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Title 勤務形態が口腔内状態に及ぼす影響 : 職業運転手

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Title 勤務形態が口腔内状態に及ぼす影響 : 職業運転手
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勤務形態が口腔内状態に及ぼす影響 : 職業運転手とホワ
イトカラーの比較
鈴木, 誠太郎; 吉野, 浩一; 高柳, 篤史; 石塚, 洋一;
佐藤, 涼一; 小野瀬, 祐紀; 江口, 貴子; 上條, 英之;
杉原, 直樹
歯科学報, 116(3): 241-241
http://hdl.handle.net/10130/4007
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
歯科学報
Vol.116,No.3(2016)
241
№25:千葉県における東京歯科大学の口腔がん検診の取り組み
左 右1),森川貴迪1),大野啓介1),右田雅士1),菅原圭亮2),別所央城2),藥師寺 孝1),
1)
佐藤一道3),野村武史3)4),片倉 朗2)4),髙野伸夫4),柴原孝彦1)4)(東歯大・口腔顎顔面外科)
2)
3)
4)
(東歯大・口腔病態外科)
(東歯大・オーラルメディシン口外)
(東歯大・口腔がんセンター)
目的:我が国では,口腔がんは全悪性腫瘍の1%を
占めており近年では増加傾向にある。また若年者や
女性の罹患率も増加傾向にある。口腔は患者自身が
観察しやすく,また歯科医院での視診や触診が比較
的容易である。しかし,早期発見が十分になされて
いないのが現状である。早期発見・早期治療は予後
ばかりでなく治療後の患者の QOL に著しく影響す
るため,対策が必要である。
東京歯科大学(当大学)では地域や歯科医師会と
連携し,1992年より地域やその連携し口腔がん検診
を行ってきた。本発表では,千葉県においてこれま
で行ってきた口腔がん検診の集団検診についてその
概要を報告する。
方法:1992年から2015年までの24年間に千葉県にお
いて当大学と連携して行った口腔がん検診受診者を
対象とした。検診は問診・視診・触診を中心に行
い,精密検査が必要な場合は基幹病院へ精査を依頼
した。
受診背景(性差・年齢・受診動機・生活歴)
,他臓
器がんの集団検診の受診(胃・肺・乳・大腸・子
宮)
,口腔がん検診の成績(口腔がん発見率,要精
密検査率,要精密検査者に対するがんの割合,前癌
病変発見率)について検討し,その有用性について
検討した。なお,本調査はすべての受診者の同意を
得ている。
結果:24年間でのべ14,
455人が受診した。年々受診
者の増加を認めた。男女比は,1:3であった。平
均年齢は64.
2歳であり,受診年齢分布では60−70歳
台が多く,約60%を占めた。受診動機に関しては,
「自覚症状がないが機会があったため受診」が40%
と約半数を占めた。生活歴では,飲酒歴は毎日飲酒
が21.
7%,喫煙歴は現在喫煙が8.
1%であった。口
腔癌の要精密検査率が639名(7.
8%)
,要精密検査
者に対するがんの割合が18名(2.
8%)
,受診者に対
する口腔癌の割合は0.
12%であり,18名ともただち
に基幹病院にて処置が施された。また,前癌病変は
129名(20.
1%)であった。
考察:口腔がんを早期発見・早期治療を行うために
は国民の口腔に対する意識を向上させ,地域の組織
と協力しながら検診を継続していくことが望まし
い。今回の調査に関しても口腔がんにおける検診で
の発見率は他の臓器の検診と比べて同等であり有用
であるといえる。しかしこれを維持するとともに広
く一般的に啓発活動を進めていく必要がある。
№26:勤務形態が口腔内状態に及ぼす影響
−職業運転手とホワイトカラーの比較−
鈴木誠太郎1),吉野浩一1),高柳篤史1),石塚洋一1),佐藤涼一1),小野瀬祐紀1),江口貴子1)2),
1)
2)
3)
上條英之3),杉原直樹1)(東歯大・衛生)
(東歯大・衛生士校)
(東歯大・歯科社会保障)
目的:職業運転手は,その特殊な労働環境から心疾
患や腰痛,糖尿病といった全身疾患との関連が報告
されている。しかしながら,口腔内疾患との関連を
報告した調査は少ない。よって,本研究はホワイト
カラーを対照群として,職業運転手の歯の喪失に関
連する因子を明らかにすることを目的とした。
方法:インターネット調査会社に登録されている30
−69歳の男性のうち,職業を運転手と回答した者を
職業運転手とし,教師,事務,営業,管理職と回答
した者をホワイトカラーと定義した。対象者は本研
究への参加に同意を得た上で,インターネット上で
自記式調査に参加した。アンケート内容は BMI,
世帯年収,現在歯数,労働環境,全身疾患,歯科受
療行動,生活習慣,口腔清掃習慣とした。回答の得
られた1,
357人から,年収による歯の喪失への影響
を考慮し,世帯年収が200万円以下と800万円以上の
者を除外し,592人の職業運転手と328人のホワイト
カラーの2群を比較検討した。本研究は,東京歯科
大学倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号
602)
。
結果および考察:職業運転手とホワイトカラーの違
いを明らかにするために,従属変数を現在歯数が20
歯未満か否かとした多重ロジスティック回帰分析を
行った。その結果,ホワイトカラーに対し職業運転
手は現在歯数が少なかった(odds ratio[OR]
,1.
74;
95% confidence interval[95% CI],
1.
15−2.
63)。
次に,職業運転手における現在歯数に影響する因子
を明らかにするために,従属変数を現在歯数が20歯
未満か否かとした多重ロジスティック回帰分析を
行った。その結果,職業運転手では糖尿病(OR,
2.
68;95% CI,
1.
39−5.
17)
,歯 磨 き に かける時間
(OR,1.
66;95% CI,1.
07−2.
57),朝食を食べる
頻度(OR,2.
23;95% CI,1.
42−3.
51)
,外食をす
る 頻 度(OR,1.
70;95% CI,1.
09−2.
67)
,喫煙
の有無(OR,2.
88;95% CI,1.
39−5.
96)が現 在
歯数と関連していることが明らかとなった。以上の
結果から,職業運転手の生活習慣が全身状態だけで
なく,歯の喪失にも関与している可能性が示唆され
た。
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