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生産・工作機械製品の開発を. 改善するために

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生産・工作機械製品の開発を. 改善するために
Siemens PLM Software
生産・工作機械製品の開発を.
改善するために、PLMを活用する
技術白書
生産・工作機械メーカーの経営陣は、製品ライフサイクル管理(PLM)の潜在的効果を、5つの中心
的なビジネス・プロセスに対する具体的影響を調べることによって評価することができます。5つの
プロセスとは、入札、受注生産、設置とコミッショニング、稼働中のサポート、新製品の開発と市場
導入です。
www.siemens.com/plm
発行: シーメンスPLMソフトウェア
1
技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
目次
エクゼクティブ・サマリー.......................................................3
入札プロセス.......................................................................7
受注生産プロセス................................................................9
設置およびコミッショニング・プロセス.................................10
稼働中のサポート・プロセス................................................11
新製品の開発および導入プロセス......................................13
機械メーカーがイノベーショをカタチにする支援.................15
発行: シーメンスPLMソフトウェア
2
技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
エグゼクティブ・サマリー
産業新興国からの大きなプレッシャーやその他の戦略的課題
に、企業はどのように対応すべきでしょうか。
生産・工作機械や産業製品の製造企業は、強いプレッシャー
にさらされている業界です。開発のペースが早く絶え間なく続
くため、研究開発(R&D)の最前線に立ち続ける必要がありま
す。繁栄どころか、生き延びるためだけにでも、新しい材料を
集め、新しいテクノロジーを統合し、新しいコンセプトへの投
資が必要になります。多くの企業は、
コスト管理、品質、効率の
ための取り組みを長年にわたって行ってきた実績があります。
リーン生産方式やシックスシグマは当然の前提になりつつあ
ります。それでも、利益目標の達成は容易ではありません。品
質、使いやすさ、競争力のある価格を実現するだけでは不十
分なのです。成功のためには、効率を改善し、顧客を中心とし
て、ビジネスを勝ち取るための新しい手段が必要なのです。
250年前、
ヨーロッパのエンジニアがテクノロジーを発明し、
機械を製作したときから、産業革命が始まりました。それ以
来、機械および産業製品は、経済の劇的な発展と世界の変革
を支えるために使用されてきました。
最近では、Fraunhofer Instituteとドイツ政府によるIndustrie
4.0の導入といったできごとが、生産機械や工作機械を含む産
業機械業界全体の巨大な可能性を示しています。
この技術白書では、生産・工作機械および産業製品の製造企
業におけるマネジメントの皆様を対象として、製品ライフサイ
クル管理テクノロジーが企業のビジネスに与える潜在的効果
を評価する方法を解説します。業界の動向に加え、生産・工作
機械および産業製品の製造企業が顧客への付加価値を創造
するために中心的役割を果たす5つのビジネス・プロセスに、
PLMがどのように貢献するかを説明します。
生産・工作機械メーカーの場合、製品関連情報の効率的な作
成、伝達、管理は重要であり、それによって、俊敏性の向上や効
率性アップ、さらには新規ビジネスへの取り組みと実現が可能
となります。
PLMによって、情報の作成・共有・活用が可能な、柔軟かつ管
理された環境を実現できます。そして、異なる部門間での作業
の自動化、
コラボレーション、並列作業が可能になり、
コストを
削減して納期を短縮するとともに、最初から正しく動作する結
果を得ることができます。PLMを利用すれば、パートナー関係、
イノベーション、業界のリーダーシップ、売上げ拡大への道筋
として製品を利用できます。
発行: シーメンスPLMソフトウェア
低コストでの製造が可能な海外からの新しい競争相手の出現
は、機械メーカーが日常的に直面する数多くの重要課題の1
つに過ぎません。その他にも次のような課題があります。
•グローバル化 – 新しい競争相手は、新たなブランド価値、製
品、サービスを導入し、低いコスト構造を武器にしている場
合もあります。
グローバルに展開する顧客は、全世界で一貫
した製品とサービスを要求しつつ、各地域特化と一極集中
型の両方の、販売とサービス・サポート・オプションを求めて
います。
•顧客の要求レベルの上昇 – 購入者は、価格、パフォーマン
ス、競争相手に関する豊富な情報を持っています。
よって製
品やサービスは、具体的なニーズに一致する必要がありま
す。
•規制環境 – 特定の監査可能な手順と、各地域に特化もしく
はグローバルな報告が必要とされる場合があります。業種に
よっては、
グローバルで採用されている基準の上に、地域や
国の規制が追加される場合もあります。
製品ライフサイクル管理
製品ライフサイクル管理とは、製品データのための情報
テクノロジー環境を表す用語です。PLMは限定された意
味で、すなわち製品データを管理するこの環境の特定の
部分だけを指して用いられることもあります。
シーメンスPLMソフトウェアでは、あらゆる種類のPLMテ
クノロジーを提供しています。PLMの利点を完全に実現
するには、
このような全面的に統合された機能が不可欠
の基盤となります。優れたデータ管理により、一連の適切
な情報を適切な人々に届けることができます。弊社の
