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網管理専門委員会 - TTC 一般社団法人情報通信技術委員会
◉TTC主催会合報告 TTC Report 2012. July Vol.27/No.2 2011年第4四半期 専門委員会標準制定状況 網管理専門委員会 通信ネットワーク運用管理SWGリーダ 大毛 忠文(NTTコムウェア㈱) 1.はじめに レメント管理レイヤ(EML)間のインタフェースに 網 管 理 専 門 委員会の通信ネットワーク運用 管 理 関する概念とインタフェース仕様を規定するものであ SWGで は、 通 信 キ ャ リ ア の ネ ッ ト ワ ー ク 管 理 に る。本標準に準拠したインタフェースを採用すること つ い て、 国 内 に お け る 動 向 調 査 やITU-TやTMF で、テクノロジやベンダに依存しないマルチベンダ, (TeleManagement Forum) の標準化調査を通じて、 マルチテクノロジの環境におけるシームレスな相互接 国内における標準化ニーズを捉えた標準制定、必要な 続の実現を容易にし、通信サービスプロバイダのイン 標準についてのITU-Tとのアップストリーム・ダウン テグレーションコスト、オペレーションコストを低減 ストリーム活動を実施している。 することが可能となる。 2011~2012年度においては、TMFが開発して ITU-Tで勧告化されたマルチテクノロジネットワーク ⑴ JT-M3170(MTNM)の概要 管理(以下MTNMと記述)に関してTTC標準として 本標準は、TMFにおけるマルチテクノロジネット の制定作業を行い2011年度第4四半期の標準化会 ワ ー ク 管 理(MTNM) に 関 す る 標 準(TMF513、 議 に 付 議 し、JT-M3170.0~JT-M3170.3と し て TMF608、TMF814) お よ びITU-Tに お け る 2012年5月24日に制定された。 M.3170.x(MTNM)をベースとしている。通信サー ビスプロバイダは、STM/ATM/WDM/xMPLS等の 2.JT-M3170(MTNM)の概要 種々の技術(マルチテクノロジ)をベースにしたサブ 本 標 準(JT-M3170.0~JT-M3170.3) は 通 信 ネットワークを相互に接続し運用することで、多様な サービスプロバイダが直面するマルチベンダ、マルチ サービスを提供しており、またそれらのネットワーク テクノロジで構成される通信網の効率的な管理を目的 を実現する装置類(NE)を複数の提供ベンダ(マル としており、ネットワーク管理レイヤ(NML)とエ チベンダ)から調達している。こうした複数の通信技 図1 JT-M3170(MTNM)の目的 15 ◉TTC主催会合報告 TTC Report 2012. July Vol.27/No.2 図2 M.3170シリーズとMTNM v3.0の関係 術、 複数のベンダ装置でネットワークを構成する場合、 よび勧告)とTM ForumにおけるMTNM関連標準(上 その管理・運用にはテクノロジ毎、提供ベンダ毎の管 述)との参照関係を具体的に説明するものである。 理・運用が必要となり、管理の煩雑さ、相互運用の困 難さ、運用コスト高の要因になっている。マルチテク ノロジネットワーク管理(MTNM)は、こうしたマ ルチテクノロジ・マルチベンダのネットワークを単一 の共通インタフェースで管理し上記課題を解決するも のである。 ビジネス要求モデルは、以下の4つから構成されて いる。 ⒜ 要求条件:ビジネスシナリオを実現するための 機能要件・非機能要件を定義する。 ⒝ ユースケース:MTNMインタフェースで実 現する管理機能(NMS-EMSセッション管理・ コネクション管理・プロテクション管理性能管 ⑵ 各種ドキュメントの参照関係 理など)に関する定義を規定。 本標準は、MTNMに関する概要を説明するが、本 ⒞ ビジネス要求モデルUMLダイヤグラム:動的 標準のベースとなっているTMFドキュメントと、本 モデル・静的モデルをUMLダイヤグラムで定 標準およびITU-T勧告との参照関係については図2の 義する。 ような関係となっている。 ⒟ トレーサビリティマトリクス:要求条件に対す るユースケース、UMLクラス、静的要求条件、 ⑶ JT-M3170.1 (ビジネスアグリーメント (TMF513) ) 動的要求条件間のトレーサビリティを定義する。 