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形状記憶合金コイルによる屈曲機能を備えたディスポーザブル電子内視鏡

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形状記憶合金コイルによる屈曲機能を備えたディスポーザブル電子内視鏡
PS3-6-7
第47回生体医工学会大会
Japan Soc. ME&BE(May.2008)
形状記憶合金コイルによる屈曲機能を備えたディス
ディスポーザ
ポーザブル電子内視鏡
1
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3
4
2
牧志 渉 , 松永 忠雄 , 竜 新栄 , 江刺 正喜 , 芳賀 洋一
1
2
3
東北大学大学院工学研究科 東北大学医工学研究科 メムザス株式会社
4
東北大学原子分子材料科学高等研究機構
Active Bending Electric disposable Endoscope Using Shape Memory Alloy Coil Actuators
Wataru Makishi1, Tadao Matsunaga2, Ryu Shinei3, Masayoshi Esashi4, Yoichi Haga2
Graduate School of Engineering, Tohoku University1
Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University2 MEMSAS, Inc.3
WPI Advanced Inst. for Materials Reserch, Tohoku University4
1. はじめに
現在一般的に使われている内視鏡の屈曲機
構は体外からワイヤを牽引することにより駆動さ
れている。そのため、内視鏡のシャフトは、屈曲動
作時に座屈しないように硬くなっている。また、内
視鏡シャフトが複雑に蛇行したり、ループを形成
す る と ワ イ ヤ に よ る 牽 引 力 や、 回 転 ト ル ク を 内 視
鏡先端まで正確に伝えることができないため、操
作が難しくなる。さらに、腸のようなやわらかい組
織内部を観察する場合、腸壁が内視鏡に比べて
薄くやわらかいため、内視鏡を腸内部に挿入して
も腸が伸張するため内視鏡先端部を進めること
が難しく、深部まで挿入し観察することが難しい。
本 研 究 で は、 先 端 に 小 型 光 学 イ メー ジャ を 搭
載 し、 ワ イ ヤ 牽 引 に 代 わ る 屈 曲 機 構 と し て Ni-Ti
形 状 記 憶 合 金(Shape Memory Alloy SMA)
コ イ ル ア ク チュ エー タ を 用 い た 内 視 鏡 を 作 製 し
た。従来の屈曲機構ではワイヤの牽引を用いるた
めシャフトを硬くしなければならないが、本機構で
は、先端の屈曲動作に電気エネルギーを用いて
いるため、シャフト内部はワイヤに代わり、やわら
かい電気配線が通るため内視鏡全体をやわらか
くできる。そのため、これまで挿入の難しかった腸
などのようにやわらかく、複雑に入り組んだ部位
に挿入し、先端を自由に屈曲させて観察を行うこ
とができ、さらに貫通穴(ワーキングチャネル)を通
して生検・治療を行うことが可能となる。
使用する内視鏡の回数が制限される。このような
状況から、使い捨て内視鏡が必要とされている。
内視鏡を使い捨てとすることで、患者間の感染症
の危険性がなく、また、洗浄を行う必要がないた
め、必要なときに直ぐに使用することが可能とな
る。本研究の内視鏡は、屈曲機構及びシャフト部
の 構 造 を 単 純 化 で き る こ と、 近 年 の CCD
(Charge Coupled Device) や CMOS
(Complementary
Metal
Oxide
Semiconductor) な ど の 小 型 光 学 イ メー ジャ や
LED(Light Emitting Diode) の 低 価 格 化・ 高
性能化により、内視鏡全体の製造コストを大幅に
下げることができるため、使い捨ての内視鏡が可
能になると考えられる。
2. 屈曲機構の原理
屈曲機構の構造を図2に示す。構造体の中心
には、ワーキングチャネルとなるインナーチューブ
が配置されており、ガイドワイヤーなどのツールを
通したり、体液の吸引や薬剤の放出を行うことが
できる。その外側には屈曲を行うためのSMAコイ
ルアクチュエータを自然長より引き伸ばした状態
で円周上に120°毎に計3本固定されている。さら
にその外側には、屈曲した内視鏡を元の直線形
状に戻すためのライナーコイルが配置され、最外
層 に は 防 水 と 漏 電 防 止 の た め の ア ウ ター チュー
ブが配置される。
図2 屈曲機構の構造
図1 形状記憶合金コイルを用いた内視鏡
一般には、内視鏡を使用した後、再度使用する