PLMでは、ユーザーがその一連の情報にアクセスし、デー
タを調べ、必要な情報を抽出して、必要な調整を行うこと
ができます。
3
技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
•製品がますます複雑化 – 組込みソフトウェアやエレクトロニ
クスの多用は日常的になっています。機械エンジニアリング
は機械の物理的な側面でいえば絶対的要素ですが、実際の
機械の価値は、
メカニカルな部分とその他のテクノロジーと
の融合に左右されます。
これまでは、品質、使いやすさ、
コスト競争力で先行くことが、
競争優位をもたらしました。
このようなことの重要性は変わり
ませんが、今や成功のためには十分ではありません。マネジメ
ント・チームは、
より効率を高め、顧客にフォーカスして価値を
創造し、競合を退けるための新しいビジネス・イニシャチブを
開始・実行する必要があります。
ビジネスの優先事項について計画するには、顧客の期待を理
解することが重要です。その例については、囲み部分の「顧客
からのさまざまな期待」を参照してください。
特に中堅企業は、厳しい課題に直面しています。なぜなら、そ
れぞれの企業がいくつかの大手顧客のバリューチェーンに参
加する必要があるからです。顧客が要求する基準はそれぞれ
異なり、他のグローバルな競争相手の製品に乗り換えられる
可能性もあります。
このような複雑な状況になるのは、顧客が
それぞれ個別の対応を期待しており、機能、パフォーマンス、
価格、
日程に関して独自の要求を持ち、今後のプロジェクトに
顧客からのさまざま期待
顧客は、新しい機械や機器に以下のようなことを期待し
ています。
•コストの低下とパフォーマンスの向上
•無人操作、エネルギー消費の改善、歩留まりの向上、
ス
ループットの向上
•他の機械やシステムとの統合
•リモート操作/パフォーマンス・チューニング/メンテ
ナンス
•規制に対する効率的で確実な適合
•安全性、環境、
トレーサビリティ、
メンテナンス
•将来にわたって安定した生産
•新しい材料やテクノロジーに対応するためのアップグ
レードのロードマップ
•自動化システムとのより柔軟な統合(ステータスおよび
パフォーマンス・レポートのための制御経路やデータ
接続を含む)
次の点に関して、機械サプライヤーとの協力方法の改善:
•スペアやサービスの供給
•改良およびアップグレード・プロジェクト
•新しい機械構成、発注、納品、
コミッショニング、引渡し
経営陣が戦略を策定して伝達
戦略
パフォーマンス
マーケット・
インテリジェンス
エグゼクティブ・
マネジメント
機会
シニア・
マネジメント
ビジネス・イニシャチ
ブ
組織
ターゲット
リスク
リソース
図1.
関するリスクを共有できるパートナー関係を構築しようとして
いるからです。
顧客の要求をチャンスに変えるため、機械メーカーのマネジ
メント・チーム(図1を参照)は、自社の経営状況の常時把握、戦
略の適切な調整、適切な組織変更・目標・リソースに基づいて
明確に定義されたイニシャチブを開始する必要があります。
機械メーカーの場合、優先度の高いイニシアティブは、以下の
ような製品およびプロセス情報に依存する傾向があります。
•企業の対応力向上のためのイニシャチブ – これらは、チー
ム、部門、サプライヤー、パートナー・ネットワーク間の同期
化、
コミュニケーション、
コラボレーションを対象とします。
こ
れらのイニシャチブでは、製品およびプロセス情報が正確
で一貫しており、適切なコンテキストで適切な人向けに利用
可能であることが重要な基盤となります。例えば、利益率の
高い契約の成約率を高めるためには、見積もり担当者、設計
者、製造計画作成者全員が、一貫した情報を使用することが
必要です。
•部品やプロセスの再利用を目的としたイニシャチブ – 類似し
た部品やプロセスの重複作成の回避は、機械メーカーを取
り巻く環境では容易なことではありません。それは、
クリエイ
ティブな才能を持つ人々が、初めから作り直すほうが楽と考
えることが多いからです。
このような傾向を緩和して再利用
率を高めるには、設計意図、要件、仕様が含まれている製品
やプロセス情報が見つけやすくすることが重要です。設計を
合理化し、再使用可能な部品を意図的に作成するための投
資も必要です。承認済みの標準部品の使用を増やすために
は、部品を指定する人々が、要件を満たす既存の部品を容
易に見つけられるようにするための手段も必要です。
新しいビジネス関係
顧客は、さまざまな種類のパートナー関係の構築を望ん
でいます。
これには、
リスク共有などの契約条件が含ま
れ、顧客とサプライヤーの関係からプロジェクト・パート
ナーの関係に移行するためのビジネス・モデルの検討も
行われることがあります。
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
機械メーカーのエンジニアリング・アプリケーション
機械メーカーは、その規模を問わず、エンジニアリングの
ためのさまざまな種類のITを早い時期から導入してきま
した。そして、生産性の向上、精度の改善、エラーの減少と
いった目に見える理由の他に、新しいことに取り組む会社
のイメージといった、目に見えない理由によっても、投資
の回収(ROI)を達成してきました。
しかし、
このような短期
間での成功は、ほんの始まりに過ぎませんでした。
コンピューター支援設計(CAD)やコンピューター支援製
造(CAM)など、個人や現地のグループが実行する作業を
支援するエンジニアリング・アプリケーションは、製品お
よびプロセス情報の処理を改善するための基盤を確立し
ました。
このようなテクノロジーは、データ管理、
ワークフ
ロー、
コラボレーションの機能を備えたPLMソリューショ
ンへと進化しました。
現在では、PLMへの投資により、製品およびプロセス情報
の可視性、再利用、
コミュニケーションの改善を、個人や
各地域グループだけでなく、
より広範囲のコミュニティー
で実現することができます。
これにより、製品ライフサイク
ルのあらゆる段階に関わる広範囲なユーザーが、最新で
質の高い製品・プロセス情報を容易に入手して、正しい決
定を下し、迅速に行動できるようになります。その結果と
して、イノベーションが加速され、部品やプロセスの再利
