹と皮膚潰瘍形成.抗生剤投与による8ヵ
一方,日光と無関係な症例や日光照射後軽艮した症例
月間の経過観察で消退せず.リンパ節組織は乾酪壊死
の報告もあり,日光との関係について結論は出ていな
巣を含む類上皮肉芽腫であったが,結核菌培養では抗
い.
酸菌が検出されず,
Z-N染色とPCR法により抗酸菌
毛包性ムチン沈着症の1例 日下部圭吾,上m正登,
を検出. INH
市橋正光(神戸大),佐々木宗一郎(神戸市)
両側鼠径部に生じた皮膚腺病の1例 川端栄美,森
58歳男.顔面を含むほぼ全身に淡紅色ないし淡褐色
m和政,北嶋敏之,松吉徳久,太田敬治,岡本裕之,
の枇糠様鱗屑を付着した紅斑性局面が多発.生検にて
井階幸一一,今村貞夫(:京大)
特発性毛包性ムチン沈着症と診断.塩酸ミノサイクリ
76歳女.平5年12月類天庖唐にてステロイド治療中,
ン及びDDSの投与にて皮疹はほぼ軽快したが,菌状
肺尿路結核を発症.
息肉症との関連が問題となる疾患であり,高齢者で全
ていた.翌年4月中旬両側鼠径部に皮膚腫瘤が生じ次
身に多発している症例であるため,今後も慎重な経過
第に拡大軟化した.生検にて乾酪壊死を伴う類上皮肉
観察が肝要であると考えている.
腫を認め塗沫検査にてガフキー陽性で皮膚腺病と診断
糖尿病にみられたreactive
perforating col-
150mg/日内服により治療.
INH,
SM,
EBにて治療し軽│央し
した.高齢,ステロイド治療などが本症の発症に関与
lagenosis 藤田知三,柳原 誠,上田恵一(福井医大)
していたと考えた.
74歳男.初診平6年2月2日.64歳上り糖尿病(腎
Mycobacterium
症・神経障害).全身の癈庫と体幹,四肢の丘疹を訴え
1例 藤井公男(神戸中央市民),太『日敬浩(京大),
aviumによる原発1生皮膚感染症の
受診.掻破痕に一致して丘疹があり,中央に角化様物
久世文幸(同胸部研)
質をみる.光顕では,経表皮的に排出される数本の膠
工1歳女児.初診の1年前より躯幹,大腿に肉芽腫様
原綿維重を認め,電顕では一部の膠原綿維は変性し,
結節を断続的に生じ,一部は潰瘍化.組織:真皮∼脂
表皮刺入部の膠原線組重の周囲に縁組芽細胞をみた.
肪織の類上皮性肉芽腫と一部に乾酪壊死様変化.病変
弾力線維の排出はない.
部より, M. aviumを検出.全身症状,胸部所見等に異
境界群(BT)らいの1例 宮川晴子(名古屋市)
常なく, M. aviumによる原発性皮膚感染症と診断.ク
31歳女.日系ブラジル入.1年前より左下肢に環状
ラリスロマイシン投与にて,速やかに病変消失.
の皮疹が出現し,同部に触覚,冷覚,痛覚の低下が認
Mycobacterium
chelonei感染症の1例 長谷川洋
められた.組織検査では,リンパ球に囲まれた類上皮
一,坂井秀彰(金沢大),藤田信一(同臨床検査医学)
細胞肉芽腫が示され,らい菌(−),神経染色では異常
8歳男児.ネフローゼ症候群で,
はなかった.レプロミン反応(十)より境界群(BT)
ポリン内服中.右下腿に35×20mmの暗赤色局面.膿
らいと診断した.稀な疾患だが,念順におくべき疾患
汁の漏出あり.ツ反陰性.真皮全層から皮下組織に線
の1つと思われた.
維化と微小膿瘍を伴う肉芽腫性変化あり.生検組織に
尋常性狼癒 安永千尋,寺嶋 亨,本城貴子,新藤
抗酸菌及びグラム染色陽性の悍菌を認め,膿汁よりM.
季佐,鈴木仲典(大阪市立総合医療センター)
chelonei subsp. cheloneiを分離.
53歳女.左頚部に黄褐色の痴皮を付着する無症候性
したが無効,病巣を全切除した.
の紅色局面を認める.ツベルクリン反応陽性.組織:
toxic
真皮上層から中層にかけて類上皮肉芽腫を認めた.生
子,川島 員(采女医大)
検組織の抗酸菌培養にて大型結核菌が分離された.尋
56歳男.急速に拡大する紅斑と発熱のため入院.眼
常性狼癒と診断しINH
球結膜,咽頭の充血,顔面の発赤腫脹,ほぼ全身の紫
300mg/day,
RFP
450mg/day
投与し,4ヵ月後には皮疹は茶褐色扁平な色素斑を残
shock
PSL及びシクロス
MINOを10週間投与
syndromeの1例 山田美奈,仁平保
斑を混じる瀧漫性紅斑を認めた.血圧低下,急性腎不
1126
学 会 抄 録
全,筋症状,消化器症状,うっ血性心不全などの多臓
大),西村和子(千葉太真核微生物センター)
器障害を認めたためTSSと診断.抗生剤等により約
58歳男の右第4指に生じたphaeomycotic
2週間で全身状態は改善,皮膚症状も落屑を残して軽
1例を報告した.皮下の嚢腫壁,内容液の培養でExo-
快.血中抗TSST寸抗体価の上昇なし.
phiala ieanselmei
Vibrio
ンコチル⑧内服を併用し,再発・転移を認めない.文献
vulnificus感染症の1例 上田素子,平 真
cystの
を分離,同定しか.嚢朧全摘術とア
理子(小牧市民),高野健市(同内科),長谷川 隆(同
的考察とともに報告した.
形成外科)
先天性皮膚カンジダ症の1例 林 進(彦根市
65歳男.既往歴に非代慣性肝硬変.熱帯魚に接触し,
立),杉浦久嗣,望月 隆,廣田雄介,桐山貴至,尾本
翌日,左手背に紅斑,熱発.第3病日,下肢に疼痛を
光祥,上原正巳(滋賀医大),吉田好雄(高島産婦人科),
伴う腫脹.第6病日,血圧低下,両下肢に紫斑,水庖,
林 尚枝(同小児科)
その後壊死となった.血液,水庖液より,
満期出産の男児.出生時体重3,400g,
vulnificus検出. LMOX,
IPM,
P
Vibrio
メCの投与,デブリー
Apgarスコア
10点.妊娠中,母に腔カンジダ症を認めるも出産まで
ドマンを行ったが,肝不全進行し,第38病日永眠.
破水を認めず.出生時よりほぼ全身に紅斑を認め,生
白癖性毛包炎と白癖性肉芽腫 安田佳世,池田先徳,
後3日目以降,紅斑上に多数の小膿庖が出現.膿庖よ
山本康生,笹山友生,清家正博,永野弓枝,小玉 肇
りC.
(高知医大),大倉美貢(高知市)
clotrimazole外用とmiconazole静注にて数日で皮疹
症例1,
67歳男.右前腕の小結節,浸潤性紅斑.毛
嚢中心性急性細胞浸潤.症例2,
49歳男.両下肢の硬
結,浸潤性紅斑.真皮内の肉芽腫性炎症像.症例3,
albicansが分離.尿培養でカンジダ陽性.
は略治.卵膜・臍帯にもカンジダ陛病巣を認めた.
Tissue
polypeptide
antigen
(TPA)の皮膚腫瘍に
おける局在 楊 憲勲,辻田 淳,大田浩平,占部篤
79歳女.左前腕部の小結節,紅斑.真皮内の肉芽腫性
道,永江祥之介,中山樹一郎,堀 嘉昭(九大)
炎症像であり胞子も認められた.金例でステロイドの
正常皮膚ではTPAはエクリン腺導管内側細胞,分
使用歴があり,白癖菌を分離.症例1,2は白癖性毛
泌郎細胞の両方で陽性であったが,
包炎,症例3は白癖性肉芽腫と診断.
胞のみ陽性であった.さらに,エクリン汗器官起源性
討 論
付属器腫瘍eccrine
福代良一(埼玉医大):①症例3に表在白癖は存在し
miχed tumor.
たか.②症例3の肉芽課内の菌要素の状態はどのよう
を行い,腫瘍細胞が導管内側細胞へ分化しているか,
であったか.③症例3の深在病変は左前腕にのみ限局
または分泌部細胞へ分化しているかを検討し凪
していたか.
培養ケラチノサイトにおける天庖癒抗体依存性細胞
安田佳世:症例3では結節は左前腕のみに認めら
内カルシウム動員とIP3の生成 長田和子,清島真理
れ,右前腕,足背の表在住白癖,足・爪白癖を合併し
子,江崎智香子,北島康雄(岐阜大),橋本 隆(慶大)
ていた.症例3では肉芽課内に胞子を認め菌糸型は認
尋常性天庖療血清由来精製lgGを培養ケラチノサ
められなかった.
イトに添加し,細胞内[Ca帽i,
フルコナソール,ミコナソール,
5-FCで治癒した
poroma,
PKK-1は分泌部細
nodular hidradenoma,
eccrine spiradenomaについても染色
メ3,PKCの変動を
測定した.天庖療抗体は一過性の細胞内[Ca円i上昇
SLE患者のクリプトコッカス髄膜炎の1例 龍崎圭
と
一郎,石川 治,宮地良樹(群馬大)
locationを認めた.以上より天庖療の水庖形成におい
メ3産生を誘導した.さらにPKCの膜へのtrans-
36歳女.12歳時SLEと診断.以後当科にて通院加療
てカルシウム依存性シグナル伝達系の関与が示唆され
中,平3年8月5日より頭痛と悪心を伴う38で台の発
た.
熱が出現し,同年8月20日入院.髄液中にクリプトコッ
糖尿病性潰瘍における超音波カラードップラー法と
カスを認め,同菌による髄膜炎と診断した.フルコナ
赤外線サーモグラフィの応用 調 裕次,駒谷麻衣子,
ソール,ミコナソール,
大畑千佳,山路雅巳,高木圭一,川津智是(大阪逓信)
5-FCの投与により症状軽快.
髄液中のクリプトコッカス抗原価は64倍から陰性にな
皮膚潰瘍を認めた糖尿病患者を超音波カラードップ
り,以後再発なし.
ラーのBモード断層法及びドップラー波形の2項目
手指に生じたphaeomycotic
cystの1例 川内康
弘,立石 毅,庄嶋 薫,岩田 充,大塚藤男(筑波
より2段階に分類し,サーモグラフィでは趾尖温度が
低温であるものを陽性とし,両所見よりtype
l : neur-
112?「
第45回中部支部学術大会
opathic pattern. II : microangiopathic
paradoxical
pattern, Ⅲ:
pattern. IV : macroangiopathic
pat-
hypereosinophilic
syndromeと考えられた1例
鶴田大輔,持田和伸,染田幸子,廣田稔夫(大阪市大),
tern,の4型に分類した.
大塚敏広,田中繁宏,工藤新三(同第1内科)
尋常性魚鱗癖を伴ったRussel-Silver症候群の1例
79歳男のhypereosinophilic
米田和史,川合美里,藤潭百合子(岐阜市民),柳原 誠
た症例を報告した.顔面を除く略全身に浸潤性紅斑性
(福井医大),中谷明美,長田和子,北島康雄(岐阜大)
局面が存在し紅皮症の状態であった.経過中,常に好
21歳女.患者在胎中,母親に強いつわり,意識消失.
酸球数1,500/m
予定日3週後2,400g,低身長,身体の左右差を伴って
す疾患を除外したため,本症と診断した.治療はメチ
出生.発育遅延,精神遅滞あり.小学生頃より四肢仲
ルプレドニゾロンパルス療法,プレドニゾロン内服等
側の魚鱗癖,足底の過角化に気付く.身長148cm,体重
を行ったが,入院2ヵ月後に多臓器不全で死亡した.
45.2kg.三角形顔貌,左半身発育不良,乳房発達の左
ムチン沈着を伴う黄色腫病変を認めたSLE 浅井
右差,小指短縮内育を認めた.皮膚生検にて角質肥厚,
寿孔橋本明彦,米元康蔵,衛藤 光,新井春枝,西
穎粒層減少,基底層色素増強.
山茂夫(北里大)
尋常性乾癖とchronic
actinic dermatitis
に対する
syndromeと考えられ
「以上であり,他の好酸球増多をきた
50歳女.20歳頃より紅斑が出没し33歳時SLEと診
シクロスポリンによる治療経験 八町祐宏,上田恵一,
断.全身の浮腫性紅斑を主体に病勢悪化.組織:ムチ
柳原 誠,藤田知三,白崎敦子(福井医大),荒木隆一,
ン沈着と血管周囲を中心にリポフスチン穎粒含有マク
岩井紀美江,八田壽夫,政田幹夫(同薬剤部)
ロファージが著明.膜嚢胞性病変(MCL)も認める.
シクロスポリン(CYA)を2ヵ月以上使用し,良好
パルス治療後ムチン減少しMCL及び血管障害進行.
な結果が得られた尋常性乾癖・関節症性乾癖各1例,
皮膚潰瘍を来した.マクロファージ内の穎粒はinsol-
難治性のchronic
uble (セロイド穎粒)からsoluble
actinic dermatitis
4例を報告した.
(中性脂肪滴)へと
chronic actinic dermatitis患者に対するCYAの効果
変化を来した.
発現は乾癖患者より早期にみられ,また比較的少量
慢性播種状エリテマトーデスを思わせた扁平苔癖
市
き
森
(2.5∼4mg/kg/日)で奏効したが,中止後の皮疹の再
俊典,川島愛雄(石川県立中央),中村 聡(松任
燃は乾癖患者より早く認められた.
伝染性腺痴疹より分離したS.
aure・の抗生物質に
36歳女.初診平6年5月31日.2年前発症.顔面,
対する感受性について 村上 政,松崎ひろみ,加賀
耳介,手背,指背,上肢,背部に庫みのある淡紅色な
美 潔,竹下誠治郎,吉岡佳子,井上悦子,河野典子
いし紅褐色局面かおり白色鱗屑が固着,指背では角化
(京都第一日赤)
が強く疵状.組織は苔痢型.螢光抗体直接法ではフィ
外来を受診した伝染性膿痴疹の患者63名より分離し
ブリノーゲンが基底膜に線状に,
たS.
ゲンがコロイド小体に沈着.一般採血に異常なく,抗
MINO,
aureusに対する抗生物質の感受性を検討した.
VCMは100%,
FMOX,
FOM,
ST,
CLMは
IgMとフィブリノー
核抗体陽性.
80∼90%台,セフェム系は50∼70%台,GMは33%,
クローン病を伴った壊疸性膿皮症の1例 小村十尉
ペニシリン系は4.o/bを示した.
子,瀬戸英仲(高槻),坂谷則彰,藤本良介(同内科),
MINO,
MRSAに対しては
VCMは100%,FMOX等は80%台,一方ペニ
松井麻貴子(神戸労災)
シリン系はO%,セフェム系はO∼40%であった.
18歳女.段差でつまづいた後,足関節に発赤腫張生
皮膚ノカルジア症の1例 森 秋彦,小村明彦(西
じ,急速に潰瘍化した.細菌,真菌培養陰性.組織:
宮市立中央),斎藤憲男(西宮市)
好中球を中心とした著明な細胞浸潤を認めた.初診2
78歳男.左額に有痛性潰瘍性皮疹出現.近医での
ヵ月前より下痢が続き,便潜血陽性.内視鏡にてクロー
CFDN内服にても急速に拡大し左側頚部まで腫脹.左
ン病と診断.PGのクローン病との合併は本邦におい
額膿汁の培養菌はグラム染色及びKinyoun石炭酸フ
て,過去4例を認めるのみである.
クシン染色陽性,カゼイン水解試験陽性でNocardia
neutrophilic
brasiliensisによるリンパ管型と考えた.
有沢祥子,新田悠紀子,池谷敏彦(愛知医大)
MINO 300
eccrine hidradenitis (NEH)の3例
mg/日内服とFOM 2gX2/日点滴1週間にて著効.
2例の常用量のbarbiturate系薬剤による紅斑水庖
OFLX
と,1例の悪性リンパ腫のためCHOP療法施行中に生
600mg/日に変更後も順調に軽快した.
1128
学 会 抄 録
じた紅斑(NEH)は,すべて汗腺上皮の変性壊死とそ
器会陰部縫腺嚢腫と診断した.
の周囲のneutrophilの浸潤を認めた.両者とも,薬剤
粉瘤より生じた有較細胞癌 天野隆文,川名誠司,
の汗腺への直接障害で,
沈 国雄(聖路加国際,北里大),植草利公(聖跡加国
neutrophilは2次的な反応と
考えられ,同一の系統の疾患と推測した.
際病理)
アルコール依存者にみられた血清亜鉛低値を伴うペ
74歳男.平5年11月,左背部の腫瘤に気づく.近医
ラグラの1例 松井麻貴子(神戸労災)
で炎症性粉瘤の診断のもと加療されるも軽快せず当科
アルコール依存症にて発症しかペラグラの1例を経
受診.左背部に表面暗紫紅色調,弾性硬の鴇卵大腫瘤
験しか.ニコチン酸軽度低値(4.5μg/dl)と亜鉛低位
が存在.組織:真皮内に朧腫を認め,その壁と連続性
(40μg/dl)を認めた.亜鉛とニコチン酸がともに低値
に異常有縁細胞の増殖像がみられた.また,真皮上層
をとる症例に対して,ナイアシンのみを投与した症例
には基底細胞様細胞の集塊を認めた.
と,亜鉛のみを投与した症例が報告されており,それ
CEA高値を伴った鎧状癌の1例 西村雅恵(箕面市
ぞれ軽快している.ペラグラにおける亜鉛の関与につ
立),鈴木加余子(市立池田),橋本公二,吉川邦彦(阪
いてさらに検討が心要と思われた.
大),大和谷淑子(箕面市立)
透析患者にみられた転移性石灰沈着症の1例 市川
67歳男.両側下腿に生じた皮膚硬化が次第に拡大し,
玲子,竹中秀也,岸本三郎,安野洋一(京府医大),吉
両側下肢,背部,腹部に禰漫性の紅斑,板状硬結,一
村了勇(同第2外科)
部に集族した小結節を生じた.生検にて真皮全層に腫
30歳女.透析歴6年.初診3ヵ月前から両側腸骨稜
瘍細胞浸潤,一部に膠原綿維問の列状配列を認め,鎧
部に皮下腫瘤を認め徐々に増大,千拳大となり圧痛を
状癌と診断した.原発巣は種々の検索にも関わらず発
伴った.X線像では関節周囲,血管等に石灰化像を認
見されなかった.血中CEAは1,700ng/mlと非常な高
めた.初診時PTH
値を示した.
