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学会抄録
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東京地方会第613回例会(研究会)(昭和59年7月21日,東京都)
ケジラミの年次推移と感染源について 大滝倫子,
本症102例を原発巣から,接触皮膚炎32例,貨幣状皮
加藤卓朗(東医歯大)
膚炎32例,アトピー性皮膚炎16例,うっ滞性皮膚炎7
昭32年以降の当科ケジラミの年次推移を調べた.総
例,虫劇症6例,熱傷外傷5例,その他4例に分類し
数76(男51,女25).昭40年代後半より増加,53年より
検討.末血好酸球増多は46%,血清lgE高値は28%に
急増.感染源1位は男はトルコ,女は夫より.発症年
みられた.細菌培養は原発巣90%,散布疹50%陽性,
齢は20∼34歳に多く48例で6割を占める.乳幼児8例
黄色ぶどう球菌が63%を占めた.組織:散布疹の表皮
(男3,女5)を除き,最年少は男15歳,女16歳,最年
の79%に海綿状態,
46%に小水庖,
18%に小膿庖・小
長は男72歳,女57歳.STDとの合併は梅毒1,鰹癖2,
膿瘍をみた.原発巣,
陰部ヘルペス1.感染機会から発症までの期間は1
胞についても検討.
∼2ヵ月が多い.成人女の1/3に頭髪寄生を認めた.
討 論
痴癖の年次推移(53年より58年)と感染源について
徳田安章(東京医大):①続発疹(散布疹)のOKT
大滝倫子,林 健(東医歯大)
シリーズによるT-cellの動きは如何? ②抗原につ
昭53年より58年までの評癖患者の年次推移,年齢,
いての考察は如何か.私は黄色ブドウ球菌抗体に
性別,感染経路を調べた.
FITCをつけた直接法により続発疹にブドウ球菌細片
(14施設の集団発症例は除
SlOO蛋白染色所見,真皮浸潤細
く).総数248名,女116名,男132名,性差はない.年
を認めている.
齢O∼9歳42名,10代46名,20代87名,30代40名,40
増谷 衛(東邦大):①HE染色によりラングルハ
歳以上は減っている.感染経路は家族内感染が多く,
ンス細胞の集塊を見出したとのことであるが超微形態
家庭への持ち込みは病院や施設からが多かった.前報
的に確認したか? ②それがラングルハンス細胞だと
では外国からの持ち込みが多かったのと比べ興味深
したときS-100不染性であった理由は何か? ③他に
い.異性からより同性の単なる友人からの感染も多い.
T-6などを行なったか.
PAP法によるノルウェー痴癖の免疫組織学的研究
佐々木哲雄:①HE染色でLangerhans細胞と思わ
林 正幸,内山光明,中嶋 弘,永井隆吉(横市大)
れる細胞にはSlOO陽性のものと陰性のものがみられ
78歳女のノルウェー芥癖患者の皮膚生検組織につい
た.それが直ちに陰性かどうかは,症例数も少くまだ
てPAP法を施行.真皮浅層にIgG,
わからない.電顕は検討中である.②抗原に関しては
A, M陽性形質細
胞浸潤(十).虫体,糞便などはlgE陽性,
PAP(IgE)
とギムザ染色の二重染色によりlgE陽性肥満細胞が
わからないが黄色ぶどう球菌の代謝産物も一つの抗原
になっている可能性もある.今回の症例ではOKTシ
真皮全層の主に血管周囲に散布していた.皮疹の形成
リーズは行なっていない.
には広範な液性免疫の関与も示唆された.
広範囲皮膚炎に対するステロイド外用剤の定量治験
討 論
(1) lidomex
増谷 衛(東邦大):1次抗体の家兎血清のうちIgE
会中央),宗像 醇(日医大第1),小川秀興(順天大)
ointmentによる場合 中山秀夫(済生
というのは抗ヒトlgEなのか?
他13施設
林 正幸:抗ヒトlgEである.
広範囲の皮膚炎に1日2回ステロイド軟膏を塗っ
増谷 衛:虫体と糞便に抗ヒトlgEが沈着したと
て,何g塗ったらどの程度の皮疹の改善がえられるか
いうのはどう考えるのか?
を定量的に検討した.皮疹の程度3∼0,広がりを
林 正幸:虫体と糞便によりI型アレルギーが惹起
rule of ga。で表わし,両者の積をTとすると,
されたと考えている.
predonisolone 17 valerate 21 acetate ointment
自家感作性皮膚炎の臨床的,組織学的検討 佐々木
(lidomex)の場合,18例について検討した結果,1日
哲雄,中嶋 弘,永井隆吉(横市大)
体表9%あたり2.31gの量が必要で,その場合のscore
0.3%
180
学 会 抄 録
の改善は回帰分析の結果,
T = 178.6×1.093-'
(t:日
子,金子佳世子,菊地りか,肥田野信(東女医大)
数,0≦t≦10)となった.
アンケート用紙を作製し全国の主な病院の皮膚科に
広範囲皮膚炎に対ずるステロイド外用剤の定量治験
協力を求めた.151施設よりの回答で614例が集計され,
(2) pandel
肺線維症を合併したのは81例,そのうち癌との合併は
ointmentの場合 中山秀夫(済生会中
央),菅原 信(警友),木村俊次(立川共済),杉浦 丹
8例,他の膠原病とのoverlapは13例であった.41名
(清水市立)
が死亡し,うち25名は肺線組症の発症後2ヵ月以内に
第1報と同様の手法で0.1% hydrocortisone 17
死亡した.
butyrate 21 propionate
尋常性天捨癒に対する新しい血漿交換療法 清原
ointment (pandel)を用いて
広範囲の皮膚炎を治療し,何g用いたらどの程度の改
明,木村太紀,山田裕道,高森建二(順天大)
善がえられるかを23例において検討した.結果として
当教室では1979年以来,尋常性大庖唐5例,類天庖
体表9%あたり1日2.28g
盾5例,計10例に対して,
(全身換算約25g)が治療必
Bag法および二重濾過法に
要量で,これによる治癒曲線はスコアT=175.59×
よる血漿交換療法を施行してきた.しかし,これらの
1.098-'(t:日数)に回帰された.本治療による蓄尿中
方法にはいくっかの難点がある.これを解決する為,
170HCS等の低下は13例中1例のみであった.
今回,尋常性天庖盾2例に対し,両者の利点を組合せ
限局性強皮症自験例に関する統計的観察 竹原和
たcombination
彦,相馬良直,石橋康正(東大),中林康青(山梨医大)
返血.血漿成分はEVALフィルターで抗体を除去後返
過去5年間に経験した限局性強皮症48例について統
血)を施行し,良好な成績を得たので報告する.
計的観察を加えた.独自の病型分類に基づき,限局型
討 論
として①linear
type (顔面,頭頚部)ニL(f)
linear type (四肢)=L(e)4例,③plaque
17例,②
type=P
14
method
(Bag法で採血,血球洗浄後
石川英一(群大):IC抗体が1
: 320程度のPVはむ
しろ軽度と思われるので,血漿交換に当っては,他の
例,汎発型として①linear+linear=LL型6例,②
治療法との対比が必要である.
linear十plaqUe=LP型4例,③plaque十plaque= PP
山田裕道:今回のcombination
型3例に分類した.以上48例につき臨床形態を中心に
漿交換療法の最終段階として行なったものである.こ
検討を加えた.
のことは抗体価をOに近づけてやるほど長い寛解が得
討 論
method
は一連の血
られるというこれまでの我々の経験に基づいている.
村木良一:(慶大):①linear
typeとplaque
type
Recklinghausen病腫瘍細胞増殖に影響する患者血
との差は単に部位による差と考えられるか? それと
清透析画分について 石川 治,石川英一(群大)
も他の別の原因があると考えるか? ②自験例では抗
Recklinghausen病患者神経線維種より得られた培
核抗体陽性例はguttata
養細胞の増殖能に対する患者自家血清の影響を検討し
lesionを伴う例に多くみられ
た.本研究の統計ではいかがか.
た.患者血清の増殖充進作用は,
竹原和彦:①四肢,顔面にも明らかなplaque
type
S-100蛋白陽性細胞お
よび患者正常部皮膚由来線維芽細胞よりもS-100蛋白
をとる例があるので,単に部位によってplaqueと
陰性細胞に対して高かった.正常人由来線維芽細胞に
linearの形態をとるのみでなく,何らかの差異が
ついても,自家血清の影響を検討したが,その増殖能
backgroundに存在すると考えている.②guttataの
完進作用は低かった.患者血清中の増殖因子は,透析
皮疹はplaque
type の特殊型と考えており,LP型の一
性で分子量1000前後と推定された.
部にguttataの皮疹を伴うことが多く,抗核抗体も高
皮膚線維腫の臨床的ならびに病理組織学的検討 勝
値のものが多かった.
俣道夫(関東逓信)
籐野 倫(国立東京第2):morphea guttataは
昭34年以降約25年間に関東逓信病院皮膚科で切除し
linear morpheaよりもplaque
た皮膚線維腫160例190検体を臨床的,病理組織学的に
typeのものの辺縁に
生じ易く,このようなものはguttataを伴なわない通
検討.性別:男45,女113例.年齢:30,
常のplaque
複数個切除は21例.発生部位:大腿部が53と最多.大
typeのものより局所の予後は悪い.演者
のいう全身的免疫異常の背景を考慮するということに
40歳台に多く,
きさ:躯幹発生例が最大.線組芽細胞様細胞,組織球
賛意を表する.
様細胞,膠原線維の比率に従いF,
皮膚筋炎(成人)における肺線維症の予後 新井洋
ぞれの中間型に分類.それぞれの組織型について3者
H, Cの3型とそれ
181
東京地方会第613回例会(研究会)
間の移行,病変の位置,大きさなどとの関係を検討し
込んだ集学的治療法を試み,優れた成績を得た.Pepの
た.
投与は25mgX
皮膚線維腫の電顕的検討 勝俣道夫(関東逓信)
用の面で優れていた.