用が増え、品質が向上し、パートナー関係が改善され、オ
ペレーション効率が向上し、柔軟性が高まるのです。
•画期的なイニシャチブ – 構成変更可能な新製品、サプライ
チェーンの構造、サプライヤー関係、販売チャネルの調整、
サービス・オプションなどは、すべて製品およびプロセス情
報によって決まります。
この情報を効率的に処理することで、
マネジメント・チームは、画期的な結果をもたらす新しい作
業方法を考案して実施するための柔軟性を得ることができ
ます。例えば、販売店の担当者が、機械のパフォーマンスに
関してインタラクティブにビジュアル化やシミュレーションを
実施できるようになれば、新しい市場への進出や、既存の市
場での競争に有利になる可能性があります。
これらのイニシャチブを成功させるには、製品および製造プ
ロセスの情報を管理するための情報テクノロジー(IT)機能が
必要です。製品ライフサイクル管理は、製品および製造プロセ
スを核とするIT環境です。PLM戦略およびソリューションは、個
人およびコラボレートするチームをサポートして、製品および
プロセス情報の効率的な作成、再利用、
コミュニケーション、
管理を可能にします。PLMを使用することで、デジタル製品開
発およびデジタル・マニュファクチャリングが可能になり、分散
したチームの間でサイクルタイムを高速化し、市場投入期間
を短縮して製品とプロセスのイノベーションを促進することが
できます。
製品およびプロセス情報の処理能力が高い企業は、顧客やサ
プライヤーとのやりとりにおいて、柔軟性と効率性を高めるこ
とができます。
このような企業は、
グローバルに分散したパー
トナー・ネットワークを利用することで、設計、製造、流通、サー
ビスといった鍵となる分野で、
スピード、品質、低コストを実現
することができます。
「弊社の製品構成システムは、シーメンスの
PLMシステムからの情報を利用して、特定の機
械構成の3Dビジュアル化を迅速に実現できま
す。
このビジュアル化は、お客様との作業で、代
替案を検討したり、全員が議論の内容に共通
認識を持つのに役立っています。」
Otto Bihler Maschinenfabrik GmbH & Co. KG社
Bernd Haussmann氏
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
製品および製造プロセス情報の巧妙で効率的な処理は、企業
とそのサプライヤー、販売店、サービス代理店、顧客からなる
広範なバリューネット・ワークにおいて、あらゆる種類の活動
にポジティブな影響を与えます。
次のセクションでは、
このような影響の性質を、機械メーカー
の顧客に対する付加価値の提供に中心的役割を果たすビジ
ネス・プロセス(図2を参照)に関連して説明します。
顧客に付加価値を提供するコアプロセス
入札
新製品の開発と
市場導入
受注生産
設置および
コミッショニング
稼働中の
サポート
図2.
PLMを使用することで、
これらの個別のプロセスはすべて改善
されます。重要なのは、PLMテクノロジーの付加価値は、
これ
らすべてのプロセスを同じ情報ベースでサポートできること
です。
これによるオペレーション全体でのコミュニケーション
と効率の改善については、個々のプロセスに関する項目の後 「サプライヤーがWebを通じて弊社が利用する
で説明します。
シーメンス製のPLMデータの一部領域にアク
セスできるようにすることで、
プロジェクトの進
捗に関する最新情報を知らせて、必要なときに
すばやく正確に対応してもらうことができま
す。」
Assembléon Netherlands社
Walter van Leeuwen氏
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
入札プロセス
提案の提出を迅速かつ正確に行うことはきわめて重要です。
しかし、速さを重視するあまり誤りがあってはなりません。入
札では、時間と予算の制約内で製造可能な高品質の機械を定
義することが必要です。
大規模で高価格の機械の製造において、一般的に見られる個
別受注設計生産(ETO)環境では、入札プロセスが顧客との長
期間にわたる複雑なやりとりになることがあります。機械メー
カーは、膨大な量の、さらには不完全な要件、仕様、サービス
レベル記述に対応する必要があります。
ときには、構成や設計
ソリューションの議論・開発・合意のために、顧客とサプライヤ
ーの両方のエンジニアリング・チームとの協力が必要になるこ
ともあります。
これと並行して、購入顧客は、情報提供依頼(RFI)
と、それに続く提案依頼(RFP)といったドキュメントを発行する
場合があります。
これらは、それぞれプロジェクトの異なる要
素を対象としています。それぞれへの対応は、正確で、他の対
応と矛盾してはなりません。最終的に、見積依頼(RFQ)または
入札公告(ITT)には、技術、
日程、費用に関するすべての条件
が、契約に適した形で含まれる必要があります。
注文仕様生産(CTO)および受注組立生産方式(ATO)ビジネス
の場合、入札プロセスは非常に迅速に行えます。実際に、機械
メーカーにとっての重要な差別化要因の1つは、完全な一貫し
た技術仕様、納品日、価格を短期間で作成できる能力にありま
す。
もちろん、見込み生産(MTS)を行っている量産機器メーカー
が、少量生産の高価格機械のメーカーと同じ特性を持つ場合
もあります。
これは、多くの量産メーカーが、少数の大規模契
約を通じてビジネスを成立させているからです。1契約で数百
台あるいは数千台の機器を販売するこのような契約の入札プ
ロセスは、1台の高価格機械の入札プロセスと多くの点で類似
しています。
入札
新製品の開発と
市場導入
設置および
コミッショニング
稼働中の
サポート
既存顧客や見込み客へのマーケティングや営業活動によって、機械お
よび関連サービスを顧客に提供する正式の提案機会が生じま
す。PLMを利用すれば、販売活動を通じて一貫した情報を顧客に提供
することができます。同時に、社内チームはPLMを通じて、一貫した最
新の情報に、管理された方法で容易にアクセスできます。
入札プロセス
顧客
RFI
RFP
その他
ITT
入札または
提案文書
購入注文
関連する個人やチーム
正式入札
からの協調した対応
