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Title 副睾丸Adenomatoid tumorの1例 Author(s)
Title Author(s) Citation Issue Date URL 副睾丸Adenomatoid tumorの1例 浜田, 邦彦 泌尿器科紀要 (1965), 11(2): 136-140 1965-02 http://hdl.handle.net/2433/112698 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 136 泌 尿 紀 要11巻2号 昭 和40年2月 副 睾 丸AdenomatoidTumorの1例 広島大学医学部泌尿器科学教室(主 任 浜 A CASE OF 田 ADENOMATOID of Urology, (Director A case of adenomatoid tumor 加藤篤二教授) 彦 TUMOR Kunihiko From the Department 邦 THE EPIDIDYMIS HAMADA Hiroshima : Prof. of the OF University School of Medicine T. Kato M. D.) epididymis arisen in a 18 years ported. A brief review of literatures is made on this disease. case is the 12 th. reported one with detail informations in Japanese 1.緒 い わ ゆ るAdenomatoidtumorな る 語 は 依 る が,副 睾丸 に 於 け る 本 腫 瘍 は 欧 米 に 於 て はLongoeta12, (1951)の と100例 占 め,そ の他 の報 告 例 を 合 せ る を か な り 上 ま わ る と推 測 さ れ る が,本 邦 に 於 ては 未 だ 意 外 に 少 な く文 献上 の報 告 例 は 酒 徳 等3'(1961)の 昭 和36年 三 木4,(1962),土 え て 現 在 迄11例 近 そ の1例 迄 の9例,最 田5)(1963)の 近 の 各1例 を 数 え る に 過 ぎ な い.著 を加 者 は最 を 経 験 し た の で これ を 報 告 す る. 2.自 患 老:18才,男 験 the 術 前 診 断:左 副聖 丸 嚢 腫. 手 術 時及 び 肉眼 所 見,左 副峯 丸 尾部 に 接 し 碗 豆 大 (10×12×9mm),球 状,灰 腫 瘤 を認 む(Fig.1).睾 蒐 集 せ る 原 発 性 副 睾 丸 腫 瘍 の134例 中 71例(53%)を is re- that い. 言 Golden&Ashv(1945)に old male It is supposed literatures. 例 白色,表 面 平 滑,弾 性硬 の 丸 及 び 周 囲組 織 との 癒 着 な く 腫 瘤 部 分 の み 副 聖 丸 尾部 か ら切 除 摘 出 した.重 量4 g皿.腫 瘤 の 割 面 は 実 質性 均 等 平 滑 黄 白 色 に して 少量 の 漿 液 を 圧 出 し得 た(Fig.2). 病 理 組織 所 見,腺 様 構 造 の 部 分 と線 維 性 結 合 織 を 主 とす る間質 に よつ て構 成 され て 居 り腺 様 構 造 の 部 分 は 立 方 状,扁 平 状 を 示 す 上 皮 様 細胞 か らな り細 胞 は 好 酸 性 で核 は 中等 大 円形 で 細 胞 内 に は 大 小 の 空 胞 化 が 認 め られ,管 腔 は 不 規 則 多 形性 で あ る.間 質 中 に は線 維 性 結合 織 中に 少 量 の 平 滑 筋線 維 を 認 め所 々に リンパ 球 の 浸潤 がみ られ る 。腫 瘍 は 漿 膜 に 包 まれ 明 瞭 に 睾 丸 とは 区別 さ れ 副 翠 丸 尾部 の正 常 組 織 との 明 らか な 連 続 を 示 子,学 生. 