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アジアで「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」を展開

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アジアで「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」を展開
vol.
50
アジアで「牛角」
「しゃぶしゃぶ温野菜」を展開
株式会社コロワイド 代表取締役社長 野尻 公平氏
1963年 創 業
よぶ。
の株式会社コロ
また、商品開発から調達、製造、販売ま
ワイド
(本 社:神
で一元的に行う独自のマーチャンダイジング
奈川県横浜市)
(MD)
は同社の成長を支える重要戦略と
は、逗子で開店
なっている。MD機能を持つことで、
製販双方
した手作り居酒
向の開発が可能になるという。代表取締役
屋「甘 太 郎」を
社長の野尻公平氏は
「当社ではマグロ漁船
シンガポールの「牛角」店舗
原点にスタートし
を1船買いし、
寿司ネタや居酒屋の兜焼きな
東南アジア向けのセントラルキッチンとしてタ
た。
その後、
成熟
どマグロ1本の歩留まりを上げることができる。
イに製造工場を新設、
マレーシアにはハラル
する外食産業において積極的なM&Aにより
川上まで上って商品開発することで、
ムダをな
認証取得の製造工場を設立しイスラム市場
事業を拡大し、
現在グループ18社で居酒屋
くし原価を低減し、
品質を上げることができる。
に出荷する予定である。
からレストランまで幅広く外食事業を手がけ
これは調理加工を行う自社工場を保有し、
多
ている。日本一の店舗数を誇る焼肉の
「牛
業態の店舗を展開する当社だから実現できる
外食産業は
「人」
がすべて
角」
や
「しゃぶしゃぶ温野菜」
など、
2014年8
こと」
と強みを話す。
14回のM&Aにより、
さまざまな企業文化と
月現在で国内2,080店舗、海外36店舗を
昨今重要性が増す食の安全においても、
人を融合し業容拡大を続けてきたコロワイドグ
出店し、
「外食日本一企業」
を目指し取り組
全商品で産地や加工地等の商品情報をデー
ループ。異なる風土や考え方に社内のルール
んでいる。
タベース化し高水準の管理体制を構築する
化を推し進め、
ルールに基づいた対応を徹底
が、
自社で調達・加工した商品であればより安
する。経営理念の
「すべては、
お客さまと社員
独自マーチャンダイジングと店舗販売の
心・安全を担保できるなどMDが果たす役割
のために」
を実践し社内の一体感を醸成、
近
両輪で市場拡大
は大きい。今後も店舗販売とMDを両輪に、
時深刻化する人手不足も問題にはならない。
近年、
アルコール摂取量の減少など市場
M&Aでシェアを拡大しシナジー効果を高めて
野尻社長は
「外食産業は
『人』
がすべて。
コス
環境の変化により居酒屋業態で厳しい状況
いくとしている。
野尻代表取締役社長
トをかけて教育し、
コミュニケーションを深め適
切に処遇すれば、
熟練スタッフが育ち生産性
が続く中で、
コロワイドグループでは売上高
に占めるレストラン業態の割合を引き上げて
アジア8ヵ国36店舗を出店
も向上する。社員が幸せでなければ、
お客さま
いる。2002年以降、
レストラン業態を中心に
海外では、
香港やタイ、
シンガポールなどア
が喜ぶ良いサービスはできない」
と話した。
多店舗展開する企業を子会社化し、
店舗数
ジアを中心に8ヵ国36店舗を出店している。
海外での日本食人気の高まりを追い風に、
を増やし販売力を強化してきた。
「ステーキ
人口増加と経済成長が続くASEAN諸国で
2014年7月
「しゃぶしゃぶ温野菜」のシンガ
宮」
やグループ初となるフレンチ料理店「フレ
は外食比率も高く、
消費市場として有望視し
ポール1号店を出店、
また同月台湾では地場
ンチーナ」
など積極的に新規出店を行い、
現
ており「
、牛角」
と
「しゃぶしゃぶ温野菜」
を中
企業と高雄・屏東地区でのエリアFC契約を
在レストラン業態の売上比率は約6割にお
心に今後5年間で450店舗の海外店舗網構
締結した。今後もスピード感を持って、
直営店
築を計画している。
の出店や現地パートナーとの協働体制を構築
両業態は比較的アイテム数が少なく、
調理
し、
5年間で450店の海外店舗網構築を目指
が容易でオペレーションが簡素なため、
文化
す。
また国内では、
レストラン業態の新規出店
や慣習の異なる海外でも店舗運営がしやす
を基軸にM&Aを継続、
MD機能をさらに強化
いという。
また、
メインの食材がどちらも牛肉で
し収益性向上に取り組むとし、
グループ全体
あることから、
両業態の同時展開により効率
でさらなる成長に挑んでいく。
マーチャンダイジングを統括する
(株)
コロワイドMD
の高い食材供給が可能となっている。今後は
12 mizuho global news | 2014 NOV&DEC vol.76
(取材・作成)
みずほ銀行 直投支援部 大橋 綾
全熱交換器トップシェア 環境・省エネビジネスのフロントランナー
