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航空機内装品の世界トップメーカー

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航空機内装品の世界トップメーカー
vol.
48
航空機内装品の世界トップメーカー
株式会社ジャムコ 代表取締役社長 鈴木 善久氏
鈴木代表取締役社長
航空機のギャ
ラバトリーでは世界シェア約50%を誇り、
レー
(厨房設備)
ボーイングの最新型旅客機787をはじめ、
やラバトリー
(化
747、
767、
777型機に独占供給を行ってい
粧室)
を製造し、
る。業界初となる温水洗浄便座の搭載や、
世界トップクラス
タッチレス流水センサーを開発するなど機内
のシェアを有する
設備の高級化に対応し、
快適さや機能性の
株式会社ジャムコ
向上を図る。代表取締役社長の鈴木善久
(本 社・東 京 都
氏は
「航空機部品には
『軽量化』や
『難燃
三 鷹 市)
。1955
年に伊藤忠航空整備株式会社として創業
性』
『
、強度』
といった厳しい条件が課せられ
航空機用プレミアムクラスシート
「Journey™」
るが、
エアライン各社はより革新的なものを
いる。
国内では独立系専門整備会社として最
求める。当社は
『軽量化技術』
を基盤に常に
大規模を誇るなど、
ジャムコは各事業でリーディ
技術革新を追求し、
顧客ニーズに対応してき
ング・カンパニーとしての地位を確立している。
たが、
空の安全にはこれでいいという品質は
航空機用シート事業をグローバルに展開
ない。
日々品質改善に取り組むことが重要」
2014年4月、航空機用シート事業に本格
と強みを話す。
参入し、上級クラス向けシート
「DoveTailTM」
日本最大の独立系専門整備会社
の開発開始を発表した。2013年発表のエア
航空機器製造の分野では、航空機用熱
とともに販売を促進し、
バス向け
「JourneyTM」
交換器やジェットエンジン部品などを手掛け
シート事業の強化を図る。鈴木社長は
「航空
ている。航空機に用いられる特殊金属の溶
機内装品事業の第4の柱と位置付けており、
接、
熱処理、
ろう付けなど
「特殊工程技術」
を
ギャレーやラバトリー、
コックピッ
ト内装などとと
保有し、国際特殊工程認証制度Nadcapを
もに当社製品で客室全体を手掛ける
『トータ
取得。
また、航空宇宙分野における品質マ
ル・インテリア・インテグレーター』
としての品揃
ネジメントシステムJISQ9100の認証を取得
えを大きく向上させるもの」
と期待を寄せる。
し、
徹底した品質管理体制を構築している。
シート事業は、米国連邦航空局
(FAA)
から
軽 量 化で需 要 拡 大が 進む炭 素 繊 維
安全認証業務代行権限を認定された米国
複 合 部 材 においては、
ADP
(ADvanced
子会社ジャムコ・アメリカが主体となり、
すで
Pultrusion)
製法を独自開発し、世界で唯一
に2千数百席の受注済みと受注見込みを抱
自動化された連続成形技術を実用化した。
えている。一方で、
中古機体のリフォームを行
これにより、
高精度の部材を短時間・低コスト
う
「レトロフィット」市場をターゲットに、
シンガ
で製造することが可能となり、
ADP製法で製
ポール・ジャムコを東南アジアの中核拠点と
造されたジャムコの炭素繊維複合部材は、
し市場拡大に取り組むとしている。
全てのエアバス機の垂直尾翼やエアバス
人材面でも、
海外研修制度や海外技術者
A380型機の二階床構造部材として使用さ
の派遣受入などグローバル化を推進するジャ
れている。
ムコ。
「航空機の各分野におけるナンバー・ワ
創業時より続く航空機整備事業は、
仙台を
ンの
『良い会社』
から、
高い収益力を持つ
『強
中心に帯広、
宮崎など全国6拠点で各官公
い会社』」への進化に向け、
技術と人材を翼
庁・エアライン・航空大学校等の中型・小型航
に連結売上高1,000億円企業を目指す。
し、航空機の整備事業を開始した。日本の
航空機産業を黎明期から支え、
航空機内装
品製造、航空機器製造、航空機整備を主
柱事業に、立川や新潟、宮崎など国内6拠
点、米国、
シンガポール、
フィリピン、
ドイツに
海外4拠点を配しグローバルに事業を展開
する。現在、
ボーイングやエアバスなど大手
航空機メーカーをはじめ、
100社を超える世
界のエアラインと取引を行っている。
「軽量化技術」
を強みに世界トップクラスの
客室内装品
ギャレーとインサート
(調理用機器)
を全日
空から初受注したのが1970年。機内の限
られたスペースに機能的かつ耐久性のある