6,210pg/ml,血清Ca
11.6mg/dl,
P6.6mg/dlと上昇.組織:真皮から皮下組織にかけて
塩酸イリノテカン(CPT-11)が著効を示した転移性
大きな集塊を認めvon
有較細胞癌の1例 山崎直也,石原和之(国立がんセ
Kossa
染色陽性,成分分析では
燐酸Ca主体であった.
ンター中央)
低刺激性乳幼児用スキンケア製品(PHS-511)の安
CPT-11は植物アルカロイドの一種であり,広範囲な
全性と有用性に関する研究 早川律子,鈴木真里,加
抗腫瘍スペクトルを有する新しい抗癌剤である.我々
藤佳美(名大分院),上田 宏,松永佳世子(藤田保衛
は有縁細胞癌の鼠径リンパ節転移症例に対してCPT-
大),池谷敏彦,三田哲郎(愛知医大),臼田俊和,鈴
11を投与し著効を示しか症例を径験した.59歳女.平
木智博(中京)
2年に他院で左足背の有縁細胞癌の手術を受けたが平
低刺激性乳幼児スキンケア製品(PHS-511)をアト
4年5月頃,左鼠径リンパ節に転移を来し,当科を紹
ピー性皮膚炎27例,その他7例に通常の方法で使用さ
介された.
せた.対象34例中22例(64.7%)力1有用以上の評価を
コースとして治療を開始したところ,転移巣は著明な
得た.軽微な副作用を4例に認めたが,使用中止によ
縮小を示しかため,10コース繰り返しか.現在まで左
り速やかに回復した.
鼠径リンパ節への効果は持続している.CPT-11の有練
PHS-511は乳幼児の日常の皮膚
CPT-11週1回100mg/m2投与4回を1
の手入れや治療補助的に使用する製品として,広く応
絹胞癌に対する効果と,副作用について報告した.
用出来ると結論した.
原発吐甲状腺癌の皮膚転移の1例 谷口彰治,兼藤
陰茎腹側に生じた嚢腫様腫瘍の1例 永田 誠,大
紀美子,西川 裕,林 顕秀,涜田稔夫(大阪市人)
島良夫,西野健一,奥田良三,礒部博子(京都第二赤
61歳男.1力片前に甲状腺摘出術(甲状腺未分化癌)
十字形成外科),沖田和男(京都市)
の既往がある.数週間前に右脹下部及び胸部の硬い多
22歳男.2ヵ月前より,陰茎腹側に境界明瞭な弾性
発性皮下結節に気づいた.組織:真皮中下層にかけて
軟の索状皮下腫瘤を触れ,徐々に増大した.摘出手術
中∼大型で異型性のある腫瘍細飽か散在性に増殖し,
を行ったところ,腫瘤は外表皮膚とは癒着しておらず,
甲状腺原発巣と類似の組織像を呈していた.また免疫
深部へつながり,起始部は不明瞭であった.組織:深
染色にてサイログロブリンに陽性を示し,原発巣を甲
部に比較的厚い平滑筋よりなる.筋層を持ち,移行上
状腺と確定した.
皮からなる管腔が多数認められた.以上の所見より性
若年性慢性骨髄性白血病の1例 安西秀美,菊池
1129
第45回中部支部学術大会
新,清水 宏,多島新吾,西川武二(慶大),木下明俊
目までの腫瘍の性状は,1)組織学的に扁平上皮癌であ
(同小児科)
る, 2) HPV47
2歳5ヵ月男児.生後9ヵ月時,肝牌腫・血小板減
している,
DNA
を多量にプラスミド状態で保持
3) HPV47が転写されているという点でも
少を指摘され,骨髄所見などから若年性慢性骨髄既白
とのヒト腫瘍のそれを受け継いでいた.
[
ヒト乳頭腫ウイルス16型E6,
病と診断. IFN-α, 6-MPにて血液学的寛解の状態に
あったが,2歳4ヵ月時より四肢両耳介に浸潤性紅斑
の出没を繰り返す様になった.皮膚生検にてCD14
E7遺伝子の機能とそ
の転写制御 石地尚興(慈恵医大)
・
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による発癌の分子機構
CD15・CD36陽性の異型細胞の浸潤を潤漫性に認め,原
について検討した.癌遺伝子であるE6,
疾患に伴う特異疹と診断した.
細胞に与える影響,これらの遺伝子発現の制御機構に
脂肪肉腫の1例 村田隆幸,大畑恵之,佐々木裕子,
ついて報告した.
菊池 新,仲 弥,橋本 隆,西川武二(慶大)
発現に影響を与えながら病像を形成すると考えられ.
71歳男.右上腕仲側に径2.8cmの皮下腫瘤を認め
単にウイルス発癌のみならず表皮細胞の分化,増殖制
た.脂肪腫を疑い単摘術施行.組織:皮下に好酸性に
御機構研究のモデルとしても興味深い.
染まるmyxomatousな腫瘍塊を認め,腫瘍細胞はクロ
RT-PCR法を用いた皮膚におけるサイトカイン遺
マチンに濃染する異型な核を有していた.以上の所見
伝子の発現 山田秀和,弓立達夫,松倉正治,手塚 正
より脂肪肉腫と診断.広範囲切除術及び放射線療法施
E7の産物加体
HPVと表皮細胞は互いの遺伝子の
(近幾人),泉谷 良(『司第2外科』,茄原順一(同第4
行.その後約1年経過する現在,再発・転移は認めな
内科)
い.
AD,乾癖の皮疹部,無疹部についてサイトカイン遺
epithelioid sarcoma
の1例 上田富士雄,若林俊治
伝子の発現をRT-PCR法で検出した.
TNFα,
(京都市立)
ついてはmutant
82歳女.主訴:右栂指基部の出血性潰瘍を伴う腫瘍.
RT-PCRの定量を行った.またADについては大腸に
発症約1年で当科初診となるまで他病院で炎症性肉芽
ついてもRANTESを検出しか.
腫として治療されていた.病理組織像,免疫組織化学
可能で,乾癖では,皮疹部と無疹部で大きく異なるこ
TNFo',
IL-8は定1量
染色にて類上皮肉腫と診断.本疾患は,初期に誤診が
とが明らかになった.
多く切除範囲が不十分であると高率に局所再発,転移
悪性黒色腫抗原遺伝子の同定と臨床応用 林部一人
することが知られており注意が必要な腫瘍であると思
われた.
教育講演n
IL-8に
RNAを作成してコントロールとし,
(神戸大)
強免疫原性黒色腫関連抗原D-1のプロフィールと臨
: ヒトゲノム計画とcDNAプロジェク
床応用について述べた.正常臓器での発現が乏しく,
ト 加藤菊也(新技術事業団岡山細胞変換プロジェク
極めて黒色腫に限局したD-1の分布は,
ト)
応用に有用な情報であり,今後,特定のHLA分子との
D-1蛋白の臨床
染色体DNAのかわりにmRNAのコピーである
linkageの検索をすすめ,ペプタイドワクチンとして
cDNAの配列を決定すれば,本来のゲノム計雨上りも
投与計画を検討したい.
少ない投資で蛋白質コード領域の構造を決めることが
TGF-β, IFN-rによるマウス表皮ケラチノサイト
できる. cDNAプロジェクトでは塩基配列の決定だけ
の細胞増殖抑制機構におけるInterferon-regulatory
ではなく,個々のcDNAをプローブにして遺伝子の染
factor 1 (IRF-1)の機能解析 樽谷勝仁,北川元生,
色体上の位置と,発現する細胞の同定を行う.
谷口維紹(阪大細胞生体工学センター),橋本公二,吉
ワークショップn:DNAサイエンスと皮膚科学
川邦彦(同皮膚科)
扁平上皮癌組織とそのマウスヘの移植細胞中のパピ
転写因子IRF-1
(interferon regulatory
factor l)
ローマウイルスDNAの存在様式 安立あゆみ,平岩
は癌抑制因子として機能し,種々のサイトカインで誘
厚郎,大橋 勝(名大),清野 透(愛知県がんセンター
導されることが知られている.ジーンターゲッティン
研ウイルス部)
グ法で作製したIRF-1欠失マウスのケラチノサイトを
疵贅状表皮発育異常症患者に生じた扁平上皮癌組織
用い, TGF-β1, IFN-yによる細胞増殖抑制効果を野生
の一部をSCIDマウスに移植し増殖させることに成功
型細胞と比較した.その結果IFNう/刺激時にIRF-1欠
し,現在4代目に継代している.これら初代から3代
失細胞の増殖は約1/4に抑制されていた.
1130
学 会 抄 録
表皮形成を調節する遺伝子情報 玉井克大,橋本
と4型と5型が優位を示しか.血清のLDHは1971U/
功(弘前大),
1であった.68日後に再発あり.その時の朧朧内液の
Jouni Uitto (Jefferson医科大)
表皮形成は,表皮特異的な遺伝子発現の調節過程と
LDHは836IU/1,血清は206IU/1,嚢課内液のLDH
換言できる.
isozymeは,4型と5型が優位を示し把
230kD類天庖療遺伝子の表皮特異的発現
を調節しているKRE3領域に結合する表皮細胞核蛋白
血管拡張性肉芽腫と異所性蒙古斑を合併した
が,この表皮特異性に寄与していると考えられた.
Sturge-Weber症候群の1例 萩原啓介,金城 隆,
KRE3がホメオティック遺伝子産物の結合配列を有し
野中薫雄(琉球大)
ていることが判明し,これらが表皮形成でどのように
4歳6ヵ月女児に血管拡張性肉芽腫と異所性蒙古斑
機能しているか興味深い.
を合併した1例を報告した.本例ではこの他にVSD
皮膚角化関連蛋白遺伝子のIq21クラスター 米田
耕造,今村貞夫(:京大),
(2型)十ASD,てんかん,右片麻犀,気管支喘息,ア
Peter Stemert(NIH,
USA)
インボルクリン(INV),ロリクリン(LOR),スモー
ルプロリンリッチ蛋白1
トピー性皮膚炎,アレルギー性結膜炎,アレルギづ生
鼻炎・副鼻腔炎,知能軽度低下,増殖性歯肉炎など多
(SPRRl),カルサイクリン
くの合併症をみた.
(CACY),カルパクチンI軽鎖(CALIL)プロフィラ
広範囲片側性単純性血管腫を伴う色素血管母斑症
グリン(FIG),トリコヒアリン(THH)遺伝子のヒト
Ⅲb型の1例 伊泊裕子,横田 香,長谷川義博,清金
染色体Iq21上におけるマッピングの結果,これらの遺
公裕(大阪医大)
伝子は2.05Mb以内に近接して存在し,
8歳男児.満期正常分娩.家系に色素異常なし.躯
THH,
FIG,
INV/SPRRl,
LOR,
CALIL,
CACYの順で並ん
幹右半側から右下肢・足底外側に及ぶ単純性血管腫,
でいることがわかった.
胸腹部,背部の散在性の扁平母斑,左の腰部,右側腹
ヒト角化細胞において発現する新規遺伝子の染色体
部の貧血母斑からなる皮膚色素異常と下肢長差を認め
マッピング 森島陽一,山西清文,安野洋一(:京府医
た.本症を下肢長差を合併し,広範囲片側性の単綺注
大),有山武志,稲潭譲治,阿部達夫(同衛生学)
血管腫を伴う色素血管母斑症Ⅲb型と診断した.
我々は培養ヒト角化細胞よりcDNAの大量シーク
色素失調症男児例の1例 大沼義幸,飯田孝志,失
ェンシング解析を行ってきた.その結果得られた新規
敬 敦(県立奈良),白井利彦(奈良医大)
遺伝子をfluorescence
1ヵ月男児.日齢2日より右上下肢主体に線状に配
in situ hybridization
(FISH)
法により染色体マッピングを行い,40の新規遺伝子と
列する小水庖出現.皮疹は次第に疵贅状に変化し,茶
DNAデータベースに登録されている9遺伝子の染色
褐色の色素沈着を伴うようになる.日齢50日での皮膚
体座位を決定した.
生検では,真皮浅層への著明な好酸球浸潤・好酸球性
一般演題・症例報告
表皮内水庖を認めた.染色体分析は母・児共に正常.
陰茎縫線嚢腫の1例 魚井美由紀,黒川一郎(兵庫
生後10ヵ月まで合併奇形を認めず,色素失調症の軽症
県立塚口),楠本健司(関西医大形成外科),的場容子
例と考えられる.
(関西医大),増田理恵(尼崎市)
infantile digital flbromatosis の1例 欠田良児,
生後7日目男児.生下時より外尿道口嚢腫を認め,
安東侑美,畑 清一郎(大阪労災),西村雅恵(箕面市
全摘出するも1年4ヵ月後に外尿道口左側に嚢腫が再
民),日笠 壽(阪大)
発し,更に1年4ヵ月後には外尿道口右側にも嚢腫の
4ヵ月男児.生後1ヵ月頃より左II趾に紅色小結節
再発をみた.切除後の再発の報告はなく,稀な症例と
出現した.腫瘍は紅褐色で硬くやや光沢かおり,皮膚
思われる.多発匪の起源となるべき尿道側管の先天異
及び下床との可動性はなかった.1ヵ月でほぽ倍の大
常があり,それが別の時期に発症したのではないかと
きさ(16×12mm)になり,趾間も開大してきたため,
考えた.
切除,植皮した.組織:真皮全層に線維芽細胞様の腫
pseudocyst
瘍細胞かおり,類円形の好酸性封人体も認められ,
of the auricle の1例 宮本秀明,余井
infantile digital fibromatosis と診断した.
塚生[辻(平塚共済)
前頚部にみられた毛嚢母斑の2例 梨村理恵,高橋
49歳男.左耳介の嚢腫にステロイド注大法を施行し
た.嚢腫内液のLDHは2,096IU/I,
I型2%,
2型4%,
3型10%,
LDH
4型25%,
isozyme
は
5型59%
佳代子,皆川陽美,尾立冬樹,原田敬之(京女医大第
二)
n3:し
第45回中部支部学術人会
症例1,生後3日目女児.左前頭部の常色,表面識
に皮疹が出現した.初診時,左耳垂に径3mmの黒色の
毛を有する10×3mm大弾性軟の小結節.症例2,5歳
腫瘤を認め生検した.臨床所見及び病理組織所見より
女児.出生時より,前頭部に常色,5×2mm大角状に
atypical fibroxanthoma
隆起する小結節を認める.組織:2症例とも真皮内に
MFHとの異同が問題とされるが,予後がきわめて良
(AFX)と診断した.
AFXは
小さな成熟した毛嚢の断面を多数認める.軟骨組織は
好であることからAFXの名称は意義があると考え
認めない.以上より毛嚢母斑と診断した.
た.
Cowden病 沈 国雄,川名誠司(聖路加国際)
脂肪腫及びその近縁疾患138例の検討 高木圭一,駒
22歳女.水頭症の疑い.平元年腺腫性甲状腺腫を全
谷麻衣子,大畑千佳,山路雅己,調 裕次,川津智是
摘.翌年より顔面中央部,耳介,舌背部,手,足に角
(大阪逓信)
化性・扁平隆起性結節が多数発症.アデノイド顔貌,
過去14年4ヵ月間に経験しか脂肪腫及び脂肪腫近縁
高口蓋を呈す.食道に穎粒状のポリポージスが認めら
疾患138例について検討した.その結果,発症部位は体
れ,皮膚病理組織はhyperkeratotic acanthoma.
幹部が最も多く,四肢がこれに次いだ.頻度はlipoma
inverted foUicular keratosis. schwannomaなどの過
では50歳代,
angiolipomaでは40歳代に多く,
形成性を認め,0KT3,0KTjよ正常.
lipomatosus
superficialisでは半数が10歳代で,ほと
trichoepithelioma papulosum multiplexの1例
んどが多発例であった.
桜井真也,池原龍一郎,山科幸夫,村松 勉,白井利
と50歳代で好発年齢と一致した.
彦(奈良医大)
腫に生じた血管平滑筋腫 鐘居昭弘,小沼博義,大
多発性毛包上皮腫の1例を報告し,
bcト2, CD34について検討した.
BCEとの鑑別に
bcl-2は毛包上皮腫は腫
瘍の辺縁に,
BCEは腫瘍全体に陽性,
腫に陽性で,
BCEは陰性であった.これらの抗体は両
CD34は毛包上皮
nevus
liposarcomaの2例は40歳代
津山 賓,斉藤明宏,諸橋正昭(富山医薬大),服部部
之(高岡市民)
21歳女.昭63年頃,右腫内側に有痛性の皮下結節が
出現.近医にて切除したが平6年1月頃より再発した
者の鑑別に有用であると考えた.
ため同年4月切除術施行.組織:真皮から脂肪織に紡
穎粒変性を示した乳頭状汗腺腫の1例 猿喰浩子,
錘形の好酸性細胞が増殖し,一部では血管腔を取り巻
庄田裕紀子,多田正憲(大阪警察)
いて増殖する像もみられ,血管平滑筋腫と診断したが,
40歳女.大陰唇に可動性良好な皮下腫瘤あり.表面
腫瘍ははっきりした被膜を持たず境界不明瞭であっ
淡青色調.組織:真皮内に表皮と連絡しない嚢胞性腫
た.
瘍がみられ,嚢胞腔には多数の乳頭状構造及び管腔形
pseudo-Kaposi
成,断頭分泌像が観察された.表皮では穎粒変性がみ
浩,田端英之,山蔭明生,山崎雙次(濁協医大)
られた.乳頭状汗腺腫の臨床,組織学的な特徴と腫瘍
28歳男.会社員.10歳頃下腿内穎部の自覚症のない
上部の表皮に偶然観察された穎粒変性について述べ
紫紅色斑に気付く.15歳頃より患肢の熱感を自覚.そ
る.
の後紫紅色斑が拡大し平3年11月11日当科受診.左足
trichoblastic fibroma 石倉多美子(公立松任石川
背から下腿にかけて暗紫紅褐色局面あり.患肢はサー
sarcoma
の1例 石田晋之介,斉藤
中央)
モグラフィーにより皮膚温上昇,静脈血酸素分圧高値,
43歳女.1年前から右府に小結節.自覚症状ト).
血管造影にて動静脈痩確認,組織所見などより診断.
現症:14×12×3mm,類円形,弾性硬の皮下の腫瘤.
弾性ストッキングにて軽快中.
組織:腫瘍は皮下にあり表皮との連絡はなく細線維で
ネフローゼ症候群に合併したBowenoid
囲まれた多数の小胞巣よりなる.結合織性被膜(十).
