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学会抄録
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TEN,膿痴疹の成因として最近Melishらが報告した 木下正子:ある程度はM.fではstageによりリンパ 新しいブ菌外毒素exfoliatin 球自身の幼若化現象抑制と,血清中幼若化抑制因子の増 一新産マウスに全身表皮剥 脱を起こすーを証明し,これを精製した.本毒素の1つ 加は異り, は各々表皮剥脱能を有し,同一血清型, は,両者の変化は高度であった. PH4∼4.5の等 PHA- stageの進行に比例すると思う.腫瘍期で 電点, 24,000の分子量をもつがDisc電気泳動で移動度 炎症性並びに非炎症性疾患の免疫電気泳動 新関寛二 の異るABCD4つの蛋白種に分れた.又ファージ2群ブ (慈大),池由栄佑(県立厚木),長崎信一(同中検) 菌でも本毒素非産生株があり,2群以外の菌でも血清学 尋常性白斑,色素性母斑,円形脱毛症の非炎症性疾患 的に異るexfoliatinを産生する株のあることを証明した. 8例8検体の血清蛋自分画,並びに免疫電気泳動像には 討 論 特に著明の変化はなく, 西脇宗一(関東中央):1) Ritter型TEN, Ritter新 Melishらによればphage たが,炎症性疾患としての急性湿疹, ykは不揃いであっ atopy性皮膚炎を はじめ,募麻疹,中毒疹,乾癖,膿庖性痙厨,帯状庖 生児剥脱性皮膚炎からのブ菌はどこから分離したか.2) Ritter型TENはLyell一派, yG, yM, H 疹,熱傷並びに1例の有縁細胞癌を加えて40例42検体 群ブ菌によるといわれるが,私共が都衛研との協同研究 においては,非炎症群に比し総べてlgの増量を認めた でしらべているところでは, が,特に7Mは皮疹の軽重とその範囲と相関し,Hpの phage n 群以外のブ菌が分 離されることが多い.同時にしらべている膿痴疹はすべ 減少をみたものは膠質反応に先行して,未だこれが正常 てphage n・群が出る. 3) 又は正常値の上限を示した時期においても減少を示した phage typenからのexfoliatin は,II群以外のブ菌からとりだされた表皮剥離毒素と比 症例あり,肝機能障害を示唆し得た.尚乾癖において 較して力価に差があるか. prealbuminの欠損又は減少を認めた症例あり更に検策 皿井靖長:1)患者の水庖,咽頭より採取したが,咽 の要あるものと考えている. 頭よりの病原ブ菌検出が多いように思われる.2)φ2 皮膚科領域における出血と線溶現象 第2報 とくに 群以外の菌はRitter氏病では4例中1例だった. 血管内血液凝固症候群における線溶系の態度について 湿疹とくにアトピー皮膚炎と小児乾燥型湿疹における 伊崎正勝,昆 宰市,玉田嗣親,美馬道夫(岩手大) 流血中好酸球数 姉小路公久,町田栄子,菅谷潤子(同 皮膚科領域における出血症例130例のうち,とく陽今 愛記念) 回は重傷熱傷2例,前立腺癌を伴った尋常性天庖厨, 白血球数と好酸球数の絶対値から好酸球百分率を算出 リン八行性転移を認めた皮膚癌,レテラシーベ氏病およ し,小児(2∼10才)のアトピー皮膚炎と乾燥型湿疹に び急性骨髄球性白血病の計6症例について,血液凝固系 おける好酸球を比較検討した.その結果前者において高 と線溶系が示す態度について検索した.すなわち,フィ 率に好酸球増多を(12/19例,63.15%)証明し,後者 ブリノーゲン,血小板,その他の凝固因子の低下とプラ とは明らかな差を見出した(4/18例, 22.22^).又好 スミノーゲソの減少, FDPの陽性が認められ,血管内 酸球増多の程度は前者で高く,10%以上のもの7例に対 血液凝固症候群を示すことが証明された. し,後者では低く10%以上のものは1例もなかった. 討 論 細網肉腫ならびに菌状息肉症におけるリンパ球幼若化 安田利顕(東邦大):尋常性天庖厨があって,前立腺 現象,特にその血清抑制因子について 木下正子,川田 癌を伴いDICのみられた患者では, Dieの成立として 369 第36回東日本連合地方会 光顕的ドーバー反応では真皮上層の母斑細胞および表 は前立腺癌を考えるか.といりのは前立腺癌のdermadromeとしてpemphigus groupが多いが,こめことから 皮内の色素細胞に陽性を示すが,中・下層の母斑細胞で 考えるとき,癌に対する病変として天庖疸がくるので, は陰性であった.電顕的ドーバー反応では母斑細胞は真 これとDICとは癌の結果と私には考えられる. 皮下層の一部をのでいてプレメラノソーム,と発達した 昆 宰市:DICの成立として前立腺癌の凝固・線溶 ゴルジー野の一部の滑面小胞体が陽性反応を示した.真 系の病態が考えられる.前立腺外膜は非常に多くのプラ 皮内母斑被覆表皮内タラノサイト,真皮中・下層ではド スミノーゲソアクチペータを有しており,これが,血中 ーバー陽性滑面小胞体の形態は一見酵素の貯留を思わし に移行してプラスミックになることは容易に考えられ める不整形であった.他部ではほとんど帯状であった. る.一方癌をとりまいているフィブリンの生態と,その 討 論 転移時には,時にDICの原因となることがあり, Die に2次的線溶が非常に合併し易い.しかしこれにさらに 天庖膚のように表皮内水庖,渠爛,透過性充進が加われ ば,皮膚においても出血が見られるものと考える. 鈴木啓之(群大内分泌):DOPA反応はゴルジ装置 のどこに最も顕著に出るか. 高橋 誠:Dopa陽性のGolgi cislernaは多くはGolgi 野の最外側で,全体が反応することはない. 走査電子顕微鏡によるヒト毛髪の表面微細構造の研究 muclnosls −とくに年令差について 後藤嗣雄(北犬歯第二解) とくにBirbeck foIUcularis における浸潤細胞の電顕像, ピトの毛髪の表面微細構造について,その年令による 諸橋正昭,内山道夫(新潟大) 差を知ることを目的として,胎児期から老年期にわたる 20才男子.項部に母指頭大,浸潤のある脱毛局面.組 │i粒を有するムチン産生細胞について 各世代の頭毛を走査電子顕微鏡で観察した.毛小皮紋理 織像は典型.毛嚢および脂腺の浮腫状変化が著明.細胞 は,胎児期および新生児期においては,皮膚表面から毛 同質に大量に存在するこれらのムチン様物質は,毛嚢お 髪の先端にいたるまで,間隔のほぼ一様な,比較的単簡 よび脂腺内に伺密に観察される浸潤細胞が,その産生機 なパターンをなしている.これに対して,成人において 序に大きな役割を果していることが形態学的に示唆され は,皮膚表面から2∼3Cmのところで紋理に変化を生 た.また,これらの細胞には,表皮ラングルハンス細胞 じ,ここから先の毛幹では複雑なパターソがみとめられ に存在する穎粒と同一形態をした穎粒が豊富に認められ る. た. マウス表皮内汗管の角化に関する電子顕微鏡的研究 討 論 鈴木啓之(群大内分泌) 鈴木啓之(群大内分泌):本症のムチソ物質は,どこ 表皮内汗管は管腔を形成する管腔細胞とこれをとり囲 に由来すると考えられるか. む周辺細胞とからなる.管腔細胞は内腔に向い多数の微 諸橋正昭:本症病変部に伺密に観察される浸潤細胞の 絨毛を突出する.張微原線維,張原線維はケラチノサイ なかで,ラングルハンス細胞穎粒を有する細胞に活発な トに比し乏しい.ケラトヒアリン穎粒は両細胞に出現 分泌像がみられたので,この細胞が少なくとも関係して し,球形を呈し多数のリボソームにかこまれている.オ いることは形態学的に確かである. ドラソド小体の出現,細胞膜の肥厚,ケラチンパターン 石橋 明(杏林大):Langerhans細胞が組織球性の の形成は周辺細胞にはみられるが管腔細胞にはみられな 細胞と考えれば,後始末の役割で出現しているのではな い.細胞間隙には酸性ホスファターゼ活性が検出され いか.その分泌像も本症に本質的な所謂ムチy変性に関 る. 与するというより,修復ということに関連した機能的役 討 論 割と考えられないか. 橋本 謙(昭大):luminal cell のkeratinpatternを いようである. 示さないのか. 鈴木啓之:luminal もなくlumellar 諸橋正昭:あまり毛嚢,脂腺上皮の変性像は著明でな cell にはケラチンパターンの形成 granules of Odland の出現もみられな い. lnf°ntUe papular acroder”(latltls disease ・ご・:OttI病)の1例 橋本 謙,藤沢竜一,三宅啓之,山 崎律子,末次敏之(昭大) 色素性母斑におけるドーバーオキシダーゼの電子顕微 1年1月の男子.来院の1週間前に認むべき全身症状 鏡的観察 高橋 誠(札医大) がなく,四肢(主として伸側)と頬部に,対側性に米粒 (Gi・ 370 学 会,抄 録 大まで,淡紅褐色の扁平丘疹が,比較的密に発生した. 表在リンパ節腫脹と肝肥大はない.検査所見で, (十),GOT 180, GPT 告した. CCF 150で軽度の肝機能障害を認め 討 論 っ し ダ 安田利顕(東邦大):糖尿病にみられる皮膚病変につ た.光顕標本では,表皮は表皮突起延長を伴った軽度 いては,1)糖尿病と直結するものか,糖尿病の結果発 のアカソトージスを,真皮では血管周周性細胞浸潤(主 生した病的過程によるか,2)早期に発生するか,晩発 としてリンパ球と組織球)を示した.電顕的所見では, 生のものか, 血管内皮の膨化,管腔の狭小化,浸潤細胞としては,リ 糖尿病を知ることが多いので,この目的に早期病変を明 ンパ球および組織球と同定される細胞が,毛細管を囲ん 確にする必要がある.