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大分市立王子中学校

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大分市立王子中学校
大分市立王子中学校
森からのメッセージ
1.取組の概要
王子中学校は、大分市内中心部に位置している。車の交通量も多く、アスファルトや
コンクリートが目立つ環境の中、排気ガスを意識しながら生活している。そのため、子
ども達は、森林に触れる機会がほとんどない。そこで、森林について触れる機会をもつ
とともに、森林の働きについて学習し、自然を守り育てようとする態度を育てたいと考
えた。
そのため、森林体験学習の目標を以下のように設定し取り組んだ。
・ 森林を中心にして、身の回りの環境について、発見した課題について追究し、解決の方
法を考える。
・ 森林を中心にした環境について、学習したことをまとめ、発信する。
・ 環境問題に関心をもち、環境を守り育てようとする気持ちをもつ。
2.主な取組の経過
月/日(曜)
実施内容
具体的な活動内容
6/4(金)
環境に関するDVDの視聴
森林と人々の暮らしの関わりについて
2年生(195名)
描かれたDVDを視聴し、日常はほとん
外部講師 無
ど触れることのない森林について学習
した。
6/16(水) 腐葉土作りのための落ち葉集 外掃除の生徒を中心に、校庭の落ち葉を
め開始 2年生(195名)
一箇所に集めて腐葉土作りを始めた。ゴ
外部講師 無
ミの削減と自然のリサイクルを目的と
して年間を通しての取組とした。
7/2(金)
校内自然観察
5クラスがそれぞれに「森の先生」の指
2年(195名)
導のもと「森林の働き」や「生物多様性」
森の先生(5名)
などのテーマごとに学習するとともに、
校内の樹木や生物の自然観察を行った。
9/27(月) 環境講話
全校生徒を対象に、生物多様性等、自然
全校生徒(568名)
環境全般の現状について、話をしていた
森の先生(1名)
だいた。
9/29(水) 「のつはる少年自然の家」森林 「のつはる少年自然の家」にバスで行
体験学習
き、5クラスがそれぞれに「森の先生」
2年(196名)
について、森の中へ入って、自然観察を
森の先生(5名)
行った。生まれて初めて、生きたヘビや
彼岸花などを見て、大きな驚きや発見を
することができた。
11/13(土)
文化発表会
一人一新聞作りに取り組み、展示発表す
全校生徒(568名)
るとともに、クラス代表が、それまでの
保護者(600名)
森林体験学習で学んだことをステージ
外部講師 無
上で、パワーポイントを使いながら発表
した。
1/12(水)
森の先生への手紙
2年(196名)
外部講師 無
2/14(月)
森林やそれをとりまく環境に
関する意識調査
年間の学習のまとめ
2年(196名)
外部講師 無
お世話になった森の先生へお礼状を書
いて、送った。森の先生のお話は、環境
問題について考えるヒントがたくさん
あった。多くの生徒が、これから、環境
問題にどのように取り組んでいけばよ
いのかについて考えることができた。
森林やそれをとりまく環境に関する意
識調査を行い、森林体験学習を行ったこ
とで、どのように生徒の意識が変容して
きたのかを比較することができた。
3.体験学習の実際
(1) 校内自然観察[2年生]
上流では、大分川の水が
飲めるの!?
森林の働きは、10個以上もあると知ってびっ
くりしました!
(2) 環境講話
全校生徒を対象に「森の先生」の鬼塚隆子先生が、自然環境全般についてお話をしてく
ださいました。例えば、ミドリガメなどの外来生物を飼い始めたら、最後まで飼わないと
生態系を壊してしまうということを知り、具体的に自分たちがこれからどう行動していけ
ばよいのかを理解することができました。
(3)「のつはる少年自然の家」森林体験学習
本物の生物と触れ合うのは、ほとんどないので、た
くさんの生物に直に触れ、驚くことばかり!森の蜘
蛛は、日頃見かけるものよりも体が大きい。
森の空気はおいし
い。きれいな空気
いっぱい吸おう。
2回も、ご指導くださ
った森の先生方。あり
がとうございました。
大分でもこんなにきれいな森林があるんだな
と思いました。こんなに美しい森を、これか
らも残していきたいと思いました。
(4) 文化発表会
一人一新聞を作り、展示発表し、「森からのメッセージ」として、発信しました。「森の
先生」から教えていただいたことや、「のつはる少年自然の家」で体験したことで、多くの
ことを学び、それを、新聞形式でまとめました。「植物は、折ったり、掘ったりせず、自然
の状態で観察する」「動物は人間の残した痕跡があるとすみかを放棄することがあるので、
山を歩く際は、なるべく周囲を荒らさないように心がける」など、学んだことはたくさん
ありました。また、森林体験では、生まれて初めて実物のヘビやヒガンバナを見たことが
書かれていました。ステージでは、クラス代表の生徒が、パワーポイントを用いて、学ん
だことを全校生徒や保護者に向けて発表しました。
(5) 森の先生へのお礼状
森の先生は、森の働きや、生物の多様性、動植物の名前などたくさんのことを教えてく
ださいました。そのおかげで、これまで関心をもたなかった森林や自然環境について、関
心をもつようになった生徒がたくさんいました。
(6) 意識調査と年間のまとめ
意識調査により森林の働きについて、理解が深まり、森林や自然に対する関心が高まっ
たことが分かりました。校庭の落ち葉を腐葉土にする活動にも取り組んできましたが、こ
の腐葉土を使って作物を育てていく活動を次年度も続けていきたいと思います。
4.成果と課題
○ 市内中心部で生活しているため、日頃ほとんど触れることのない森林の空気や生物に直
接触れることができたことに多くの生徒が感動した。(アンケート結果によると、当初
「森の香をかいだことがある」という生徒は10%しかいなかったが、森林体験をした
ことで100%になった。)
○ 森林の働きについて理解が深まり、森林や自然に対する関心が高まった。(アンケート
結果によると、
「森林の働き」について「よく理解している」
「少し理解している」とい
う生徒が、当初42%だったが、森林体験実施後は68%となった。
)
○ 「冷暖房や照明器具・電化製品のスイッチをこまめに切り、節電に心がけている」等、
自然環境を守るために、自分たちにできることから取り組んでいこうとする態度が育っ
た。(アンケート結果によると、環境保護のために取り組んでいこうとする項目につい
ての割合が21%増えた。)
△ 校庭の落ち葉を一ヶ所に集めて腐葉土を作り始めた。この腐葉土を用いて、花や農作
物を育てるための取り組みを計画中である。学習したことを、今後の活動につなげて
いくことがこれからの課題である。
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