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東日本大震災資本ストック被害金額 推計について

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東日本大震災資本ストック被害金額 推計について
東日本大震災資本ストック被害金額
推計について
~エリア別(県別/内陸・沿岸別)に推計~
2011年7月21日
地域企画部 地域振興グループ
寺崎友芳
0
目次
 被害推計の類型化
……………………………………………
P. 2
 推定プロセスの概要
……………………………………………
P. 3
 使用した統計
……………………………………………
P. 6
 推定結果
……………………………………………
P. 7
 エリア別被災状況
……………………………………………
P. 8
 エリア別復興への課題
……………………………………………
P. 9
著作権(C)Development Bank of Japan Inc. 2011
当資料は、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)により作成されたものです。
当資料は、貴社及び当行間で検討/議論を行うことを目的に貴社限りの資料として作成されたものであり、特定の取引等を勧誘するものではなく、当行がその提案内容の実現性を保
証するものではありません。
当資料に記載された内容は、現時点において一般に認識されている経済・社会等の情勢および当行が合理的と判断した一定の前提に基づき作成されておりますが、当行はその正確
性・確実性を保証するものではありません。また、ここに記載されている内容は、経営環境の変化等の事由により、予告なしに変更される可能性があります。
当資料のご利用並びに取り組みの最終決定に際しましては、貴社ご自身のご判断でなされますよう、また必要な場合には顧問弁護士、顧問会計士などにご相談の上でお取り扱い下さ
いますようお願い致します。
当行の承諾なしに、本資料(添付資料を含む)の全部または一部を引用または複製することを禁じます。
1
被害推計の類型化
ミクロアプローチ
アンケートによる被害額の積み上げ
悉皆調査
標本調査
メッシュデータ(建物利用現況等)と航空写真による被害推計
マクロアプローチ
人的被災率から被害率を推定
建物被害率から被害率を推定
2
推定プロセスの概要①
1.民間企業資本ストック・社会資本ストック
1
県民経済計算の固定資本形成
民間企業資本ストック統計等から推定される
過去の平均除却率
県別資本ストックの先行研究を時点延長
民間企業資本ストックのケース
2
産業別資本係数(=有形固定資
産/産出額)(全国ベース)
民間企業資本ストック統計
国民経済計算統計
3
2産業別資本係数×県別・産業別
の付加価値額
県民経済計算の県別・産業別の付加価値額
4
1で算出した県別資本ストックを3で算出した各産業の構
成比で按分し、県別・産業別の資本ストックを算出
5
民間企業資本は市町村内総生産、社会資本は人口によ
り内陸部・沿岸部に按分
市区町村内総生産
市区町村別人口
産業立地特性
(臨海部に立地する鉄鋼・石油など一部の産業については立地特性を勘案)
6
県別・内陸沿岸別の推定資本ストック
3
推定プロセスの概要②
市町村別人的被害率(避難者を含む)
県別・内陸沿岸別の企業被災率(設備損壊で操
7 県別・内陸沿岸別の総合被害率
業停止した一定規模以上の企業の比率)
8
阪神大震災における上記で算出した総合被
害率と実際の被害率の比率を参考
倍率補正
9 県別・内陸沿岸別の推定被害率
10
県別・内陸沿岸別の推定被害額
4
推定プロセスの概要③
2.住宅資本ストック
1
県別の1戸あたり住宅資産額
2
県別住宅被害額
3
県別・内陸沿岸別の住宅被害額
全国消費実態調査
県別世帯数
住宅・土地統計調査
県別住宅被害数
被害率は、全壊100%、半壊50%、一部損壊
20%として算出
市町村別人的被害数(避難者を含む)で内陸
と沿岸に按分
5
使用した統計