これは多くは反応性皮膚病変であ でいた.未熟な細胞は殆んどなかった. る.4)多くの皮膚病変が記載されているが,モの間の Fabry病の1例∧真宗興隆,高橋伸也(東北大) 3) 2)が大切なのは,皮膚病変から潜在性 関連について考えること. ノ Fabry病患者(25才男子),の皮膚組織を電顕的に観察 菅原光雄:全く同感であり,そのような立場で私共も 七だ.層板構造を持つ,電子密度の高い穎粒が,真皮 観察を続けているが,本日の統計は予備調査的事項を中 毛細管細胞,線維芽細胞,貪食細胞,神経周膜細胞,汗 心に述べた. atrophic circumscribed lesion (Melin)に 管細胞等の他,表皮基底細胞,有綜細胞内にもみられ ついても, た.標本固定時のbufferの違いにより,頴粒の形態が pathyの1段階の変化と考えている. 変ることをcacodylate 石原 勝(東邦大):糖尿病患者にられる湿疹に何か buffer およびs-collidin buffer処 necrobiosislipoidica とも関連してdermo- 理標本の電顕像で示した. 特異性があるか. 討 論 菅原光雄:湿疹類は一般疾患と比べて,特異的に多い 橋本 謙(昭大):bufferによって,電顕像に相違が 成績ではなかったがノ内容をみると急性湿疹とくに外陰 おこることがあるということは注意しなければならない 部湿疹が比較的多いようである. ことであるが,両bufferの化学的性質から,電顕像の 衣料による皮膚障害実態調査 大川 章,北条泰江 相違を説明できないか. (明和女短大) 真宗興隆:s-collidin bufferをつかった標本では比較 衣料による皮膚障害の実態を知るべく,昭和47年1月 的粗な層板構造がみられ, ∼2月にかけ,群馬県一円,仝年令層の男女2,486名の cacodylate buffer処理標本 では結晶状の層板構造がみられた.二つの標本はbuffer アンケーlヽ調査を施行.障害発生率は13.8%(20代女子 がちがうだけで,他のprocessは同じであるので,この では42.0%)女子に多く,アレルギー性疾患(本人およ 構造の差はbufferのちがいによるものと思われる. び同一家系内),肥満,多汗,乾燥肌,接触皮膚炎既往者 systematized ve万rrncosusに対する5FU は発症率が高い.夏および冬に多発.軽症が多く,医師 軟膏の効果一その電顕的観察一 辻 卓夫(阪市大),岩 にかかる者が少ない.肌着,セーター,おむつ,繊維で 本 勉(同超微形体研) は化繊類による障害例が多い. 糖尿と皮膚病変一最近15年間の統計的観察一 菅原光 討 論 nevus 雄,桜井 学,石河知之,佐藤静生(弘前大) 昭和32年1月より同47年7月までの当科外来患者中, 笹川正二(慈大):衣料による接触皮膚炎は特有な症 状がないため,問診だけでは,本当に衣料が原因だとい 糖尿病の確認された症例は総数134例で外来総数の0.48 うことがいえない.疑わしい衣料によるパッチテストを %,年度別では最近増加し,46年度では1%台となる. 行う必要があるか,演者の場合パッチテストは何%陽性 又,同年間に皮膚病変を主訴に来院し,一時的に糖尿や であったか. 過血糖が認められたものは総数194例で外来総数の0.69 大川 章:実際の診療に関しでは該衣料のpatch %に当たる.両群を通じ,多くみられた皮膚病変は,膿 wear test.加工処理剤の判明しているものでは,それに 皮症,j白癖√皮膚疹痙症,:急性湿疹…の順であるが,同 ついても行なづて原因究明に当っている.モれによると 年間の全外来患者の疾患別数と比較し,糖尿病群にやや 接触皮膚炎はこれ程効率ではないようである. 特異的に多い疾患としては壊疸,潰瘍,細血管拡張症, 石原 勝(東邦大):5施設の協力で施行した統計に 皮膚痛津症が挙げられる.真性糖尿病患者にQRZ,ヒス よると,昭和45年の外来患者総数24,564人中衣料皮膚炎 タミy反応, T.T.C反応の皮膚反応を行なった成績を報 は38人にすぎなかった.一般アソヶ−ト調査の場合には test, 第36回東日本連合地方会 371 衣料皮膚炎以外に,多種の疾患が含有されてしまう可能 penlclUamlne服用中に生じた表皮水庖症様病変につ 性がある. いて 森嶋隆文(日大駿河台) 左奈田精孝(国立大蔵):ここ2年位の間に,外因性 Wilson病の診断のもとに,7年間,1日2gのpeni- と思われる多発性斑状色素沈着を5例経験した.皮膚障 cillamineを服用中,骨性突起部に血庖,黄褐色小異腫 害のあとで,多発性に斑状色素沈着を生ずるものはなか 及び黒色面飽を混ずる紅褐色萎縮性病変をきたした17 ったか. 才,男の1例を経験した.2,3の点を除けば,その病 大川 章:そのような皮膚炎は証明されていない. 像は栄養障害型表皮水庖症に近似する.自験例の如く, 灯油皮膚炎 山口淳子,富沢尊儀,安西 喬(関東労 penicillamineの長期及び大量投与により惹起された結 災) 合織代謝の異常のため,表皮水庖症様病変をみたことは 17才男.現症歴:3.28 背負っていた錐より灯油漏 栄養障害型表皮水庖症の病態を解明するのに興味あると 出.翌朝皮疹出現.現症:両腰高,背,狩,胸,腹,両 思われる. 下腿下部に暗紅色の境界鮮明な紅斑,その面内に広範な 落葉状天庖疸の1例 廻神輝家(藤沢市民) 廉爛形成.廉爛の辺縁や周辺の紅斑面上には大小0弛緩 31才主婦.初診:昭和47年5月13日.昭和45年5月頃 性水庖散在.組織所見:大きな表皮水庖,天蓋部壊死, 腰部に膿痴疹様皮疹,更に頭部,躯幹に増加,紅斑性天 底部の有無層に細胞内,細胞間浮腫.表皮直下の毛細血 庖癒と診断さる.その後更に増悪し落葉状天庖疸に進展 管拡張,その周囲に小円形細胞浸潤.検査:患者,対照 した.ニコルスキー現象陽性.組織学的には表皮肥厚, 共に原液,10倍稀釈液の場合のみに貼布試験陽性. 伸展し,不完全であるが諒融解様変化をみる.又寛解期 注射部位の皮膚炎の6例 斎藤文雄,鈴木潤治,炭山 における水庖からの所見では角層下の水庖形成を認め 朋子(東邦大分院) る. 症例1,2:ケーワソ注射部に皮膚炎(D)発生.貼 DDSの奏効したWeber-Chrlstl・1・:氏病田所瑞穂 布試験(PT),皮内試験(ICT)陽性.K3,K,と交叉. (鶴見総合) 症例3,4:プロカイソテスト部にD発生.前者のPT 43才家婦.20数年来四肢躯幹に紅斑硬結の発生を繰返 は皮疹のみ陽性,後者は健皮も陽性.症例5 スト部にD発生. 例6 :EP PT, ICT陽性. :AB-Pcテ Pc-Gと交叉する.症 ホルモソ注射部の硬結上にD発生. PT, では赤沈の中等度促進と7Gの増加, ICT 陽性.黄体ホルモソ及びその溶剤(ゴマ油)のICT陽 contact dermatitis IgA, 初期と完成期の病変を比較供覧した.典型的Lipogranu・ flare-up型の皮膚炎を報告したが,遅発 アレルギーに属するdermal IgGの著増, lgMの軽度増加以外は略々正常範囲内.巣の誘発テスト で咽頭部に陽性と思われる成績を得た.病理組織学的に 性.原因として溶剤が考えられる.以上6例の注射部位 のspontaneous し,癈痕性陥凹を残す典型例について述べた.検査所見 lomと血管炎を認めたが,浸潤細胞の種類は特異的であ と考え った. D.D.S.の内服(1日25mg)が著効を奏した. たい. 討 論 討 論 伊藤俊輔(市立札幌):私共は昭45の日本臨床免疫研 二村芙美江(東京開業):治療方法について.自分の 究会第2回総会に於いてW-Ch病について免疫防衛機構 経験でストロイド軟膏塗布のみで治癒しにくいように思 の減弱があるのではないかと免疫学的検索の面から発表 われる.ステロイド稀釈分注(皮内)で治癒した.どの したことがある.1)ツ反は陰性になっているが,かつ ような方法で治癒されたか. て陽性であったのが,陰転化したものか.2)DNCB感 斎藤文雄:治療は抗ヒ剤の内服,ステロイド剤の外用 作,リンパ球培養によるPHA細胞,血清補体価CHso, で3週∼1か月位でよくなる. β1Aグロブリンの検査などはやってあるか,やってあれ 谷奥喜平(岡大):この発症機序はよく判らないが, ば結果はどうであったか? 我々は自家感作性皮膚炎と同じような自己免疫性皮膚疾 田所瑞穂:ツベルクリン反応はいつから陰性か不明. 患と考えている, ブ球菌トキソイド皮内反応20×22nini, 斎藤文雄:KIは経皮性が小さいので貼布反応が陽性 勤については先にスライドに示した通り.抗核抗体 化し難いのでないかと推定している.イオントフォレー (−),DNCBは行っていない. ゼ法を用いれば陽性化するのでないかと思う. Weber-Chrlstlan病の2剖検例 佐藤昭彦,真宗興 yG,免疫電気泳 372 学 会 抄 録 隆(東北大) tosisに近い肺型PN(Rose等)の1例を報告した. 第1例は51才女,第2例は18才男.主症状は高熱と皮 討 論 下硬結.組織像は典型的.ステロイドにのみ反応す.第 石川英一(群大):結節性動脈周囲炎は果して,従来 1例は急激な脳膜症状を呈し死亡.第2例は中毒性肝 いわれているように筋層の中等大動脈のみを侵す血管炎 炎,肺炎をを合併し,脳症状のもと死亡.両例に仝身性 なのでしようか. 脂肪織炎,洋臓の脂肪壊死,肺,肝,牌のクリプトコッ 西山茂夫:罹患血管の大きさによって,全身性血管炎 カス症(第1例には脳膜にも感染),消化管潰瘍,副腎皮 を分類することは困難な場合が多い.