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子宮頸がん検査
36 子宮頸がん検査 KKCでは、婦人科医による診察と、子宮頸部の細胞を少し取って顕微鏡で がん細胞の有無を調べる細胞診検査を行っています。 子宮頸がん検査の判定には、原則として下表に示すような細胞診のベセスダ システムおよびクラス分類結果を表示し、判定はベセスダシステムに準拠して おります。さらに「HPV検査」を追加でご受診になると、前がん病変(がん になる前の段階)の発見率が飛躍的に上がることが分かってきました。 細胞診検査 ∼クラス分類(日母分類)∼ ∼ベセスダシステム∼ 分類 NILM 推定される病理診断 判定 異常所見なし 陰性 分類 内 容 Ⅰ 正常 Ⅱ 異形細胞を認めるが、良性であって悪性の兆候はない。 要経過観察 ASC-US 軽度扁平上皮内病変疑い HPV高リスク型が陽性の場合 は 要精密検査 ASC-H 高度扁平上皮内病変疑い LSIL 軽度扁平上皮内病変 HSIL 高度扁平上皮内病変 SCC 扁平上皮がん疑い AGC 腺異型・腺がん疑い AIS 上皮内腺がん疑い Ⅲa 悪性の疑いは薄いが断定はできない。 軽度∼中等度の異形上皮を想定する。 Ⅲb 悪性を強く疑うが断定はできない。 高度の異形上皮を想定する。 Ⅳ 強く悪性を疑う。 上皮内がんを想定する。 Ⅴ 悪性である。 湿潤がん(微小浸潤がんを含む)を想定する。 要精密検査 Adenocarcinoma 腺がん疑い Other malig. その他の悪性腫瘍疑い 不適正 判定保留 オプション検査 HPV−DNA検査 ハイリスク型 発がんに関与しているといわれるハイリスク型が 検出されると「高リスク型陽性」とご報告します。 子宮頸がんの原因の多くがヒト・パピローマウイルス(HPV)による感染 であること分かってきました。 HPVは自然排出されることも多いのですが、感染が持続すると、子宮頸部に 異形成という前がん病変が発生する場合があります。 ご自身のリスクの度合いを把握していただきながら、癌へ進行してしまうその 前の状態で見つけ対処するために、定期的に検診や精密検査を受けることが最 大の予防策となります。 37 子宮頸がん検査 ベセスダシステムに基づいた子宮頸がん検診 細胞診検査 標本適正 陰性 標本不適正 判定保留 ↓ 再検査 扁平上皮系異常 NILM ニルム 日母分類 Ⅰ、Ⅱ ASC-US ASC-H LSIL HSIL SCC アスク・ユーエス アスク・ハイ ローシル ハイシル エスシーシー ┃ 軽度扁平上 皮内病変疑 い ┃ ┃ ┃ ┃ 高度扁平上 皮内病変疑い 軽度扁平上 皮内病変 高度扁平上 皮内病変 扁平上皮癌 疑い ┃ ┃ ┃ 日母分類 Ⅱ、Ⅲa 日母分類 Ⅲa、Ⅲb 日母分類 ⅢⅢa ┃ ┃ ┃ HPV検査 または、半年 以内の再検 査 1年後検診 HPV陰性 ┃ 日母分類 Ⅲa、Ⅲb、 Ⅳ ┃ ┃ 日母分類 Ⅴ ┃ 要精密検査 コルポ診、生検必要 HPV陽性 その他の異常 腺系異常 AGC AIS エイジーシー エイアイエス Adenocarci noma ┃ ┃ ┃ ┃ 腺異型・腺癌 疑い 上皮内腺癌 疑い 腺癌疑い 悪性腫瘍 疑い Other malig. アザーマリグ アデノカルチノーマ ┃ ┃ ┃ ┃ 日母分類 Ⅲ 日母分類 Ⅳ 日母分類 ⅢⅤ 日母分類 Ⅴ ┃ ┃ ┃ ┃ 要精密検査 コルポ診・生検・頸管および内膜細胞診また は組織診 要精密検査 病変検索 その他の婦人科疾患 臨床所見(問診と診察)の結果は、「その他の婦人科疾患」として報告してい ます。なお細胞診検査で、感染症の所見を認めた場合も、「その他の婦人科疾 患」に加えて報告しています。 解 外陰炎 臨床所見 膣炎 頸管炎 説 外陰部の炎症 膣の炎症 膣から子宮に通じる頸管の炎症 子宮膣部びらん 頸管の入り口付近の粘膜のただれ 頸管ポリープ 細胞診 真菌類 トリコモナス ヘルペス 頸管にポリープ(粘膜のいぼ状の隆起) 真菌(かび)による膣炎 トリコモナス(原虫の一種)による膣炎 ヘルペスウイルスによる膣炎