の1例 兼藤紀美子,中川浩一,涜田稔夫(大阪市大)
腫瘍細胞は単一な基底細胞様細胞でレース状に配列.
20歳女.既往歴として約15年前からネフローゼ症候
小角質嚢腫とprimary
群でステロイド剤の点滴や透析にて加療中.初診の約
epithelial germ様突起が数個
みられるが完全な毛嚢や毛幹はない.
atypical flbroxanthoma
の1例 菅野優子,藤井公
市
9j
男
大郷典子(神戸市立中央市民),春日井和子(神戸
papulosis
2ヵ月前より外陰部に黒褐色の皮疹が出現,増数して
きた.組織:表皮肥厚と角質増生を認め,個細胞角化
か散見された.木疾患の発生に,何らかの免疫能低下
が関与しているのではないかと推察した.
52歳女.初診平6年6月9日.約3年前より左耳垂
多発j1ボーエン病の1例 杉山 徹,中川光子,西
1132
学 会 抄 録
嶋撮子(関西医大香里)
病の1例 原田 暁,為政太幾,堀尾 武(関西医大),
45歳女.初診平6年4月19日.約5年前より右示指
高回秀穂(同第2外科)
に皮疹を認めた.初診時,右示指に苔癖化局面を認め,
63歳男.陰茎基部から陰嚢にかけて不正形の紅斑と
皮膚生検にてボーエン病の所見を得た.また,全身所々
廳爛面が存在,肛門部にも紅斑,紅色丘疹を認めた.
に雀卵天までの褐色斑を多数認め,切除または生検標
生検によりPaget病の診断の下に広範囲腫瘍切除術
本にて,!1ヵ所のボーエン病巣を確認した.本症例は
を行い,組織学的検索にて直腸病変も認めたパ伺時期
砥素暴露の機会もなく,毛髪中の枇素濃度も正常人の
に右耳介後部に筒屑,痴皮を伴う湿潤性の皮疹が存在
濃度範囲であった.
し,組織学的にBowen病の所見であった.
腫部に生じた大型のplantar premalignant
膀胱癌,結腸癌を合併したtriple
melanosisの1例 中村 敬(淀川キリスト教)
Paget病の1例 西尾賢昭,石崎 宏(金沢医大)
45歳男の腫部に生じた大型,褐色から黒褐色のまだ
混歳男.初診平6年3月14日.既往歴:平4年12月,
extramammary
ら状色素斑及び局面で,組織学的に基底層にのみ異型
S状結腸線癌.家族歴:次男に肺腺癌.現病歴:平4年
なメラノサイトの増加を認めた症例を経験した.現在
!2月,右陰嚢の皮疹に気付いたが放置.平成5年夏頃
ALMの前癌病変は明らかではなく,最近atypical
より拡大してきた.現症:外陰部に正常皮膚を介し多
melanosisの概念も提示され混乱の感がある.早期病
中心性に3ヵ所,左肢寓に紅斑局面あり.組織:外陰
変についての診断,手術の考え方について若干の文献
部,両服裔表皮内にPaget細胞あり.上行結腸腺癌,
的考察を加えて報告した.
膀胱移行上皮癌を合併する.
vulvitis circumscripta plasmacellularisの1例
旅冑のアポクリン腺癌の1例 廣田雄介,田滓隆広,
山本 聡,相原道子(小田原市立),中嶋 弘(横市大)
望月 隆,杉浦久嗣,上原正巳(滋賀医大),桂 知加
77歳女.半年前より太陰唇部に,軽度の疸蝉を伴う
子(高島)
発赤局面が出現.組織:角層の欠損,表皮の非薄化,
47歳男.4年前に左肢寓の淡紅色の腫瘤に気付く.
縁細胞間浮腫,真皮の形質細胞(PAP法にてlgG・E・
腫瘤は22×18mm,弾性硬で下床と癒着なし.組織:真
A・M,x鎖,λ鎖が陽性で多榛陸を示す)及びリンパ
皮全層に小型の管腔構造を示す細胞と,大型異型の核
球の帯状浸潤,毛細血管の拡張,赤血球の漏出,ヘモ
を有する細胞が播種状に存在.
ジデリンの沈着を認めた.皮疹は,アルメタ⑧の外用に
管腔内にPAS(十)ジアスターゼ消化抵抗性穎粒あり.
て軽映を示しつつある.
正常アポクリン腺からの移行層存在.広範囲切除後半
脂漏性角化症と併存したlymphadenosis benigna
年経過,再発・転移を認めず.
cutisの1例 立原恭子,松島勇治(水戸赤十字)
well-differentiated
61歳男.初診平6年1月20日.初診半年前に左頬部
1例 佐々木哲雄(横市人)
CEA(十),
syringomatous
EMA(十).
carcinomaの
の米粒大黒褐色角化性丘疹に気付いた.組織:有縁細
63歳男.初診の約10年前から右頬部に皮疹あり,1
胞を混じて基底細胞が枝状に増殖して,腫瘍を形成し,
∼2年来増大傾向.現症:右頬部に辺縁が堤防状隆起
その直下に単核球の結節状の集族をみた.免疫組織学
を示す淡黄白色調環状硬化局面.組織:真皮上層に角
的に検討し,本症を腺腫様型脂漏性角化症と併存した
質嚢腫,真皮全層と皮下組織上部に一見汗管腫様の腫
lymphadenosis
瘍細胞塊が多数,密に存在.軽度の核異型や腫瘍細胞
benigna
cutis と診断した.
熱傷痘痕に生じた外毛根鞘癌の3例 高 淑子,中
の神経周囲への侵入,周囲膠原線維の顕著な増生あり.
川明美,福本隆也,多田英之,波床光男,広田さち子,
経過:全摘し,現在まで再発なし.
白井利彦(奈良医大)
半球状腫瘤を呈した基底細胞癌の2例 小石まゆ
症例1,
症例3,
73歳男の左下腿.症例2,
56歳女の左前腕.
43歳男の頭部.組織:外層にbasaloid
中心にclear
cell,
ceHのみられる分葉状増殖がみられ,細
胞の異型性を認めた.またclear
cell はPAS染色陽性
であった.レクチンの一種であるUEA-1による染色
み,井上稲子,神谷秀喜,北島康雄(岐阜大),米田和
史(岐阜市民)
基底細胞癌(BCC)は多彩な臨床像を示すが,進展
の過程でその多くが潰瘍を形成する.今回我々は潰瘍
を形成せず,ドーム状隆起を続けた症例を経験したの
は,他の上皮系腫瘍との鑑別に有用であると思われた.
で,珍しいと考え供覧した.
耳介部Bowen病と直腸病変を伴った外陰部Paget
真皮内浸潤のみられたbasal
cell carcinomaの1
1133
第45回中部支部学術大会
例 高橋久恵,大原國章(虎の門)
mg/日内服.家族歴:特記すべきものなし.平5年肛囲
50歳女.約7,8年来の右頬部黒色結節.組織:充
黒色丘疹(Bowenoid
実型であったが,腫瘍細胞が基底膜を破って真皮内に
後再発(SCO.左手指疵贅状皮疹(Bowen病)も同時
浸潤する像が認められた.同様の所見は当院で過去5
期発見.これらから,
年に経験した結節潰瘍型BCC
Southern blot hybridization を用い,HPV16DNAを
89例のうち本症例を合
papulosis)に電子線照射4ヵ月
PCRとdot
blot hybridization,
め3例に認められ,癌細胞と基底膜の問題において,
検出した.
大変興味ある症例であると考えられた.
陰茎癌の1例 岡野昌樹(愛染橋)
下口唇の麿爛にcryoを施行した後約5年を経過し
55歳男.1年前より陰茎に腫瘍性病変が出現.徐々
SCCを発症した1例 山田孝宏,大谷道廣,近藤雅子,
に増大,潰瘍化を来し悪臭も伴ったため来院す.初診
岩田吉弘(県立岐阜),三和敏夫(各務原市)
時陰茎遠位はほぼ全周に渡って深く扶れ,疼痛が強
75歳男.昭63年秋より下口唇に麿爛と出血.平元年
かった.基部は周囲が肥厚して大くなり全体として著
1月初診.生検にてplasma
明な変形を呈していた.排尿障害なし.病理組織学的
cell cheilitis. cryoにて
上皮化した.平4年から麿爛,上皮化を繰り返す.平
には有縁細胞癌であった.
5年末から廳爛が継続.平6年3月,中央部に腫瘤形
遠隔転移を認めなかった.
sec抗原高値.画像診断で
成.生検,化学療法(VMP)後,レーザーメスにて下
家系内発生の汗孔角化症に続発した有較細胞癌の1
口唇全摘.術後化学療法2クール.現在まで再発の徴
例 山本 卓,中山佳代子,小松威彦,北村啓次郎(埼
候及び機能障害なし.
玉医大総合医療センター),鈴木 正(埼玉医大)
放射線治療が有効であった巨大な有較細胞癌の1例
58歳男.10代より右背部から右大腿にかけて巨大な
加瀬佳代子,栗原 重,佐伯順子,漆畑 修,斎藤隆
線状の褐色斑が存在し,2年前背部の皮疹上に腫瘤が
三(東邦人第二),大原國章(虎の門),宇野安雄(世
出現.また大豆大までの褐色斑の略全身への散在も認
田谷区)
めた.家系内に同様の褐色斑が多発している.組織学
68歳女.昭50年頃,左側腰部の皮疹に気づくが2年
的に汗孔角化症と続発した有縁細胞癌と診断,腫瘍部
前から増大し出血伴う.現症は左側腰部の20×20×4
広範切除とリンパ節郭清を施行.またPM療法を併用
cmの巨大腫瘤で,中央は深い潰瘍形成し周囲はカリ
し,術後3ヵ月にて経過良好.
フラワー様に降起.一部生検し有縁細胞癌と診断.放
セザリー症候群の1例 五十嵐敦之,松山友彦,金
射線治療後全摘術施行.放射線は総線量約60Gyで腫
子健彦,足立 真,森 俊二,原田昭太郎(関東逓信)
瘍は7×6×Ocmに縮少しか.
49歳男.3年前より全身に皮疹が出現,同時期より
20Gy終了ごとに生検行
い,組織学的変性過程も観察した.
鼠径部のリンパ節腫脹に気付く.現症:略全身に落屑
瞥部慢性膿皮症から生じた有較細胞癌の1例 撫養
性紅斑を認め,紅皮症状態を呈す.頭髪の部分脱毛と
宗信,谷口 守,杉浦勝巳,田逞 昇,朝川由香里,
足底の角質肥厚を認める.皮膚,リンパ節生検で細胞
浅田祐司,本多朋仁,磯ノ上正明,小塚雄民(国立大
質に乏しく切れ込みの強い核を有する異型細胞の浸潤
阪)
を認めた.
WBC
13,
900 (異常リンパ球52%)で,
CD4
67歳男.10年前から野部に有痛性膿庖多発.平5年
陽性, CD8陰性であった.
夏頃,潰瘍の範囲が急激に大きくなり,有縁細胞癌と
pre-Sezary
診断した.仙骨,尾骨への浸潤を認め,手術,放射線,
子,袴田 新,橋本健治,谷口芳記,清水正之(三L重
化学療法を施行.現在まで再発・転移を認めず.腎部
大),中村保夫(山田赤十字)
慢性膿皮症から生じた有辣細胞癌は本邦では15例と稀
66歳男.9ヵ月前に発症.来院時,全身に癈蝉性紅
である.予後は,組織像や治療法と関係なく,転移の
斑,掌脈角化,表在リンパ節腫脹.
有無によると考えた.
22.5%,異型Ly
肛門周囲の有較細胞癌と手指の疵贅状皮疹にHPV
異型単核細胞の浸潤,
16DNAが検出された1例 鈴木伸吾,安立あゆみ,大
の微小膿瘍(十).電顕上真皮浸潤細胞NCI
橋 勝(名大),伊藤勝基((司第2外科),清野 透(愛
血リンパ球NCI
知県立がんセンター研ウイルス部)
群と診断.PUVA療法が奏効.
60歳男.既往歴:10年前からSLEにてプレドニン10
菌状息肉症様組織像を呈する前脛骨部紅斑性局面
syndrome
の1例 中林 淳,野村久美
WBC17,
330, Ly
690個/mm3.皮膚生検で真皮上層に
CD4(十),
5.9. ATLA
CD8(-).
(-).
Pautrier
7.0,末梢
pre-Sezary症候
1134
学 会 抄 録
戸倉新樹,八木宏明,横手隆一,古川福実,滝川雅浩
組織化学,電顕検索にて筋原性を示唆した.拡大切除
(浜松医大),松井美萌(大津赤十字)
後1年を経るも再発なし.
54歳男.初診5年前より左下腿前面,続いて3年前
より右下腿前面にも紅斑と紫斑からなる局面が出現.
von
Recklinghausen病にみられた神経線維肉腫の
1例 後藤 靖,中川浩一,涜田稔夫(大阪市大)
組織学的にCDが細胞が真皮上層に密に浸潤する菌状
24歳男.1歳時よりカフェオレ斑あり.16歳時に全
息肉症様の組織像と慢性色素性紫斑の組織像が混在し
身に神経線維腫が出現.初診の2ヵ月前より脊柱部左
ていた.慢性色素性紫斑が菌状息肉症に移行したとす
側に圧痛を伴った神経線維肉腫が出現し急激に増大し
る過去の報告例と同一の病態と考えられた.
た.単純嫡出術を施行したが,骨転移,肺転移にて死
y-IFNが奏功したと思われるCTCLの1例 川崎
亡した.
紀彦,岡本英理子.山本可菓子,喜多野征矢(兵庫医
メンチン,
大)
angiosarcomaの1例 清水由晴,中村保夫(山田赤
81歳男.平3年,全身に紅斑が出現し,中毒疹とし
十字),田中秀幸(国立津),稲地 真,水谷 仁,清
SlOO蛋白は腫瘍細胞の一部で陽性.
NSE,ビ
MBPはほぼすべての細胞で陽性であった.
て加療された.平5年9月頃より左肩に両大腿後面に
水正之(三重大)
浸潤性紅斑が出現.病理組織にてCTCLと診断した.
79歳女.頭頂部の血管肉腫の診断にて,
その他の所見よりStage AIと考えられ,
万単位,電子線総量60Gyにて治療.しかし4ヵ月後に
y-IFN,
IL-2総量4270
PUVA療法を併用し,皮疹の改善をみた.y-IFNは
気胸を併発し呼吸不全にて死亡.胸部CTでは転移巣
CTCLの初期や高齢者に比較的安全に用いられる治
にcystを形成する特異的な像を認めた.これは転移巣
療法である.
でのcheck
左肩腫瘤を訴え病的鎖骨骨折後生検にてKi-1
たIL-2の作用機序に関しても考察を加えた.
lymphomaと診断し得た症例 廣井健治,山本康弘,
混合性結合織病(MCTD)に皮膚のPN様血管炎を
上出康二,松中成浩(和歌山医大),棲根孝志(m辺市)
生じた1例 山本敬三,菅野 重,辻 卓夫(名市人),
74歳女.末梢血中ATL
provirus (十).左肩皮下に
bullaによるものであると考えられた.ま
上村晶代,松本美富士(同第2内科)
徐々に増大する7.5×8×3cm大腫瘤あり.半年来の爪
33歳女.昭56年レイノー現象で発症.抗RNP抗体高
甲大暗赤色局面も全身に散在.皮下腫瘤は無治療で縮
値でMCTDと診断.その後心膜炎・腎病変・抗DNA
少するも,鎖骨へ浸潤し再度増大.
抗体高値あり,
効果なく,発熱,
IFNyを局注するも
CRPと好中球著増,心筋梗塞を来し,
SLE優位型であった.平6年3月上気
道炎症状・発熱とともに有痛性皮疹が出現,4月11日
腎不全で死亡.腫瘍の退縮傾向と感染巣のない高度な
当科入院.組織:真皮下層の壊死性血管炎.プレドニ
炎症所見よりKi・1
ソロン40mg/日投与で消失.内臓諸検査では異常を認
lymphomaと診断した.
隆起性皮膚線維肉腫の1例 伏見 操,小粥雅明(富
めず皮膚限局性の血管炎であった.
士宮市立),井上邦雄(浜松労災形成外科)
多発11単神経炎を伴った全身性強皮症の2例 新田
63歳女.左大腿後面隆起性腫瘤を主訴に来院.組織
悠紀子,池谷敏彦(愛知医大),祖父江 元(同第4内
紡錘形線維芽細胞がstoriform
pattern をとり増生し.
科)
一部に赤血球や脂肪を貪食する巨細胞主体の部位も認
症例1,
46歳女.心嚢炎,肺線維症を伴うPSS.症
めた.細胞異型は乏しく,隆起性皮膚腺維肉腫と診断
例2,
した.線維芽細胞・組織球・巨細胞か共通の幹細胞を
に,症例1は左下肢腰部に,症例2は右下腿手足に疼
もち,互いに移行しうると仮定すれば,自験例は興味
痛と知覚異常を示し,誹腹神経生検で大径有髄神経の
ある組織像を示すと思われた.
脱髄と軸索変性をみ,多発性単神経炎と診断した.電
皮膚平滑筋肉腫の1例 佐伯順子,鈴木 忍,加瀬
顕的にbasal
佳代子,松岡芳隆,漆畑 修,斉藤隆三(東邦大第二)
opathyを考えた.
46歳女.昭63年背部に腫瘤出現.近医で2回の全摘
全身性強皮症と多発│生斑状強皮症の母娘例 高橋さ
術を受けるも再発レ平4年3回目の全摘術後創部が隆
なみ,毛利 忍(横浜市民),早川広樹,佐々木哲雄(横
68歳女.肺線維症を伴うPSS.共に発症1年後
laminaの多層化をみ,
起し平5年9月当科受診.背部中央に41×25mmの紫
市人)
紅色で圧痛のある腫瘤単発.生検で紡錘形の核を持つ
症例1,
腫瘍細胞が交錯,核分裂像を認める.腫瘍細胞は免疫
縮│生色素沈着局面.抗核抗体40倍(homo
ischemic
neur-
11歳女児.下肢・瞥・腹部に斑状の硬化萎
& speckled).
1135
第45回中部支部学術大会
多発性斑状強皮症の診断.症例2,
46歳女.症例1の
subacute
cutaneous
lupus
erythematosus
と思わ
母.長姉は皮膚筋炎で死亡.手指皮膚硬化,顔面血管
れた1例 小西礼子,福井紀子,横田 香,田中 功,
拡張,乾燥症状.抗核抗体80倍(nucleolar).肺・食道
清金公裕(大阪医大)
病変なし.PSS十Sjogren症候群と診断.
