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一人一人が運動の楽しさや喜びを味わい、笑顔に

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一人一人が運動の楽しさや喜びを味わい、笑顔に
茨城県教育委員会学校体育研究推進校
主題
一人一人が運動の楽しさや喜びを味わい,笑顔に満ち溢れた児童の育成
―わかる,かかわる,できる,チャレンジする体育学習・体育活動を通して―
つくば市立豊学園上郷小学校
つくば市教育委員会
Ⅰ 研究の概要
1 研究主題
一人一人が運動の楽しさや喜びを味わい,笑顔に満ち溢れた児童の育成
―わかる,かかわる,できる,チャレンジする体育学習・体育活動を通して―
2 主題設定の理由
「自己を磨き
つくば豊学園教育目標
夢の実現を目指す児童生徒の育成」
上郷小学校教育目標
「児童が主役,笑顔に満ち溢れた楽しい学校」
上郷小学校組織目標(抜粋)
「できる喜びや運動の楽しさを味わいながら,自ら進んで運動に取り組む児童を育成する」
上郷小学校めざす児童像
か
み
ご
う
かんがえて行動できる
かしこい子
みんなにあいさつ
やさしい子
ごうかくめざして
がんばる子
うんどう大好き
元気な子
わかる
かかわる
できる
チャレンジする
運動の楽しさや喜びを味わい,笑顔に満ち溢れる児童の育成
学習指導要領体育科の目標
茨城県学校教育指導方針
・生涯にわたって運動に親しむ資質や能力
「できること,分かること,かかわること」を
の基礎を育成
バランスよく組み込み,基礎的・基本的な内容
の確実な定着を図る体育指導の展開
・健康の保持増進
・体力向上
本校の実態
・体力テストA+Bの割合が県平均を下回
・敷地面積が広く,運動できる場が多い。
る。
・休み時間も元気に外で遊ぶ児童が多い。
・男女とも肥満児童の割合が全体的に多い。
・体育の時間を楽しみにしている児童が多い。
・体育の時間も苦手なことや嫌いなことは
・小中一貫教育→学園間での連携・協力が可能。
避けてしまう傾向がある。
・筑波大学,つくばFC等との連携がしやすい。
・保健体育免許所有者1名のみ。
3 研究のねらい
わかる,かかわる,できる,チャレンジする体育学習や体育活動を通して,一人一人が運
動の楽しさや喜びを味わい,笑顔に満ち溢れた児童の育成を図る。
4 研究の仮説
<仮説1>
学習のめあてや運動のポイント,こつがわかるように資料や ICT 機器を使用したり,師範
や発問を工夫したり,振り返りの時間を確保したりすることで,児童が考えて学習していく
ことにつながり,課題解決能力の育成につながるであろう。
<仮説2>
グループ形態の工夫,異学年交流,教師やゲストティーチャーとの交流の中で,尋ね合い
教え合う学習を行うことで,進んで人とかかわることにつながるであろう。
<仮説3>
教材・教具や場の整備・工夫,外部指導者による指導を行うことで,運動に進んで取り組
むとともに技能が身に付き,体力の向上につながるであろう。
<仮説4>
学習における種目設定や他教科,学校行事,家庭でも幅広く運動に親しむ場を設定するこ
とで,運動が好きになり,運動を積極的に行うことにつながるであろう。
5 主題に対する基本的な考え方
(1) 上郷小学校の考える「運動の楽しさや喜び」とは
① 運動のポイントやこつがわかったり,活動を工夫したりする楽しさや喜び。
② 尋ね合ったり,教え合ったりしてかかわり合いながら活動する楽しさや喜び。
③ できなかったことができるようになる楽しさや喜び。
④ 運動の特性にふれ,すすんで体を動かす楽しさや喜び。
(2) 研究の構想図
児童が主役,笑顔に満ち溢れた楽しい学校
一人一人が運動の楽しさや喜びを味わい,笑顔に満ち溢れた児童の育成
~わかる,かかわる,できる,チャレンジする体育学習・体育活動を通して~
○できる
・できなかったことができる
・目標が達成できる
○かかわる
・友達とかかわる(尋ね合い,教え合う)
・教師とのかかわり
・学習カードでのかかわり(教師・児童相互)
体
育
大
好
き
運
動
大
好
き
○わかる
・健康,体力の向上の大切さがわかる
・運動の仕方がわかる
・技のポイントやこつがわかる
〇チャレンジ
・いろいろな運動に挑戦する
・学校だけでなく家庭でもすすんで体を動