または
例: 営業、
見積り、
調達、
エ
提案の準備
ンジニアリング
製品およびサービスの仕様、
構成、
カスタマイズ、
製造計画、
サプライヤー契約など
サプライヤーやマネジメントなど
に
適切な可視性とアクセスを提供
機械メーカー
発行: シーメンスPLMソフトウェア
受注生産
有効な注文を
バックログに
追加
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
製品情報の扱いを通じて入札の速度と効率を改善するほか
に、PLMを使用することで、営業段階での顧客関係を変革する
ことができます。機械の動作とパフォーマンスの3Dビジュアル
化と動的シミュレーションの使用は、重要な差別化要因になり
ます。一方で、機械への投資に関わる意思決定者の中に
は、3Dグラフィックスになじんで育った世代がだんだんと増え
ています。
このような人々は、3Dビジュアル化、シミュレーショ
ン、パフォーマンス解析の提供を、購入決定プロセスの当然の
要素と見なしています。
入札は、必ずしも新しい機械への投資を中心として構成され
るわけではありません。多くの入札は、既存の機械のアップグ
レードです。
このような状況では、PLMの機能によってメンテ
ナンス時の更新と設置時の仕様を結び付けることで、
アップグ
レード・プロジェクトの評価と計画に必要な基本情報が得られ
ます。
入札プロセスからの目標となる成果は、顧客の注文を、利益の
出る価格と実現可能な納期で受注することです。PLMを使用し
て、販売注文処理に使用される構成ルールを作成することで、
エンジニアリング部門がすべての注文をチェックする必要が
なくなります。PLMを使用して、製品と製造プロセスの両方に
関するモジュール型の構造を定義することで、入札の柔軟性
を実現すると同時に、実証済みの部品やプロセスの再利用を
促進することができます。
発行: シーメンスPLMソフトウェア
入札プロセスにおけるPLM
PLMは、生産性の向上とデータ管理の改善を結び付ける
ことで、ETO企業の入札プロセスのニーズに応えます。
こ
れにより、エンジニアリング部門は、顧客やサプライヤー
と協力して、技術的要件に合意するのが容易になります。
資材購入グループは正確な製品情報に基づいてサプラ
イヤー契約を定義し、営業部門は正確な入札書類を作成
することができます。ATO企業の場合、PLMの価値は、任
意の機械構成に関する正確な材料およびコンポーネント
情報を提供できることにあります。
これにより、営業、資材
購入、生産の各部門は、正確な共有情報に基づいて、
コス
ト、予想納期、計画を扱うことができます。MTS企業の場
合、PLMの機能を使用して契約全体の製品情報を収集す
ることにより、
コスト見積りのための正確な基礎が得ら
れ、営業、資材購入、製造、販売の各部門が最新の情報を
入手することで、変化する顧客の要件に対して利益の出
る提案を作成できる可能性が高まります。
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
受注生産プロセス
受注受注プロセスの効果的な計画と実施は、利益を出すため
にきわめて重要です。機械メーカーの場合、製造プロセスが
各製品に対して事前に定義されるため、
これは一般的にはス
ケジュールの問題でした。
スケジュール作成プロセスでは、す
べての品目に関して事前に定義された製造プロセス計画を統
合することで、材料、
コンポーネント部品、製造リソースの割当
てを、動的に変化する受注残に応じて最適化する必要があり
ます。
PLMは、事前に定義された製造プロセス計画の作成に常に重
要な役割を担ってきました。製造オペレーションに使用する工
作機械とシーケンスの選択、設計、指定、
ドキュメント化と、工
場内での部品の移動の計画は、製品設計に匹敵する規模の作
業になることがあります。PLMのこのような役割は、あらゆる
製造テクノロジーの統合化に応じて重要性を増しています。す
なわち、工場で解決できる問題はしだいに減り、エンジニアは
あらゆる可能性を予見して、カスタム化が進む製品に関する
明確に構造化された正しい製造ドキュメントと指示書を作成
する必要があります。さらに、試作の回数を減らしてコストと時
間を節約し、複雑な製造オペレーションの実証よりも、顧客か
らの注文に製造設備を活用する必要性が高まっています。
その結果として、製造プロセスの開発は、工場からデスクに移
行しつつあります。そのために、製造プロセスの正確なシミュ
レーションが必要です。シミュレーション・モデルを使うこと
で、製造エンジニアは、製造プロセスの設計と開発だけでな
く、製造オペレーションのサポートも行うことができます。
この
デジタル・マニュファクチャリングの特性により、マネジメン
ト・チームは、分散オペレーションの計画をより柔軟に立てる
ことができます。
入札
新製品の開発
と市場導入
受注生産
設置および
コミッショニング
稼働中の
サポート
受注生産は、ほとんどの機械メーカーにおける中心的なオペレーショ
ンです。最適な製造スケジュールの作成と維持管理は、
コスト管理、効
率、納期の厳守のための鍵となります。ジャスト・イン・タイムやリーン
生産方式などの製造戦略は、最善のビジネス結果を達成するための
最適条件の定義に役立ちます。PLMを使用することで、機械メーカー
は、最も効果的な製造プロセス計画を立て、受注残の変化に迅速に対
応することができます。
受注生産
注文の検証と
受入れ
新製品の開発から
導入まで、
部品、
製品、
またはモジュール単位
で作成された
製造プロセスの
ドキュメント
材料および
製造リソース
事前に定義された
製造プロセス計画
材料および
製造リソース
受注残
スケジュール
企業は、
プラットフォームの共通化とオプションのモジュール
化を進めることで、複雑な機械の柔軟な構成を実現し始めて
います。その結果、顧客が注文する可能性がある構成の種類
は莫大な数に上ります。
このため、あらゆる組合せを予測する
製造プロセス計画の作成は困難を極めます。一部の機械メー
カーでは、各顧客注文に応じた製造プロセス計画の要素の組
立てにまでPLMの役割を拡大しています。製造ドキュメントを
自動的に生成することで、時間とコストを節約できるのです。
製造計画とドキュメント
(毎時、