24歳男.初診の1年前より顔面に紅斑が出現.今年
B13,
C3, DR4,
morphea
HLAでA24,
12, 52, 53, DQ4,
profunda
に入り皮疹増悪,3月になり全身症状出現し当科入院
7が一致.
の2例 中川明美,山路雅巳,
となった.諸検査と皮疹の特徴よりSCLEが疑われ,
山科幸夫,福本隆也,宮川幸子,白井利彦(奈良医大)
プレドニン40mg/日より漸減し,
症例1,
中であり,経過良好.
47歳男.数年前より躯幹・四肢に斑状色素
lOmg/日で外来治療
沈着あり,皮膚硬化や手指関節の運動障害が出現.症
unusual variant of lupus erythematosus or
例2,7歳女児.半年前より右肩甲部・右前腕部の斑
lichen planusの1例 鈴木員理,竹内吉男,清水亜紀
状皮膚硬化と両側手関節の運動制限が出現.ステロイ
子,露木重明(東邦人第一)
ド,トラニラスト内服を併用.組織:真皮下層の膠原
34歳女.2ヵ月前より微熱・口内炎・レイノー症状
綿維の均質化,皮下脂肪隔壁の細胞浸潤,筋膜の肥厚
がみられ,1ヵ月前より両手指背面に圧痛のある皮疹
と血管周囲の細胞浸潤を認めた.
出現.頬粘膜と手背にLP様,指関節背面にchilblain
硬化性萎縮性苔癖(LSA)の1例 松田みさ,東 葉
lupus様の皮疹あり.病理所見はすべてLPに合致.免
子,大島洋子,日野治子(関東中央),野村房江(世田
疫組織所見はOKT6陽性細胞の増加を表皮に認めた.
谷区)
臨床検査はLE.LEにLP様の皮疹を生じたものと考
39歳女.数年前に左上腹部の褐色斑に気付く.後に
えたいが,LEとLPの合併の可能性も否定できない.
他部に同様の皮疹が出現.初診時,左上腹部に中央に
討 論
白斑を伴う手拳大,境界やや不明瞭な不整円形の褐色
早川律子(名大分院):ロ腔内皮疹が金属義歯に接し
斑及びその左上方に鶏卵大の同様の色索斑を認めた.
ていたが,金属アレルギーはチェックされたか?
組織:基底層の液状変性,真皮乳頭層の浮腫・膠原線
鈴本員理:歯科金属についてpatch testを施行し
維の均質化を認めた.
N言こ陽性であった.それ以上の検索は行っていない.
morpheaとの鑑別が問題である
が,臨床・組織よりLSAと診断.
lupus erythematosus profundusの2例 早川
抗リン脂質抗体陰性のSLEで,小脳梗塞を来した
順,狩野葉子,塩原哲夫(杏林大)
1例 伊藤まゆみ,演目 哲(一宮市民),石栗 仁(『司
症例1
脳外科』
陥凹を伴う不整形紅斑を上訴に来院.頭頂部に脱毛巣
28歳女.24歳時SLEと診断され,ステロイドホル壬
合併.LBT(十).症例2,
ンにて治療開始.平元年女児出産.平2年RAを合併
に,4年前より背部に皮下硬結出現.検査では,
25歳男.約4年前より生じた両頬部の皮膚
43歳女.5年前より右上腕
と診断.平4年11月より,めまい,嘔気,頭痛が一過
1,280倍,抗セントロメア抗体2,560倍.組織:2症例
性に出現.12月20日から嘔気,嘔吐,めまいのため歩
共に典型的.治療は共に,
行不可となり入院.抗リン脂質抗体(-).
にて右小脳梗塞と診断.
PSL
CT,
MRI
15mgから40mgに増量
PSL20mg/日より開始し,
SLEへの移行に注意し,経過観察中.
小児皮膚筋炎が疑われた1例 桂 知加子(高島),
し,第12病日に病状消失.
林 尚枝,有田 泉(同小児科),杉浦久嗣(滋賀医大),
討 論
服部春生,木俣 肇(京大小児科)
前田 学(岐阜大):PTTが低下していることから
1歳10ヵ月男児.初診平5年8月3日.4ヵ月前よ
もpre Die の状態が示唆される.血液凝固・線溶分子
り月に1度高熱が出現.1ヵ月前から手指関節背面に
マーカー(TAT
角化性紅斑が生じ,2週間前,高熱とともに下肢痛が
etc)を測定すべきと思う.
小塚雄民(国立大阪):小脳梗塞はSLEによって発
出現.筋原性酵素の上昇,筋電図,皮疹部の組織学的
生したのか.または無関係に発症したのか.
所見より皮膚筋炎と診断.対症療法で一且,症状に軽
伊藤まゆみ:若年者の脳血管障害は3%位である.
快したが1年後の現在までに2回,同症状が出現.い
この場合は,肥満,高血圧,糖尿病,
SLEの基礎疾患
ずれも対症療法で軽決した.
を持つ.従って,本症は,若年者のSLEで,原因はSLE
水痘形成を伴い,胃癌の合併をみた皮膚筋炎の1例
に由来する血管炎と考えている.
原 尚道,坪井広美,新井 達,浅井俊弥,米元康蔵
ANA
1136
学 会 抄 録
(北里大),木村 徹(同外科)
る乾燥肌の出現がみられる.
59歳女.平6年3月より顔面,背部,手背の紅斑が
討 論
出現.腰背部では紅斑上に米粒大の水庖が集族.6月
佐藤健二(名市大):塩水による止痛機構は何か?
7日当科初診.組織:表皮の萎縮と基底膜の障害,及
向井秀樹:自然塩の中に含まれるMgの作用を考
び真皮の著明な浮腫と表皮下水庖を伴う.検査上明ら
えている.Mgは化学伝達物質や神経伝達作用を抑制
かな筋,肺症状無し.
する働きがある.さらにヒスタミン遊離の際のCaイ
Borrmann
m 型胃癌の合併あり.
切除後,皮膚症状は軽決するも,2ヵ月後より筋症状
オンの重要性が知られているが,このCa措抗作用を
の出現あり,経過観察中.
Mgは有している.Mgに注目して作用を現在検討し
乳幼児のアトピー性皮膚炎 宇佐神治子(浜松市)
ているが,臨床的にもMgを含有する外用剤で検討中
ADの検診を乳児(平5年7月∼平6年6月)と幼児
である.
(平6年1月)について行った.月齢(年齢)と人数と
早川律子(名人分院):塩水に保湿効果があると説明
有病率は1ヵ月児375名,
34.0%,
2.9%,
6ヵ月児55名,34.5%,
10ヵ月児257名,
26.8%,
23.7%,
児93名,
5歳児98名,
3歳児34名,
48.0%,
20.6%,
されたが,その結果dry
skin が起こるのは,どのよう
なmechanismによるものか?
12ヵ月見124名,22.6%,1
歳6ヵ月見477名,
33.3%,
4ヵ月見256名,
7ヵ月児57名,26.3%,
向井秀樹:保湿効果は,類似の成分を有するオリゴ
4歳
6歳児96名,
マリンの研究より引用した.臨床的に手湿疹には明ら
かな保湿効果がみられることより,解剖学的部位の違
33.3%であった.
いが考えられる.
アトピー性皮膚炎患者の健常皮膚と乾燥皮膚の皮表
顔面に高度の発赤と麿爛を訴える幼少児アトピー性
脂質分析 松本兄姉,政本幸三(サンスター安全性研
皮膚炎(AD)のコントロールーナジフロキサシンク
究部),梅本尚可,杉浦久嗣,上原正巳(滋賀医大)
リームとポビドンヨードクリームによる一 出口嘉
尋常性魚鱗癖(IV)の合併がアトピー性皮膚炎(AD)
美,松中成浩(和歌山医大),井戸茂樹(和歌山生協),
患者の皮表脂質に及ぼす影響を調べた.IV合併AD
三木田紅治(和歌山市)
群,ADのみの群,健常人群の前腕屈側の健常皮膚と乾
ナジフロキサシンクリームとポビドンヨードクリー
燥皮膚からカップ法で脂質を抽出しTLCで分析し
ムの!日1回ずつの外用により,顔面の湿潤病変が改
た.IV合併AD群は乾燥皮膚,健常皮膚ともに皮脂腺,
善し,痛みが治まった幼少児アトピー性皮膚炎の2例
表皮由来脂質量が健常人より低く,ADのみの群は乾
を供覧.症例1,7歳男児.生後2ヵ月からAD.
燥皮膚のみ表皮由来脂質に異常がみられた.
来他院小児科で加療中.皮疹の全身化のため来院.症
アトピー性皮膚炎患者に併発した感染性心内膜炎の
例2,3歳男児.生後6ヵ月からAD.他院小児科で加
症例 野田剛弘,山田秀和,瀬口得二,手塚 正(近
療中.顔面の浸潤病変のため紹介来院.
畿大)
アトピー性皮膚炎(AD)初診患者におけるステロイ
19歳男.幼少時よりAD,高校入学より続発性紅皮症
ド外用に関するアンケート調査 清水良輔,松井麻貴
状態となる.平4年1月当科受診加療.平6年4月地
子,栃谷 忍,安陵成浩(神戸労災)
方大学就学のため加療中止.4月20日頃より発熱,意
平6年6月から9月末に当科初診した329例のAD
識障害をきたし,5月2日当科再診.心エコーの結果,
のうち1年以上ステロイドを外用した経験をもつ237
感染性心内膜炎と判明,僧帽弁置換術施行となる.感
例に対して調査を行った.当初は非常によくコント
染経路同定はできなかったものの黄色ブドウ球菌のコ
ロールできていた症例がやがて段々皮疹拡大し,ステ
ントロールがADにおいて重要と思われた.
ロイドが効きにくくなるという傾向がみられ,ステロ
アトピー性皮膚炎における塩水療法 向井秀樹,金
イド中止にて約70%に増悪がみられた.ステロイド中
子 聡,河野経子,音山和宣,加藤一郎(横浜労災)
心の治療の問題点を示していると考えた.
海水成分に近い自然塩を用いて,従来の治療法に抵
アトピー性皮膚炎においてステロイド外用剤を中止
抗性で重症度の高いAD60症例の治療を試みた.有効
すべき時はどんな時か? 片岡葉子,荻堂優子,山村弟
率は66.7%であり,特に小児例では夜間掻破が顕著に
一(大阪船員保険)
抑制できた.臨床像から本療法は湿潤局面の改善に有
アトピー性皮膚炎,特に顔面頚部の皮疹にステロイ
効である.副作用は,使用時の刺激感や長期連用によ
ド外用中,効かなくなった,少し外用しないと急に悪
3年
11訂
第45回中部支部学術大会
化する,外用によってかえって拡大するといった症例
ロイド離脱による影響が示唆された.
に遭遇するが,この状態を原病の悪化ととらえるより
シンポジウム:アトピー性皮膚炎のステロイド外用
も, steroid addiction と考えレステロイド外用を中止
療法をめぐって
する方がその後の経過がよいため,この時点の病態の
ステロイド外用療法に関するアンケート調査結果に
認識が非常に重要であることを指摘した.
ついて 今村貞夫(京大),上原正己(滋賀匠人),安
討 論
野洋一(京府医大)
松村剛一(新潟大):顔以外の部位のステロイド外用
中部地区の皮膚科専門医963名に対し,下記項目に対
はどうしたか.体幹・四肢に外用したステロイドが顔
し,アンケート調査を行った(回答率59.6%).
の皮疹に影響する可能性はないか.
トピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤(ス剤)の
片岡葉子:顔面頚部以外の部位のステロイドは完全
使用頻度(2)使用するス剤のランキング(顔,体幹,四
に中止する場合もあるが,部位を選んで間欠的に外用
肢)(3)臨床症状の変化に伴うス剤の変更法(4)ス剤に
する場合もある.躯幹等に外用したステロイドが顔面
よる副作用(5)その要因(6)ス剤忌避患者への対応(7)
潮紅に関与しているように思われるケースもないこと
ス剤を使用しない場合その理由(8)その際の治療法
はないが,ステロイド離脱後の経過は,個々の症例ご
ステロイド外用剤による副作用の実態調査 土岐尚
とに異なり,簡単に結論は出せない.
親(広島市)
ステロイド離脱を希望し,心身医学的治療を試みた
広島市とその周辺の28診療所,5基幹病院において
アトピー性皮膚炎の2例 羽白 誠,藤尾往子,田中
アトピー性皮膚炎患者におけるステロイド剤外用によ
まり,大和谷淑子(箕面市立)
る副作用の実態調査を行った.対象患者の1.2%(診療
アトピー性皮膚炎患者でステロイド剤からの離脱の
所),
際,反跳現象に伴う精神身体症状がみられ,それに耐
種類としては,色素異常,ステロイド潮紅,毛細血管
えきれない場合や,離脱そのものが困難な症例もみら
拡張が代表的で,発現部位としては顔頭部にて年齢別
れる.今回,ステロイド離脱を自ら希望し,その過程
では25歳以上に集中した.
で反跳現象を含め,種々の精神身体症状を呈し,薬物
乳児アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用療法
4.9%
(病院)に副作用が認められた.副作用の
療法と精神療法による心身医学的治療を施行した同疾
の評価 吹角隆之,青木敏之(大阪府立羽曳野)
患入院患者2例の経過を報告した.
乳児アトピー性皮膚炎患者ではO∼2ヵ月発症が多
網膜剥離を併発したアトピー性皮膚炎の2例 中川
く,症状のピークからみると4ヵ月型(56%),
光子,杉山 徹,西嶋撮子(関西医大香里),山岸和矢,
型(29%),
高橋寛二(同眼科)
ステロイドの使用量は関係なかった.重症・中等症・
症例1,
22歳女.顔面の皮膚病変が高度であり,左眼
の網膜剥離と両眼の白内障を合併する.症例2,
女.顔面の皮疹は軽度であるにもかかわらず両眼に網
(1)ア
6ヵ月
8ヵ月型(6%)の順であった.これには
軽症に分けてみても,ステロイド使用の有無による経
19歳
過の差はなかった.乳児アトピー性皮膚の自然経過を
よく認識すればステロイドを使わなくてもすむ症例「も
膜剥離を認めた.共に好酸球増多とlgE上昇を伴っ
多い.
た.両例とも癈庫のため頻繁に顔をたたく癖があった
成人アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用療法
ことより外傷説の関与が考えられる.
の有用性 清水正之,谷口芳記,水谷 仁,梅田由美,
アトピー性皮膚炎に対する外用ステロイド離脱の眼
野村久美子,中林 淳(二重大)
合併症への影響 谷口裕子,大本麻里奈,渡辺 憲,
NMFの減少,
横関博雄,片山一朗,西岡 清(東医歯人),田中明子,
常と抗原刺激による炎症を考えると局所的コ剤の使用
清滓源弘(同眼科)
は有効な手段となりうる.
当科では3年前から入院した重症アトピー性皮膚炎
48 : 181―183,
(AD)患者に対し可能な限りステロイド外用剤から古
にはmild,
典的外用剤に変更している.過去3年間に入院しステ
希釈するなどの使用方法がむしろ症状の遷延化をはか
TEWLの増加などの生理学的局所異
Feldmann
RJ et al (JID,
1967)の考えのもとに顔面の木症皮疹
weakの効果を有するコ剤,さらにそれを
ロイド離脱を行ったAD患者79例において離脱前に
る場合もあり,適確な治療が必要である.
白内障9例,網膜剥離5例みられ,離脱3ヵ月以降新
成人アトピー性皮膚炎における脱ステロイドの有用
たに白内障11例,網膜剥離4例が発症しており,ステ
性 玉置昭治(淀川キリスト教)
1138
学 会 抄 録
成人アトピー性皮膚炎はスキンケア,食事指導,日
であったが,思春期前の患者も6例あった.ステロイ
常生活の見直しと脱ステロイドで5割7分は良好な結
ド外用剤を忌避し,不適切な治療を行っている症例が
果を得る.問題点は脱ステロイド後の経過の良い例と
多かった.
悪い例をステロイドを止める以前に予見出来るかどう
外用剤の眼表面への移行について 横井則彦(京府
か,そして脱ステロイド後のリバウンドをいかに少な
医大眼科)
くするか,アジソン様症状を呈する重症例をどうする
外用剤を眼瞼に塗布した後眼を擦ると,外用剤が眼
か,という点である.
表面へ移行しうること,アトピー性皮膚炎患者の眼表
成人アトピー性皮膚炎の難治性紅斑の病因と対策
面のバリアー機能が健常に比べて低下していることを
早川律子(ニ名大分院)
報告した.これらの事実は,ステロイド外用剤を眼瞼
成人アトピー性皮膚炎の難治性紅斑の病因には酒皺
に塗布する場合,特に緑内障に対して注意が必要なこ
様皮膚炎の発症,ステロイド外用剤離脱症状,外用剤
とを意味しているが,実際にはアトピー性皮膚炎患者
接触皮膚炎,化粧品皮膚炎や職業性皮膚炎の合併,誤っ
に有意な眼圧上昇はなかった.
た自己療法やスキンケア製品の誤用などかおる.これ
アトピー性皮膚炎の重症化;誘因と対策 杉浦久嗣
らの難治性紅斑に対する対策は,原因によって異なる
(滋賀医大)
が,急激な症状悪化の原因となる無責任なマスコミ情
平5∼6年に当科で入院加療した重症アトピー性皮
報に対する警告が必要と考えた.
膚炎患者96例の重症化の誘因を調べた.96例中48例は
アトピー性白内障の誘因と対策 上原正巳(滋賀医
ステロイド外用剤を一切中止し,漢方薬(27例)や民
大)
間療法(10例)等を長期間行い重症化しか.ステロイ
アトピー性皮膚炎患者433例のうち,白内障合併率は
ド中止後重症化までの期間は27例が6ヵ月以上であっ
皮膚炎軽症群で3.8%,中等症群で11%,重症群で20%
た.本症の重症化の主な原因はステロイド外用剤の突
であった.白内障合併例の大多数は思春期以後の患者
然の中止による場合が多かった.
1139
北陸地方会第355回例会(広根敵授退官記念)
北陸地方会第355回例会(広根孝衛教授退官記念)
(平成6年3月12日,金沢市)
Streptococcal
顔面,頚部,上肢に蝉みのある皮疹出現.症例2,
gangreneの1例 笹岡龍次,安岐
40
敏行,三原基之,島雄周平(鳥取大),豊島良大(同整
歳男.3年前より日焼け止めクリームを使用していた.
形外科)
約2週間前より,顔面に,憚みのある皮疹出現レ両者
72歳男.初診の5日前に焚火をし,翌日左手に水庖
とも光貼付試験で,日焼け止めクリームと,その成分
が出現した.その後左上肢に腫脹,疼痛が出現した.
のオキシペンソンが陽性であった.
