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農業研究成果情報 No.591(平成 25 年 5 月)分類コード 11

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農業研究成果情報 No.591(平成 25 年 5 月)分類コード 11
農業研究成果情報
No.591(平成 25 年 5 月)分類コード 11-03 熊本県農林水産部
炭酸苦土石灰の連用による大豆および小麦の子実中カドミウム濃度の低減効果
炭酸苦土石灰の施用によるpH 調整によって大豆及び小麦の子実中カドミウム濃度を低減
できる。また、炭酸苦土石灰の連用によりpH を高く保つことで大豆・小麦の子実中カドミ
ウム濃度の吸収抑制効果が安定して持続する。
農業研究センター生産環境研究所環境保全研究室(担当者:白尾謙典)
研究のねらい
食品中のカドミウム含有濃度について、FAO/WHO 合同食品規格委員会(Codex 委員会)におい
て国際的な基準値が策定され、食品衛生法に基づく米(玄米及び精米)のカドミウム基準値は
従前の「1.0ppm 未満」から「0.4ppm 以下」へ改正された。なお、これまで基準値が未設定であ
った畑作物等について国内基準値の策定に向けて検討が進められている。
そこで、本研究ではカドミウムのリスク低減を目的とした栽培技術の確立に向け炭酸苦土石
灰の連用が大豆及び小麦子実中のカドミウム含有濃度に及ぼす影響を明らかにする。
研 究 の 成 果
1. 炭酸苦土石灰の施用により徐々に土壌pH が上昇し、それに伴い大豆(フクユタカ)及び小
麦(シロガネコムギ)子実中のカドミウム濃度の低下が認められた。(図1、図2、図3)
2. 炭酸苦土石灰を連用しpH を高く保つことで大豆(フクユタカ)及び小麦(シロガネコムギ)
子実中のカドミウム吸収抑制効果が安定して持続する。(図2、図3)
3. 炭酸苦土石灰を連用すると、0.1N 塩酸抽出の土壌中カドミウム濃度には変化がみられない
が、0.01N 塩酸抽出の土壌中カドミウム濃度は減少する。(図4、図5)
普及上の留意点
1. 灰色低地土において粒状炭酸苦土石灰(200kg/10a)を 8 作(大豆 4 作、小麦 4 作の輪作)連用
した結果である。
2. 試験開始における 0.1N 塩酸抽出の土壌カドミウム濃度は、ほ場Ⅰ(1.33mg/kg)、ほ場Ⅱ(0.
93mg/kg)で、カドミウム濃度が高いほ場で実施した結果である。
3. pH の上昇しすぎに留意し、作物ごとの最適 pH 上限を超えないように留意する。
【具体的データ】
No.591(平成 25 年 5 月)分類コード 11-03 熊本県農林水産部
8.0
7.5
7.0
pH
6.5
6.0
5.5
ほ場Ⅰ 無処理
5.0
ほ場Ⅰ 苦土石灰
ほ場Ⅱ 無処理
ほ場Ⅱ 苦土石灰
4.5
4.0
H20.7
H20.12
図1
H21.6
H21.12
H22.6
H22.12
H23.6
H23.12
H24.6
作土層における土壌pH の推移
1.80
ほ場Ⅰ 無処理
1.40
ほ場Ⅰ 苦土石灰
ほ場Ⅰ 無処理
1.60
ほ場Ⅰ 苦土石灰
1.40
ほ場Ⅱ 無処理
ほ場Ⅱ 苦土石灰
ほ場Ⅱ 無処理
1.20
ほ場Ⅱ 苦土石灰
1.00
mg /kg DW
1.00
0.80
0.60
0.80
0.60
0.40
0.40
0.20
0.20
0.00
0.00
H20
1作目
図2
H21
3作目
H22
5作目
H 21
2作目
H23
7作目
H22
4作目
図3
大豆子実中カドミウム濃度
H 23
6作目
H24
8作目
小麦子実中カドミウム濃度
0.60
1.40
ほ場Ⅰ 無施用
ほ 場 Ⅰ 苦 土 石灰
ほ場Ⅱ 無施用
1.20
0.50
ほ 場 Ⅱ 苦 土 石灰
0.40
1.00
mg/kg 乾土
mg/kg 乾土
mg/kg DW
1.20
ほ 場 Ⅰ 無 施用
0.30
ほ 場 Ⅰ 苦 土石 灰
ほ 場 Ⅱ 無 施用
0.80
ほ 場 Ⅱ 苦 土石 灰
0.20
0.60
0.10
0.00
0.40
H20.6
H20.12
図4
H21.6
H21.12
H22.6
H22.12
H23.6
H23.12
0.1N 塩酸抽出土壌中 Cd 濃度
H24.6
H20.6
図5
H20.12
H21.6
H21.12
H22.6
H22.12
H23.6
0.01N 塩酸抽出土壌中 Cd 濃度
H23.12
H24.6
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