かす
授業,教育活動全体,地域・家庭
・学習形態
・学習カード
・ICTの活用
・系統性・体系化の理解・実践
・評価規準
・大学との連携
・小・中一貫
・体育授業サポーター,体育授業アドバイザー
派遣事業の活用
・体力テスト分析シート
・家庭でできる運動遊び例
・教材・教具の工夫
・児童への情報提供(校内外の掲示物等)
・体育の学習以外での運動(遊び)の提供
・・・始業前,業間,昼休み,自由遊び,学
級学年遊び,縦割り遊び
・学校行事の工夫
・運動習慣やたくさん遊んでいる児童を対象に
シール,賞状の授与(児童会や体育委員会を
活用)など
Ⅱ 研究の実際
1 授業研究部の取り組み
(1) 体育の約束事,授業での共通理解
全体で共通理解しておいた方がよい,授業での約束事,服装などを掲示物やプリントに
まとめ,校内に掲示したり,児童に配付したりした。
た
い
い
く
体育のきまり
1
みんなのきまりについて
じ ゆ ぎようちゆう
い
ど う
は し
○授業中の移動は,走ります。
お お
こ え
へ ん
じ
○大きな声で,返事やあいさつをします。
た
き
つ
し
せ い
○立っているときは「気を付け」の姿勢をします。
す わ
が く しゆう
か
た い い く す わ
○座っているときや,学習カードを書くときは,体育座りを
します。
か
た ん け ん
つ か
○カードを書くときは探検バッグを使います。
た ん け ん
み ぎ
て
も
す わ
からだ
み ぎ が わ
○探検バッグは右手で持ちます。座っているときは,体の右側
にならべておきます。
た ん け ん
お
い
○探検バッグを置くときは,グループごとにかごへ入れます。
け ん が く し や
う ん ど う
と も だ ち
う ん ど う
み
ま な
○見学者は,運動はしません 。
「友達の運動を見て学ぶ」こ
た い せ つ
お う え ん
て
つ だ
さ む
とが大切です。アドバイス,応援,手伝いをします。寒い
ぼ う か ん
ぎ
ちやく よ う
ときは防寒着を着用してもいいです。
<体育のきまり>
<安全に運動できる服装>
(2) 実技,指導法の研修の充実
できるポイントや運動の楽しさを授業で教えていくために必要な指導法を,外部からの
指導者や校内研修を通して行った。
<豊学園小中合同研修>
2 授業・活動の様子
<校内実技研修の様子>
(1) 「わかる」ための手立て
① 学習のねらいの明確化
学習のねらい,学習の流れ,場の設定やポイントを説明した図を提示することで,一
人一人がねらいを意識して授業に取り組むことができた。
② 資料の活用
水泳学習の際に,体育コーナーには児童の等身大の掲示物を用意した。ストリームラ
インの前に立ち,体がまっすぐになるように手の位置などが確認できるようにした。
③ 教師や上手な児童による手本
例えば,
「とび箱」では,手をつく位置や腰の高さに注意し,実際に教師が手本を見せ
ることによって,テンポよく跳ぶこつをつかむことができた。
<学習の流れ,場の設定の掲示>
<体育コーナーの資料掲示>
<「とび箱」の手本>
④ 発問の工夫や話合いの時間の確保
一人一人の技能を高め,自分に合った効果的な練習方法を考えるために,教師の発問
や言葉がけを工夫し,話合いの時間を確保することとした。運動する時間を保障すると
ともに,話し合う時間を十分に確保することで,児童の思考を深めることができた。
⑤ 成果や課題を確保するための振り返り
各学年で学習の振り返りができるように,筑波大学で作成したチェックシートを活用
したり,学年独自の学習カードを使用したりした。また,学習課題やめあてに即して,
授業の最後に振り返りを行うようにした。第 1 学年から表現力を高めるために,自分の
言葉で振り返りを行うようにした。さらに,振り返りをしたことに対する教師の励まし
のコメントを入れるようにした。毎時間の成果や課題を児童と共に教師が確認すること
で,次へのステップアップを図ると共に,言語活動の充実につながり,思考力,判断力,
表現力が身に付いてきた。
⑥ ICT・デジタル・オーディオ機器の活用
授業中の資料提示,動画による技能ポイントの理解,自分の試技を撮影しその場で振
り返りをするなど,効果的にICT機器を使用することで技能のポイントを理解する手
助けをすることができた。デジタイマーの使用や音楽を流すことで,準備・後片付け等