初診時,左上肢全体が腫脹し,手背には潰瘍があり,
chronic
潰瘍底は黄白色の壊死となっていた.細菌培養では壊
まとめ一 上出良一(慈恵医大),
actinic dermatitis一日米group
Morison
studyの
Lim,
N.Soter
死組織より多数のA群β溶連菌が検出された.デブ
(NewYork),
リードマンと抗生剤の全身投与を行い,局所皮弁と
日本9例,米国42例につき光皮膚科学的所見を比較
mesh
検討した.平均年齢62.7歳,男女比2.6:
skin graft にて治癒した.
W.L.
H.W.
(Baltimore)
1,平均罹患
須毛部,被髪頭部,項部の丘疹性皮膚病変と真菌性
年数5.8年で,
眼内炎を伴ったカンジダ血症の1例 岩滓うつぎ,内
65%,UVAのみのもの27%であり,少数ではあるが可
ケ崎周子,馬場俊一一,鈴木啓之(目元駿河台)
視光線に反応するものもみられた.本邦例は全例男性
68歳男.胃癌でIFN
であった以外,米国例と相違はみられなかった.
y投与中に消化管出血で入院.
MED低下はUVA,UVBにわたるもの
経過中39で台の発熱と霧視.頭部,須毛部,項部に紅
York例のうち4例はHIV感染者であった.
色丘疹と膿庖出現.真菌性眼内炎を指摘されFlucon-
ステロイド酒敵 清水正之,佐々木相模,中林 淳,
azole 200mg/日静注開始.血液培養でCandida
生検皮膚の培養でCandida
(十).
albicansが同定された.丘
山中恵一(三重大)
飢歳女.昭56年より現在まで3回の来院治療歴あり.
疹の病理組織のGrocott染色で真皮深層の膿瘍や毛
酪酸ハイドロコーチゾン軟膏塗布で皮疹出現.ステロ
包直上の角質に菌要素(十).3週間後に皮疹は略治.
イド内服で離脱をはかる.平3∼5年の間に24例(男
ドロレス顎口虫によるcreeping
5,女19)をみる.最小発症年齢は5歳,mi!dランク
diseaseの1例
New
利谷昭治,渋江賢一(福岡大),赤羽啓栄(同寄生虫)
1ヵ月より発症をみるが,
46歳男.ヤマメを生食したところ約2週間後より上
存在した.
腹部痛に引き続き,腹部から背部にかけて紅色の移動
皮膚科領域におけるソフトレーザーの使用経験 石
性の皮疹が出現した.腹部の皮疹内より虫体を摘出し
井暁彦,佐伯順子,加瀬佳代子,漆畑 修(東邦大第
本学寄生虫学教室でドロレス第3後期幼虫と同定され
二)
た.
帯状庖疹,
プロポリスによる接触皮膚炎の1例 加瀬佳代子,
低出力の半導体レーザー(ソフトレーザー)を使用し
笠井紫乃美,鈴木 忍,漆畑 修,斉藤隆三(東邦大
た結果,急性期帯状庖疹,にきび癩痕に有効と思われ
第二)
た.
39歳男.初診の2ヵ月前より,薄めたプロポリスを
エリテマトーデスにおける円板状疹について 土田
内服及び外用していた.初診の10日前に勧められてプ
哲也,石橋康正(東大)
ロポリスを原液で白癖と思われる足に外用を始めたと
皮膚限局性LE(CLE)∼SLEにおける円板状疹の臨
ころ,1週間後に滓みを伴う紅斑が外用部に出現.パッ
床的特徴について検討した.円板状疹を有するSLEは
チテストでプロポリス(10%)強陽性.ステロイドの
wide-spread
内服及び外用で軽快.
円板状疹以外にLE皮疹のスペクトラムとしてとらえ
オキシペンソンによる光接触皮膚炎の2例 栗川幸
た方がよい円板状疹類似の皮疹があり,
子,伊藤正俊,関根万里,鈴木真理,市川義之,露木
らを含めたLE皮疹の広いスペクトラム上の多彩な皮
重明(東邦人第一)
疹が認められる.
症例1,
原発性胆汁性肝硬変(PBC)を合併した全身性エリ
20歳女.日焼け止めクリームをつけ外出後,
strongest 5年間の塗布例も
PHN,アトピー性皮膚炎,にきび癩痕に
DLE
例加他皮疹型合併例である.古典的
SLEではごれ
1140
学 会 抄 録
テマトーデスの1例 福田正之,水川良子,狩野葉子,
フィラグリンの機能と角化異常症における動態 真
長島正治(杏林大)
鍋 求,小川秀興(順天堂大)
51歳女.初診平5年3月1日.平4年8月頃より両
マウス角層ではフィラグリンの局在とヶラチンの凝
頬部に浸潤性紅斑が出現.11月より躯幹にも鱗屑を有
集している部位が一致した.これはフィラグリンがヶ
する紅斑が生じ来院.組織学的に表皮萎縮,液状変性
ラテンの凝集に重要な役割を果たしていることを示す
を認めた.白血球減少,
ものである.また尋常性魚鱗癖の表皮においては,フィ
ANA,抗DNA抗体陽性.肝
胆道系酵素の上昇,抗ミトコンドリア抗体陽性.肝生
ラグリンは微細穎粒を形成してケラチンと結合して存
検よりSLEとPBCの合併例と考えられた.
在していた.しかしその生成量は角質の水分保持を保
PSL及び
ウルソ⑧内服により軽快傾向を認めた.
つには十分ではないのであろう.
レイノー症状に対する漢方薬の有用性 ヰ松正浩,
走査電顕による巨大単発型汗孔角化症の表面構造の
塚原哲哉,東 一紀,衛藤 光,西山茂夫(北里人)
観察 丸山友裕,諸橋正昭(富山医薬大)
当科においてレイノー症状を有する膠原病患者13例
78歳男の背部の皮疹より光顕,
に対し当帰四逆加呉茉黄生姜湯(当四呉姜湯),附子役
得た. cornoid lamella (CDは正角化性の部も認めた.
を試み7例に効果を認めた.そのうち6例は罹患期間
皮疹内の毛包,汗孔に正及び錯角化性の角柱を認めた.
の短い軽症のPSSで当四呉姜湯のみで改善した.副作
皮疹辺縁のCLは幅が不定でループ状の部も認めた.
用は1例に胃腸障害を認めたのみ.レイノー症状の初
錯角化性CLは角質細胞の形は保たれており,縦に配
期に当四呉姜湯投与は試みる価値のある方法と考えら
列していた.皮疹内部の角層表面は多角形構造が不明
れた.
瞭で,CLの部とともにyeastを多数認めた.微絨毛突
SEMで次の所見を
インターフェロンα投与中に片側性に苔癖様皮疹
起はどこにも認めなかった.
を生じた1例 和田康夫,岡本祐之,今村貞夫(京大)
hyperkeratosis
49歳男.C型慢性活動院肝炎に対して,インターフェ
井 忠(富山市),諸橋正昭(富山医薬大)
ロンαによる治療を受けていた.その頃より右腹部に
86歳女.初診平5年4月15日.血族に同症はない.
癈痛を伴う丘疹が片側注に出現した.その後インター
3年前,四肢に尖って硬い丘疹を多数触知.米粒大ま
フェロンを中断し皮疹は軽快したが,治療の再開とと
で類円∼不整多角形で褐色∼淡褐色.角質剥離で出血
もに同様の丘疹が再発した.皮疹の発症に,慢性活動
する.組織:山型の著明な角質増生.表皮非薄化し穎
性肝炎,インターフェロンの関与が疑われた.
粒層は1層.真皮上層に主にリンパ球の密な浸潤.電
動静脈奇形・皮膚病変を合併したmelorheostosis
顕:角質細胞に脂肪滴生成.穎粒細胞のケラトヒアワ
の1例 大橋武志,高松由佳,大島茂人(厚生連高剛,
ン穎粒は小さく,減数.層板穎粒は減少し,細胞間隙
田中 功(同内科)
に放出.
lenticularis perstansの1例 長
31歳男.幼少時より右胸部から右上肢に広範囲な単
friction melanosisに併発した丘疹状アミロイドー
純血管腫様紅斑を認めた.平5年1月消化管出血のた
シスの1例 小野友道,萱島研一(熊本大)
め来院.右上腕動脈の動静脈奇形・動脈瘤,牌動脈の
55歳男.痙性脊髄麻庫で入院中.ヘチマ・ナイロン
動脈瘤を認めた.右の鎖骨・肩甲骨・上腕骨・僥骨・
タオルで強く皮膚を刺激する習慣あり.上背部fricン
尺骨・手根骨に骨硬化・wax
tion melanosis
flowing 像(十).組織:
とともに,前胸部に黒褐色丘疹の集族
表皮の萎縮,真皮の細血管・毛細血管の拡張,膠原線
をみる.後者は病理組織学的にアミロイド陽性.アミ
組東の配列の乱れを認めた.
ロイドは真皮内汗管を中心に,これを囲む様に沈着す
正常角層の身体部位による違いについて 田上八
る傾向が認められた.本所見は斤疹上アミロイドーシ
朗,蚤 雅賢,米武茂樹,工藤和浩(東北大)
スの発症に汗管の関与を示唆か.
ヒト正常皮膚の凍結切片を2%寺陸カリと1%サフ
ミノサイクリン性色素沈着の長期観察例 岡田奈津
ラニンとで処理染色し,角層の層数を数えてみた.部
子,西田健樹,古川邦彦(大阪大),佐藤昌三(東京都)
位により差があり,最も薄いのは陰茎の5層,ついで
ミノサイクリン内服により両下腿に黒色色素斑が生
下眼瞼の8層で,厚いのは足底の50層以上であった.
じた症例について内服中止後4年半にわたり,その臨
その他は大体14層前後であった.老化とともに仲側で
床像と4回の生検に基づく組織像,病変部の薬剤濃度
は増加を,屈側では低下する傾向を認めた.
の変化を検索した.臨床症状,組織所見の改善に伴い
114:L
北陸地方会第355回例会(広根教授退官記念)
病変部の薬剤濃度も低下し,2年以後は検出できなく
被膜に覆われるcystを認めた.
なった.凍結切片上で沈着類粒上に認められた特有の
上皮よりなり,内腔面にciliaを認めた.ジアスターゼ
cyst壁は,一層の円柱
黄色螢光は3年余まで検出された.
消化PAS陽性.コロイド鉄染色で陽性.電顕的検索で
抗c-kitモノクローナル抗体ACK2による新生マウ
も多数のcilia,
ス白毛化の機序 溝口昌子,大倉裕光,馬場夕力子(聖
cystと診断した.
マリ医大)
pilonidal sinus 石堂育子,兼藤紀美子,中川浩一一,
黒色新生マウスの生後早い時期にACK2
(IgG2b)を
microvilliを認め,
cutaneous
ciliated
涜田稔夫(大阪市大)
投与すると顕著な白毛化をきたし,メラノサイトの消
21歳男.初診の約5年前,脊裂上方に腫瘤出現,化
失がみられる.その機序として,
膿を繰り返す.初診時,同部位に紅色硬結を認め,こ
ACK2がc-kitレセプ
ターをブロックするためにメラノサイトがアポトーシ
れより下方に向かい皮下の索状物を触れた.
スに陥ると推定できる電顕像が得られた.酵素抗体法
痩孔造影により確認後,単純切除,一次縫縮を行った.
MRI及,び
でc-kit陽性のメラノサイトもACK2投与で消失しな
組織標本は毛嚢組織を持だない毛を含んでいた.さら
いため,抗体依存性細胞傷害の機序は否定的であった.
に術後,高周波電極による脊裂周辺の脱毛を行い,再
尋常性白斑及びまだら症に対する表皮植皮術による
発予防を試みた.
治療 八田尚人,鳥居靖史,山岸雄二,森 俊典,広
紅斑局面のhidroacanthoma
根孝衛(金沢大)
た懸垂性結節のeccrine
尋常性白斑14例とまだら症1例に対して吸引水庖に
理,富田 靖(秋田犬)
よる表皮移槍術を施行した.全例で移植表皮の生着と,
45歳女.2年前に,右下腿内側の紅色結節に気付い
色素の再沈着を認めた.色素の周囲への拡大は分節型
た.次第に結節は有茎性に増大してきた.初診時,8×
尋常性白斑6例中4例,汎発型8例中4例とまだら症
14mmの紅斑のほぼ中央部に,径4mm,高さ6mmの有
においてみられた.再沈着した色素の脱夫は汎発型尋
茎性の結節を認めた,生検により,結節部はPinkus型
simplex内にみられ
poroma 窪田 卓,岡田
常性白斑8例中3例にみられたが,分節型及びまだら
のeccrine poroma,周囲紅斑部はhidroacanthoma
症ではみられなかった.
simplexの組織を示しか.紅斑部を含めて全摘しか.
Q-switch
clear cell hidradenoma
ruby レーザーによる太田母斑の治療経験
森川和宏,手塚 正(近畿大)
米国製のQ-switch rubyレーザー(694.3nm,
の2例:コラーゲン培養に
よる汗腺腫瘍の再構築 棲井真也,山路雅巳,山科幸
20
夫,白井利彦(奈良県立医大)
nsec)を用いて太田母斑31症例の治療を行った.結果
42歳女の上口唇,及び26歳女の左眉毛部に生じた汗
は約半数が消失・著効であった.繰り返し照射が有効
腺腫瘍について報告するとともにコラーゲングル培養
で,特に5回以上照射しかものはその83%が消失・著
を行い,連続切片を作成することにより,立体像の構
効であった.副作用もほとんど無く,総合的に判断し
築を試みた.免疫染色では元の培養前の腫瘍に対して
て凍結療法よりも優れていた.
培養後にCEAの発現をみた.
手術縫合糸に起因した結節の3例 三浦 隆,三谷
nuclear
祐司,五味博子(帝京大市原)
例 岡田裕之,大西泰彦,大原團章(虎の門),奥野哲
症例1,6年前胃切除の42歳女.縫合部楽痕上の小
朗(帝京大)
指頭大結節.組織:偏光陽性真皮内絹糸による異物肉
59歳女.約10年前よりの前額正中部の腫瘤.10×13×
芽腫.症例2,
41歳男.7ヵ月前野郎の腫瘤切除,約
palisadingのみられた基底細胞上皮腫の1
4.5mmの大きさで扁平隆起性の紅色結節と紅褐色の
7ヵ月後癩痕上に小結節.組織:ナイロン糸の真皮内
不規則に隆起する結節が連なっていた.病理組織学的
散在.症例3,
所見ではsolid typeとadamantinoid typeのBCE
59歳男.2週間前の手術癩痕上に小指
頭大結節.組織:毛孔性増殖角質内ナイロン糸の経表
で,胞巣内で紡錘形の腫瘍細胞が錯走し,一一部では
皮排泄.
nuclear palisading を呈する部位が認められた.
cutaneous
ciliated cyst の1例 一ノ瀬弥久,鳥山
ビデオマクロスコープによる2例の表在型基底細胞
史,吉田彦太郎(長崎大),豊島弘行(長崎市)
癌の診断 小口真司,大久保幸子,斎田俊明(信州大),
12歳女児.1ヵ月程前,左下腿に小豆大の皮下腫瘤
石原八州司(北信総合)
があるのに気付く.
皮疹をモニター画面上にカラーで拡大して観察でき
H-E染色で,真皮深層に結合織性
1142
学 会 抄 録
るビデオマクロスコープを用いて,表在型基底細胞癌
リダーゼで消化された.電顕ではautolysosome,分泌
2例の色素斑部を観察した結果,サボテン状を呈する
頼粒があった.
特異な形状の淡褐色色素沈着が認められ,我々はこの
当教室10年間の乳房外Paget病について 金子史
色素沈着をcactus-like
夫,佐藤守弘,郡司裕則,須田和義,小野一郎(福島
areas と仮称した.この特異な
形成の色素沈着パターンは表在型基底細胞癌の表皮下
医大)
面に沿って増殖する腫瘍巣を反映していると考えら
過去10年間に経験した乳房外Paget病の臨床とそ
れ,また悪性黒色腫との鑑別診断において有用な所見
の治療経過と予後について報告した.
の1つと考えられた.
subungal
forehead
飯塚 一(旭川医大)
napにより鼻翼を再建した基底細胞癌
中西 浩,川端康浩,桧山友彦,原田昭太郎(関東逓
melanoma
の1例 浅野一弘,松尾 忍,
78歳女.左栂指爪甲下に爪の破壊,出血を伴う黒色
信)
斑を認めた.組織学的に骨浸潤を認めた.
63歳男.右鼻翼外側に22×20×16mm,中央黒色調を
dysplastic
呈する淡紅色腫瘤が存在.表面に血管拡張を認める.
上田正登,西野圭輔,福田 均,大橋明子,船坂陽子,
組織:solid
type.
morphea-like
type,
adenoid type
nevusよりmelanomaを生じた1例
市橋正光(神戸大)
の3相性が認められ各々表情筋内に深く浸潤.治療:
24歳男.高校生頃より左乳頭下方に径2∼3mmと1
腫瘍辺縁より15mm離し表情筋を含め切除,植皮.右
mmの色素斑が存在していた.平5年4月の初診の約
耳介軟骨を含むfree composite graft及びmedian
1年前より双方の色素斑が拡大,特に左方のものが急
forehead flap にて欠損した鼻翼を再建した.
速に拡大した.初診時右方のものは6×5mm,左方のも
ma】ig-nantproliferating
trichilemmal
tumorの
のは5×4mmで辺縁の不整,色調の濃淡を認めた.病
1例 西尾賢昭,井本敏弘,小林博人(金沢医大)
理組織学的に右方はdysplastic
82歳女.3ヵ月前,左耳前部に皮疹出現,漸次増大.
dysplastic nevusの残存を認めるnodular
nevus.左方は
melanoma
現症:19×11mmの範囲に紅色,表面穎粒状,弾性軟,
でもっか.
半球状隆起しか結節あり.組織:表皮と連続し,辺縁
リンパ節転移巣にdesmoplasticな組織像を認めた
では多柱状でmalignant
悪性黒色腫の1例 竹之内辰也,山口英郎,兼子泰行,
葉状,嚢腫状でmalignant
tumorの性状を示す.
chilemmal
trichilemmoma.
中央部で分
proliferating trichilemmal
clumping
cell. clear cell, tヰ
keratinization (十).