の概要 本標準は、ベースとしているTMFにおけるMTNM 標準(前述)のうちビジネスアグリーメントに関する ⑷ 4.JT-M3170.2(情報アグリーメント(TMF608) ) の概要 標準(TMF513)の概要と、ITU-T勧告における管 本標準は、ベースとしているTMFにおけるMTNM 理アーキテクチャとフレームワークに関する標準(お 標準(前述)のうち情報アグリーメントに関する標準 16 ◉TTC主催会合報告 TTC Report 2012. July Vol.27/No.2 表1 TMF814マネージャとMTNM管理オブジェクトの関係 TMF814マネージャ (CORBAファサードオブジェクト) NEマネージャ MTNM v2.1管理オブジェクト CORBAファサードオブジェクトから管理される、もしくは使用される 管理対象エレメント(ME) ,終端点(TP) (PTP,CTP,TPプール) ,アラーム, AID,クロスコネクト(XC) ,TD,MLSN MLSNマネージャ マルチレイヤサブネットワーク(MLSN) (シングルトンを含む) , サブネットワー クコネクション(SNC) (クロスコネクションを含む) , トポロジカルリンク(TL), TPプール,CTP,PTP,ルート,TD EQPマネージャ 設備(EQP) ,設備ホルダー(EQPH) (様々な種類) ,PTP EMSマネージャ 設備管理システム(EMS)オブジェクト,TL,アラーム,AID,MLSN TDマネージャ トラフィックディスクリプタ(TD) ,TP PMマネージャ 性能情報管理(PM)オブジェクト(PMロケーション,粒度,PMパラメータ, TCAパラメータ,PMデータ) ,TP,ME プロテクションマネージャ プロテクショングループ(PGP) ,TP メインテナンスマネージャ メンテナンス操作,TP GCTマネージャ GUIカットスルー(GCT)ウィジェットデータ,GUIラウンチコマンドデータ ルートインタフェース EMSセッションファクトリ(EMSへのエントリーポイント) , ユーザ名, パスワー (ファサードではない) ド,EMSセッション,NMSセッション,イベントチャネル (TMF608)に関する概要を説明するものである。 情報アグリーメントはトランスポートネットワー ク を 基 に し たSONET/SDH、OTN、ATM、DSL、 MTNMの管理オブジェクトは、TMF814で定義さ れるマネージャ(CORBAファサードオブジェクト) から管理される形で実装される。(表1) およびポイントtoポイントイーサネットを含むマル チテクノロジーネットワークの管理としてMTNM NML-EMLインタフェース情報モデルを規定する。 3.まとめ MTNMは、マルチベンダ・マルチテクノロジの基 インタフェース情報モデルUML図は、以下のMTNM 幹ネットワークを効率的に管理できるインタフェース 管理オブジェクトクラスとそれらの状態遷移を定義し として国内においても活用されつつあり、また今後の ている。 ネットワーク管理の概念、情報モデル、インタフェー ス定義等の検討の観点でも有効に活用されることが期 ⑸ 4.JT-M3170.3(CORBA IDLソリューション セット(TMF814)および実装仕様テンプレー トとガイドライン(TMF814A) )の概要 待される。 通信ネットワークの多様化・複雑化に伴い、その運 用管理の効率化・相互接続性の容易化へのニーズは高 本標準は、ベースとしているTMFにおけるMTNM まってきており、今後はネットワーク運用管理への仮 標準(前述)のうちCORBA IDLソリューションセッ 想化・抽象化などのアプローチの適用が加速されると ト(TMF814)および実装仕様テンプレートとガイ 予測される。 ドライン(TMF814A) について説明する。また、 網管理専門委員会では、引き続きネットワーク運用 ITU-T勧 告X.780.2、Q.816.2、 お よ びMTNM補 管理に関する動向やITU-T SG2、TMFの標準化動向を 足資料を参照して、TMNおよび機能的ネットワーク 調査し、情報発信や各種標準の制定を通して、ネット アーキテクチャに関する主要勧告とTMF814および ワーク管理の効率的運用の実現に寄与していきたい。 TMF814Aとの関連について説明するものである。 本標準はMTNMへのCORBAの導入について説明 するものであり、詳細はTMF814、TMF814Aにて 定義されるOMG準拠CORBA IDLファイルとインラ イン文書を参照する形としている。 17