初 診=昭 和37年1月11日. さず 皮 膜 と腫 瘍 組 織 とは 直 接 のつ な が りを 示 さ な い 主 訴:左 陰 嚢 内 無 痛性 腫 瘤. (Fig.3,4). 家 族 歴,既 往 歴:特 記す べ き こ とな し. 現病 歴:約3年 組 織 診 断:い わ ゆ るAdenornatoidtumor. 前 か ら何 ら誘 因 と思わ れ る もの な く 左 陰 褒 内 に硬 い無 痛 性 の腫 瘤 の触 れ るの に気 附 い た. しか し圧 痛,牽 引 痛 な く放 置 して い たが 最 近 や や腫 瘤 が増 大 す る よ うに思 わ れ 来 院 す 過去に該部外傷な く 又 ツ反 応 は6年 前 か ら陽転 した が胸 部 レ線 定 期検 査 に 於 て 異 常所 見 を 指 摘 された こ とは な い. 来 院 時所 見=体 格 や や 小 な れ ど栄 養 可 良,胸 部 レ線 3.考 按 元 来 睾 丸 に 於 け る 原 発 性 腫 瘍 は 良 性,悪 問 わ ず 比 較 的 少 な い.従 性を つ て そ の組 織 分 類 もか な り ま ち ま ち で あ る(表1)Hinmanら6, (1924)は21例,Thompson7)(1936)は61例, Longoら2)(1951)は 世 界 の 文 献 中134例 を蒐 そ の他 に異 常 を 認 めず.局 所 所見 は右 陰 糞 内 は 左 副睾 集 し表2の 丸 尾 部 に指 頭 大 球状 表 面 平 滑 弾性 硬 に触 れ る 腫 瘤 あ tumorは71例(53%)を 如 く分 類 し そ の 内Adenomatoid り.透 光 性 軽 度 に て精 管 に 結 節,硬 結,念 珠 を 触れ な に於 い て最 も普 通 に み られ る もの と し て い る. 占 め 原 発 性 副睾 丸 腫 瘍 浜 田一 副 睾丸AdenomatoidTurnorの1例 137 Table1. 副 睾 丸 腫 瘍 の分 類 法の 一 部(日 泌 全書6巻 122頁 よ り) IHerbut(1952)(組 (A)上 織 学 的) 皮 性=腺 腫,腺 腫 様 腫 瘍,嚢 腺 腫,真 珠 ンパ管 腫,リ ン 腫,癌 (B)中 \ Fig.」.M亭crofindingρfadenomatoidtumor 胚 葉 性:中 胚 葉 腫 (1)結 合 織 よ り=線 維 腫 (2)脂 肪 組 織 よ り:脂 肪腫 (3)中 胚 葉 組 織 よ り;肉 腫 (4)血 ofepididymis. 管 組 織 よ り:血 管 腫,リ パ管内腫 ・0嚢 (5)筋 肉組 織 よ り:筋 腫,平 滑 筋 腫,横 紋筋 腫 (6)混 合 性=腺 筋 腫,線 維筋 腫,腺 線維 筋 腫, 難' 、 粘 液 線維 腫,平 滑 筋 腫兼 リンパ 管腫 (C)胎 生組 織 よ り;皮 様 嚢腫,碕 形 腫 (D)網 状織 細 胞=リ (E)転 移性 腫 瘍 ll溝 口 ・他(1956) (1)良 性腫瘍 (A)上 皮性 (1)真 Fig,2.SectionofthetumQrinsamecase of.Fig.1. ソバ 肉腫 珠 腫(2)乳 (B)上 頭腫 皮 性 及 び 中胚 葉 性 混 合 型 (3)腺 腫 様 腫 瘍:腺 腫,嚢 腺腫,中 胚 葉 腫,リ ンパ管 腫兼 平 滑 筋 腫 (C)中 胚葉性 総蟻 (4)脂 肪 腫,(5)血 (7)リ ン パ管 内皮 腫,(8)筋 風(10)崎 (H)悪 管 腫,(6)リ 形腫 (1)ゼ ミ ノHム (2)転 移 性 悪 性腫 瘍 (3)原 発 性 悪 性 腫瘍 原発性副睾丸腫 瘍 を 蒐 集 し そ の 内Adeno.ma.toidtumorと ジ1∵轟 二 遥二 汐 ∴、 ㌃ぎ 嬉 f"'・;1∵ 鍔1 .ひ ㌔ ・雨 右'一 三 ・∴ 摂 隻 ∴ ・ 盤・ は4分 様爽 性腫瘍 我 国 で は 最 近 三 木4)(1962)が Fig.3,MicrofindingofthetumorofFig,2. ソパ管 腫, 腫,(9)皮 の1に 充 た ず,酒 して 徳 ら3)(1961)も 本邦 に 於 け る文 献 上 の 報 告 例 を 集 め 自 験 例 を 加 え て9 例 と し そ の 後 の 文 献 上 の 報 告 は 三 木4,(1962), 壌蠕 慰 憐 鋳 三1=繕 土 田5)(1963)の 観霧麟 Fig.4.Micro伽dingofthetumorofFig.2. 