2 /day の筋注法が抗腫瘍効果及び副作
Pep十MMC療法はT3,T,症例
皮膚線維腫27例28検体をその病理組織学的所見と比
に対する奏効率を高め,ときにNi,
較し,電顕的に検討した.その結果,組織型でF型の
しても有効である.
構成細胞は主によく発達してときに嚢腫状に拡張し,
煩雑さを伴うものの頭頚部,四肢のSCCには優れた治
無定形または細線維状の物質を含むrERが目立つ縁
療効果をもたらす.
維芽細胞よりなり,H型は主によく発達したGolgi装
優れた結果を得た.
置とライソソームが存在する組織球様細胞,C型は主
悪性黒色腫のスタンプ螢光法による術中迅速診断法
N3,
M,症例に対
Pepの持続動注法は多くの手技的
Pep十ビタミソA酸の併用療法も
に細胞質内に長軸方向に走る微細線維束が目立つ線維
について 長島典安,兼松秀一,深田栄俊,花輪 滋,
芽細胞様細胞よりなり,中間型では相互の移行型と思
森嶋隆文(日天駿河台)
われる細胞も認めた.
黒色腫原発巣11例(SSM
delayed
cutaneous
metastasesの微細構造 鯵坂
4例,
NM
4例,
ALM
例)と対照23例(色素細胞母斑12例,色素性基底細胞
義之,吉野 裕,下田祥由(聖マリ医大)
上皮腫3例,黒色上皮性腫瘍8例)とにつき,腫瘤割
内臓癌原発巣を摘出後,再燃,再発が見られず完治
面からのスタンプ・スメア標本を作製.
したと考えていても,5∼10年以上経過後忽然と皮膚
gasを10∼20分間処理,直ちに螢光顕微鏡下に観察.黒
に転移巣が出現することがある(delayed
色腫例ではいずれも螢光性黒色腫細胞の存在を容易に
cutaneous
formaldehyde
metastases).我々は過去10年間に乳癌7例,大腸癌1
確認しえ,黒色腫の迅速診断法として有用.原発巣の
例,胃癌2例の9例(1例は乳癌,胃癌の重複癌)を
病型によって剥離細胞の形態にある程度の共通点を認
経験した.皮膚転移巣は頭,頚,腹,大腿部など遠隔
めた.
部位にも見られた.光顕的には腺癌,未分化腺癌,単
悪性黒色腫stage
純癌であった.以上の症例についての転移巣の微細構
mized
造を検索した.
医大),石原和之(国立がんセンター)
当教室における皮膚悪性腫瘍の統計的観察一第2
bestatinは免疫能の低下又は欠損した宿主に於い
報:基底細胞上皮腫 川田 暁,近藤靖児,磯田 昇
て,免疫増強効果を示すことが知られている.我々は,
(東医歯大)
過去7年間に亘るphase
l,IIに対するbestatinのrando・
controlled study 増田哲夫,池田重雄(埼玉
l,II study にてbestatinが長
昭34年∼58年の25年間の当教室の基底細胞上皮腫
期間の連続投与に対し殆んど副作用を示さないことを
(色素性乾皮症患者のものを除く)の患者数は65例で,
確認. phase m として1980年2月より国内18施設に於
うち2例は多発例であった.男女比は6:5,平均年
いて,悪性黒色腫stage
齢は58歳であった.部位別では顔面45例,躯幹13例,
化学療法に加え,
被髪頭部5例であった.臨床型は結節潰瘍型41例,表
studyを試みた.結果として,
在型10例の順に多かった.組織型は充実型24例,表在
trol群に対し有意にすぐれた成績を得た.
型12例,腺腫型9例,汗管様型6例,角化型2例,嚢
筋萎縮性側索硬化症における皮膚の変化について
腫型2例であった.
ー第2報一電顕所見 渡辺晋一(三楽),山田 清,中
Luna染色により腫瘍の間質に弾
Ib, IIの70例に対し,手術・
bestatinのrandomized
controlled
bestatin投与群がcon・
性線維が15例にみられた.
川秀己(東大),尾野精一(東大神内)
討 論
筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロンを特異的にお
木花いづみ(国立東京第2):統計の中で結節潰瘍型
かす原因不明の難病である.先に我々は本症患者8名
のうち3例に組織学的にsyringoid
の無疹部皮膚の生検を行ない病気の進行に伴い,病理
typeを示したも
3
のがあるが,特に,臨床的に特徴があったか.
学的に膠原線維束の減少,断裂・離開,細小化を認め,
川田 暁:ない.
かわりに弾性線維の増生を確認し,本症が単なる神経
SCCに対するpeplomycinを組込んだ集学的治療
疾患でないことを指摘した.今回はさらに電顕的観察
法の試み 清原祥夫,鈴木 正,池田重雄(埼玉医大),
を行ない,膠原線維のまわりにmicrofibril様の無構造
松中成浩(和歌山医大),石原和之(国立がんセンター)
物質の増生をみ,しかも膠原線維からの移行像を認め
最近7年間に86例のSCCに対しpeplomycinを組
た.
学 会 抄 録
182
freeze-fracture電顕法による老人性疵贅の観察
braneにfilipinが入り込まない理由は何か? ②
平本 力,北島康雄,矢尾板英夫(自治医大)
丘lipinは如何にして入手するのか.
freeze・fracture電顕法で観察される腫瘍細胞膜の
北島康雄:①局性のあるリピドミセルは膜状ラタラ
接着構造や物理的性状を,上皮性皮膚腫瘍の分化・悪
ルに,トリグリセリドのドロップレッドはホモジナス
性化のmarkerと考えている.今回は老人性吏贅を4
に割断されることがほとんどである.②通常コレステ
例検討.正常に比べ,
ロールのフリー型は膜内にのみ,エステル型はリポプ
desmosomeは不規則で長い形で
あった. tight junction は観察されず.
gap junction は
ロテイソや細胞内リピドベジグル内に存在している.
より発達の悪いものがわずかにみられた.細胞膜P面
パルス・レーザー(577nm)照射後の正常皮膚血管
での膜内粒子数は約2倍.核膜孔はやや大きく,密度
変化の電顕的研究 中川秀己(東大),
O.T.TanJ.A.
が増加していた.
Parriah
討 論
577nmのパルス・レーザーでsuperficial
新妻 寛(東海大):①膜内粒子が多いと言うが,こ
中心に選択的血管の変化がみられた.
れの生物学的な意義は如何? ②膜内粒子の本態は何
では,他の組織,細胞への傷害は殆んど見い出し得な
か?
かった.興味ある所見は,血管腔内に800A程の穴を持
平本 力:①cell
(ハーバード大)
plexusを
Threshold
つ不規則な電子密度の高い物質がみられた事である.
cycleの宜進しているpsoriasis
で1-M particule が増加している報告がある.またI-M
これは,赤血球の熱変性過程における蒸気生成の際,
particuleの一部はmembrane
形成されたものと思われる,
fixed protein enzyme
であろ気 これと合わせて考えると,(推論であるが)
討 論
metabolismの充進を示唆あるいは平衡するものであ
滝内石夫(昭和大藤が丘):赤い色に577nmがよく
るのかもしれない.②赤血球膜を用いての実験で,脱
吸収されるのか.
蛋自後にI-M
中川秀己:oxyhemoglobinの吸収度は黄緑色の577
particuleのほとんどが消失することか
ら蛋白であることが証明されている.蛋白の生化学的
nmが,橿色のアルゴソ(488,
差異とfreeze-fracture電顕法で観察されるI-M
par-
514)よりも良い.
表皮のUVA照射による即時型黒化反応のin
vitro
ticuleの対応は不明である.
における検討 沢村大輔,佐藤静生,木内一佳志,橋
北島康雄:①ブロッホII型の老人性犯贅の
本 功,帷子康雄(弘前大)
basal oid cell の細胞膜は基底細胞上皮腫とはタイト接
UVAによる黒化反応は,黒色腫細胞(メラノサイ
合,ギャップ接合の有無と数において明らかに異なっ
ト)に起こらず,
ている.つまり後者にはこれらの接合が非常に多く,
ヒト表皮下層細胞に起こった.その黒化反応は,
前者にはほとんど見られない.
vivoのimmediate
培養表皮細胞の膜系におけるコレステロール分布様
た.またその黒化反応へのsuperoxide
態一freeze-fracture
制効果は,わずかに認められたが,有意差はなかった.
cytochemistry一 北島康雄,矢
percoll密度勾配遠心分離法にて得た
pigment
in
darkeningに類似してい
dismutaseの抑
尾板英夫(自治医大),関谷 孝,野沢義則(岐阜大生
討 論
化学)
北島康雄(自治医大):分離は層状にどの程度うまく
フィリピンはポリエン系の抗生物質で,フリーのコ
分離されたか.
レステp−ルと結合し,生体膜や人工膜中に小隆起
佐藤吉昭(東医歯大):①光源は何を使ったか.照射
(250A)を形成する.この小隆起はフリーズフラク
DNase処理はしたか.
時間はどの位か? ②対象の皮膚色はごく平均的な日
チャー電顕で膜面上に観察され,膜内におけるコレス
本人か?
テロールの分布のプローブとなる.この方法で培養表
沢村大輔:①特にDNAaseやenzymeをinhibitor
皮細胞を観察したところ,デスモゾーム,ギャップ結
とするproteinはpercollのdensityの時に使用して
合,ピノサイトの膜部,および,細胞内脂質小胞はラ
いない.②UVBを除くフィルターも必要である.
ベルされなかった.また,核外膜は強く,内膜は弱く
8-MOPおよびAFB,の光癌性について 永代絹
ラペルされた.
男,池田重雄(埼玉医大),
討 論
新妻 寛(東海大):①lipid
(Texas
vesicleのunit
dose
mem-
B.H.
Way,
P.S.