株式会社西部技研 代表取締役社長 隈 扶三郎氏
福岡県古賀
介在させることにより、
外気を室内の温度にあ
市に本 社を置
る程度近づけて導入することが可能で、
空調
き、空調用全熱
はその温度差のみを冷暖房すればよいため、
交換器や除湿
省エネに大変有効である。
機、
VOC 濃 縮
*1
装置などの環境
コア技術・ハニカム構造
ハニカムローター
保全・省エネ機
全熱交換器を開発した当時は省エネという
境規制が厳格化の傾向にあるため、
VOC濃
器の製 造を手
概念が定着していなかったが、
同社はその後
縮装置などの売り上げ増が見込まれ、
さらなる
掛ける株 式 会
も時代の先を見据え、
ハニカム構造技術を駆
シェア拡大が期待される。今後は東南アジア
社西部技研。
「独創と融合」
を経営理念に、
使し、
さまざまな省エネ装置の開発に取り組む
諸国のいずれかの国に拠点を設立し、
グロー
1965年の設立以来、環境保全に貢献する
ようになる。VOC規制という言葉が定着し始
バルネットワークをさらに充実させていく予定
革新的な製品を開発してきた。
さまざまな素材
めた1980年代には、
VOCを効率よく吸収する
だ。
その構造体に熱回
をハニカム 状に構造し、
ゼオライトをハニカム構造体の中に固着させ
収、
除湿、
除塵、
脱臭などの機能性を持たせる
たVOC濃縮装置を開発。1998年には世界
BtoBからBtoCへ
技術に強みを持つ。2009年には経済産業省
初となるイオン樹脂を用いた新しいタイプの全
2015年7月に創業50周年を迎える同社
が主催する
「ものづくり日本大賞」
の優秀賞を
熱交換器を開発し、
空調から還流される臭気
が、
次に目指すのはBtoBビジネスからBtoCビ
受賞。2014年には経済産業省より
「グローバ
問題を解決した。 ジネスへの転換である。今後は顧客ニーズに
ルニッチトップ企業100選」
に選出、
また代表
また、
ハニカム構造体にメタルシリケートを含
沿った製品やサービスの提供に重点を置き、
取締役社長の隈扶三郎氏が、
経営革新功績
ませ、
低湿度な空間を作り出すデシカント除湿
皮切りとして、
デシカント除湿機を用いたドライ
により2014年春に藍綬褒章を授与されるな
機も世界初の技術を用いて製品化された。同
ルームの設置事業がすでに始動している。
ど、
技術力が高く評価されている。
製品は製造工程でドライルームを要する薬品・
隈代表取締役社長は、
「エンドユーザーに
電池工場より受注が相次いでいる。
近い場所で商売することにより、
現場の意見
隈代表取締役社長
*2
元祖 大学発ベンチャー
やニーズを直接聞くことができ、
より的確なサー
同社は先代社長の隈利實氏が九州大学
3+1極体制でグローバル市場を開拓
ビスを提供できるようになる。
『会社の寿命は
工学部に勤務する傍ら、
私設の研究室を設立
海外事業は、
スウェーデン、
アメリカ、
中国の
30年』
という定説があるが、
変えるべきことと守
したことから始まる。創業当初は面状ヒーター
3ヵ国に現地法人を有しており、
日本本社を中
るべきことをしっかりと見極めていきたい」
と企
などの製造を手掛けていたが、
1972年のオ
心とした3+1極体制で、
欧米・アジア市場を開
業展望を語る。2013年には10年後のビジョ
イルショック時に転機を迎える。原油価格の
拓中である。全拠点で現地生産を行っている
ンを具体化した
「2023年未来像」
を策定、
そ
高騰でヒーターの材料調達が困難になったた
が、
その中でもコアとなっているのが、
中国江
の未来像には100年企業の実現が究極の目
め、
スウェーデン発祥のハニカム構造の全熱
蘇省常熟市に2007年に設立した西部技研
的として掲げられている。独自の技術力を強み
交換器の開発に着手したところ、
国産化に成
環保節能設備
(常熟)
有限公司である。全熱
に、
今後は幅広い市場をターゲッ
トとして持続
功し、
西部技研の名を業界に浸透させた。
交換器やデシカント除湿機の製造を主力事
的成長を続けていく。
全熱交換器とは、
主に空調機に取り付けら
業に、
中国の地場企業や東南アジアなどの
*1 揮発性有機化合物
(Volatile Organic Compounds)
れており、
建物内の空気を換気する際に排気
第三国への販売に加え、
日本本社への部材
中の熱と湿度を回収しリサイクルする装置であ
調達なども行っている。
る。換気の際に取り込む外気は室内空気との
2014年現在、
海外の売り上げは連結ベー
温度差が大きいが、
全熱交換器のローターを
スで全体の約5割を占めている。中国では環
の略称で、
大気中の光化学反応により、
光化学スモッ
グを引き起こす原因物質の1つとされている。
*2 正六角形を隙間なく並べた蜂の巣のような構造。通気
抵抗が低い割に空気が接する面積が大きく、
軽くて丈
夫という利点を持つ。
(取材・作成)
みずほ銀行 直投支援部 金久 実央
mizuho global news | 2014 NOV&DEC vol.76 1 3
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