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住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 - Siemens PLM Software

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住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 - Siemens PLM Software
造船
住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
船舶設計で高まる解析ニーズに、設計者が簡単に使えるFemapで迅速に対応
製品
Femap、NX Nastran
課題:
設計と解析に対応できる多能
工化
設計業務のスピードアップ
とコスト削減を両立
設計者が使える解析ツールと
してFemapを導入
住友重機械マリンエンジニア
リング株式会社は、中型タン
変化する船級協会規則、顧客 カーを 中 心 に 建 造していま
の要望への柔軟な対応
す。1897年の創業以来、1300
設計上流での作り込み
隻 以上 の 船 舶を建 造してお
り、大型練習帆船「日本丸」や
「海王丸」も同社で建造した船
成功の鍵:
舶です。
PCベースで使いやすいFemap
高い精度、品質の解析を支援
するビジュアル化
柔軟なモデリング機能
効果:
図面と解析を理解できる設計
者の増加
開発のスピードアップ、コスト
削減
解析計算の精度、品質の向上
設計の直感力を磨く新人教育
Femapを使用している製造本部設計部構造 解析専任者については、現在は多能工化を進
設計グループは、船舶の基本図の作成から船 めており、設計と解析を兼任で行っています。
主、船級協会への承認書類の作成・提出と また、設計専任者にもFemapの使用を拡大し
フィードバックされたコメントへの対応、製作 ているところです。
用図面の作成、船舶の性能計算、NC作業、試
運転時の振動計測など幅広い業務を担当し 「それまで使用していたソフトは操作が難しく
またメンテナン
ています。
この中で、船舶の構造の各種強度・ 専任者しか使えませんでした。
振動計算のプリ/ポストツールとしてシーメ スが大変で保守費が高い。設計者も使える
ンスPLMソフトウェアのFemap™を使用してい ツールを探していたのでFemapを導入しまし
た。」
と同グループ技師の廣瀬氏は、コストパ
ます。
フォーマンスに優れている点と設計者が使え
同グループでは今から9年前、それまで使用し るツールであることをFemap導入の理由とし
ソルバーにはNX Nastranを
ていたUNIX™ システムの解析ソフトから切り て挙げています。
使用しており、
「
信頼性、
安定性、知名度」を理
替える形でFemapを導入しました。現在、
プリ
由として挙げています。
/ポストとしてFemapを4ライセンス、ソル
バーとしてNX™ Nastran®を1ライセンス導入
しています。
造船の場合、試作や実験ができません。実験
の代わりに、船殻各構造の解析シミュレーショ
ンにFemapを使用しています。
www.siemens.com/plm
メッシュの切り方やモ
また、詳細設計の段階で構造の変更を行うと 「船級協会の規則では、
影響が大きくなるため、詳細設計に移る前に デルの作り方も決まっています。以前は表計
構造を決定しなければなりません。そのため 算ソフトウェアで計算すれば良かったものも、
の裏付けとしてシミュレーションの結果が用 最近ではモデル化して計算する要求の比重が
いられます。同社では横部材の形状は基本的 大きくなってきています。そのためFEMツール
に解析の結果をもとに決めているほか、艤装 を使った作業が増えています。船級協会への
品 を 設 置 する 甲 板 下 の 構 造 の 検 討 に も 提出書類を作成するのも大切な仕事の一つ
Femapを使った解析シミュレーションがよく活 です。Femapなら、PCで作業できますので、モ
用されています。
デルや解析結果をコピーして報告書に流用す
るのも簡単で助かっています。」
と廣瀬氏は話
船級規則に従った強度計算、社内のノウハウ します。
を活かした解析
船を実際に運用するためには、船級協会から また、船の構造を決めるには、さらに詳細な
承認を受け「お墨付き」をもらわなければなり 検討が必要で、船体の防振設計に関する解
ません。
この船級協会は世界中にいくつかあ
析、自社基準に基づく局所的な強度計算など
り、
どこで認証を得るかはその船の船主の希
多くの場面でFEMが活用されています。
望で決まりますが、船殻部分の強度計算方法
や評価の仕方はほとんどの船級協会で共通
「造船の場合、試作ができません。そのため経
の基準が用いられています。共通の規則で検
験工学的なところがあります。過去の不具合
討された結果は、報告書としてまとめられ、船
のフィードバックをもとに社内の独自基準の
級協会へ提出されます。
見直しを繰り返しています。」
と、同グループの
根ケ山グループリーダーは話します。
これまで蓄積されたノウハウを設計に活かす きないように強度計算を基に適切な補強を加
ため、Femapを使った解析が行われています。 えたりしています。
最近では設計の前段階にあたる企画・開発段
階から同グループのメンバーが参画して、開
発船の仕様を決めることも増えています。通常