罹患血管の病変は 質萎縮,更に第2例には骨髄,肺の泡沫細胞,肝の脂肪 皮膚においては皮膚症状を規定し得るが,仝身性血管炎 壊死,肺アスペルギールス症,脳膿瘍等あり. の診断に当っては,他の臓器の所見や経過を参考にする 討 論 必要があり,この場合のように,血管炎のほかに結合織 伊藤俊輔(札幌市立):1)主死因はW-Ch病の原病 のfibrinoid膨化の存在などが助けとなる場合がある. ではなく,二次感染と思われるクリプトコッカス病か. lichen 2) 二,原田昭太郎,伊藤文子,松本千鶴子,白岩照男(関 w-ch mにクリプトコッカス病が合併する例は殆 んどきいたことないが,合併率は他疾患に比し多いか. 東逓信) strlatus 露木重明,野波英一郎,森俊 3)免疫学的に各種検査をしていれば,その結果につい 昭和40年より7年10ヵ月に経験した44例を基に,特徴 て教示願いたい. 的症例を供覧し,統計的観察を行った.1)初診時年令 佐藤昭彦:I)免疫不全に関する検索は行っていな は10才以下41例,性比は男20女24, い.両例ともツ反応陽性,抗核抗体陰性, での期間は2ヵ月以内に50%の来院をみた.3)好発部 2) W-Ch病 2)発症から初診ま とクリプトコッカス病との合併は少いように思う. 位は上肢55X,下肢72%,胸部4%,背部15X,顔4%. 安田利顕(東邦大):第2例の剖検所見に腎臓壊死と 4)治癒を確認したもの15例(うち1ヵ月以内10例, あるが,この変化は本症の発生に関連しているものと考 最長16ヵ月),不変,不明29例.その他全例を通じていえ えるか,あるいは消化潰瘍,副腎皮質萎縮同様に,ステ ることは,5)発疹は突如として生じ,片側性で,自覚 ロイド治療の結果とみるのか. 症を欠く.6)個疹の性状は円形ないし多角形のいわゆ 佐藤昭彦:Pancreas-nekroseは実質の壊死ではなく, る苔癖様丘疹で線状配列をとる.色調の相異があっても 小葉間脂肪組織と洋周囲の脂肪組織の壊死で,病理組織 個疹の性質は基本的に同じである.7)ステロイド剤等 学的には皮下脂肪織の所見とは異る.“けん化”の状態 の外用は効果がない.8)高年令層に発生した類似症例 であるので陳旧とはいえるが,本症の起因となったかは の診断については今後検討の余地があろう. 不明である. Stucco 菅原光雄(弘前大):第2例18才男の肝細胞の脂肪変 第1例,80才男.4年前から両下腿,足関節周囲,足 keratosis 本間 真(国立姫路) 性∼肝細胞脱落の剖検所見は,肝細胞の脂肪変性が非常 背,前蒔に発生した200個以上の角質塊の固着した現状 に強かったということか.又,この患者がアルコール多 結節.第2例,85才男.発生時期不明.左アキレス腱部 飲者だったということはあったか. の2個の現状結節.いずれも掻破により角質塊が1つの 佐藤昭彦:肝細胞の脂肪変性と脱落は強度であった. 塊りとして剥離される掻破現象をみる.組織像はcharch アルコール飲用の病歴はない. spike型式の角化をみる.老人性現贅の合併があり,老 肺型多発性動脈炎 新井春枝,太田幸宏,西山茂夫 人性乾燥性皮膚を素因として発生する一種の老化現象と (北里大) 考える. 61才男,前駆症状:風邪様.多彩な皮疹:紅斑,紫 融合性細網状乳頭腫症 中山創生,小尾英二(山梨県 斑,結節,顔項部硬い浮腫潮紅.全身所見:微熱,頻 立中央),笹尾 信(甲府市) 脈,指趾チアノーゼ,下肢ノイロパチー,気管支炎,無 17才男.体格中等度,肥満(-),3ヵ月前頃より腹部 気肺,心室性期外収縮.検査:白血球,好酸球増多,血 に初発,胸部,背部,項部,両腕に及ぶと.これ等に左 沈完進.病理組織:1)好酸球浸潤を主とする血管炎, 右対称,境界明瞭,灰褐色∼暗赤褐色の皮膚粗粧面あ 2)血管外:フィブリノイド変性,肉芽腫性炎症,小壊 り.辺縁に網状∼地図状変化著明,一部で鎧風状.脱 死巣.以上よりChurge 寫,陰股部は侵されず.組織像:角層は増殖して板状, & Straussのallergicgranuloma- 373 第36回東日本連合地方会 穎粒層は減少∼萎縮,有煉層やや萎縮性,前細胞に核側 昭を注射した.膿庖より培養でワクチュフウイルスを検 空胞形成著孔基底層のmelanin増加(−),真皮上層に 出した.熱傷縁の膿庖は入院11日目頃より乾燥してきた 軽度の浮腫(十),担色細胞(十),膠原線組の変化著明. が,熱傷面に環状∼蛇行状の皮疹が発生した.この皮疹 lichen は3日間で消失し,約1ヵ月間の入院で熱傷部も治癒し plan post-aurlque の1例 鈴木潤治,斎 藤文雄(東邦大分院) て退院した. 39才女子.数年来関節リウマチ罹患.最近当院整形外 討 論 科でromosol総計340ii:g投与後約2ヵ月目に全身にジ 小嶋理一(東京医大):種痘後10日を経ていて熱傷辺 ペル枇糠疹様発疹を生じ約1ヵ月後に皮疹の一部は乾癖 様を呈す. 縁に膿庖をみたというが,その病理を教えられたい. 松井 新:1)熱傷縁に出来る理由.表皮細胞が存在 roraosol, shiosol,塩化金の皮膚テストによ りアレソレギー反応は証明されない.血中金含有量は注射 する所に膿庖が出来るためと考える.2)膿庖につい 中止後約4ヵ月目40μg/dl.組織像は典型的な扁平苔癖 て.膿庖より培養でワクチェアウイルスを検出した. の像を呈す.組織化学的に金は陰性.抗ヒ剤,ステロイ 野口義圀(帝京大):(関先生に)環状皮疹について ド軟膏の外用により数カ月後に色素沈着を残して治癒状 は反応性のものではないかと思う.横浜市大で経験した 態となる. contact vaccinia の1例(6才女)に白血球十血清を筋 討 論 注したところ,いわゆるroseola 中山秀夫(済生会中央):発症原因としてアレルギー 発生した.これと考えあわせるとフグロブリンの注射が vaccinica が一過性に と中毒の両方が考えられる.鑑別は微量再投与試験によ 反応疹の発生に一役買っているようにも考えられる. ってかなりわかると思われるので,ひどい全身障害がな 7グロブリソの投与は治療上あまり意味がないと考える ければ御施行頂ければ発症原因の解明の参考になると思 (皮膚臨床13 : 777,昭46,臨床皮膚科25 鈴木潤治:l) い. 2) : 1355,昭 46). われる. ヘルペス性陰門炎の2例l儀保元惟(佼成),竹内雅夫 romosolのprovocationはやっていな (同産婦人科) romosolによる薬疹だと考える. 陰部に異和感があり,ステロイド軟膏を塗布してい 田崎高伸(九大温研):リウマチ患者における金疹を 診る機会があるが,口内炎,口唇炎をともなうことが多 たところ,急速に中心臍高を伴う小水庖を多数生じ, い.この症例では,これが認められなかったか. Tzank法をライト染色とギムザ染色を行い, 鈴木潤治:本症と関係あるかどうかわからないが,乾 giant cellと balloon cell を認め, y-globulin筋注3回にて症状軽減 癖様皮疹の出ている時に口内炎が発症した. した2症例を供覧した. 偶発性種痘疹 境 繁雄,工藤素彦(弘前大),赤坂 Darier病に来たKaposlフlく痘様発疹症 外間治夫, 徹,工藤真生(同小児科) 鍋島謙五(東京医大),金 兌貞(同中検細菌) 23才女. 9ヵ月の女児.種痘は受けてない.兄の種痘20日後よ Darier病で治療を受けていた所,突然,咽頭 り39°C台の発熱と頬から下顎に中心臍高をを有する膿庖 痛,発熱,腰痛,顔面浮腫となり, と潰瘍,指に孤立性の同様の膿庖をみる.組織学的に表 て,小水庖,膿庖,一部に中心臍高を有し,白血球減 Darier皮疹に一致し 皮内膿庖,表皮壊死,網状変性,強い細胞浸潤がある. 少,赤沈完進, VIG,補液等にて入院3週間後治癒.初診時母親の下 cell,baloon cell,網状変性がDarier組織像と混在,ウイ 顎,右肘関節部にも中心臍高を有する水庖があり,組織 ルス検査にてherpes 学的に同様の所見を示し,7グロブリンにて10日後治 ricelliforrae ruption と診断した. r-gi, igG, Aの上昇.生検にてgiant virus type l を同定. Kaposi's va- 討 論 癒.男児の種痘部よりの接触伝染と思われる. 野口義圀(帝京大):Kaposi's 熱傷部種痘疹の1例 関 建次郎,松井 新(東洋医 大) はその原因としてvaccinia たは最近Coxsackie 2才3ヵ月の男子.種痘接種の7日後に風呂場で背部 vasicellifrom erpution virus,herpesvirushomi に熱傷を受けた.熱傷面は体表の約25%で種痘部の極く れた場合がそれぞれの病名,例えばeczema 近くまで受傷,直ちに入院した.入院4日目に熱傷縁に という風に呼ばれるのが適当と思うが, そって膿庖が多発し, VIG 5,500nig, gammavenin 500 「sま A 16が挙げられ,モれらが発見さ は残すべきでしようか. herpeticum Kaposiの病型 herpes virus hominisとvaccinia 学 会 抄 録 374 virusの鑑別が臨床上大切なことであるが,古くからある が多い.演者の症例ではCRPが陽性であった以外は諸 Guarnieri小体の検索やPaul試験も有用と考える.しか 検査成績に特に所見が認められなかった.