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観光学概論第9回資料
2015/6/8 1 2 もう知ってると思いますが… 観光学概論Ⅰ 第9回 観光の世界史 2015年6月8日(月)2限 安田 慎 • 一応自己紹介 ・安田 慎 ・専門:中東・イスラー ムの観光活動、宗教と観 光(文化人類学、宗教学、 歴史学、中東地域研究) ⇒昔はエジプト、シリア を中心に、現在では湾岸 諸国、インド、東南アジ アに出没 3 本日の講義資料について 4 本日の講義の内容 • 観光の世界史 • 配付資料は配りません(理由:印刷が面倒だか ら) ・私のウェブページのLectureに資料を掲載して おきます ・http://shinyasuda.web.fc2.com/ ・観光経営学科の教員紹介ページや、検索で「安 田慎」、「帝京 安田」で検索すると出ます。 ⇒各自でDLして下さい ・観光の日本史(第3 回)と対になる講義 ・歴史を学びながら、観 光について考えていく ・観光の歴史を学ぶこと の意義は何なのか? ・前近代⇒近代⇒現代の 観光を見ていく 5 6 観光を学ぶということ • 皆さんにとって観光 を学ぶとはどういう ことですか? ・就職の為か? ・自分の興味関心の為 か? ⇒「観光」を通じて人 間・社会を見ることの 楽しさ 1 2015/6/8 7 観光の歴史を学ぶということ 8 本講義で歴史から何を学ぶのか? • 皆さんにとっての観 光の歴史って何です か? ・歴史=暗記? ・歴史=説明? • 「余暇」がいかに形 作られてきたのか ・時間・費用を使って 旅をするためには、ど うすればいいのか…? ⇒歴史を学ぶことで、 人間の思考・原理・理 想や、社会の原理・仕 組みを学ぶこと ⇒私たちが当たり前の ように考える「余暇」 はどのように形作られ たのか? 9 10 11 12 本日の講義のキーワードとリアクショ ンペーパーの内容 • キーワード ・余暇/労働、階級、休養、マス・ツーリズム • リアクションペーパーの内容 (1)西洋では余暇をめぐって、①どのような思 想が発展し、②どのような制度を形作ってきたの だろうか? (2)観光の世界史とは何ですか? (3)本日の講義の感想・疑問等 観光にとって重要なもの ここで課題 • 観光が成り立つ要素 ・欲求 • 皆さんにとっての余暇 とは何でしょうか? *消費動向、ライフスタイル ・余暇 *…………? 欲求 ・設備 *旅行インフラ・制度 ⇒3つの要素が合わさる ことで、観光が成立する 余暇 設備 (1)1年のなかで、どれだ け余暇がありますか? (2)余暇に何をしますか? (3)余暇には何が必要で しょうか? ⇒この3つを、リアク ションペーパーの裏側に 書いて下さい 2 2015/6/8 13 現代の余暇を考えてみる 14 余暇をめぐる時代区分 • 階級による余暇 前近代 • 「階級/社会的ステータス」による活動 • そもそも余暇は? ・労働以外の時間 ⇒労働以外の自由時間 に何をするのか…? ①休息、休憩 ②自分のやりたいこと を行う ⇒観光は余暇との関わ りによって発展 近代 • 労働のための余暇 • 「ゆっくりと休むこと」の重要性 現代 • 自分のライフスタイルのための余暇 • 「自分の価値観」の表現手段として 15 16 階級によって制限されていた人の移動 • 旅をする人/しない人 ・貴族、軍人、学者、商人 ⇒目的を持って旅を行 う(必ずしも、「楽し み」の為ではない) ・その他の人々(農民・職 人) ⇒そもそも旅に出ない *理由は…? 17 前近代の一般人の「余暇」 18 貴族たちの「余暇」 • 労働/余暇の不可分 • 貴族階級の象徴として ・時間で区切れない農民・ 職人 ・いつ働き、いつ休むかは 自分次第(でも、休めない …) ・労働しなくてもいいこと のステータス ・旅に出られることのス テータス ⇒余暇のタイミング ・貴族の子息たちの「留 学」 ・祝祭/日常 ・巡礼(エルサレム、サン ティアゴ・デ・コンポス テーラ) • グランドツアー ・イギリスで流行 ・長期間、お金をかけてフ ランス・イタリアを周遊 3 2015/6/8 19 20 産業革命と労働者の発生 • 産業革命(18世紀~) ・機械による大量生産と 分業、単純労働の発生 ⇒大量の労働者が発生 *労働時間によって区切られ る時間(労働以外の時間の発 