の際に時間を意識した行動をさせるのに有効であった。また,コーンタッチやシャトル
ランダッシュ,ビートランニング等の動きをする時に使用することで,リズムに合わせ
た動きを身に付けさせることにつながった。
<話合いの様子>
<跳び箱運動チェックシート> <プロジェクターによる資料の提示>
(2) 「かかわる」ための手立て
① 同学年の児童とかかわる
3~5人の少人数のグループによる活動を増やし,互いの動きを見合ったり,動きの
ポイントを教え合ったりすることで,よりよい動きの定着につながった。
② 異学年の児童とかかわる
異学年の児童とかかわることで,上級生にとっては自分の学んできたことを教える場
となった。また,中学生が小学校に出向き授業の補助をしたり,学習の成果を伝えたり
する豊学園リトルティーチャー(LT)制度を活用した。中学生からも学ぶことで,学年
を越えた交流を図ることができた。
③ 教師やゲストティーチャーとかかわる
教師は教えるだけでなく,時に児童と一緒になって活動することで,より身近に感じ
られるようにした。また,筑波大学の体育専攻学生やつくばFCの体育コーディネータ
ー,筑波大学のローランド先生,三田部先生など体育・スポーツを専門にして地域で活
躍する方をゲストティーチャーで招き,直接教えていただく機会を得ることができた。
<第2学年の授業の様子>
<中学生(LT)とのかかわり>
<教師が一緒に活動している様子>
(3) 「できる」ための手立て
① 教材・教具の工夫
ア
自作教具
第4学年の「ゴム高跳び」では,ペットボトル,塩化ビニルパイプ,ゴム,洗濯ば
さみを使って支柱及びバーを作成した。簡単に高さを調整でき,ゴムに触れた際に音
が出るようにしたことで,力強い踏切りや正しい空中動作を身につけることができた。
また,なわとびの練習用にコンパネと角材を利用してジャンピングボードを作成し,
難しい技にも挑戦する児童が増加した。
跳び箱の台車と体力テスト用の立ち幅跳びマットと踏み切り板も作成した。準備や
片付けにかける時間を短縮したり,記録向上につながったりした。
<「ゴム高跳び」の授業の様子>
イ
<ジャンピングボード>
<立ち幅跳びマット,踏切板>
既製品を利用した教材,教具
第3学年の小型ハードル走では,カラーリングで踏み切り位置,フラフープで跳ぶ
距離,さいころで跳ぶ高さを明示した模擬ハードルを設置することで,調子よく遠く
からハードルを跳び越えることができた。また,軽量マットや小型とび箱を毎年計画
的に購入し,低学年児童や担任の準備・片付けの時間短縮,負担軽減につなげた。さ
らに,ラダー,ミニハードル,滑り止めのついた矢印やリング,手形,足形,安全面,
耐久性も考慮した用具を購入することで,教材準備にかかる時間の軽減を図った。矢
印,手形,足形などの具体的な印で技術的なポイントを示すことで,技能向上につな
がったり,効率的に学習をすすめたりすることができた。
<「小型ハードル走」の授業の様子> <軽量マット,小型とび箱>
② いろいろな場の整備,設定,工夫
ア 授業の場
<ラダー,矢印など>
第1学年の「マットを使った運動遊び」では,マットを放射状に設置することで,
互いのよさを見つけ,様々な動きの技を身につけることができた。また,教師が中心
にいることでどのマットへ行くのにも距離が同じで,すぐに支援に行くことができた。
第5学年の体つくり運動「体力を高める運動」では,音楽に合わせて体を動かした
り,用具を用いたりして,単純な動きにも変化をつけられるように場を設定すること
で,様々な動きを経験し,一人一人それぞれの体力を高めることができた。
<第1学年の授業の様子>
<第5学年の授業の様子>
イ 校内環境の整備
・学年・学級ボール,一輪車の整備。 ・校庭芝生の管理・補修,コースロープ管理。
・体育コーナーの設置(体験型)。
・校内持久走コースの設置・整備。
・ボールスローラインの設置。
・プール清掃・プール台の設置。
運動ができるようになる練習がいつでも,どこでもできるように,用具や場の整備
を児童,教職員,保護者,地域の方で連携しながら,定期的,計画的にすすめてきた。
また,平成 26 年度の体育館耐震工事の際には,より使いやすくなるように既存ライ
ンの整備や音響設備,LED照明を充実させた。
