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CO2の回収・貯留、大幅削減に不可欠

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CO2の回収・貯留、大幅削減に不可欠
公益社団法人
日本経済研究センター
Japan Center for Economic Research
2015 年 5 月 1 日
CO2の回収・貯留、大幅削減に不可欠
-再エネよりもコスト安、導入にはインセンティブが必要-
日本経済研究センター
2015 年 4 月 16 日(木)に第 15 回会合を開き、温暖化ガスの大幅削減に欠かせない
CO2 の回収・貯留技術(CCS)の現状や課題について討論した。日本の技術は世界的にト
ップ水準ではあるが、それでも実用化にはコスト低減を図る必要がある。ただ CO2 ・
1㌧当たりの削減コストは再生可能エネルギーよりも安価である。実用化には、貯留
場所の立地対策も求められるだろう。議論の要旨は下記の通り。
1.
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の委員会のリポートで CCS は大幅な温暖
化ガス削減には不可欠とされている。21 世紀末に温暖化ガス濃度を 450ppm に制
限するには CCS なしでは、削減コストは 138%増になるとされている。原発撤退
では 7%増、太陽光・風力を制限する場合は 6%増としており、CCS の重要性が
わかる。国際エネルギー機関(IEA)でも同じように CCS を重要視している。
2.
火力発電所や製鉄から発生する CO2 を分離・回収する技術には液体吸収、固体吸
着、膜分離があるが、液体吸収技術である化学吸収法では地球環境産業技術研究
機構(RITE)や新日鉄住金が進める実証実験レベルの研究で、世界最高水準の効率
的な技術を開発している。固体吸着でも RITE は実験室レベルで CO2 を1㌧当た
り 2000 円で分離回収できるメドをつけている。膜分離でも同 1500 円のレベルに
実験室では達している。
3.
世界では 5500 万㌧の CCS が実施・計画されている。大半は生産量が落ちた油田
に CO2 を入れて貯留しながら原油を増進回収(EOR)している。EOR で 20 倍以
上、原油生産量が増えた事例もある。日本でも 1300 億㌧程度(年間排出量の約
100 年分)の貯留できる地層があるとみられている。ただ実用段階では貯留の安
全性をきちんと説明するなど立地対策が必要だ。また CCS の実用化には規制緩
和も必要。貯留する CO2 は 99%以上ないと貯留できないが、90%まで緩和され
るとコストが大きく減る。
4.
米国は新たな石炭火力に CCS を義務づけようとしているが、政治的に通るかど
うか不透明だ。天然ガスがシェール革命で値下がりしており、CCS 付きの石炭火
力は天然ガスにコストでは勝てない。
5.
政府が検討中の 2030 年の温暖化ガス削減目標に CCS の実用化は盛り込まれない
見通しだ。CCS は研究開発としては重要だが目標に組み込める規模の実用化は難
しいと考えられている。CCS は CO2 削減費用としては再生可能エネルギーより安
い面があるが、CO2 を捨てるだけなので、導入のインセンティブがないと広がら
ない。
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日本経済研究センター
エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル
「エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル」メンバー
座長
岩田一政
日本経済研究センター理事長
座長代理
鈴木達治郞
日本経済研究センター特任研究員/長崎大学教授・核兵器
廃絶研究センター長
有識者
山地憲治
地球環境産業技術研究機構
植田和弘
京都大学大学院経済学研究科教授
橘川武郞
東京理科大学大学院教授
増田寛也
野村総合研究所顧問(元総務相・前岩手県知事)
伊丹敬之
東京理科大学大学院教授
竹内純子
国際環境経済研究所
小山
日本エネルギー経済研究所
堅
小西雅子
理事・研究所長
理事・主席研究員
常務理事・首席研究員
世界自然保護基金(WWF)ジャパン
気候変動・エネルギープロジェクトリーダー
枝廣淳子
環境ジャーナリスト
平田仁子
気候ネットワーク理事
日本経済団体連合会
経済団体
経済同友会
エレクトロニクス、エネルギー、化学、住宅、自動車関連、金融機関、
会員企業
商社、食品、IT、建設機械、エンジニアリング、建設、運輸・通信、
不動産など当センター会員企業 21 社
小林光
アドバイザー
西岡幸一
事務局
日本経済研究センター特任研究員/慶應義塾大学大学院
特任教授・元環境事務次官
日本経済研究センター研究顧問/専修大学教授・元日経コ
ラムニスト
小林辰男
日本経済研究センター主任研究員/政策研究室長
高地圭輔
日本経済研究センター主任研究員
当ラウンドテーブルは、月1回のペースで開催、忌憚ない意見交換を促すため非公
開を原則とするチャタムハウスルール 1* で運営しています。
本稿の問い合わせは、研究本部(TEL:03-6256-7740)まで
※本稿の無断転載を禁じます。詳細は総務・事業本部までご照会ください。
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〒100-8066
公益社団法人 日本経済研究センター
東京都千代田区大手町1-3-7 日本経済新聞社東京本社ビル11階
TEL:03-6256-7710 / FAX:03-6256-7924
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Chatham House Rule。英王立国際問題研究所に源を発する、会議参加者の行為規範である。
チャタムハウスルールを適用する旨の宣言の下に運営される会議においては、当該会議で得ら
れた情報を利用できるが、その情報の発言者やその他の参加者の身元および所属に関して秘匿
する(明示的にも黙示的にも明かにしない)義務を負うというルール。
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