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第6節 航空消防防災体制

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第6節 航空消防防災体制
第 2 章 消防防災の組織と活動
第
航空消防防災体制
東日本大震災では、全国各地の消防防災ヘリコプ
ターが地震発生直後から出動し、早期に情報収集活
消防機関及び都道府県が保有する消防防災ヘリコ
動を実施したほか、津波により孤立した被災者の救
プターは、救急搬送や救助、林野火災における空中
出や人員・物資の輸送等で活躍し、消防防災ヘリコ
消火等の活動に日ごろから大きな成果を上げてい
プターの特長を大いに発揮した。
る。特に、地震等大規模な災害が発生し、ビルの倒
また、消防庁は、消防防災ヘリコプターの円滑な
壊や道路の陥没等により陸上交通が途絶したり、津
運航・整備を推進するため、国庫補助金の活用によ
波や港湾施設の損壊等により海上交通も途絶するよ
る資機材の充実等の支援を行っている。
うな事態では、ヘリコプターの高速性・機動性を活
平成 25 年 10 月 1 日現在の消防防災ヘリコプター
用し、消防防災活動で大きな役割を担うことができ
の保有状況は、消防庁保有が 5 機、消防機関保有が
るものと期待されている。
30 機、道県保有が 40 機の計 75 機となっており、
第 2 − 6 − 1 図
消防防災ヘリコプターの保有状況
1 平成 25 年 10 月 1 日現在配備状況
○消防庁保有ヘリコプター
○消防機関保有ヘリコプター
○道県保有ヘリコプター
2 未配備県域数
75 機(45 都道府県、
55 団体)
5 機(東京消防庁、京都市消防局、埼玉県、宮城県及び高知県が無償使用)
30 機(東京消防庁、
15 政令指定都市)
40 機(38 道県)
2 県域(佐賀県、沖縄県)
北海道 1
札幌市消防局 2
北海道
0機
1機
2機
3 機以上
青森
秋田
兵庫県 1
神戸市消防局 2
岐阜県 2
岩手
山形 宮城
消防庁 1
京都市消防局 1
岡山県 1
岡山市消防局 1
新潟
石川 富山
広島県 1
広島市消防局 1
福岡市消防局 2
北九州市消防局 1
山口
佐賀
長崎
福岡
大分
福井
島根
広島
鳥取
岡山 兵庫
香川
徳島
愛媛
高知
熊本
京都 滋賀
大阪 三重
奈良
愛知
消防庁 1
高知県 1
群馬
消防庁 1
埼玉県 2
栃木
茨城
埼玉
東京
山梨
千葉
神奈川
静岡
千葉市消防局 2
消防庁 1
東京消防庁 6
和歌山
大阪市消防局 2
宮崎
鹿児島
岐阜
長野
福島
消防庁 1
仙台市消防局 2
愛知県 1
名古屋市消防局 2
横浜市消防局 2
川崎市消防局 2
静岡県 1
静岡市消防局 1
浜松市消防局 1
沖縄
182
2
消防防災の組織と活動
航空消防防災体制の現況
第 章
1
6節
第 2 − 6 − 2 図
消防防災ヘリコプターによる災害出動状況(平成 17〜24 年)
(「消防防災・震災対策等現況調査」により作成)
(件数)
8,500
8,000
火災
救助
救急
その他
合計
7,500
7,127
7,000
6,349
6,500
6,000
5,500
7,775
5,355
7,207
6,496
6,393
5,606
5,000
4,500
4,000
3,710
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
2,492
1,480
3,167
3,276
1,720
1,671
3,938
3,447
3,246
2,762
1,562
1,161
222
1,073
209
平成 17 年
平成 18 年
1,898
1,959
1,141
1,238
1,273
1,350
224
276
169
169
平成 19 年
平成 20 年
平成 21 年
平成 22 年
1,777
2,035
1,323
1,228
925
187
平成 23 年
平成 24 年
(年)
(備考)
「その他」
とは、地震、風水害、大規模事故等における警戒、指揮支援、情報収集等の調査活動並びに資機材及び人員搬送等、火災、救助、救急出動以外
の出動をいう。
消防庁ヘリコプター「JA01FD」
(東京消防庁)
消防庁ヘリコプター「JA02FD」
(京都市消防局)
消防庁ヘリコプター「JA04FD」
(宮城県)
消防庁ヘリコプター「JA03FD」
(埼玉県)
消防庁ヘリコプター「JA05FD」
(高知県)
県内にヘリコプターの配備がない未配備県域は、佐