各1例 で 著 者 の 自 験 例 が 第12 例 目 で あ る と思 わ れ る(表3参 照).か ように 本 邦 で そ の 報 告 例 が 意 外 と少 な い が 欧 米 で は Lopgoら2,に 続 い て'Falkら8)(1951),Laza- rusら9》(1954)Ambroseio)(1953),MoriniD (1956),Falkinbergら12)(1957),Glenn13, (1959),Flickingerら14)(1960)等 の報 告 が あ 138 浜 田 一 副 睾 丸AdenomatoidTumorの1例 Table2.副 睾 丸 腫 瘍 の 種 類 と頻 度(Longoeta1(1951)に よ る) 71(53%) 州鑑 Benign 134Cases 14(1θ%) 6(4.4%) 2(1.4%) 5(3.7%) 23(17%) 11(8%) M。lig。 、t36(26%)∫:1温 2(1%) [,era,。ma Table3.我 国 に 於 け る 副 睾 丸 のAdenomatoidtu皿orの 報告者 発表時期 年 令 位 置 主 訴 処 1 坂 ロ 大正6 32 尾(?) 2 中 村 昭 和14 37 頭∼体 (R) 3 野 間 〃24 37 尾(R) 聖丸痛 除 4 原 田 〃25 38 頭(L) 腫 5 南 6 南 〃31 7 百 瀬 8 報 告 例(9迄 大 置 腫 瘤 副睾丸摘除 〃 き は 酒 徳 に よ る) 術前診断 さ 副睾丸腫 瘍 Ly蝕 蜘gioma 23×15×7 副聖丸結核 2 睾 瘤 副睾丸摘除 Adeno皿yoma ? 20×15×23 腫瘤 摘 除 組 織 診 断 〃 上 皮 性 腫 瘍 8×6×4 〃 10×8×7 副聖丸腫瘍 副睾丸結核 〃 副睾丸腫瘍 〃 副睾丸結核 〃 Adeno田atoidT. 尾(R) 〃 ? 29 尾(R) 〃 副聖丸摘除 25×18×15 〃34 50 頭(L) 〃 腫瘤 摘 除 碗 酒 徳 〃36 35 頭(L) 〃 除 9 酒 徳 〃36 40 尾(R) 〃 副睾丸摘除 12×8×8 副寒丸嚢腫 〃 10 三 木 〃37 30 尾(L) 〃 〃 6.5×4.5×4.O 副睾 丸 炎 〃 11 土 田 〃38 33 尾(L) 〃 〃 14×10×8 副皇丸結核 〃 著 者 〃39 19 尾(L) 〃 腫 瘤摘 除 10×12×9 副睾丸嚢腫 12 〃31 47 1 甲 豆 睾 大 〃 〃 1 .¶ り 現 在 恐 ら く百 余 例 を か な り 超 す も の と 考 え ら 及 び 病 理 組 織 学 的所 見 と 自験 例 と対 比 させ て観 れ る.AdenomatoidTumorな 察 しな お そ の組 織 発 生 に つ い て現 在 迄 の諸 説 を た 如 くGolden&AshV,L'ongo2)ら る名 称 は前 述 し が そ の病 理 組 織 学 酌所 見 か ら名 付 け た もの で 今 日最 も広 簡 単 に 記 し て み る. ま ず そ の 頻 度 で あ る がLeeig,(1950)ら く用 い られ て い るが過 去 に は これ を 腺 癌 と した MayoClnicに もの もい て 現在 で も尚 そ の 組 織 発 生 に つ い て は ∼1949年 迄 の40年 間)の 諸 説 が あ り一 定 し て い な い.し か しそ の 組 織 学 tumorを 報 告 し47,000人 的 所 見 及 び 臨 床 経 過 か ら は,ご く普 通 に み ら れ た と 云 い,又Flickingeri4}ら(1960)はTen- 於 け る80万 人 の 入 院 患 者(1910 る副 睾 丸 に於 け る良性 腫 瘍 で あ る点 は ほ ぼ 間 違 nesy,Memphisに い な い.AdenomatoidTumorに に 於 て 過 去13年 つ い ての 一 般 的 見 解 につ い て は 既 に本 邦 に 於 い て も 先 人 南 他15,(1956),百 三 木4,(1962),土 瀬 他le}(1959),酒 田5}(1963),野 は 内17例 のAdenomatoid に1人 の割 合 で あ つ 於 け るHospitalKennedy 間 の15万 人 の 患 者 の 内4例 腫 瘍 を 発 見 そ の 率 は37,000人 に1人 の本 の割合 と云 徳 他s)(1961), う.