老人性角化腫より生じたSCCの1例 梁取明彦,斉
藤 浩,佐藤拓二,藤沢崇行,石田晋之介,山崎雙次
(狽協医大)
坂本ふみ子,伊藤雅章(新潟大),日戸平太(三条市)
31歳女.生下時より右下腿に小豆大の黒色斑があり,
半年前より同部が隆起.組織学的に悪性黒色腫と診断
され,拡大切除及びリンパ節郭清術を施行.鼠径リン
パ節の1つにdesmoplasticな組織像を認め,細胞の異
型性とS-100蛋白の陽性所見から,
melanoma
desmoplastic
67歳男.8年前,右第5趾先端外側の角化性紅斑局
malignant
面にて当科受診.外傷の既往あり.生検にて組織学的
的に考察を加えた.
と診断した.組織化学的,電顕
に老人性角イヒ腫と診断,手術をすすめるも本人の強い
早期の悪性黒色腫の3例 野田徳朗,藤潭百合子,
拒否があり,その後放置.平5年3月頃,同部に疼痛
近藤雅子,山田孝宏,長田和子,長谷川核三,神谷秀
及び隆起性病変出現したため同年9月に当科再診.
喜,森 俊二(岐阜大),中島智子(久美愛),小野ま
18×18mm大,浸軟性角化性病変あり.組織学的に
り子(関市)
sec.局麻下にて第5趾切断術施行.
22歳女,30歳女,38歳女.成人以後に手指,大腿に
mucinous
carcinoma
of the skinの1例 熊切正
色素斑が出現した.
5mm前後であり,後天性の母斑細
信,松村哲理,大河原 章(北海道大)
胞母斑と診断し,切除した.組織では悪性黒色腫level
78織女.初診平5年7月8日.前額部の18×23mmの
II, III.小型の病巣であっても,悪性黒色腫を鑑別にい
結節.外傷後,数年で大きくなった.全身検索で異常
れる必要性を再確認した.
はない.組織:真皮から皮下にかけて著明なムチン様
悪性黒色腫,色素性母斑におけるBcI-2の発現 前
物質の沈着があり,島嶼状に管腔をつくる腫瘍巣が増
田和男,高橋 誠(札幌医大),安達正晃(同第1内科)
殖している.ムチンはアルシアンブルーで陽性,シア
悪性黒色腫培養細胞におけるbcl-2の発現をFACS,
1143
北陸地方会第355回例会(広根教授退官記念)
Northern
blotting で解析し,4種中3種で発現されて
いた.色素性母斑ではjunctional
であったが,
dermal
melanocyte
性黒色腫ではjunctional
森嶋隆文(日本犬)
melanocyteは陰性
40歳男.10年前より有痛性腫瘤出現.2度の切除を
は陽性であった.悪
受けるも再発.現症:陰嚢左側に32×30mm,弾性硬の
melanocyteは色素性母斑の
圧痛ある常色腫瘤.組織:一部肉様膜と連続性に真皮
それと異なり,陽性率が高かっか.また転移性悪性黒
全層に至る腫瘍塊を認める.腫瘍細胞は紡錘形あるい
色腫は原発性悪性黒色腫と比較し,有意に陽性率が低
はタバコ状の核を有し,直線状あるいは波状に錯綜.
かった. bcl-2は悪性黒色腫の増殖に関して重要な役割
核分裂像が散見され,核の大小不同を認める.免疫組
を果たしている可能性がある.
織学的には平滑筋由来と考えられた.
数量化理論I類による悪性黒色腫の予後因子の解析
妊婦の腹部に生じた肉芽腫様腫瘤―ang-iosar-
‐特に細胞核DNΛ量について一 梅林芳弘,大塚藤
coma
男(筑波大)
(防衛医大),寺畑信太郎(同検査部病理),瀬野尾章(同
悪性黒色腫の死亡患者19例につき,生存期間(対数)
第2病理)
と性,年齢,発生部位,病型,
25歳妊婦(妊娠29週).右側腹部に55×皿mm大,暗
level, thickness.所属
? Ki-1 lymphoma
? 一 高橋洋文,石橋 明
リンパ節転移の有無,顕微螢光測光法による細胞核
紅色広基有茎性,騏参陸の肉芽腫様腫瘤.組織:類円
DNA量の8項目の予後因子との関連を,数量化理論
形∼大型核小体を有する異型性の高い腫瘍細胞が増
I類を用いて解析した.その結果,扁相関係数,アイ
殖,鍍銀染色で管網構造を認めた.
テムレンジともに細胞核DNA量が最も大きく,予後
torⅢは一部陽性,当初angiosarcomaと考えたが,
に与える影響も最大であると考えた.
免疫組織を再検討にて,
EMA,
vimentin陽性,
CD30陽性.
Ki-1 posi-
下肢の温熱濯流療法を施行した悪性黒色腫の5例
tive anaplastic large celllymphoma
中山樹一郎,竹内 実,水江祥之介,堀 嘉昭(九大),
隆起性皮膚線維肉腫の1例 川口とし子,西山貴郁,
真弓久則(同心臓外科)
佐々木哲雄,長谷哲男,中嶋 弘(横市人)
下肢原発stage
II及びIIIのmalignant
計5症例に対し温熱濯流療法を施行した.
fac-
と診断した.
melanoma
7歳女児.6ヵ月前,右大腿伸側に紅色小結節が出
carboplatin
現した.徐々に増大し,潰瘍を形成した.組織:花む
及びIFN-βを使用し,筋肉内温度卵゜C∼4rCで1時間
しろ状を呈する線維芽細胞様細胞と,比較的胞体の豊
濯流した.術後最長工O力月を経験した時点で再発や転
かな組織球様細胞からなる腫瘍で,泡沫細胞,巨細胞,
移を認めない.術中の免疫学的検索にて濯流部で血中
炎症性細胞浸潤はほとんど認められなかったが,周囲
NK細胞活性の上昇がみられた.
への浸潤力1少なく,
顔面に発生した悪性黒色腫及びその前癌症の熱中性
ポイキロデルマを呈した菌状息肉症 黒川滋子,今
子捕捉療法による治療 三嶋 豊(神戸海星,三嶋皮
泉俊資(静岡県立総合),奥 知三(藤枝市),佐野 勉
膚科学研),本田子博(県立加古川),和田林展年,市
(静岡市),古川福実,滝川雅浩(浜松医大)
橋正光(神戸大),白川淳二,武士昌裕(同麻酔科),
アミロイドを伴うpoikiloderma
福田 寛(東北大放射線科),平塚純一(川崎医大放射
culareを呈しか菌状息肉症の1例を経験した.62歳
線科),辛嶋 博(兵庫県立成人病センター放射線科),
女.皮膚アミロイドーシスとして経過観察中に菌状息
上田恵一(福井医大),渡辺一美,兼子素行,伊藤雅章
肉症と診断された.リンパ節には核小体の明瞭な,淡
(新潟大)
明な核を有する大型の異型細胞が浸潤していた.これ
悪性黒色腫の九進した特異的メラニン生成代謝活性
らの細胞はKi-1陽性で,リンパ節を用いたサザンブ
に基づく選択的原子炉療法を開発し,基礎研究より前
ロツト解析でTCR遺伝子再構成を認めた.
CD34は陰性であった.
atrophicans
臨床試験をへて,各種悪性黒色腫の14例に本治療法を
granulomatous variant of cutaneous T-cell
実施し,原則として1回照射にてそれらの消失ないし
lymphoma 戸田 浄,佐藤伸一,小川朗子(東京逓信)
退縮を得ている.今回は最近治療した顔面に発生した
91歳男.顔面に日光照射後,浸潤の強い紅斑と丘疹
悪性黒子型黒色腫の2例につき主に臨床的視点より,
が生じ来院.体幹にも同様の皮疹が遅れて生じてきた.
その治療効果を報告.
組織:肉芽腫を形成しているが,中心には変性しか異
陰嚢肉様膜平滑筋肉腫−免疫組織化学的検討を加え
型のT-cellを認める.組織学的所見より,
てー 原 弘之,野口義久,涌井史典,本庄三知夫,
granulomatous variant of cutaneous T-cell
vas-
1144
学 会 抄 録
lymphomaと考えた.
患者の統計学的観察 八町祐宏,天井 周,白崎敦子,
組織球症の一例 久保一江,安藤巌夫,久木田 淳
柳原 誠,上田恵一(福井医大)
(帝京大溝口),福島啓太郎(同小児科)
昭58年10月から平5年までに来院した皮膚悪性腫瘍
1歳1ヵ月女児.生後7ヵ月時,体幹に粟粒大,赤
患者総数は147例であり,後半に患者数が増加してい
褐色の丘疹多発.9ヵ月時,頚部リンパ節腫脹し,発
た.患者数のピークは60∼70歳代にみられた.有韓細
熱,貧血,頭蓋骨欠損を発見された.肝牌麗人(−).
胞癌,悪性黒色腫において病期が進行すると生存率が
胸部異常なし.皮膚,リンパ節生検で,S一100蛋白陽性
低下する傾向がみられ,早期発見・早期治療が肝要で
の組織球浸潤を得た.プレドニソロンと硫酸ビンブラ
あると考えられた.癌皮膚転移の患者数が最も多く,
スチンで治療した.
集学的治療が発展し,生存率が向上したためであるう
福井医科大学皮膚科における10年間の皮膚悪性腫瘍
と考えられた.
北陸地方会第356回例会(平成6年6月26日,金沢市)
当科で経験した色素性痔疹の小統計 小林博人,西
水 巍(城北内科)
尾賢昭,武田行正(金沢医大)
45歳と23歳の女.2例とも気管支喘息が先行し,末
金沢医科大学病院の過去19年間の色素性庫疹患者は
梢血好酸球増多,好酸球性肺炎,末梢神経症状.とも
15例(男3例,女12例)であった.初発年齢は10歳代
に四肢に紅色の丘疹または局面が出現.皮膚生検標本
にもっとも多く(57%),年齢とともに減少しか.同胞
は真皮・皮下組織における著明な好酸球の浸潤と血管
例(兄妹例)が1組あった.耳鼻科診察で5例中3例
外肉芽腫形成を示しか.コルチコステロイドの内服に
に扁桃炎があ‰残り1例は扁桃マッサージで皮疹再
より皮膚症状は速やかに消退,末梢血好酸球数も正常
燃,この例と扁桃炎のあった例の2例で扁摘を施行,
化した.
術後3年,4年の現在皮疹の再燃なし.
オキサトミドによる薬疹の1例 西尾賢昭(金沢医
ミノマイシン含漱療法が有効であった慢性再発│生ロ
大)
腔内アフタの1例 高島秀樹,森松 進,井田 充,
53歳女.初診平3年6月18日.8年前より慢性扉麻
長谷川義典(富山医薬大)
疹として近医で加療.現症:躯幹,四肢に多数の淡褐
47歳男.主訴は口唇の廳爛と口腔内アフタ.既往歴,
色斑あり,皮膚描記症(十).平5年12月7日よりオキ
家族歴に特記事項なし.現病歴:昭62年頃よりアフタ
サ`トミド90mg内服開始.1ヵ月後より全身の色素斑
の出現消退を認め,今回平ら年工月初句頃より再発し,
に一致して浸潤性紅斑出現.頬粘膜に白色線条あり.
1月15日入院.入院4日目より1%ミノマイシン溶液,
組織は扁平苔癖に一致.内服試験陽性.シェーグレン
1日4回の合瞰を試み,症状の改善をみた.奏効横序
症候群の合併あり.
として抗菌作用,活性酸素抑制作用が考えられた.
タカルシトール軟膏の使用経験 阿部貞夫,阿部敏
本態性血小板血症に伴った肢端皮膚潰瘍 白崎敦
子(高岡市)
子,中川重光,柳原 誠,上田恵一(福井医大),福島
本軟膏により治療された経過の明らかな掌置眼庖症
敏洋(『司内科』,半田裕二(同脳外科)
と尋常性乾癖31例について本剤の影響が検討された.
55歳女.初診平5年9月1日.1ヵ月前より右第1
観察期間は最長5ヵ月間であったが,増悪,非改善,
趾に米粒大の発赤出現.9月中旬に潰瘍に変化.肢端
持続性紅斑等の訴えにより治療変更を強いられた症例
に網状皮斑,チアノーゼを認む.白血球:14,500/
もあった.以上の経験より基剤,添加薬剤の再検討の
mm3,血小板:107万/mm3.心電図:心室性期外収縮.
要と重層法等による治療法モデルの作製の要が示唆さ
趾尖脈波:平坦化.サーモグラフィー:両趾尖部温度
れた.
低下.既往に高血圧,多発陸脳梗塞,下肢静脈血栓症.
帯状扁平苔癖の1例 神永紀子(NTT金沢)
潰瘍はパルクス⑧,ハイドレア⑨などにて治癒.
27歳男.初診の約1ヵ月前,左背部から上腹部に淡
Churg-Strauss
紅色丘疹が出現.放置にて紅褐色になる一方新生が続
syndrome
の2例 高松由佳,筒井
清広,高田 実(金沢大),藤村政樹(同3内科),清
き,初診時には淡紅色から紅褐色の扁平丘疹が集額し
1145
北陸地方会第356回例会
帯状配列.軽度岸み(十).組織:角層・穎粒層・表皮
73歳女.糖尿病を合併.5日前飼い猫に右手背を咬
の不規則な肥厚,基底層液状変性,真皮上層の帯状細
まれたが放置.現症:39ての発熱,右手背∼前腕は発
胞浸潤,コロイド体(十).ステロイド外用で約4ヵ月
赤・腫脹,数力所の咬み傷の1つから多量の膿汁排已
後略治.薬剤摂取なし.胃炎を合併.
膿汁の細菌培養によりPasteurella
lichen purpuricusの1例 小沼博義,大津山 宵,
離. ABPCとミノサイクリン投与,糖尿病の治療によ
multocidaを分
斉藤明宏(富山医薬大)
り約4週間後,手首・指の伸展筋腱の断裂による伸展
6歳女児.約3年前より,左下腿に紫紅色斑が出現.
障害を残して治癒.
徐々に列序性に拡大し同側大腿にもみられるように
A群色素性乾皮症の1例 坂井秀彰(金沢大),江口
なった.ステロイド外用にて治療するも紫斑は軽快せ
和夫(小松市),井上雅雄(金沢医大共同研)
ず.組織:真皮上層に帯状のリンパ球の浸潤と赤血球
6歳3ヵ月女児.生後4ヵ月頃より露光後に紅斑が
の血管外漏出,及びヘモジデリンの沈着を認める.真
出現.顔面に淡褐色の小色素斑が増数.290∼320nmの
皮浸潤細胞中にHLA-DR抗原を発現した多数のCD4
MEDは短縮し,72時間後にピークを示す異常紅斑反
とCD1陽性細胞の存在を認め,ケラチノサイトの
応あり.培養線維芽細胞(XP13KA)を用いた相街陸
HLA-DR抗原の発現が認められ,細胞性免疫が関与す
テストでA群と診断.3歳時軽度の精神遅滞と瀧漫性
る可能性が示唆された.
表層性角膜炎あり.5歳時に聴力低下が,6歳時に左
vesiculobullous SLE 川島愛雄,木村 悟,森 俊
頬に有棟細胞癌が出現した.
典,斎藤利子(石川県立中央),津川喜憲(同内科)
陰茎に生じた単発li被角血管腫の1例 石田久哉,
21歳女.初診平5年9月8日.昭63年より腎症を伴
上田恵一(福井医大)
うSLEとして治療中.初診1ヵ月前より両頬に滓みの
16歳男.平6年1月11日.5∼6歳頃カミソリで陰
ない小水庖出没,一部環状に配列.表皮下水庖で水庖
茎体部背側に切創を受けた後に小結節が生じた.約2
内と乳頭にかなりの好中球認む.液状変性なし.基底
年前から同結節が次第に増大して痴皮に覆われるよう
膜にlgGの穎粒状沈着あり.抗基底膜抗体・抗EBA抗
になった.圧痛あり.組織:角質増殖と真皮上層の著
体陰性.プレドニゾロン7.5mgを15mgに増量し色素
明な血管拡張.一部に血栓の経表皮性排除現象がみら
沈着と浅い痘痕を残して治癒.
れる.
弾力線維性仮性黄色腫 竹田公英,光戸 勇(福井
多発性日光角化腫の1例 石黒和守,柳原 誠,上
県立)
田恵一(福井医大)
67歳女.30年前より頭部に黄白色丘疹あり.17年前
75歳農婦.初診平6年1月6日.既往に直腸癌(平
に突然原因不明の両眼底出血あるも放置.3ヵ月前よ
4年).胃癌(平6年几約10年前より顔面に角化性紅
り同部に小豆大から鶏卵大までの辺縁に角化既丘疹を
斑が多数出現(初診時計23個確認).摘出した病変はい
伴う紅斑出現.組織:異常な弾力線組,カルシウムが
ずれも日光角化腫(角化型3例,ボーエン類似型2例,
真皮上層から中層に沈着.蛇行陸穿孔性弾力線維症の
ダリエ1例)で,腫瘍細胞はPCNA,
合併が疑われた,眼底に血管様線条,大動脈に石灰化
AgNORs染色では核内に多数の陽性穎粒を認めた.
及び硬化の合併が疑われた.
皮膚原発Ki-1リンパ腫の1例 森 俊典,坂井秀
p53染色に陽性,
結節性紅斑様皮疹を伴ったサルコイドーシス 新田
彰,筒弁清広,高田 実(金沢大),荒井邦夫(七尾市)
純子,野村佳弘(富山市民),中村裕行(同内科)
70歳男.8ヵ月前,左眉毛部に小豆入結節が出現し
23歳女.1年前にBHLとリンパ節生検像よりサル
たが自然消退.6週間前から右手背に紅斑が出現し,
コイドーシスと診断され,4ヵ月前に四肢に栂指頭大
徐々に隆起してきた.初診時右手背に20×15mmの潰
までの淡紫紅色の浸潤を伴う紅斑が出現した.右膝蓋
瘍化した紅色局面あり.組織像は非ホジキンリンパ腫,
に痘痕浸潤あり.左大腿の紅斑の組織:真皮全層から
未分化大細胞型を示し,腫瘍細胞はCD30陽性.他臓器
皮下脂肪織に島状に散在した類上皮細胞肉芽腫を示し
に病変なし.生検後局面は痘痕を残して消退した.
か.左眼ブドウ膜炎を併発し,
頭部,趾に生じた肺癌皮膚転移の1例
PSL30mg/日を投与さ
れ,皮膚,眼症状は軽決した.
山本由美子,石田久哉,上田恵一(福井医大)
ネコ咬傷によるパスツレラ感染症 能川昭夫,鍛冶
66歳男.肺癌にて入院加療後,頭部に紅色結節及び
友昭(富山県立中央)
右第3趾爪下部に肉芽腫状結節が出現.組織は共に扁
1146
学 会 抄 録
平上皮癌で肺癌の皮膚転移と診断。過去10年間におけ
も多く11例で,四肢に転移しか例は2例であった.