18,926 時間で、その内訳は、災害出動が 5,414 時
賀県及び沖縄県の 2 県域である(第 2 − 6 − 1 図)
。
間(28.6%)
、訓練出動が 11,108 時間(58.7%)、
消防防災ヘリコプターは、消防活動に幅広く活用
その他の業務が 2,404 時間(12.7%)となっている
されており、平成 24 年中の出動実績は 6,393 件で、
その内訳は、救急出動 3,246 件、救助出動 2,035 件、
(第 2 − 6 − 4 図)
。
なお、大規模災害時には、昭和 61 年 5 月に定め
火災出動 925 件、その他の出動 187 件となってい
られた「大規模特殊災害時における広域航空消防応
る(第 2 − 6 − 2 図、第 2 − 6 − 3 図)。
援実施要綱」に基づき、都道府県域を越えた応援活
ま た、 消 防 防 災 ヘ リ コ プ タ ー の 総 運 航 時 間 は
183
動が展開されており、平成 24 年中は、7 件の広域
第 6 節 航空消防防災体制
広域的な情報収集など国の任務を担う消防庁ヘリ
航空消防応援が実施された(第 2 − 7 − 1 表)。
コプターについては、消防組織法第 50 条の規定に
よる無償使用制度を活用し、東京消防庁への 1 号機
今後の取組
(平成 17 年 12 月)
、京都市消防局への 2 号機(平成
23 年 8 月)
、埼玉県への 3 号機(平成 24 年 3 月)に
(1) 航空消防防災体制の整備
続き、平成 25 年 6 月に 4 号機を宮城県防災航空隊、
平成 25 年 8 月に 5 号機を高知県消防防災航空隊に
急業務の高度化に対応するため、消防庁では、従来
配備した。
から消防防災ヘリコプターの全国的配備を推進し、
大地震により道路等が寸断されても、迅速かつ確
平成 25 年 10 月現在、2 県域を除く 45 都道府県域
実に情報を取得するためには、消防防災ヘリコプ
で配備されている。
ターを活用して、上空から情報収集活動を行うこと
第 2 − 6 − 3 図
消防防災ヘリコプターの災害出動件数の内訳(平成 20〜24 年)
火災出動件数内訳
平成 20 年
平成 21 年
平成 22 年
平成 23 年
平成 24 年
建物火災
810
792
742
644
586
林野火災
339
443
301
471
233
その他
合 計
124
115
98
113
106
1,273
1,350
1,141
1,228
925
(件)
1,600
1,400
1,200
124
1,000
339
443
98
301
800
0
平成 20 年
平成 21 年
平成 22 年
平成 23 年
平成 24 年
火災
3
1
0
0
1
水難
531
674
643
551
577
18
28
7
62
27
山岳
823
901
1,070
921
1,200
その他
296
294
239
243
230
1,671
1,898
1,959
1,777
2,035
自然災害
合 計
810
792
742
その他
平成 20 年 平成 21 年 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年
67
68
65
65
62
219
220
182
166
163
134
141
162
135
120
557
629
665
561
617
353
478
555
479
467
1,428
1,442
1,437
1,269
1,210
417
631
741
626
501
18
8
8
6
7
4
6
1
32
5
6
5
7
6
7
2
0
4
3
1
39
38
42
36
27
32
44
69
63
59
101
101
131
146
106
3,276
3,710
3,938
3,447
3,246
644
586
平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年(年)
2,000
294
1,500
296
1,000
823
500
18
901
531
水難
交通事故
労働災害
一般負傷
急病
転院搬送
医師搬送
火災
自然災害
運動競技
加害
自損行為
その他の救急
その他 計
合 計
106
(件)
2,500
0
救急出動件数内訳
471
233
200
救助出動件数内訳
113
600
400
その他
林野火災
建物火災
115
3
239
1,070
230
243
921
1,200
28
7
62
27
674
643
551