統計名
出所
集計単位
使用した主なデータ項目
国民経済計算統計
内閣府
全国
産業別産出額
民間企業資本ストック統計
内閣府
全国
産業別資本ストック
県民経済計算
内閣府
都道府県
県内総生産、固定資本形成
住宅・土地統計調査
総務省
都道府県
住宅戸数
全国消費実態調査
総務省
都道府県
1世帯あたり住宅資産
市町村内総生産
各県統計年鑑
市町村
市町村内総生産
住民基本台帳人口要覧
国土地理協会
市区町村
人口、世帯
事業所・企業統計
総務省
市区町村
従業員別民営事業所数
6
推定結果(4月28日公表)
(単位:10億円)
推定資本ストック被害額
推定資本
生活・社会
ストック
住宅
製造業
その他
インフラ
岩手県
宮城県
福島県
茨城県
4県計
内陸部
沿岸部
合計
内陸部
沿岸部
合計
内陸部
沿岸部
合計
内陸部
沿岸部
合計
内陸部
沿岸部
合計
A
26,369
7,449
33,818
31,443
23,182
54,625
34,314
15,941
50,254
47,827
21,727
69,553
139,952
68,299
208,251
合計
B
457
1,943
2,400
856
2,031
2,887
630
1,244
1,874
460
766
1,226
2,403
5,985
8,387
22
607
629
40
1,446
1,486
7
145
152
40
87
126
109
2,285
2,394
64
191
255
148
290
438
263
151
414
175
355
530
650
987
1,637
211
781
992
551
1,130
1,681
370
319
689
318
275
593
1,451
2,504
3,955
754
3,522
4,276
1,595
4,897
6,492
1,270
1,859
3,129
993
1,483
2,476
4,612
11,761
16,373
(備考)1.沿岸部は海岸線を有する市町村、内陸部はその他の市町村としている。
2.推定資本ストック、推定資本ストック被害額ともに再調達ベース。
3.福島第一原子力発電所事故がもたらした様々な被害は、本推計には含まれていない。
7
被害率
B/A
2.9%
47.3%
12.6%
5.1%
21.1%
11.9%
3.7%
11.7%
6.2%
2.1%
6.8%
3.6%
3.3%
17.2%
7.9%
エリア別被災状況
今次震災は、地震、津波、原発事故と被害は複合的で、被災範囲は広域的かつ多様。下図の通り5つのエリアに分けられる。
資本ストックの被害率は、岩手県沿岸部が47.3%と最も高く、同被害額は宮城県沿岸部が4.9兆円と最大。
岩手県沿岸部
内陸部
推定資本ス
トック被害額
推定資本ス
トック被害額
4.6兆円(全資本ストックの3.3%)
行方不明者
避難者
53人
6人
10,020人
人的被害
被災者数計
人口
被災者比率
10,079人
6,202,719人
0.2%
沿岸部に比べ被害率は物的・ 人的ともに小規模
・主力産業の電気機械・自動車の工場は設備面では復旧するも部品
調達がネック
死者
行方不明者
避難者
4,427人
3,010人
34,200人
人的被害
被災者数計
人口
被災者比率
41,637人
282,866人
14.7%
宮古市
推定資本ス トック被害率は全エリア中最大
山田町
・大槌町、陸前高田市、野田村、山田町では過半の世帯が浸水
大槌町
釜石市 ・漁港など水産業関連インフラは壊滅的被害
・製造業も鉄鋼、セメントの主要工場で被害
死者
秋田市
盛岡市
茨城県沿岸部
推定資本ス
トック被害額
陸前高田市
行方不明者
避難者
14人
9人
0人
人的被害
被災者数計
人口
被災者比率
23人
701,073人
0.0%
原発事故に伴う被害大も、総じて被害規模は中程度
・北部は津波、南部は液状化による住宅被害
・鹿島港のインフラ・石油化学コンビナートで津波被害
・漁業は風評被害等により休漁が続出
南三陸町
死者
東松島市 石巻市 女川町
仙台市
名取市
山形市