日次、
週次、
四半
期ごと、
年次)
サプライヤーに
POを発行
「弊社では、製造するすべての機械に対して製
造ドキュメント・パッケージを作成していま
す。
これは従来、非常に時間がかかっていまし
た。今では、シーメンスPLMソフトウェア製品
を利用することで、
このプロセスの大半が自
動化されました。」
Assembléon Netherlands社
Walter van Leeuwen氏
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
設置およびコミッショニング・プロセス
大規模で複雑なカスタム機械を製造する機械メーカーにとっ
て、設置とコミッショニングは、高い可視性を持つ重要な作業
です。サイズや重量がある程度以上になると、完成した機械を
移動するのは現実的ではありません。
したがって、扱いやすい
小さいアセンブリに分解してから、顧客の施設で再組立てす
る必要があります。サイズにかかわらず、複雑な機械にはキャ
リブレーションや調整が必要です。カスタム機械は、他の機械
や、建造物、電力供給、データ接続といった現場の環境と統合
する必要があります。標準機器とともに販売されるセットアッ
プ・サービスには、開梱、設置、初期テスト、オペレーターへの
使用説明やトレーニングなどが含まれます。
機械メーカーによっては、詳細なトレーニングだけでなく、顧
客のオペレーション作業の開始までを設置とコミッショニング
に含める場合があります。例えば、
アセット管理やメンテナン
スなどです。
このためには、顧客のITシステムにIDやステータ
ス・データを読み込むことが必要な場合があります。通常、設
置とコミッショニングは、製造プロセスの最終段階と見なされ
ます。
このステップが正常に完了するまでは、顧客は製品を使
用できず、代金の支払いも行われない場合があります。
入札
新製品の開発と
市場導入
受注生産
設置および
コミッショニング
稼働中の
サポート
製造ラインなどの例では、入札段階で現場調査を含む詳細な解析が
行われ、元請企業が複数のサプライヤーを統括する場合があります。
これに対して、
スタンドアロンの機械や機器の場合、特に製品のセル
フテストが可能であれば、第三者による納品で十分な可能性もありま
す。PLMは、設置およびコミッショニング・エンジニアが必要とする技
術情報と非技術情報の一貫した表示を可能にします。
設置およびコミッショニング
顧客との連絡
コンポーネ
ントおよび
モジュール
の納品
モジュール
テストと
キャリブ
レーション
システム
統合および
テスト
欠陥修正
引渡し
サプライヤーとの
作業
PLMを使用すれば、複数の統合された製品構成(設計時点、製
造時点など)を基礎として維持できます。
これらの構成には、部
品IDから容易にアクセスできます(例えば、IDを持つ部品から、
リビジョン履歴、組立て指示書、調整手順、受領条件などの情
技術データ、
製品およびサービス要件、
コンセプトおよび仕様、
構成オプション、
製造プロセスのコンセプトおよびドキュメント、
報を見つける場合)が、場合によっては、PLMの検索機能が役
シミュレーションおよび解析結果、
テスト仕様など
に立つこともあります(例えば、油圧専門家向けのメンテナン
ス・トレーニングを計画しているインストラクターが、油圧コネ
クターを備えたすべてのアセンブリを探す場合など)。変更、テ
スト結果、キャリブレーション・データは、設置およびコミッシ
ョニングプロセスの途中で、
コンポーネント、サブ・アセンブ
防ぐ必要があるからです。極端な場合、設置作業はすべて顧客
リ、機械の各レベルで記録することができます。
自身が行うこともあります。そこまで行かなくても、製造機械の
PLMシステムは、複数のサプライヤーや専門家の間の調整に
付近では音声およびデータ接続が禁止される可能性が高いと
も利用できます。購入したサブ・アセンブリやコントローラー
言えます。
このような場合、PLMを使用して、エンジニアが持ち
が使用されている機械の場合、サプライヤーのエンジニアに
運んでいるノートブック・コンピューター上の情報のコピーを
よるセットアップが必要な可能性があります。PLMを使用する
管理し、エンジニアが機械メーカーのネットワークに接続した
ことで、
このような購入モジュールの構成と環境を記録し、サ
ときに更新や追加を同期する必要があります。
プライヤーの担当者が作業に必要な工具を確実に持参でき
るようにします。問題を解決する際には、PLMを使用して、会議
の参加者が全員同じ情報を利用できるようにすることで、迅速
なコラボレーションをサポートします。作業や決定事項をPLM
システムに入力することで、構造化された処理が可能になりま
す。
設置およびコミッショニングの目的でPLMを導入する場合は、
顧客の要件に注意する必要があります。例えば、電子機器製造
では、製造エリアへの立ち入りが制限されていることが珍しく
ありません。製造プロセスに関する情報は価値が高く、漏洩を
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
稼働中のサポート・プロセス
サービス機能は通常、直接的な接触を通じて顧客関係に常に
ダイレクトな影響があるため、優れたサービスは顧客満足度
の重要な要素といえます。
これに加えて、サービスは大きな売
上をもたらし、利益の重要な要因です。製品設計者は、問題を
解決し、次世代の機械の開発の参考にするため、サービス・エ
ンジニアからのフィードバックを必要としています。
顧客への対応を改善するため、多くの企業は、拡張サポート・
サービスを、機械および機器製品と別売で、あるいは組合せて
提供しています。
このようなサービスの設計、宣伝、販売はメ
ーカーが行いますが、サービスの実施は地元の販売店が行う
ことも珍しくありません。場合によっては、顧客が社内の人材
によってサービスを実施することもあります。
この場合、
トレー
ニング、
スペア部品、工具、
ドキュメントを提供する必要があり
ます。
入札
新製品の開発
と市場投入
Machine Factory Berthold Hermle AG社
Thomas Vögtle氏
ソーシングにまで及びます。一部のメーカーは、機器の実際の
使用状況に応じた価格を提示しています。
このような場合、顧
