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第2節 大気汚染
第2節 大気汚染 1.環境基準の設定 大気汚染にかかる環境基準は、環境基本法 16 条の規定に基づき、人の健康を保護し、生 活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準として設定されています。 (関連資料:P 67 資料3) 2.大気汚染の測定結果 福島県では、大気汚染の状況を監視するため、県内 15 市町村(小高、双葉、富岡、楢葉を 除く)に一般環境大気観測局 37 局と自動車排出ガス測定局3局を設けて、環境基準物質に 指定されている二酸化硫黄、二酸化窒素などの常時監視を行っています。本市では、一般環 境大気観測局が県立葵高校(西栄町)に設けられています。 福島県の調査によれば、二酸化硫黄や二酸化窒素、浮遊粒子状物質の3項目については、 環境基準を超えているものはなく、多少の変動があるものの若干減少傾向が見られます。 光化学オキシダントについては、県内全ての測定局において1時間値では環境基準を超え ており、平成 21 年 5 月に会津地域では初めてとなる「光化学スモッグ注意報」が発令され ています。 ◆大気汚染濃度測定結果 (福島県「環境白書」、環境省 HP より) ◆二酸化硫黄濃度の推移 ◆二酸化窒素濃度の推移 (ppm) (ppm) 0.015 0.004 0.003 0.010 0.002 0.005 0.001 0.000 0.000 H19 H20 H21 H22 H19 H23 ◆光化学オキシダント濃度の推移 H21 H22 H23 ◆浮遊粒子状物質濃度の推移 (ppm) (ppm) 0.060 0.050 0.040 0.030 0.020 0.010 0.000 H19 H20 0.030 0.020 0.010 0.000 H20 H21 H22 H19 H23 H20 -◆- :会津若松市 -■- :全国平均値 39 H21 H22 H23 ◆大気汚染濃度測定項目の説明 測定項目 二酸化硫黄 二酸化窒素 項目の説明 大気中の二酸化硫黄は、主に石油・石炭等の燃焼などにより発生 しますが、天然の発生(火山ガスなど)も少なくありません。高濃 度で呼吸器に障害をもたらしたり、酸性雨の原因となり、植物を枯 らすなどの被害が発生します。 大気中の窒素酸化物は、大半が燃焼に伴って発生します。この場 合、直接発生するのはほとんど一酸化窒素ですが、大気中で酸化さ れて二酸化窒素に変化します。二酸化窒素は人の呼吸器に影響を与 えるだけでなく、酸性雨や光化学オキシダントの原因にもなります。 大気中の光化学オキシダントは、工場や自動車などから排出され る窒素酸化物、炭化水素類の一次汚染物質が、太陽光の紫外線の作 光化学オキシダント 用で光化学反応を起こし生成されるオゾン等の二次汚染物質を総称 したもので、眼の刺激や呼吸器への影響を及ぼす他、植物への影響 も観察されています。 浮遊粒子状物質 (SPM) 浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子物質であって、その 粒径が 10 ミクロン以下のものをいいます。人の気道や肺胞に沈着し、 呼吸器疾患の増加を引き起こすおそれがあるといわれており、大気中 の浮遊粒子状物質は、工場や自動車の排出ガス等から発生するほか、 土砂の飛散や火山活動など自然現象によっても発生します。 ~ ひとくちメモ ~ * 光化学スモッグとは? 光化学スモッグは、工場や自動車等から排出された窒素酸化物、炭化水素等が大気中で太 陽光線に照射されて、オゾンを主体とするオキシダント等の二次汚染物質が生成されること によって生じるものです。 光化学スモッグの発生機構は大変複雑で、窒素酸化物、炭化水素等の原因物質が移流・拡 散する過程で光化学反応を起こして発生します。 このため、風向・風速・日射等の気象条件に大きく影響され、汚染の範囲が原因物質の発 生源から数十 km 先の遠い地域まで及ぶといった「広域的」な性格をもちます。人の粘膜を 刺激し、目やのど、呼吸器に影響を及ぼすほか、農作物など植物へも影響を与えます。 福島県では、光化学オキシダント濃度が 0.12ppm を超え、かつ、この状態が継続すると認 められる場合に、「光化学スモッグ注意報」を発令します。 もし、注意報が発令された場合は、下記のとおり行動してください。 1.