山元町
人的被害
相馬市
福島市
南相馬市
20km
30km
郡山市
(注)被災者数は5月14日現在
行方不明者
9,418人
人口
8,705,116人
4.9兆円(全資本ストックの21.1%)
死者
行方不明者
避難者
8,842人
5,682人
30,310人
人的被害
被災者数計
人口
被災者比率
44,834人
981,373人
4.6%
推定資本ス トック被害額が全エリア中最大
・南三陸町、東松島市、女川町、石巻市は全世帯の3分の2以上浸水
・漁港など水産業関連インフラは壊滅的被害
・製造業は食品や石油精製、紙パルプなどの工場が軒並み被災
いわき市
推定資本ス
トック被害額
16.4兆円(全資本ストックの7.9%)
死者
14,817人
被災者数計
189,025人
推定資本ス
トック被害額
福島県沿岸部
4県合計
推定資本ス
トック被害額
宮城県沿岸部
気仙沼市
1.5兆円(全資本ストックの6.8%)
3.5兆円(全資本ストックの47.3%)
避難者
164,790人
被災者比率
2.2%
日立市
水戸市
福島第一原発
鹿嶋市
神栖市
緊急時避難区域
計画的避難区域
(c)ESRI Japan
8
1.9兆円(全資本ストックの11.7%)
死者
行方不明者
避難者
1,481人
720人
90,260人
人的被害
被災者数計
人口
被災者比率
92,461人
537,085人
17.2%
原発事故に伴う避難者数が多く、被災者数は全エリア中最大
・原発事故避難住民は10万人以上に達する見込み
・自動車、紙パルプなどの工場が被災
・漁業、農業は放射能被害、風評被害により出荷制限や作付け休止
エリア別復興への課題
一律的な復興計画ではなく、地域の個性を活かしたきめ細かな復興計画の検討が必要。
復興計画にあたっては、カラミティプルーフ(=免災:天災にあっても被害を最小化し、速やかに復興すること)の先進地域を目指す
とともに、雇用創出、住民参加を促す息の長い取り組みが必要。
岩手県沿岸部
●避難住民の安定した生活環境の確保
●住宅、生活・社会インフラの高所移転等抜本的なまちづく
りの見直し
●農地を宅地化するスキームの検討
●水産業(漁業、水産加工業)の法人化、集約化、大型
化。優先順位をつけた漁港の復旧
内陸部
●電機、自動車など工場の早期回復による地域経済の活
力復活
●イノベーションの重要拠点である東北大学の早期復旧
●正確な情報提供による農業・観光・工業製品への風評被
害の極小化
茨城県沿岸部
●川上産業の早期復旧によるサプライチェーンの回復
●正確な情報提供による漁業への風評被害の極小化
宮城県沿岸部
【石巻市以北】
●岩手県沿岸部と同様
【東松島市以南】
●東北全体を牽引する工業拠点、物流拠点としての集積が
高い仙台市周辺の早期復旧・復興
●津波被災住宅の津波エリア外への移転等まちづくりの見
直し
●代替農地対策等の津波被害を受けた農地の復興プラン
の策定
観光
●風評の回復には時間を要する。地域の重要な雇用機会
である観光産業の中期的なサポート体制構築
医療・ 福祉
●病院間の役割分担による、緊急的に被災病院の代替的
役割を果たしている病院の負担軽減・見直し
●高齢者向け介護施設への行政サポート
●クリニックの被災が深刻な沿岸部の医療体制再構築
(c)ESRI Japan
産業
●企業の資金繰り支援、財務基盤強化
●大規模なサプライチェーン途絶に対し、複数企業の協
力による供給体制複線化の支援等が必要
●我が国産業そのものへの信任の維持が重要
エネルギー
●需要側の制御へ発想の転換
●供給側については、中長期的な視点からエネルギー
ミックスを検討すべき
●火力等他電源の早期復旧
●太陽光など分散型エネルギー導入
9
福島県沿岸部
●避難住民の安定した生活環境の確保
●避難住民への行政サービス等バックアップ体制構築
●医療・福祉面での緊急避難的サポート
(備考)P8-9は日本政策投資銀行「東日本大震災の被災状
況と復興への課題」(5月31日発表)より抜粋
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