Song
Tech. University)
8-methoxypsoralen
(8-MOP)およびaflatoxin
B1
183
東京地方会第613回例会(研究会)
(AFBi)と長波長紫外線(UVA)による光癌性をhair-
C. albicansはサブl=・一培地ではタンパク分解酵素
less miceを用いて比較検討した.皮膚腫瘍は8-
を産生しないが,ヒト皮膚角層添加培地中ではこれを
MOP十UVAによって生じたが,AFB,十UVAではで
分解するKPaseを産生すること,その生化学的性状,
きなかった.組織:solar keratosisあるいは
阻害機構等については既に報告した.そこで今回は,
squamous
cell carcinoma
だった.リンパ節転移はな
ヒト角層巾の線維性分画又は膜分画添加培地,いずれ
し. AFB,の化学構造およびDNAに対する反応性は8-
においてもKPaseが産生されることを明らかにした.
MOPに類似しているが,マウスの皮膚に対する光癌
次に菌寄生角層の電顕的観察にて膜成分を貫通して菌
性は異なった.
糸が細胞内に侵入する像をとらえ,これを裏付ける所
培養細胞におけるヘマトポルフィリン誘導体
見を得た.
(HpD)とレーザー光照射による殺細胞効果 金井貴
討 論
子,馬嶋真喜子,平林 徹,加藤武男,大井綱郎,古
滝内石夫(昭和大藤が丘):培養後期に菌数が減じて
賀道之(東京医大),川崎 丁(都立大久保)
いくのかは何故か?
正常ヒト皮膚由来培養株(JTC-17)とメラノーマ由
来培養株(HMV-I)を用いて,
徳田安章(東京医大):爪について知見があれば教え
hematoporphyrin
der-
ivative (HpD)十レーザー光照射による殺細胞効果を
検討した.
洗浄し,
Mimsが口腔のopportunistic
infection
において細胞膜を仮性菌が貫通している電顕像を出し
HpD25y/inlを含む培養液で24時間培養後
argon dye laser beam
て頂きたい.
ているが,
を照射面で4mW/c
「
KPaseないしProteinaseの観点から研究
されると意義深いと考える.
4分間照射し経時的変化を電顕的に観察した.照射5
坪井良治:①接種菌数は106個/mlである.
分後よりmitochondriaの変化が見られ,30分後JTC-
でも同様な所見を得ている.②爪を基質とした場合に
17ではmitochondriaの膨化,空胞化が見られ,
HMV-
Iではmitochondriaの基質のdensityの増強と小型
10*個/ml
はヒト角層を100%とした場合約14%分解する.また
KPaseもある程度産生されるようであるが,現在,検
化が認められた.
討中である.③菌の増殖が培養10日以後抑制されるの
討 論
はpHの上昇と関係がある.
北島康雄(自治医大):①細胞の亀裂は膜の脆弱性と
lichen
いうよりは細胞骨格,細胞内タソパクの構造構築性な
用いたムコ多糖代謝の検討 山崎雙次,柳瀬信一,古
どによると考えられた方がよいと思火②ミトコソド
谷達孝(猫協医大),高岡聡子(同 組織培養研究セン
mixedematosus患者皮膚培養線維芽細胞を
リアの変化自体が直接にHpDがミトコソドリアに
ター)
入ったということを必ずしも示さないと思気
28歳男. lichen myxedematosus.
佐藤吉昭(東医歯大):①この効果はdirect
thermal
effectか,それともphotochemical
hypereffect
か?
病変部皮膚より採
取培養した皮膚線維芽細胞を用い,アルシアソブルー
染色所見,3H-glucosamineを用いての細胞および培
養液中のムコ多糖合成能,合成ムコ多糖中のHAの比
川崎 了:photochemical
reactionによるもので
率,培養液中への排泄などについて検索を行なった.
あり,熱エネルギーによるものではない.
結果八ヽずれも患者線維芽細胞と正常ヒト線維芽細胞
四物湯投与時における皮表角層の水負荷試験につい
との間に差は認められなかった.
て 高田任康,永井 寛(大宮赤十字)
凍結乾燥ブタ皮膚抽出液によるヒト補体の活性化
正常人,アトピー性皮膚炎患者等に四物湯を服用さ
古賀道之(東京医大),今井 進(佼成形成),川崎 了
せ,その前後4回にわたり水負荷試験を施行し水分含
(都立大久保)
有状態,吸水能,水分保持能を測定した.その結果,
2種の凍結乾燥ブタ皮膚(表皮と佩皮よりなる
前腕で78%,肩甲部で61%の患者において測定値の改
LPS,真皮部分のみのLDPS)より生食抽出液を作製
善を認め,また自覚症及び皮膚所見の改善ともおおむ
し,正常ヒト血清に作用させて補体系の動きをみた.
ね一致した.
LPS,
C.
動上C3のconversionがみられた.しかしB因子の
albicansの産生する角質溶解性タンパク分解酵
LDPSとも血清CH
50を低下させ,免疫電気泳
素(KPase)の基質特異性について 坪井良治,広谷
conversionはなくC3の変化もEGTAで阻止され,さ
哲也,粟田依幸,岩原邦夫,小川秀興(順天火)
らにC1活性も低下していた.以上から抽出液はヒト
学 会 抄 録
184
C1に働き,
classical pathwayで補体系を動かすと思
ると考えている.
われた.
後天性表皮水庖症(EBA)抗原の各実験動物及び各
討 論
臓器内分布とその特性について 吉江増隆(関東逓
西川武二(慶大):他に直接C1に働いて補体系を活
信),玉置邦彦(東大)
性化させるものがあるか?
後天性表皮水庖症(EBA)は,免疫電顕学的にbasal
古賀道之:protein A,
lipid A,その他plasm
in,
laminaの真皮偏にlgGの沈着を認め,栄養障害型表
trypsin等の各種proteaseが,その様な作用があると
皮水庖症と同様の臨床症状を呈する疾患である,今回
報告されている.
免疫電顕学的に確診された本症例患者の流血中抗基底
西川武二:広範囲に患者に使用した場合,全身的影
膜抗体を用いて,EBA抗原の各実験動物及び各臓器内
響があるか?
分布を検索し,併せて非酵素学的に表皮真皮を分離し
古賀道之:現在検討中である.
たヒト皮膚などを用いて,その生理学的特性について
Pam細胞および培養ヒト表皮細胞より抽出した類
考察を加えた.
天癒懐抗原タンパクについて 清水 宏,木花 光,
HNK−1抗体と皮膚汗腺の反応性 安藤巌夫,玉置
多島新吾,西川武二(慶大)
邦彦(東大)
Pam細胞(マウス由来培養表皮細胞株)および培養
モノクロナル抗体HNK-1
ヒト表皮細胞より抽出したタンパクをSDSゲル電気
胞をはじめとする.特定のリンパ球subpopulationに
泳動で分離し,
対する抗体である.この抗体はリンパ球の他,末梢神
Western-blottingによりnitrocel-
lulose膜へtransferした.
nitrocellulose膜を類天庖
塘患者血清および正常ヒト血清と反応させたところ,
(anti-Leu 7)はNK細
経や一部の神経内分泌腫瘍とも交叉反応を示すが,今
回我々はHNK−1がエクリン及びアポクリン汗腺を
類天庖塘患者血清と特異的に反応するタンパクを数種
も染色する事実を示す.染色されるのは分泌部の腺腔
見い出した.このタンパクは患者の精製lgGとも同様
形成細胞で,特に腺腔に面した部位に染色性が強い.
に特異的に反応し,吸収試験も陽性.以上から類天庖
討 論
盾抗原タンパクである可能性が示唆された.
清 佳浩(昭和大藤が丘):1次抗体の反応時間が長
討 論
い理由は?
北島康雄(自治医大):Pam
cell とヒト培養細胞か
斎田俊明(東大分院):汗腺における陽性所見が不均
ら抗原に対して同一患者lgGは異なったパターンを
一で,陽性部分と陰性部分が不規則に分布してみられ
示したか.培養時期において同一細胞でも同一患者
るのは何故か?
lgGに対して反応性の差があったか.異なったヒト(個
北島康雄(自治医大):汗腺の内腔と細胞質では細胞
人)から得た細胞からの抗原ではどうか.症例の分類
内穎粒の管腔側のものが染まっているようにみたが,
をこの方法を用いて行なうとするとコントロール抗原
分泌物が染色されたと考えてよいか.免疫電顕ではど
をどのようにとっていたらよいとお考えか.患者由来
うか.
の表皮細胞は異なった抗原ペプチドを産生しなかった
安藤巌夫:①染色されない汗腺も存在するのはcell
か?
cycleの違いなどによるものではないかと推測してい
清水 宏(慶大):検出される類天庖膚抗原はPam
る. HNK-1の抗原はまだ詳しくは分かっていない.②
細胞,ヒト培養表皮細胞で必ずしも一致しない.類天
陽性部が汗腺の内腔側に強められることより分泌物に
庖唐抗原はbasal
関連した抗原ではないかと思われるがこの点を明らか
cellからつくられることになってい
るが,我々の実験でもbasal
cell rich な培養初期の培
にするためには免疫電顕などを行なう必要があると思
養ヒト表皮細胞からなり,あるいは角化しはじめた細
兄
胞から抽出したタンパクとでは,陽性として検出され
抗セントロメア抗体の臨床分布について 相馬良
る類天庖膚抗原のパターンは異なるが,それは予想通
直,竹原和彦,石橋康正(東大)
りであった.我々の結果からは類天庖唐抗原タンパク
各種疾患における抗セソトロタア抗体について検討
はsingle
した.陽性例はPSS
proteinではなく,多様性であることは確実
8/62 (13%),
SLE
2/14 (5%),
であるろうと思う.それら各種の抗原タンパクの有無
Raynaud病3/7
(43%)であり,他にPSS患者家族,
により類天庖唐が臨床的に分類されていく可能性もあ
尋常性白斑,肝硬変に各1例みられた.限局性強皮症,
東京地方会第614回例会
皮膚筋炎,
MCTDを含むoverlap症候群,
cutaneous
185
い.また, CREST症候群の定義がきわめて混乱してい
LE,水庖症,正常人には陽性例なし.抗セ抗体陽性
ることも指摘したい.
PSSはBarnettのtype
mixed
l,IIに限られ,
点と低く軽症型であったが,
scoreも1∼4
CREST症候群の5症状
passive haemagglutination
(MPHA)法に
よる抗マウスメラノーマ抗体の検索(第1報) 石井
をすべて有する例は見られなかった.