生) *労働時間によって支払われ る賃金 労働/余暇の発生、賃金の発生 21 労働者の問題点……… 22 やっぱりダメな労働者… • 劣悪な労働環境 • 暇な時間に何をする のか… ・長時間労働による事故、 病気(結核)、鬱病、精神 疾患、中毒症状(麻薬、タ バコ、アルコール、ギャン ブル、etc) ・パブに入り浸ってひたす ら飲む ⇒アルコール依存症、 肝臓疾患、ギャンブル、 喧嘩、……… ⇒労働者が使いものに ならなくなる *アルコールはろくな事を 起こさない *使い捨てていたが、その うち人材不足に… 労働時間の短縮と、余暇活動の拡大 「適切な余暇」の必要性 23 禁酒運動と観光 24 禁酒大会団体ツアー(1841年) • トーマス・クック (1808~1892) ・メソジスト派宣教師、禁 酒運動家 ・労働者たちに適切な余暇 を提供しようと奮闘 ⇒鉄道を使った団体ツ アーを組織して、みん なでレクリエーション をしよう! 4 2015/6/8 25 トーマス・クックと旅行業 26 類似会社の拡大・観光の大衆化 • 労働者向けの団体ツ アーを組織・成功 • 保養地・リゾートの 拡大 ・団体パッケージ・ツアー ・前払い制、チップなし ・時刻表、綿密なスケ ジュール ・クーポン券、トラベラー ズ・チェック ⇒短期間で、安価に、予測 可能な形で旅に出られる! ・地中海沿岸部(スペイン、 フランス、イタリア) ・アルプス山脈(スイス、 オーストリア) ⇒よりよく仕事するた めの観光(休むための レジャー・バカンス) 近代観光・旅行業の始まり マス・ツーリズム(大衆観光)の発展 27 28 マス・ツーリズムの問題点 • 休息するための観光 ・画一的な余暇活動 ・受動的な余暇活動 • 「上から与えられた余 暇活動」 ・ナチス・ドイツ、ファッ ソ・イタリア ・有給休暇制度・集団余暇 活動の充実 ⇒個人の余暇を認めない 29 余暇活動の個別化へ 30 バックパッカーたち • 自由時間を、自分の 人生を充実させるた めに利用 • 他人によって与えら れる余暇活動を嫌う 人々 ・余暇活動の個別化 ・趣味・社会活動、新たな 経験・挑戦に使用(より積 極的な活動への余暇利用) ⇒体験型旅行、バックパッ カー、留学、ボランティア、 etc ・自らの五感を使って、新 たな経験を獲得する動き ⇒西洋の若者を中心に流行、 観光文化のひとつに (1970年代~) cf. スタディ・ツアー、ボラン ティア活動 「自分しかない余暇活動」の重要性 5 2015/6/8 31 ライフスタイルに応じた余暇活動 32 リピーター・ファンへ • 多様化するライフス タイル、多様化する 余暇活動 • 何度も繰り返し足を 運ぶ人々 ・「その場所にしかない」 ことの重要性 ⇒これまでの余暇活動は、 (ある意味)どこでもよ かった… ・足繁く通う人々、リピー ターへの着目 ⇒「自分との関わり」の重 要性 ・観光・旅行を選択する 人々の拡大 ・多様化する観光活動 ・多様な体験・経験を提供 する場へ *労働と結びつかない余暇 「労働>余暇」から「労働<余暇」へ 33 34 余暇をめぐる時代区分 • 階級による余暇 前近代 • 「階級/社会的ステータス」による活動 近代 • 労働のための余暇 • 「ゆっくりと休むこと」の重要性 現代 • 自分のライフスタイルのための余暇 • 「自分の価値観」の表現手段として 35 36 本日の講義のまとめ 次回予告 • 西洋を中心とする観光の世界史 • 観光と旅行業 (1)余暇活動は、個人の時間・金銭をめぐる環 境によって形成 ・五十嵐 力 先生 ・高度情報化社会の到 来などの変化に対して、 旅行業は機能や役割を どう変化させてきてい るか。その未来を一緒 に考えてみよう。 (2)近代観光は、大衆への適切な余暇活動を提 供しようとする動きのなかで形成 (3)近代観光はマス・ツーリズム(大衆観光) として広がるが、画一的な観光活動を推進 (4)個人のライフスタイル・価値観を体現する ための活動へと変化(多様化・個別化) 6 2015/6/8 37 本日の講義のキーワードとリアクショ ンペーパーの内容 • キーワード ・余暇/労働、階級、休養、マス・ツーリズム • リアクションペーパーの内容 (1)西洋では余暇をめぐって、①どのような思 想が発展し、②どのような制度を形作ってきたの だろうか? (2)観光の世界史とは何ですか? (3)本日の講義の感想・疑問等 7