又, しそれぞれのウイルスに対する抗血清を作り,検体(例 本症の発生原因に,大きな役割を演じていることを強調 えば塗沫標本)につき蛍光抗体関接法で判定するのが望 したい. ましいが,これにはウイルス研究者の協力を得る必要か cutis。punctata ある. 佐藤良夫,猪股成美(新潟大) 小嶋理−(東京医大):仮痘との鑑別か問題である. Even-Paz 時あたかもユーゴーで天然痘が狙狐をきわめていた時期 1963)の呼称したcutis であり,一応仮痘とも考えたレ はStippled skinはまれなものではない.こり皮膚変化 多発性斑状色素沈着の追加2例 左奈田精孝(国立大 を呈した症例の皮膚症状を説明し,4例について組織学 & Varixは Ilnearis coin (頚部線状点描皮膚) Sagher (Dermatologica, 126 ; 1 ―12, punctata Hnearis coUiあるい 蔵) 的に検討し新しい知見を加えた.すなわち,脂腺の増生 32才男子,31才女子.何れも昨年夏,秋頃より色素沈 のほかに,彼らの記載していない毛孔,毛漏斗の開犬と 着に気附いた.男子例では爪大迄の色素斑が主として躯 そこにおける角質増生が著明であるという所見を認め 幹,四肢に棚密に,女子例では,指頭大以上の不正形色 た.また丘疹が線状,平行に排列する傾向の理由につい 素斑が躯幹側縁部に認められる.組織学的に1)表皮の て述べた. 盆状陥凹,その部の角質層の変化.2)汗口部の角栓形 SLEに続発したchilblain 成.3)空胞化した表皮細胞の増加.4)表皮色素の真 の2例 平野京子(東女医大第二),矢端幸子(杏林大) lupus (Hutchi・:son) 皮内滴落が見られた.外因性障害にたいする表皮の反応 若年より毎年寒冷時に凍盾に罹患しており,昨年より の結果の一つと考えた. は温暖の候となるも皮疹消退世ず,更に該部を中心とし 討 論 て拡大し,全身状態及びLE細胞,抗核抗体陽性を呈 露木重明(関東逓信):表皮直下にeosino好性物質 した2例の所謂chilblain の沈着らしきものがみられるが, 子と31才家婦で,後者は明らかに第1回妊娠分娩後に皮 thioflavinT 染色は lupus を経験した.38才男 行なってあるか.御指摘のある表皮の陥凹とその部の角 疹の増悪をみており,経過中に抗DNA抗体も陽性を呈 質増殖,その直下の乳頭層のアミロイド物質の沈着は, した.前者に於ては,爪郭部毛細管顕微鏡所見にても pigmentary macular amyloidosis の定型的な組織所見と SLEの所見が認められた. 考えている. 討 論 左奈田精孝:チオフラミンTで染色は行っていない. 谷奥喜平(岡大):皮膚科医としてはdiscoid pigmen万ted らSLEに移行したと考えて, purpuric lichenoid dermatitis 長 type か SLEの本態を追求した方 谷川末三(都南総合) が興味あると考える. 62才男.2年前から下腿静脈瘤と歩行時の鈍痛を自 佐藤良夫(新潟大):SLEとくに寒冷時増悪する例 覚,3ヵ月前から突発性に下腿から大腿,更に愕までお には,血中クリオグロプリンがしばしば高値を示すよう よぶ上行性の皮疹を生じた.個疹は毛嚢性あるいは毛嚢 である.本例ではそれを調べられたか. と無関係に硝子圧で網状の出血斑を残す留針頭大までの ,斎藤義雄(前橋赤十字):SLEではしばしばpemiones 出血性丘疹で,これが散在あるいは集族し一部では不規 様症状ではじまり,またSLEの経過中にdiscoid・LE 則な苔癖化局面を形成.組織所見は典型的.臨床検査で (cutaneousLE)と臨床的にも組織学的にも類似してい Rumpel-Leede, CRPがともに陽性. phlebogramは深部 る皮疹をみることがよくあるので,本症例ははじめから 静脈から表在静脈への逆流像と静脈瘤陰影とを描出. SLEの皮疹と考えた方がよいと思う. ・ 討 論 ト ! 山田瑞穂(大阪赤十字):chilblain 佐藤良夫(新潟大):Varixつまりchronic venoces in- ときめてしまうことに問題があると思う.このような sufficiencyの本症状発生における役割をお尋ねしたい./ typeのものはsubacute づ長谷川末三:1) 平野京子:SLE Varixは両下腿共に認められてい lupus= discoidLE LEである. 十 という考え方の相異であるが,現在 る. 2)文献的には病巣感染によるアレルギー機序と血 のような検査手技の発達した段階ではatypicalなSLE 行障害因子とが,本症の原因として示唆されているもの がふえているDLEから継発したという言葉をつかっ 375 第36回東日本連合地方会 たのも移行したとはいい切れないからで,教科書的に はツ反応強陽性,紫外線過敏性,血清蛋白・脂質分画, chilblainlupusはDLEの範囲にある故,かかる演題を用 心電図等異常なし.免疫電気泳動ではハプトグロビンの いたので,はじめからatypicalなSLEであってもよい 増加, IgMの軽度増加あるも,ベソ不・ジョンズ蛋白 と思う. lupus 陰性. erythematosus profundus (?)竹田勇 士,杉山貞夫,高栃 誠(札医大) 尚 討 論 石川英一(群大):アミロイド沈着機序に関して,日 35才男子.約7年前,右腰部に抑指頭大の皮疹出現, 光はどのような意義を有してtヽると考えるか.最近の知 約2年前より,躯幹,四肢に増加.現在,十数個の小指 見ではアミロイド物質は免疫蛋白中の≒ht 頭大から鶏卵大までの不整形の境界鮮明な紅斑局面があ variable part から成りたっているとされているが,それ り,周辺に褐色色素沈着あり,中央は陥凹し萎縮性で鱗 との関係について.I 屑をつけ,浸潤をふれる.顔面,頚部に発疹はない.組 chainの 石橋 明:日光曝射に関連してアミロイド沈着が来る 織学的所見:表皮に角質増殖,萎縮があり,真皮,皮下 ことは,文献的にも報告例があり,事実と思われる, 組織の皮膚付属器,血管周囲に小円形細胞の男密な浸潤 Pathogeneseについては,特に考えはないが,可成強い があり,血管壁は膨化.している.クロロキン製剤で経過 小円形細胞の浸潤があり,日光曝射に関連して,何らか 観察中. の免疫学的機序が起っていることは想像される.形質細 成年性浮腫性硬化症の小児例 佐藤叡也,山崎雙次 胞は見られなかった., し (群大) 露木重明(関東逓信):私共も老人下腿に生じたver- 本邦では稀な本症の小児例.7才女児.扁桃炎の既往 ruca senilisの表皮直下にアミロイド物質の沈着を認めた あり.初診(昭和47年リ 症例を経験している.好発部位としては露出部セは額の ると思われる発熱あり,その頃より顔面,頚部の皮膚の 側面,耳周囲に発生している症例は比較的経験をもって 浮腫性硬化が始まり,漸次進行して項,肩,上腕前腕, いる, 上背,前胸に及ぶ.組織学的に膠原線維の軽度の膨化と 石橋 明:老人性犯]鰹様の皮疹も生検したが老人性捉 離開が見られ, 畳そのものの変化は明らかでなく,臨床的にも最近平低 Hale陽性物質の沈着を見る. strepto- myces-hyaluronidase消化性.臨床検査成績では異常を認 化してきており, めず,扁桃摘出後顕著な皮疹の改善が見られた. いことは確かと思われる.色素沈着性のアミロイド症は secondary localized amyloidosis でな p町lular万一:ucinoslsの1例黛隆介,石川英一 アミロイド苔拵のvariantで岸みがあるが,本例は自覚 (群大) 症がない. 63才男.初診昭和47年5月31日,昭和45年頭部外傷受 膠状稗粒腫の1例 徳永信三(国立東二) 傷.昭和46年1月頃から後頭部,項部にかけ粟粒大の皮 68才男子.農夫.初診 昭和47年4月19日,3年前よ 疹出現,漸次皮疹拡大,一部結節状に隆起.初診時,項 り両頬の皮疹に気付く.現症,前額・両頬・両下顎偶に 部,側頚部,下顎部にかけ粟粒大からくるみ大の淡黄紅 正常色乃至黄色稗粒大の丘疹が集合し,大小の局面を形 色の比較的扁平な光沢ある丘疹ないし結節が集銕,一部 成丘疹の表面を針で破り周囲から圧迫するとゼリー状内 融合.そめ表面はミカソ皮様を呈す.結節状のものは弾 容が圧出される.組織所見,真皮乳頭層から中層にかけ 性硬.甲状腺機能正常.病巣皮膚真皮中AMPS Dig/g . HA %%, ChS-B ≫ 3.4 10%.4ヵ月後,皮疹は苔鮮 てエオヂソに紅染する,均質無構造又一部では線維構造 を示し多くの裂隙により島嶼状の配列を示す物質により 様に移行. 占有された空洞を見る.このコロイド物質について組織 主として露出部に見られた皮膚アミロイド症 石橋 化学的検査を行った. 明,西山芳夫(杏林大) 討 論 43才女.20才前に発症.自覚症のない尋常性沈贅様, 石川英一(群大):colloid 扁平誇贅様,老人性誇贅様ないし老人性色素斑様皮疹が 質は何か. miliumで沈着している物 日光曝射部に多発,更に耳前部や手背等には,淡紅白色 徳永信三:コロイド物質の本態については,組織化学 苔癖化局面がある.組織学的には,乳頭下層に斑状の小 的検査成績により明解に分類することは困難と思う. 円形細胞浸潤と粗大頭粒状アミロイドを認める.検査で 鈴木啓之(群大内分泌):病巣のゼリー状物質は,私 376 学会抄録 の検索した結果では線維芽細胞に類似した細胞に由来す て退院.現在なお経過観察中. るある種の糖タソパクであろうと想像される. 