晶子,斎田俊明(東大分院),柴田洋一(虎の門輸血部)
討 論
C57BL/6mouseにB16
清水 宏(慶大):CRST,あるいはCRESTと診断
移植し,血中抗体価の推移をMPHA法により検索し
した症例は全例省いているのか?
た.MPHA法は,
相馬良直:はっきりした(狭義の)CREST症候群は
培養後固定し,被検血清稀釈系列,抗mouse
なかったので,特に比較検討していない.
ed sheep RBCを加え,静置後抗メラノーマ抗体の存
CRESTの5
mouse
melanoma
(mm)を
Bl6mmをU型microtiter
plate に
IgG coat-
症状をすべて満たすものは1例あったが,躯幹に硬化
否とその抗体価を判定する方法である.
が及んでおりCREST症候群とは呼ばない方が良い
長期間培養されたB16mm細胞1×105,1×106個を皮
と考えられる.この例は抗セソトロyア抗体陰性であ
下局注し,約40日後まで観察した.肉眼的には腫瘍の
る.
発育を認めなかったが,抗体は移植後約7日頃より検
竹原和彦:本邦では厚生省の研究班で明らかにされ
出された.
in vitroにて
ているように,狭義のCREST症候群はきわめて少な
東京地方会第614回例会(昭和59年9月29日)
● 城 東(東医歯大)
物質を透見及び排出する.右第3趾背にも1.3X1.3cm
右腹部帯状癒疹部に一致して著明な腹部膨満を来た
大の結節が存在し,黄白色調の物質を透見する.血清
した1例 河合 清,安田和正(東女医大第2)
尿酸値lO.lmg/dlと高値,
72歳女.右下腹部に疼痛を伴う皮疹が出現し,ほぼ
結晶様物質を認めた.高尿酸血症の治療開始後,結節
同時に該部に柔らかい膨満が出現した.帯状庖疹の増
は消退した.
大とともに腹部膨満も増大したが,便秘以外のイレウ
juvenile pemphigoid
RA
test陰性.組織:針状
の1例 内海雅雄,安達幸彦,
ス症状は認めず.また,胃十二指腸透視や注腸透視等
石川英一(群大)
の検査にても特に異常は認めなかった.帯状庖疹の軽
6歳女児.四肢・外陰部に粟粒大から小指頭大まで
快に従って腹部膨満も軽快はしたが,発症後1年近い
の緊満性水庖が多発.組織学的には表皮下水庖,螢光
現在も,なお,残存している.
抗体直接法でlgAの線状沈着をBMZに認めた.
ピアス型イヤリングによる金皮膚炎の1例 正橋見
chronic buUous
佳子,矢島 純,服部怜美,本田光芳(日医大)
間接法にて循環抗基底膜抗体(lgG)が40倍陽性である
disease of childhood
と思われたが,
32歳女.初診昭59年7月.初診の約5年前より18金
ことから, juvenile pemphigoid
製ピアス型イヤリングを装着.初診の約2年前より,
えた.治療にはDDS
のvariantであると考
両側耳柔に癈蝉性紅斑,漿液性丘疹が出現し,夏期に
良く反応したが再燃傾向もみられた.
増悪していた.今回初診の1ヵ月前より皮診が増悪し,
プロピオン酸クロベタソールの外用で皮疹の改善が
当科を受診.皮疹はステロイド外用剤にて約2週間で
みられた先天性表皮水痘症の1例 狩野俊幸,鈴木正
軽快した.貼布試験にてニッケル及びコバルトは陰性,
之,青木重信,多田 茂,北島康雄(自治医大)
シオソールは強陽性であった.
20歳男.生下時より外力のあたる部位に水庖の発生
痛風結節の1例 下妻道郎(東大)
と同部の癩痕形成がくり返しみられた.1歳頃手足の
74歳男.初診昭59年3月3日.初診の約5ヵ月前よ
爪は脱落.1歳半頃より両手指の屈曲拘縮が始まり,
り左第3趾背に硬い結節が出現.きつい靴をはいてい
15歳頃には両手指端が手掌に癒着した.開口制限があ
たところ,黄白色調の内容物が出てきた.初診時左第
り,歯牙の多くは萬歯である.臨床および組織学的に
3趾背に1.7×1.5cm大の結節が存在し,黄白色調の
栄養障害型先天性表皮水庖症と診断.フェニトイン内
25mgとプレドエソlOmgを用い,
186
学 会 抄 録
服で薬疹,アスコルビソ酸内服で無効.プロピオソ酸
めたRecklinghausen病の1例 相馬良直,岩田
クロベタゾールの外用で明らかな皮疹の改善,新生水
充,飯島正文(東大分院)
庖数の減少をみた.
DLE様皮疹を伴った線状強皮症 竹原和彦,土田哲
也(東大),大原国章(虎の門)
31歳女.幼少時期より,右前頭部に脱毛を伴った硬
化性局面あり.25歳時より,鼻背,両眉毛部に萎縮性
紅斑出現.現症:右前額部から右前頭部にかけて,帯
状の脱毛を伴った硬化性陥凹局面が存在.同局面内2
ヵ所と鼻背,両眉毛部に爪甲大までの角化性紅斑局面
が散在.組織:前者は限局性強皮症,後者はDLEに一
致する.全身諸検査で特に異常を認めず,治療:右前
頭部の脱毛局面に対して有茎皮弁術にて再建した.
pilonidal sinus の2例 借田 晃,近藤靖児,古井
良彦(東医歯大)
30歳男と32歳男.ともに毛深い.両側とも数年末仙
尾骨部に,腎裂にそった索状の皮下硬結を触れた.近
医で切除後も再発,化膿をくり返す.上下2ヵ所に痩
孔を認め,その周囲に軽い発赤と圧痛あり.広範囲切
除した標本中の痩孔内には毛髪東を認めた.組織:真
皮内に毛髪を含む重層扁平上皮からなる管状構造物が
あり,その周囲にリンパ球・好中球・巨細胞よりなる
桐密な細胞浸潤か見られた.
Chediak一束症候群の1例 二瓶義道,行水弘真佐
(群大),三宅 浩(同小児科)
5歳男児.乳児期より顔面,躯幹に斑状の色素脱失
を認める.毛髪は灰褐色で眼球振渥をみる.1年前よ
り腎孟炎,咽頭炎の徴候とともに発熱をくり返し,昭
59年6月当院小児科入院.肝牌腫,顎下部リンパ節腫
9歳男児.初診昭58年10月14日.頚部,躯幹に米粒
大∼貨幣大の褐色斑が多発,左腹部から背部にかけ巨
大な色素斑を認める.色素斑上の左下背部には12×7.5
cmの扁平隆起性局面があり表面に毛孔性丘疹が多数
散在,また同部皮下に肋骨の方向に一致した念珠状索
状物を触知する.右眼には虹彩小結節あり.背部隆起
性局面の組織像では,
plexiform
neurofibroma
中∼上層にまで増殖,毛包は闘犬し角質物質を容れた
小嚢胞を形成する.
infantile
digital fibromatosisの1例 守田英治
(国立習志野),竹内 孝(同整形外科)
7ヵ月男児.初診:昭58年7月20日.出生時より,
左第2趾末節背面に小腫瘤あり,徐々に増大.初診時,
10×8×5mmの淡紅色,弾性硬の半球状腫瘤.生検組
織:表皮直下から真皮全層に,膠原線維と,好酸性封
人体を有する線組芽細胞様細胞の増生.電顕:封人体
は,細線維の集合で,封人体に連続する細線維束に,
dense bodyが認められた.
エックリン汗孔腫の1例 斎藤直子,木下茂美(東
女医大第2)
57織女.30年前より右足底に小指頭大の紅色腫瘤が
出現し,最近急に増大してきたため来院す.現症:右
足底ほぼ中央に直径20mm高さ8mmの淡紅色,広基性
扁平キノコ状で易出血性腫瘍あり.表面は平滑,一部
穎粒状を呈し弾性軟.組織:表皮から真皮に向って増
殖した腫瘍塊があり互いに分岐増殖している.腫瘍細
胞は有無細胞よりやや小型で明るい円形ないし立方形
大を伴う.末梢血穎粒球中にPAS陽性の巨大穎粒を
を呈する.以上の所見より本症と診定した.
みる.白斑部組織像:DOPA反応陽性,電顕にて基底
papilloma
細胞,メラノサイト内に大型のノ・ラノソームをみた.
cafe-au-lait斑を合併したnevoxanthoendotheliomaの1例 尹 弘一,竹原和彦(東大)
1歳3ヵ月男児.初診:昭59年2月3日.宗族歴:
両親に血族結婚および同症なし.既往歴:てんかん等
神経症状はなく発育は順調だがscoliosisあり.現病
歴:生下時よりアザが多いのに気づき近医受診しレッ
クリングハウゼソ病の疑いがあると言われる.生後4
∼5ヵ月頃,腰部に淡紅色の半米粒大の小結節に気づ
く.現症:ほぼ全身に大小様々な茶褐色斑散在.腰部,
が真皮
virusを証明したbowenoid
papulosis
の1例 服部 瑛(前橋日赤),中島 孝(国立がんセ
ンター病理)
26歳男.初診:昭58年U月100.現病歴:8月より
陰茎部に丘疹出現.性的接触の機会あり.現症:亀頭,
包皮に半米粒大前後の扁平小丘疹散在,一部集族.自
覚症なし.組織:角質増殖,表皮肥厚あり.表皮では,
表皮細胞の大小不同,配列の乱れ,個細胞角化,
clump・
ing cell, 分裂像増加などが認められボーエン病の組織
像とヽ一致した.酵素抗体法にてpapilloma
specific common
virus genus
antigen陽性.
背部に淡紅色の半米粒大までの小結節散在
DLE上に生じたSolar
pachydermatoceleの部に一致して毛孔性丘疹を認
暁,近藤靖児,墨田 晃(東医歯大),小宮 勉(船橋
市)
keratosisの1例 川田
187
東京地方会第614回例会
44歳男.