では、一世代前の実績船をベースに開発が始
まり、
より軽く、
より安くなどの要求に対する変
更を加えた場合に設計が成り立つかという
フィージビリティ・スタディを行います。
このように 、同グ ル ープ で の F e m a p 、N X
Nastranを使った解析は、上流の開発から建
造時まであらゆる場面に広がっています。
Femapでスピードアップとコスト削減を両立
同社では、各設計者がPC上のFemapからPC
サーバー上のNX Nastranにデータを転送して
計算しています。
「次の開発船をどうするかという仕様、構造の
検討にも設計・解析の技術者が関係していま 「PC上からサーバーへジョブを投げることで、
す。新造船のアイデアを検討する中で、強度や 計算中にもPCを有効に使えます。
どこで計算
振動に問題がないかを確認するため、早い段 を行っているのか、実際にはあまり意識せず
階から解析計算を行っています。そのため、解 に 行えますので、不自由さは 感じませ ん 。
析と図面の両方の知識を持つ「多能工化」
し FemapとNX Nastranは開発元も同じシーメン
た技術者が求められています。」
と、根ケ山グ スなので、互換性も良く、
スピーディーに作業
ループリーダーは話します。
できています。」
と廣瀬氏は話します。
また、Femap、NX Nastranを使った解析計算
は船自体の設計だけではありません。建造時
の強度計算にも使用しています。一般に大型
の船は、船体をいくつかのブロックに分けて
製作し、それらを組み合わせて最終形状にす
るというブロック工法という手法で作成され
ます。組み合わせるときには、ブロックをク
レーンで吊って正しい位置に設置しますが、
ブロックは大きいもので500トンにもなりま
す。
クレーンで移動しているときにも問題が起
同社で使用する解析用モデルは、静解析モデ
ルで50,000節点/120,000要素、全船モデル
による固有振動解析モデルで10,000節点/
25,000要素ほどのものが一般的です。
このモ
デリングにもFemapが使用されています。
「使用する機会が多いビーム要素のモデリン
グでは、断面形状を定義するだけで剛性やオ
フセット量が自動計算されるので役立ってい
ます。」
と廣瀬氏はFemapを使ったモデリング
「解析と図面の両方の知識を持った
メンバーがいれば、開発の検討が
早く進みます。
」
住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
製造本部設計部構造設計グループ グループリーダー
根ケ山 博 氏
「表計算ソフトウェアを使ってい
たころは、時間も人数もかなり
かけていました。今は、一人でも
より多くのパターンにも対応で
きるようになり、時間、工数的に
スピードアップを実 感してい
ます。」
住友重機械マリンエンジニア
リング株式会社
製造本部設計部
構造設計グループ 技師
廣瀬 裕二 氏
の効率化のメリットを話します。
時代と共に変化する船級規則や顧客ニーズで
解析業務が増加
船級協会からの要求に対しては、モデルの一
部のメッシュを細かくする必要があります。全
体は粗いメッシュで、例えば溶接接合部周り
を細かいメッシュで解析します。そのような時
に、細かいメッシュで作成しておいた別のモ
デルを対象の部分に入れ替えていますが、
こ
の作業もFemapなら楽にできると話します。
船舶を取り巻く環境は、時代と共に変化して
います。現在では、安全性や燃費改善、排ガス
規制、環境問題への対応、さらには設計の透
明性を高める要求が高まっています。
このよう
な要求に応えるため、新たな設計の必要性も
発生しており、Femapを使った解析業務も増
えています。
「以前は、細かいメッシュが必要な部分は、そ 船級協会の規則が変更され、2015年夏以降
こだけ切り出して別で解析をしていたので、時 の契約船からは新しい基準が適用されます。
間が掛かっていました。今は、全体の中で粗い
部分と細かい部分を一緒にして解析すること 「新しい規則では、解析を行うべき対象は船
が可能です。」また、
「 変形の連続性をシミュ 体中央部ホールドのみから、前後ホールドを
レーションするためには、全体の中に細かい 含む全ホールドになります。作業量は約4倍
と廣瀬氏は話します。
メッシュ部分をはめ込んで計算した方が精度 に増加します。」
が高く、結果も良くなっています。」
と根ケ山グ
燃費改善では、
プロペラや舵周りの付加物の
ループリーダーは話します。
改善が求められ、強度及び防振機能の確認が
必要です。環境面ではバラスト海水を、船体内
Femap導入以前は手計算での作業も多く、表
で処理して無害なものにして現地で捨てるこ
計算ソフトウェアで数値を検討することもあり
とが必須となっており、そのような処理設備を
ました。今はFemapを使って、計算結果をビ
甲板上に設置した場合の防振、下部構造の強
ジュアルで確認できます。
度計算が必要です。
住友重機械マリンエンジニアリングはFemap
また環境では、排ガス規制への対策も重要で
の直観的なユーザーインターフェイスと先進
す。
的なグラフィック化の効果を評価しています。
「モデルの作り方は良いか、
また正しい条件を
「遠洋航海する船は一般に低価格のC重油燃
与えているかを目で見て確認でき、間違いを
料を使用して運航コストを下げるようにして
減らすことができています。また、計算結果も
いるのですが、
このような燃料では排ガス規