抗結核剤によると思われる紅皮症の2例 重見文雄, pachydermoperiostosis 藤田 優,加藤友衛(千 石村順也,武田克之(徳島大),佐川紀美(徳島市民) 大),玉置哲也(同整形外科),明星志貴夫(同肺研内科) 21才男.昭和47年3月27日初診.同胞に同症を認め 症例1 , 40才女.肺結核でSM, に発疹す. IHMS, EBに変え, PAS, INH 1ヵ月後 steroid投与無効.B6を ず.既往歴:16才整形外科入院(両膝蓋部に水がたまっ 主体にB,, たため),17才胃潰瘍にて胃切除術.現病歴,現症:14才 た.異型リンパの出現などあり伝染性単核球症様症状を よりバチ指レ手足,四肢の肥厚,15才より額の皺裴,18 呈した.症例2 才より脳回転状頭皮出現.顔面脂漏性.掌照眼高の多汗 7ヵ月, INH単独2週後に発熱とともに発疹す. 著明.胸部レ線像異常なし.骨レ線像で頭蓋骨,すべて の四肢骨の骨肥厚を認む.末梢血液にhypochromic miaあり.組織所見にて真皮rPAS陰性, Cなどのみで解熱,皮疹は急速に改善され , 59才男.肺結核で1例同様3者併用約 steroid 無効.B6,B2の大量でも変化なく,ニコチン酸添加で ane- PH 2.5 alcian- blue陽性物質の沈着あり. 皮疹は急速に治癒す.剥脱性皮膚炎型と思われる. 討 論 小堀辰治(東京逓信):INH中毒疹ではpellagra様 尋常性乾癖に対するメソトレキセートの新しい投与法 発疹を生じるとされているが,日光過敏性がみられなか 木根淵承一,山崎紘之,戸田 浄(東京逓信) ったか. ”:thra!1川こよる尋常性乾癖│の治療(第1報)主とし 重見文雄:光線感受性のテストは行っていないが,皮 て臨床的効果について 水元俊裕,青柳 俊,高木章 疹は露出部でやや高度であった程度である. 好,村戸克郎,高島 巌(北大) セファレキシンによる固定疹の1例 湖山里美,服部 anthralinはchrysalobinの誘導体であるが,古くか 怜美,岩崎 隆,木田光芳(日医大第二) ら乾癖の治療薬として主にイギリスにおいて使用されて 症例:40才男子.医師.既往歴:18才ピリン疹.37才 来た.われわれは02.%の木剤を含有するパスタを31例 クロラムフェニコール内服により発熱.昭和46年上気道 の乾癖患者に,夜間8ないし12時間単純塗布にて使用し 感染にてセファレキシソ内服.現病歴:本年3月咽頭炎 た結果,著効10例,有効19例,無効2例の成績を得た. のためセフアレキシン内服.下口唇,外陰部に固定疹を さらに著効例のなかには治療中止後6ヵ月間皮疹をみな 生ず.健康皮膚に施行したPC-G, かった例が5例あった.副作用としては26例に使用部の MDI-PC, 色素沈着,11例に軽い刺激症状をみたに チテストは鐙性.内服テストは,セフアレキシソのみ陽 討 論 性. 小嶋理一(東京医大):ソリオン軟膏と比較して効果 討 論 CEG, ABPC,ヘタシリソ, CEX,によるパタチ,スクラッ 中条知孝(日火):セフアレキシン内服テストの投与 はどうか. 水元俊裕:1)臨床上の各疹型に対する効果について 方法は,投与後何時間で再現しているか. は,皮疹消失までの期間については,個々に差はみられ なかったが,再発までの期間という点ではpsoriasis tataが最も早かったようである. CER, 2) 湖山里美:セファレキシソ内服l.OOOmg/日分42日連 gut- psorionとの比較 用,皮疹の再現をみないため,さらに連続して1,500 町/口分31日内服,4∼5時間後皮疹の再現をみとめた. に於ては明らかに本剤の方が勝るといえ芯. 薬疹と肝障害 中条知孝,辻口喜明,森 弘子(日大 乾癖性紅皮症の1例 杉本純一,内山光明(横市大), 駿河台) 奥田研爾(同細菌) 昭和45年から47年前期の2年6ヵ月間に65例の薬疹患 48才男.無職.昭28年頃より発疹生じ,乾涛の治療を 者の原因検索を行ない44例にそれを見出し,うち39例は 種々行ったが,次第に進行し,ほぼ全身に拡大,紅皮症 皮膚アレルギー試験で,5例は誘発試験,その他で判定 の状態となった.関節症状はない.昭和46年8月当科入 した.即時型17例,遅延型19例,両反応陽性3例.麻疹 院,ステロイドODT,発熱療法,温浴療法を行ったが皮 型は遅延型反応を,多形紅斑型は即時型を呈することが 疹の一時的改善をみるのみで副作用のため治療を続ける 多い.肝障害併発例は12例で,8例に原因薬が判り,麻 ことが不可能であった.機会を得てhydroxyureaの内 疹型が多く,遅延型反応であった.発疹発生直後にリン 服療法を行い,着明な副作用なく皮疹の急速な改善をみ パ球減少,7∼14日日目好中球の相対的減少伴うリンパ 第36回東日本連合地方会 377 球増加,白血球増加があり肝障害(酵素反応)が現わ 生後2才から痙性政行・精神退化を呈す.四肢は痙性麻 れ,30日目に両者共回復する. ヒ,兄は白痴. 討 論 generalized aminoaciduriaあり, Asp., Glu・,Cyst・, Ual・, Met・, Lys・, His.高値,血中グルタチ 後藤允哉(東京医大):skin testで遅延型反応が高率 オン低値を示す.小頭症,性腺発育不全,小人症,血清 に陽性とのことだが,貼布試験を行なったのか?patch 銅の高値を欠くが,脳室拡大あり,大脳皮質萎縮が推定 testの陽性率は如何か. された.光線過敏と悪性化の背景をなすrepair 中条知孝:薬剤の皮膚テストで遅延型反応を呈するの tion障害に言及した. は,皮内テストで多く陽性を示し,貼布テスト陽性を示 討 論 すものは比較的少ない. 小堀辰治(東京逓信):皮膚型のxerodemia 新生児痙唐 肥田野 信(東京警察) 存在すると考える. 母健康の3ヵ月男児.満期で前早期破水で吸引分娩に ないか, tryptophanuriaはなかったか. より出生, 高島 巌:1) 3,250g,新生児期健常.生後1ヵ月で顔面 replica- pig- は aminoaciduriaは皮膚型ではみられ aminoaciduriaは皮膚型の.みに特有と 皮疹,最近悪化.両頬にコメド様白色丘疹散在,硬く, はいえない.2)皮膚型とde 圧迫して白色角質様塊が出る.丘疹周囲紅梁著明,又少 的に区別出来ない.皮膚型として報告されているもの 数の丘疹も混在.内容圧出してリンデロンVG軟膏を塗 に,或いは神経症状の目落しがあるかも知れない.3) 布し微細な廠痕を残しつつ次第に軽快した.稗粒腫,汗 tryptophan値に異常はなかった. 疹との鑑別診断につき論じた. 飯島 進(福島医大):GSH-reductaseは? 討 論 高島 巌:glutathion-reductaseの定量は行なっていな 岡本昭二(干大):新生児痙后の発生の時期は. Sanctis 型とは,発疹学 肥田野 信:本症に2群あり,1つは男児,生後3ヵ い● ’ . ・ neonatal pllar polyp 肥田野 信,中島 忍,小 月以内に発症,もう1つは男女児,生後3ヵ月∼2年で 林登喜子(東京警察) 発病するといわれている. 直径1m内外の有茎性球状腫瘤で常色又はピソク色, 色素失調症(水庖型) 表面平滑でこりこりしているが生後数日で黒く乾固して 徳田安章,二条貞子(信州 大),中畑竜俊(同小児科) ト生後1ロ女児.生下時すでに小水庖を認め, 自然に脱落する. epider・ 53,女38, 2,633名の新生児中91名にみられ,男 1人で2コ以上有するもの5名,乳栄871, molysis buUosaを疑われ,数時間後に当小児科に入院す その他下瞼,頬,鎖骨部,胸,陰嚢.分化した毛嚢を含 る.初診時,顔面,躯幹,四肢に小水庖及び丘疹が散発 み,あるものは毛根あり,汗腺あるが二次毛嚢の分芽や 性,集族性に存在.組織学的に典型的.水庖内容は, 立毛筋なし.トリコフォリクローマと同程度の分化をし varicella virus 抗体に対して蛍光抗体法で陽性を示した た毛嚢起源性オーガノイド過誤腫と考えたい.皮膚科文 が,水庖内virusの分離培養(一),患者血清中中和抗 献に従来記載なし. 体16X,電顕的にもvirusは証明されなかった. 組織球腫の1例 長村洋三,安田利顕(東邦大) 討 論 生後10ヵ月,女児.生後4ヵ月頃より後頭部に円形小 後藤嗣雄(北大附第2解剖):被髪頭部に多数の漿液 腫瘍を生じ,増大したので来院.後頭部中央で髪際部に 性丘疹めある初診時スライドがでたが,この部にも躯幹 近く発生した境界鮮明な直径約1Cmの円形小腫瘤で,辺 と同様の色素沈着が生じたのか. 縁は堤防状に隆起して,中心陥凹し,表面凹凸不平で, 二条貞子:頭の水庖部の色素沈着はまだ観察していな ピラソ面があり,母親は蚊にさされた部位に生じたとい う.組織所見では,表皮直下から真皮深層にかけて,組 1≒ 上野賢一(東京医大):電顕像はどの時期のものか. 二条貞子:水庖期のものである. de万Sanctls-Cac万chlones yndro一犬e兄弟例 高島 織球を主とした比較的境界明確な細胞集団で,その間に 淋巴球,好酸球が混在しており,銀線維の軽度の増殖が あり,又,種々の大きさ,形の巨細胞がみられる.しか し,泡抹細胞を思わせるものは極めて少なく,組織球腫 巌(北大),松田一郎(同小児科) と考えられる. ¨ 共通の曽祖父と,姉妹である曽祖母を持つ,またいと 単発型グロムス腫瘍の1例 石井敏直,太田美つ子 こ婚に生まれた,13才と9才の兄弟の色素性乾皮症例. (国立高崎) 学 会 抄 録 ‘378 24才主婦.4年前右中指爪部の圧痛で発病.