...

~突撃 ドメーヌ最新情報!!~

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

~突撃 ドメーヌ最新情報!!~
2012 年 1 月吉日
~突撃★ドメーヌ最新情報!!~
◆VCN°5
ル・プティ・ドメーヌ・ジミオ
生産地方:ラングドック
◆ドメーヌの近況報告
当主アン・マリー・ラヴェイのコメント
現在、畑では剪定の作業を行っている。2012 年初めまで暖冬続きで、2 日の気温が 20 度まで上
昇したが、今は朝の気温が-3 度、日中の気温も 10 度前後と通常の冬のサイクルに戻っている!
醸造の方は、2011 年ワインの発酵が全て無事終わり、現在は静かに熟成を待っている!
去年は 2009 年同様畑の水不足、そして一部オイディオム(うどん粉病)の影響で、結局白は平均
収量が 5hl/ha、赤は 15hl/ha という大変厳しい結果に終わった…。だが一方で、ブドウの品質は、
収量が落ちた分、凝縮したエキスがしっかりとあり香り高く、ワインにもそのポテンシャルが十分反
映されている!
「ヨシ」のつ・ぶ・や・き
今回の訪問で、新しく日本にリリースするワインを試飲♪
まずはルージュ・ド・コース 2010 年!いつもながら香草を想像させる華やかな香りは健在で、ワイン
を味わう前にこの香りだけで陶酔してしまいそう~!味わいもミネラリィで上品な締まりがある!何
も手を加えずブドウの本来の味わいを最大限に引き出すアン・マリーのこだわりは、ついに樽熟を全
く通さないやり方に行き着いた!SO2 無添加にこだわる彼女としては、ワインがよりフレッシュな状
態を保つために、醸造中のワインの移動を避ける目的で、2010 年ワインから樽熟の行程を省い
た!
次に、ルージュ・フリュイ 2010 年♪「赤い果実」というだけあって、ルージュ・ド・コースよりも果実の
香りが華やか!味わいにそれぞれアクセントがあり、ミネラルやタンニン、酸、果実味がお互いう
まい塩梅で融けあっている!アフターの収斂味も嫌みがなく、味わいをスマートに締める!
次に、ミュスカセック 2009 年!今まで以上にブドウのアロマを引き出すために、2009 年から収
穫したブドウの半分をすぐにプレスせず、ケースに入れたまま 48 時間低温でスキンコンタクトする
醸造に変えた!2009 年のブドウは実が小さく高品質で、中身のエキスがぎっしり詰まっていただけ
あって、ワインは噛み応えがあり、味わいもうま味に奥行きと広がりがあり、余韻も長い!スキンコン
タクトを施したからか?第一アロマにブドウの花のような清涼感ある華やかな香りがある!
最後にドメーヌ初リリースのル・プティ・ロゼ・ド・ジミオ 2010 年!樹齢 12 年のミュスカ 85%とル
ージュ・フリュイ 15%をワインになった時点でアッサンブラージュ!2010 年が豊作だったこともあ
り、彼女としては、ドメーヌのジェネリックワインとして何かできないか?と考え、試験的につくった
ものだ!非常に貴重というか、まずブドウが豊作でなければつくらないし(ジミオは滅多に豊作はな
い…)、それに試験的というだけあって、今後はつくるかどうかもまだ分からない…幻のワインになる
可能性が大のワインだ!見た目はロゼと言うよりも、色の薄い赤という感じで、味わいも収斂味が
あるからか、実際、果実味豊かな赤ワインを飲んでいるような不思議な感じで、ロゼとは言われる
まで全く想像できなかった!(後からミュスカが 85%と聞いて驚いたくらいだ!)で、これがびっくり
するくらいうまい~!ただのロゼではなく、ちゃんとジミオのスタイルがしっかりとワインに反映されて
いて、コストパフォーマンスがものすごく高い!フランスでの販売は、自然派ワインサロンのディーヴ
ブテイユが終わった 2 月中旬からだそうで、日本は一足お先のリリース!ぜひこの不思議で激ウ
マのロゼを堪能してほしい~!(2011.7.13 の突撃ドメーヌ訪問&2012.1.11 の突撃生電話)
ビオディナミの原点がみえる!ル・プティ・ドメーヌ・ジミオ
生産地
ベジエ市からカルカッソンヌ市に向かう途中、北側の丘陵地に沿ってサンシニアン、ミネルヴォアとラングドック地方
を代表する名産地が広がる。サン・ジャン・ド・ミネルヴォワ村はその2つの産地にちょうど挟まれるように位置する。
隆起したプレートが織りなす複雑な台地、長い年月をかけて河川が浸食した、まるでグランドキャニオンを思わせる壮
大な地形は、この地域独特の光景で目を見張るものがある。天然甘口ワインで有名な産地のひとつで、他に類を見ない
芳香とフルーティさを兼ねたミュスカを産出することで定評がある。
歴史
1995 年にブドウ畑を購入して以来、アン・マリー・ラヴェイスはブドウの古樹に息吹を吹き返すがごとくビオディナミ
農法を実践し続けている。彼女のヴィオディナミ歴は古く、遡れば 30 年前の、彼女が以前まで続けていたフルーツ菜園
農家の時代までたどることができるという。残念ながら、農場は 1993 年の山火事により全焼してしまったが、これを
転機に彼女はもともと興味を抱いていたワイン作りに人生を注ぐこととなる。
生産者
現在はアン・マリー・ラヴェイスと弟のピエールで 4.5ha の畑を管理している。赤白共に品種はサンソー、アリカント、