577
1
0
0
1
平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年(年)
(件)
4,500
4,000
3,500
3,000
101
101
417
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
その他
山岳
自然災害
水難
火災
1,428
353
557
134 67
219
631
131
741
146
626
1,442
1,437
478
555
629
141 68
220
665
162 65
182
106
501
1,269
1,210
479
467
561
135 65
166
617
120 62
163
その他
医師搬送
転院搬送
急病
一般負傷
労働災害
交通事故
水難
平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年(年)
(備考)
「消防防災・震災対策等現況調査」により作成
184
2
消防防災の組織と活動
大規模災害及び複雑多様化する各種災害並びに救
第 章
2
が極めて有効であり、地上からのアプローチが困難
援、消火・救急・救助活動を実施するなど、大きな
な場合でも確実に救助活動に着手できることは、先
役割を担っている。
般の東日本大震災で立証済みである。また、大規模
一方で、平成 21 年 9 月に岐阜県の北アルプスで
な林野火災等においても、消防防災ヘリコプターを
救助活動中の消防防災ヘリコプターが墜落し搭乗し
活用し、地上での消火活動が困難な区域に、空中か
ていた 3 人が死亡する事故が、また、平成 22 年 7
ら消火活動を実施することで、火災の延焼防止・早
月に埼玉県秩父市の山中で救助活動中の消防防災ヘ
期の鎮火を図ることができる。
リコプターが墜落し搭乗していた 5 人が死亡する事
このため、消防庁では、緊急消防援助隊として出
故が発生した。これらの事故を受けて、消防庁で
動する消防防災ヘリコプター、ヘリコプターテレビ
は、
「消防防災ヘリコプターによる山岳救助のあり
電送システム、赤外線カメラ等の高度化資機材、消
方に関する検討会」を平成 22 年 10 月に立ち上げ、
火用タンク及びヘリコプター用衛星電話の整備に対
24 年 3 月にかけ計 6 回の検討会を経て報告書をま
して補助金を交付し、大規模災害時等における航空
とめ、平成 24 年 5 月、関係機関に発出した。
消防防災体制の充実強化を図っている。
これらに合わせて、ヘリサットやヘリコプター動
態管理システムの整備を進めることにより、活動現
そのほか、平時から情報提供等を積極的に行うな
ど、消防防災航空隊の活動時における安全確保を促
進している。
場における消防防災ヘリコプター間のネットワーク
を構築するとともに、大規模災害時の消防庁におけ
るオペレーションを確実かつ機動的なものになるよ
第2−6−4図
消防防災ヘリコプターの運航時
間の内訳(平成 24 年)
う機能の拡張を図っている。
また、悪天候時でも消防防災ヘリコプターの広域
その他の業務
2,404
(12.7%)
応援を行う上で、低高度の IFR(計器飛行方式)幹
災害出動
5,414
消防防災
(28.6%)
ヘリコプター
総運航時間
(18,926 時間)
線ルート網の構築は重要な課題である。消防庁で
は、 新 潟・ 福 島 間 に 開 設 さ れ た 災 害 対 応 専 用 の
RNAV(広域航法)経路の検証飛行を平成 22 年 6 月
に実施した。
(2) 消防防災ヘリコプターの安全な活動の
確保に向けて
近年の大規模災害においては、多くの消防防災ヘ
リコプターが緊急消防援助隊として出動し、その高
速性・機動性を活かした迅速な情報収集、指揮支
185
管内出動
4,800
自隊訓練
8,725
訓練出動
11,108
(58.7%)
管外出動 614
その他の
合同訓練
1,836
広域応援訓練 547
単位:時間
(備考) 1 「消防防災・震災対策等現況調査」により作成
2 「その他の合同訓練」とは、管轄区域内の地上部隊等との連
携訓練等をいう。
3 「自隊訓練」とは、操縦士の操縦訓練及び航空救助隊員を対
象とした通信・救助訓練等をいう。
4 「広域応援訓練」とは、相互応援協定及び緊急消防援助隊等
に基づく出動を想定した訓練をいう。
5 「その他の業務」とは、試験・検査のための飛行、調査・撮影業
務及び行政業務等をいう。
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