も 中 他 「w(1964) で あ る 所 か ら そ の 頻 度 は か な り低 い 。 本 邦 に 於 と も と原 発 性 の 副睾 丸 腫 瘍 そ の も の が稀 等 の報 告 の 中 に か な り詳細 に述 べ られ て居 る の て も 第3表 に示 す如 く現 在 迄 の文 献 上 の報 告 例 で こ れ ら を 参 考 に し乍 ら簡 単 に そ の 臨 床 的 特 徴 は 自 験 例 を 加 え て 僅 か に12例 に 過 ギ な い. 139 浜 田一 副 睾 丸AdenomatoidTumorの1例 平均 維 が疎 な る も のか ら密 な る も の迄 種 々な割 合 で か ら61才 の年 存 在 せ る結 合 織 性 で そ の 中 に リソパ球 の浸 潤 の 令 分布 で そ の半 数 以上 が50才 乃 至60才 台 で あ る 存 在 が認 め られ又 間 質 中 に 散在 性 に 平 滑筋 線 維 と云 うが,多 が み られ る所 も あ る.こ 次 に年 令 に 於 て はLongoら2,(1951)は 41.5才,Leeら ユ8)(1950)は27才 くは20才 乃至40才 に発 生 しBur- rosら191(1950)の 新 生 児 に み られ た1例 は 例 れ ら の 腫 瘍 部 分 をGo- 1den&Asho(1945)はSolidcord-1ike,2) 外 的 で あ る.本 邦 の12例 に於 て も自 験例 の18才 microfollicular,3)macrofollicularの を最 年 少 と して50才 迄 そ の 内30才 台 が圧 倒 的 に 分 類 し て い る.(組 多 い様 で あ る. 略 す る.) 症 状 と して は一 般 に 自発 痛,圧 痛 等 の 自覚 症 状 を訴 え る も の は少 な い様 で腫 瘤 に 気 付 い て来 院 す る も のが 多 い.本 邦 に 於 け る12例 で も1例 の睾 丸 痛 を 主 訴 とす る も の を除 い て他 は全 て腫 瘤 を主 訴 と して い る.そ の発 育 は比 較 的 緩 慢 で Longoら2》(1951)は 発 見 迄 の短 か い もの で 数 織 化 学 的特 徴 に つ い て は省 以 上 が 本 腫 瘍 の 概 略 で あ る が,本 発 生Histogenesisに これ 迄 の 諸説 を大 き く分 け て 次 の 四 型 に 分 け て い る.即 2)MesonephricOrigin(主 にWo1鐙an Duct説) 3)MesothelialOrigin 4)MUIIerianEpitheliumOrigin で あ る.こ Jackson2・,(1958)は67例 (1941),Malisoff&Helpern23)(ユ943),More- 右 側33例,左 側26例 で右 側 尾 部 に 最 も多 い と云 う.本 邦 例 で は不 明 の1例 を 除 い て左 側6例, 右 側5例,尾 部8例 で 頭 体 部 に比 して圧 倒 的 に ち 1)EndothelialOrigin 又 尾 部 に 発 生 す る も の が圧 倒 的 に 多 い(79%). 中不 明8例 を 除 い て 腫 瘍 の組 織 つ い て は現 在 尚定 説 が な い がJackson20,(1958)は 日,長 い もの で30年 以 上 と云 うが本 邦 例 で は 数 ヵ月 か ら2∼3年 と云 う所 が多 い.又 殆 ん どが 一 側性 でLeeら18,(1950)は 右 側がやや多 く 三型 に の 内1)に head24)(1946)等 つ い て はHalpert22, に よ つ て 説 え ら れ た が,こ て の 説 明 が 期 待 し得 ず 細 胞 形 態,管 腔 内容 等 の 尾 部 に多 い,肉 眼 的 に は 大 き さ も小 指 頭 大 か ら 点 か らRankin25)(1956)は 指頭 大,球 で は 本 説 は 既 に 古 典 的 な も の と な つ て い る. 