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網管理専門委員会 - TTC 一般社団法人情報通信技術委員会
◉特集 TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 ◎ 特 集 ◎◎◎ ◎◎ 専門委員会の活動紹介(第3回) TTCでは、現在16専門委員会が標準化活動を行っています。専門委員会委員長・副委員長より、これまでの活動 や今後の活動予定などについてご寄稿いただきました。 網管理専門委員会 委員長 高呂 賢治 (沖電気工業株式会社) 副委員長 平子 正典 (富士通テレコムネット ワークス株式会社) 1.はじめに 通信ネットワーク運用管 理SWG リーダ 通信サービス品質評価 SWG リーダ (エヌ・ティ・ティ・コ ムウェア株式会社) (日本電信電話株式会社) 大毛 忠文 林 孝典 ア通信サービスのサービスレベルの品質評価法に関し 国内のキャリアにおいては、NGN実用化段階に入 て、ITU-Tの動向調査やダウンストリーム/アップス りつつあり、NGNの網管理の相互接続のニーズやア トリーム活動を行っており、具体的な課題は、マルチ プリケーションの拡大も今後活性化するものと考えら メディア通信サービスに対する、①品質指標の評価条 れます。 件規定、②品質指標の評価方法・解釈、③サービス運 このような状況において、網管理専門委員会に係 用中の品質評価方法、④相互接続環境における品質評 る事項として、ITU-Tでの電気通信網管理の課題とし 価・表示方法、⑤端末の特性測定法・設計目標値規定 てSG2が、IP電話/IPテレビ電話/IPTV等の各種通信 等をおこなっており、両SWGとも多岐な領域の活動 サービスの品質評価に関する課題としてSG12が活 を行っています。 動しています。 本 専 門 委 員 会 は、 こ れ ら の 事 項 に 対 応 す る た め に、 本 委 員 会(WG1500) と2つ の サ ブ ワ ー キ ン 2.これまでの活動状況 こ れ ま で の 活 動 に つ い て 以 下 に 示 し ま す が、 両 グ(SWG1501:通信ネットワーク運用管理SWG、 SWGの活動はかなり異なっているため、以下⑴、⑵ SWG1502:通信サービス品質評価SWG)で構成 に分けて概要を説明します。 され、SWG1501では通信キャリアのネットワーク 管理について、ネットワーク管理モデル、管理機能、 ⑴ SWG1501におけるTTCの標準化動向 管理サービス、システム間インターフェース等を範 本SWGの最近のTTC標準化の活動としては、TM 囲とする活動を行っており、具体的にはITU-TやTM Forumが開発してITU-Tで勧告化された通信キャリ Forum(Telecom Management Forum) の 動 向 アのビジネスプロセスモデルのeTOM(Enhanced 調査やダウンストリーム活動を行っています。また Telecom Operarions Map®)を2009年度にTTC SWG1502ではIP電話サービスを含むマルチメディ 標準化作業を進め、JT-M3050.0(eTOM[拡張テ 14 ◉特集 TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 レコム運用マップ] ) 、JT-M3050.1(eTOMビジネ TTC標準JJ-201.01「IP電話の通話品質評価法」を スプロセスフレームワーク)を2010年5月に制定し 制定し、国内規定に関する議論は一段落しています。 ました。 この中で、2011年1月にITU-T SG12において音声 JT-M3050.0は、通信産業に携わるサービスプロ 品質客観評価法を規定する勧告P.862(PESQ)が バイダやサプライヤおよびパートナが使用する為に定 見直され、後継として新勧告P.863(POLQA)が制 義されたネットワーク管理を実行する為のビジネスプ 定されました。TTC標準JJ-201.01では、IP電話サー ロセス、業務プロセスおよびフレームワークを表して ビスの品質指標であるITU-T勧告G.107(E-model) います。 (図1参照) の出力値「R値」を補完するパラメータとしてPESQ T-M3050.1では、ITU-T勧告のM.3050.xシリー 値を利用しています。このため、同TTC標準において、 ズに基づき、eTOMの主要部分について規定してお POLQAの性能検証を経てPESQに関する記述を置換 り、①サービスプロバイダによって使用されるビジネ し、標準改訂を進める予定です。 スプロセス、②それらのプロセス間のつながりとイン また、IPテレビ電話等の映像通信サービスの本格普 タフェースの識別、③複数プロセスによる通信事業会 及を見据え、2009年度より、映像通信サービスの 社の顧客、サービス、リソース、サプライヤ/パート 要求品質規定や映像メディアに対する主観/客観品質 ナの関係が重要です。 (図2参照) 評価技術の国際標準化動向の調査を開始しています。 最新の情報通信技術(ICT)は、会社間の情報共有、 この中で、IPテレビ電話サービスの総合品質評価に 会社と顧客間の情報のやりとり等、情報のアクセスに 有益なITU-T勧告G.1070の活用方法を技術調査報告 変化をもたらしています。この技術を用いたeビジネ 書としてまとめました。同勧告を利用するためには勧 スの登場がサービスプロバイダに大きな影響がありま 告記載の評価アルゴリズムを評価対象サービスに対し す。eTOMの体系的なビジネスプロセスフレームワー てチューニングしなければならないため、多大な労力 クが、eビジネスへスムーズに移行できる事を示して と費用をかけて主観品質評価実験を行う必要がありま います。 した。この課題を解決するため、映像品質客観評価法 の一つであるITU-T勧告J.247技術を用いることが有 ⑵ SWG1502におけるTTCの標準化動向 IP電話サービスの通話品質評価法は、現在までに 効であることから、ITU-T勧告G.1070とITU-T勧告 J.247を組み合わせた「IPテレビ電話の総合品質評 図1 網管理規定範囲と既存標準とeTOMの関係 15 ◉特集 TTC Report 2012. January Vol.26/No.4 図2 eTOM ビジネスプロセスフレームワーク(例) 価法」を検討し、今年度その内容を技術調査報告書に まとめたところです。 ⑵ SWG1502における今後の活動 今 後 は、ITU-T勧 告P.863(POLQA) の 性 能 評 価検証を進め、その検証結果を受けて、TTC標準JJ- 3.今後の活動予定 以下⑴、⑵に分けて今後の活動予定を説明します。 201.01の改訂を進めていきます。また、IP電話サー ビス以外のマルチメディア通信サービスに対しては、 品質評価法に関する国際標準化動向調査を継続し、当 ⑴ SWG1501における今後の活動 今 後 は、2007年 以 降 のITU-T SG2勧 告 に 関 し、 2010年度にTTC標準化の可否の調査結果に基づき、 該サービスの市場規模・普及率や社会的重要性等を勘 案した上で、サービスの品質実態把握やサービス品質 グレード規定の必要性を検討して行きます。 現在M.3170シリーズの勧告(NMSとEMSのイン タフェースに関する規定)のTTC標準化作業を進め て行きます。 ま た、TU-T SG2やTM Forumの 動 向 を 調 査 し、 NGN管 理、eTOM改 版 な ど のITU-T勧 告 に 基 づ く TTC標準制定、ITU-Tに対するアップストリーム活動 も積極的に進め、更なるネットワーク管理の効率的な 構築、運用に寄与して行きます。 16 以上、最後になりますが、今後さらに活動を活性化 させて参りますので、多くの皆様に本専門委員会の WG・各SWGの委員としてご参加いただけますよう お願い申し上げます。