る当科で経験した癌の皮膚転移23例では胃癌がもっと
北陸地方会第357回例会呼成6年9月11日,富山市)
第2期梅毒の1例 西尾賢昭(金沢医大)
朗,坂井秀彰,稲沖 真,高田 実(金沢大),大島茂
38歳男.初診平6年5月2日.現病歴:2ヵ月前よ
人(厚生連高岡)
り顔面に皮疹出現,近医でステロイド剤を外用された
68歳女.12年前,口腔内の麿爛と背部の水庖が出現.
が漸次増加した.現症:前額,頬,口囲に暗紫色,硬
組織学的に尋常性天庖療と診断され,ステロイド内服
い丘疹の集族,他に後頚部,右上肢にも11×10mmま
と金製剤で軽快した.約1年前より顔・躯幹に紅斑と
での小結節3個あり.他に頭部に小斑状脱毛,肛囲に
肩爛が出現,粘膜病変は軽微.組織:穎粒層下に水庖.
扁平コンジローマあり.ガラス板法128倍,凝集法128
螢光抗体法:表皮細胞間にlgG沈着.免疫ブロット法
倍,
TPHA
81,920倍。
で150kD蛋白が検出され,落葉状天庖療に移行したと
Sweet症候群が先行した急性骨髄性白血病 長谷
考えられた.
川 稔,今井敏雄,筒井清広(金沢大),熊走一郎,大
ロ腔内に水庖を生じた類天庖蟻 日野孝之,小沼博
竹茂樹(同第3内科)
義,鐘居昭弘,大津山 賓,斎藤明宏(富山医薬大)
57歳女.平6年1月から項部に有搬陸浸潤[生紅斑が
49歳男ノ漫性腎不全にて透析中,体幹の廳爛,口腔
出現.組織は典型的.好中球増多はなく,骨髄穿刺の
内のアフタを認めた.組織所見にて表皮下水庖,螢光
所見より骨髄異形成症候群が疑われた.同年4月,発
抗体法にて基底膜部にlgG,Clqの線状沈着を認め水
熟とともに右上腕に水庖を伴った有痛性浸潤性紅斑が
庖性類天庖塘を診断した.ステロイド内服により,皮
生じ,末梢血に多数の骨髄芽球が出現し,急性骨髄性
疹は改善したが,口腔内病変は難治性であり,ミノサ
白血病と診断され凪化学療法を開始後,紅斑の再発
イクリン含漱が奏効した.
はない.
硬化性萎縮性苔癖の1例 鳥居靖史(市立敦賀)
強皮症のために投与されたペニシラミンによる中毒
23歳女.5年前発症.1年前より癈岸あり.左側頚
疹 森 俊典,川島愛雄(石川県立中央)
部に53×24mmの陶器様白色局面あり.組織:表皮に
46歳女.初診平6年5月11日.強皮症として2ヵ月
萎縮と液状変性,真皮上中層における顕著な浮腫,膠
間ペニシラミンを投与され,全身紅皮症様,組織像は
原線組の膨化,弾性線維の減少を示す.副腎皮質ステ
GVHD様.抗ヒ剤,ステロイド外用で約1ヵ月後に消
ロイド外用4ヵ月後に皮疹はやや軽庚した.抗核抗体
退。LBT陽性を示しか顔の紅斑,抗核抗体陽性,補体
拓o倍陽性(homogeneous
低下よりSLEが,真皮下層膠原線維束の肥厚,抗Scl-
pilonidal sinus の1例 高松由佳,田中武司,筒井
pattern).
70抗体陽性,末梢肺野背側の線組化からPSSが背景に
清広(金沢大)
あると考えた.
22歳男.トラック運転手.患者は体毛が濃く,背部
bullous SLEの1例 山岸雄二,村田久仁男,大槻
には多数の剛毛がある.3年前,仙骨部に肉芽様の紅
典男(舞鶴共済)
色結節,尾骨部に小結節が出現し,排膿を繰り返して
43歳男.7週前より略全身に紅斑と環状配列する小
いた.痩孔造影で確認後,痩孔部を含めて全摘出した.
水庖出没.粘膜疹,多関節痛あり.リンパ球減少,
組織学的に疸孔内に多数のdead
ANAX拓0,抗DNA抗体,抗SS,A抗体高値,補体低
術後6ヵ月間,再発は認められない.
下あり.組織:好中球浸潤を伴う表皮下水庖と真皮上
陰嚢に生じた基底細胞上皮腫の1例 新田純子,野
層の壊死性血管炎.IF直接法で塘G・A・M,
村佳弘(富山市民),斉藤 喬(富山市)
に線状沈着,1M
CsがBMZ
NaCl剥離皮膚を用いた間接法で抗基
hairが認められた.
37歳男.2年前に,陰嚢に黒色小腫瘤が出現し徐々
底膜抗体は真皮側陽性.プレドニン,ニコチン酸アミ
に増大,半年前に潰瘍を生じた.陰嚢後面の縫線の右
ド併用が有効.
側に13×19mm,表面平滑で淡紅色,ドーム状に隆起し
尋常性天庖康から落葉状天底療への移行例 白崎文
た腫瘤かおり,中央部に不整形潰瘍,辺縁に黒色の丘
1147
北陸地方会第357回例会
疹が認められた.全摘術を施行し,8ヵ月後の現在,
cular channel が認められ,内腔に赤血球が充満してい
再発を認めず.組織学的に充実型の基底細胞上皮腫の
た.管腔を形成する一層の細胞は第VII【因子関連抗原陽
像を示しか.
性であり,一部に器質化した血栓を認めた.
肢嵩に生じた単発性毛包上皮腫 石倉多美子(公立
グロムス腫瘍の2例 竹田公英,光戸 勇(福井県
松任石川中央)
立)
76歳女.初診平5年7月21日.4ヵ月前から右服高
症例1,
50歳男.1年前より右前腕節側に圧痛伴う
にしこり.現症:右飯裔上腕側に碗豆大小結節.表面
灰青色結節あり.組織:大小に拡張した血管腔と周囲
平滑,弾陸硬,正常皮膚色.組織:腫瘍は皮下にあり
に類上皮細胞様の腫瘍細胞が充満.症例2,
薄い結合織性被膜で囲まれている.腫瘍は島状の腫瘍
2年前より右大腿屈側に圧痛伴う青色結節あり.組
細胞巣の集合よりなる.個々の腫瘍細胞は単一な基底
織:症例1と同所見.腫瘍細胞はビメンチン,デスミ
細胞様細胞で核分裂像,異型性はほとんどない.角質
ン陽性.同質はS-!00,ボディアン,エラスチカファン
責腫(十).未熟な毛乳頭(十).
ギー−ソンで陽性を示した.
萎縮性局面を呈したdermatofibromaの1例 能
angioblastomaの1例 経 隆紀,中村元−,中野
37歳男.
川昭夫,鍛冶友昭(富山県立中央)
道夫,寵浦正順(富山医薬大)
23歳女.約3年前,右大腿内側の隆起性腫瘍に気づ
6ヵ月女児.初診平6年6月6日.生後2ヵ月頃に
く.2年前より徐々に扁平化し15×8mmの淡褐色の萎
右前腕に自覚症状のない浸潤局面をもつ隆起性の紅斑
縮性局面となる.組織:核の大きな紡錘形細飽か多数
が出現した.紅斑内に丘疹が存在し,苔癖化局面もあっ
あり,線織成分の少ないcellular
た.生検を施行し赤血球を容れた管腔形成領域と充実
ンの沈着及び異物巨細胞を認める.
type で,ヘモジデリ
factor xma及び
性領域が混在した腫瘍組織が得られ,免疫組織化学的
CD34はいずれも陰性.
に第Vlll因子関連抗原(−),UEA-1ト)の所見を呈し
右大腿伸側に生じたleiomyomaとdermatofib-
七
roma 井本敏弘(金沢医大)
Bowen病の1例 長谷川洋一,福井米正(黒部市民)
58歳男.5年前,右大腿仲側中央に小結節が出現,
69歳男.平5年9月左恥骨丘部に腫瘍出現,徐々に
1年前より圧痛あり.現症:右大腿仲側中央部に7×7
拡大.翌年3月10日初診時,腫瘍は33×28mm,黒褐色
mm,基部に5×5mmの褐色,ドーム状隆起した結節あ
で中心に廳爛を認め,軽度圧痛があった.生検で表皮
り.中央部の結節は紡錘形の核をもつ細胞が錯綜して
全層に異型細胞の増殖を認め,
腫瘍塊を形成.アザン染色で赤色,デスミン,ビメン
4月11口全切除.切除標本で毛包に沿って真皮下層に
Bowen病と診断.同年
チン陽性を呈し,立毛筋由来のleiomyomaと診断.基
まで腫瘍の増殖像を認めた.
部の結節は皮膚線維腫の定型像.
高齢者の皮膚悪性腫瘍 丸尾 充(春江町)
eccrine spiradenoma
近年高齢化に伴い,高齢者の皮膚悪性腫瘍患者の増
の1例 窪田正昭,八町祐宏,
柳原 誠,上田恵一(福井医大)
加が顕著になってきた.外科的手術が一番であるのは
73歳男.6年来,左側腹部に軽度の圧痛を伴う小豆
言うまでもないが,手術不可能例として受診される場
大の結節を認めていた.組織:真皮内に表皮と連絡な
合も散見される.手術不可能例でも在宅治療を希望す
く結合織性被膜で覆われた腫瘍塊があり,腫瘍細胞は
る患者・宗族も多く,皮膚科医も往診などによる在宅
淡明,大形細胞と暗核をもつ小型細胞の2種類からな
治療を積極的に行うべきではないかと考える.
り,索状,偽管状に配列していた.腫瘍問質は,
S-100
悪性黒色腫の2例 八町祐宏,河原謙一,藤田知三,
蛋白染色陽性で,電顕的検索にて同部に神経線維を豊
白崎敦子,上田恵一(福井医大)
富に認めた.
症例1,
intravascular
papillary endothelial
hyperplasia
56歳男.2年前に左足底部に黒褐色斑出現.
第乱 5趾間付近に35×30mm辺縁不整,濃淡のある
天井 周,石黒和守,上田恵一(福井医大)
黒褐色斑.第5趾も含めて切断.
34歳女.約7年前,左手字の皮下結節に気づく.淡
2,
青色,弾性硬で大きさは11×12mm,軽い圧痛を伴う.
が腫瘤状になった.第2,3趾基節部付近に40×50mm
組織:真皮中層から皮下組織にかけて線維性の被膜に
覆われた腫瘍塊かおり,腫瘍にはanastomosing
ALM,病期II.症例
82歳女.10ヵ月前に右足底に紅斑局面出現.一部
紅斑局面,中心部に23×26mm紅色腫瘤.リスフラン
vas-
関節で切断.無色素性ALMに生じた有茎性腫瘤(病
1148
学 会 抄 録
期IH)と考えた.
菌状息肉症の1例 福井米正,長谷川洋一(黒部市
民),中沼安二(金沢大第2病理)
車掌大までの赤紫褐色, poikiloderma様局面と汚機褐
色の色素斑が散在。組織:真皮上層に帯状の細胞浸潤
あり。表皮内にポートリエのmicroabscess (+)。表皮
16歳男.10歳頃より全身に椋みのある紅斑が出没.
真皮ともに不整形の大きな核をもつ細胞(mycosis
体幹・四肢の皮膚は乾燥して軽い鱗屑をもち,所々に
cell)を散見.LCA,UCHL陽性。
北陸地方会第358回例会(第30回北信越合同学会)
(平成6年11月20日,福井市)
HCV肝炎に続発したクリオグロブリン血症に生じ
素上昇,嘸下困難,匹肢近位筋の筋力低下出現.皮膚,
た莉麻疹の2例 滝渾明子,風間 隆,坂本ふみ子,
筋生検を行い皮膚筋炎と診断.全身検索で早期胃癌を
伊藤雅章(新潟大)
認め,内視鏡手術を行ったが,紅斑,筋力低下は改善
54歳男,及び58歳女.C型肝炎あり.前者は6年前よ
せず,ステイロド内服にて経過観察中.皮膚筋炎と悪
り,四肢・躯幹に,特に寒冷時に膨疹を先行する紫斑
性腫瘍の関連について検討報告した.
が出没.後者は9年前より,膨疹を先行する紫斑が下
組織学的にlichenoid
肢に出没.クリオグロブリン陽性.組織:膨疹部は募
膚筋炎 長谷川 稔,田中武司,筒井清広(金沢大)
麻疹,紫斑部は核塵と好中球浸潤あり.
IgM,
C3の血
tissue reaction がみられた皮
56歳男.4力片前に脱力感,露光部の紅斑,
Gottron
管沈着あり.抗アレルギー剤有効.前者ではインター
徴候,頬粘膜の慶爛,白色線条が出現.筋原性酵素上
フェロン療法施行し,クリオグロブリンは低下し,皮
昇あり.指関節背の生検標本では液状変性,
疹の新生もなくなった.
を伴う真皮上層の細胞浸潤,
骨髄線維症患者に生じ,血管炎の組織像を呈した出
粘膜では粘膜固有層上層に帯状の細胞浸潤がみられ
血性皮疹 森 俊典,川島愛雄(石川県立中央),河村
た.皮膚筋炎及び口腔扁平苔癖の合併と考えた.
洋一(同血液内科)
30mg内服で皮膚症状は軽決した.
71歳男.初診平6年6月30日.昭61年骨髄線維症と
討 論
診断.平6年4月発熱と貧血のため入院.同年6月顔・
松村剛一(新潟大):扁平苔癖の原因となるような金
頚・胸に浮腫性紅斑が出現し,薬剤中止後も改善なく,
属アレルギー,薬剤の関与の可能性はどうか
徐々に出血性となる.組織:leukocytoclastic vas-
長谷川 稔:健歩丸という漢方薬を購入して10年来
culitisのほかに,真皮に大小の上皮性細胞巣が散在
内服していた.しかし中止後も粘膜疹の軽快はみられ
し,汗管上皮の反応性増殖と考えた.8月25日敗血症
なかった.歯科金属のパッチテストはすべて陰性で
exocytosis
colloid小体がみられ,頬
のため死亡.
あった.
lymphang-iectasiaの1例 松井 裕,井本敏弘(金
尿細管性acidosisとsubclinical
沢医大)
発症したSLEの1例 福沢正男,関 詩穂,小口真司
59歳女.初診10ヵ月前左前腕に浮腰注硬化局面が出
(信州大)
現.某医で主にステロイド外用剤による治療を受けた
31歳女.24歳時,臨床症状と検査所見からSLEと診
が皮疹は拡大.現症:左前腕は腫脹し表面には線状に
断されプレドニン内服で軽快し,漸減,中止していた.
配列した丘疹と淡紅色網状紅斑がみられる.組織:真
今年6月脱力発作が出現し,尿細管性acidosisによる
皮浅層にリンパ管拡張と管腔内に内皮細胞の増殖かお
低K性周期陸四肢麻庫と診断された.自覚症状はない
り,内皮細胞の第VIII因子関連抗原とCD31は陰性.サ
が,抗SS-A,B抗体陽性,
ポーターによる圧迫で軽快.
液腺生検と造形の結果よりsubclinical
Sjogren症候群を
rose bengal test 陽性,唾
Siogren症候
早期胃癌を合併した皮膚筋炎の1例 高島秀樹,中
群の合併が明らかにされた.
野道夫,大津山 育,長谷川義典,斉藤明宏(富山医
autoimmune
薬大)
林夏子,滝滓明子(新潟大),丸山友裕(済生会新潟第
63歳男.全身に癈塚性紅斑を認め,約半年後に筋酵
二)
progesteron
PSL
dermatitisの1例 小
1149
北陸地方会第358回例会
27歳未婚女.初潮は15歳.18歳頃より月経の数日前
止し,切除範囲を最小とすべく2段階に分ける手術法
に生じ月経開始数日後に消退する脊部,大腿の環状紅
を16症例に施行した.切除生検後,人工被膜剤で仮閉
斑を自覚.次第に持続性となる.ピルの内服歴なし.
鎖し,翌日パラフィン包理HE染色標本により腫瘍残
内分泌検査異常なし.プロゲステロン皮内反応は5日
存の有無を多方向につき検討した後,その翌日に植皮
目に陽性となり,約24時間持続.螢光抗体直接法で皮
または皮弁にて再建した.現在まで再発を認めない.
内反応部血管周囲にC3陽性.メサルモンF③内服有
簡便かつ有効な治療法と思われた.
効.
黄色の結節を示したSCCの1例 清水正之,稲地
石灰化上皮腫の1例 西尾賢昭,井本敏弘(金沢医
真(三重大)
大),金原武司(内灘町)
79歳女.右前腕屈側に小指頭大,黄色塊状物質を容
65歳女.初診平6年5月30日.現病歴:1ヵ月前,
れる結節.組織学的に結節辺縁の表皮基底細胞の液状
後頭部のしこりに気づく.2週間前より疼痛出現,3
変性,帯状リンパ球浸潤,中央部は角化した細胞塊を
日前より出血を認める.現症:右後頭部に10×7mm,
容れる.穎粒細胞層を欠く.底部では細胞分裂像,細
淡紅色の結節あり,中央部は6×4mm,紫紅色調,痴皮
胞個角化,腫瘍細胞はapoptosisを示し,核DNAを断
を付す.組織:真皮深層に壁が毛包上皮様細胞の嚢腫
片化するエンドヌクレアーゼが存在する.
様構造あり.内腔に好塩基細胞,陰影細胞の集塊を認
討 論(意見)
める.
斎田俊明(信州大):solitary lichen planus-like
討 論(意見)
keratosis様の所見を呈したsolar
伊藤雅章(新潟大):shadow
cell がみられない.ト
したSCCと考える.
neoplastic
keratosis力ゝら進展
keratinocyteに対す
リコヒアリン穎粒がみられるのなら,内毛根鞘分化の
るT細胞の強い反応を伴っているものと思われる.
腫瘍といえるが,毛母腫とはいえない.毛母腫という
術後7年目に肝転移により死亡した悪性黒色腫の1
ためにはケラチン染色でハードケラチンを証明するの
例 村田久仁男,中村 聡(金沢大),江口和夫(小松
がよい.トリコヒアリン穎粒というためには電顕でみ
市),品川 誠(小松市民外科)
る必要かおる.
30歳女.10年前,頭頂部に小結節が出現.切除標本
診断例(毛包腫瘍?) 河原謙一,柳原 誠,上田
では真皮上層から皮下脂肪組織に表皮と非連続性の腫
恵一(福井医大)
瘍が存在.腫瘍細胞はS-100蛋白陽性を示し,一部はメ
71歳男.初診平6年1月6日.30年前から背部に小
ラニン色素を有す.他に悪性黒色腫の原発巣や転移巣
豆大の結節があり,次第に増大したため受診.38×30
と思われる病変なし.拡大切除後,DAV療法2クー
mmの淡紅色,弾性硬の腫瘤.組織:蜂巣状の腫瘍巣
ル,ピシバニール皮内注射を約2年間施行.切除7年
が真皮中層から皮下組織にみられ,外毛根鞘性角イヒ,
後に出現した肝転移のため死亡.