2, 3年前より両耳前に皮疹出現.続いて顔
ら骨膜におよぶ紡錘型∼多形,大型の腫瘍細胞の浸潤
面の他の部位にも同様の皮疹がみられ,1年前より鼻
あり.腫瘍細胞の多くはし銀線維で囲まれる不完全な
背の皮疹が隆起してきた.現症:両耳前,上口唇,両
管腔を形成し,内腔に赤血球を容れる.
頬,鼻背に碗豆大までの紅色丘疹散在.鼻背に角化性
皮膚および骨膜広範囲切除,頭蓋内腫瘍残存.電子線
小結節を伴った栂指頭大の浸潤を伴う紅斑あり.組
照射,
織:鼻背紅斑部ではDLEに典型的.隆起部は,過角
し. PEP総量97.5mgで呼吸因難を伴う聶麻疹様の薬
化,表皮肥厚,有無細胞の大小不同・配列の乱れ,核
疹をおこした.
の異型性,個細胞角化あり.
PEP,
Al-P染色(十).
VBL投与により1年3ヵ月再発転移な
● 城 西(帝京大)
長期PUVA療法後に生じたactinic
keratosisの
マダニの2例 奥野哲朗,北村忠兵衛,溝口昌子(帝
1例 染谷 通(東大)
京大),奥野昭三(熊谷市),神長次郎(茨城県)
66歳男.初診:昭52年2月16日.尋常性白斑の診断
症例1,
にて昭和56年末まで約5年間毎日PUVA療法施行.
県赤城山に行き,2日目に陰嚢部の腫瘤に気付く.現
昭和57年初めより右腹部に小豆大ほどの表面凹凸不平
症:陰嚢左側にやや白色調小豆大の虫体あり,周囲軽
の角化性丘疹1個出現.その他,体幹,大腿部に米粒
10歳男.現病歴:昭59年7月1,2日群馬
度発赤,左鼠径リンパ節触知.
ixodes nipponesis (ヤ
大ほどの角化性丘疹が多発してきた.右腹部の皮疹は
マトマダユ)雌と同定.症例2,
76歳女.茨城県在住.
切除し,左大腿部の角化性丘疹を生検した,組織:両
昭58年にもマダユの既応あり.現病歴:昭59年7月13
者ともactinic
日庭の草取り後,背部の虫体に気付く.現症:右上背
keratosisの像を呈した.
右手背に生じたeccrine
porocarcinomaの1例
部に虫体あり,周囲軽度発赤,組織学的に検討.
瀬野寿理,井上俊一郎,金沢一也,山根康弘(自治医
マダニ人体寄生の走査電顕的観察 青木清子(埼玉
大)
中央),幡場良明(慈医大形態研)
74歳男.6年前に右栂指基部に外傷.2年前より同
30歳女.大菩薩峠で罹患.虫体の皮膚剌入部を切除
部に紅色腫瘤が出現し徐々に増大,昭59年4月10日当
し,光顕,走査電顕を用いて観察した.現症:左前胸
科受診.初診時,径25×20mmドーム状に隆起し,表
部に鳩卵大の淡紅褐色斑をみる.その暗紫紅色部に黒
面は微細穎粒状で,点状出血を伴った腫瘤を右栂指基
色ゴマ粒大の虫体が残存する.光顕:真皮に血栓,血
部に認めた.所属リンパ節腫脹なし.組織:表皮内の
管周囲性細胞浸潤,赤血球遊出を認める.走査電顕:
腫瘍細胞は腺腔を形成し,一部真皮内へ浸潤.特殊染
露出3断面を観察した.虫体の顎体部は皮表にみられ,
色ではsuccinic
その先端より口下片が真皮に刺人する.口下片の歯は
dehydrogenase,
acid phosphatase,
β・gluculonidase染色陽性.転移は認められない.
セjソト様物質にかこまれる.
毛包系分化を示した悪性腫瘍の1例(malignant
松脂成分による接触皮膚炎 羽田俊六,生野麻発子
trichilemmal
(済生会川口)
cyst か)藤條善彦,平本 力,加藤英
行,北島康雄(自治医大)
症例1,
23歳女.両眼険部の皮膚炎.使用中のアイ
86歳女.発症は不明であるが,数年来あったと思わ
ライナーのパッチテスト(PT)陽性.成分16種類のPT
れる.右背部の腫瘤が次第に増大し,一部潰瘍化した
でペソタエリスリトールアビエチソ酸(PEAA,10%,
為当科受診.初診時半小児頭大(18×13×15cm),表面
5%
in pet)のみ陽性.症例2,
55歳男.電気技術者.
凸凹不整,膿苔附着,中央潰瘍化,易出血性.組織:
再発性の顔面皮膚炎.糸パンダの煙で皮膚反応陽性.
2種類の分化を示し,第1は嚢腫様構造であり,嚢腫
PTではパンダの両断端部に陽性反応あり.
壁は穎粒層を経ずに角化し,
PTも陽性.2例ともbalsam
trichilemmal
keratiniza-
PEAAの
of peru のPTは陰性.
tionを呈する.第11は一部に管腔形成を示す好塩基性
c010phonyのPTは施行していない.
の充実性腫瘍塊である.右肢嵩リンパ節に転移巣が認
ホウ酸亜鉛華軟膏(BZS)による接触性皮膚炎 山
められた.
本恵理子,加藤万季,鈴木伊津子,加藤武男,権東 明,
悪性血管内皮腫の1例 小林まさ子,長谷川 隆,
大井綱郎(東京医大)
若林正治,藤田 優(千大),宮本忠昭(放医研)
73歳男.約1年前より頚部に湿疹出現し,しだいに
73歳男.頭頂部の3×3cm.紫紅色腫瘤,中央潰瘍形
汎発化. BZSを使用したところ増悪.
成.組織:中央の出血壊死を取り囲んで.真皮上層か
BZS成分貼布試
験にてサラシミツロウで陽性.サラシミツロウをカラ
188
学 会 抄 録
ムクロマトダラフ4−で分離し,薄層クロマトダラ
友).
フィーによる組成のチェックを行ない6つに分画.6
16歳男,初診昭59年2月7日.主訴:躯幹,四肢の
分画の貼布試験を施行したところ2分画で陽性.その
水庖.既往歴:特記すべきことなし.家族歴:母,姉
分画は,脂肪酸とエステル混合物と遊離アルコールと
に同症あり.現病歴:生下時より水庖か出現.現在ま
推定される.
で新生を繰り返す.現症:躯幹,四肢に棄爛,水庖が
chlorhexidine
gluconate
(ヒビテン)外用でアナ
多発.癩痕,爪のジストロフィーも認めた.口腔内病
フィラキシー様症状を呈した1例 甲原資秀,田中友
変(−).組織:表皮下に水庖を認めた.電顕:水庖は
紀子,中條知孝(杏林大)
basal lamina
17歳男.初診:昭59年4月17日.主訴:全身の膨疹
を類天庖唐患者血清と反応させたところ,水庖蓋に螢
の下方に存在.螢光抗体法:水庖部皮膚
及び呼吸困難.既往歴:昭51年3月,停留皐丸手術時
光あり.
ヒビテソ使用歴あり.現病歴;右上腕外側の毛孔性苔
後頭部に見られたリウマチ結節の1例 田中由比,
癖部を軽石で強く擦過,同部に1%ヒビテソ消毒用ク
堀川既朗,竹島真徳,溝口昌子,高橋 久(帝京大),
リームを外用したところ,全身に膨疹,呼吸困難,血
西牧丈夫(同内科)
圧低下をきたした.主成分であるchlorhexidine
55歳女.現病歴:7年来悪性関節リウマチにて当院
gluconateのスクラッチテスト,皮内反応は,
0.1%,
内科入院中.昭58年12月より後頭部の腫瘤に気づく.
0.01%で陽性.二重免疫拡散法では2本の沈降線を認
現症:後頭部に栂指頭大までの皮下結節を3個認め
めた.
る.表面皮膚は淡褐色を呈し弛緩性である.皮下結節
討 論
は固く下床と癒着.検査:抗核抗体(十).
三浦 隆(帝京大):20歳男の同様例を246回東北地
lgG高値をCRP(6十).組織:皮下組織中にフィブリ
方会(昭和59年5月20日)において報告してある.
ノイド壊死巣を囲んで組織球が柵状配列をなす
pyostomatitis
palisading granuloma
vegetans
の1例 岡村理栄子,肥田
RA(2十).
を認めた.以上より,頭部に発
野信(東女医大)
生したリウマチ結節と診断.
63歳女.2年前胃癌のため胃全摘.その後フトラフー
血清脂質異常のないeruptive
ルを投与され口内にアフタが多発.ステロイド剤外用
亮,棋 泉,上塚真理,山本達雄(都養育院)
するも効果なくフトラフール中止後も悪化.1年後ロ
66歳男.3年前より前胸部,上肢に自覚症状のない
唇に厚い痴皮が附着,口内に紅量を伴う粟粒大の膿瘍,
米粒大までの黄色皮疹が出現,徐々に増加.初診時,
慶爛が多発.ビロード状の増殖もみられた.口唇の組
体幹,上肢に半米粒天から米粒大までの黄白色,扁平
xanthoma 荒井
織像では,表皮の肥厚,真皮の形質細胞,リンパ球,
に隆起する皮疹が播種状に存在.組織:泡沫細胞及び
好酸球の密な細胞浸潤がみられた.プレドエソ20mg
巨細胞を混ずるリンパ球,組織球の増殖を見る.血液
内服し著効.半年後,再発がみられた.螢光抗体直接
学的には血清脂質,リポ蛋自分画を含め異常所見なく,
法陰性.
現時点で基礎疾患は発見されず,臨床よりeruptive
落葉状天恵廉の1例 寺内小枝子,川口新暉,高橋
xanthomaと診断した.
久(帝京大)
移動性血栓性静脈炎 増田光喜,禾 紀子,倉持正
67歳男.既往歴:アルコール性肝障害,現病歴:昭
雄,木村俊次(共済立川)
58年8月頃より全身に破れやすい水庖出現.現症:顔
57歳男.初診昭59年6月.主訴:両下腿の皮疹.既
面,躯幹,四肢に貨幣大までの痴皮を伴う紅斑散在,
往歴:39歳時脳卒中.現病歴:約1年前より両下腿に
一部に小水庖,栗爛あり.癈岸(+),粘膜疹(−).