初診時該 3,4趾に半米粒大の丘疹出現し徐々に増大.家族的に 指爪床小指側爪根に近く,激烈な放散性圧痛を伴う小淡 血縁なく,同症なし.現症:上記部に径10自大,半球 紫青色病巣透見.抜爪後よく被包された径約3回め小結 状,表面平滑,淡紅色,軟骨硬の腫瘤各1個を認める, 節を剔除.組織像は定型的で本腫瘍細胞,血管腔,豊富 レ線上骨は正常.切除し,全層植皮後3ヵ月で再発はな な神経線維よりなり,細い神経線維が腫瘍細胞に接する い.組織:線維細胞を伴った膠原線維東が交錯し,7μ 像,増生細胞圧迫に起因すると考えられる胞巣間知覚神 前後の好酸性封人体多数認めた.電顕的に封入体は線維 経経質の減少ないし消失,截痕形成等が認められた.術 芽細胞内に存在し,径100Å以下の細線維より成る. 後4ヵ月経過した現在再発の徴なし. eccrlne poromaの2例 森 俊二,原田昭太郎(関 血管芽細胞腫の2例 皆川禎子,我妻亜喜雄(福島医 東逓信) 大) 症例1 症例1.5ヵ月女児.主訴は左前腕の赤褐色弾性硬で 色,ぺ やや可動性の鶏卵大腫瘤と圧痛.組織:真皮中下層に楕 来右哺に小豆大,灰赤色円形腫瘤,軟かく周囲の皮膚と 円形大型核を有す細胞団塊が多数あり,鍍銀染色で網眼 の間に狭い溝を形成.両例共切除した.組織は定型的だ 内に腫瘍細胞を擁する蜂巣状構造を認めた.症例2.7 が共にグリコーゲン陰性,細胞間橋及び上皮線維は存 ヵ月男児.5ヵ月時に大腿仲側に生じた指頭大結節が増 在,所々に管腔構造を認める.臨床的には悪性黒色腫と 生し集族局面を形成.組織は真皮中層の好塩基性紡錘形 の鑑別が問題となるが,その鑑別点について考察を行っ . 60才男.2年来左足外縁に小指頭大,暗赤 核を有す細胞集団と管腔形成像で嗜銀線維に乏しく閣質 た. との境界不明瞭.電頭的に管腔壁は不正形な核の内皮細 討 論 胞と大型の外皮細胞から成り,他にGlomus細胞に似た 池田重雄(東大):1)日本人のeccrine 基底膜を有する楕円形細胞が散在. ニ はメラニソ色素増生を伴い屡々malignant 討 論 の鑑別問題が必要となる.2)本腫瘍・自験例7例中1 poromaで melanoma 須貝哲郎(大阪回生):組織学的にはhemangioendo- 例のみにしかグリコーゲン陽性例をみていない.森岡先 theliomaと考えるが, 生の論文がとく所と異なるが,先生の御意見をうかがい angioblastotnaとされた理由. 皆川禎子:EndotheliomとPericytomとの確然とし たい. た診断根拠がない故,広義の意味でのAngioblastomと 森岡貞雄(日大):eccrine し診断した. ニ thellomaではPAS陽性細胞が所々集団的に出現する poroma, eccrine poroepi・ 上野賢一(東京医大):I)総線量が多すぎるように のが特徴的と考える.診断的価値があると考える.なお 思う.悪性腫瘍と考えるのか. eccrine poroma 2) angioblastoma (Naka- gaWめは良性血管腫瘍とし七そのcriteriaも確立じたも という疾患の存在は疑いないが, acros・ yringium起原かどうかはなお今後検討の要があると思 のといって良いと思う. う.それは正常表皮内汗管細胞は表皮下部でも既にケラ 飯島 進:良性と断定する根拠を得られなかったので トヒアリソ穎粒を有し,その角化傾向著明であるのにi 強力に治療したレ 本腫瘍ではかかる角化傾向が全く見られないからであ 血管平滑筋腫の3例 星 健二,荻生真章(日医大第 る. 一) 森 俊二:1)症例1,2共腫瘍細胞はグリコーゲン 症例1 . 38才女.3年前より右下腿の有痛性小指頭大 腫瘤に気づく.天候の変化にて疼痛を訴える.症例2. 50才女.10年前より右哺内側の碗頭大腫瘤に気づく.軽 度圧痛有り,症例3 . 27才男.6年前より右耳翼後面の 大豆大腫瘤に気づく.自覚症無し.3例共血管原生平滑 筋腫の組織像を呈した, Infantile digital fibromatosisの1例 渡辺秀子, 陰性■ 2) 2症例共,正常表皮部との境界は極めて明瞭 で偏光顕微鏡による上皮線維の性質,走行方向も全く異 っている. 石川謹也(川崎市立):eccrine poromaの酵素化学的 検索は本症の診断に有力な手がかりとなる.(アミp・ フォスフォリラーゼ等) eccrine doctcarclnoma 斉田俊明,溝口昌子,池 田重雄(東大),田嶋公子(帝京大),石原和之(国立がん 長尾貞紀(福島医大) 犬 セッター) □ 5ヵ月女.初診. 75才男子/1年前,陰嚢皮膚に硬結を生じ徐々に拡 1972年5月8日.生後3ヵ月頃,右 と 379 第36回東日本連合地方会 大,プ初診時左陰嚢全体に板状硬結と1部に硬貨大鮮紅色 胞癌と呼んでよいのか. 腫瘤あり,組織学的に真皮全層及び肉様膜内にまで大小 との異同についての御意見を. 塊状及び索状の腫瘍巣, epidermotropismあり,管腔様 構造が目立つ,腫瘍細胞ぱ異型性大で好酸性, で1部はdiastase抵抗性, labile,酵素学的にSDH, Al-P-ase, ATPase, PAS陽性 Hale陽性でneuraminidase MAO, Ac-P-aseともに陽性, choHnesteraseともに陰性,電顕的に 上野 賢(東京医大) 2) GottronのPseudokanzerose :臨床的にはpapillomatosis carcinoides cutis とことなる.日本医大の本田博士が詳 しいので御意見を. − 本田光芳(日医大第2)・;臨床的にぱすこしくこと なるが,組織的にはpapilomatosis cutis carcinoides 細胞間分泌細管あり,外腸骨動脈旁リンパ節転移あり. Gottronが考えられてもよい. 脂腺上皮腫の1例 田辺義次,西村和子,岡本昭二 帯状抱疹様外観を呈した皮膚転移癌 新関寛二,辻本 (千大) エ 恵子,鏑木公夫(慈大),三川武彦(同高橋内科) 57才女性.幼時期より右側頭から耳前にかけて褐色斑 田中某,55才男子.昭和47年1月14日初診.約1年3 あり,特に耳前部のものは20才代で既に抑指頭大犯状腫 ヵ月前感冒様症状あるも間もなく緩解放置す.約7ヵ月 瘤になっており,その後も徐々に増大した.腫瘤は黄紅 前には右肢高リンパ腺の腫脹に気付き当院外科で摘出生 色有茎性で4.7×4.6×1.5cni,表面は凹凸不平,びら 検す.に生検2ヵ月後より同部を中心に放射状排列を示す ん,黄槌色痴皮をつけ,易出血性である.所属リンパ節 自発痛,圧痛を有する暗紫紅色丘疹多数散在し,一部は は触れない.組織像,主腫瘤は脂腺上皮腫で,その他に犬 集族し指頭大から鳩卵大浸潤性局面を形成したが放置 脂腺母斑の上に脂腺腺腫および角化性基底細胞上皮腫様 す.最近徐々に拡大の傾向あり当科受診す.右乳房,外 の所見が認められた.\ ダ 上方よりの皮膚生検像は真皮深層に於ける大小種々の癌 Bowen病を合併した外陰,旅冑Paget病の1例 太 性細胞の集塊よりなり典型的な転移性腺癌を示す.胸部 田雍徳(日大板橋,自衛隊中央)ダ レ線像で右肺野中葉に類円形巨大陰影を確認す.モの後 一見ボーエン病を思わせた陰嚢ページェット病の1例 病巣は更に拡大の=途をたどり本年2月i1日他界す.剖 大熊守也,滝野長平,山田∧実(東医歯大),一 検の結果原発巣は右肺中葉と断定,先のリンパ腺生検像 有林細胞癌の1例 小宮 勉,大熊守也,山田 実(東 と相まっていずれもadenocarcinomaであった. 医歯大),福田正次(川口工業東部)し ‥ 46才鋳物工.16才の時熔けた鉄で右上半身に熱傷を受 討‥論 /石原和之ス(国立がん七ソター):一般に皮膚転移の形 け,約3年で痘痕治癒.以後,も右腕にはしばしば熱傷か は半球状のものが多く且大小不同で,大きいものは小児 負った.4∼5年来,右前腕に1湿潤した病変があった 手挙大に達する.次に潰瘍型,火焔型,帯状庖疹様で, が,約1年前から腫瘤が発生して増大した.46年8月初 乳癌では後2者が多い.へ ▽ト 診.右前腕遠位三分の一直;レ表面汚膿褐色,花野菜状で 上野賢一(東京医大):同一体節性に転移のきた点 一部廉爛し分泌物と痴皮懲被われた,前腕をほとんど一 Hauserの説を参考にされると興味があると思う. 周する腫瘤がある.組織は認贅状に外方への増殖傾向を 新関寛二:最近Branermanの報告で, 示し,角化傾向が強く,異型性の比較的少ない有縁細胞 metaしたzoster-likeの皮膚転移癌に於て,これはし 癌. ばしば, 討 論 であり, zoster-likeのものは,肺や前立腺よりの転移が 福代良一(金沢大):I)大きな腫瘍の各所から組織 多い.又,一般にmetaの場合,その病巣は,褐色又 像を調べたかどうか.2)腫瘍の真皮内への侵入が全く は,暗褐色調のものが多いのに比し, ないかどうか.ないとすると普通の有縁細胞癌とは異な は,非常にfresh-red又はpinkであり,石のような硬 るように思われる.3)唯今の組織像のところはケラト さといっているが,本症例では,その色調に於いて一致 prostataから perineurallymphatic に,転移をおこしたもの zoster-like<Oもの アカントーマの可能性はないか. するが,硬さは,かなり柔らかかった. 小宮 勉:真皮内侵入がみられないのは,検索不十分 耳下腺混合腫瘍の皮膚転移 吉江治彦(信州大) のためかめしれない.悪性度は非常に低いものと思う. 47才男子.18才,22才に右耳下腺腫瘍が発生,各々, 池田重雄(東大):I)臨床上は熱傷癩痕癌,組織上 摘除されている.