ウ 外部指導者による専門的,効果的な指導
筑波大学体育科学系の三田部勇先生,ネメシュ・ローランド先生,体育を専攻して
いる学生による授業サポート,地域のサッカークラブ「つくばFC」によるサッカー
教室等,体育を専門に行っている方を外部指導者と招いて専門的,効果的な指導をし
ていただくことで,児童の技能向上につながった。また,指導法,教材・教具につい
ての研修も合わせて実施することで,教員の指導力向上につなげることができた。
(4) チャレンジするための手立て
① 学習カードの活用,いろいろな種目へのチャレンジ
掲示と連動した学習カードを用いてめあての確認や次時につながる振り返りを行い,
達成状況や次に挑戦する内容を確認しながら,自分の課題にチャレンジすることができ
た。また,意欲や技能の向上を目指し,はしごドッジボール,ハンドボール,フラッグ
フットボール,サッカー,バスケットボール,プレルボール,ソフトバレーボール,キ
ックベース,ティーボール等,ゲームにおける幅広い種目を設定することで,教材・教
具の工夫をするなどして,様々な動きを経験しチャレンジすることができた。
② 他教科,学級活動との関連
自分で製作した帆掛け船や水に浮かぶおもちゃを使って,顔を水につける,もぐる,
泳ぐ等の体育で設定した自分のめあてと関連した活動を取り入れた。自作のものを使う
ことで,積極的に楽しみ,活動することができた。
また,好きな色や模様を描いた的,ペットボトルに入れる色水の量で倒れ方が変わる
的,豆まきの時期に鬼の的等を作成した。自作の的を使用することで,的に当てようと
する意欲や集中力が高まり,ボールを狙って投げようとする児童の姿が増えた。
<水に浮かぶおもちゃ>
③ 学校行事等との関連
<ペットボトルの的>
<自作「鬼の的」>
地域の方も招待して行われるありがとう集会や運動会,学年末の学習発表会等で発表
する場を設けた。これまで授業等で学習してきたことをふまえて,一人一人が堂々と発
表することができた。また,運動会ではリズムダンス「ランニングマン」を取り入れる
など,児童の願いを取り入れた発表を行うことで,積極的に体育的な活動にチャレンジ
することにつながった。
泳力アップのための特別水泳,校内持久走大会に向けた業間運動,まつりつくば,つ
くば豊学園スポーツ交流会,つくば市南部小学校陸上記録会に向けた練習等,自分の力
を十分に発揮できるように,チャレンジするための練習の場を設定した。
3 調査研究部の取り組み
(1) 運動の楽しさや喜びを味わう体育コーナーの作成,設置
児童自身が目標に向かって意欲的に運動に取り組むことや,がんばった成果や結果を確
認できるように,身近に見られる・触れる体育コーナーを作成,設置した。
体育コーナーには,以下の内容を掲示した。
・体力テスト
・Kami Go! !チャレンジ
(各学年の T スコア)
(種目紹介・ミニ体験コーナー)
・豊学園スポーツ交流会
(キャッチボールマスター,連続8の字縄跳び)
・Kami Go!!検定
(水泳の泳力検定,なわとび検定)
(2) 児童の運動に対する意識を把握するためのアンケート実施
児童の運動に対する意識を把握するために全校児童を対象に「体育についてのアンケー
ト」を実施した。結果を基に体育の研究をよりよく進められるよう教員間で情報を共有し,
改善に取り組んできた。
平成 25 年度
3 月のアンケート結果
平成 27 年度
7 月のアンケート結果
2回目よりアンケートの設問を2問増やして調査をしてきた。アンケート結果では,2
年間で,ほとんどの項目で「よくあてはまる」が 60%を越えた。また,全ての項目におい
て「あてはまる」
「だいたいあてはまる」の合計が 80%を越えることができた。
① 「わかる」について
アンケート項目集計の推移から,肯定的な回答が年々増えてきた。学習カードで毎時
間授業のめあてを確認したり,ふり返りの欄を設けたりした。どうやったらうまくいく
のかに視点を当てたり,言葉で振り返ったりすることができるようになることで,めあ
てを理解しながら活動し,運動のやり方やこつがわかる児童が増えた。
<アンケート項目の推移>
<学習カード(「今日のはっけん」
)>
② 「かかわる」について
アンケートの結果から,
「よくあてはまる」,「あてはまる」の回答が年々増えてきた。