有痛性皮疹が部位をかえで出没.現症:両下腿に圧痛
検査:白血球8600,抗核抗体(−),LE細胞(−),抗
を伴う索状の硬結性紅斑が散在する.組織:皮下脂肪
DNA細胞(−),MED正常範囲.組織:角層直下と一
織内の中等大静脈の血栓形成,内皮細胞増生,血栓内,
部穎粒層下に辣融解を伴う水庖形成あり.螢光抗体直
筋線組間への単核細胞の浸潤を認める.入院精査を施
接法で,表皮細胞間に,
行したが特に異常所見は得られず,現時点では特発性
IgGC十),C3(十).以上より,
落葉状天庖膚と診断.
と考えられた.
栄養障害型表皮水痘症の1例 大山克巳,多島新吾,
頚部に多発する白色丘疹性皮疹について 木村俊
西川武二(慶大),杉浦 月く清水市立)荒木由紀夫(警
次,清水 宏,禾 紀子,増田光喜,倉持正雄(共済
東京地方会第614回例会
189
立川)
やや減弱.術前,18〉く15×5mm大となる.軟部X線に
62歳女,75歳男,65歳男,52歳男の頚項部を中心に
てhomogeneousな腫瘤,CTで腫瘍層に一致した
粟粒大から帽針頭大の白色金∼黄白色,弾性硬の扁平
high density area あり.石灰化なし.組織:真皮上層
丘疹が20∼30個散在性・対側性に多発,自覚症状なし,
から深層にかけ,多数の拡張した管腔あり,線維性間
炎症症状の先行なし.組織:膠原線維采の粗大化・増
質が多く混在,特に深層に密.管腔は大部分リンパ管
加と弾力線維の減少とを真皮上∼中層に認める.これ
と思われる.
らの所見から本症をwhite
multiple
papulosis of the neck と仮
agminate
juvenile melanoma 折田正
称した.本症は加齢に伴う変化の1つと思われるが,
人,人交敏勝(中野総合),小原一則(同形成),小林
結合織母斑との鑑別も含めて,今後症例の集積と検討
美咲(都立墨東)
とを要する.
46歳男.3ヵ月前,右耳垂の紅色丘疹に気付く.皮
討 論
疹は次第に増大し,1ヵ月前には衛星疹が出現.現症,
溝口昌子(帝京大):stellate
spontaneous
pseudos-
右耳垂に直径12mm大の表面細願粒状,ドーム状に隆
carとの関連は?
起する弾性軟の暗赤色丘疹を認める.自覚症(−).周
三浦 隆(帝京大):老人ホームの検診報告で,前腕
囲には同様の直径3mm大までの丘疹を4個認める,組
にあるstellate
織:核の大小不同の著明な紡錘形∼類円形の腫瘍細胞
spontaneous
pseudoscarと同様の皮
疹が頚部にもあったとする例があるが,この点どうか.
が,表皮より真皮深層まで増殖.乳頭層の著明な浮腫,
清水 宏:臨床所見がstellate spontaneous
腫瘍細胞間に間隙を認める,異常分裂像(−).巨細胞
pseudoscarと明らかに異なり生検した10症例には,上
(−).
肢にstellate
黒色腫瘤を呈したeccrine
spontaneous
pseudoscarは1例もみら
poroma 山下典子(東
れなかった.したがって,本症とは別症と考える.
女医大)
肥m野信(東女医大):50歳以上の男女でかなり見ら
53歳男.小児期より左大腿中高内側に小指頭大黒色
れたことに以前から気づいていたが,今まで調べる
斑あり.13年前には栂指頭大に隆起,1年前より急速
チャンスがなかった.境界明瞭な丘疹で,象牙白色を
に増大,分泌物,出血を伴う.32×33×lOmm,茸状,
呈するなど70歳以上にみられるstellate
弾性軟,灰紅褐色,所々黒色を呈し,痴皮付着,膿汁
pseudoscar
とは全く異なる.
分泌を認めた.治療:悪性黒色腫も考え,3×7cmの範
清水 宏:総括的には1985年の日皮総会で発表する
囲に切除.割面は健常皮膚面より外表に突出した境界
予定であるが,
明瞭な黒色腫瘤であり拡大切除せず.組織:por・
new
clinical entity と考えている.
Favre・Racouchot症候群の1例 井手恵理,佐伯
oacanthomaの像以外の汗管への分化傾向が強く,大
紀孝,加藤武男,河島岳史(東京医大)
型の異型細胞を含む.
61歳男.家族歴,既往歴に特記すべきものなし.1
al》ocrine cystadenomaの2例 西村素,続本千
年前より左右頬部に自覚症状のない黄色丘疹と黒色面
春,肥田野信(東女医大)
庖の集族に気づく.臨床上同症候群と診断し皮疹部を
症例1,
生検.組織:表皮は非薄化,真皮に角質嚢腫が多発,
7mmの扁平な皮内結節.常色で弾性軟.症例2,
その一部は表皮に開口していた.エラスティカ染色に
男.10年前より存在し最近増大してきた左外眼角の径
よる丘疹に一致して強いsenile
8mmの球状の光沢ある淡紅褐色腫瘤.透光性(十九
elastosisがみられた.
33歳女.1年半前より生じた右頬内側の径
また検査では中性脂肪,βづポ蛋白の軽度上昇がみら
組織:2例とも線維性結合織に囲まれた多房性皮下嚢
れたが他に異常はない.走査電顕所見にっいても報告
腫で,嚢腫壁は大部分2層の円柱状細胞で構成され,
する.
一部乳頭状に突出し断頭分泌像をみる.
infantile
cavernous
digital
fibromatosis様の外観を呈した
lymphangioma
の1例 加茂明彦,江角安
PAS陽性.両
者共に切除した.
皮膚子宮内膜症の1例 大岡亜夕子,川崎 了,佐
治,船曳雄一,田嶋公子,池田重雄(埼玉医大)
藤徳枝(都立大久保),有輪六朗(同病理)
5歳男児.初診昭56年9月1日,生後3ロ目,右第
35歳家婦.約1年前に臍部の小腫瘍に気づく.表面
5指背面に自覚症状ない常色半米粒大水庖様皮疹に気
平滑.茶褐色,2×1.5cmの充実性腫瘍で月経に一致
づく.徐々に増大,2歳時13
して軽度の自発痛を伴う.人工妊娠中絶,開腹手術の
X 11mm,その後増大傾向
59歳
190
学 会 抄 録
既往はなく,婦人科的にも異常なし.皮膚子宮内膜症
漫性密な浸潤がみられた.黄色腫な巳良性組織球増
と診断し全摘手術を施行した.組織:真皮中層から深
生疾患との鑑別が困難であったが,原発卵巣癌との特
層にかけて,子宮内膜類似の構造をみとめ,増殖期の
殊染色などを用いた比較により卵巣癌の皮膚転移と診
像を示した.
断した.
湿疹続発性紅皮症における異型リンパ球浸潤の検討
隆起性皮膚線維肉腫の1例 厚田俊一,坂本哲也,
永田陽子,加藤万季,山本恵理子,加藤武男,大井綱
三原一郎,石氏道夫,新村淑人(慈医大)
郎(東京医大)
35歳女.初診昭59年6月4日.初診の10年程前より
症例1,
上胸部に淡褐色色素斑が出現.自覚症状なく放置する
28歳男.アトピー性紅皮症.四肢に苔癖化
局面.両側鼠径リンパ節腫脹あり.症例2,
接触性皮膚炎続発性紅皮症.症例3,
73歳男.
85歳女.湿疹続
も,漸次色素沈着が増強し,初診時,
15mm
X 10mm大
の腫瘤を触知した.組織像は一見,神経線維腫に類似
発性紅皮症.症例2,3共全身の浮腫性紅斑.全症例
していたが,皮下脂肪織内に柵状の浸潤性増殖が認め
の皮膚及び症例1のリンパ節にて,異型リンパ球の浸
られ,又SlOO蛋白(PAP法)陰性等により,隆起性皮
潤あり,いずれも悪性リンパ腫も考慮されたか,末血
膚線維の初期病巣と確定診断す.病変部より3cm以上
像異常なく,外ス剤にて軽快.異型リンパ球の酵素抗
離し,筋膜に達する深さまで切除し,経過観察中.
体法及び電顕所見につき検討を加える.
Bow
最近施行したALM
川端善司,新村陽子,田中洋子,岩井雅彦,藤渾龍一
2症例に対する手術療法 富田
en病の4例 平井ゆみ,鈴木 薫,佐々木聡,
敏夫,江角安浩,田嶋公子,池田重雄(埼玉医大)
(昭和犬)
症例1,
昭58年中に経験した14例中,臨床的にやや特異な4
72歳男.右母趾丘に大豆大紅色腫瘤出現,
周囲黒色斑.右鼠径リンパ節(小豆大)3個触知.症
例.症例1,
例2,
掌脈の角質増殖とともに左上腕に径2.5cm,胸部に栂
54歳男,右足底外側前方に大豆大紅色腫瘤出現,
63歳男.約50年前に亜枇酸内服の既往.
周囲黒色斑.右鼠径リンパ節は鶏卵大に腫大.術前
指頭大の局面.毛髪分析で水銀・枇素がやや高値.症
PAV療法1クール施行.手術:2症例とも大動脈分
例2,
岐部より浅・深鼠径リンパ節まで廓清,
en block に症
68歳女.左第3指背に小豆大の小結節を伴う
1.5×2.3cmの局面.症例3,
71歳男.左第4指背に径
例1は大腿骨中央より,症例2は転子下より切断,症
1cmの角化性局面.症例4,
例1はpT3
pNo
指頭大,不規則形∼迷圏状の角化性局面10個が集族.
例2はPT4
pN, Mo,術後2ヵ月,再発転移なし.