昭和46年7月(46才)三度腫瘍が再発 は異型性が全くないAcanthose.このようなものを有縁緋 し手術,組織学的に耳下腺混合腫瘍と診断された.同年 380 学 会T抄∇録 12月,右側頚部に皮疹が出現,レ約5×2 CIぬ境鮮明の暗赤 球,細綿細胞を主とした浸潤,出血あり.浸潤細胞は一 色紅斑があり,硬く浸潤を触れる.紅斑上に粟粒大白色 部表皮内に侵入.リyパ節も同様所見を呈す.第2例, の稗粒腫様丘疹が集族していた.組織学的に真皮上層に 30才男.圧痛を伴う紅斑の再発をくり返す.真皮全層に, 腫瘍細胞が,円形塊状をなし配列.一真皮下部には腫瘍細 好中球,シンパ球,細網細胞よりなる浸潤,多核り腫瘍 胞のリンパ管内塞栓が散見された. 細胞様細胞点在.いずれも初期の皮疹は非特異的とはい 丿自然消樋を示したlentigo m万align・:戸田│ 浄,山 え,細綿症としての変化あり,前腫瘍期を表わす皮疹と上 崎紘之;小堀辰治(東京逓信) 考えられiこ. .● ‥ ・・, 悪性黒色腫の治療 石原和之,柳田英夫(国立がんセ 討 論 ンター),恒元 博(放医研),馬場 徹,杉本純一,中嶋 武 誠(岡大):polymorphic 弘(横市大) し I す皮疹とリンパ球,組織球等のmonotoneな皮疹を持つ 国立がんセンターに受診した悪性黒色腫(皮膚38例, 患者の予後に違いがあると思われるか.我々の経験の 口腔及び口唇3例他12例計53例)の症例について,初 monotone 期,淋巴転移,遠隔転移と分けて治療別の経過を観察し 例1にHodgkin た.初期では,広範切除とリンパ廓清,或いはニュート たか. type cell infiltrationを示 の皮疹は消え病状の経過良好である.症, cell はないが,どこでDiagnoseされ ロン(速中性子)の照射に優れた治療効果が観察され 田村多絵子:特異的皮疹とはHodgkin細胞あるいは た.淋巴腺転移は,リンパ廓清が必要であるが,これら Stemberg は初期に当然行うべきである.また,遠隔転移を起した は,これを欠くものと解釈している. 症例では,多くの抗腫瘍剤を使用したが,ビンクリスチ 石川英一:Hodgkin病の非特異疹は消長に富み,しば ソ,ハイドレアの併用に若干の効果が得られた. しば数週で軽快,再発を繰返し,また組織像も入念にし 討 論 Reed巨細胞をみとめたもの,非特異的皮疹と らべないと, reticulosisの所見を見逃すことがある. 池田重雄(東大):1)メラノームのニュートロソ療 菌状息肉症 石川謹也,加茂美保(川崎市立) 法の臨床的評価について特に従来の放射線療法との比較 42才女.沖縄の住人.初診,昭和47年3月17日,約4 において.2)メラノームの原発巣がある時,血中抗 年前より全身に紅斑を多発し,診断不明のまま自分でス 体(十),手術後血中抗体(−),再発時,再び血中抗体 テロイド等を服用していた.ついで2年前より腫瘤の発 (十)との成績を得たようだが,この所見を治療がうま 生を数カ所にみるようになった.初診時,全身状態良 く出来たかどうか0判断,或は臓器転移の推移を推定す 好,顔面を除くほぼ全身に軽度落屑性の輪廓不規則の紅 るのにどの程度役立つものと考えるか. 斑が多発性に認められ,更に両上肢では多数の軽度隆起 石原和之:ニ.−トロンはどの程度効果があるか,確 した紅色浸潤性のplaqueを形成している.尚,背,両 かにあると思う. 大腿,愕部に栂指頭大迄の腫瘤が5個認められる.自覚 500∼1,000ラドで腫瘍は消失する. 腫瘍が消失すると抗体価が下り再発すると抗体価が上る 症として痰岸を訴える.検査成績,特に異常値として白 というのは興味がある. 血球数15,000, 宮本正光(東大):我々の行っている悪性黒色腫に microabscessが極めて多数に認められる.又,真皮には おける砺素中性子捕捉療法の原理は,lこの方法と異り 表皮に接してmycosis thermal 多数みられるが,これらの細胞は腫瘤部では皮表外の突 neutronを使いBoron 10からのα粒子による破壊 効果を期待している.黒色腫の場合fast (relative biological 石原和之:fast neutronのRBE effect) の値をお聞きしたい. neutron の:RBEはその対照とする組 織によって異なるが,レ放医研の梅垣部長によればRBE 3位と考えてよいとのことである. CRP升.組織学的に表皮内にPautrierの cell を混える細綿細胞の浸潤が 出部より皮表下,真皮脂肪織にかけて特に夥しく多数で 又,この部では浸潤細胞にミトーゼがかなり多く認めら れる. 慢性リンパ性白血病の1例 吉田貞夫,亀田 洋(横 市大) Hodが・1・大病2ソ例にみられたいわゆる非特異的皮疹 85才女子.初診昭和47年2月3日.慢性リソパ性白血 田村多絵子,石川英一(群大)‥‥ ‥ ‥ ‥‥‥‥ 病による紅皮症に汎発性表在性白癖(trichophyton 非特異疹のみられた2症例を経験.第1例55才男.全 taglophytis)を合併した症例で,ツベルクリン反応,ト 身に癈滓ある小結節発生.真皮上層から中層にリンパ リコフィチソ反応, DNCB接触過敏症,Lソパ球幼若化 men・ 381 第36回東日本連合地方会 現象, NBT dye test 等の低下を認めた.治療は対症療 34才女子.7才の時左頬部に外傷を受ける.その後同 法のみで良好な経過を得ている. 部に難治性潮紅性局面発生.最近発赤が著しくなり,当 討 論 科を受診した.病巣は境界明瞭でやや隆起した大きさ25 川田陽弘(順大):過去に同様症例の報告は何例あっ ×25皿の紅斑.表面凹凸不平,一部虫蝕状痘痕あり.硝 たか. 子圧診で狼盾斑を証明.自覚症状なし.ツ反応強陽性. 吉m貞夫:当大学でも同様免疫不全を伴った所謂 “malignant lymphoma" の症例は過去に5∼6例報告し ている. 浸潤とラングハンス巨細胞があり,結核構造を示す.現 在までINH総量45gの内服で略治となっている. 野口義圀(帝京大):本症はT のみでB ワ氏反応陰性.胸部レ線像正常.組織像は類上皮細胞の cell 系のdepression cell系に余り変化がないようだが, R.A. Gord (1971)によると,慢性リンパ白血病とHodgkin病と では早期にT cell 及びB cell 両系の障害があるとさ n1万ycobactecium kansasU によるスポロ│トトリコ ージス様皮膚感染症の1例 所 祥子,滝野長平(東医 歯大),美誉志康(同細菌) 37才男.昭和45年夏.熱帯魚の水槽を掃除中右手背を れている.その点免疫病理学的に疑問が残る. 受傷.半月後同部に小結節を生じ,同年12月初診時には Kaposl肉腫 棚橋害郎(東北大) 20×23圓の暗赤色,扁平隆起性,弾性状の腫瘤となる. 57才女.12年前に子宮癌を摘出,術後照射を受く.5 他に同部から前腕にかけて上行性に10個の小結節を認 ヵ月前から右腸骨縁下部の被照射部に易出血性の腫瘤を め,リンパ管型スポロトリクム症に酷似した.皮疹の生 生じた.初診時,右腸骨縁下部に鶏卵大の暗赤紫色の腫 検よりmycobacterium 瘤を認む.その中央には浅い潰瘍があり,持続的に出血 非特異的肉芽腫像を示す.原発疹は切除し,散布疹は をみる.組織学的にはKaposi肉腫の像を示し,ヘモジ demethylchlortetracyclineの治療で治癒. デリン陽性. Linac照射により腫瘤は縮小,胸部X線上 討 論 認められた腫瘤陰影は,ブレオマイシンの投与で縮小し 中嶋 弘(横市大):菌の発育温度域に問題がある. つつある. mycobacterium kansasiiは東北大の今野がlupus multiceatric reticulohlstlocytitslsの1例 仁木 kansasii が同定され,組織は miliaris disseminatus faciei より分離したとの報告が本邦にはあ 富三雄,宮里 肇,村木芳枝(都立墨東),池m重雄(東 る. 大) 所 祥子:至適発育温度が37°Cであること,硝酸還元 55才女性.3ヵ月来手指背に紅色結節多発し,漸次 試験陽性,耐熱カタラーゼ試験陽性,アラントイン試験 肘,顔,鼻尖,耳介,頭,胸背部に紅色丘疹乃至小結節 陰性などの結果からmycobacterium kansasii と同定し 散在或いは集族.歯眠に同様粘膜疹.皮疹に続発して手 た. 指,肘,肩] 癩性結節性紅斑の1例 原田誠一,村上通敏(日医 疹及び関節滑液膜の組織像は組織球及び多核巨細胞を 大) 主体とした肉芽腫様増殖. 25才女.フィリピン生れで23才まで在住.初診:昭和 (十),r-Globulin減少, PAS (十).検査所見ではRA r-M増加. 7-G減少,脂質分 47年5月22日.初診の約2年前より略全身に有痛性の結 析ではphospholipid及びtriglyceride上昇.骨レ線像 節性紅斑様皮疹が2∼3ヵ月に1回の割で散発,副腎皮 では手関節及び指骨に変化あり.ステロイド著効. 質ホルモソ内服で軽快したが,妊娠のため中止したとこ 討 論 ろ高熱と共に皮疹多発.結節より癩菌証明.尺骨神経肥 福代良一(金沢大):現在観察中の1例を追加する. 厚,カルボール反応陽性, 60才代の男で,探みの強い紅斑をもって発病し,嫁いて 田反応陰性.知覚鈍麻,運動障害なし.組織は血管炎と いるうちに丘疹ないし結節となり,やがて自然にも消 組織球性肉芽腫が主で, 失する.