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富の不平等(Inequality)に思う事 第3次、第4次産業革命とポピュリズム

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富の不平等(Inequality)に思う事 第3次、第4次産業革命とポピュリズム
富の不平等(Inequality)に思う事
第3次、第4次産業革命とポピュリズム
Rev.0 2016 年 1 月 26
GDPで世界1,2位を競い合う米国と中国が、富の不平等(Inequality)でも世界トッ
プレベルにあるのは、注目されます。
労働流動性が米国ほど高くない一方で、富の不平等(Inequality)にはかなり配慮を見せ
ているEUですが、積極的な景気刺激策を実施してこなかったことでリーマンショック後
の低迷が長引き、失業率が高止まりし、将来に希望を持てない人々が増大し、短絡的思考の
ポピュリズムや過激主義の台頭を許し、政治的な不安定度合いが増しています。
欧州とは異なり、米国では、‘高い労働流動性をもとに機会の平等を守ることで、だれも
が創意、工夫、努力で成功し、巨万の富を得る事が可能なこと’
、いわゆる‘アメリカンド
リーム’の実現が、次々と革新的技術や事業を生み出す源となり比較的順調に経済を成長さ
せてきました。このアメリカンドリームと、アメリカンドリームを実現し巨額の富を手にし
たビル・ゲイツ氏やウオーレン・バフェットバフェット氏が、自主的に社会に富を還元する
姿勢が、大きな経済格差かかわらず社会的安定に寄与してきたと考えられます。
しかし、その米国でも、コンピュータ技術の進歩で第3次産業革命(インターネットによ
る情報共有社会)が生じ、工業技術が新興国に移転し始めたことから、先進国の中産階級(比
較的賃金の高い技能労働者)の減少、底辺層の拡大、富裕層の富みの集中が生じています。
更に、様々な地球的制約(環境問題等)や人間の能力の限界(革新を避ける傾向)で、世界
が低成長を余儀なくされる状況で、第4次産業革命(人工知能社会)が到来し、中産階級(賃
金の高い知的労働者)の減少、低所得層の増大、富裕層の富の集中が進むと見られています。
このような状況の中で、中間所得層以上の位置を維持するには高い教育費が必須となり、ア
メリカンドリームの体現者が次第に富裕層に偏り出し、階層間の流動性が失われつつある
と報道されています。アメリカはリーマンショック後の積極的な刺激策でEUよりも高い
経済成長率達成してきましたが、世界の大勢には逆らうのは困難なようで、低金利政策終了
後は低成長を余儀なくされると見られています。このような情況では、階層の固定化で低辺
層が将来に絶望的になるのは避けられず、これが米国でも短絡的思考傾向を強め、ポピュリ
ズムや過激主義の台頭を招き、政治を不安定化させていると見られているようです。世界の
超大国の政治的不安定化は世界に大きな災いをもたらしかねず、この是正要求が次第に高
まって来ています。
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ポピュリズムにしろ過激主義にしろ国家を一つの人格と見れば、
‘集団としての知性’を
著しく低め、大きな災いを招きかねない反応と考えられます。これを避けるため、国として
の経済成長を確実なものにするだけでなく、低辺層の拡大を防止しつつ、低辺層の人々が将
来の夢を失わない政策を指導者は提示し続ける必要が有るようです。この観点で、富の不平
等(Inequality)が米国ほどではなくとも、日本の非正規労働者の増大とその固定化は、少
子高齢化に拍車をかけるとともに、将来の夢を失わせ、社会を不安定にさせるる大きな要因
と考えられますので、経済成長の大前提である社会的安定のため、早急に流れを変えてゆく
必要が有るようです。この観点から見ますと、非正規労働者の待遇改善ばかりでなく、第4
次産業革命(人工知能社会)に対応できる新たな教育システム(富に関係なく、能力に応じ
て、高い総合的な知見に立って自ら考え、判断し、強い意志で実行する人材を育成する教育
システム)の早急な構築が必要と思われます。
一方、平等を重視する共産主義社会で、経済成長を最優先とした結果、世界で最も富の不
平等(Inequality)進んでいるのが中国社会の現実ですが、これまで高い経済成長が続き将
来に対する絶望感などが無かったのに加え、西欧型の民主主義社会と異なり政治的な言論
の自由が抑制されていたことで、短絡的思考のポピュリズムや過激主義の台頭はあまり見
られていないようです。しかし、経済減速傾向が更に進めば、低辺層(特に少数民族)の絶
望感が増し、過激主義が台頭する可能も有り得ますので、中国政府は経済成長率6.5%を
死守し、低辺層の所得引き上げを重点的に行っていくようです。国民に人気のある腐敗撲滅
運動も、米国の富裕層と異なり、自主的に富を社会に還元しようという動きの乏しい中国富
裕層に対し、不当に得た巨万の富を没収し、強制的に富の不平等の是正を行っていると見る
ことも出来そうです。政治体制のいかんにかかわらず、‘過剰な富の不平等(Inequality)
の固定化は,政治的不安定を引き起こすと要因’と考えられますので、今後、中国も富の不
平等(Inequality)の是正メカニズム強化は避けられないと予想されます。
追記(2016 年 11 月 18 日)
6 月末の英国の国民投票による EU 離脱派勝利、11 月上旬の米国大統領選でのトランプ
氏の勝利と、政治経済、マスコミの指導層の予想を裏切るポピュリズムと過激主義の勝利が
続き、それがヨーロッパ各国に伝搬する勢いです。世界が低成長に陥っている状況下、勝ち
組にばかり目を向け経済成長策を掲げ実行しても、この流れを変えるのには不十分でと思
われます。グローバリゼーションやコンピュータ技術が引き起こす社会変化から取り残さ
れるのではと恐怖におびえる人々が増加しています。この人々に目を向け、将来を見据えた
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変化の痛みの緩和策、特に富の不平等拡大の具体的抑制策を打ち出し、有言実行し指導層へ
の人々信頼を取り戻すのが必要と思われます。しかし、どの国でもまだそこまでの対策は打
ち出されていないようですので、この勢いは暫く止まらないのかもしれません。
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