までに洗浄が必要となる。特に内視鏡を用いて生
検 や 処 置 に よ り 生 体 組 織 の 摘 出 を 行っ た 場 合、
生体組織が内視鏡外部や鉗子口内に付着する
ため、洗浄が不十分であると内視鏡を使用した患
者間で感染を媒介する可能性がある。また、内視
鏡の洗浄には通常数時間必要とするため、1日に
3. 作製
内視鏡先端部の光学イメージャ実装部は、光
学イメージャや周辺回路を実装するための基板
から構成されるため、硬く曲がらない硬性部とな
る。しかし、内視鏡の硬性部はできるだけ短い方
が挿入性、操作性が良い。これまでに作製した能
動 屈 曲 電 子 内 視 鏡 は、 市 販 の 光 学 イ メー ジャ
ヘッドをそのまま用いたため、硬性部が20mmと
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長くなっていた 。
今回、小型の光学レンズ付きCMOSイメージャ
(5. 5 × 5. 5mm、 厚 さ 3mm、 10 万 画 素) を 用 い、
図3に示すようにCMOSイメージャ及び周辺回路
を実装する基板を立体的に複数配置することで、
先端の硬性部を短くした。回路基板には、CMOS
イメージャの電極位置に合わせた貫通穴が空い
ており、CMOSイメージャから基板へ垂直に被覆
付 配 線 が 接 続 さ れ る。 こ れ に よ り、 配 線 長 さ を 最
小限にすることができるためノイズが低減でき、ま
た、配線の取り回しが直線的になるため組み立て
が容易にとなる。
5mmのテフロンチューブが配置されている。
4. 結果
作製を行った光学イメージャ付内視鏡の屈曲
動作を行ったところ、制御コントローラの操作する
方向と角度に合わせて屈曲することを確認し、最
大 屈 曲 角 度 90°、 曲 率 半 径 38mm で あっ た (図
5)。さらに、先端に搭載した光学イメージャと光源
用LEDを駆動して内視鏡前方の画像が得られる
ことも確認した(図6)。
図5 作製したCMOSイメージャ付内視鏡
図3 光学イメージャ実装基板
周辺回路の実装用に外径9mm、厚さ0.6mm
基 板 を 2 枚 用 い、 ワー キ ン グ チャ ネ ル を 配 置 す る
ための直径1.5mm貫通穴を設けてある。この基
板の上面にCMOSイメージャと光源の小型高輝
度白色LED(W×D×H:2.5×0.8×1.0mm)を2
つ配置する。作製した光学イメージャ実装部分は
外径9mm、厚さ5mmとなっている(図4)。
図4 光学イメージャ実装部
今 回 作 製 し た 屈 曲 機 構 は、 直 径 9mm、 長 さ
60mmとなっており、内視鏡の中心には、鉗子口
と な る 内 径 1. 5mm の チュー ブ が 配 置 さ れ て い
る。 CMOS イ メー ジャ を 駆 動 す る た め の 配 線 は、
このチューブ側面にらせん状に巻かれ配置され
ている。SMAコイルアクチュエータは、外径320
μm、素線径75μm、長さ7.5mmを3本用い、ラ
イナーコイルは、素線径150μm、ピッチ2mmの
ス テ ン レ ス コ イ ル を 用 い た。 最 外 装 の ア ウ ター
チュー ブ は、 ディッ プ コー ト に よ り 作 製 し た 厚 さ
150 μ m の シ リ コー ン チュー ブ を 用 い た。 ま た、
シャ フ ト 部 は 外 径 9mm、 長 さ 3m で あ り、 内 部 に
光学イメージャ、光源用LED、及びSMAコイルを
駆動するための配線が24本、鉗子口用の内径1.
図6 CMOSイメージャの映像(大腸モデル)
5. まとめ・考察
内視鏡の屈曲機構にSMAコイルアクチュエー
タを用いた外径9mmのCMOSイメージャ付内視
鏡を作製した。作製した屈曲機構は、制御コント
ローラにより自在な屈曲方向と角度に屈曲可能
であるこ と を確認し た。また、内視鏡先端の光学
イメージャ実装部は、実装基板を多層化すること
に よ り 硬 性 部 を 長 さ 5mm と 小 型 化 を 実 現 し、
CMOSイメージャと光源用LEDを用いて内視鏡
前方の映像が得られることを確認した。
今 回 作 製・ 動 作 確 認 を 行っ た CMOS イ メー
ジャ付内視鏡は、比較的構造が単純であり、先端
に 搭 載 し た 小 型 CMOS イ メー ジャ も 安 価 な も の
であるため、使い捨て内視鏡の実現が十分可能
であることが示された。
参考文献
[1] 牧志 渉, 江刺 正喜, 芳賀 洋一, 他. 形状記憶
合金を用いた能動屈曲電子内視鏡. 電気学会
論文誌E, 127巻, 2号, (2007), pp. 75-81.
[2] 牧志 渉, 他. 形状記憶合金を用いた細く柔ら
かい能動屈曲電子内視鏡. 第46回生体医工学
会大会, 第45巻, (2007), pp.285.
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