少人数のグループ活動を増やしたり,ICT機器,掲示物等で授業のねらいや技能のポ
イントを分かりやすくしたりして,尋ね合い教え合う活動を行った。児童同士のかかわ
り合いも増え,誰とでも仲良く運動することにもつながっていたと考えられる。
<アンケート項目の推移>
<フラッグフットボールの感想>
③ 「できる」について
アンケートの結果から,
「よくあてはまる」,「あてはまる」の回答が年々増えてきた。
学習カードでは,目標の記録や技能のポイントを意識できるようにした。体育授業サポ
ーターが定期的に入り専門的な指導をしてもらうことで,意欲と技能共に向上がみられ
たり,約1ヶ月の練習でなわとび検定が全員合格できたりした。また,全校で泳力アッ
プのために学習カードを活用,3年生以上の希望児童に対する夏季休業中の特別水泳指
導を実施等の取り組みも,アンケートの結果に結びついたと考えられる。
<アンケート項目の推移>
<体育授業サポーターの様子>
<特別水泳指導の様子>
④ 「チャレンジする」について
アンケートの結果から,
「よくあてはまる」,「あてはまる」の回答が年々増えてきた。
また,放課後や土日など学校の教育活動以外で行われるスポーツクラブの加入率も年々
増えてきている。普段から体を動かすことが好きで,授業を楽しみにし,体育が自分に
とって大切だと思う児童が増えていることから,運動に積極的に親しみ,運動が大好き
な児童が増えたと考えられる。
放課後,土日等に実施のスポーツクラブ加入率
平成25年度
平成26年度
平成27年度
47.5%
52.2%
57.0%
年々増加
<アンケート項目の推移>
(3) 体力テストの結果 推移
昨年度の記録を振り返り,一人一人の目標を持たせ意欲的に活動できるよう意識付けを
行って取り組んできた。全種目の中で下記の「20mシャトルラン」
「ボール投げ」で特に
記録を伸ばすことができた。
平成 25 年度
平成 26 年度
平成27年度
全校での割合
(A+B)-(D+E)
23.3%
(42.2%)-(18.9%)
42.2%
(55.1%)-(12.9%)
72.1%
(77.6%)-(5.5%)
体力テストの結果を見ると,大幅な伸びが見られた。要因としては,まず Kami Go!!チ
ャレンジで様々な動きを取り入れた運動を学校や家庭で日々取り入れてきた結果が考えら
れる。「全国体力・運動能力、運動習慣調査」の「活用シート」も応用して,全学年で体
力テストの自己分析も行った。担任は,児童一人一人の体力テストの記録について分析し,
どの力を伸ばしていったらよいかアドバイスをした。また,20mシャトルランでは,児
童アンケートからも走ることが苦手と答えていた児童が多かったが,目標を決め,兄弟学
年やグループで取り組むことで,互いの意欲を高めることができた。下の学年が上の学年
から技やこつを間近で教わることができ,学び合うことで互いの記録の向上に繋げること
ができた。ボールスローでは,業間運動である「Kami Go!!チャレンジ」で日頃から投げ
る運動を取り入れることが定着し,児童が自ら進んで取り組む姿勢が見られ,記録の向上
にもつながったと思われる。これらの取り組みを行うことで,児童は明確な目標を持ち,
意欲的に取り組むことができたと思われる。学校・家庭・地域が一体となり,子ども一人
一人が「わかる」
「できる」
「かかわる」
「チャレンジする」という体育学習,体育活動に取
り組んだことで,運動の楽しさや喜びを味わい,運動が大好きになり,そして「もっと続
けてみよう,頑張るぞ!」と取り組んだ結果,体力テスト全体が向上したと考えられる。
4 体力つくり研究部の取り組み
(1) 体育学習の教材を生かす業間運動「Kami Go!!チャレンジ」
「Kami Go!!チャレンジ」は13の種目を設置した。業間運動の日以外の業間休みや昼休み
にも,児童が自主的にチャレンジできるように固定遊具などを中心に場を設定した。火・
金曜日の業間休みを活用して,クラスごとにローテーションして実施した。運動の日常化
を図るために業間休みや昼休みに「自由にチャレンジ」をできるように工夫した。
「Kami Go!!チャレンジシート」を作成し,年間を通してポイントをためることで 意欲
づけを行った。ポイントを貯めると,
「Kami Go!!ビギナー」
「Kami Go!!ミドル」
「Kami Go!!