状,弾 性 硬,境 界 明劃,表 面平 滑, 被 包 性 で 光 沢 あ り周 囲 に浸 潤 して い る感 じ はな 2)に これ に 反 対 し 現 在 つ い て は 坂 口2。)(1916)が く割 面灰 白,淡 紅 又 は黄 色 で 平 滑 時 に 膨 隆 を 示 Blumer&Edwards27)(1941)Falconer29) し少 量 の漿 液 を 圧 出 す る こ と もあ る. (1947),Longo,McDonald(GThompson2) 以 上 の臨 床 所 見 か ら術 前 診 断 と し て は副 睾 丸 結 核 と し て取 り扱 わ れ る こ とが案 外 に多 く本 邦 れ らの説 で は本 腫 瘍 が 性器 に 局在 す る こ とに つ い (1951)等 提 唱 し, (1962)が に よ り支 持 さ れ 最 近 で は 酒 徳 ら3' 自験 例 の 組 織 所 見 か ら胎 生 学 的 に 例 に於 て も半 数 が結 核 性 の も の と術 前 診 断 され Mesonephrictubule(中 術 後 肉 眼 及 び病 理 組 織所 見 か ら本 腫 瘍 と診 断 さ 遺 残 組 織 で あ るGiralde'sbodyと れ て い る.従 つ て予 後 は 良 好 で再 発 転 移 な ど も 組 織 とAdenomatoidtumorを な く処 置 と して も単 純 な 摘 除 術 で充 分 と され 自 組 織 発 生 上 密 な る関 係 が あ る と し て本 説 の可 能 験 例 に於 て も現 在 迄 再 発 は全 くみ ら れ て い な 性 を 唱 え て い る. い. 3)に 病 理 組 織 学 的 にはEvans2D,Goldenc{}Ashi) 腎 細 管)に 考 え られ る 比 較 し両 者 に つ い てEvans2v(1943)は 置 がT.vaginalisの 由来 す る が腫 瘍 の位 漿 膜 面 と密 な 関 係 が あ る に よれ ば本 腫 瘍 の名 の示 す如 く腺 様 構 造 が 間 質 こ と を 示 し多 分 こ れ ら の 腫 瘍 は 漿 膜 を 被 覆 す る に介 在,そ 細 胞(Mesotherialce11)か の大 き さ形 は種 々,扁 平,立 方 状, ら発 生 した もの と 円柱 状 の 上 皮 様 細 胞 の配 列 よ りな り細 胞 に は大 し,Mesotheliomaと 呼 びAmbroselo,(1953) 多 数 に 穎 粒 状 好 酸 性 の 細 胞 質 を 認 め原 形 質 は 特 は腫 瘍 細胞 と漿 膜 細 胞 との 連 続 性 を 証 明 し て こ に微 細 な網 状 構 造 或 いは 空 胞 形 成 を示 す.核 は れ を 支 持 しLee18)(1950)ら 円 形 又 は卵 形 で 中央 に位 置 す る.間 質 は 膠 原 線 然 しGolden&Ash1)(1945)は も賛 成 し て い る. 胸膜や腹膜 に 浜 田一 副 睾 丸AdenomatoidTumorの1例 ユ40 発 生 す るMesotheliOlnaは 空 胞 形 成,腺 様 配列 を 欠 き 腫 瘍 の 上 皮 様 細 胞 がMesothelialcellと ■木:臨 5)土 田 昇木皮 泌,16=329,1962. ・他=臨 林 皮 泌,18:13,1964. 6)Hinman,F.eta1:Arch,Surg.,8:100, 異 な つ て い る 点 な ど か ら こ の 説 に 反 対 し た, 4)に 4)三 1924. つ い て はSundarasivarao29)(1953)に よつ て 提 唱 され た もの で腫 瘍 の発 生 位 置 と 7)Thompson,G.J.:Surg.Gynec.