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フラッシュ型CMOS A/D変換器
平成 26 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 26 フラッシュ型CMOS A/D変換器 A-1 A Flash-Type CMOS A/D Converter 佐々木 優旗 若海 弘夫 Yuki SASAKI Hiroo WAKAUMI 東京都立産業技術高等専門学校 創造工学専攻 Advanced Course, Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology 1. はじめに 近年, ビデオ機器の小型化を図るべく, ビデオ信号 を処理可能なA/D, D/A変換素子を一体化したICが望ま れている. しかし, 高速動作を必要とするため, 消費電 力が大きくなることから, IC化が容易でない. そこで, 本研究では, A/D変換器を含んだビデオ信号処理素子の モノリシックIC化を目指して, モノリシックICと親和 性の良いCMOS構成のフラッシュ型A/D変換器の実現 可能性につき消費電力を考慮しつつ検討した. 2. フラッシュ型CMOS A/D変換器 従来のフラッシュ型 A/D 変換器は, バイポーラ型比 較器と抵抗器で構成され, モノリシック IC 化が困難で ある[1]. そこで, 抵抗器やバイポーラ素子の代わりに p, n 型 MOSFET の組み合わせによるブリーダー回路 と比較器で構成したビデオ信号を処理可能なフラッシ ュ型 CMOS A/D 変換器を提案する. ブリーダー回路は CMOS のゲートの結線位置や p, n 型 MOSFET を組み 合わせることにより 3 bit 以上の高分解化が図れる. ま た, 比較器は消費電力, 動作速度, 動作範囲が異なる 4 種類を構成することで, A/D 変換器のダイナミックレ ンジ, 動作速度を向上でき, 消費電力も低減可能とな る. 3 bit の提案フラッシュ型 CMOS A/D 変換器を図 1 に示す. 図 1 提案フラッシュ型 CMOS A/D 変換器の構成 100 位相遅れ0 ns 位相遅れ20 ns 位相遅れ40 ns 位相遅れ60 ns 位相遅れ80 ns 90 遅れ時間 td' [ns] 80 70 60 50 40 30 20 10 3. シミュレーション 0 0 図 1 の回路につき SPICE によりシミュレーション を行った. サンプルホールド回路 1 に周波数 2 MHz , 5 VP-P の入力信号を入れ, 25 ns サンプリングした後, 75 ns ホールドして, CMOS 比較器に供給した. 比較器の 高速動作の可能性を調べるために, 入力信号のサンプ リングが開始されてからサンプルホールド 2 の前まで のコード出力が安定する迄に必要な時間 td’を測定し た. この際, サンプルホールド回路 1 のサンプル・ホー ルドの開始時を 20 ns 刻みで遅れさせ, 計 5 種の位相 遅れしたサンプルホールド波形に対する応答を調べた (図 2). 遅れ時間は, 70 ns 未満となっており, サンプリ ング周波数 10 MHz での動作が可能であることが分か る. 消費電力は約 14 mW であり, 十分小さくモノリシ ック IC 化が可能なレベルである. また, シミュレーシ ョンの結果, 同様な構成のブリーダー回路は 4 bit 迄小 さな出力誤差で動作した. 100 200 300 400 500 経過時間tx [ns] 図 2 フラッシュ型 A/D 変換器の遅延特性 4. 結論 本研究では, ビデオ信号処理可能なフラッシュ型 CMOS A/D 変換器を提案した. 3 bit の提案フラッシュ 型 CMOS 比較器はモノリシック IC 化可能な消費電力 で収まり, 入出力の遅れ時間は 70 ns 未満であるため, サンプリング周波数 10 MHz での動作が可能であるこ とを明らかにした. また, 3 bit 以上のさらなる高分解 能化も期待できる. 参考文献 [1] R. J. Baker, “CMOS Circuit Design, Layout, and Simulation”, Wiley, 3rd ed, 2010. -26- Copyright © 2015 IEICE