窓をできるだけ閉め、屋外に出ない。 2.自動車の利用を控える。 3.体の弱い方や病気の方は、室内で安静を保つ。 4.目やのどに刺激を感じた場合は、すぐに洗眼・うがいを行い、会津保健所、県会津 地方振興局、市役所環境生活課のいずれかに連絡してください。 40 3.酸性雨及び酸性雪 地球規模の環境問題の一つである酸性雨については、全国的に欧米とほぼ同程度のpH 4 台の降雨が確認されており、生態系への影響が心配されています。このため、福島県では酸 性雨の実態を把握するため、継続的にモニタリング調査を実施しています。本市における調 査地点は、会津保健所(追手町)です。 なお、市では、「東北都市環境問題対策協議会」の共同調査として、冬期間に酸性雪調査を 実施していますが、県内の酸性雨の調査結果と比較すると、酸性の数値が高い傾向が見られ ます。 ◆酸性雨及び酸性雪調査の経年変化 pH 5.2 5.0 4.8 会津若松市 郡山市 いわき市 会津若松市 (酸性雪) 4.6 4.4 4.2 4.0 3.8 H20 H21 H22 H23 ~ ひとくちメモ ~ * pH(ピーエイチ:水素イオン濃度)とは? 水の酸性・アルカリ性を表す指標。1~14 まであり、7が中性で、7より小さくなるほど 酸性が強いことを表し、7より大きくなるほどアルカリ性が強いことを表します。 生物は、中性付近でしか生きられず、水道水として望ましいとされているのはpH 6.5~ 8.5 です。酸性の水は酸っぱく、アルカリ性の水は苦く感じます。食酢や柑橘類の果汁は酸 性でpH4以下のものが多く、アルカリイオン飲料も酸性を示します。 人間の肌は弱酸性で、酸には比較的強いですが、アルカリ性物質には弱いものです。 * 酸性雨とは? もともと雨は、大気中の二酸化炭素が溶け込んでいてpH 5.6 程度であり、これより数値の 低い(酸性度が高い)ものを「酸性雨」といいます。 41 4.大気汚染防止対策 福島県では、大気汚染の環境基準を目標として法や条例に基づいて、ばい煙排出の規制、 発生源監視、測定体制の強化など工場・事業場の汚染防止対策を推進し、硫黄酸化物や窒素 酸化物などについて地点を定め年間測定を実施しています。 なお、市内の工場・事業場に対する大気汚染防止法に基づく届出事務、指導、規制は、県 が行っています。 (1) ダイオキシン類対策特別措置法に基づく規制 工場又は事業場に設置される焼却炉等の施設であって、ダイオキシン類を発生する施設は、 「特定施設」としてダイオキシン類対策特別措置法(平成 12 年1月施行)により規制され、 県に対して届出が必要となっています。廃棄物焼却炉については、火床面積が 0.5㎡以上の ものが該当します。また、既設の施設に関しては、暫定基準が適応されていましたが、平成 14 年 12 月より規制が強化されました。そのため、基準値を満たさない廃棄物焼却炉は、使用 できなくなりました。 (2) 野焼きの禁止及び小型焼却炉の使用自粛 廃棄物処理法の改正により、廃棄物の野焼きは原則禁止になりました。 本市では、よりよい生活環境を目指すため「会津若松市生活環境の保全等に関する条例」 (平成 12 年 10 月施行)において、野焼きの禁止と、小型焼却炉の使用を自粛することとし ています。また、平成 14 年 12 月より廃棄物焼却炉の構造基準が厳しくなったため、基準に 適合している一部の焼却炉を除き、ほとんどの家庭用小型焼却炉が使用禁止になりました。 市では、家庭ごみ等の一般廃棄物については自家焼却をせず、分別収集やリサイクルへの 協力を、また、事業系廃棄物は適正な処理を行うよう指導しています。 もみがらや稲わらなど焼却を禁止されていないものもありますが、住宅地の近くなどで行 い周辺住民に不快感を与えている場合などについては、出来る限り焼却しないよう協力をお 願いしています。(下記参照) ◆野焼き禁止の例外 ○歳の神 ○焚き火(落ち葉を燃やす程度のもの) ○土手等の焼却 ○キャンプファイヤー ○松明(照明) ○農家で行う土壌改良目的の焼却(もみがらなど) ※現時点では、稲わらやもみがらの焼却は、放射性物質を拡散させる恐れがありますので、 焼却は行わないようご協力をお願いいたします。 ※上記の場合でも、悪臭やひどい煙を出すものや、一般ゴミを混入しての焼却はできません。 また、焼却を行う場合は、燃やす量(一度に沢山燃やさない)や当日の風向きなどに注意 して、近隣の住宅地などになるべく煙が向かないよう配慮してください。 42