マスター」とランクが上がっていくことも児童の励みとなっている。
○「Kami Go!!チャレンジ」13 の種目
・短縄跳び
・連続8の字縄跳び
・うんてい・ジャングルジム ・のぼりぼう
・てつぼう
・タイヤとび
・ジャンピングタッチ
・リレー
・Run ラン マラソン
・まとあて・ストラックアウト
・おにごっこ
・ロープウェイ
・キャッチボールマスター
<ジャンピングタッチ>
<まとあて・ストラックアウト>
<ロープウェイ>
(2) Kami Go!!チャレンジ(家庭版)
本校の児童は,学区が広く放課後に友達と遊ぶことが難しい。また,遊ぶときもゲーム
をするなど,日常的に運動に取り組む機会が少ない。そのため,
「Kami Go!!チャレンジ(家
庭版)」は,業間運動だけでなく家庭でも継続して運動ができるように作成した。「体力テ
ストへ向けて」
「夏休み体力アップ作戦」
「冬休み体力つくり」の3回実施した。
(3) つくば豊学園スポーツ交流会
つくば豊学園(豊里中学校・上郷小学校・沼崎小学校・今鹿島小学校)では,茨城県の
スポーツチャレンジ種目にある「キャッチボールマスター」と「連続8の字縄跳び」で年
に2回スポーツ交流会を実施している。
(4)
<Kami Go!!チャレンジ(家庭版)>
表彰
<スポーツ交流会の様子>
体力テスト B 級の児童に「体力奨励賞」を授与した。次年度の体力テストに向けての
意欲付けとなった。また,「Kami Go!!チャレンジ」で夏休みのシート全部に色が塗れた
児童と,業間運動でポイントが全部貯まった児童にも賞状を授与した。賞状をもらった
児童は笑顔が満ち溢れていた。
Ⅲ 研究の成果と今後の課題
1 研究の成果
<仮説1について>
学習のめあてや運動のポイント,こつがわかるように資料や ICT 機器を使用したり,
師範や発問,振り返りの時間を確保したりすることで,児童が考えて学習していくことに
つながった。
<仮説2について>
グループ形態の工夫,異学年交流,教師やゲストティーチャーとの交流の中で尋ね合い
教え合う学習をすすめることで,進んで人とかかわりながら体育学習や体育活動で行える
ようになってきた。
<仮説3について>
教材・教具や場の整備・工夫,外部指導者による指導を行うことで,運動に進んで取り
組むとともに技能が身に付き,体力を向上させることにもつながった。
<仮説4について>
授業における種目設定や他教科,学校行事,家庭でも幅広く運動に親しむ場を設定する
ことで,運動が好きになり,運動を積極的に行う児童を育成することにつながった。
2 今後の課題
(1) 系統性を意識した学習が今後もできるように,学習内容や評価規準を見直し,教員間の
共通理解を図る。
(2) リトルティーチャー,学園内の小学校間における学習もさらにすすめ,小中一貫教育な
らではの「かかわり」を意識した活動を今後もさらに充実させる。
(3) 地域の人材をさらなる活用や教科担任制等も検討し技能の定着や体力の向上を図ると
ともに,個々の教員の指導力向上に向けた研修もさらに充実させる。
(4) 地域,保護者と連携を図り,児童が生涯にわたって運動に親しむための資質や能力を育
成するために定期的,計画的な環境の整備を図る。
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