Mo,術後5ヵ月,再発転移なし.症
83歳女.背部に碗豆大∼栂
leiomyomaの2例 尹 淑香,堀江直茂(関東逓信)
丹毒様癌の1例 馬嶋真喜子,河島岳史,大井綱郎,
症例1,
徳田安章(東京医大)
4ヵ月前から増大し始め疼痛出現.21×31mmの隆起
63歳女.4年来の足底の皮下腫瘤.初診の
51歳女.約1年前に卵巣癌で両側付属器切除及び単
した弾性硬の腫瘤.組織:被膜に被れエオジソ好性で
純子宮全摘術施行.
胞体の豊富な細胞が縦横に錯走して増殖し随所に石灰
2-3ヵ月前から胸,頚,上腕を
中心に紅斑が出現し,徐々に拡大すると共に疼痛,腫
化をみる.症例2,
脹も出現.組織:真皮浅∼深層にかけて腫瘍細胞が増
下腫瘤.33×38mm,隆起し弾性硬.組織:被膜で被れ
殖.真皮浅層で腫瘍細胞がリンパ管を栓塞している所
多数の血管の周囲に症例1と同様の細胞が増殖.ムチ
見も散見され,丹毒様癌と診断した.丹毒様癌の原発
ソ変性を随所に認める.両例共,切除後再発を認めな
巣は,乳癌が最も多いが,卵巣癌は少ない.
し≒
● 城 南(東邦大大橋)
組織学的に良性組織球増生疾患との鑑別が困難で
あった,卵巣癌皮膚転移の1例 稲葉義方,三原一郎,
石田卓,新村真人(慈医大)
66歳女.半年前より出現し,漸次拡大する下眼瞼無
自覚疹を主訴に来院.初診時,下眼瞼の小指頭大,境
界不明瞭の浸潤性局面であった.組織:真皮浅層から
深層におよぶ,豊富な胞体を有する組織球様細胞の禰
56歳男.20年来の膝頭部外側の皮
multiple piloleiomyoma 平田仁子,細野久美子,
小野田 進(東邦大大森)
39歳女.初診昭59年6月19日.3年来,左上腕側に
有痛性の小腫瘤出現.現在:左上腕伸側に散在する小
豆大迄,皮表淡紅色∼紅褐色の硬い小腫瘤を15個認む.
自発痛,圧痛あり.寒期に疼痛増強.組織:HE染色上,
真皮全層にわたり被膜を持たない線維性腫瘍塊あり.
アザン・マロリーで赤染,エラスティア・ワン・ギー
ソソで淡黄染する平滑筋線維より成る.一部立毛筋と
東京地方会第614回例会
連絡.本邦報告例について統計的観察を行なう.
elasteidose
cutanee nodulaire
191
集,ケラトヒアリン穎粒の粗大化を認む.軟膏療法に
a kystes
et a
て治療を行なっていたが著効をみないため,昭59年8
com6donsの1例 山口文雄,金沢日英,斉藤文雄(東
月よりetretinate
邦大大橋)
る.
68歳男,農業.初診:昭58年12月12日.既往歴,気
(lmg/kg)内服にて著明な改善を得
硬化性萎縮性苔癖の3例 樋口由美子,長島典安,
管支喘息,掌吐膿庖症.約5年前より顔面,頭部に癈
森嶋隆文(日大駿河台),辻口喜明(杉並区),桑原京
律を伴った皮疹を生じ受診,光線過敏性皮膚炎と診断
介(保谷市).
された.その際,顔面に本症を思わせる皮疹を発見.
症例1,
項部には菱形皮膚(十),粉粒腫(十).諸検査成績に記
31歳女.3年前より下腹部に大小の境界明
確な黄白色表在性硬化性局面や羊皮紙様白色局面あ
すべきものなし.組織:表皮は非薄化,角栓形成(十).
り.症例2,
真皮内には嚢腫形成.真皮上層には好塩基性の線維集
色素斑,その後中央に不整形角化性白色局面と表面縮
塊を認め,ワイゲルト染色にて黒青色に染まる.
緬皺様白斑出現.症例3,6歳女.1年前より右下眼
subcutaneo。fat
necrosis of the newborn
の1例
35歳女.2年前より左鼠径∼大腿に褐色
瞼に類円形,境界明確な萎縮性白斑出現.組織:3例
石地尚興,望月恵子,上出良一,新村真人(慈医大)
とも,角質増殖,表皮萎縮,真皮上層の透明帯,膠原
副田敦裕,内山浩志(同小児科)
線維の膨化など典型的.
生後30日女児.母親は32歳,尿糖は陰性.初産.頚
管未成熟のためballoonによる分娩誘発施行.在胎40
週6日で経腔分娩.第2度仮死で出生.生下時体重
3,331g.生後7日目より左瞥部に発赤,腫脹,硬結を
異型角化細胞の認められたerythema
ab igne (ひ
だこ)の1例 田中源一,実川久美子,佐藤昌三,安
西 喬(日赤医療センター)
53歳女.赤外線ガスストーブを両下腿ではさむよう
生じた.痙撃発作,軽度脳浮腫あり.組織:皮下脂肪
な姿勢で使用.5∼6年来下腿に夏期にも消失しなtヽ
組織に組織球,リンパ球を主体とする細胞浸潤,針状
網状紅斑が出現.浸潤を触れ,角化性鱗屑を付着し,
結晶を認めた.電顕により,脂肪滴,針状結晶を貪食
一部丘疹状を呈した.組織:表皮細胞に巨大で, クμ
した組織球が観察された.
超音波療法が奏効したと思われるhypodermitis
マチソに富む核をもつ異型な細胞が認められた.他の
報告例で特徴とされる弾性線維の変化は認められな
sclerodermiformis 関口かおる,八木 茂,森嶋隆文
かった.紫外線による日光角化症と同様の表皮細胞の
(日大駿河台),石関 昇(草加市)
変化を,赤外線が惹起し得ることは興味深い.
60歳女.約10年前,右下腿,約5年前,左下腿に板
状硬の褐色斑が出現し,漸次拡大.現症:右下腿前面
から内側面にかけて広く,左下腿外側面では帯状に淡
peppermint
oilアレルギーを有する下腿潰瘍の1
例 金沢日英,山口文雄,宮崎知子,斉藤文雄(東邦
大大橋)
紅褐色の硬化性病変をみる.病巣皮膚に皮丘,皮溝を
61歳男,初診昭59年7月28日.約2ヵ月前より右下
認め,皺をよせることが可能.静脈怒脹(十).組織:
腿のうっ血性皮膚炎と共に下腿潰瘍出現.近医の治療
真皮中層から皮下組織にかけ,膠原線維東が増生.表
にて難治.初診時,右下腿前面に急性皮膚炎と小潰瘍
皮付属器は残存.治療:弾性ストッキングの着用,超
および静脈瘤あり.
音波療法(1W/c
有数種の軟膏,
「8分,週1回)によって,著明に軽
mentholまたはpeppermint
peppermint
pulegone,
oil,spearmint
oil 含
oil,menth-
快.
ol, menthofuran,
水痘型先天性魚鱗癖様紅皮症の1例 清水育子,田
性.バラマイシソ軟膏と副腎皮質ステロイド軟膏外用
piperitone貼布試験強陽
中 栄,本田まりこ,上出良一,新村貝人(慈医大),
にて治癒状態となった.
衛藤義勝(同小児科)
アレルギー性肉芽腫症(Churg-Strauss)の1例 日
17歳男.家系内同症なく血族結婚なし.生下時,全
野治子,西脇宗一(関東中央),日高紀子(同内科)
身の潮紅を認め一部水庖形式あり.水庖形成は8歳頃
39歳女.昭55年12月より,
には認めなくなり,躯幹,四肢,掌詰の著明な角質増
中,全身倦怠感,体重減少,歩行時のふらっきが出現.
PIE症候群の診断で加療
殖がみられ,一部豪猪皮状皮膚を呈する.組織:H-E
さらに正中神経マヒ,厦声,喘息,末梢血好酸球増多
にて穎粒変性を認める.電顕:トノフィラメソトの凝
を認めた.皮疹として,紫斑,
livedo,環状紅斑が出現,
下腿のHvedo部の生検で,好酸球浸潤を伴う血管周囲
192
学 会 抄 録
の肉芽腫形成がみられた.現在ステロイド内服にて経
核,昭52∼53年より左腎部に1cm大の隆起性皮疹出
過過観察中.
現,57年7月頃より急速に増大しはじめたため来院.
マダニの同時3ヵ所咬着を2度経験した症例 滝野
ツ反強陽性,組織:肉芽腫性炎症.生検部より入型結
長平,車地祐子(九段坂)山口 昇(埼玉医大寄生虫)
核菌陽性,他臓器の活動性結核はなし.以後来院なく,
50歳女.昭59年7月丸川峠より帰宅後左肢・右鎖骨・
59年6月治療希望し再受診.
左大腿部に咬着を認め翌日来院.咬着部周辺に小紫
経過観察中.
斑・紅斑・排泄物の付着を認めた.自覚症なし.虫体
サルコイドーシスの2例 菅野聖逸,松尾車朗,大
INH,リファンピシンで
を皮膚ごと一括切除.一匹はヤマトマダユ,2匹はシュ
城戸宗男(東海大),玉谷貴司(同内科)
ルツェマダエでともに雌成虫.昭58年6月にも黒子山
症例1.
より帰宅3日後に左朧・背・右肩に咬着を認めた.同
ブドウ膜炎を指摘され,昭59年1月,
僚の協力で虫体を除去したが,同部の紅斑・いたがゆ
ツ反陰性よりサルコイドーシスと診断.同年4月より
さが持続するため来院.切除.3ヵ所とも口下片の残
上背部,下肢に乾癖様皮疹出現.症例2.
留が認められた.
診昭59年5月19日.昭58年1月,
● 神奈川(横市大)
5月, ACE高値,経気管支鏡的肺生検よりサルコイ
原発性膿皮症様アスペルギルス症の1例 樋口道
ドーシスと診断.昭59年3月,左上眼嵩と骨性病変,
61歳女.初診昭59年4月21日.昭58年10月,
BHL,
ACE高値,
48歳女.初
BHL指摘され,同年
生,脇元敦彦(昭和大藤が丘)
4月に左下肢に皮疹出現.