組織学的に真皮に泡沫細胞様の細胞が充満,な 討 論 お,表皮にも空胞性細胞が見られる.手の骨に虫喰い状 藤田恵一(自衛隊中央):本症例は臨床的にも組織学 の破壊像(十).内臓には異常は認められていない. 的にも癩性結節性紅斑とは考えられないので,更に検討 CRP十3,血沈促進のほか光 DDSにて加療中. 尋常性狼唐の1例 岩崎 隆,服部怜美,湖山里美, 願いたい.また演者もいわれた如く,日本本土には癩患 本田光芳(日医大第二) 者が著るしく減少したが,沖縄では増加の傾向にあり, 382 学卜会∧抄レ録 殊に年少者の癩が多く,集団就職児童の中に亀現地で癩 められ,穎粒はみとめられなかった. \ と診断された者が混っていることがある.沖縄では癩患 討 論 ト 犬 者の外米治療が広く行われており,本土復帰後もこの治 福代良一(金沢大):1)ウサギの肺に穎粒形成が無 療か許可される方針であるという.国際的にも癩患者の かったということであるが,私のところでやった実験で 隔離政策は批判されつつあるので,我々も癩に関する認 は,N. asteroidesで肺に見事な顎粒形成が認められた. 識を新たにする必要があると思う. 2)ノカルジア症と判明してから,シノミン単独療法を 村上通敏:本症例の組織の一部には血管炎の像,多核 された理由は何か.併用療法がよいと思う,が. 丿 白血球の浸潤も認められた.なお,皮疹の経過及び発熱 名嘉真武男:われわれの菌の動物接種では小膿瘍と肉 との関係を考慮すると, 芽腫のみがみと晒られ穎粒形成はみられなかったレシノ granuloma ENLと考える. \ glutaeale infai・:tu・・:の2例後藤允 ミソが文献的に効果がよいということで試みにシノミソ 哉,外間治夫(東京医大)・ ‥ 単独投与した. 11ヵ月男児,3ヵ月女児にみられた本症を報告した. 新しい紅色陰廓菌の培養法と走査電顕像 中溝慶生, 両例ともオムツカブレに始まり,加療にて軽快後,自覚 田崎高伴,大熊貞夫(九大温研) \ 症を欠く,暗紫紅色∼紫褐色,表面平滑,円形∼楕円 普通寒天,ヘモグロビン,トリブトソから成る培地を 形,扁平∼半球状で弾性軟の結節発生.組織は角質増 用いて紅色陰癖患者の病巣からウッド燈でオレンジ色の 殖,表皮肥厚,乳頭層に好中球,好酸球の微小膿瘍,真 蛍光を発するcorynebacteriutn 皮全層に巣状に配列する柄密な細胞浸潤あy.出現細胞 得た.蛍光抗体法を用いて,この分離菌と鱗屑中の菌が は多様で,好酸球,好中球,肥肝細胞,形質細胞,組織 同じ抗原性を有していることを証明した.鱗屑中心菌と 球,細網細胞,リンパ球,マクロフフージもみられた. 分離菌が形態学的に似ていることを走査電顕で認めた. 討 論 \ 分離菌を々ウスに接種して,鱗屑のグラム染色を行った minutissmum を分離し 斎藤文雄(東邦大分院):最近結節性カンジダ症とい ところ.ヒト病巣の菌と形態が,同じものに変化した. う名セカソジダの発見された2症例が報告されている 討 論 が,カソジダとの関係はどうか. 十 ▽ ニ \ 福代良一(金沢大):動物接種をもうすこし詳しく教 後藤允哉:私の症例では,皮疹よりカンジダは検出さ えて頂き度い. れていないので,カンジダ感染との因果関係は不明.宿 田崎高伴:マウスの背部の毛を手で抜毛しツベルクリ 主側の反応の違いによるかと思う. ン針で皮下に注射した.この場合注射部位に膨疹を発生 /原田誠一(日医大):本症の原因についてどう考える する. か. chromoblastomycoslsの1例矢代昭夫,藤沢竜 後藤允哉:本症の成因は不明だが, Toppeinerらの指 摘する如く,宿主の反応形式の異常が結節形成に導くも 一,岩重 毅(昭大) 80才女.約4年前に,左下腿伴側に外傷を負い,その のと思われる.本症は他科にてオムツカブレのヨリなど 後,該部に腫瘤発生,次第に増大し,最近になって左膝 として切除,処置されている例が考えられ,詳しく捜せ 咽部にも結節が発生してきた.初診時,左下腿伴側に7 ば症例数は増加すると思う. ×4Cmの扁平隆起腫瘤あ丿,表面に膿苔,痴皮が附着し 脳ノカルジア症の1例 名嘉真武男,皆見紀久男,中 て犯状を呈し,悪臭を放つ.さらに左膝咽部に示指頭大 野正三(久留米大),渡辺光夫,高宮紘士,重森稔(同 結節3コを触れる.両部位の生検組織片の培養により 脳外) ニ hormodendrum pedrosoiを同定し,組織標本に於ても, 60才男.主訴:後頭部痛.昭和46年12月中旬頃より後 真皮の肉芽腫病変内に黄褐色の胞子を認めた.アンフォ 頭部痛を訴え次第に増強,左不全麻原を訴えるようにな テリシンBの局注療法を継続中であるが,皮疹は著明に り,昭和47年1月24日久留米大学脳外科に入院した.当 軽央しつつある. 初脳腫瘍の診断で手術を受く.術後脳膿瘍とわかり,膿 討 論 汁中にグラム陽性の巾1μの菌子をみとむ.本菌株は金 福代良一(金沢大)示された組織内菌要素は一見分芽 沢大学福代教授によりnocardia 状に見えるが,本当に分芽であ右か,それとも菌糸発芽 asteroidesと同定され た.動物接種では微小膿瘍からなる小結節の汎発がみと の初期像であるか,判断が難かしい丿\ 十・・ .・・・ 第36回東日本連合地方会 trichophyton asteroldes によるkerloi・ celsl の 383 に沈状皮疹があった. 1例 小川俊一(山形県立中央),吉田慶行(山形市) 芥癖の3例 茂木源和(九段坂),入交敏勝,石本光秋 56才農家の主婦.初診,45年11月16日.主訴:左耳介 (東医歯大) 後部の疼痛性腫瘤.家族歴,既往歴:特別なごとなく,▽ 27才装飾品加工業(葛飾区青戸在住)および21才大学 ステi=・イド剤の使用経験もない.現病歴:初診10日前, 生2名,計3例の男子症例で,第1例は,感染源不明で 左耳介後部に疸標・疼痛あり,増悪,脱毛,排膿をみ あるが,第2,3例はいずれも東南アジアにおける不潔 る.現症:左耳介後部に5×7Cmの境界鮮明な疼痛性腫 性交によるものと考えられる.3例とも,とくに夜間に 瘤があり,膿庖・膿瘍・排膿・抜毛あり,トリコフィチ 激疼のある躯幹,四肢の散在性あるいは集族性の粟粒大 ソ反応陽性,ザブローブドー糖寒天培養・スライド培養 丘疹と,陰茎,陰頁における岸疹結節様皮疹で,臨床 所見より, T. asteroidesと同定.トリコフィチン療法が 的,病理組織学的に虫体を証明した.硫黄剤の外用によ 奏功した. り治癒ないし軽快している. 討 論 福代良一(金沢大):T. 討 論 asteroidesは毛外寄生が普通 である.示された毛の組織像では毛内に菌が見えたが, 他の処には毛外性のところも認められると思う. 山田 実(東医歯大):ここ10数年間経験することの なかうた鰹癖症例をつづけて経験したが,モの内2例は 7感染源を東南アジアとしている. ニ 原田誠一(日医大):懸滴培養でspiralenはどうであし ったか.通常T, asteroidesではspiralenがかなり多く みられるはずである. \ clotrimazolaが奏効した慢性疵状結痴性皮膚カンジ フ 熱傷閉鎖包帯療法の検討・藤田恵一,児浦達朗,山内 ;瞭,佐久間 実(自衛隊中央) ゛熱傷の氷庖は特別な汚染のない限り内容を除去するに 止め,被膜は最初の1∼2週間は残した方が良い.この ダ症 加茂紘一郎,原田鍾造,鎮野 倫(慶大) 被膜は熱傷面の被覆材料として極めて優れている.また 2ヵ月女児.生後間もなくより非水庖型の先天性魚鱗, 熱傷面に硝酸銀,色素剤などの溶液を塗布して表面に乾 癖様紅皮症を認め,1ヵ月後より,全身に膿瘍多発し次 燥性癖皮を形成させる方法は,時に潰瘍を深くすること 第に厚い痴皮を有する把状皮疹も発現してきた.皮疹, があるので,適応の撰択には慎重でなければならない. 膿,糞便尿の細菌培養にて, 熱傷潰瘍の湿潤性を強め,溶出液と肉芽の浮腫性隆起を Candida albicans 他一般細 菌が多数認められた.一般治療に抵抗性でclotrimazole 増加させる作用は,軟膏基剤,配合剤,包帯材料,貼布 の内服,外用に変更したところ,約6ヵ月後には著明な する軟膏の量,包帯交換の頻度などによって異り,基剤 寛解を見た.尚全身的に低蛋白血症,高フグロブリン血 ではソルペース<ワセリン<瑚酸亜鉛革華膏の順に,ま 症,肝ヘモジデl=・−シスあり,白内障も認める.精神身 た配合する抗生物質ではフジシン<テトラサイクリン< 体発育は著しく遅れている. クロロマイセチンの順に湿潤性が強くなる.ステロイド 討 論 福代良一(金沢大):基礎にerythrodermia を軟膏に配合すると,肉芽の充血と溶出液が減少して, ichthyoai- forme congenita があるとして,カンジダの感染はいつ 2∼3週間継続すると肉芽組織は消失して皮下脂肪組織 あるいは筋組織が直接露出するが,表皮形成は抑制され から加わったと考えるか. ることなく,中間層剥離部では肥厚性癩痕の予防に有効 加茂紘一郎:カンジダは初診時(−)でカンジダが である. (十)となったのは初診後約6ヵ月である, 討論,つ 香川三郎(東大):治療で軽快したとき,下肢の魚鱗 松崎 統(国立別府):熱傷局所処置のフアーストチ 癖様の皮疹も軽快したのか,ここには菌が証明されたか. ョイスは閉鎖包帯法か.特別の器具は使用されないか. 加茂紘一郎:Erythrodermieの部からはカンジダ(−) 藤田恵一:私は熱傷局所治療に当って,受傷直後は氷 である.下腿のErythrodermie様の皮疹の部に.も孤立性 水療法,次いで閉鎖包帯療法を原則としております.