テレット、ミュスカ・プティ・グレンなど土着のもののみで、ほとんどのブドウの樹が 100 年を超えている。彼女のブ
ドウ畑のまわりには隣接する畑が無く、ビオディナミを実践するには格好のシチュエーションである。フルーツ菜園農
家だった経験を生かし、ブドウの樹ひとつひとつの観察には特に注意を払う。ブドウ畑に撒く散布剤は、ビオディナミ
ゼの時に必要な調剤のみ!と彼女の徹底した自然有機農法は、参考のため遠方から視察に訪れるワイナリーも後を絶た
ない。収穫は 1 世紀を経たブドウの樹から搾り出されるブドウのエキスは微量で収量調整の必要が無く、
毎年 10~14hl/ha
の収穫量で収まる。ブルゴーニュのグランクリュクラスで 30hl/ha 前後の収穫量が平均ということを考えると驚異的な
少なさだ。醸造方法は至って自然派。
「私は昔から農家であったから、栽培のプロではあってもワイン作りはまだまだ素
人」と謙遜するアン・マリーは、自分がエノロジストでなく醸造の素人だったからこそ昔ながらの作り方、自然派のワ
インに抵抗無く耳を傾けることができたと現在を振り返る。自然酵母、ノンフィルター、SO2 ゼロ(白は必要があれば
ごく少量)添加で奇跡のワインをつくり出す。
ル・プティ・ドメーヌ・ジミオの+α情報
<もっと知りたい畑のこと>
土壌:アルジロ・カリケール
総面積:4.5ヘクタール
品種:ミュスカ・プティ・グレン、グルナッシュ、サンソー、カリニャン、テレット、アラモン、アリカント
樹齢:約100年
台木の種類:マサール(新たに植樹しているものはクローン)
病気:ほとんど見られない!?
剪定方法:ゴブレ
生産量:10~14hl(1ヘクタールあたり)
収穫方法:5~7人の収穫者による100%手摘み。底の浅いケースによる収穫。選果は畑で房分け。
<もっと知りたい醸造のこと>
醸造方法:赤スミマセラシオン・カルボニック、白トラディショナル
赤は摘んだブドウを除梗破砕せずにイノックスタンクへ。ピジャージュは毎日 1 回、果帽沈める程度。マセラシオンの
期間は 2 週間。発酵が終り次第、プレスしてワインを樽の中へ入れる。
(フリーラン、プレスともにアッサンブラージュ
する。)マロラクティック発酵は樽の中で終わらせ、澱を沈める期間を含めて 3~6 ヶ月樽熟成を施す。
白は摘んだブドウをバスランで 3 時間プレス。そのジュースをイノックスタンクで自然発酵。発酵後 3 ヶ月の樽熟成。
酵母:自然酵母
浸漬・発酵期間:イノックスタンクで2~4週間
熟成方法:樽で3~6 ヶ月熟成後、イノックスタンクに移し 3 ヶ月置き澱引き。
SO2 添加:無し(白は必要に応じて少量)
熟成樽:5 年樽以上の古樽を使用。
フィルター:無し
ちょっと一言、独り言
草花との共存バランスを考え、土起こしを一切しない。ブドウ畑に散布するものはイラクサ等畑のまわりに生えている
野生のハーブを煎じたものだけで、ボルドー液すら「畑には害」と撒くことはない・・・それでいて、ブドウの病気に
ありがちなオイディオム等の病気がほとんど見られないという。
「長年無農薬の農業を行ってきた経験上、いかに自然環境の調和を注意深く観察し、人の手を加えるのを最小限するか
が重要で、システマティックに人の手を畑に介入することはナンセンス。
」とアン・マリーは言う。彼女の畑が幸い、他
に隣接する畑が無く完全に単一であること、風通しがよいことなどが功を奏しているのだろうか・・・とにかく、話を
聞けば聞くほど狐につままれたような気分になった。
醸造にしても然り、赤はもちろん白の天然甘口ワインでさえ年によっては亜硫酸を全く添加しないという徹底ぶり。
「リ
スクはないのか?」と聞いてみたところ、彼女は「リスクがあるから毎日毎日観察しているんでしょう?観察を怠るか
らしかるべきタイミングを逃して、やむ得ず人の手を加えなければならないんでしょ?」と質問した私が逆に諭されて
しまった。
だが、このようにさらりと言いのける彼女にも、裏では見えない地道な努力があり、その事が彼女の根拠付けとなって
いるようだ。4.5haの畑を購入して以来 365 日、雨の日も雪の日も休まず畑に出、収穫時はほとんどカーヴで生活
し、家に帰るのは寝る時だけという生活を送り続けているという。現在の農法に確信を持つ以前は、やはり普通のビオ
ディナミ生産者同様、土起こし、ボルドー液散布等、試行錯誤を繰返し、徐々に必要としないものを削っていった結果
現在の独自のやり方に至ったようだ。
「まずは、理屈は抜きに飲んでみなさい。
」疑心暗鬼な表情でしつこく質問をする私に呆れたのか、彼女は話を切り、笑
いながらワインをグラスに注いでくれた。抽象的な説明にはぐらかされたようで気分心外だった・・・が、最初に口に
した赤に思わず鳥肌が立った・・・やわらかくスッと口に入る・・・おいしい。
「何も特別なことはしていない。しなくてもブドウにきちんと耳を傾けるとこのようなワインができるんだよ。
」と彼女
はウィンクした。
自然を観察すること・・・彼女のビオディナミ農法を学びに、遠方からはるばる視察に訪れるワイン生産者たちが後を
絶たないが、彼女は彼らにも「自然を観察すること」の重要性しか説かないそうだ。
「マジックではない。何がどの時点
で必要かは、観察することでよく見えてくる。」
彼女に本やマニュアルではないビオディナミの原点を垣間見た。
Fly UP