23歳女.左大腿骨々折で整形外科入院中.初診より
輸入ドジョウを生食後に生じたcreeping
約2週間前,左下肢に装具を装着され,その後左下腿
の1例 小松 平,黒沢伝枝,池滞善郎,内山光明,
屈側に癈捺性皮疹が出現.現症:小膿庖が多発する不
中嶋 弘(横市大),大島智夫(同寄生虫)
規則な紅褐色斑.膿庖部のKOH標本で多数の菌糸あ
41歳男.昭59年3月下旬,輸入ドジョウを生食,5
り.組織:角質層に菌要素を認めた.膿肱痴皮より
月半ばごろ,右側胸部に緑み,時に痛みを有する線状
Aspergillus niger を分離同定した.局所の清拭のみで
紅斑∼硬結が出現し,次第に背部に移動した.初診時
2週間後には略治した.
白血球7,000/m
臨床診断の困難であったmyrmeciaの2例 浅井
好酸球浸潤.虫体認めず.サイアペソダゾール1,500
範子,田沼弘之,神崎 保(北里大)
mg/日を3週間投与後,皮疹は紅斑,硬結を残す力湖ら
症例1,
かに軽快.白血球4,100/m
20歳女性.7年程前より左足底部に有痛性
「,好酸球25%.組織:皮下の著明な
「,好酸球6%に減少した.
の小丘疹出現.徐々に大きさ,数を増す.初診時,エッ
なおドジョウの生食は同僚5入と行ない,うち2入が
クリソ汗腺系腫瘍,
発症した.
verruca
う.光顕的にmolluscum
vulgaris, tylosis等を疑
contagiosum.
症例2,
35歳
水癒蓋に無数の針状物を認めたチャドクガ皮膚炎
女.半年前より左手掌に有痛性小結節多発.初診時,
高木久江,鈴木 享,滝内石夫(昭和大藤が丘)
leiomyoma,
症例1,主婦.墓の草むしりをした後に発症.右手
にverruca
multiple glomus
tumorを疑う.光顕的
vulgaris. 症例1は電顕的にHPVを認め
disease
第1,2指を中心に一見接触性皮膚炎様に小水庖が集
る.2症例共にmyrmeciaと診断.
族.他部に皮疹みず.症例2,3歳男児.砂場で遊ん
高齢者にみられた結節性梅毒 塚本宏太郎,斉藤隆
だ後に,足駄に汗庖様の小水風足背には粟粒大の小
三(国立横浜)
丘疹が発症.症例3,7歳女児.足駄に汗庖様の小水
70歳男.陰股部に暗赤色結節性皮疹が散在.両鼠径
庖,大腿に粟粒大紅色丘疹が多発.症例4,3歳男児.
部に胡桃大無痛性リンパ節1個ずつ触知.初診6ヵ月
両手掌に小水庖が集族多発.いずれの症例も水庖蓋の
前感染機会ありという.TPHA:320倍,ガラス板法:
KOH標本にて平均0.06mmの長さの針状物が無数に
128倍.組織:真皮における肉芽性変化が主体.アモキ
認められた.
シシリソ1日1.5g
mercaptopropionyl
4週間内服により,リンパ節腫脹消
glycine (thiola)による渉出性
失し,皮疹は癩痕を残さず色素沈着にて治癒した.
紅斑型薬疹の1例 斉藤 昭,米元康蔵,衛藤 光(北
尋常性狼康の1例 栄枝重典,高橋仁子,大城戸宗
里大)
男(東海大),沢村貞昭(同微生物)
40歳女.生来健康にて,特に異常を指摘されたこと
47歳男,会社員.初診昭57年10月16日,昭42年肺結
はないが,20歳時よりレイノー症状の自覚があった.
193
東京地方会第614回例会
昭58年(39歳)頃より顔面に紅斑を認めるもそのまま
piebaldismの1例 石井則久(横浜市立港湾),川口
放置,59年4月より顔面の紅斑が増悪し近医受診,チ
博史,内山光明,永井隆吉(横市人)
オラ内服後皮疹出現し全身に拡大,同時に発熱,浮腫
4歳男児.生下時より前額部の髪際に白斑と白髪.
を伴い入院となる.軽快後のチオラ貼布試験にて陽性
腹部と四肢に白斑があり,一部白斑内に色素斑を認め
であった.本例は抗核抗体,抗DNA抗体陽性であり,
た.家系内に色素異常の者はないという.成長するに
脱毛,レイノー症状を伴い,自己免疫疾患との関連が
したがい白斑内の色素斑は拡大した.色素異常のほか
示唆された.
は身体に奇形はみられなかった.組織:HE染色では
骨髄性白血病に併発したと思われる薬疹の3例 川
白斑部にメラニソ穎粒らみられなかった.
口博史,池厚善郎,中嶋 弘(横市大)
Masson染色でも白斑部は陰性であった,ステロイド
症例1,
85歳女.急性骨髄性白血病,
piperacillin投
与25日後に発疹症型中毒疹出現,再投与により同様の
中毒疹出現.症例2,40歳男.急性骨髄性白血病,
acillin投与7日後に発疹症型中毒疹出現,症例3,
歳男.急性前骨髄球性白血病,
外用治療は無効で,現在経過観察中である.
piezogenic
Piper45
piperacillin投与9日後,
Fontana・
pedal papules の2例 高橋泰英(平塚
共済)
症例1,
19歳女.約1年前より,両側腫に立位で丘
疹か多発.症例2,
47歳女.足自癖で来院.診察時偶
Cefmenoxim投与4日後に発疹症型中毒疹出現,全例
然両側腫に多発性丘疹発見.2例とも立位で両側腫側
抗腫瘍剤が投与され白血球数700以下で薬疹出現.薬疹
緑に常色小豆大丘疹が多発し,臥位で消失.自覚症状
のeffector T細胞は抗腫瘍剤に対し抵抗性であるこ
なし.その後健康男子17人中3人に同症を見い出した.
とが考えられる.
relapsing polychondritis 馬場恵美,栗原誠一(済
lichen
生会横浜市南部)
myxedematosusの1例 平井昭男,加茂紘
一郎(市立川崎)
54歳女.初診昭59年5月28日.初診の約半年前より
53歳男.初診昭59年1月27日.主訴:躯幹・項部の
両耳介に発赤・腫脹が生じ,さらに結膜充血も出現.
癈緑性皮疹.既往歴:肝硬変症.現病歴:約2年前よ
現症:両耳介が発赤腫脹し,眼険腫脹(十),結膜充血
り主訴出現.癈緑著明.現症:項頚∼上背部,腎部に
(十),嗅声(十),関節痛(十),難聴(-),鞍鼻(-).
濃緑性丘疹∼小結節が集族,融合して境界比較的明瞭
耳介の組織:軟骨組織の破壊と密な細胞浸潤.螢光抗
な隆起性局面を形成.柑皮様外観を呈す.組織:真皮
体法にて軟骨組織にIgM,
上層にヒアルロニダーゼ消化性アルシアソ青陽性物質
ステロイド内服で各症状改善.
の沈着をみる.検査:肝系酵素異常.
切除神経腫の1例 鯵坂義之,松井 新(聖マリ医
IgG高値.
骨髄性プロトポルフィリン症の1例 浅井俊弥,神
大東横)
BMZにlgGが沈着.治療:
埼 保(北里大)
31歳女.約20年前包丁にて左手第II指を切る.その
7歳女児.昭58年4月より日光照射3時間ほどにて,
後,同癩痕部が徐々に隆起.初診半年前より黄色調と
露光部に発赤,腫脹,疼痛.症状は数日持続.貧血,
なり軽度の圧痛出現.現症:7×5mm,ドーム状に隆起
肝障害なし.赤血球中ブ9トポルフィリソ高値.光溶
表面光沢ある黄色調結節.透明感あり.組織:真皮上
血現象陽性.螢光赤血球を認める.手背の病理組織学
層より下層にかけて多数の太い神経線維東が横断ある
的所見は血管壁の肥厚が目立つ.螢光抗体法にて免疫
いは縦断されてみられ,それらは線維性組織につつま
グgプリン,補体の沈着を認める.父に同症あり.
れている.
腸病変を合併したPSSの1例 巻渕秀夫,名取純
大腿部に限局した菌状息肉症 神田秀一,久保和夫,
子,廻神輝家(藤沢市民)
関建次郎(聖マリ医大),石原和之(国立がんセンター)
57歳男.手指,手背,前胸部の皮膚萎縮,硬化あり,
39歳女.約7年前に右大腿部内側に紅斑出現.初診
抗核抗体,10倍.組織:真皮の膠原線維の膨化,均質
時皮疹は,手掌大楕円形の境界明瞭な紅斑で表面はち
化ありPSSと診断.その後,腹部痛,下痢出現.X線
りめん皺状,わずかな鱗屑と毛細血管の拡張がみられ
所見では食道,小腸の拡張,上行結腸での狭窄あり,
た.組織:表皮直下より真皮中層にかけての小円形細
回腸,右側結腸を切除.組織では粘膜下組織の線維化,
胞の桐密な帯状浸潤がみられた.それらの細胞には異
粘膜の萎縮,潰瘍形成あり.
た.
PSSによる腸病変と考え
型性は少なかったが免疫組織学的にhelper/inducer
T・cenの性質を有し,菌状息肉症と診断した.
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学 会 抄 録
食道癌皮膚転移のI例 内藤静夫,加藤安彦(横浜
め,表面は一部豪爛一部凸凹不整を示し,基底に21×
市民)
22mmの硬結を触れた.組織:表皮と非連続性の扁平
46歳男.初診昭59年6月9日.初診約1ヵ月前,後
上皮癌の像.また頭部腫瘤出現と同じ頃より嘸下障害
頭部に無痛性慾様皮疹が出現し,以後急速に増大した.
あり.入院精査にて食道癌が発見され,組織も同様の
初診時には15×12×7mm大の半球状赤色の腫瘤を認
扁平上皮癌で食道原発の転移性皮膚癌と判明した.
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