管腔様構造を示し,
討 論
CEAは陽性,電顕では内腔に微絨
毛がみられた.間質には酸性ムコ多糖の沈着が認めら
竹之内辰也(新潟大):頭部リンパ節郭清は施行した
れた.
のか.もししていないのならその理由は?
討 論(意見)
村田久仁男:初め悪性黒色腫の転移の可能性を考え
伊藤雅章(新潟大):毛包系の腫瘍で可.
ing trichilemmal
tumor
proliferat-
などで壁に汗管構造があるこ
たため,リンパ節郭清は行わなかった.
瀧潭好廣(信州大):表皮と連続がなく,リンパ球浸
とは確かにある.
潤も少なく,転移の可能性はないか.
斎田俊明(信州大):毛包系の良性腫瘍であることに
村田久仁男:全身検索で他に原発巣が認められず,
問題はないが,具体的な疾患名として当てはまるもの
経過観察でも新たな転移が出現しなかったので,頭頂
は思いつかない.細胞内汗管形成はアポクリンの(毛
鄙の結節を原発巣と考えた.
包上皮内)汗管形成と考えることもできる.
斎田俊明(信州大):メラノーマの原発巣で表皮部に
基底細胞上皮腫に対する2
step operation 山田
異型メラノサイトの増殖がみられないことはほとんど
聴,野本重敏,竹之内達也(新潟大),手塚匡哉(木戸),
ありえない.ひとつの可能性としては,部分的な消退
兼子泰行,勝海 薫(力1んセンター新潟)
現象を伴った場合で,表皮部の異型メラノサイトが消
単純縫縮不可能な基底細胞上皮腫に対し,再発を防
失し,周囲に縁組化,メラノファージ,毛細血管拡張
1150
学 会 抄 録
などを伴って真皮内にのみ腫瘍巣が残存しているとい
血性貧血を認めた.T細胞受容体β鎖遺伝子の再構成
うことは考えられる.
かおり,リンパ節には,濾胞の消失,血管増生,淡明
村田久仁男:組織学的にregressionを示唆する所
細胞の増殖が認められた.腫瘍細胞はCD4陽性,
見は認められなかった.
陰性であった.CHOP療法が著効し,半年経過した現
cutaneous
angiomyolipoma
の1例 鈴水陸実,米
在,寛解状態を維持し続けている.
潭郁雄(福井赤十字),鈴木茂彦(京大形成外科)
Mycobacterium
41歳男.右耳介の径26×37×25mm,茎部は10mm大
剛,藤崎景子,伊藤 薫(新潟大)
の表面平滑で常色,弾性欲の球状有茎性腫瘤.自覚症
10歳女児.平5年10月頃より,腎部,大腿に圧痛を
状なく,20年来漸次増大.表皮朧朧,血管藤を疑い切
伴う皮下硬結が多発.近医にて治療を受けるも難治で,
除.組織:真皮中層∼皮下に,
一部は潰瘍化しかため当科を受診した.組織は類上皮
pseudocapsuleを有する
腫瘍塊が存在し,血管腔,平滑筋,脂肪から成る.以
上より,
cutaneous
angiomyolipoma
(AML)と診断.
CD8
avium感染症 福田直美,橋本
細胞肉芽腫で,膿汁から1ヵ月後に抗酸菌が培養され
た. microplate hybridization 法により,
Mycobacter-
AMLは腎に多く,皮膚発生は稀である.
ium avium
浸潤性紅斑を伴った骨髄単球性白血病の1例 岳尾
M. avium特異的プライマーで陽性.MIN0,NFLX内
基一,稲沖 真(金沢大),大竹茂樹(同第3内科)
服にて軽決せず,現在CAM,
67歳男.1年半前に前胸・背に浸潤性紅斑が出現.
化傾向にある.
生検標本で真皮に組織球様細胞の密な巣状の細胞浸潤
討 論
があり,免疫組織化学的に単球系細胞の性格を示しか.
斎田俊明(信州大):①病変の主体が真皮中層以下
末梢血で単球増多(36%),骨髄で穎粒球系細胞の過形
で,表皮の変化がほとんどないこと,多発注の結節と
成,尿中及び血清リゾチームの著明な高値が認められ,
してみられていることなどにより,菌の侵入経路をど
慢性骨髄単球性白血病と診断.皮疹はその特異疹と考
う考えるのか興味が持たれるが,どう考えているか.
えた.
②Mycobacterium
と同定された.凍結切片からのPCR法は,
INHでやや病勢は沈静
marinumなどの非定型抗酸菌感
皮膚原発と考えられるB細胞リンパ腫の1例 小
染症では温熱療法が奏効するが,このMycobacter-
金平容子,小口美抄枝,瀧滓好廣(信州大)
ium
72歳女.平6年4月より左下腿仲側に結節が出現し,
福田直美:①免疫不全を示すデータはなく多発経路
徐々に増大.初診時,大きさ38×33mmの,紫紅褐色
の理由は不明.ホルマリン固定によるDNAの断片化
調でドーム状に隆起する結節が認められた.生検にて,
あるいは治療による菌減少によりパラフィン切片から
aviumの温熱への感受注は如何か.
diffuse large cell B cell type の悪性リンパ腫と診断.
はPCR法で陰性だったと考えられる.②温熱は無効
他臓器病変を認めず,皮膚原発と考えられた.全摘後,
で半年ないし1年間抗生剤投与の必要かおり,無効な
電子線照射と化学療法(CHOP
2 クール)にて経過観
尿中Bence
ら外科的切除が必要.
RT-PCRによる膠原病組織内のパラミクソウイル
察中.
Jones蛋白陽性のKi-1リンパ腫 中村
元−,鐘居昭弘,大津山 寛,斉藤昭宏(富山医薬大)
スの検索 藤原 浩,藤原啓子(新潟大),橋本 健
(ウェイン州立入)
68歳男で短期に死の転帰をとったKi-1リンパ腫を
SLE,
報告した.臨床的には胸痛及び呼吸困難で発症し治療
RNAを抽出,NPまたはP遺伝子を標的としてRT-
中,躯幹・四肢等に暗赤色の腫瘤が多発した.組織:
PCRによりパラミクソウイルスのmRNA/ウイルス
真皮から脂肪織にかけて大型で好塩基性の胞体を有す
RNAの有無を検索した.人間に感染しうる12種のパ
る腫瘍細胞の増殖を認めた.免疫学的にはこれら腫瘍
ラミクソウイルス(麻疹,流行性耳下腺炎,パライン
細胞はKに,
フルエンザ6種,センダイ,
EMAが陽性であった.
DLE,全身性強皮症,計37症例の組織より
RS,
SV5,
SV41)はいず
CHOP療法が著効したIBL・like T cell lymphoma
れも検出されなかった.
の1例 演 英俊,木庭幸子,土肥床二郎(信州大),
ライター病の1例 山本由美子,榊原一郎,石田久
倉石由子(市立大町),北野喜良(信州大第2内科)
哉,柳原 誠,上田恵一一(福井医大),青山文代(福井
55歳女.本年3月,中毒疹様皮疹とリンパ節腫脹,
市)
発熱,全身倦怠感にて発症.高y−グロブリン血症,溶
26歳男.初診平6年6月6日.5ヵ月前より乾癖様
1151
北陸地方会第359回例会
皮疹,関節痛,結膜炎,慢性前立腺炎が生じたため,
の1例.四肢,体幹に示指頭大程の紅斑落屑が散在,
近医にてミノサイクリン,エトレチナートを投与され
やや大型の銅赤色丘疹が偏在した.梅毒性バラ疹と大
たが軽快しないため当科受診. IgAクラミジア抗体陽
丘疹性梅毒疹の混在を考えた. TPHA
性, HLA-B27陰性.サラソスルファピリジンの内服に
害あり.組織所見は大丘疹性梅毒疹と合致しうる.ビ
て関節痛は軽快, CRP,血沈の改善をみた.
クシリンS⑧投与にて皮疹もよどう膜炎も短期間に消
梅毒n期疹の1例 伊藤恵美,坂崎由朗,徳田安基
失,TPHA著減,肝障害も軽減した.
(市立岡谷)
教育講演
55歳女.ぶどう膜炎を契機に発見された梅毒n期疹
外毛根鞘腫瘍について 森岡貞雄(日大名誉教授)
10,240倍,肝障
北陸地方会第359回例合呼成6年12肌8日,富山市)
表皮増殖性疾患におけるPCNAならびにp53の染
86歳男.脳梗塞の既往あり.4ヵ月前に体幹・四肢
色性 石田久哉,石黒和守,柳原 誠,上田恵一(福
に紅斑,水庖出現.組織学的に表皮下水庖あり,螢光
井医大),福田 優(同第1病理)
抗体直接法で基底服部にIgG,
尋常性乾癖10例,脂漏性角化症8例,尋常性疵贅3
ン酸アミド(NA)1,500mg/日,ミノマイシン(MINO)
例に抗PCNA抗体(PC-10)と抗p53蛋白抗体(Ab-6)
200mg/日内服で,水庖新生は減少.内服中副作用はな
の染色を行った.PCNAは乾癖では表皮全層に多数陽
かった.当科におけるNA,
Csが線状沈着.ニコチ
MINO併用療法の成績は,
性,脂漏性角化症は少数の陽性細胞が表皮全層に散在,
9例中本例を含め2例で有効であった.
疵贅は基底部中心に多数陽性.
結節性紅斑様皮疹を伴ったサルコイドーシスの1例
p53はほとんどが陰性
であるが脂漏性角化症と疵贅の各1例に陽性細胞かお
今井敏雄,筒井清広(金沢犬),白尾 裕(同眼科),
り,その部の真皮に細胞浸潤を認めた.
上出二郎(松任市)
下腿潰瘍を伴った先天性アンチトロンビンⅢ欠損
27歳男.初診平6年3月30日.初診の4日前より両
症の1例 河原謙一,天井 周,柳原 誠,上田恵一
下腿に硬結を伴う紅斑出現.著明な圧痛を伴う.ツ反
(福井医大),藤井千言,高橋幸男(同眼科),山崎雅英
陰性. ACE高値.皮膚生検で皮下脂肪織内の血管見囲
(市立敦賀内科)
に類上皮細胞肉芽腫を認める.BHL(十),経気管支肺
39歳男.初診平6年9月20日.父親及び従兄弟に同
生検でも類上皮細胞肉芽腫を認めた.また眼科的にブ
症かおる.上腸間膜動脈血栓症と門脈血栓症などの既
ドウ膜炎を認めたため,プレドニン30mg/日経口投与.
往がある.6年前から右下腿に潰瘍を生じ,種々の治
好酸球性筋膜炎の1例 井上久美子(市立礪波総
療に抵抗性である.AT-m活性は54%,
合),野口哲彦(同内科)
は13.4mg/dl,
AT-m抗原量
AT-m製剤の静注,アクトシン軟膏⑧の
78歳男.7ヵ月前から両大腿,腹腰幹部に皮膚硬化.
外用で潰瘍は略治した.下腿潰瘍が難治性で長期持続
組織:真皮下層から脂肪織内の結合織に膠原線維の増
する場合には本疾患の可能性も考慮する必要かおる.
成,肥厚,均質化.筋膜は肥厚,均質化し細胞浸潤に
スパルフロキサシン(スパラ⑧)内服による光線過敏
よりリンパ濾胞様構造散在.末血好酸球3.8%.血沈].02
型薬疹の1例 谷内克成,川原 繁(金沢大)
mm/h.
20歳女.サルモネラ食中毒に対しスパルフロキサシ
LDH,
ン10日間(200mg/日,朝夕)服薬後,露光部に紅斑と
で両肺野の間質陰影の増強あり.
水庖が出現.足背の浮腫匯紅斑の組織像では海綿状態
手の壊疸性筋膜炎の1例 西尾賢昭(金沢医大)
と真皮の血管周囲にリンパ球浸潤がみられた.内服中
63歳女.糖尿病あり.現病歴:6日前,墓掃除のあ
止2週後の光貼布試験では40%,
4%スパラ⑧とも陽
y一一globulin
38%,
CPK,
GOT,
GPT,
r-GTP,
ALP,
aldolase上昇.拘束性換気障害及びレ線
と左手に腫脹出現.疼痛を伴い漸次増強した.現症:
性で,反応のピークはUVA照射48時間後であった.
左手全体に板状硬結,圧痛あり.第4指に強い腫脹,
ニコチン酸アミドとミノサイクリンの併用療法が有
指腹ば褐紫色調を呈す.経過:インスリン,抗生剤,
効であった水庖性類天抱癒の1例 白崎文朗,長谷川
PGE,の投与,減張切開を行ったが,6日後に左第4指
稔,今井敏雄,稲沖 真,坂井秀彰(金沢大)
腹は壊死状態となる.断指術施行.第4指腹皮膚,屈
1152
学 会 抄 録
筋腱,指骨は壊死,指背皮膚は生着。
pigmented
臍部子宮内膜症の1例 小林智子,竹田公英,光戸
Spitz nevus の1例 松井 裕,小林博
人(金沢医大)
勇(福井県立)
40歳女.初診5年前より臍部に月経時に増強する疼
21歳女.約1年前から左下腿仲側に色素斑が出現し
痛出現した.1年前より同部に小結節出現し,徐々に
次第に増大した.現症:左下腿仲側中央に黒褐色,9×
増大した.大きさは月経開始日に近づくと少し増大す
8.5mm大のドーム状隆起あり.周囲に発赤浸潤なし.
る.組織:真皮中層∼深層に大小の腺腔構造と細胞成
自覚症状(−).組織:病巣は左右対称で境界は明瞭.
分に富む問質が認められた.以上より子宮内膜症と診
病巣の表皮は肥厚.表皮内にはメラニン穎粒を含む紡
断し,腫瘍全摘出術施行した.以後,腫瘤,疼痛の再
錘形細胞からなる胞巣があり,周囲表皮との境界は明
発はみられていない.
瞭.真皮にも紡錘形細胞の胞巣あり.
木村病の1例 山本由美子,石田久哉,柳原 誠,
aneurysmal
上田恵一(福井医大)
(angiomatoid)
fibrous histiocytoma
of the skin の1例 丸尾 充(春江町)
71歳男.4ヵ月前より左耳介後部に栂指頭大の結節
23歳女.約3年前より背部に黒色斑があり,第1子
及び鼻背部に浸揖陸紅斑が出現.左耳介後部の癈席,
妊娠中に急速に大きくなり,分娩5ヵ月後に来院した.
手掌に紅斑がみられるため来院.生検にて左耳介後部
背部中央に3×2Cmのやや境界不明瞭な黒褐色のやや
及び鼻背部の皮疹は木村病と診断.末相好酸球9.6%,
隆起した斑かおり,局所麻酔下に摘出術を行った.組
IgE
織:真皮全層に紡錘形,類円形の腫瘍細胞が密にみら
快増悪と共に平掌の皮疹も消長した.
れ,中心部に内皮細胞が認められない裂隙が多数みら
骨髄異形成症候群(MDS)にみられた結節性紅斑様
れた.
皮疹 初道 誠,北村清隆([司立金沢],松田一郎,吉
頭部に生じた神経鞘腫の1例 経 隆紀,森松 進,
村光弘(同内科)
井田 充,斎藤明宏(富山医薬大)
64歳男.慢性腎炎で内科入院中.初診の4日前圧痛
8, 761IU/ml.左耳介後部及び鼻背部の皮疹の軽
20歳女.主訴は右前頭部の径20mmの皮下腫瘤.自
を伴う浸潤性紅斑が体幹,四肢に多発.一時軽快した
覚症状なし.組織:HE染色ではAntoni
が発熱とともに再燃.組織:真皮と皮下組織に単核球,
A領域が優
位な神経鞘腫.免疫組織化学的にはS-100蛋白陽性,
組織球などの細胞浸潤(十).汎血球減少(十八骨髄
NSE陰性, MBP陰性.これらは過去の報告とほぼ一
検査で芽球25%.血液学的に,
致し,腫瘍細胞の起源はシュワン細胞と考えられた.
T)と診断.皮疹はプレドニゾロン20mg/日内服約4週
MDS(病型はRAEB
in
末梢神経との連続性は確認できなかった.
間で消退.
穎粒細胞腫の1例 長谷川洋一,福井米正(黒部市
乳房外Paget病の免疫組織化学的検討 日野孝之,
民)
豊本貴嗣,龍浦正順(富山医薬大),仲村洋一(礪波市)
51歳女.約1年4ヵ月前より左小指内側に発生した
59歳女.席みを伴う外陰部の褐色局面を主訴に来院.
自覚症状のない14×10mm正常皮膚色弾性硬の腫瘍を
生検の結果,乳房外Paget病と診断.組織:表皮内に
全切除.組織:好酸性の穎粒を含む胞体と小型の核を
Paget細胞が散在性,集簑性にみられ,
もつ多角形の細胞が,真皮全層から皮下組織に索状,
EMA(十/−),S-100(−),CD!5(−),lysozyme(−).
胞巣状に増殖.穎粒はPAS陽性,ジアスターゼ抵抗
以上よりアポクリン腺分泌細胞,導管,あるいはエク
性. S400蛋白,
リン腺導管への分化が考えられた.
NSE陽性.
エクリン汗孔腫の2例 新田純子,野村佳弘(富山
電子線療法が奏効した外陰部Paget病の1例 榊
市民)
原一郎,八町祐宏,河原謙一,藤田知三,柳原 誠,
症例1,
PAS
58歳女.3年前に左前頭部に出現.10×8
上田恵一(福井医大),古田正徳(同放射線科)
mm,弾性軟の暗紫紅色腫瘤であり,母斑細胞母斑様の
89歳女.外陰部Paget病に電子線を照射して治療し
臨床像を呈した.症例2,
たところ,経過中に皮膚潰瘍を生じ,疼痛があったが,
74歳女.2年前に出現.左
下腹部に28×20mmの紅褐色の扁平隆起性局面が認め
スルファジアジン銀を外用し癩痕治癒し,組織学的に
られ, Bowen病が疑われた.組織学的に症例1はPin-
も腫瘍細胞は消失した.本例は高齢で,見当識障害が
kus型,症例2はSmith-Cobourn型のエクリン汗孔腫
あり,リスクに問題がある患者には試みるべき治療法
の定型像を示した.
であると考えられた.
(十),
Fly UP