ビジュアルで分かりやすく、判断がし易い。そ
制をクリアすることが困難です。そこで、特に
のようなことからも品質が向上しています。」
ヨーロッパの港に入る際にはよりクリーンな
と廣瀬氏は話します。また「表計算ソフトウェ
排ガスを出すような燃料に変更する必要があ
アを使っていたころは、時間も人数もかなりか ります。そのために複数の種類の燃料に対応
けていました。今は、一人で多くのパターンの できるようにタンクを増設したり、排ガス規制
検討に対応できるようになり、時間、工数的に に対応する処理設備の設置が必要になったり
スピードアップを実感しています。」
と、従来の船にはなかった機能が求められる
ようになってきています。」
と根ケ山グループ
構造設計グループのエンジニアである小澤氏 リーダーは話します。
は「Femapは他のソフトと比べて安価なため、
年間保守費等でも経費削減に役立っていま これらは新規建造船に求められるものです
す。」
と、
コスト削減効果について話します。
が、排ガス規制適応対策は就航船でもニーズ
があります。
タンクを2つに分割する改造に関する問合せ
も増えていると言います。
基本的な知識を習得し、その後徐々に具体的
な設計図面をベースにした解析に移行してい
きます。
そのほか、仮に就航中の船に不具合が生じて
しまった場合にも、その原因究明や、対策に 「新人にとっては、図面を見ただけでどこに応
力がかかるか、
どのように変形するという、具
Femapが使用されています。
体的なイメージをつかむのはとても難しいこ
シミュレーションで見ると、構造上の厳
「船は運航できなければ意味がないので、修 とです。
理期間はできるだけ短くしなくてはなりませ しい部分なども分かりやすく、設計の直感力
と根ケ山グ
ん。そのような時こそ、誰にでも使いやすい を磨くためにも良いと思います。」
ループリーダーは、同社で推進している、図面
Femapは有利です。」
と小澤氏は話します。
と解析を両刀使いできる
「多能工化」
した設計
者の育成にもFemap のメリットを話します。
誰にでも扱いやすく、新人教育にも効果的
以前、主に使用していたUNIXのツールによる
解析は、ツールを使える人が限られ、結果的
に解析は専任者が行う業務でした。現在は設
計者の業務用PCでFemapが使用できます。
「Femapはメニューが日本語のため、初心者
でも抵抗なく使用できる。」
とその使い易さを
評価しています。
また、新人教育においてもFemapを使用して
おり、材料力学等の教育で効果を上げていま
す。
この教育では、Femapのチュートリアルで
設計と解析が分かる人材が増加することで、
Femapの用途は様々な分野に広がっていま
す。作業船、海洋構造物などの解析のほか、住
友重機械グループ内の別会社から建設機械
やショベルのアーム等の強度解析の依頼を受
けることもあります。
今後同社では、船級規則の変更による解析業
務の増加や顧客ニーズの多様化への対応に
もFemapで応えていく予定です。
ソリューション/サービス
Femap
NX Nastran
主な事業内容
船舶や海洋建築物の設計/製造
/販売を行う造船メーカー
http://www.shi.co.jp/me/
index.html
「設計者でも扱いやすいFemapを使用するこ 「今後、船級協会作成ソフトとのリンクを基本
とで、
より多くの解析業務をこなすことができ として、ポスト処理の自動化、計算書作成の自
るようになります。
また、今後はFemapのAPIを 動化のためのカスタマイズを行うことで、
リー
活用したカスタマイズも行い、さらに処理能 ドタイムの短縮も図りたいです。」
と、さらなる
力を向上したいと思っています。」
と廣瀬氏は スピードアップを狙っています。
期待を寄せます。
また、現在は船級協会への提出用ドキュメン
トの作成に多くの時間を要しています。
所在地
横須賀造船所
神奈川県横須賀市
「Femapは導入・メンテナンスの
コストが廉価なので、業務全体の
コストダウンにつなげられています。
」
住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
製造本部設計部構造設計グループ
小澤 徹 氏
お問い合わせ
シーメンス PLM ソフトウェア
〒 151-8583
東京都渋谷区代々木 2-2-1
小田急サザンタワー
TEL: 03-5354-6700
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www.siemens.com/plm
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AG の登録商標です。D-Cubed、Femap、Geolus、GO PLM、I-deas、Insight、JT、NX、Parasolid、SolidEdge、Syncrofit、Teamcenterおよび
Tecnomatixは、Siemens Product Lifecycle Management Software Inc.またはその子会社の米国およびその他の国における商標ま
たは登録商標です。NastranはNational Aeronautics and Space Administrationの登録商標です。UNIXはOpen Groupの登録商標で
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