客は稼働時間1時間あたり、あるいは出力1キログラムあたり
で料金を支払うため、高い信頼性と、問題を解決するための
迅速なサービス対応が重要になります。
リモートアクセスの可
能性は、サービス提供の重要な新しい次元を開きます。例え
ば、Webページ上に機械のステータス出力と制御入力が表示
されていれば、地球の反対側にいるエンジニアが異常の診断
やパフォーマンスのチューニングを行うことができます。
設置および
コミッショニング
稼働中の
サポート
機械や機器へのリモートアクセスによって、サービスの提供方法は大
きく変わりました。機械制御システム内部のインテリジェンスによって
問題が検出され、
リモート・サービス・センターにアラームが送られま
す。
リモート修正が不可能な場合、顧客が問題に気づいたときにはす
でに、その修正に必要な工具と部品を持ったサービス・エンジニアが
到着します。PLMは、必要な製品関連の最新情報をフィールド・サービ
ス・チームに提供する役割を果たします。
稼働中のサポート
顧客との連絡
サービスの範囲は、一般的な予防的メンテナンス、
スペア部
品、修理、
アップグレードの提供から、オペレーションのアウト
「弊社では、サービス部門が機械を可視化する
ための新しい方法を開発中です。製造BOMを
PLMにフィードバックすることで、製造完了時
のモデルを作成します。サービス・エンジニア
は、顧客向けに実際に製造される機械と正確
に一致したモデルを扱うことができるのです。
」
受注生産
予防的なメンテナンス
事故対応
寿命を過ぎた部品のアップグレード、
リサイクル、
再生
リモート監
視および対
応
オンサイト・ 質問や問題
エス
オペレーショ の処理、
カレーショ
ン
ン
機械および
サービスの
パフォーマ
ンス確認
オペレーション・
ステータス
情報
技術データ、
製品およびサービス要件、
コンセプトおよび仕様、
構成オプション、
製造プロセスのコンセプトおよびドキュメント、
シミュレーションおよび解析結果、
テスト仕様など
報です。一方で、PLMには非構造化情報も取込むことができま
す。例えば、Faxで送られてきた障害レポートの画像などです。
こういった機能を使って詳細なメンテナンス履歴を記録する
ことで、問題の原因を発見したり、最適な動作条件を実現した
り、エンジニアリング変更要求を提出するために必要な情報
を集めたりすることができます。
PLMを使用することで、サービス・エンジニアは必要な情報を
保存して取得できます。通常この情報は、部品リスト、
メンテナ
ンス手順、制御ソフトウェアの更新といった、構造化された情
発行: シーメンスPLMソフトウェア
11
技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
規制順守のために必要なメンテナンス記録を設置時の情報と
統合するための環境は、高価すぎて利用できない場合があり
ます。
このため、例えば化学処理工場の機器の現状を示す最
新情報が得られないこともあります。
このような場合、サービ
ス・エンジニアは、PLMによる柔軟な検索とリンクされた情報
のサポートを利用して、調整や修理が必要な機械および機器
を定義するドキュメントの作成の手がかりを得ることができま
す。
PLMのワークフローおよびデータ・アクセス制御機能は、
アセ
ット管理や、シフト切替えのインシデント通知およびレポート・
プロトコルといった、さまざまなオペレーション・ソリューショ
ンの基盤とすることができます。
「シーメンスPLMソフトウェアによって製品設計
と製造準備のかなりの部分を自動化すること
で、弊社のスループットは向上し、信頼できる
一貫性と品質が得られました。エンジニアは、
人間の知恵を必要とする領域に集中できるよ
うになったのです。」
AB Sandvik Coromant社
Jan Axelsson氏
発行: シーメンスPLMソフトウェア
12
技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
新製品の開発および導入プロセス
機械メーカーにとって、新製品の開発と投入(NPDI)は、ビジネ
スの成功に必要なイノベーションと差別化を実現する機会で
す。新しい製品やサービスは、市場のシェアを獲得し、将来の
収益の基盤となります。革新的なNPDIを実現するには、製品
の複雑化への対応、市場導入期間の短縮、製品ライフサイク
ルの短縮、パートナーとの複雑な関係の調整を行える環境が
必要です。
NPDIには、研究、開発、詳細設計、製品および製造プロセスの
解析が含まれます。
こうした機能のためにコンピューター支援
技術の開発が進んだ結果、過去40年間にわたって、生産性、精
度、部品の再使用率が向上してきました。シミュレーションお
よび解析機能のおかげで、新しい設計やバリアントの検証と
最適化を、設計プロセスの一部として実行できるようになりま
した。その結果、試作のプロセスが完全に不要になることさえ
あります。
これにより、1つの製造プラットフォームでできるバリ
アントの種類が増えます。
このような個人および各地域グループにとっての利点は、機
械メーカーにとって重要です。ただしNPDIのさらなる改良は、
入札
新製品の開発と
市場導入
AB Sandvik Coromant社
Carl-Olof Wiebensjö氏
単に新しいアイデア、
コンセプト、設計を作り出すだけでなく、
情報共有とコラボレーションを通じてそれを行うことによって
実現されます。PLMは、設計とデータ管理機能を統合すること
で、NPDIにイノベーションをもたらす人々の間のチームワーク
とコラボレーションを促進・支援します。
これは機械メーカー
にとって、モジュール化の進展、製品プラットフォームの有効性
のより適格な分析、さまざまな開発オプション、部品やプロセ
スの再利用の拡大、新しい材料やテクノロジーの容易な導入
を意味すると同時に、顧客と市場の要求によりよく応えられる
ことにもつながります。
発行: シーメンスPLMソフトウェア
稼働中の
サポート
NPDIの戦略
外部要因
企業戦略
現在のポジション
の評価
オプションの生成
NPDI投資の選択と実施
内部要因
従来のNPDI: コンセプトから製造へ
NPDIは順次実行されるステップの集合と考えられがちですが、
これは