設備を収め、
当時「東洋の魔術師」
と呼ばれ
た。
その高い品質が評価され、
ジャンボジェッ
ト機時代の到来とともに市場を拡大。現在、
世界で生産されるギャレーの約30%は同社
製品である。
ボーイング787搭載のギャレー・ギャレーインサート
10 mizuho global news | 2014 JUL&AUG vol.74
空機およびヘリコプターの整備・改造を行って
(取材・作成)
みずほ銀行 直投支援部 大橋 綾
「はかる・みる・まもる」の視点から環境事業をトータルサポート
株式会社日吉 代表取締役社長 村田 弘司氏
村田代表取締役社長
株式会社日
1950年代より、地元への社会貢
吉は滋賀県近
献活動に熱心に取り組んできた。
江八幡市に本
地元の環境保全のための産学連
社を置き、環境
携を積極的に進め、主婦団体らと
に関するトータ
連携して琵琶湖の富栄養化対策と
ルサービスを手
して河川などの水質分析を実施、
掛ける企 業で
官・民・学・市民連携による環境保
ある。環 境・食
全活動
「琵琶湖モデル」
という手法
品などの分析・
創出にも貢献した。
日吉インディアラボの様子
測定、上下水道や工場排水などのインフラ
日吉は
「環境問題に国境はな
施設の維持管理、
廃棄物の処理や道路維
い」
と考え、
開発途上国とも積極的に連携し
ない状況に陥っている。
そのような課題の解
持管理などの事業を幅広く手掛け、
「はかる」
ている。1989年よりインドや中国、東南アジ
決に貢献すべく、
市場調査を行い、
このたび
(測定・分析)
「
、みる」
(施設維持管理)
「
、ま
アなど世界19ヵ国から合計200名以上の研
分析ラボを設立した。
もる」
(環境保全事業)
を事業展開のキーワー
修生を受け入れ、
環境分析や水処理の技術
中国では2011年に国家環境分析測試
ドとしている。
これら各種サービスをコンサル
について指導してきたほか、
これまでに海外
中心
(北京市)
、
2012年に浙江大学と共同
ティングも含め
“ONE-STOP”
で対応できるこ
10ヵ国以上に分析検査技術者や環境保全
実験室の設立に関する調印を執り行った。
とが強みである。
の専門家を派遣している。
ダイオキシン類の排出規制に関連する分析
多くの製造現場で排水処理にまつわる多
その国際貢献活動は2010年に転機を迎
の研究を実施、
最先端の分析手法について
様なソリューションを提供するため、
当社は上
える。ボランティアとしての各種活動が現地
の有効性・適応性の検証に着手した。一連
記それぞれの分野における78種類の事業
に定着していないとの実感を強めた日吉は、
の取り組みを通じて当社が推奨する分析手
許認可を取得、社員も業務に関わる194種
国際貢献とビジネスの連動による相乗効果
法の中国内での早期普及を進め、
将来的に
類の資格を保有している。
の発揮を模索し始めた。
は同法の国家標準化を目指す狙いだ。同様
当社の強みはサービス提供力だけではな
その契機となったのがある研修生の一言
に、
ベトナムでも国際協力機構(JICA)や科学
く、
長年にわたる社会貢献活動にも支えられ
である。
「帰国しても、
私たちには日吉のように
技術振興機構
(JST)
のプロジェクトとして、
環
ている。
「環境問題」
という言葉が世間に普
働ける環境がない」
。多くの研修生は帰国後
境分析に関する国家マニュアルの策定実現
及していなかった
「衛生問題」の時代である
に自らのスキルを活かせる場所がないことに
にも取り組んでいる。いずれの国においても
悩んでおり、
この発言が村田社
当社が国際貢献を通じて形成したネットワー
長の心を大きく動かしたという。
クが役に立っているという。
日吉はまず、
インドにおける事
日吉の国際事業はまだ緒に就いたばかり
業化を模索。現地の日系製造
であり、
収益での貢献度はまだ小規模である
業を顧客として市場調査や環
とのことだが、国内外での人材育成や社内
境分析を行う
「日吉インディア」
のモチベーション向上に確実に寄与してい
を2011年にチェンナイに設立し
る。今後も国際事業を拡大する方針であり、
た。一般的に環境に関する枠組
これまでに地道に取り組んできた国際貢献
みは国ごとに異なるため、
インド
活動が次世代の事業の柱につながることが
でも多くの日系企業が自社の環
期待されている。
浙江大学との調印式
境対応の正当性に自信を持て
(取材・作成)
みずほ銀行 直投支援部 横塚 仁士
mizuho global news | 2014 JUL&AUG vol.74 1 1
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