&Oわst., 62:712,ユ936. MUller氏 管 痕 跡 の位 置 が 一 致 す る こ と,腫 瘍 8)Falk,D.,etal:J.Urol.,66:603,1951. の 若 干 は 上 皮 性 構 造 を 示 す こ と,Appendix testisのMUllerianepitheliumと 9)Lazarus,J.A.,eta1:」.Uro1.,71:379, 類 似 す る点 等 を 根 拠 と し て い る.Rankin2s)(1956),も の 説 に 賛 成 し,Jackson20》(1958)は100例 検 の19例 のApPendixtestisを こ の剖 調 査 しそ の組 織 発 生 の 研 究 か らApPendixepididymisと に 両 者 はMUllerianoriginで 又Adenomatoidtumorの sotheliumの originは 10)Ambrose,S.S.:J.Urol.,70:110,1953. 11)Morin,L.」.:Uro1.,75:819,1956. 12)Falkinberg,L.W.,eta1.:Am.J.Surg,, 94:509,1957. 共 あ ろ う と述 べ, 13)Glen,J,F.,etal.,Sth。med.J.52:60, 1959. 上 皮 様 細 胞 はMe- 14)Flckinger,T.L.,etal.:工Uro1..83: 特 微 を も つ が 直 接Mesothelial 859,1960. 考 え ら れ ず``benignMttllerianme- senchyoma"と す れ ば 一 応 の 解 決 が つ く と し, Flickinger14)ら(1'960)も 15)南 ・他:臨 躰 皮 泌,10:100,1956. ユ6)百 瀬 ・他:泌 尿 紀 要,5=1234,1959. 17)野 中 ・他:日 泌 尿 会 誌,55=109,1964. これ を 支持 して い る. 18)Lee,M.eta1.:Surg.Gynec.&Obst., 以上 本 腫 瘍 の組 織 発 生 に つ い て概 略 的 な 文 献 的 考 察 を試 み たが 現 在 の所 で は結 論 ず け は な ら な い がAdenomatoidtumorはWolff氏 MUIler氏 管, 管 等 の 胎 生 期 組 織 に 由 来 す る と推 測 さ れ て い る 如 く で あ る. 4.結 91:221,1950. 19)Burros,H.M.,etal.=J.Uro1.,63:712, 1950, 20)Jackson,J.R,:Cancer,11:337,1958. 21)Evans,N.:J.Uro1.,50=249,1943. 論 18才 男 子 の 副 峯 丸 のAdenomatoidTumor の1例 1954, を 報 告 し併 せ て 簡 単 に そ の 文 献 的 観 察 を 22)Halpert,B.:J.Urol.,45=536,1941. 23)Malisoff,S.etal.:J.Uro1.,50:104, 1943. 24)Morehead,R.P.:Arch,Path.,42:56, 1946. 試 み た. 25)Rankin,N.E.=Brit.J.Uro1.,28:187, (欄 筆 に 際 し御 指 導 御 校 閲 賜わ つ た恩 師 加 藤 篤 二教 1956. 授 に 深 謝 す る.な お 本 論 文 の 症例 は 第34回 日本 皮膚 科 26)Sakaguchi,Y.:FrankfurtZtsch.f.Path。, 泌 尿 器科 学会 広 島地 方会 に於 て発 表 した.) 18:379,1916.5)よ 文 献 1)Golden,A.&Ash,J.E,:Am.J.Path,, 21:63,1945, ・ 他;泌 1947, 29)Sundarasivarao,D.:」.Path.&Bact., 937,1951. 徳 Brit.J.Surg.,29:263,1941. 28)Falconer,B.:J.Path.&Bact.,59=320, 2)Longo,V.J.eta1.:J.A.M.A.,147: 3)酒 り 引 用. 27)Blurner,C.E,M.&Edward,J.L.; 尿 紀 要,8:48,1961. 66:417,1953. (1964年12月15日 特 別 掲 載 受 付)