間違っています。一方、NPDIでPLMを使用することの最大の利点の1つ
は、各ステップのサイクルタイムを短縮するだけでなく、
ステップの同
時並行型の実行を可能にすることで、時間を節約できることです。
R&D
「弊社にとって最も重要なことは、設計の承認
から製造の着手までに要するリードタイムを
短縮することです。シーメンスのPLMソフトウェ
アの製品を使用することにより、設計チームと
グローバルな製造拠点とのコラボレーション、
専門家によるグローバル製造の計画および支
援シミュレーション、部品と工程の再利用の促
進など、
この目標達成に向けた新しい可能性
を見出すことができます。」
設置および
コミッショニング
受注生産
詳細設計
および解析
製造プロセ
ス設計
試作機検証
およびテス
ト
製造の
立上げ
量産
営業、
マーケテ
ィング、
流通、
サ
ービスの担当者
とプロセスの準
備
PLMを使用したNPDI: コラボレーションとイノベーションの促進、誤りの
減少、最初からの正常動作の可能性向上
共有情報への管理されたアクセスによる
主要プロセスの同時並行型の実行の可能性が最大化
R&D
試作機検
詳細設計
製造プロ 証および 製造の立
および分
上げ
セス設計
テスト
析
量産
営業、
マーケ
ティング、
流
通、
サービス
の担当者と
プロセスの
準備
技術データ、
製品およびサービス要件、
コンセプトおよび仕様、
構成オプショ
ン、
製造プロセスのコンセプトおよびドキュメント、
シミュレーションおよび
解析結果、
テスト仕様など
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
PLMの導入を成功させるための重要な要素の1つは、3D製品
表現の使用です。エンジニアリング図面が知識のない人々に
は誤解されがちなのに対して、3D表現から生成される画像や
アニメーションは誰でも理解することができます。3D表現を
使用することで、設計および製造プロセスエンジニアの成果
が、社内の他のさまざまな分野にとって価値を持つようになり
ます。例えば、製品の識別、
トレーニング教材のためのイラスト
の作成、顧客への営業トークの支援といった用途が考えられ
ます。
設計とデータ管理環境を統合することで、外部サプライヤーと
のやりとりが容易になります。例えば、サプライヤーが適切な
プロジェクトおよび製品情報に直接アクセスできることで、正
式レビュー、システム・エンジニアリング、
プロジェクト管理方
法といった製品開発手順の実施が容易になり、
コストも下がり
ます。
このような手順では、さまざまな人々がモデルや関連情報を
参照する必要が出てきます。
ミーティングの時間や電子メール
による決定の確認といった非構造化情報を、製品またはプロ
ジェクト・データベースにリンクする機能は役に立ちます。サプ
ライヤーやその他の人々に、データベースの適切な領域への
管理されたアクセス権を与えることで、それらの人々が、複数
分野からなる統合された製品またはプロジェクト・チームのメ
ンバーとして参加できるようになります。もちろん、知的財産を
保護するため、承認された適切なデータ領域のみにアクセス
を制限するデータ管理機能は不可欠です。
ナレッジ・キャプチャーと設計オートメーション
ノウハウとは、さまざまな形態を取ります。例えば、部品の
ある側面に対して特定の公差を指定することによる影響
を、すべての設計者が予測できるでしょうか。選択した公
差は、製造プロセス、サイクルタイム、検査手順、
コストに
大きな影響を与えるかもしれません。製造を容易にする
設計の取り組みでは、
クローズド・ループで、
フィードバッ
クが設計エンジニアに伝達されることが重要となります。
日常の作業や状況を観察することで、設計者やエンジニ
アは、ルールを作成し、一部のステップを自動化すること
ができます。先ほどの例では、PLMを使用することで、製
造部門は、特定の公差または公差の組合せが検出された
ときに、設計者に自動的にフィードバックを送るように準
備することができます。
組織でこのようなアクセスが実現されると、営業、マーケティン
グ、製造といったプロセスの下流に位置する人々は、今後の進
展に関する可視性をますます要求するようになります。それに
よって、早い段階から個別作業で進められる部分を先に行うこ
とができ、関係部門による同時並行型の作業が可能になりま
す。
多くの機械メーカーにとって、NPDIの変更管理プロセスは、効
率性向上とパートナー関係の成功において重要な意味を持ち
ます。
ここには2つの矛盾する動機があります。1つは、設計変
更オーダー(ECO)を減らす、もしくは最終的には0にすることが
目標です。特に最初の段階では、設計のフリーズより後に起き
る変更が対象となります。一方、その目標が達成されるまで
は、変更に柔軟かつ効率的に対応できることが重要となりま
す。その理由は、機械の部品の大部分の設計と製造が比較的
容易であるからです。
また、規制の影響は、個々の部品の特性
よりも、製品全体に関わる傾向があります。もちろん、難しい部
品も存在します。PLMを使用することで、短時間で容易に実施
できる設定可能な変更管理プロセスを用意し、ほとんどの機
械部品の作成、選択、変更を迅速に行うことが可能となりま
す。
要件管理、初期コンセプトおよびレイアウトから、詳細設計、解
析、製造プロセスの最適化に至るまで、PLMを使用すること
で、製品およびプロセス情報の可視化と管理が可能になりま
す。その結果、NPDIは敏速、柔軟、革新的、高速になり、エンジ
ニアは付加価値の作成に集中して、
コミュニケーションを改善
し、予想外の問題を減らし、最初から適切な決定を下せす可
能性を高めることができます。
サブ・アセンブリに対しては、少数の高レベルのパラメー
ターから詳細設計を生成する手順およびパラメーター化
の形でルールを構成することができます。
この機能を拡
張して、標準部品、工具、
クランプ、治具の選択と構成や、
数値制御(NC)生産機械用のプログラムの生成を行うこと
ができます。
このような自動化により、特にリードタイムの短縮といっ
た、重要なビジネス利益が得られます。
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
機械メーカーがイノベーショを.
カタチにする支援
デジタル・エンタープライズへの変革とイノベーションの実現
高度に繋がった製品の世界では、1つのイノベーションによっ
て市場が丸ごと消滅する可能性があるため、製造企業は新し
い方法でビジネスを行う必要があります。一部の企業は、製品
がどのように使用されているのかを詳細に観察し、製品使用
データを製品のアイデア作成と開発にフィードバックすること
で、
トレンドを予測しようとしています。
しかし、何を作るべき
かがわかったとしても、実際にそれを作ることは、
また別の話
です。
すなわち、
この新しい時代においては、イノベーションをカタ
チにする段階である製造がきわめて重要な役割を果たすの
です。製造企業は、
アイデア創出、実現、そして利用といった各
フェーズ間をデジタルに繋ぐことが必要です。単にデジタル化
するだけでは不十分です。それはプロセスをデジタル的に模
倣して、段階的改良を可能にするに過ぎなく、
ここではデジタ
ライゼーションが必要なのです。デジタライゼーションとは、デ
ジタル化された一連の知識を、ビジネス推進させるための積
極的な要因として活用することです。完全に最適化されたデジ
タル・エンタープライズになることで、驚くようなイノベーショ
ンを始めることも、そのようなイノベーションに対応すること
も可能になります。
(繋がるユーザー)
適切な情報、適切なタイミイ
ング、 適切なコンテキスト
(適応システム)
今すぐ簡単に導入
将来にわたって柔軟
発行: シーメンスPLMソフトウェア
デジタライゼーションの活発化を支援するため、弊社では、以
下のような成果をもたらすスマート・イノベーション・ポートフ
ォリオ(一連の製品)を用意しています。
•繋がるユーザー:これは、ユーザーが適切な情報を適切な
タイミングで受け取ることです。そのためには、各ユーザー
の役割に適したコンテキストで、関連のある内容だけが提
供されるように情報を変革する必要があります。
•インテリジェント・モデル:これは、組み立てと機能を最適化
するために必要な情報を利用して、
プロセスを通じて進化す
るモデルです。
•実現される製品:これは、バーチャルな製品定義と実際の
製造の実行を統合することで、ビジネス目標を達成すること
です。
•適応システム:これは、現在のソリューションを効率的に展
開しながら、将来の柔軟性を維持することです。
弊社の親会社であるシーメンスAGは、
スマート・イノベーショ
ンの時代におけるお客様の成功の支援という弊社のミッショ
ンを共有しています。同社の「デジタル・エンタープライズ・ソ
フトウェア」は、開発、オペレーションから製造までデジタライ
ゼーションを拡張し、
スマート・イノベーション・ポートフォリオ
との組合せで、お客様の目標の実現を支援します。
(インテリジェント・モデル)
作るものと作り方を理解
(実現される製品)
バーチャルな製品
リアルな製造
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技術白書 | 生産・工作機械製品の開発を改善するために、PLMを活用する
シーメンスPLMソフトウェア
本社
Granite Park One
5800 Granite Parkway
Suite 600
Plano, TX 75024
USA
+1 972 987 3000
北米・中南米
Granite Park One
5800 Granite Parkway
Suite 600
Plano, TX 75024
USA
+1 314 264 8499
シーメンスPLMソフトウェアについて
シーメンスPLMソフトウェアは、シーメンスのデジタルファクト
リー事業本部のビジネスユニットで、製品ライフサイクル管理
(PLM)および製造オペレーション管理(MOM)ソフトウェア、シ
ステムおよび関連サービス提供において世界をリードする
PLMプロバイダーです。
これまで世界77,000社を上回るお客
様にサービスを提供し、900万を超えるライセンス販売で実績
を上げています。米国テキサス州プレイノに本社を置くシーメ
ンスPLMソフトウェアでは、重要な意味を持つイノベーション
を実現することで、世界各地のお客様の持続的な競争優位性
の確保に役立つ産業ソフトウェアソリューションの提供に、お
客様と連携して取り組んでいます。シーメンスPLMソフトウェ
アの製品やサービスについては、www.siemens.com/plmを
ご参照ください。
欧州
Stephenson House
Sir William Siemens Square
Frimley, Camberley
Surrey, GU16 8QD
+44 (0) 1276 413200
アジア/太平洋
Suites 4301-4302, 43/F
AIA Kowloon Tower, Landmark East
100 How Ming Street
Kwun Tong, Kowloon
Hong Kong
+852 2230 3308
日本
〒151-8583
東京都渋谷区
代々木2-2-1
小田急サザンタワー
Tel: (03) 5354 6700
Fax: (03) 5354 6780
www.siemens.com/plm
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Siemens および Siemens のロゴは、Siemens AG の登録商標で
す。D-Cubed、Femap、Fibersim、Geolus、GO PLM、I-deas、
JT、NX、Parasolid、Solid Edge、Syncrofit、Teamcenter、およ
び Tecnomatix は、Siemens Product Lifecycle Management
Software Inc. またはその子会社の米国およびその他の国に
おける商標または登録商標です。その他のロゴ、商標、登録商
標、
またはサービスマークは、いずれもそれぞれの所有者に
属します。
50788-Y4 1/16 o2e
発行: シーメンスPLMソフトウェア
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